【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光学素子に関する。例示的な光学素子は、順次に配置された液晶層、基材層及び偏光子を含むことができる。
【0007】
図1は、例示的な光学素子1の断面図であって、液晶層11、基材層12及び偏光子13が順に形成されている構造を示す。
【0008】
1つの例示において、上記光学素子は、入射される光を互いに偏光状態が異なる2種類以上の光に分割する素子であることができる。このような素子は、例えば、立体映像を具現するために使用することができる。
【0009】
上記液晶層は、面内の遅相軸方向の屈折率と面内の進相軸方向の屈折率との差が0.05〜0.2、0.07〜0.2、0.09〜0.2または0.1〜0.2の範囲であることができる。上記で、面内の遅相軸方向の屈折率は、液晶層の平面で最も高い屈折率を示す方向の屈折率を意味し、進相軸方向の屈折率は、液晶層の平面上で最も低い屈折率を示す方向の屈折率の差を意味することができる。通常、光学異方性の液晶層において進相軸と遅相軸は、互いに垂直する方向に形成されている。上記それぞれの屈折率は、550nmまたは589nmの波長の光に対して測定した屈折率であることができる。
【0010】
また、上記液晶層は、厚さが約0.5μm〜2.0μmまたは約0.5μm〜1.5μmであることができる。
【0011】
上記屈折率の関系と厚さを有する液晶層は、適用される用途に適した位相遅延特性を具現することができる。1つの例示において、上記屈折率の関系と厚さを有する液晶層は、光分割用光学素子に適している。
【0012】
上記液晶層は、多官能性重合性液晶化合物と単官能性重合性液晶化合物を含むことができ、上記化合物は、重合された形態で液晶層に含まれることができる。
【0013】
本明細書において用語「多官能性重合性液晶化合物」は、メソゲン(mesogen)骨格などを含んで液晶性を示し、また、重合性官能基を2個以上含む化合物を意味することができる。1つの例示において、上記多官能性重合性液晶化合物は、重合性官能基を2個〜10個、2個〜8個、2個〜6個、2個〜5個、2個〜4個、2個〜3個または2個含むことができる。
【0014】
また、本明細書において、用語「単官能性重合性液晶化合物」は、メソゲン骨格などを含んで液晶性を示し、また、1個の重合性官能基を含む化合物を意味することができる。
【0015】
また、本明細書において「液晶層に重合された形態で含まれている液晶化合物」は、上記液晶化合物が重合され、液晶層内で液晶高分子を形成している状態を意味することができる。
【0016】
液晶層が多官能性及び単官能性重合性化合物を含む場合、液晶層にさらに優れた位相遅延特性を付与することができ、具現された位相遅延特性、例えば、液晶層の光軸及び位相遅延値などが苛酷条件でも安定的に維持されることができる。
1つの例示において、上記多官能性または単官能性重合性液晶化合物は、下記化学式1で表示される化合物であることができる。
【0017】
【化1】
【0018】
上記化学式1において、Aは、単一結合、−COO−または−OCO−であり、R
1〜R
10は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、−O−Q−Pまたは下記化学式2の置換基であり、且つR
1〜R
10のうち少なくとも1つは、−O−Q−Pまたは下記化学式2の置換基であるか、またはR
1〜R
5のうち隣接する2個の置換基またはR
6〜R
10のうち隣接する2個の置換基は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、上記でQは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの重合性官能基である。
【0019】
【化2】
【0020】
上記化学式2において、Bは、単一結合、−COO−または−OCO−であり、R
11〜R
15は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基または−O−Q−Pであり、且つR
11〜R
15のうち少なくとも1つは、−O−Q−Pであるか、またはR
11〜R
15のうち隣接する2個の置換基は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成し、上記でQは、アルキレン基またはアルキリデン基であり、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの重合性官能基である。
【0021】
上記化学式1及び2において隣接する2個の置換基は、互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを形成するというのは、隣接する2個の置換基が互いに連結され、全体的に−O−Q−Pで置換されたナフタレン骨格を形成することを意味することができる。
【0022】
上記化学式2において、Bの左側の"−"は、Bが化学式1のベンゼンに直接連結されていることを意味することができる。
【0023】
上記化学式1及び2において、用語"単一結合"は、AまたはBで表示される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。例えば、化学式1において、Aが単一結合の場合、Aの両側のベンゼンが直接連結され、ビフェニル(biphenyl)構造を形成することができる。
【0024】
上記化学式1及び2において、ハロゲンとしては、塩素、ブロムまたはヨードなどが例示されることができる。
【0025】
本明細書において用語アルキ基は、特に他に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基、または炭素数3〜20、炭素数3〜16または炭素数4〜12のシクロアルキル基を意味することができる。上記アルキル基は、任意に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0026】
本明細書において用語アルコキシ基は、特に他に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基を意味することができる。上記アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。また、上記アルコキシ基は任意に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0027】
また、本明細書において用語アルキレン基またはアルキリデン基は、特に他に規定しない限り、炭素数1〜12、炭素数4〜10または炭素数6〜9のアルキレン基またはアルキリデン基を意味することができる。上記アルキレン基またはアルキリデン基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。また、上記アルキレン基またはアルキリデン基は、任意に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0028】
