(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記硬化性樹脂組成物を2mm厚の硬化物としたときのヘイズ値が、1.0以上であり、半透明から白濁の外観となるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
前述のように、従来の封止材のように充填材を使うのではなく、蛍光体を分散した封止材をパッケージ基板に充填する際において、ディスペンス装置のシリンジ内またはパッケージ基板内の製造初期と製造後期で蛍光体の分散状態に変化がなく、具体的には製造初期と製造後期で同量の蛍光体を含有し、明るさ・演色性を安定的に維持することの出来る硬化性樹脂組成物、その硬化物及び光半導体デバイスが求められていた。
【0036】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂の少なくとも1種からなる主剤(X)(屈折率RI
X):100質量部に、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂の少なくとも1種からなり、主剤(X)とは屈折率の異なる添加剤(Y)(屈折率RI
Y):0質量部を超え100質量部以下が添加・分散されているものであり、前記主剤(X)と前記添加剤(Y)の屈折率差が、未硬化の状態で|RI
X−RI
Y|≧0.0050の式を満たし、特には、前記添加剤(Y)は主剤(X)に、粒子径50μm未満の微粒子の状態で分散して存在し、更に硬化性樹脂組成物は該樹脂組成物を2mm厚の硬化物とした時のヘイズ値が1.0以上であり、半透明から白色不透明の外観をなしていることを特徴とする硬化性樹脂組成物であれば、従来の封止材のように充填材を使うことなく、蛍光体を分散した封止材をパッケージ基板に充填する際においても、ディスペンス装置のシリンジ内またはパッケージ基板内の製造初期と製造後期で蛍光体の分散状態に変化がなく、具体的には製造初期と製造後期で同量の蛍光体を含有し、明るさ・演色性を安定的に維持することの出来ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0037】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂の少なくとも1種からなる主剤(X)(屈折率RI
X):100質量部に、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂の少なくとも1種からなり、主剤(X)とは屈折率の異なる添加剤(Y)(屈折率RI
Y):0質量部を超え100質量部以下が添加・分散されているものであり、前記主剤(X)と前記添加剤(Y)の屈折率差が、未硬化の状態で|RI
X−RI
Y|≧0.0050のものであることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
【0038】
即ち、本発明は、添加剤(Y)が主剤(X)に添加・分散されてなる硬化性樹脂組成物であって、主剤(X)と添加剤(Y)は相互に異なる屈折率を有しており、添加・分散され未硬化の状態では均一に溶解されず半透明から微濁の状態、すなわち透過光が散乱された状態となり、混合後の組成物はいわゆるO/O型エマルジョンとなる。一般的なエマルジョン製品の知見からも理解されるように、本発明の硬化性樹脂組成物は、少量添加成分である添加剤(Y)が微粒子状の液滴となり一定の範囲の粒子径で均一に分散された状態で主剤(X)中に浮遊している。このような状態の微粒子は蛍光体が重力に従って移動しようとする力を効果的に阻害し、沈降を防ぐことが出来る。このことにより、ディスペンス工程が長時間に亘り行われる場合であっても、ディスペンス初期と後期での、LEDデバイス中の蛍光体量をほぼ同等とする事が可能となり、従って、封止材の取り扱い性を高めることができる。
【0039】
次に、前記、主剤(X)と添加剤(Y)の屈折率差は、主剤(X):(屈折率RI
X)に、屈折率の異なる添加剤(Y):(屈折率RI
Y)としたとき、|RI
X−RI
Y|≧0.0050の式を満たす。なお好ましくは、|RI
X−RI
Y|≧0.0100である。液体の屈折率は一般的なアッベの屈折率計を用いてnd25を測定すればよく、測定精度は屈折率(nD)±0.0002程度あれば良い。
【0040】
|RI
X−RI
Y|の上限は、添加剤(Y)が主剤(X)に、粒子径50μm未満の微粒子の状態で分散して存在し、更に硬化性樹脂組成物は該樹脂組成物を2mm厚の硬化物とした時のヘイズ値が1.0以上であり、従って半透明から白色不透明の外観をなしていれば良く、特に制約はないが、好ましくは0.2000≧|RI
X−RI
Y|である。0.2000以下であると、屈折率差が大きすぎ、後に述べるように、50μm以上の粒子が多く存在してしまうこともなく、粒子同士の凝集により分散状態が不安定になる、粒子の比重差が大きくなるために粒子の浮遊又は沈降が発生するなど、良好な分散状態が得られなくなるようなこともなく、硬化性樹脂組成物としての取り扱い性が向上する。
【0041】
|RI
X−RI
Y|が0.0050未満であると、屈折率差が小さすぎるため、添加剤(Y)が微粒子として存在できず、均一に溶解した樹脂組成物となり、前述の蛍光体の沈降防止の効果が得られにくくなるため好ましくない。
【0042】
更に、前記添加剤(Y)は主剤(X)に、未硬化の状態において粒子径50μm未満の微粒子の状態で分散して存在するのが好ましい。より好ましくは30μm以下である。粒子径が50μm未満であれば、粒子同士の凝集が発生しやすくなったり、より大きな粒子として成長して、経時で樹脂組成物の分離につながったりする恐れがないため好ましい。
また、粒子径が50μm未満であれば、蛍光体の沈降防止の効果が十分発揮され、封止
剤中の蛍光体量が一層ばらつく等の不具合が発生する恐れがないため好ましい。
【0043】
前記粒子径の具体的な測定方法として、特に制限はなく、例えば光学顕微鏡やレーザー顕微鏡等で直接観察してもよいし、動的光散乱測定装置等の分光学的な手法を用いた測定でもよい。得られた硬化性樹脂組成物の外観、粘度、散乱状態により、適当なものを選択すればよいが、中でも、レーザー顕微鏡で直接観察する方法が簡便であり、広範囲の組成物に対して測定が可能なため好適である。
【0044】
本発明の、添加剤(Y)は主剤(X)中に微粒子として存在する硬化性樹脂組成物を得るための方法として、前述の屈折率差が未硬化の状態で|RI
X−RI
Y|≧0.0050の式を満たす主剤(X)と添加剤(Y)を組み合わせて分散・添加することで得ることが出来る。主剤(X)と添加剤(Y)の分散・添加の方法は、特に制限はされず、公知の方法を用いることが出来る。
【0045】
例えば、種々の形式のミキサーによる混合、自公転式攪拌機による混合、ロールを用いた混練り等が挙げられる。攪拌の際に、脱泡を目的として、攪拌系内を真空としてもよい。添加剤(Y)を安定な微粒子として存在させる目的として、可能な限り高速・高シェアーを加え攪拌できる装置が好ましい。好ましくは、簡便な、真空引き機能を備えた自公転式攪拌機による混合である。
【0046】
