特許第6010911号(P6010911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友化学株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6010911-光学フィルム及びその製造方法 図000023
  • 特許6010911-光学フィルム及びその製造方法 図000024
  • 特許6010911-光学フィルム及びその製造方法 図000025
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010911
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】光学フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20161006BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20161006BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20161006BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20161006BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20161006BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20161006BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20161006BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20161006BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20161006BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   G02B5/30
   C08J7/04 ECEY
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   H05B33/10
   G02F1/1335 510
   C09D4/00
   C09D201/00
   C09D5/00 Z
   C09D7/12
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-10755(P2012-10755)
(22)【出願日】2012年1月23日
(65)【公開番号】特開2013-148805(P2013-148805A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年12月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 忠弘
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−086399(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0135850(US,A1)
【文献】 特開平11−349947(JP,A)
【文献】 特開2005−274909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、組成物(A)から形成されたA層及び組成物(B)から形成されたB層を、この順に積層してなる光学フィルムであり、
前記組成物(A)は互いに異なる以下の(A−1)及び(A−2)を含有し、前記組成物(B)は以下の(B−1)、(B−2)及び(B−3)を含有する光学フィルム。
(A−1)光配向性ポリマー
(A−2)炭素−炭素不飽和結合を有し、少なくとも2つのイソシアナト基を有する化合物
(B−1)重合性液晶化合物
(B−2)炭素−炭素不飽和結合を有し、少なくとも2つのイソシアナト基を有する化合物
(B−3)光重合開始剤
【請求項2】
前記(A−1)が、光照射により架橋構造を形成し得る光配向性ポリマーである請求項1記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記(A−2)及び(B−2)がそれぞれ独立に、下記式(1)で表される化合物である請求項1又は2記載の光学フィルム。
[式(1)中、
nは1〜10までの整数を表わし、Rは、炭素数2〜20の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは炭素数5〜20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰り返し単位にある2つのRは、一方が−NH−であり、他方がN−C(=O)−Rで示される基である。Rは、水酸基又は炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(1)中のRのうち、少なくとも1つのRは炭素−炭素不飽和結合を有する基である。]
【請求項4】
前記A層は、前記組成物(A)中に含有される前記(A−1)が架橋して形成されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記基材が、水酸基を有する材料からなる請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記水酸基を有する材料が、トリアセチルセルロースをケン化して得られる材料である請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項7】
位相差性を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項8】
以下の<1>〜<4>の工程を含む光学フィルムの製造方法。
<1>以下の(A−1)及び(A−2)を含有する組成物(A)を基材上に塗布することにより、前記基材上に第1塗布膜を形成する工程;
(A−1)光配向性ポリマー
(A−2)炭素−炭素不飽和結合を有し、少なくとも2つのイソシアナト基を有する化合物
<2>前記<1>により前記第1塗布膜中に含まれる前記(A−1)を架橋させることにより、第1塗布膜をA層に転換する工程;
<3>前記<2>により形成された前記A層上に、以下の(B−1)、(B−2)及び(B−3)を含有する組成物(B)を塗布することにより、前記A層上に第2塗布膜を形成する工程;
(B−1)重合性液晶化合物
(B−2)炭素−炭素不飽和結合を有し、少なくとも2つのイソシアナト基を有する化合物
(B−3)光重合開始剤
<4>前記<3>により形成された前記第2塗布膜中に含まれる重合性成分を重合する工程
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルムを含む偏光板。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルムを備えたフラットパネル表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置(FPD)には、偏光板及び位相差板等の光学フィルムを含む部材が用いられている。このような光学フィルムとして、基材と、該基材上に重合性液晶化合物、光重合開始剤及び溶剤を含む組成物を塗布することにより形成された配向層と、光学異方層とが積層されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−148098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配向膜(配向層)と、重合性液晶化合物を重合することにより形成された膜(光学異方性層)とが積層されてなる光学フィルムは、該配向層と該光学異方性層との間の密着性は高い方が、光学フィルムの製造又はその加工時の剥離などが生じないことから高品質の光学フィルムが得られやすいため好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の発明を含む。