また、本明細書においてアルケニル基は、特に他に規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニル基を意味することができる。上記アルケニル基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができる。また、上記アルケニル基は、任意に1つ以上の置換基により置換されることができる。
【0029】
また、上記化学式1及び2において、Pは、好ましくは、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であり、より好ましくは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であり、さらに好ましくは、アクリロイルオキシ基であることができる。
【0030】
本明細書において特定の官能基で置換されることができる置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、オキソ基、オキセタニル基、チオール基、シアノ基、カボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基またはアリール基などが例示されることができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
上記化学式1及び2において少なくとも1つ以上存在することができる−O−Q−Pまたは化学式2の残基は、例えば、R
3、R
8またはR
13の位置に存在することができる。互いに連結され、−O−Q−Pで置換されたベンゼンを構成するものは、好ましくは、R
3及びR
4であるか、またはR
12及びR
13であることができる。また、上記化学式1の化合物または化学式2の残基において−O−Q−Pまたは化学式2の残基以外の置換基、または互いに連結されてベンゼンを形成しているもの以外の置換基は、例えば、水素、ハロゲン、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基、炭素数4〜12のシクロアルキル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基であることができ、好ましくは、塩素、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数4〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基またはシアノ基であることができる。
【0032】
液晶層は、単官能性重合性液晶化合物を多官能性重合性液晶化合物を100重量部に対して0重量部超過100重量部以下、1重量部〜90重量部、1重量部〜80重量部、1重量部〜70重量部、1重量部〜60重量部、1重量部〜50重量部、1重量部〜30重量部または1重量部〜20重量部で含むことができる。
【0033】
上記範囲内で多官能性及び単官能性重合性液晶化合物の混合効果を極大化することができ、また、上記液晶層が上記接着剤層と優れた接着性を示すようにすることができる。本明細書において特に他に規定しない限り、単位重量部は、重量の割合を意味することができる。
【0034】
上記多官能性及び単官能性重合性液晶化合物は、水平配向された状態で液晶層に含まれてもよい。本明細書において用語「水平配向」は、重合された液晶化合物を含む液晶層の光軸が液晶層の平面に対して約0度〜約25度、約0度〜約15度、約0度〜約10度、約0度〜約5度または約0度の傾斜角を有する場合を意味することができる。本明細書において用語光軸は、入射光が当該領域を透過する時の進相軸または遅相軸を意味することができる。
【0035】
上記液晶層は、入射光、例えば、上記偏光子を経て入射される光を異なる偏光状態を有する2種以上の光に分割することができるように形成されてもよい。このために、例えば、上記液晶層は、異なる位相遅延特性を有する第1及び第2領域を含むことができる。本明細書において第1領域と第2領域の位相遅延特性が異なるというのは、第1及び第2領域がいずれも位相遅延特性を有する領域の状態で上記第1及び第2領域が同一または異なる方向に形成されている光軸を有し、また、位相遅延値が異なる領域である場合及び同一の位相遅延値を有しながら異なる方向に形成されている光軸を有する場合が含まれることができる。他の例示では、第1及び第2領域の位相遅延特性が異なるというのは、第1及び第2領域のうちいずれか1つの領域は、位相遅延特性を有する領域であり、他の領域は、位相遅延特性がない光学的に等方性の領域である場合をも含まれることができる。このような場合の例としては、上記液晶層が液晶層が形成されている領域と形成されていない領域をすべて含む形態を有することができる。第1または第2領域の位相遅延特性は、例えば、上記液晶化合物の配向状態、液晶層の上記屈折率関系または液晶層の厚さを調節して制御することができる。
【0036】
1つの例示において、上記第1領域(A)及び第2領域(B)は、
図2に示されたように、互いに共通する方向に延長するストライプ形状を有しながら互いに隣接して交互に配置されているか、または
図3に示されたように格子パターンで互いに隣接して交互に配置されていてもよい。
【0037】
上記光学素子が立体映像を表示するのに使用される場合、上記第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、左眼用映像信号偏光調節領域(以下、「LC領域」という)であり、他方の領域は、右眼用映像信号偏光調節領域(以下、「RC領域」という)であることができる。
【0038】
1つの例示において、上記第1及び第2領域を含む液晶層によって分割される、異なる偏光状態を有する2種以上の光は、実質的に互いに垂直する方向を有する直線偏光された2種の光を含むか、または左円偏光された光及び右円偏光された光を含むことができる。
【0039】
本明細書において角度を定義するに際して、垂直、水平、直交または平行などの用語を使用する場合、特に他に規定しない限り、上記それぞれは、実質的な垂直、水平、直交、または平行を意味するものであり、例えば、製造誤差(error)またはバラツキ(variation)などを勘案した誤差を含むものである。したがって、例えば、上記それぞれの場合、約±15度以内の誤差、好ましくは、約±10度以内の誤差、より好ましくは、約±5度以内の誤差を含むことができる。
【0040】
1つの例示において、上記第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、入射光の偏光軸を回転させることなく、そのまま透過させる領域であり、他方の領域は、入射光の偏光軸を他の領域を透過した光の偏光軸に対して直交する方向に回転させて透過させることができる領域であることができる。このような場合には、上記液晶層において重合性液晶化合物を含む領域は、第1及び第2領域のうちいずれか1つの領域にのみ形成されていてもよい。上記で液晶層が形成されていない領域は、空きスペースであるか、またはガラスまたは光学的等方性の樹脂層または樹脂フィルムまたはシートが形成されていてもよい。
【0041】