主剤(X)と添加剤(Y)の配合比は、主剤(X)100質量部に対して、添加剤(Y)100質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下である。添加剤(Y)の添加量が100質量部を超えると、系中の微粒子数が増加するため、微粒子同士の凝集・結合が進行し、50μm以上の粒子が生成する原因となる恐れがある。蛍光体の沈降防止作用の効果が得られれば添加量の下限値は特に制約はなく、0質量部を超える量であればよい。
【0047】
更に、本発明の硬化性樹脂組成物は該樹脂組成物を2mm厚の硬化物とした時のヘイズ値が1.0以上であることが特徴として挙げられる。(ヘイズ値)=(拡散光透過率)/(全光線透過率)で定義されることから理解されるように、拡散光成分の増大及び全光線透過率の減少に伴いヘイズ値は増大し、半透明から微濁さらに白濁に至る。
【0048】
本発明の硬化性樹脂組成物は該樹脂組成物を2mm厚の硬化物とした時のヘイズ値が1.0以上であることが好ましく、このことは、硬化物が透明から半透明以上の曇り状態を有することを意味する。ヘイズ値が1.0未満であると、硬化物は透明であり、光を散乱させる微粒子はあまり存在しないことを意味する。このように、ヘイズ値が1.0以上であれば、蛍光体の沈降防止の効果が得られ、封止材中の蛍光体量が一層ばらつく等の不具合が発生する恐れがないため好ましい。
【0049】
ヘイズ値の上限は特に制限はなく、蛍光体の沈降防止と目的とするLEDデバイスの光取り出し効率に応じて適宜調整すれば良いが、100より小さければ、直進光成分の割合が低くなり、LEDデバイスからの光の取り出しの妨げになることもないため好ましい。
【0050】
主剤(X)及び添加剤(Y)は、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、中から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。前記|RI
X−RI
Y|≧0.0050の式を満たせば、異なる樹脂系を選択して用いてもよい。
【0051】
主剤(X)及び添加剤(Y)はそれぞれ、目的の物性、屈折率を有する樹脂又は組成物を選択すればよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物は、透明性、耐熱性、耐光性の観点から、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂であると、なお好ましい。
【0052】
前記樹脂は室温における粘度が100mPa・s以上10000mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以上5000mPa・s以下であることが好ましい。100mPa・s以上であれば、硬化性樹脂組成物中に微粒子が存在しても、全体として蛍光体の沈降防止作用の効果が得られ、色バラツキを改善することができる。10000mPa・s以下であれば、封止材の粘度が高くなりすぎたりせず、ディスペンス工程における不具合、具体的には高粘度液体を
吐出する際の速度低下による作業性の低下、封止材の糸引きによる封止材充填量のバラツキ、及びデバイスの汚れ等が発生する恐れがないため好ましい。
【0053】
更に、前記屈折率はそれぞれを構成する樹脂中の官能基含有量、例えば一価炭化水素基(炭素原子数1〜10、特に1〜6のものが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル
基;シクロヘキシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基;およびこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基やシアノエチル基等が挙げられる。)の種類、含有量を変えることにより、特性を損なうことなく好適に用いることができる。特に、メチル基、フェニル基、トリフロロプロピル基などを含有する樹脂の調整が容易で、好適に用いることができる。
【0054】
本発明の硬化性樹脂組成物は、発光ダイオード、LED素子封止材料等の光学用コーティング材料として有用であって、主剤(X)として、硬化性シリコーン樹脂を選択した場合であれば次に例示するような組成物が好ましいが、これに限定されるわけではない。
【0055】
[硬化性シリコーン樹脂組成物]
主剤(X)
本発明では、以下に例示する硬化性シリコーン樹脂組成物を用いると、なお好ましい。例えば、主剤(X)として、次に示すシリコーン樹脂組成物が挙げられる。
(A)脂肪族不飽和結合含有オルガノポリシロキサン
ベース成分である(A)成分は、一分子中に2個以上の脂肪族不飽和結合を有し、本質的に直鎖状であるオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンは粘度が作業性、硬化性などの点から、室温における粘度が100mPa・s以上10000mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以上5000mPa・s以下であることが好ましい。
【0056】
分子構造は本質的に直鎖状であり、好ましくは直鎖状である。ここで、「本質的に直鎖状である」とは、本成分中の両末端を封鎖するトリオルガノシロキシ基以外の全てのシロキサン単位が主に2官能単位(D単位)(具体的には、式:R
12SiOで表される単位)で構成されるが、全シロキサン単位の3モル%以下、好ましくは2モル%以下で分岐を形成する3官能単位(T単位)(具体的には、式:R
1SiO
3/2で表される単位)および4官能単位(Q単位)(具体的には、式:SiO
4/2単位で表される単位)の少なくとも1種のシロキサン単位を含有してもよいことを意味する。
【0057】
好ましくは両末端のみが一官能性単位(M単位)(具体的には、式:R
13SiO
1/2で表される単位)で構成され、その他のシロキサン単位がすべてD単位からなる直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。ここで、R
1は置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。
【0058】
ここで、R
1の一価炭化水素基としては、炭素原子数1〜10、特に1〜6のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル
基;シクロヘキシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基;およびこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基やシアノエチル基等が挙げられる。
【0059】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、一分子中に2個以上の脂肪族不飽和結合を有する。脂肪族不飽和結合としては、炭素原子数2〜8、特に2〜6のアルケニル基およびシクロアルケニル基が代表的であり、具体的には上述のビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基が例示される。中でも、好ましくはビニル基およびアリル基である。
【0060】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの好ましい具体例としては、下記一般式(1)で表される分子鎖両末端のケイ素原子の各々に少なくとも1個のアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサンであって、上記でも述べた通り、室温における粘度が100mPa・s以上10000mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以上5000mPa・s以下であることが好ましい。
