(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.組成物(以下、本発明の組成物を場合により、「本組成物」といい、本組成物から製造される光学フィルムを場合により、「本光学フィルム」という。)
本組成物は、(A)光配向性ポリマー(以下、場合により「ポリマー(A)」という。)及び(B)分子内に、炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する化合物(以下、場合により「化合物(B)」という。)を含む。本発明は、本組成物、本組成物を用いて形成される光学フィルム等を提供するものであり、以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。なお、図面中の寸法等は見易さのために任意になっている。
【0009】
1−1.光配向性ポリマー(ポリマー(A))
本組成物に含まれるポリマー(A)は、本組成物から製造される本光学フィルム上に光学異方層を形成する際、後述する液晶化合物を配向させるために用いられる。
【0010】
液晶化合物を配向させるために用いられる本光学フィルム(配向膜である本光学フィルム)を形成する方法としては、ラビングによって、ポリマー(A)に配向規制力を付与する方法(ラビング法)、偏光を照射することにより、ポリマー(A)に配向規制力を付与する方法(以下、場合により「光配向法」という)等が挙げられる。中でも、液晶化合物の配向均一性、処理時間及び処理コストの観点から、本組成物に含まれるポリマー(A)の能力を活かした光配向法が好ましい。この場合の本光学フィルムとしては、後述する液晶化合物を塗布しても溶解しない程度の耐溶剤性を有することが好ましい。また、後述する本光学フィルムの製造の際に、未乾燥フィルムからの溶剤の除去や、液晶化合物の配向時の熱処理に対する耐熱性を有することも求められる。
【0011】
ポリマー(A)としては、感光性構造を有するポリマーが用いられる。感光性構造を有するポリマー(A)に偏光を照射すると、照射された部分の感光性構造が異性化又は架橋することでポリマー(A)が配向し、得られる本光学フィルムに配向規制力が付与される。該感光性構造としては、例えば、アゾベンゼン構造、マレイミド構造、カルコン構造、桂皮酸構造、1,2−ビニレン構造、1,2−アセチレン構造、スピロピラン構造、スピロベンゾピラン構造及びフルギド構造等が挙げられる。これらの感光性構造を有するポリマー(A)は、単独で本組成物に用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。なお、これらのポリマー(A)は、感光性構造を有する単量体を用いて、脱水や脱アミン等による重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等により得ることができる。また、異なる感光性構造を有する単量体を複数種用い、それらの共重合体であってもよい。このようなポリマー(A)としては、特許第4450261号、特許第4011652号、特開2010−49230号公報、特許第4404090号、特開2007−156439号公報、特開2007−232934号公報等に記載される光配向性ポリマーが挙げられる。
【0012】
ポリマー(A)としては、光照射によって架橋構造を形成するものであると特に好ましい。ポリマー(A)が架橋構造を形成するものであれば、後述する本光学フィルムの光学異方層を形成する際、光学異方層形成用組成物の塗布時に十分な耐久性を確保することができる。
【0013】
本組成物におけるポリマー(A)の含有量は、本組成物の総質量に対する含有割合で表して、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、0.2〜15質量%の範囲がさらに好ましい。
【0014】
本組成物は、基材上に塗布することで本光学フィルムが製造できる。基材としては例えば、ガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム、透光性フィルムが好ましい。前記透光性フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィンからなるフィルム;ポリビニルアルコールフィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム;ポリメタクリル酸エステルフィルム;ポリアクリル酸エステルフィルム;セルロースエステルフィルム;ポリエチレンナフタレートフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリスルフォンフィルム;ポリエーテルスルホンフィルム;ポリエーテルケトンフィルム;ポリフェニレンスルフィドフィルム;及びポリフェニレンオキシドフィルム等が挙げられる。また、本光学フィルム製造時に用いる基材として、水酸基を有する材料からなるものが好ましいこともある。この水酸基を有する材料からなる基材については後述する。
【0015】
前記基材上に本光学フィルムを製造するためには、溶剤を含む本組成物を用いると、本光学フィルム製造が簡便となるので好ましい。この場合の本組成物に含まれる溶剤は、合わせて用いられるポリマー(A)の種類等により適宜選択できるが、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン及びメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素系溶剤等が挙げられる。これら溶剤を含む本組成物を用いる場合、該溶剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本組成物から本光学フィルム製造用の塗布膜(未乾燥フィルム)を形成するためには、まず、前記基材上に、本組成物を塗布する。基材上への塗布方法としては、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAP(キャップ)コーティング法、ダイコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、スリットコーティング法、スピンコーティング法及びバーコーターによる塗布等が挙げられる。中でも、RolltoRoll形式で連続的に基材上に本組成物を塗布できる点で、CAPコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、スリットコーティング法、ダイコーティング法及びバーコーターによる塗布が好ましい。