他の例示において、第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、入射光を左円偏光された光に変換して透過させることができる領域であり、他方の領域は、入射光を右円偏光された光に変換して透過させることができる領域であることができる。この場合、上記第1及び第2領域は、互いに同一の位相遅延値を示しながら異なる方向に形成された光軸を有する領域であるか、一方の領域は、入射される光を当該波長の1/4波長だけ位相遅延させることができる領域であり、他方の領域は、入射される光を当該波長の3/4波長だけ位相遅延させることができる領域であることができる。
【0042】
適切な例示において、上記第1及び第2領域は、同一の位相遅延値、例えば入射される光を当該波長の1/4波長だけ位相遅延させることができる値を有し、また、異なる方向に形成されている光軸を有する領域であることができる。上記で異なる方向に形成されている光軸の成す角度は、例えば垂直であることができる。
【0043】
上記第1及び第2領域が異なる方向に形成されている光軸を有する領域である場合、第1及び第2領域の光軸が成す角度を二等分する線は、上記偏光子の吸収軸と垂直または水平を成すように形成されていることが好ましい。
【0044】
図4は、
図2または
図3の例示の第1及び第2領域A、Bが異なる方向に形成された光軸を有する領域である場合の光軸の配置を説明するための例示的な図である。
図4を参照すれば、第1及び第2領域A、Bの光軸が成す角度を二等分する線は、(Θ1+Θ2)の角度を二等分する線を意味することができる。例えば、Θ1及びΘ2が同一の角度なら、上記二等分線は、第1及び第2領域A、Bの境界線Lと水平を成す方向に形成されることができる。また、上記で第1及び第2領域の光軸が成す角度、すなわち(Θ1+Θ2)は、例えば、90度であることができる。
【0045】
上記のような光学素子は、下記一般式1の条件を満足することができる。
[一般式1]
X<8%
【0046】
上記一般式1において、Xは、上記光学素子の液晶層の初期位相差値に対して上記光学素子を80℃で100時間または250時間放置した後の上記液晶層の位相差値の変化量の絶対値の百分率である。
【0047】
上記Xは、例えば、「100×(|R
0-R
1|)/R
0」で計算されることができる。上記で、R
0は、上記光学素子の液晶層の初期位相差値であり、R
1は、上記光学素子を80℃で100時間または250時間放置した後の上記液晶層の位相差値を意味する。
【0048】
上記Xは、好ましくは、7%以下、6%以下または5%以下であることができる。上記位相差値の変化量は、下記実施例で提示された方法で測定することができる。
【0049】
上記光学素子は、上記液晶層が上部に形成される基材層を含む。基材層は、単層または多層構造であることができる。
【0050】
基材層としては、例えば、ガラス基材層またはプラスチック基材層を使用することができる。プラスチック基材層としては、TAC(triacetyl cellulose)またはDAC(diacetyl cellulose)などのようなセルロース樹脂;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin polymer);PMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリル樹脂;PC(polycarbonate);PE(polyethylene)またはPP(polypropylene)などのポリオレフィン;PVA(polyvinyl alcohol);PES(poly ether sulfone);PEEK(polyetheretherketon);PEI(polyetherimide);PEN(polyethylenemaphthatlate);PET(polyethyleneterephtalate)などのポリエステル;PI(polyimide);PSF(polysulfone);またはフッ素樹脂などを含むシートまたはフィルムが例示されることができる。
【0051】
上記基材層、例えば、プラスチック基材層は、上記液晶層に比べて低い屈折率を有することができる。例示的な基材層の屈折率は、約1.33〜約1.53の範囲である。基材層が液晶層に比べて低い屈折率を有する場合、例えば、輝度向上、反射防止及びコントラスト特性向上などに有利である。
【0052】
上記プラスチック基材層は、光学的に等方性あるいは異方性であることができる。上記で基材層が光学的に異方性である場合、上記基材層の光軸は、上記した第1及び第2領域の光軸が成す角度を二等分する線と垂直または水平になるように配置されることが好ましい。
【0053】
1つの例示において、上記基材層は、紫外線遮断剤または紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線遮断剤または吸収剤を基材層に含む場合、紫外線による液晶層の劣化などを防止することができる。紫外線遮断剤または吸収剤としては、サリチル酸エステル(salicylic acid ester)化合物、ベンゾフェノン(benzophenone)化合物、オキシベンゾフェノン(oxybenzophenone)化合物、ベンゾトリアゾル(benzotriazol)化合物、シアノアクリレート(cyanoacrylate)化合物またはベンゾエート(benzoate)化合物などのような有機物または酸化亜鉛(zincoxide)またはニッケル錯塩(nickel complex salt)などのような無機物が例示されることができる。基材層内の紫外線遮断剤または吸収剤の含量は、特に限定されるものではなく、目的効果を考慮して適宜選択することができる。例えば、プラスチック基材層の製造過程で上記紫外線遮断剤または吸収剤を、基材層の主材料に対する重量の割合で約0.1重量%〜25重量%程度に含ませることができる。
【0054】
基材層の厚さは、特に限定されるものではなく、目的する用途によって適宜調節されることができる。基材層は、単層または多層構造であることができる。
【0055】
例示的な光学素子は、上記基材層と液晶層との間に存在する配向層をさらに含むことができる。配向層は、光学素子の形成過程で液晶化合物を配向させる役目をする層であることができる。配向層としては、この分野において公知されている通常の配向層、例えば、光配向層またはラビング配向層などが使用されることができる。上記配向層は、任意的な構成であり、場合によって、基材層を直接ラビングするか、または延伸する方式で配向層なしに配向性を付与することもできる。
【0056】
光学素子において基材層の下部に形成される偏光子は、様々な方向に振動しながら入射光から一方向に振動する光を抽出することができる機能性素子である。偏光子としては、例えば、PVA(polyvinylalcohol)偏光子のような通常の偏光子を使用することができる。
【0057】