【化1】
(式中、R
1は前記の通り、独立に、非置換又は置換の一価炭化水素基、R
2は互いに同一又は異種の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換一価炭化水素基であり、kおよびmは独立に0又は正の整数であってk+mがこのオルガノポリシロキサンの室温における粘度が100mPa・s以上10000mPa・s以下となる数である。)
また、R
2の脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基としても、炭素原子数1〜10、特に1〜6のものが好ましく、上記R
1の具体例と同様のものが例示できるが、但しアルケニル基およびシクロヘキセニル基は含まない。
kおよびmは、一般的には、0≦k≦2,000、1≦m≦10,000で、かつ、1≦k+m≦10,000を満足する0又は正の整数であり、好ましくは5≦k+m≦2,000で、0≦k/(k+m)≦0.2を満足する整数である。
【0061】
一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンとして具体的には、下記のものを例示することができる。
【化2】
【0062】
【化3】
(上記式において、kおよびmは上述した通りである。)
【0063】
(A)成分のオルガノポリシロキサンのさらに具体的な例は以下の通りである。
【化4】
【0064】
(B)樹脂構造を有するオルガノポリシロキサン
本発明では、脂肪族不飽和結合を有するオルガノポリシロキサンとして、(A)成分の本質的に直鎖状であるオルガノポリシロキサンとともに、樹脂構造のオルガノポリシロキサンが(B)成分として使用される。
【0065】
(B)成分の脂肪族不飽和基を有する樹脂構造のオルガノポリシロキサンは、予め三次元架橋され、三次元網状構造を有する。該オルガノポリシロキサン、R
13SiO
1/2単位と、SiO
2単位とからなるが、さらに場合によりR
1SiO
3/2単位およびR
12SiO単位の少なくとも一種を含んでもよい。即ち、基本的に、R
13SiO
1/2単位とSiO
2単位とからなるが、任意的にR
1SiO
3/2単位および/またはR
12SiO単位は、適宜含有してよいものである。好ましくは、R
13SiO
1/2単位とSiO
2単位とからなる。ここで、R
1は同じもしくは異なり、独立に、置換または非置換の、好ましくは炭素原子数1〜10の、一価炭化水素基であり、(A)成分に関して説明したとおりである。
【0066】
またこのオルガノポリシロキサンは、重量平均分子量が500〜10,000の範囲であるものが好適である。
(B)成分のオルガノポリシロキサンは「樹脂構造を有する」点で(A)成分の本質的に直鎖状であるオルガノポリシロキサンと相違する。本明細書において、(B)成分のオルガノポリシロキサンが「樹脂構造を有する」とは該オルガノポリシロキサン樹脂中の全シロキサン単位の5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15〜75モル%、更に好ましくは25〜50モル%が、SiO
2単位からなることを意味する。この単位は分子のシロキサン骨格を三次元網状構造にする作用を有する。
【0067】
(B)成分の樹脂構造を有するオルガノポリシロキサンとして好ましいものは、SiO
2単位(QB単位)、R
3nR
4pSiO
0.5単位(MB1単位)およびR
3qR
4rSiO
0.5単位(MB2単位)から基本的になり、任意的に二官能性シロキサン単位および/または三官能性シロキサン単位(即ち、オルガノシルセスキオキサン単位)を上述の割合で含んでよいオルガノポリシロキサンである(ここで、R
3はビニル基又はアリル基、R
4は脂肪族不飽和結合を含まない一価炭化水素基であり、nは2又は3、pは0又は1で、n+p=3の関係にあり、qは0又は1、rは2又は3で、q+r=3の関係にある。)。
【0068】
なお、R
4の脂肪族不飽和結合を含まない置換または非置換の一価炭化水素基としては、上記R
2と同様の炭素原子数1〜10、特に1〜6のものが挙げられる。
ここで、QB単位のモル数をq、MB1単位のモル数をm1、MB2単位のモル数をm2としたときに、次の関係式(イ)および(ロ):
(m1+m2)/q=0.3〜3、特に0.7〜1 (イ)
m2/q=0.01〜1、特に0.07〜0.15 (ロ)
を満たすことが好ましい。
【0069】
このような樹脂構造のオルガノポリシロキサンの合成は、それぞれの単位源となる化合物を、生成単位が所要の割合となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解を行うことによって容易に行うことができる。
ここで、前記QB単位源としては、ケイ酸ソーダ、アルキルシリケート、ポリアルキルシリケート、四塩化ケイ素等を例示することができる。
【0070】
また、MB1単位源としては、下記の化合物を例示することができる。
【化5】
【0071】
更に、MB2単位源としては、下記の化合物を例示することができる。
【化6】
【0072】
この(B)成分の樹脂構造を有するオルガノポリシロキサンは、得られる硬化物の硬度を調整するために配合されるものであり、先にも説明した通り、前記(A)成分と(B)成分の合計量当り、0.1〜50質量%の量で、好ましくは1〜30質量%配合される。該(B)成分の割合を調整することにより硬さが調整できる。
【0073】
(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは架橋剤として作用するものであり、該成分中のSiH基と(A)成分および(B)成分中のアルケニル基等の脂肪族不飽和基とが付加反応することにより硬化物を形成するものである。かかるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を2個以上、好ましくは3個以上、特に4〜1,000個有するものであればいずれのものでもよい。その分子構造には特に制限はなく、従来付加反応硬化型シリコーン組成物に架橋剤として使用されているいずれも使用することができ、例えば線状、環状、分岐状、三次元網状構造(樹脂状)等各種のものが使用可能である。
【0074】
一分子中に2個以上、好ましくは3個以上含有されるケイ素原子結合水素原子は、分子鎖末端および分子鎖非末端のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。かかる水素原子以外の、ケイ素原子に結合した一価の原子または置換基はすべて脂肪族不飽和結合を含まない、好ましくは炭素原子数1〜10の、珪素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基である。
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの一分子中の珪素原子の数(即ち、重合度)は通常2〜1,000個、好ましくは3〜300個、より好ましくは4〜150個程度のものが望ましく、25℃における粘度が、通常、0.1〜100,000mPa.s、好ましくは、0.5〜5,000mPa.s程度の、室温(25℃)で液状のものが使用される。