【0017】
続いて、基材上に塗布した塗布膜を乾燥して、塗布膜に含まれる溶剤などの低沸点成分を除去する。
【0018】
乾燥方法としては、例えば自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥又は減圧乾燥等、或いはこれらを組み合わせた方法が挙げられる。乾燥温度としては、10〜250℃であることが好ましく、25〜200℃であることがさらに好ましい。また乾燥時間としては、用いた本組成物に含まれる溶剤の種類にもよるが、5秒間〜60分間であることが好ましく、10秒間〜30分間であることがより好ましい。乾燥温度及び乾燥時間が上記範囲内であれば、前記の基材のいずれかを用いた場合、該基材に対する損傷を抑制することができる。
【0019】
1−2.化合物(B)
化合物(B)は上述のとおり、その分子内に炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する。ここで、活性水素反応性基とは、カルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、アミノ基(−NH
2)等の活性水素を有する基に対して反応性を有する基を意味し、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジン基、イミド基、イソシアナト基、チオイソシアナト基、無水マレイン酸基等がその代表例である。化合物(B)が有する、炭素−炭素不飽和結合及び活性水素反応性基の個数は、それぞれ1〜20個、好ましくは1〜10個である。
【0020】
化合物(B)において、活性水素反応性基は少なくとも2つ存在すると好ましく、この場合、複数存在する活性水素反応性基は同一でも、異なるものであってもよい。
【0021】
化合物(B)が有する炭素−炭素不飽和結合とは、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合、あるいはそれらの組み合わせであってよいが、炭素−炭素二重結合であると好ましい。中でも、化合物(B)としては、ビニル基及び/又は(メタ)アクリル基として炭素−炭素不飽和結合を含むと好ましい。さらに、活性水素反応性基が、エポキシ基、グリシジル基及びイソシアネト基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましく、アクリル基と、イソシアネト基とを有する化合物(B)が特に好ましい。
【0022】
化合物(B)の具体例としては、メタクリロキシグリシジルエーテルやアクリロキシグリシジルエーテルなどの、(メタ)アクリル基とエポキシ基とを有する化合物;オキセタンアクリレートやオキセタンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とオキセタン基とを有する化合物;ラクトンアクリレートやラクトンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とラクトン基とを有する化合物;ビニルオキサゾリンやイソプロペニルオキサゾリンなどの、ビニル基とオキサゾリン基とを有する化合物;イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート及び2イソシアナトエチルメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とイソシアナト基とを有する化合物のオリゴマー等が挙げられる。また、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、無水マレイン酸及びビニル無水マレイン酸などの、ビニル基やビニレン基と酸無水物とを有する化合物などが挙げられる。中でも、メタクリロキシグリシジルエーテル、アクリロキシグリシジルエーテル、イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、ビニルオキサゾリン、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート及び前記のオリゴマーが好ましく、イソシアナトメチルアクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート及び前記のオリゴマーが特に好ましい。
【0023】
ここで、活性水素反応性基としてイソシアナト基を有し、化合物(B)としてより好ましいものを具体的に示す。この好ましい化合物(B)は例えば、下記式(1)で表される。
[式(1)中、
nは1〜10までの整数を表わし、R
1は、炭素数2〜20の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは炭素数5〜20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰り返し単位にある2つのR
2は、一方が−NH−であり、他方がN−C(=O)−R
3で示される基である。R
3は、水酸基又は炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(1)中のR
3のうち、少なくとも1つのR
3は炭素−炭素不飽和結合を有する基である。]
【0024】
前記式(1)で表される化合物(B)の中でも、下記式(2)で表される化合物(以下、場合により「化合物(2)」という。)が特に好ましいものである(なお、nは前記と同じ意味である)。
化合物(2)は市場から容易に入手できる市販品をそのまま又は必要に応じて精製して用いることもできる。該市販品としては、例えば、Laromer(登録商標)LR−9000(BASF社製)等が挙げられる。
【0025】
本組成物における化合物(B)の含有量は、本組成物の総質量に対する含有割合で表して、0.01〜10質量%の範囲が好ましく、0.02〜5質量%の範囲がさらに好ましい。上記範囲内であれば、本組成物中の光配向性ポリマーの反応性を低下させることがない。
【0026】
2.本光学フィルム