1つの例示において、偏光子は、二色性色素またはヨードが吸着及び配向されているポリビニルアルコールフィルムまたはシートであることができる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリビニルアセテートをゲル化して得ることができる。ポリビニルアセテートとしては、ビニルアセテートの単独重合体;及びビニルアセテート及び他の単量体の共重合体などが例示されることができる。上記でビニルアセテートと共重合される他の単量体としては、不飽和カルボン酸化合物、オレフィン化合物、ビニルエーテル化合物、不飽和スルホン酸化合物及びアンモニウム基を有するアクリルアミド化合物などの1種または2種以上が例示されることができる。ポリビニルアセテートのゲル化度は、一般的に約85モル%〜約100モル%または98モル%〜100モル%であることができる。偏光子に使用されるポリビニルアルコールの重合度は、一般的に約1,000〜約10,000または約1,500〜約5,000であることができる。
【0058】
1つの例示において、上記偏光子は、水系接着剤によって上記基材層に付着してもよい。
図5は、偏光子13が水系接着剤51によって基材層12に付着している例示的な光学素子5を示す。上記で水系接着剤としては、適切な接着性を具現することができるものなら特に限定されずに使用されることができる。1つの例示において、上記水系接着剤としては、偏光板の製造時に偏光子と偏光子の保護フィルム、例えばポリビニルアルコール系偏光子とTAC(Triacetyl cellulose)フィルムの付着に通常的に使用されるポリビニルアルコール系水系接着剤が使用されることができる。
【0059】
上記光学素子は、上記液晶層の上部に形成されている表面処理層をさらに含むことができる。
図6は、液晶層11の上部に表面処理層61が形成されている例示的な光学素子6を示す。
【0060】
表面処理層としては、高硬度層、AG(Anti−glare)層またはSG(Semi−glare)層のような防眩層またはAR(Anti reflection)層またはLR(Low reflection)層のような低反射層などが例示されることができる。
【0061】
上記高硬度層は、500gの荷重下での鉛筆硬度が1H以上または2H以上の層であることができる。上記鉛筆硬度は、例えば、KS G2603で規定された鉛筆芯を使用してASTM D 3363規格によって測定することができる。
【0062】
上記高硬度層は、例えば、高硬度の樹脂層であることができる。上記樹脂層は、例えば、常温硬化型、湿気硬化型、熱硬化型または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化された状態で含むことができ、1つの例示において、熱硬化型または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化された状態で含むことができる。高硬度層の説明において「硬化された状態」というのは、上記各樹脂組成物に含まれる成分が架橋反応または重合反応などを経て樹脂組成物がハード(hard)状態に転換された場合を意味することができる。また、上記で常温硬化型、湿気硬化型、熱硬化型または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、上記硬化状態が常温下で誘導されるか、あるいは適切な湿気の存在下に、熱の印加または活性エネルギー線の照射によって誘導されることができる組成物を意味することができる。
【0063】
この分野では、硬化された状態で前述の範囲の鉛筆硬度を満足することができる多様な樹脂組成物が知られていて、平均的技術者は、適切な樹脂組成物を容易に選択することができる。
【0064】
1つの例示において、上記樹脂組成物は、主材としてアクリル化合物、エポキシ化合物、ウレタン系化合物、フェノール化合物またはポリエステル化合物などを含むことができる。上記で「化合物」は、単量体性、オリゴマー性または重合体性化合物であることができる。
【0065】
1つの例示において、上記樹脂組成物として、透明性などの光学的特性に優れていて、黄変などに対する抵抗性に優れたアクリル樹脂組成物、好ましくは活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂組成物を使用することができる。
【0066】
活性エネルギー線硬化型アクリル組成物は、例えば、活性エネルギー線重合性の重合体成分と反応性希釈用単量体を含むことができる。
【0067】
上記で重合体成分としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エーテルアクリレートまたはエステルアクリレートなどのように当該分野でいわゆる活性エネルギー線重合性オリゴマーとして知られた成分、または(メタ)アクリル酸エステル単量体などのような単量体を含む混合物の重合物が例示されることができる。上記で(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレート、ヘテロサイクリック(メタ)アクリレートまたはアルコキシ(メタ)アクリレートなどが例示されることができる。この分野では、活性エネルギー線硬化型組成物を製造するための多様な重合体成分が知られていて、上記のような化合物が必要によって選択されることができる。
【0068】
活性エネルギー線硬化型アクリル組成物に含まれることができる、反応性希釈用単量体としては、活性エネルギー線硬化型官能基、例えば、アクリロイル基またはメタクリロイル基などを1つまたは2つ以上有する単量体が例示されることができ、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体や多官能性アクリレートなどが使用されることができる。
【0069】
活性エネルギー線硬化型アクリル組成物を製造するための上記成分の選択や選択された成分の配合の割合などは、特に限定されるものではなく、目的する樹脂層の硬度及びその他物性を考慮して調節されることができる。
【0070】
上記AG(Anti−glare)層またはSG(Semi−glare)層としては、例えば、凹凸面が形成されている樹脂層または粒子を含む樹脂層であって、上記粒子が上記樹脂層とは異なる屈折率を有する粒子である樹脂層を使用することができる。
【0071】
上記樹脂層としては、例えば、上記高硬度層の形成に使用する樹脂層を使用することができる。防眩層を形成する場合には、樹脂層が必ず高硬度を示すことができるように樹脂組成物の成分を調節する必要はないが、上記高硬度層を形成する樹脂層に上記粒子を配合する場合、高硬度層と防眩層の機能を同時に有する表面処理層を形成することができる側面で有利である。
【0072】
上記で樹脂層に凹凸面を形成する方式は、特に限定されない。例えば、上記樹脂組成物のコーティング層を目的する凹凸構造を有する金型と接触させた状態で上記樹脂組成物を硬化させるか、あるいは樹脂組成物に適切な粒径の粒子を配合し、コーティング及び硬化させて、凹凸構造を具現することができる。
【0073】
また、上記防眩層は、樹脂層とは屈折率が異なる粒子を使用して具現することもできる。
【0074】
1つの例示において、上記粒子は、例えば、樹脂層との屈折率の差が0.03以下または0.02〜0.2であることができる。屈折率の差が小さすぎれば、ヘイズを誘発しにくいし、反対に、大きすぎれば、樹脂層内での散乱が多く発生し、ヘイズを増加させるが、光透過度またはコントラスト特性などの低下が誘導されることができるので、これを考慮して適切な粒子を選択することができる。