【0075】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(2)で示されるものが用いられる。
R
5H
cSiO
(4−b−c)/2 (2)
(式中、R
5は、脂肪族不飽和結合を含まない、好ましくは炭素原子数1〜10の、珪素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基であり、bは0.7〜2.1の数、cは0.001〜1.0数であって、かつb+cが0.8〜3.0の範囲である。)
【0076】
上記R
5で表される脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等が挙げられる。これらの非置換又は置換の一価炭化水素基の中でも、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。
また、好ましくは、bは1.0〜2.0の数、cは0.01〜1.0の数であって、b+cが1.5〜2.5の範囲である。
【0077】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、通常、R
5SiHCl
2、(R
5)
3SiCl、(R
5)
2SiCl
2、(R
5)
2SiHCl(R
5は、前記の通りである)のようなクロロシランを加水分解するか、加水分解して得られたシロキサンを平衡化することにより得ることができる。
【0078】
平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH
3)
2HSiO
1/2単位と(CH
3)
3SiO
1/2単位とSiO
4/2単位とからなる共重合体、(CH
3)
2HSiO
1/2単位とSiO
4/2単位とからなる共重合体、(CH
3)
2HSiO
1/2単位とSiO
4/2単位と(C
6H
5)
3SiO
1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
【0079】
さらに具体的には、下記式で表される構造のハイドロジェンオルガノシロキサンが例示できる。
【化7】
【化8】
(前記の式中、Lは0〜200の整数、Mは1〜200の整数、R
6はエポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルコキシシリル基から選ばれる官能基を含有する官能基置換アルキル基である。)
【0080】
なお、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、上記(A)成分および(B)成分の硬化有効量であり、特にこれに含まれるケイ素原子結合水素原子が、(A)成分および(B)成分中のアルケニル基等の脂肪族不飽和基の合計1モル当たり0.8〜4.0モルであることが好ましく、1.0〜3.0モルがより好ましく、1.0〜2.0モルであることがさらに好ましい。該(C)成分が4.0モル以下であれば、未反応のケイ素原子結合水素原子が硬化物中に多量に残存した結果、ゴム物性が経時的に変化する原因となる恐れがないため好ましい。
【0081】
[(D)白金族金属系触媒]
(D)成分の白金族金属系触媒は本発明の組成物の付加硬化反応を生じさせる作用を有する。該触媒としては、白金系、パラジウム系、ロジウム系のものがあるが、コスト等の見地から白金、白金黒、塩化白金酸などの白金系のもの、例えば、H
2PtCl
6・mH
2O,K
2PtCl
6,KHPtCl
6・mH
2O,K
2PtCl
4,K
2PtCl
4・mH
2O,PtO
2・mH
2O(mは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等が挙げられる。これらは一種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0082】
(D)成分の配合量はヒドロシリル化触媒としての有効量でよく、好ましくは(A)〜(C)成分の合計質量に対して白金族金属元素の質量換算で0.1〜1,000ppmの範囲であり、より好ましくは1〜500ppmの範囲である。
【0083】
[添加剤(Y)]
次に、添加剤(Y)について、以下に示す。まず、前記で得られた主剤(X)の屈折率から、前述の屈折率の範囲|IR
X−IR
Y|≧0.0050を満たす成分であれば特性に応じて自由に選択することができる。更に、添加剤(Y)は、主剤(X)で例示した(A)〜(C)成分いずれか1成分以上を含むとなお好ましい。
(A)一分子中に2個以上の脂肪族不飽和結合を有し、本質的に直鎖状であるオルガノポリシロキサン
(B)一分子中に2個以上の脂肪族不飽和結合を有し、樹脂構造を有するオルガノポリシロキサン
(C)一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
添加剤(Y)は前記(A)〜(C)単独成分でも(A)〜(C)成分の混合物であってもよい。
【0084】
単独成分における調整例として、例えば、前記屈折率はそれぞれを構成する組成物中の官能基含有量、例えば前記(A)〜(C)成分の一価炭化水素基(炭素原子数1〜10、特に1〜6のものが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル
基;シクロヘキシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基;およびこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基やシアノエチル基等が挙げられる。)の種類、含有量を変えることにより、特性を損なうことなく好適に用いることができる。
特に、メチル基、フェニル基、トリフロロプロピル基などを含有する樹脂の調整が容易で、好適に用いることができる。添加剤(Y)にアリル基が含有される場合、(C)成分の配合量を適宜調整すれば良い。
また、添加
剤(Y)には、前記(D)成分の白金族金属系触媒が含まれていてもよく、その添加量は主剤(X)に明記した範囲であればよい。
【0085】
更に添加剤(Y)は、製品として市販されている組成物であってもよい。このようなものとして、例えば、主剤(X)として屈折率1.42となる市販のシリコーン樹脂を用いた場合、添加剤(Y)として、屈折率|IR
X−IR
Y|≧0.0050の範囲を満たす市販のシリコーン樹脂(例えば信越化学工業社製 KER7030(屈折率1.38)、KER2500(屈折率1.41)、KER6150(屈折率1.44)、ASP1031(屈折率1.57)など)を好適に用いることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。主剤(X)と同じ成分が一部用いられてもよい。
【0086】
[蛍光体粒子]