かかる状況下、本発明者は鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の発明を含む。
〔1〕基材、組成物(A)から形成されたA層及び組成物(B)から形成されたB層を、この順に積層してなる光学フィルムであり、
前記組成物(A)は以下の(A−1)及び(A−2)を含有し、前記組成物(B)は以下の(B−1)、(B−2)及び(B−3)を含有する光学フィルム。
(A−1)光配向性ポリマー
(A−2)炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する化合物
(B−1)重合性液晶化合物
(B−2)炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する化合物
(B−3)光重合開始剤
〔2〕前記(A−1)が、光照射により架橋構造を形成し得る光配向性ポリマーである、〔1〕記載の光学フィルム。
〔3〕前記(A−2)及び(B−2)はともに、活性水素反応性基としてイソシアナト基を有する化合物である、〔1〕又は〔2〕記載の組成物。
〔4〕前記(A−2)及び(B−2)がそれぞれ独立に、下記式(1)で表される化合物である、〔1〕又は〔2〕記載の光学フィルム。
[式(1)中、
nは1〜10までの整数を表わし、Rは、炭素数2〜20の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは炭素数5〜20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰り返し単位にある2つのRは、一方が−NH−であり、他方がN−C(=O)−Rで示される基である。Rは、水酸基又は炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(1)中のRのうち、少なくとも1つのRは炭素−炭素不飽和結合を有する基である。]
〔5〕前記A層は、前記組成物(A)中に含有される前記(A−1)が架橋して形成されたものである、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の光学フィルム。
〔6〕前記基材が、水酸基を有する材料からなる、〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の光学フィルム。
〔7〕前記水酸基を有する材料が、トリアセチルセルロースをケン化して得られる材料である、〔6〕記載の光学フィルム。
〔8〕位相差性を有する、〔1〕〜〔7〕のいずれか記載の光学フィルム。
〔9〕以下の<1>〜<4>の工程を含む光学フィルムの製造方法。
<1>以下の(A−1)及び(A−2)を含有する組成物(A)を基材上に塗布することにより、前記基材上に第1塗布膜を形成する工程;
(A−1)光配向性ポリマー
(A−2)炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する化合物
<2>前記<1>により前記第1塗布膜中に含まれる前記(A−1)を架橋させることにより、第1塗布膜をA層に転換する工程;
<3>前記<2>により形成された前記A層上に、以下の(B−1)、(B−2)及び(B−3)を含有する組成物(B)を塗布することにより、前記A層上に第2塗布膜を形成する工程;
(B−1)重合性液晶化合物
(B−2)炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する化合物
(B−3)光重合開始剤
<4>前記<3>により形成された前記第2塗布膜中に含まれる重合性成分を重合する工程
〔10〕〔9〕記載の製造方法により得られる光学フィルム。
〔11〕〔1〕〜〔8〕のいずれか、又は〔10〕記載の光学フィルムを含む偏光板。
〔12〕〔1〕〜〔8〕のいずれか、又は〔10〕記載の光学フィルムを備えたフラットパネル表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、配向層と光学異方性層との間の密着性に優れた光学フィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る偏光板の一例を示す断面模式図である。
図2】本発明に係る液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。
図3】本発明に係る有機EL表示装置の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0009】
本発明は、特定の組成物から形成された層を備えた光学フィルム、すなわち、基材、組成物(A)から形成されたA層及び組成物(B)から形成されたB層を、この順に積層してなる光学フィルム(以下、場合により「本光学フィルム」という。)に係る。以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。なお、図面中の寸法等は見易さのために任意になっている。
【0010】
1.基材
本光学フィルムを構成する基材としては例えば、ガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム、透光性フィルムが好ましい。前記透光性フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィンからなるフィルム;ポリビニルアルコールフィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム;ポリメタクリル酸エステルフィルム;ポリアクリル酸エステルフィルム;セルロースエステルフィルム;ポリエチレンナフタレートフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリスルフォンフィルム;ポリエーテルスルホンフィルム;ポリエーテルケトンフィルム;ポリフェニレンスルフィドフィルム及びポリフェニレンオキシドフィルム等が挙げられる。
【0011】
また、本光学フィルムを構成する基材として、水酸基を有する材料からなるものが好ましく、水酸基を有する材料からなるフィルムであることがより好ましい。この水酸基を有する材料からなるフィルムは、水酸基を有する材料を成膜して得られるフィルムでもよく、水酸基の前駆基を有する材料を成膜してフィルム(前駆フィルム)にした後、該前駆フィルムに含まれる前駆基を水酸基に改質してもよい。かかる改質には例えば、真空下や大気圧下でのプラズマ処理、レーザー処理、オゾン処理、ケン化処理又は火炎処理等が挙げられる。また、水酸基又はその前駆基を有しない材料からなるフィルムを準備し、このフィルム表面にカップリング剤を塗布するプライマー処理、水酸基を有するモノマーや水酸基を有するポリマーを表面に付着させた後、放射線、プラズマ、紫外線を照射して反応させるグラフト重合するという方法で得られたものでもよい。この場合は、フィルム表面に水酸基を有する材料を配したものとなるが、このようなフィルムであっても、本明細書では、水酸基を有する材料からなるフィルムということにする。水酸基を有する材料からなるフィルム(基材)を用いると、A層/B層間の密着性に加え、基材/A層間の密着性もより高くなる傾向があるので、より高品質の本光学フィルムを得ることができる。
【0012】