続いて、本組成物から製造される本光学フィルムについて説明する。
上述のとおり、本光学フィルムは、本組成物に含まれるポリマー(A)を架橋してなるものが好ましい。架橋したポリマー(A)を含む本光学フィルム上に、さらに光学異方性層を積層して位相差を発現させた位相差板も本光学フィルムの一実施態様である。この場合の本光学フィルムは、光を透過し得るものであり、光学異方層との相互作用等により光学的な機能を有するフィルムである。光学的な機能とは、屈折、複屈折等を意味する。
【0027】
2−1.配向膜としての本光学フィルム
本組成物中に含まれるポリマー(A)を架橋して製造される本光学フィルムのうち、該ポリマー(A)を偏光照射することで架橋させたものは、配向膜として機能する。具体的には、本組成物(溶剤を含む本組成物)を基材上に塗布し、得られた塗布膜に偏光照射を行ってポリマー(A)を架橋させれば、得られる本光学フィルムは配向膜となる。なお、この塗布膜(未乾燥フィルム)は、偏光照射を行う前に乾燥し、乾燥フィルムとしておくことが好ましい。
【0028】
以下、本組成物から配向膜である本光学フィルムを製造する方法について説明する。
光配向法により配向規制力を付与するには、本組成物から形成された塗布膜上に、偏光照射(例えば、直線偏光紫外線)を行う。偏光照射は、例えば、特開2006−323060号公報に記載される装置を用いて行うことができる。また、本組成物から形成された塗布膜上で、所望の複数領域に対応したフォトマスクを準備し、当該領域毎にフォトマスクを介しての偏光照射(例えば、直線偏光紫外線)を繰り返し行うことにより、パターン化配向膜を形成することもできる。上記フォトマスクとしては、例えば、石英ガラス、ソーダライムガラス又はポリエステルなどのフィルム上に、遮光パターンを設けたものが用いられる。遮光パターンで覆われている部分は露光される光が遮断され、覆われていない部分は露光される光が透過される。熱膨張の影響が小さいため、フォトマスクに用いられる基材としては石英ガラスが好ましい。
【0029】
パターン化配向膜を製造する一例を挙げる。まず、本組成物から形成された塗布膜に、第1のパターン領域に対応した空隙部を有する第1のフォトマスク(残りの領域は遮光パターンになっている)を介して、第1の偏光方向を有する第1の偏光を照射する(第1の偏光照射)。この第1の偏光照射によって、上記第1のパターン領域の配向規制力の方向を上記第1の偏光方向に対応させる。次いで、第2のパターン領域に対応した空隙部を有する第2のフォトマスク(残りの領域は遮光パターンになっている)を介して、上記第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向(例えば、第1の偏光方向に対して垂直な方向)を有する第2の偏光を照射する(第2の偏光照射)。この第2の偏光照射によって、上記第2のパターン領域の配向規制力の方向を上記第2の偏光方向に対応させる。これにより、互いに配向規制力の方向が異なる複数のパターン領域を有する配向膜が得られる。さらに、3種類以上のフォトマスクを介して偏光照射を繰り返し行うことにより、互いに配向規制力の方向が異なる3つ以上のパターン領域を有するパターン化配向膜を作成することもできる。光配向性ポリマーの反応性の点で、各偏光照射とも、照射する光は紫外線であることが好ましい。
【0030】
かくして基材上に形成される本光学フィルム(配向膜又はパターン化配向膜、以下、この配向膜又はパターン化配向膜を総じて場合により「配向膜等」という。)の膜厚は、例えば10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。このような範囲とすれば、後述するように、本光学フィルム(配向膜等)上に光学異方層を形成する際、液晶化合物を所望の角度に配向させることができる。
【0031】
本組成物を塗布する基材としては、前記の例示の中でも、水酸基を有する材料からなるものが好ましく、水酸基を有する材料からなるフィルムであることがより好ましい。この水酸基を有する材料からなるフィルムは、水酸基を有する材料を成膜して得られるフィルムでもよく、水酸基の前駆基を有する材料を成膜してフィルム(前駆フィルム)にした後、該前駆フィルムに含まれる前駆基を水酸基に改質してもよい。かかる改質には例えば、真空下や大気圧下でのプラズマ処理、レーザー処理、オゾン処理、ケン化処理又は火炎処理等が挙げられる。また、水酸基又はその前駆基を有しない材料からなるフィルムを準備し、このフィルム表面にカップリング剤を塗布するプライマー処理、水酸基を有するモノマーや水酸基を有するポリマーを表面に付着させた後、放射線、プラズマ、紫外線を照射して反応させるグラフト重合するという方法で得られたものでもよい。この場合は、フィルム表面に水酸基を有する材料を配したものとなるが、このようなフィルムであっても、本明細書では、水酸基を有する材料からなるフィルムということにする。以上のように、水酸基を有する材料からなるフィルム(基材)を用いると、該基材と、本光学フィルムとの間の密着性がより高くなる傾向がある。
【0032】
水酸基を有する材料からなるフィルム(基材)の中でも、トリアセチルセルロースフィルムに対してケン化処理を施すことによって得られるフィルムが好ましい。トリアセチルセルロースフィルムをケン化処理することにより、当該フィルム中のトリアセチルセルロースフィルムがケン化され、水酸基を有する材料からなるフィルムを容易に得ることができ、コスト、製造時の取り扱いの点においても特に好ましい。
【0033】
2−2.位相差板(本光学フィルム上に光学異方性層を形成して得られる位相差板)
本発明は、本光学フィルム上に、さらに光学異方層を形成して位相差性を発現させた位相差板を含む。以下、このような位相差板の製造方法について説明するに当たり、光学異方層形成用の組成物(以下、場合により「光学異方層形成用組成物」という)について説明する。
【0034】
2−2−1.液晶化合物
上記光学異方性層は、例えば、液晶化合物を配向させることで形成することができ、光学異方層形成用組成物はかかる液晶化合物、好ましくは重合性液晶化合物を含む。この重合性液晶化合物について詳述する。なお、光学異方層形成用組成物には、重合性液晶化合物1種を含むものでもよく、異なる2種以上の重合性液晶化合物を含むものでもよい。
【0035】