本発明の硬化性樹脂組成物に添加される蛍光体粒子としては、例えば、窒化物系半導体を発光層とする半導体発光ダイオードからの光を吸収し異なる波長の光に波長変換するものが挙げられる。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体粒子・酸窒化物系蛍光体粒子、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体粒子、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体粒子、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体粒子、アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体粒子、アルカリ土類金属硫化物蛍光体粒子、アルカリ土類金属チオガレート蛍光体粒子、アルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体粒子、ゲルマン酸塩蛍光体粒子、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、希土類ケイ酸塩蛍光体粒子又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体蛍光体粒子、Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体粒子等のから選ばれる少なくともいずれか1種以上であることが好ましい。
【0087】
具体例として、下記の蛍光体粒子を使用することができるが、これに限定されない。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体粒子は、
M2Si5N8:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。)などがある。このほか
MSi7N10:Eu、
M1.8Si5O0.2N8:Eu、
M0.9Si7O0.1N10:Eu(Mは、前記と同様。)などもある。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体粒子は、
MSi2O2N2:Eu(Mは、前記と同様。)などがある。
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体粒子には、
M5(PO4)3X:R(Mは、前記と同様であり、Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1種以上である。)などがある。
アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体粒子には、M
2B
5O
9X:R(Mは、前記と同様であり、Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体粒子には、SrAl
2O
4:R、Sr
4Al
14O
25:R、CaAl
2O
4:R、BaMg
2Al
16O
27:R、BaMg
2Al
16O
12:R、BaMgAl
10O
17:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1種以上である。)などがある。
【0088】
アルカリ土類金属硫化物蛍光体粒子には、La
2O
2S:Eu、Y
2O
2S:Eu、Gd
2O
2S:Euなどがある。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体粒子には、Y
3Al
5O
12:Ce、(Y
0.8Gd
0.2)
3Al
5O
12:Ce、Y
3(Al
0.8Ga
0.2)
5O
12:Ce、(Y,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12の組成式で表されるYAG系蛍光体粒子などがある。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTb
3Al
5O
12:Ce、Lu
3Al
5O
12:Ceなどもある。
【0089】
その他の蛍光体粒子には、ZnS:Eu、Zn
2GeO
4:Mn、MGa
2S
4:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種である。)などがある。
上述の蛍光体粒子は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることもできる。
【0090】
また、上記蛍光体粒子以外の蛍光体粒子であって、同様の性能、効果を有する蛍光体粒子も使用することができる。
なお、Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体粒子とは、モル%表示で、CaCO
3をCaOに換算して20〜50モル%、Al
2O
3を0〜30モル%、SiOを25〜60モル%、AlNを5〜50モル%、希土類酸化物または遷移金属酸化物を0.1〜20モル%とし、5成分の合計が100モル%となるオキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体粒子である。
【0091】
尚、オキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体粒子では、窒素含有量が15wt%以下であることが好ましく、希土類酸化物イオンの他に増感剤となる他の希土類元素イオンを希土類酸化物として蛍光ガラス中に0.1〜10モル%の範囲の含有量で共賦活剤として含むことが好ましい。
【0092】
[その他の成分]
本発明の組成物には、主剤(X)、添加剤(Y)、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分、蛍光体以外にも、目的に応じて、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0093】
[(A)または(B)成分以外の脂肪族不飽和基含有化合物]
本発明の組成物には、(C)成分と付加反応する脂肪族不飽和基含有化合物を配合してもよい。このような脂肪族不飽和基含有化合物としては、硬化物の形成に関与するものが好ましく、1分子あたり少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。その分子構造は、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状等、いずれでもよい。
【0094】
本発明においては、上記オルガノポリシロキサン以外の脂肪族不飽和基含有有機化合物を配合することが可能である。該脂肪族不飽和基含有化合物の具体例としては、ブタジエン、多官能性アルコールから誘導されたジアクリレートなどのモノマー;ポリエチレン、ポリプロピレン又はスチレンと他のエチレン性不飽和化合物(例えば、アクリロニトリル又はブタジエン)とのコポリマーなどのポリオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、又はマレイン酸のエステル等の官能性置換有機化合物から誘導されたオリゴマー又はポリマーが挙げられる。該の脂肪族不飽和基含有化合物は室温で液体であっても固体であってもよい。
【0095】
[付加反応制御剤]
本発明の組成物には、ポットライフを確保するために、付加反応制御剤を本発明組成物に配合することができる。付加反応制御剤は、上記(D)成分のヒドロシリル化触媒に対して硬化抑制効果を有する化合物であれば特に限定されず、従来から公知のものを用いることもできる。その具体例としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレンアルコール類(例えば、1−エチニルシクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール)等のアセチレン系化合物;アルケニル基を2個以上含む化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体などが挙げられる。