また、本発明者の検討の結果、水酸基を有する材料からなるフィルムのうち、トリアセチルセルロースをケン化して得られる材料からなるフィルムを用いると、後述の組成物(A)との相乗効果により、基材/A層間の密着性がより良好となることが明らかとなった。また、トリアセチルセルロースをケン化して得られる材料からなるフィルムは、その前駆フィルムであるトリアセチルセルロースからなるフィルム(トリアセチルセルロースフィルム)自身が市場から容易に入手できる点からも好ましい。
【0013】
次に、A層及びB層のそれぞれを形成し得る組成物(組成物(A)及び組成物(B))について説明する。
【0014】
2.組成物(A)
まず、A層を形成し得る組成物(A)について説明する。
組成物(A)は、(A−1)光配向性ポリマー(以下、場合により「ポリマー(A−1)」という)と(A−2)炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する化合物(以下、場合により「化合物(A−2)」という)を含有する。
【0015】
2−1.ポリマー(A−1)
ポリマー(A−1)は、後述する組成物(B)に含有される重合性液晶化合物を配向させるために用いられる。すなわち、A層は、重合性液晶化合物を配向させるための配向層として機能する。
【0016】
ポリマー(A−1)としては、感光性構造を有するポリマーが挙げられる。感光性構造を有するポリマー(A−1)に偏光を照射すると、照射された部分の感光性構造が異性化又は架橋することでポリマー(A−1)が配向し、配向規制力が付与されたA層が形成される。上記感光性構造としては、例えば、アゾベンゼン構造、マレイミド構造、カルコン構造、桂皮酸構造、1,2−ビニレン構造、1,2−アセチレン構造、スピロピラン構造、スピロベンゾピラン構造及びフルギド構造等が挙げられる。これらの光配向ポリマーは、組成物(A)に含有されるポリマー(A−1)として単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。ポリマー(A−1)は、感光性構造を有する単量体を用いて、脱水や脱アミン等による重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等により得ることができる。また、異なる感光性構造を有する単量体を複数種用い、それらの共重合体であってもよい。このようなポリマー(A−1)としては、特許第4450261号、特許第4011652号、特開2010−49230号公報、特許第4404090号、特開2007−156439号公報、特開2007−232934号公報等に記載される光配向性ポリマーを用いることもできる。
【0017】
ポリマー(A−1)としては、中でも、照射によって架橋構造を形成する特性を有するものが好ましい。架橋構造を形成するポリマー(A−1)は、A層上に後述する組成物(B)の塗布時に十分な耐久性を確保することができる点で好ましい。
【0018】
組成物(A)におけるポリマー(A−1)の含有量は、本組成物の総質量に対する含有割合で表して、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、0.2〜15質量%の範囲がさらに好ましい。
【0019】
2−2.化合物(A−2)
化合物(A−2)は上述のとおり、その分子内に炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する。ここで、活性水素反応性基とは、カルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、アミノ基(−NH)等の活性水素を有する基に対して反応性を有する基を意味し、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジン基、イミド基、イソシアナト基、チオイソシアナト基、無水マレイン酸基等がその代表例である。化合物(A−2)が有する、炭素−炭素不飽和結合及び活性水素反応性基の個数は、それぞれ1〜20個、好ましくは1〜10個である。
【0020】
化合物(A−2)において、活性水素反応性基は少なくとも2つ存在すると好ましく、この場合、複数存在する活性水素反応性基は同一でも、異なるものであってもよい。
【0021】
化合物(A−2)が有する炭素−炭素不飽和結合とは、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合、あるいはそれらの組み合わせであってよいが、炭素−炭素二重結合であると好ましい。中でも、化合物(A−2)としては、ビニル基及び/又は(メタ)アクリル基として炭素−炭素不飽和結合を含むと好ましい。さらに、活性水素反応性基が、エポキシ基、グリシジル基及びイソシアナト基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましく、アクリル基と、イソシアナト基とを有する化合物(A−2)が特に好ましい。
【0022】
ここで、活性水素反応性基としてイソシアナト基を有し、化合物(A−2)としてより好ましいものを具体的に示す。この好ましい化合物(A−2)は例えば、下記式(1)で表される。
[式(1)中、
nは1〜10までの整数を表わし、Rは、炭素数2〜20の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは炭素数5〜20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰り返し単位にある2つのRは、一方が−NH−であり、他方がN−C(=O)−Rで示される基である。Rは、水酸基又は炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(1)中のRのうち、少なくとも1つのRは炭素−炭素不飽和結合を有する基である。]
【0023】
化合物(A−2)の具体例としては、メタクリロキシグリシジルエーテルやアクリロキシグリシジルエーテルなどの、(メタ)アクリル基とエポキシ基とを有する化合物;オキセタンアクリレートやオキセタンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とオキセタン基とを有する化合物;ラクトンアクリレートやラクトンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とラクトン基とを有する化合物;ビニルオキサゾリンやイソプロペニルオキサゾリンなどの、ビニル基とオキサゾリン基とを有する化合物;イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート及び2−イソシアナトエチルメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とイソシアナト基とを有する化合物のオリゴマー等が挙げられる。また、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、無水マレイン酸及びビニル無水マレイン酸などの、ビニル基やビニレン基と酸無水物とを有する化合物などが挙げられる。中でも、メタクリロキシグリシジルエーテル、アクリロキシグリシジルエーテル、イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、ビニルオキサゾリン、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート及び前記のオリゴマーが好ましく、イソシアナトメチルアクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート及び前記のオリゴマーが特に好ましい。
【0024】
前記式(1)で表される化合物(A−2)の中でも、下記式(2)で表される化合物(以下、場合により「化合物(2)」という。)が特に好ましいものである(なお、nは前記と同じ意味である)。