重合性液晶化合物としては例えば、式(X)で表される基を含む化合物(以下「化合物(X)」という場合がある)等が挙げられる。
P
11−B
11−E
11−B
12−A
11−B
13− (X)
(式(X)中、P
11は、重合性基を表す。
A
11は、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1〜6のアルキル基及び該炭素数1〜6アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
B
11は、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR
16−、−NR
16−CO−、−CO−、−CS−又は単結合を表す。R
16は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
B
12及びB
13は、それぞれ独立に、−C≡C−、−CH=CH−、−CH
2−CH
2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR
16−、−NR
16−C(=O)−、−OCH
2−、−OCF
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。
E
11は、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する−CH
2−は、−O−又は−CO−に置き換わっていてもよい。
【0036】
A
11の芳香族炭化水素基及び脂環式炭化水素基の炭素数は、例えば3〜18の範囲であり、5〜12の範囲であることが好ましく、5又は6であることが特に好ましい。A
11としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−フェニレン基が好ましい。
【0037】
E
11としては、直鎖状の炭素数1〜12のアルカンジイル基が好ましい。該アルカンジイル基を構成する−CH
2−は、−O−に置き換っていてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、へキサン−1,6−ジイル基、へプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基及びドデカン−1,12−ジイル基等の炭素数1〜12の直鎖状アルカンジイル基;−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−及び−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−等である。
【0038】
P
11で示される重合性基としては、重合反応性、特に光重合反応性が高いという点で、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易な上、液晶化合物の製造自体も容易であることから、重合性基として、下記の式(P−11)〜式(P−15)でそれぞれ表される基であることが好ましい。
[式(P−11)〜(P−15)中、
R
17〜R
21はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は水素原子を表す。]
【0039】
式(P−11)〜式(P−15)でそれぞれ表される基をさらに具体的に例示すると、下記の式(P−16)〜式(P−20)で表される基が挙げられる。
【0040】
P
11は、式(P−14)〜式(P−20)で表される基であることが好ましく、ビニル基、p−スチルベン基、エポキシ基、オキセタニル基等が一層好ましい。
特に好ましくは、P
11−B
11−で表される基が、アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基である。
【0041】
化合物(X)としては、例えば、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)又は式(VI)で表される化合物が挙げられる。
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-A
13-B
15-A
14-B
16-E
12-B
17-P
12 (I)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-A
13-B
15-A
14-F
11 (II)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-A
13-B
15-E
12-B
17-P
12 (III)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-A
13-F
11 (IV)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-E
12-B
17-P
12 (V)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-F
11 (VI)
(式中、
A
12〜A
14はそれぞれ独立に、A
11と同義であり、B
14〜B
16はそれぞれ独立に、B
12と同義であり、B
17は、B
11と同義であり、E
12は、E
11と同義である。
F
11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(−SO
3H)、カルボキシ基、炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基及びアルコキシ基を構成する−CH
2−は、−O−に置き換っていてもよい。)
【0042】
重合性液晶化合物の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」、「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物、特開2010−31223号公報、特開2010−270108号公報、特開2011−6360号公報及び特開2011−207765号公報記載の重合性液晶化合物が挙げられる。
【0043】