【0096】
付加反応制御剤による硬化抑制効果の度合は、その付加反応制御剤の化学構造によって異なる。よって、使用する付加反応制御剤の各々について、その添加量を最適な量に調整することが好ましい。最適な量の付加反応制御剤を添加することにより、組成物は室温での長期貯蔵安定性及び加熱硬化性に優れたものとなる。
【0097】
[界面活性剤]
上記硬化性樹脂組成物は、粒子径を制御する目的として、界面活性剤が添加されていてもよい。ここでの界面活性剤は広義に、粒径を制御可能な化合物を意味する。界面活性剤が添加されることによって、微粒子の粒径がコントロール可能となり、50μm未満の粒子を得ることが出来、長期にわたり安定した溶液とすることができる。目的とする光半導体デバイスにおける、種々形状・比重を有する蛍光体の沈降防止効果が得られるように、適度な粒子径が得られる範囲で選択すればよい。
【0098】
界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。好ましくは、ノニオン系界面活性剤である。組成物中にイオン性不純物が多量に含まれると不具合を起こす恐れがあるため好ましくない。
【0099】
[接着付与剤]
上記硬化性樹脂組成物は、その接着性を向上させるための接着付与剤を含有してもよい。この接着付与剤としては、シランカップリング剤やその加水分解縮合物、公知の接着助剤等が例示される。シランカップリング剤としては、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤、イソシアヌレート基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤等公知のものが例示される。
【0100】
接着助剤としては、例えば、一般式(3)で示されるオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物および/又はその加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)が挙げられる。
【化9】
〔式中、R
7は、下記式(4):
【化10】
(ここで、R
8は水素原子又は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基、sは1〜6、特に1〜4の整数である。)
で表される有機基、又は脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基であり、但しR
7の少なくとも1個は式(4)で表される有機基である。〕
【0101】
一般式(3)において、R
7で表される脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素原子数2〜8、特に2〜6のアルケニル基、およびシクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0102】
また、R
8で表される炭素原子数1〜6の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基;フェニル基等のアリール基などが挙げられ、好ましくはアルキル基である。
【0103】
上記一般式(3)のオルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物の具体例として下記の式で表される化合物が挙げられる。
【化11】
【0104】
また、接着助剤として、ケイ素原子結合アルコキシ基を必須に含有すると共に、ケイ素原子結合水素原子、ケイ素原子結合アルケニル基、および/またはエポキシ基を有する有機ケイ素化合物(即ち、オルガノシランおよびオルガノポリシロキサン)が挙げられ、具体例として下記の式で表されるものがある。
【化12】
(式中、mは0〜50の整数であり、nは0〜50の整数であり、但し、m+nが2〜50、好ましくは4〜20を満足する。)
このような有機ケイ素化合物の内、得られる硬化物の接着性が特に優れている化合物としては、一分子中にケイ素原子結合アルコキシ基と、アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子(SiH基)とを有する有機ケイ素化合物であることが好ましい。
該接着付与剤の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.3〜10質量部用いることができる。
【0105】
[その他の任意成分]
硬化物の着色、酸化劣化等の発生を抑えるために、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の従来公知の酸化防止剤を本発明組成物に配合することができる。また、光劣化に対する抵抗性を付与するために、ヒンダードアミン系安定剤等の光安定剤を本発明組成物に配合することもできる。更に、本発明組成物から得られる硬化物の目的に応じて、強度を向上させ、粒子の沈降を抑えるためにヒュームドシリカ、ナノアルミナ等の無機質充填材を本発明組成物に配合してもよいし、必要に応じて、熱伝導性フィラー、染料、顔料、消泡剤、レベリング剤、光拡散剤、難燃剤等を本発明組成物に配合してもよい。
【0106】
[硬化物]
本発明の硬化性組成物は、公知の硬化条件下で公知の硬化方法により硬化させることができる。具体的には、通常、80〜200℃、好ましくは100〜160℃で加熱することにより、該組成物を硬化させることができる。加熱時間は、0.5分〜5時間程度、特に1分〜3時間程度でよいが、LED封止用等精度が要求される場合は、硬化時間を長めにすることが好ましい。得られる硬化物の形態は特に制限されず、例えば、ゲル硬化物、エラストマー硬化物及び樹脂硬化物のいずれであってもよい。
【0107】
本発明の組成物で光半導体チップを封止した光半導体装置において、光半導体チップが装着される支持構造体は特に限定されずパッケージでもよいし、パッケージレスの支持基板、例えばセラミック基板、シリコン基板、ガラスエポキシ基板、ベークライト(エポキシ樹脂)基板、金属基板等でもよい。
【0108】
[光半導体デバイス]
本発明組成物の硬化物は、蛍光体の沈降抑制に効果的であり、特に、ディスペンス工程における製造初期と製造後期で同量の蛍光体を含有し、明るさ・演色性の安定性に優れる。
図1に本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物を使用した光半導体デバイス10の例を示す。光発光素子3は、ワイヤー2によりワイヤーボンディングされており、該発光素子3に本発明の硬化性樹脂組成物からなる封止樹脂を塗布し、塗布された封止樹脂を公知の硬化条件下で公知の硬化方法により、具体的には上記した通りに硬化させることによって封止することができる。本発明の組成物からなる封止材1によって封止される光学素子3としては、例えば、LED、半導体レーザー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、CCD等が挙げられる。
【実施例】