化合物(2)は市場から容易に入手できる市販品をそのまま又は必要に応じて精製して用いることもできる。該市販品としては、例えば、Laromer(登録商標)LR−9000(BASF社製)等が挙げられる。
【0025】
組成物(A)における化合物(A−2)の含有量は、本組成物の総質量に対する含有割合で表して、0.01〜10質量%の範囲が好ましく、0.02〜5質量%の範囲がさらに好ましい。上記範囲内であれば、組成物(A)中のポリマー(A−1)の反応性を低下させることがない。
【0026】
2−3.溶剤
前記基材上に、A層を形成するためには、組成物(A)が溶剤、特に有機溶剤を含有するものであると、該基材上に組成物(A)を塗布する方法により、A層を簡便に形成できるので好ましい。用いる溶剤としては、合わせて用いるポリマー(A−1)の種類等により適宜選択できるが、具体的には、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン又はメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン又はキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム又はクロロベンゼン等の塩素系溶剤;等が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
組成物(A)が溶剤、特に有機溶剤を含む場合、その含有量は、組成物(A)の固形分100質量部に対して100質量部〜20000質量部が好ましく、より好ましくは200質量部〜15000質量部である。ここで、固形分とは、組成物(A)から、ここに示す溶剤等の低揮発成分を除く成分の合計をいう。
【0028】
3.組成物(B)
次に、B層を形成し得る組成物(B)について説明する。
本発明において、組成物(B)は、(B−1)重合性液晶化合物(以下、場合により「化合物(B−1)」という)、(B−2)炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する化合物(以下、場合により「化合物(B−2)」という)及び(B−3)光重合開始剤を含有する。
【0029】
3−1.化合物(B−1)
組成物(B)に含有される化合物(B−1)とは、重合性基を有し、かつ液晶状態を示す化合物である。重合性基とは、化合物(B−1)の重合反応に関与する基を意味する。
【0030】
化合物(B−1)としては、例えば、式(X)で表される基を含む化合物(以下、場合により「化合物(X)」という。)などが好ましい。
11−B11−E11−B12−A11−B13−* (X)
(式(X)中、P11は、重合性基を表す。
11は、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1〜6のアルキル基及び該炭素数1〜6アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
11は、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR16−、−NR16−CO−、−CO−、−CS−又は単結合を表す。R16は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
12及びB13は、それぞれ独立に、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR16−、−NR16−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。
11は、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−又は−CO−に置き換わっていてもよい。
*は結合手を表す。)
【0031】
11の芳香族炭化水素基及び脂環式炭化水素基の炭素数は、例えば3〜18の範囲であり、5〜12の範囲であることが好ましく、5又は6であることが特に好ましい。A11としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−フェニレン基が好ましい。
【0032】
11としては、直鎖状の炭素数1〜12のアルカンジイル基が好ましい。該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−に置き換っていてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、へキサン−1,6−ジイル基、へプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基及びドデカン−1,12−ジイル基等の炭素数1〜12の直鎖状アルカンジイル基;−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−及び−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−等である。
【0033】
11で示される重合性基としては、重合反応性、特に光重合反応性が高いという点で、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易な上、液晶化合物の製造自体も容易であることから、重合性基として、下記の式(P−11)〜式(P−15)で表される基であることが好ましい。

[式(P−11)〜(P−15)中、
17〜R21はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は水素原子を表す。]
【0034】
式(P−11)〜式(P−15)で表される基をさらに具体的に例示すると、下記の式(P−16)〜式(P−20)で表される基が挙げられる。
【0035】
11は、式(P−14)〜式(P−20)で表される基であることが好ましく、ビニル基、p−スチルベン基、エポキシ基、オキセタニル基等が一層好ましい。
特に好ましくは、P11−B11−で表される基が、アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基である。
【0036】
化合物(X)としては、例えば、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)又は式(VI)で表される化合物が挙げられる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (I)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VI)
(式中、
12〜A14は、A11と同義であり、B14〜B16は、B12と同義であり、B17は、B11と同義であり、E12は、E11と同義である。
11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(−SOH)、カルボキシ基、炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基及びアルコキシ基を構成する−CH−は、−O−に置き換っていてもよい。)
【0037】
化合物(B−1)の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」、「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物、特開2010−31223号公報、特開2010−270108号公報、特開2011−6360号公報及び特開2011−207765号公報記載の重合性液晶化合物が挙げられる。
【0038】