化合物(X)の具体例としては、たとえば以下の式(I−1)〜式(I−4)、式(II−1)〜式(II−4)、式(III−1)〜式(III−26)、式(IV−1)〜式(IV−19)、式(V−1)〜式(V−2)、式(VI−1)〜式(VI−6)でそれぞれ表される化合物等が挙げられる。ただし、式中k1及びk2は、2〜12の整数を表す。これらの化合物(X)は、その合成が容易であるか、市販されている等、入手が容易であることから好ましい。
【0052】
2−2−2.光学異方性層形成用組成物に含まれる添加剤
光学異方性層形成用組成物には、上記液晶化合物の他に、重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、溶剤、カイラル剤等の添加剤を含んでいてもよい。特に光学異方性層形成時に、光学異方性層形成用組成物自体の成膜が容易となる点では、溶剤、特に有機溶剤を含むことが好ましい。また、上記液晶化合物が重合性液晶化合物である場合、光学異方性層形成用組成物を成膜したフィルムを硬化する働きをもつ重合開始剤を、光学異方性層形成用組成物が含んでいると好ましい。
【0053】
〔重合開始剤〕
重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、該光重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては例えば、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンジルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩等が挙げられる。具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170(以上、全て株式会社ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)及びTAZ−104(三和ケミカル社製)等を挙げることができる。
【0054】
光学異方性層形成用組成物における重合開始剤の含有量は例えば、該光学異方性層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物(好ましくは、化合物(X))100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは、0.5質量部〜10質量部である。上記範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく、該重合性液晶化合物を重合させることができる。なお、光学異方性層形成用組成物に複数種の重合性液晶化合物が含まれている場合、ここでいう重合性液晶化合物100質量部とは、複数種の重合性液晶化合物の合計量である。以下、光学異方性層形成用組成物が任意に含む成分の好ましい含有量においても、重合性液晶化合物の含有量を基準とすることがあるが、光学異方性層形成用組成物が複数種の重合性液晶化合物を含む場合、それらの合計量を基準にして重合開始剤の含有量を定める。
【0055】
〔重合禁止剤〕
光学異方性層形成用組成物には、重合性液晶化合物の重合反応をコントロールするために適量の重合禁止剤を含んでいてもよい。
重合禁止剤としては、たとえばハイドロキノン及びアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類;ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類;ピロガロール類、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類或いはβ−ナフトール類等を挙げることができる。
重合禁止剤を用いることにより、化合物(X)等の重合を制御することができ、光学異方性層形成用組成物から形成される光学異方性層の安定性を向上させることができる。光学異方性層形成用組成物における重合禁止剤の含有量は、たとえば重合性液晶化合物100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.5質量部〜10質量部である。上記範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく、これらを重合させることができる。
【0056】
〔光増感剤〕
光増感剤としては、例えば、キサントン及びチオキサントン等のキサントン類;アントラセン及びアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンを挙げることができる。
光増感剤を用いることにより、重合性液晶化合物の重合を高感度化することができる。光増感剤の含有量としては、重合性液晶化合物100質量部に対して、例えば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.5質量部〜10質量部である。
【0057】
〔レベリング剤〕
レベリング剤としては、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系及びパーフルオロアルキル系のレベリング剤等が挙げられる。具体的には、例えば、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22−161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC−72、同FC−40、同FC−43、同FC−3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R−08、同R−30、同R−90、同F−410、同F−411、同F−443、同F−445、同F−470、同F−477、同F−479、同F−482、同F−483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S−381、同S−382、同S−383、同S−393、同SC−101、同SC−105、KH−40、SA−100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100、BYK−352、BYK−353、BYK−361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。これらレベリング剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