【0109】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例等に制限されるものではない。なお、下記の例において、シリコーンオイル又はシリコーンレジンの平均組成を示す記号は以下の通りの単位を示す。また、各シリコーンオイル又は各シリコーンレジンのモル数は、各成分中に含有されるビニル基又はSiH基のモル数を示すものである。
M
H:(CH
3)
2HSiO
1/2
M:(CH
3)
3SiO
1/2
M
Vi:(CH
2=CH)(CH
3)
2SiO
1/2
D
H:(CH
3)HSiO
2/2
D
φ:(C
6H
6)
2SiO
2/2
D
F:(CF
3CH
2−CH
2)CH
3SiO
2/2
D:(CH
3)
2SiO
2/2
D
Vi:(CH
2=CH)(CH
3)SiO
2/2
Q:SiO
4/2
【0110】
主剤組成物(X)
[配合例1]
((A)成分)平均組成式:M
ViD
298M
Viのシリコーンオイル35質量部
((B)成分)M単位とM
Vi単位とQ単位とから構成され、M
Vi単位に対するM単位のモル比が6.25であり、Q単位に対するM単位とM
Vi単位との合計のモル比が0.8であるシリコーンレジン65質量部と、
((C)成分)平均構造式:MD
H80Mで表されるメチルハイドロジェンシロキサン8質量部、
((D)成分)塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するトルエン溶液0.06質量部、
エチニルシクロヘキサノール0.05質量部、及び
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3質量部
をよく撹拌してシリコーン組成物(X)−Aを調製した。組成物(X)−Aの室温での屈折率を測定したところ、1.40845であった。
【0111】
[配合例2]
((A)成分)平均組成式:M
Vi2D
φ2.8のシリコーンオイル:31質量部、
((B)成分)(PhSiO
3/2)
0.75[(CH
2=CH)Me
2SiO
1/2]
0.25で表される分岐鎖状オルガノポリシロキサン[性状=固体(25℃)、ケイ素原子結合ビニル基の含有率=20モル%、ケイ素原子結合全有機基中のケイ素原子結合フェニル基の含有率=50モル%、標準スチレン換算の重量平均分子量=1600]59質量部
((C)成分)平均組成式:M
HD
H2D
φ2M
Hで表されるメチルハイドロジェンシロキサン:6.4質量部、
((D)成分)塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するトルエン溶液0.06質量部、
エチニルシクロヘキサノール0.05質量部、及び
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3質量部
をよく撹拌してシリコーン組成物(X)−Bを調製した。組成物(X)−Bの室温での屈折率を測定したところ、1.55476であった。
【0112】
添加剤(Y)
[添加剤(Y)−a]
平均組成式:M
ViD
677D
φ21M
Viのシリコーンオイルを用意した。添加剤(Y)−aの屈折率を測定したところ、1.41923であった。
【0113】
[添加剤(Y)−b]
平均組成式:M
ViD
628D
φ70M
Viのシリコーンオイルを用意した。添加剤(Y)−bの屈折率を測定したところ、1.44812であった。
【0114】
[添加剤(Y)−c]
平均組成式:M
Vi2D
φ2.8のシリコーンオイルを用意した。添加剤(Y)−cの屈折率を測定したところ、1.58597であった。
【0115】
[添加剤(Y)−d]
平均組成式:M
ViD
748M
Viのシリコーンオイルを用意した。添加剤(Y)−dの屈折率を測定したところ、1.40395であった。
【0116】
[添加剤(Y)−e]
平均組成式:M
ViD
F27M
Viのシリコーンオイルを用意した。添加剤(Y)−eの屈折率を測定したところ、1.38350であった。
【0117】
[実施例1]
主剤(X)として組成物(X)−A 100質量部に、添加剤(Y)として添加剤(Y)−a 2質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物1とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物1 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0118】
[実施例2]
主剤(X)として組成物(X)−A100質量部に、添加剤(Y)として添加剤(Y)−b 2質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物2とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物2 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0119】
[実施例3]
主剤(X)として組成物(X)−A 100質量部に、添加剤(Y)として添加剤(Y)−c 2質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物3とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物3 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0120】
[実施例4]
主剤(X)として組成物(X)−B 100質量部に、添加剤(Y)として添加剤(Y)−d 5質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物4とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物4 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0121】
[実施例5]
主剤(X)として信越化学工業株式会社製 KER2500(屈折率1.4105)を100質量部、添加剤(Y)として添加剤(Y)−b 2質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物5とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物5 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0122】
[実施例6]
主剤(X)として組成物(X)−B 100質量部に、添加剤(Y)として添加剤(Y)−e 5質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物6とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物6 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0123】
[実施例7]
主剤(X)として信越化学工業株式会社製 KER6020(屈折率1.4268)を100質量部、添加剤(Y)として添加剤(Y)−a 5質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物7とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物7 100質量部に、比重