【0075】
樹脂層に含まれる粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球形、卵円形、多面体形、無定形またはその他形状を有することができる。上記粒子は、平均直径が50nm〜5,000nmであることができる。1つの例示において、上記粒子として、表面に凹凸が形成されている粒子を使用することができる。このような粒子は、例えば、平均表面粗さ(Rz)が10nm〜50nmまたは20nm〜40nm、及び/または表面に形成された凹凸の最大高さが約100nm〜500nmまたは200nm〜400nmであり、凹凸間の幅が400nm〜1,200nmまたは600nm〜1,000nmであることができる。このような粒子は、樹脂層との相溶性やその内部での分散性に優れている。
【0076】
上記粒子としては、多様な無機または有機粒子が例示されることができる。無機粒子としては、シリカ、非結晶質チタニア、非結晶質ジルコニア、インジウムオキシド、アルミナ、非結晶質亜鉛オキシド、非結晶質セリウムオキシド、バリウムオキシド、カルシウムカーボネート、非結晶質バリウムチタネートまたはバリウムサルフェートなどが例示されることができ、有機粒子としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの有機系素材の架橋物または非架橋物を含む粒子が例示されることができるが、これに限定されるものではない。
【0077】
樹脂層に形成される上記凹凸構造または上記粒子の含量は、特に限定されない。上記凹凸構造の形状または上記粒子の含量は、例えば、AG層の場合、上記樹脂層のヘイズ(haze)が、約5%〜15%、7%〜13%または約10%程度になるように調節され、SG層の場合、ヘイズが約1%〜3%程度になるように調節されることができる。上記ヘイズは、例えば、SEPUNG社のHR−100またはHM−150などのようなヘイズメーター(hazemeter)を使用して製造社のマニュアルによって測定することができる。
【0078】
AR(antireflection)層やLR(lowreflection)層のような低反射層は、低屈折物質をコーティングして形成することができる。低反射層を形成することができる低屈折物質は、多様に知られていて、これは、いずれも上記光学素子に適切に選択されて使用されることができる。低反射層は、低屈折物質のコーティングを用いて反射率が約1%以下になるように形成することができる。
【0079】
また、上記表面処理層の形成には、韓国公開特許第2007−0101001号、第2011−0095464号、第2011−0095004号、第2011−0095820号、第2000−0019116号、第2000−0009647号、第2000−0018983号、第2003−0068335号、第2002−0066505号、第2002−0008267号、第2001−0111362号、第2004−0083916号、第2004−0085484号、第2008−0005722号、第2008−0063107号、第2008−0101801号または第2009−0049557号などで公知された素材も使用されることができる。
【0080】
上記表面処理層は、単独で形成されるか、あるいは2個以上が組合されて形成されることもできる。組合の例としては、基材層の表面にまず高硬度層を形成し、その表面にさらに低反射層を形成する場合が例示されることができる。
【0081】
上記光学素子は、上記偏光子の下部に配置されている保護層をさらに含むことができる。
図7は、偏光子13の下部に付着している保護層71をさらに含む光学素子7を例示的に示す図である。上記保護層は、例えば、TAC(Triacetyl cellulose)フィルムなどのようなセルロース樹脂フィルム;PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのようなポリエステルフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリエーテルスルホンフィルム;アクリルフィルムまたはポリエチレン、ポリプロピレンまたは環状オレフィン樹脂フィルムなどのようなポリオレフィン系フィルムなどであるか、または硬化されたハード層を形成している樹脂層などであることができるが、これに限定されるものではない。上記光学素子は、上記偏光子の下部に配置されている位相遅延層をさらに含むことができる。
【0082】
上記位相遅延層は、1/4波長位相遅延層または1/2波長位相遅延層であることができる。本明細書において用語1/2波長または1/4波長位相遅延層は、入射される光を当該波長の1/2または1/4波長だけ位相遅延させることができる位相遅延素子を意味することができる。このような構造の光学素子は、例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode)に適用され、光分割機能及び反射防止機能を具現する素子として有用に使用されることができる。上記1/4波長位相遅延層としては、例えば、延伸工程などによって複屈折性を付与した高分子フィルムや重合性液晶化合物を重合させて形成した液晶層が使用されることができる。
【0083】
また、上記光学素子は、上記偏光子の一面に形成されている粘着剤層をさらに含むことができる。上記粘着剤層は、例えば、上記光学素子を光学機器、例えば、液晶表示装置の液晶パネルや立体映像表示装置の映像表示素子に付着する粘着剤層であることができる。
図8は、偏光子13の下部に粘着剤層81が形成された光学素子8を例示的に示す図である。
【0084】
上記粘着剤層は、25℃で貯蔵弾性率が0.02MPa以上、0.03MPa以上、0.04MPa以上、0.05MPa以上、0.06MPa以上、0.07MPa以上、0.08MPa、0.08MPa超過または0.09MPa以上であることができる。上記粘着剤の貯蔵弾性率の上限は、特に限定されるものではない。例えば、上記貯蔵弾性率は、0.25MPa以下、0.2MPa以下、0.16MPa以下、0.1MPa以下または0.08MPa以下であることができる。
【0085】
粘着剤層が上記貯蔵弾性率を示す場合、光学素子が優れた耐久性を示し、したがって、例えば、上記位相遅延層の位相遅延特性が長期間、そして苛酷な条件下でも安定的に維持され、安定的な光分割特性を示すことができ、光学素子が適用された光学機器で光漏れなどのような副作用も防止されることができる。また、光学素子の硬度特性が向上し、外部の圧力やスクラッチに対して優れた抵抗性を示し、再作業性も適切に維持されることができる。
【0086】
上記粘着剤層は、厚さが25μm以下、20μm以下または18μm以下であることができる。粘着剤層が上記厚さを有する場合、上記耐久性、硬度特性及び再作業性などがさらに向上することができる。粘着剤層は、厚さが薄いほど優れた物性を示すものであって、その厚さの下限は、特に限定されないが、工程性などを考慮して、例えば、約1μm以上または約5μm以上の範囲で調節することができる。
【0087】
粘着剤層は、アクリル粘着剤、シリコーン粘着剤、エポキシ粘着剤またはゴム系粘着剤などを含むことができる。