レベリング剤を用いることにより、より平滑な光学異方層を形成できる。さらに光学異方層の製造過程で、光学異方性層形成用組成物の流動性を制御したり、光学異方層の架橋密度を調整したりすることができる。レベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、例えば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.1質量部〜10質量部である。
【0059】
〔カイラル剤〕
カイラル剤としては、公知のカイラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)を用いることができる。
カイラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン及びこれらの誘導体が挙げられる。
例えば、特開2007−269640号公報、特開2007−269639号公報、特開2007−176870号公報、特開2003−137887号公報、特表2000−515496号公報、特開2007−169178号公報、特表平9−506088号公報に記載されているような化合物が挙げられ、好ましくはBASFジャパン(株)製のpaliocolor(登録商標) LC756が挙げられる。
カイラル剤を用いる場合、その含有量は、たとえば重合性液晶化合物100質量部に対して、例えば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは1.0質量部〜25質量部である。上記範囲内であれば、重合性液晶化合物を重合する際に、該重合性液晶化合物の配向を乱すことをより抑制できる。
【0060】
〔溶剤〕
光学異方性層形成用組成物は、上述のとおり、光学異方性層製造の操作性を良好にするために溶剤、特に有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤としては、重合性液晶化合物等、光学異方性層形成用組成物の構成成分を溶解し得る有機溶剤が好ましく、さらには重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤がより好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びフェノール等のアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタン等の非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレン等の非塩素系芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル系溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素系溶剤;等が挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。これら有機溶剤の中でも、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、非塩素系脂肪族炭化水素溶剤及び非塩素系芳香族炭化水素溶剤が好ましい。
【0061】
なお、光学異方性層形成用組成物が有機溶剤を含む場合、その含有量は、固形分100質量部に対して10質量部〜10000質量部が好ましく、より好ましくは100質量部〜5000質量部である。また、光学異方性層形成用組成物中の固形分濃度は、好ましくは2質量%〜50質量%であり、より好ましくは5〜50質量%である。なお、ここでいう固形分とは、該光学異方性層形成用組成物から溶剤を取り除いた残部の合計をいう。
【0062】
本光学フィルム上に、光学異方性層形成用組成物を塗布することにより、本光学フィルム上に未重合フィルムが得られる。未重合フィルムがネマチック相等の液晶相を示す場合、モノドメイン配向による複屈折性を有する。
【0063】
本光学フィルム上への塗布方法としては、本組成物を基材上に塗布する方法として例示した方法と同じ方法が適用できる。中でも、RolltoRoll形式で連続的に本光学フィルム上に光学異方性層形成用組成物を塗布できる点で、CAPコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、スリットコーティング法、ダイコーティング法及びバーコーターによる塗布が好ましい。例えばRolltoRoll形式の場合、基材上に本組成物を塗布して、該基材上に本光学フィルムを形成し、さらに得られた本光学フィルム上に光学異方層を形成することを連続的に実施することもできる。
【0064】
本光学フィルムは、前記基材と積層した状態で使用してもよい。本光学フィルムに前記基材を積層しておくことで、フィルムの運搬、保管等を行う際に、本光学フィルムが破損することが抑制され、容易に取り扱うことができる。
【0065】
本光学フィルム上に形成された光学異方性層形成用塗布膜(未重合フィルム)に含まれる重合性液晶化合物を重合し、硬化させることにより、位相差板が得られる。かくして得られる位相差板は、重合性液晶化合物の配向性が固定化されており、熱による複屈折の変化の影響を受けにくい。
【0066】
重合性液晶化合物を重合させる方法としては、光重合法が好ましい。光重合法によれば、低温で重合を実施できるため、用いる基材の耐熱性の選択幅が広がる。光重合反応は、未重合フィルムに、可視光、紫外光またはレーザー光を照射することにより行われる。取り扱いの点で、紫外光が特に好ましい。
【0067】
光学異方性層形成用組成物を塗布して形成された未重合フィルムに対し、そのまま光照射を行って、該未重合フィルムを硬化することもできるが、該未重合フィルムを乾燥して、該未重合フィルムから溶剤を除去しておくことが好ましい。
なお、溶剤の除去は、重合反応と並行して行ってもよいが、重合を行う前に、ほとんどの溶剤を除去しておくことが好ましい。その除去方法としては、本光学フィルムの製造方法において乾燥方法として例示したものと同じ方法が採用される。中でも、自然乾燥又は加熱乾燥が好ましく、自然乾燥又は加熱乾燥を行う際の温度は、0℃〜250℃の範囲が好ましく、50℃〜220℃の範囲がより好ましく、80℃〜170℃の範囲がさらに好ましい。加熱時間は、10秒間〜60分間が好ましく、より好ましくは30秒間〜30分間である。