化合物(X)の具体例としては、たとえば以下の式(I−1)〜式(I−4)、式(II−1)〜式(II−4)、式(III−1)〜式(III−26)、式(IV−1)〜式(IV−19)、式(V−1)〜式(V−2)、式(VI−1)〜式(VI−6)でそれぞれ表される化合物などが挙げられる。ただし、式中、k1及びk2は、2〜12の整数を表す。これらの化合物であれば、当該化合物自体の製造が容易であったり、市販されていたりするなど入手が容易であることから好ましい。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
組成物(B)における化合物(B−1)の含有量は、組成物(B)の固形分量に対する含有割合で表して、10〜99.9質量%の範囲が好ましく、20〜99質量%の範囲がより好ましく、50〜98質量%の範囲がさらに好ましく、80〜97質量%の範囲が特に好ましい。上記範囲内であれば、本光学フィルムの製造時において、基材に対する塗布性(塗工性)に優れた組成物として使用することができる。ここで、固形分とは、組成物(B)から後述する溶剤等の低揮発成分を除く成分の合計をいう。
【0048】
3−2.化合物(B−2)
化合物(B−2)は、炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有するものであり、その具体例及び好適例は、組成物(A)に含有される化合物(A−2)として説明したものと同じである。化合物(B−2)は例えば、化合物(2)が好ましく、市販のLaromer(登録商標)LR−9000(BASF社製)等を挙げることができる。なお、本光学フィルム製造において、用いる組成物(A)に含有される化合物(A−2)と、用いる組成物(B)に含有される化合物(B−2)とは互いに同じであっても、異なっていてもよいが、両者は同一であると好ましい。化合物(A−2)及び化合物(B−2)がともに例えば、Laromer LR−9000等の市販品であれば、組成物(A)及び組成物(B)が容易に調製できる点で好ましい。
【0049】
組成物(B)における化合物(B−2)の含有量は、組成物(B)の総質量に対する含有割合で表して、0.01〜10質量%の範囲が好ましく、0.02〜5質量%の範囲がさらに好ましい。上記範囲内であれば、組成物(B)中の化合物(B−1)の配向を乱すことなくB層を形成できるという利点がある。
【0050】
3−3.光重合開始剤(B−3)
組成物(B)は(B−3)光重合開始剤を含む。光重合開始剤とは、光の作用により活性ラジカルを発生し、化合物(B−1)の重合を開始しうる化合物である。光重合開始剤としては、アルキルフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物及びオキシム化合物などが挙げられる。
【0051】
前記アルキルフェノン化合物としては、α−アミノアルキルフェノン化合物、α−ヒドロキシアルキルフェノン化合物及びα−アルコキシアルキルフェノン化合物などが挙げられる。
【0052】
前記α−アミノアルキルフェノン化合物としては、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン及び2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(4−メチルフェニルメチル)ブタン−1−オンなどが挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン及び2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オンなどが挙げられる。前記α−アミノアルキルフェノン化合物は、イルガキュア(登録商標)369、379EG、907(以上、BASFジャパン(株)製)、及びセイクオール(登録商標)BEE(精工化学社製)などの市販品を用いてもよい。
【0053】
前記α−ヒドロキシアルキルフェノン化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。前記α−ヒドロキシアルキルフェノン化合物は、イルガキュア184、2959、127(以上、BASFジャパン(株)製)、及びセイクオールZ(精工化学社製)などの市販品を用いてもよい。
【0054】
前記α−アルコキシアルキルフェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。前記α−アルコキシアルキルフェノン化合物は、イルガキュア651(以上、BASFジャパン(株)製)などの市販品を用いてもよい。
【0055】
前記アルキルフェノン化合物としては、α−アミノアルキルフェノン化合物が好ましく、式(C−1)で表される化合物がより好ましい。組成物(B)に含まれる光重合開始剤が、これらの化合物であると、得られるB層が耐熱性及び耐湿性に優れる傾向があり、結果として本光学フィルムがこれらの特性に優れる傾向がある。
【0056】
[式(C−1)中、Q3は、水素原子又はメチル基を表す。]
【0057】
前記ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0058】
前記ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド及び3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0059】
前記オキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン及びN−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミンなどが挙げられる。前記オキシム化合物としては、イルガキュアOXE−01、OXE−02(以上、BASFジャパン社製)、N−1919(ADEKA社製)などの市販品を用いてもよい。
【0060】
(B−3)光重合開始剤としては、前記のアセトフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、オキシム化合物などを、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも光重合開始剤としてはアセトフェノン化合物を用いることが好ましい。前記アセトフェノン化合物の使用量は、光重合開始剤全量に対して、90質量%以上であることが好ましく、光重合開始剤全量がアセトフェノン化合物であることがより好ましい。
【0061】
組成物(B)における光重合開始剤の含有量は、組成物(B)の固形分量に対する含有割合で表して、好ましくは0.1質量%〜30質量%の範囲であり、より好ましくは0.5質量%〜10質量%の範囲である。光重合開始剤の含有量は前記の範囲内であれば、本組成物に含まれる重合性成分を重合する際に、化合物(X)の配向を乱すことをより抑制できる。
【0062】
3−4.溶剤
組成物(B)は、本光学フィルム製造におけるB層形成の操作性を良好にするために溶剤、特に有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤としては、化合物(B−1)など、組成物(B)の構成成分を溶解し得る有機溶剤が好ましく、さらには化合物(B−1)などの重合反応に不活性な溶剤がより好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びフェノールなどのアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレンなどの非塩素系芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリルなどのニトリル系溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタンなどのエーテル系溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼンなどの塩素系溶剤;などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。これら有機溶剤の中でも、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、非塩素系脂肪族炭化水素溶剤及び非塩素系芳香族炭化水素溶剤が好ましい。特に、組成物(B)を構成する構成成分(化合物(B−1)及び光重合開始剤)は相溶性に優れ、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、非塩素系脂肪族炭化水素溶剤及び塩素系芳香族炭化水素溶剤等にも溶解し得ることから、クロロホルムなどの塩素系溶剤を用いなくとも、A層上にB層を形成して光学フィルムを製造できる。