【0088】
粘着剤層がアクリル粘着剤を含む場合、上記粘着剤は、例えば、熱硬化性成分、活性エネルギー線硬化性成分または熱硬化性成分と活性エネルギー線硬化性成分をすべて含む粘着剤組成物を硬化させて形成することができる。
【0089】
上記で用語「硬化」は、粘着物性が発現され得るようにする粘着剤組成物の化学的または物理的状態の変化を意味することができる。また、上記で熱硬化性成分及び活性エネルギー線硬化性成分は、上記のような硬化がそれぞれ適切な熱の印加または活性エネルギー線の照射によって誘導される成分を意味することができる。
【0090】
熱硬化性成分を含む粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、多官能性架橋剤によって架橋された状態のアクリル重合体を含むことができる。
【0091】
多官能性架橋剤によって架橋されるアクリル重合体としては、例えば、重量平均分子量(Weight Average Molecular Weight)が50万以上のアクリル重合体を使用することができる。本明細書において重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定された標準ポリスチレンに対する換算値である。また、本明細書においては、特に他に規定しない限り、用語「分子量」は、「重量平均分子量」を意味する。重合体の分子量を50万以上にして、苛酷条件下で優れた耐久性を有する粘着剤層を形成することができる。上記分子量の上限は、特に限定されるものではなく、例えば、耐久性や組成物のコーティング性を考慮して、250万以下の範囲で調節することができる。
【0092】
1つの例示において、上記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び架橋性単量体を重合単位で含む重合体であることができる。
【0093】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレートを使用することができ、粘着剤の凝集力、ガラス転移温度または粘着性を考慮して、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートなどが例示されることができ、上記のうち1種または2種以上が使用されることができる。
【0094】
また、上記重合体は、架橋性単量体を重合単位でさらに含むことができる。上記重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体80重量部〜99.9重量部及び架橋性単量体0.1重量部〜20重量部を重合単位で含むことができる。上記で「架橋性単量体」は、アクリル重合体を形成する他の単量体と共重合されることができ、共重合後に重合体に架橋性官能基を提供することができる単量体を意味する。上記架橋性官能基は、後述する多官能性架橋剤と反応して架橋構造を形成することができる。
【0095】
架橋性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基またはアミノ基のような窒素含有官能基などが例示されることができる。粘着樹脂の製造時に上記のような架橋性官能基を付与することができる共重合性単量体は、多様に公知されている。架橋性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのようなヒドロキシ基含有単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物などのカボキシル基含有単量体または(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどの窒素含有単量体などが例示されることができ、上記のうち1種または2種以上の混合を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0096】
上記アクリル重合体には、必要に応じて他の多様な単量体が重合単位で含まれてもよい。他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドまたはN−ブトキクシメチル(メタ)アクリルアミドのような窒素含有単量体;スチレンまたはメチルスチレンのようなスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート;またはビニルアセテートのようなカルボン酸ビニルエステルなどが例示されることができる。このような追加的な単量体は、全体重量の割合が他の単量体に対して20重量部以下の範囲で調節されることができる。
【0097】
アクリル重合体は、前述の各成分を必要によって選択及び配合した単量体の混合物を溶液重合、光重合、塊状(bulk)重合、懸濁(suspension)重合または乳化(emulsion)重合のような重合方式に適用して製造することができる。
【0098】
粘着剤層内で上記のようなアクリル重合体を架橋させている多官能性架橋剤としては、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤及び金属キレート架橋剤のような一般的な熱硬化性架橋剤が例示されることができる。上記でイソシアネイト架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネートなどの多官能性イソシアネート化合物であるか、または上記多官能性イソシアネート化合物をトリメチロールプロパンなどのようなポリオール化合物と反応させた化合物などが例示されることができる。エポキシ架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N'、N'−テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルよりなる群から選択された1つ以上が例示されることができ、アジリジン架橋剤としては、N、N'−トルエン−2、4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N、N'−ジフェニルメタン−4、4'−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)及びトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドよりなる群から選択された1つ以上が例示されることができ、金属キレート架橋剤としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウムまたはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどの化合物に配位している化合物なとが例示されることができるが、これに限定されるものではない。
【0099】