【0068】
本光学フィルム上に光学異方層を備えた位相差板(以下、場合により「本位相差板」という。)は、本光学フィルム使用の好適な実施態様の一つである。該位相差板は、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したり、直線偏光の偏光方向を変換したりするために用いられる。
【0069】
本位相差板は、可視光領域における透明性に優れ、様々な表示装置用部材として使用し得る。本位相差板の厚さは、該本位相差板の用途のより適宜調節でき、例えば、その位相差値によって適宜調節すればよいが、0.1μm〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.2μm〜5μmであることがさらに好ましい。
【0070】
表示装置に本光学フィルムを用いる場合、本光学フィルムは単層で用いることもできるし、本光学フィルム複数枚を積層させて積層体としてもよいし、他のフィルムと組み合わせてもよい。上記のとおり、好適な使用実施態様として本位相差板を説明したが、他のフィルムと組み合わせて用いる場合には、視野角補償フィルム、視野角拡大フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルム(偏光板)、円偏光フィルム(円偏光板)、楕円偏光フィルム(楕円偏光板)及び輝度向上フィルム等に利用することができる。
【0071】
特に、本光学フィルムは、光学異方層を形成する液晶化合物の配向状態によって光学特性を変化させることにより、VA(vertical alignment)モード、IPS(in-plane switching)モード、OCB(optically compensated bend)モード、TN(twisted nematic)モード、STN(super twisted nematic)モード等、種々の液晶表示装置用の位相差板として調整することができる。
【0072】
本位相差板としては、面内の遅相軸方向の屈折率をn
x、面内の遅相軸と直交する方向(進相軸方向)の屈折率をn
y、厚み方向の屈折率をn
zとした場合、以下のように分類できることが知られている。すなわち、
n
x>n
y≒n
zのポジティブAプレート、
n
x≒n
y>n
zのネガティブCプレート、
n
x≒n
y<n
zのポジティブCプレート、
n
x≠n
y≠n
zのポジティブOプレート及びネガティブOプレート
が挙げられる。
【0073】
本位相差板の位相差値は、用いられる表示装置により、30〜300nmの範囲から適宜選択すればよい。
本位相差板を広帯域λ/4板として用いる場合は、Re(549)は113〜163nm、好ましくは130〜150nmに調整すればよい。広帯域λ/2板として用いる場合は、Re(549)は250〜300nm、好ましくは265〜285nmに調整すればよい。位相差値が前記の値であると、広範の波長の光に対し、一様に偏光変換できる傾向があり、好ましい。ここで、広帯域λ/4板とは、各波長の光に対し、その1/4の位相差値を発現する位相差フィルムであり、広帯域λ/2板とは、各波長の光に対し、その1/2の位相差値を発現する位相差フィルムである。ここでいうReについては後述する。
【0074】
なお、光学異方層形成用組成物中の液晶化合物の含有量を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように膜厚を調製することができる。得られる本位相差板の位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(4)のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るためには、Δn(λ)と膜厚dを適宜調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ) (4)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
【0075】
4.偏光板
本光学フィルムは、例えば偏光板製造に用いることができる。当該偏光板は、上述した本位相差板を少なくとも一つ有する形式で得られる。
この偏光板としては、
図1(a)〜
図1(e)に示すように、(1)本位相差板1と、偏光フィルム層2とが、直接積層された偏光板4a(
図1(a));(2)本位相差板1と偏光フィルム層2とが、接着剤層3’を介して貼り合わされた偏光板4b(
図1(b));(3)本位相差板1と、本位相差板1’とを積層させ、さらに、本位相差板1’と偏光フィルム層2とを積層させた偏光板4c(
図1(c));(4)本位相差板1と、本位相差板1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、本位相差板1’上に偏光フィルム層2を積層させた偏光板4d(
図1(d));及び、(5)本位相差板1と、本位相差板1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、本位相差板1’と偏光フィルム層2とを接着剤層3’を介して貼り合せた偏光板4e(
図1(e))等が挙げられる。ここで接着剤とは、接着剤及び/又は粘着剤のことを総称するものである。
【0076】
前記偏光フィルム層2は、偏光機能を有するフィルムであればよく、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性色素を吸着させて延伸したフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸して沃素や二色性色素を吸着させたフィルム等が挙げられる。
【0077】
また、偏光フィルム層2は、必要に応じて、保護フィルムとなるフィルムを備えていてもよい。前記保護フィルムとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム及びポリフェニレンオキシドフィルム等が挙げられる。
【0078】