【0063】
組成物(B)が溶剤、特に有機溶剤を含む場合、その含有量は、固形分100質量部に対して10質量部〜10000質量部が好ましく、より好ましくは100質量部〜5000質量部である。また、組成物(B)中の固形分の濃度は、好ましくは2質量%〜50質量%であり、より好ましくは5〜50質量%である。
【0064】
また、組成物(B)は、必要に応じて、光増感剤、レベリング剤及びカイラル剤などの添加剤を含有していてもよい。以下、組成物(B)が任意に含むことがある、これらの添加剤について説明する。
【0065】
3−5.光増感剤
光増感剤としては、例えば、キサントン及びチオキサントンなどのキサントン類;アントラセン及びアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンを挙げることができる。
光増感剤を用いることにより、化合物(B−1)などの重合を高感度化することができる。また、光増感剤の使用量としては、化合物(B−1)100質量部に対して、例えば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.3質量部〜10質量部である。
【0066】
3−6.レベリング剤
レベリング剤としては、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系及びパーフルオロアルキル系のレベリング剤などが挙げられる。具体的には、例えば、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22−161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC−72、同FC−40、同FC−43、同FC−3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R−08、同R−30、同R−90、同F−410、同F−411、同F−443、同F−445、同F−470、同F−477、同F−479、同F−482、同F−483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S−381、同S−382、同S−383、同S−393、同SC−101、同SC−105、KH−40、SA−100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100、BYK−352、BYK−353、BYK−361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)などが挙げられる。これらレベリング剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
レベリング剤を用いることにより、得られる本光学フィルムを構成するB層をより平滑化することができる。さらに本光学フィルムの製造過程で、溶剤を含む組成物(B)の流動性を制御したり、化合物(B−1)などを重合して形成されるB層の架橋密度を調整したりすることができる。またレベリング剤の使用量は、化合物(B−1)100質量部に対して、例えば0.01質量部〜30質量部であり、好ましくは0.03質量部〜10質量部である。
【0068】
3−7.カイラル剤
カイラル剤としては、公知のカイラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)を用いることができる。
カイラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン及びこれらの誘導体が挙げられる。
例えば、特開2007−269640号公報、特開2007−269639号公報、特開2007−176870号公報、特開2003−137887号公報、特表2000−515496号公報、特開2007−169178号公報、特表平9−506088号公報に記載されているような化合物が挙げられ、好ましくはBASFジャパン(株)製のpaliocolor(登録商標)LC756が挙げられる。
カイラル剤の使用量は、たとえば化合物(B−1)100質量部に対して、例えば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは1.0質量部〜25質量部である。カイラル剤の使用量が前記の範囲内であれば、組成物(B)に含まれる重合性成分、特に化合物(B−1)を重合する際に、該化合物(B−1)の配向を乱すことをより抑制できる。
【0069】
ここまで、本光学フィルムの製造に用いられる基材、組成物(A)及び組成物(B)について説明したが、続いて、これらを用いる本光学フィルム及びその製造方法を説明する。
【0070】
4.本光学フィルム
本光学フィルムは、光を透過し得るフィルムであって、光学的な機能を有するフィルムである。光学的な機能とは、屈折、複屈折などを意味する。
【0071】
本光学フィルムは、可視光領域における透明性に優れるものが好ましく、このような本光学フィルムは様々な表示装置用部材、特にフラットパネル表示装置用部材として使用し得る。本光学フィルムの厚さは、本光学フィルムの用途により適宜調節でき、例えば、その位相差値によって適宜調節すればよいが、0.1〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.2〜5μmであることがさらに好ましい。
このような厚さの本光学フィルムを製造し得る点では、基材の厚さは10〜200μmが好ましく、15〜100μmがさらに好ましい。また、A層の厚さ(膜厚)は0.01〜10μm(10〜10000nm)が好ましく、0.01〜1μm(10〜1000nm)がさらに好ましい。B層の厚さ(膜厚)は、基材及びA層の厚さ等を勘案して定められるが、例えば、0.1〜10μmであり、0.2〜5μmが好ましい。また、後述するように本光学フィルムを位相差フィルムとして用いる場合に、その位相差値を勘案して、B層の膜厚を定めることもできる。
【0072】
表示装置に本光学フィルムを用いる場合、本光学フィルムは単層で用いることもできるし、本光学フィルム複数枚を積層させて積層体としてもよいし、他のフィルムと組み合わせてもよい。他のフィルムと組み合わせて用いることにより、位相差フィルム、視野角補償フィルム、視野角拡大フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルム、円偏光フィルム、楕円偏光フィルム及び輝度向上フィルムなどに利用することができる。また、本光学フィルムは、基材、A層及びB層の層順が変更されない限り、例えば、すでに例示した基材の具体例のうち、複数種の基材が積層されたものであってもよく、複数層のA層を有していてもよく、複数層のB層を有していてもよい。なお、例えば複数層のA層を有している場合、基材上に、組成物(A)を用いて第1のA層を形成した後、B層を形成する前に、第1のA層上に該組成物(A)とは異なる組成物(A)を用いて第2のA層を形成することなどを意味する。
【0073】