熱硬化性成分を含む粘着剤組成物またはその組成物に形成された粘着剤層内に、上記多官能性架橋剤は、例えば、上記アクリル重合体100重量部に対して0.01重量部〜10重量部または0.01重量部〜5重量部で含まれてもよい。架橋剤の割合を0.01重量部以上に調節し、粘着剤の凝集力を効果的に維持し、また10重量部以下に調節すれば、粘着界面で層間剥離や浮き上り現象が発生する現象を防止し、耐久性を優秀に維持することができる。しかし、上記の割合は、目的する弾性率などの物性や、粘着剤層などに他の架橋構造の包含有無などによって変更されることができる。
【0100】
活性エネルギー線硬化性成分を含む粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、重合された活性エネルギー線重合性化合物の架橋構造を含むことができる。上記粘着剤層は、例えば、活性エネルギー線の照射によって重合反応に参加することができる官能基、例えば、アルケニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などを1つ以上含む化合物を配合して粘着剤組成物を製造した後、その組成物に活性エネルギー線を照射し、上記成分を架橋及び重合させることによって形成することができる。上記で活性エネルギー線の照射によって重合反応に参加することができる官能基を有する化合物の例としては、上記アクリル重合体の側鎖にアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの官能基を導入した重合体;ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートまたはポリエーテルアクリレートなどのように当業界においていわゆる活性エネルギー線硬化型オリゴマーとして知られている化合物または後述する多官能性アクリレートなどが例示されることができる。
【0101】
熱硬化性成分及び活性エネルギー線硬化性成分を含む粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、上記多官能性架橋剤で架橋されたアクリル重合体を含む架橋構造及び上記重合された活性エネルギー線重合性化合物の架橋構造を同時に含むことができる。
【0102】
このような粘着剤層は、いわゆる相互浸透高分子ネットワーク(Interpenetrating Polymer Network;以下、「IPN」)を含む粘着剤である。用語「IPN」は、粘着剤層内に少なくとも2個以上の架橋構造が存在する状態を意味することができ、1つの例示において、上記架橋構造は、互いに絡んでいる状態(entanglement)、または連結(linking)または浸透(penetrating)している状態で存在することができる。粘着剤層がIPNを含む場合、苛酷条件で耐久性に優れていて、また作業性や、光漏れまたはクロストークの抑制能に優れた光学素子が具現されることができる。
【0103】
IPNを含む粘着剤層には、上記多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体によって具現される架橋構造の多官能性架橋剤及びアクリル重合体としては、例えば上記熱硬化性成分を含む粘着剤組成物の項目で記述した成分が使用されることができる。
【0104】
また、重合された活性エネルギー線重合性化合物の架橋構造の上記活性エネルギー線重合性化合物としては、やはり上記記述した化合物が使用されることができる。
【0105】
1つの例示において、上記活性エネルギー線重合性化合物は、多官能性アクリレートであることができる。多官能性アクリレートとしては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物なら、限定なしに使用することができる。例えば、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9、9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン(fluorine)などのような2官能型アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート;及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物など)の6官能型アクリレートなどを使用することができる。
【0106】
多官能性アクリレートとしては、分子内に環状構造を含むものを使用することができる。多官能性アクリレートに含まれる環状構造は、炭素環式構造または複素環式構造;または単環式または多環式構造のいずれを使用してもよい。環状構造を含む多官能性アクリレートとしては、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造を有する単量体及びイソシアネート変性ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物など)などの6官能型アクリレートなどが例示されることができる。
【0107】
IPNを含む粘着剤層内で上記架橋構造を形成している活性エネルギー線重合性化合物は、例えば、上記アクリル重合体100重量部に対して、5重量部〜40重量部で含まれることができるが、これは、必要に応じて変更されることができる。
【0108】
上記粘着剤層には、前述の成分にさらにこの分野において公知されている多様な添加剤が含まれてもよい。
【0109】
例えば、活性エネルギー線硬化性成分を含む組成物の場合、上記成分の重合反応などを促進するための光開始剤などをさらに含むことができる。また、上記粘着剤層は、シランカップリング剤、粘着性付与樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤よりなる群から選択された1つ以上の添加剤をもさらに含むことができる。
【0110】
上記粘着剤層は、例えば、上記記述した各成分を配合して製造された粘着剤組成物をバーコーターまたはコンマコーターなどの手段で塗布し、硬化させる方式を使用することができる。また、粘着剤組成物を硬化させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル重合体及び多官能性架橋剤の架橋反応が進行されることができるように適正温度で組成物を維持する方式と活性エネルギー線硬化性化合物の重合が可能となるように活性エネルギー線を照射する工程により硬化させることができる。適正温度での維持及び活性エネルギー線の照射が同時に要求される場合、上記工程は、順次または同時に進行されることができる。上記で活性エネルギー線の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、無電極ランプまたはキセノンランプ(xenonlamp)などを使用して行うことができ、照射される活性エネルギー線の波長や光量などの条件は、上記活性エネルギー線硬化型化合物の重合が適切に行われることができる範囲で選択されることができる。
【0111】
1つの例示において、上記粘着剤層は、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa以上、0.05MPa以上または0.08MPa超過であるか、0.08MPaを超過、0.25MPa以下の範囲、0.09MPa〜0.2MPaまたは0.09MPa〜0.16MPaである粘着剤層であることができる。このような粘着剤層は、例えば、上記IPNを含む粘着剤層であることができる。