接着剤層3及び接着剤層3’に用いられる接着剤は、透明性が高く耐熱性に優れた接着剤であることが好ましい。そのような接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤あるいはウレタン系接着剤等が用いられる。
また、偏光板においては、
図1(c)〜
図1(e)に示すように、2以上の本位相差板を直接又は接着剤層を介して貼り合わせてもよい。
【0079】
5.フラットパネル表示装置
本光学フィルムを備えたフラットパネル表示装置は、本位相差板を有するものであり、本位相差板はフラットパネル表示装置に係る部材として極めて有用である。例えば、本位相差板と、液晶パネルとが貼り合わされた液晶パネルを備える液晶表示装置や、本位相差板と、発光層とが貼り合わされた有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」ともいう)パネルを備える有機EL表示装置を挙げることができる。本光学フィルムを備えたフラットパネル表示装置の実施形態として、液晶表示装置と、有機EL表示装置とについて、簡単に説明する。
【0080】
5−1.液晶表示装置
液晶表示装置としては、例えば、
図2(a)及び
図2(b)に示すような液晶表示装置等が挙げられる。
図2(a)に示す液晶表示装置10aは、本発明の偏光板4と液晶パネル6とを、接着層5を介して貼り合わせてなるものであり、
図2(b)に示す液晶表示装置10bは、本発明の偏光板4と本発明の偏光板4’とを液晶パネル6の両面に接着層5及び接着層5’を介して貼り合わせたものである。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、液晶パネルに電圧を印加することにより、液晶分子の配向が変化し、白黒表示ができる。
【0081】
5−2.有機EL表示装置
有機EL表示装置としては、
図3に示す有機EL表示装置等が挙げられる。上記有機EL表示装置としては、本発明の偏光板4と、有機ELパネル7とを、接着層5を介して貼り合わせてなる有機EL表示装置11が挙げられる。上記有機ELパネル7は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層である。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、有機ELパネルに電圧を印加することにより、有機ELパネルが有する発光層に含まれる化合物が発光し、白黒表示ができる。
なお、上記有機EL表示装置11において、偏光板4は、広帯域円偏光板として機能するものであることが好ましい。広帯域円偏光板として機能するものであると、有機EL表示装置11の表面において外光の反射を防止することができる。
【実施例】
【0082】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0083】
1.合成例
光配向性ポリマー(Z)を、Macromol. Chem. Phys. 197,1919-1935 (1996)に記載される方法で製造した。
【0084】
1−1.光配向性ポリマー(Z)の合成例
式(Z−a)で示されるモノマーを、得られたモノマー(Z−a)1.5部とメタクリル酸メチル0.1部とをテトラヒドロフラン16部中に溶解させ、60℃で24時間反応させた。次いで、反応液を室温まで放冷後、トルエンとメタノールとの混合液中に滴下することで、共重合体(Z)を析出させた。共重合体(Z)の数平均分子量は33000であった。共重合体(Z)において、モノマー(Z−a)に由来する構造の含有率は75mol%であった。
【0085】
【0086】
【0087】
得られた共重合体(Z)のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム;TOSOH TSKgel MultiporeH
XL−M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−5000、A−500
【0088】
2.組成物の調製
表1及び表2に示す各成分を混合し、得られた溶液を80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却して組成物を調製した。
【0089】
【表1】
【0090】
表1中、化合物(B)は、Laromer(登録商標)LR−9000(BASFジャパン社製)、溶剤はトルエンを用いた。
【0091】
【表2】
【0092】
表2中、光重合開始剤は、Irg369(イルガキュア369(BASFジャパン社製))、レベリング剤には、BYK361N(ビックケミージャパン製)、溶剤はトルエン及びシクロペンタノンを用いた。また、液晶化合物(X)における、LC242はBASF社製で、下記式の化合物である。
【0093】
3.光学フィルムの製造例
(実施例1〜2、比較例1)
ケン化済トリアセチルセルロースフィルム上に表1の組成物1〜3で示される組成物を塗布し、乾燥後、厚さ280nmの膜を形成した。続いて、面に対して垂直方向から、偏光UV照射冶具付きスポットキュア(SP−7、ウシオ電機(株)製)を用いて、照度15mW/cm
2で5分間直線偏光を照射した。偏光UVを施した面に、表2の液晶組成物1を、バーコーターを用いて塗布し、120℃に加熱し、液晶相に配向させた膜を得た。その後、室温まで冷却した状態で紫外線をユニキュア(VB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて波長365nmにおいて40mW/cm
2の照度で1分間照射することにより、光学フィルムを作製した。
【0094】
3−1.密着性評価
JIS−K5600に則り、コーテック株式会社製クロスカットガイドIシリーズ(CCI−1、1mm間隔、25マス用)を用いて、実施例1〜2及び比較例1で作成したサンプルの剥離耐性を評価した。剥離試験後、液晶層の残存数をカウントした結果を表3に示す。
【0095】
4.光学特性の測定
実施例1〜2及び比較例1で作成したフィルムの位相差値を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)により測定した。位相差値Re(λ)は、波長(λ)549nmにおいて測定した。結果を表3に示す。
【0096】
【表3】
【0097】
本組成物(組成物1及び2)を用いた実施例の光学フィルムは、密着性に優れる傾向がみられた。