特に、本光学フィルムは、B層形成時に化合物(B−1)の配向状態によって光学特性を変化させることにより、VA(vertical alignment)モード、IPS(in-plane switching)モード、OCB(optically compensated bend)モード、TN(twisted nematic)モード、STN(super twisted nematic)モードなど、種々の液晶表示装置用の位相差フィルムとして調整することができる。
【0074】
4−1.位相差フィルム
光学フィルムの一種である位相差フィルムは本光学フィルム使用の好適な実施態様の一つである。該位相差フィルムは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したり、直線偏光の偏光方向を変換したりするために用いられる。
【0075】
前記位相差フィルムとしては、面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内の遅相軸と直交する方向(進相軸方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとした場合、以下のように分類できることが知られている。すなわち、
x>ny≒nzのポジティブAプレート、
x≒ny>nzのネガティブCプレート、
x≒ny<nzのポジティブCプレート、
x≠ny≠nzのポジティブOプレート及びネガティブOプレート
が挙げられる。
【0076】
前記位相差フィルムの位相差値は、用いられる表示装置により、30〜300nmの範囲から適宜選択すればよい。
前記位相差フィルムを広帯域λ/4板として用いる場合は、Re(549)は113〜163nm、好ましくは130〜150nmに調整すればよい。広帯域λ/2板として用いる場合は、Re(549)は250〜300nm、好ましくは265〜285nmに調整すればよい。位相差値が前記の値であると、広範の波長の光に対し、一様に偏光変換できる傾向があり、好ましい。ここで、広帯域λ/4板とは、各波長の光に対し、その1/4の位相差値を発現する位相差フィルムであり、広帯域λ/2板とは、各波長の光に対し、その1/2の位相差値を発現する位相差フィルムである。ここでいうReについては後述する。
【0077】
本光学フィルムを位相差フィルムとして用いる場合、該本光学フィルムを構成するB層は、所望の位相差を与えるように膜厚を調製することができる。得られる位相差フィルムの位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(Y)のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るためには、Δn(λ)と膜厚dを適宜調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ) (Y)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
なお、B層の膜厚は、当該B層形成に用いる組成物(B)中の化合物(B−1)の含有量等により調整できる。
【0078】
4−2.本光学フィルムの製造方法
本光学フィルムの製造方法は例えば、以下の<1>〜<4>の工程を含む。なお、この製造方法は、組成物(A)及び組成物(B)がともに溶剤を含有するものを用いる方法であり、基材、A層及びB層を各々1種有する本光学フィルムの製造方法である。
<1>組成物(A)を基材上に塗布することにより、前記基材上に第1塗布膜を形成する工程(第1塗布膜形成工程);
<2>前記<1>により前記第1塗布膜中に含まれる前記(A−1)を架橋させることにより、第1塗布膜をA層に転換する工程(A層形成工程);
<3>前記<2>により形成された前記A層上に、組成物(B)を塗布することにより、前記A層上に第2塗布膜を形成する工程(第2塗布膜形成工程);
<4>前記<3>により形成された前記第2塗布膜中に含まれる重合性成分を重合する工程(B層形成工程)
【0079】
第1塗布膜形成工程は、前述した基材、好ましくは水酸基を有する材料からなる基材を準備し、該基材上に組成物(A)を塗布することにより、該基材上に第1塗布膜を形成する工程である。
【0080】
組成物(A)の塗布方法としては、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAP(キャップ)コーティング法、ダイコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、スリットコーティング法、スピンコーティング法及びバーコーターによる塗布等が挙げられる。中でも、ロールtoロール形式で連続的に基材上に塗布できる点で、CAPコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、スリットコーティング法、ダイコーティング法及びバーコーターによる塗布が好ましい。
【0081】
かくして形成された第1塗布膜は、A層形成工程を実施する前に、当該第1塗布膜から溶剤等の低揮発成分を十分除去しておくと好ましい。かかる低揮発成分除去は通常、第1塗布膜を乾燥させればよい。乾燥方法としては、例えば自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥又は減圧乾燥等、或いはこれらを組み合わせた方法が挙げられる。具体的な乾燥温度としては、10〜250℃であることが好ましく、25〜200℃であることがさらに好ましい。また乾燥時間としては、用いた組成物(A)に含まれる溶剤の種類にもよるが、5秒間〜60分間であることが好ましく、10秒間〜30分間であることがより好ましい。乾燥温度及び乾燥時間が上記範囲内であれば、すでに例示した基材のいずれかを用いた場合、該基材に対する損傷を抑制することができる。
【0082】
A層形成工程においては、第1塗布膜形成工程により、基材上に形成された第1塗布膜、好ましくは乾燥せしめた第1塗布膜に含まれる化合物(B−1)を光配向(架橋)させることにより、配向規制力を付与して、第1塗布膜をA層に転換する。かくして形成されたA層は、配向規制力を付与されていることから配向膜(配向層)として機能する。
【0083】
光配向により配向規制力を付与するには、第1塗布膜上に、偏光照射(例えば、直線偏光紫外線)を行う。偏光照射は、例えば、特開2006−323060号公報に記載される装置を用いて行うことができる。例えば、第1塗布膜上で、所望の複数領域に対応したフォトマスクを準備し、当該領域毎にフォトマスクを介しての偏光照射(例えば、直線偏光紫外線)を繰り返し行うことにより、パターン化配向膜であるA層を形成することができる。上記フォトマスクとしては、例えば、石英ガラス、ソーダライムガラス又はポリエステルなどのフィルム上に、遮光パターンを設けたものが挙げられる。遮光パターンで覆われている部分は露光される光が遮断され、覆われていない部分は露光される光が透過される。熱膨張の影響が小さいため、フォトマスクの材質としては石英ガラスが好ましい。パターン化配向膜であるA層形成の一例を挙げる。まず、第1塗布膜に、第1のパターン領域に対応した空隙部を有する第1のフォトマスク(残りの領域は遮光パターンになっている)を介して、第1の偏光方向を有する第1の偏光を照射する(第1の偏光照射)。この第1の偏光照射によって、上記第1のパターン領域の配向規制力の方向を上記第1の偏光方向に対応させる。次いで、第2のパターン領域に対応した空隙部を有する第2のフォトマスク(残りの領域は遮光パターンになっている)を介して、上記第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向(例えば、第1の偏光方向に対して垂直な方向)を有する第2の偏光を照射する(第2の偏光照射)。この第2の偏光照射によって、上記第2のパターン領域の配向規制力の方向を上記第2の偏光方向に対応させる。これにより、互いに配向規制力の方向が異なる複数のパターン領域を有する配向層(A層)が得られる。さらに、3種類以上のフォトマスクを介して偏光照射を繰り返し行うことにより、互いに配向規制力の方向が異なる3つ以上のパターン領域を有するパターン化配向膜を作成することもできる。光配向性ポリマーの反応性の点で、各偏光照射とも、照射する光は紫外線であることが好ましい。