【0112】
他の例示において、上記粘着剤層は、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa〜0.08MPaまたは0.04MPa〜0.08MPaである粘着剤層であることができる。このような粘着剤は、上記熱硬化性成分の架橋構造を含む粘着剤層であることができる。
【0113】
また、本発明は、光学素子の製造方法に関するものである。例示的な光学素子の製造方法は、基材層の上部に液晶層を形成し、基材層の下部には、偏光子を付着するものを含むことができる。
【0114】
上記で、液晶層は、例えば、基材層上に配向膜を形成し、上記配向膜に上記重合性液晶化合物を含む液晶組成物の塗布層を形成し、上記液晶組成物を配向させた状態で重合させて、液晶層を形成する方式で製造することができる。
【0115】
配向膜は、例えば、基材層にポリイミドなどの高分子膜を形成し、ラビング処理するか、または光配向性化合物をコーティングし、直線偏光の照射などを通じて配向処理する方式で形成することができる。この分野では、目的する配向パターン、例えば、上記第1及び第2領域のパターンを考慮して、配向膜を形成する多様な方式が公知されている。
【0116】
液晶組成物の塗布層は、組成物を公知の方式で基材層の配向膜上にコーティングして形成することができる。上記塗布層の下部に存在する配向膜の配向パターンによって配向させた後、重合させて液晶層を形成することができる。
【0117】
基材層に偏光子を付着する方法も特に限定されない。例えば、上記水系接着剤組成物を基材層や偏光子の一面にコーティングし、上記コーティング層を介して液晶層と偏光子をラミネートした後、接着剤組成物を硬化させるか、または水系接着剤組成物を使用した液滴(dropping)方式によって液晶層のプライマー層が存在する面と偏光子をラミネートし、接着剤組成物を硬化させる方式などを使用することができる。
【0118】
また、上記製造方法は、液晶層の上部に表面処理層を形成することをさらに含むことができる。上記で表面処理層を形成する方法は、特に限定されない。
【0119】
例えば、表面処理層で上記樹脂層を形成する場合には、前述の各種の樹脂組成物、例えば、活性エネルギー線硬化型アクリル系樹脂組成物などを含むコーティング液を液晶層にコーティングし、硬化させる方式で樹脂層を形成することができる。
【0120】
上記で、コーティング液は、例えば、スピンコーティングまたはバーコーティングのような通常的なコーティング方式や、インクジェット方式による選択的コーティング方式などを用いてコーティングすることができる。コーティングされたコーティング液を硬化させる方式も特に限定されず、使用された組成物の形態によって適切な熱または湿気を加えるか、あるいは活性エネルギー線を照射する方式を使用することができる。
【0121】
1つの例示において、上記硬化を、前述したように、コーティング液を適切な金型と接触させた状態で進行し、樹脂層に目的する凹凸を付与することもできる。
【0122】
上記製造方法は、上記過程にさらに上記1/4波長位相遅延層や粘着剤層などの追加的な層を形成する過程をさらに含むことができ、上記過程を行う具体的な方式は、特に限定されない。
【0123】
また、本発明は、立体映像表示装置に関するものである。例示的な立体映像表示装置は、上記記述した光学素子を含むことができる。
【0124】
1つの例示において、上記装置は、左眼用映像信号(以下、L信号)及び右眼用映像信号(以下、R信号)を生成することができる表示素子をさらに含み、上記光学素子は、上記液晶層の第1及び第2領域のうちいずれか一方の領域は、上記L信号が透過することができ、他方の領域は、上記R信号が透過することができるように配置されてもよい。上記で光学素子は、R及びL信号は、表示素子から出射され、上記光学素子の偏光子を先に透過した後、さらに上記液晶層の各領域に入射されるように配置されてもよい。
【0125】
立体映像表示装置は、上記光学素子を光分割素子として含む限り、この分野で公知された多様な方式がすべて適用されて製造されることができる。
【0126】
図9は、1つの例示的な上記装置として、観察者が偏光メガネを着て立体映像を観察することができる装置を例示的に表示する。
【0127】
図9に示されたように、上記装置9は、例えば、光源91、偏光板92、上記表示素子93及び上記光学素子94を順次含むことができる。
【0128】
上記で、光源91としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などで一般的に使用される直下型またはエッジ型バックライトを使用することができる。
【0129】
1つの例示において、上記表示素子93は、行及び/または列方向に配列されている複数の単位画素を含む透過型液晶表示パネルであることができる。上記画素は、1つまたは2個以上で組み合わせてR信号を生成する右眼用映像信号生成領域(以下、RG領域)及びL信号を生成する左眼用映像信号生成領域(以下、LG領域)を形成することができる。
【0130】
上記RG及びLG領域は、
図10のように、それぞれ共通方向に延長するストライプ状を有しながら互いに隣接して交互に配置されているか、
図11のように、格子パターンを成しながら互いに隣接して交互に配置されてもよい。上記光学素子94の液晶層942で上記第1及び第2領域は、それぞれLCまたはRC領域であって、上記RG及びLG領域の配置形態を考慮してRG領域から伝達されるR信号は、偏光子941を経てRC領域に入射され、L信号は、偏光子941を経てLC領域に入射されることができるように配置されてもよい。
【0131】
表示素子93は、例えば光源91側から順に配置された第1透明基板、画素電極、第1配向膜、液晶層、第2配向膜、共通電極、カラーフィルタ及び第2透明基板などを含む液晶パネルであることができる。上記パネルの光入射側、すなわち光源91側には、偏光板92が付着していて、その反対側には、上記光学素子94が付着していてもよい。偏光板92に含まれる偏光子と上記光学素子94に含まれる偏光子941は、例えば両方の吸収軸が互いに所定の角度、例えば90度を成すように配置されてもよい。これにより、光源91から射出される光が表示素子93を経て透過するか、あるいは遮断されるようにすることができる。
【0132】
駆動状態で表示装置9の光源91から無偏光された光が偏光板92側に出射されることができる。偏光板92に入射された光のうち、上記偏光板92の偏光子の光透過軸と平行な方向に偏光軸を有する光は、偏光板92を透過し、表示素子93に入射されることができる。表示素子93に入射され、RG領域を透過した光は、R信号になり、LG領域を透過した光は、L信号になり、光学素子94の偏光子941に入射される。
【0133】
偏光子941を経て液晶層942に入射された光のうちLC領域を透過した光とRC領域を透過した光は、互いに異なる偏光状態を有する状態でそれぞれ排出される。このように異なる偏光状態を有するR信号及びL信号は、偏光メガネを着ている観察者の右眼及び左眼にそれぞれ入射されることができ、これにより、観察者は、立体映像を観察することができる。