5g/cm3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0124】
[実施例8]
主剤(X)として信越化学工業株式会社製 KER2500(屈折率1.4105)を100質量部、添加剤(Y)として信越化学工業株式会社製 KER6020(屈折率1.4268) 5質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物8とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物8 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0125】
[比較例1]
主剤(X)として組成物(X)−A 100質量部に、添加剤(Y)に該当する成分を加えずに硬化性樹脂組成物9を調整した。このとき、分散した微粒子の粒径を測定を試みたが、確認されなかった。更に、硬化性樹脂組成物9 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0126】
[比較例2]
主剤(X)として組成物(X)−B 100質量部に、添加剤(Y)に該当する成分を加えずに硬化性樹脂組成物10を調整した。このとき、分散した微粒子の粒径を測定を試みたが、確認されなかった。更に、硬化性樹脂組成物10 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0127】
[比較例3]
主剤(X)として組成物(X)−A 100質量部に、添加剤(Y)として添加剤(Y)−d 2質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物11とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物11 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0128】
[比較例4]
主剤(X)として組成物(X)−A 100質量部に、添加剤(Y)として添加剤(Y)−C 150質量部を、真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機((株)シンキー製 製品名:ARV−310)を用いて均一混合し硬化性樹脂組成物12とした。このときの分散した微粒子の粒径を測定した。更に、硬化性樹脂組成物12 100質量部に、比重5g/cm
3のYAG系の無機蛍光体8質量部を、同様の真空脱気機構を備えた自公転式攪拌機を用いて均一混合し調製した。
【0129】
上記実施例及び比較例で調製した硬化性樹脂組成物(1)〜(h)における評価を、下記の要領にて行った。
[評価方法]
屈折率測定
アッベの屈折率計を用いてnd25の測定を行った。
【0130】
粒子径測定
キーエンス社製 レーザー顕微鏡VK−9700を用いて粒子径測定を行った。
図2に粒子径のレーザー顕微鏡観察写真を示す。
主剤(X)、添加剤(Y)を所定の条件で混合したサンプルを特に希釈せず用いた。プレパラートガラスに1滴塗布し、安定後、これを測定部にセットし測定した。測定は同一手順で3度測定を行った。3度の微粒子の粒径測定のうち最大値を求めた。
【0131】
ヘイズ測定
日本電色工業社製 ヘイズメーターNDH−5000SPを用いてヘイズ測定を行った。
主剤(X)、添加剤(Y)を所定の条件で混合したサンプルを、2mm厚のセルに流し込み、所定の条件で加熱硬化を行い、表面が清浄な2mm厚の硬化物を得、これを測定部にセットし測定した。測定は同一手順で3度測定を行った。3度の測定におけるヘイズ値の平均値を求めた。
【0132】
光半導体パッケージの作製
光半導体素子として、InGaNからなる発光層を有し、主発光ピークが450nmのLEDチップを、SMD5050パッケージ(I−CHIUN PRECISION INDUSTRY CO.,社製、樹脂部PPA)にそれぞれ搭載しワイヤーボンディングし、
図1に示すような発光半導体装置を使用した。
封止樹脂は、各実施例、比較例において、作製した硬化性樹脂組成物10gに対し、蛍光体を1g計量し、均一混合を行った後、蛍光体の沈降の影響がないように直ちにディスペンス用の10ccシリンジに5ccとなる量を移し、待機時間を置かずに前記SMD5050パッケージに規定量塗布を行い、リードフレーム1枚(120個のパッケージ)に継続して塗布を行い、一連の工程とした。一連の工程で封止材が充填されたリードフレームを半分に切り分け、60個ずつの2つのグループとし、第1のグループ60個を直ちに150度、4時間加熱硬化して光半導体パッケージとした。その後、第2のグループを24時間静置し、第1のグループと同様に150度、4時間加熱硬化して光半導体パッケージとした。この塗布工程初期硬化(第1グループ)と塗布工程後24時間後硬化(第2グループ)で得られた各々の光半導体装置10個を任意にサンプリングした。
【0133】
全光束、色座標(x)の測定
上記工程で得られた光半導体装置10個を、全光束測定システム HM−9100(大塚電子(株)製)を用い、全光束値(Lm)、色座標(x)を測定し(印加電流IF=20mA)、平均値を求めた。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
上記表1に示したように、実施例1〜実施例5では、いずれも主剤(X):(屈折率RI
X)100質量部に、屈折率の異なる添加剤(Y):(屈折率RI
Y)0質量部を超え100質量部以下となる量を添加・分散してなる硬化性樹脂組成物であって、その屈折率の差が、未硬化の状態で|RI
X−RI
Y|≧0.0050の範囲を満たすものであった。また、硬化性樹脂組成物中には、50μm未満の大きさに分散した微粒子の存在が確認され、ヘイズ値は1.0を超えるものであった。このようにして得られた硬化性樹脂組成物は、蛍光体混合後のディスペンス工程初期と24時間経過後でも目立った蛍光体の沈降は確認されず、全光束値、及び色座標(x)の差が少ないものであり、すなわち、工程を通して色バラツキの小さいものであり、良好な光半導体デバイスを製造することが出来た。
【0137】
一方、実施例1および実施例4で示した主剤(X)−A及び(X)−Bに添加剤(Y)を添加しなかった比較例1、比較例2ではヘイズ値は1.0未満となり透明であった。更に、蛍光体の沈降が確認され、また、工程を通して全光束値、及び色座標(x)の差が大きく、経時で暗くなるものであった。
主剤(X)−Aに対して、その屈折率の差が|RI
X−RI
Y|≧0.0050の範囲を満たさない添加剤(Y)−dを用いた比較例3では、混合・分散後に硬化性樹脂組成物中に微粒子は観察されず、更にヘイズ値は1.0未満となり透明であった。更に、蛍光体の沈降が確認され、また、工程を通して全光束値、及び色座標(x)の差が大きく、経時で暗くなるものであった。
また、実施例1で示した樹脂組成物の配合比を変え、主剤(X)―A 100質量部に対して、添加剤(Y)−Cを150質量部添加した比較例4では、混合・分散後に硬化性樹脂組成物中の微粒子は50μmを超え、一部相分離する状態となり、良好な硬化性樹脂組成物として取り扱うことができなかった。
【0138】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。