【0084】
かくして基材上に形成されるA層の膜厚は、すでに述べたとおり、10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。このような範囲とすれば、後述する第2塗布膜に含まれる液晶性成分(化合物(B−1))を所望の角度に配向させることができる。
【0085】
第2塗布膜形成工程は、A層形成工程で形成されたA層上に、組成物(B)を塗布することにより、第2塗布膜(未重合フィルム)を形成する工程である。第2塗布膜に含まれる化合物(B−1)がネマチック相などの液晶相を示す場合、モノドメイン配向による複屈折性を有する。
【0086】
第2塗布膜形成工程におけるA層上への組成物(B)の塗布方法としては、第1塗布膜形成工程における基材上への組成物(A)を塗布する方法として例示したものと同じ方法が採用できる。この場合も、RolltoRoll形式で連続的に組成物(B)を塗布できる方法が商業的生産の点では好ましい。
【0087】
B層形成工程においては、A層上に形成された第2塗布膜に含まれる重合性成分、特に化合物(B−1)を重合し、硬化させることにより、A層上にB層を形成せしめて本光学フィルムが得られる。本光学フィルムを構成するB層は、化合物(B−1)の配向性が固定化されており、熱による複屈折の変化の影響を受けにくい。また、A層又は第1塗布膜に含まれている化合物(A−2)と、B層又は第2塗布膜に含まれている化合物(B−2)との効果により、A層/B層間の密着性が極めて優れたものとなる。
【0088】
化合物(B−1)を重合させる方法としては、光重合法が好ましい。光重合法によれば、低温で重合を実施できるため、用いる基材の耐熱性の選択幅が広がる。光重合反応は、第2塗布膜に、可視光、紫外光またはレーザー光を照射することにより行われる。取り扱いの点で、紫外光が特に好ましい。
A層上に、組成物(B)を塗布した形成された第2塗布膜に対し、そのまま光照射を行って、B層を形成することもできるが、当該第2塗布膜を乾燥して、当該第2塗布膜から溶剤等の低揮発成分を除去しておくことが好ましい。
なお、低揮発成分の除去は、重合反応と並行して行ってもよいが、重合を行う前に、ほとんどの溶剤を除去しておくことが好ましい。その除去方法としては、第1塗布膜の乾燥方法として例示したものと同じ方法が採用される。中でも、自然乾燥又は加熱乾燥が好ましく、自然乾燥又は加熱乾燥を行う際の温度は、0℃〜250℃の範囲が好ましく、50℃〜220℃の範囲がより好ましく、80℃〜170℃の範囲がさらに好ましい。加熱時間は、10秒間〜60分間が好ましく、より好ましくは30秒間〜30分間である。加熱温度及び加熱時間が上記範囲内であれば、基材及び/又はA層が、耐熱性が必ずしも十分ではないものを用いることができる。
【0089】
5.本光学フィルムの偏光板としての使用
本光学フィルムは、例えば偏光板製造に用いることができる。当該偏光板は、上述した本光学フィルム(本光学フィルムが位相差フィルムである場合を含む)を少なくとも一つ有するものである。
この偏光板としては、図1(a)〜図1(e)に示すように、(1)本光学フィルム1と、偏光フィルム層2とが、直接積層された偏光板4a(図1(a));(2)本光学フィルム1と偏光フィルム層2とが、接着剤層3’を介して貼り合わされた偏光板4b(図1(b));(3)本光学フィルム1と、本光学フィルム1’とを積層させ、さらに、本発明の本光学フィルム1’と偏光フィルム層2とを積層させた偏光板4c(図1(c));(4)本光学フィルム1と、本光学フィルム1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、本光学フィルム1’上に偏光フィルム層2を積層させた偏光板4d(図1(d));及び、(5)本光学フィルム1と、本光学フィルム1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、本光学フィルム1’と偏光フィルム層2とを接着剤層3’を介して貼り合せた偏光板4e(図1(e))等が挙げられる。ここで接着剤とは、接着剤及び/又は粘着剤のことを総称するものである。なお、図1の説明では、光学フィルムとしては、本光学フィルムのみであってもよいし、本光学フィルムに配向膜が積層しているものであってもよいし、本光学フィルムに配向膜及び基材が積層しているものであってもよい。
【0090】
前記偏光フィルム層2は、偏光機能を有するフィルムであればよく、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性色素を吸着させて延伸したフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸して沃素や二色性色素を吸着させたフィルムなどが挙げられる。
【0091】
また、偏光フィルム層2は、必要に応じて、保護フィルムとなるフィルムを備えていてもよい。前記保護フィルムとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム及びポリフェニレンオキシドフィルムなどが挙げられる。
【0092】
接着剤層3及び接着剤層3’に用いられる接着剤は、透明性が高く耐熱性に優れた接着剤であることが好ましい。そのような接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤あるいはウレタン系接着剤などが用いられる。
また、偏光板においては、図1(c)〜図1(e)に示すように、2以上の本発明の光学フィルムを直接または接着剤層を介して貼り合わせてもよい。
【0093】
6.フラットパネル表示装置
本発明のフラットパネル表示装置は、本光学フィルム(本光学フィルムが位相差フィルムである場合を含む)は、フラットパネル表示装置に係る部材として極めて有用である。例えば、本光学フィルムと、液晶パネルとが貼り合わされた液晶パネルを備える液晶表示装置や、本発明の光学フィルムと、発光層とが貼り合わされた有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」ともいう)パネルを備える有機EL表示装置を挙げることができる。本発明のフラットパネル表示装置の実施形態として、液晶表示装置と、有機EL表示装置とについて、簡単に説明する。
【0094】
6−1.液晶表示装置
液晶表示装置としては、例えば、図2(a)及び図2(b)に示すような液晶表示装置等が挙げられる。図2(a)に示す液晶表示装置10aは、本発明の偏光板4と液晶パネル6とを、接着層5を介して貼り合わせてなるものであり、図2(b)に示す液晶表示装置10bは、本発明の偏光板4と本発明の偏光板4’とを液晶パネル6の両面に接着層5及び接着層5’を介して貼り合わせたものである。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、液晶パネルに電圧を印加することにより、液晶分子の配向が変化し、白黒表示ができる。
【0095】
6−2.有機EL表示装置
有機EL表示装置としては、図3に示す有機EL表示装置等が挙げられる。上記有機EL表示装置としては、本発明の偏光板4と、有機ELパネル7とを、接着層5を介して貼り合わせてなる有機EL表示装置11が挙げられる。上記有機ELパネル7は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層である。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、有機ELパネルに電圧を印加することにより、有機ELパネルが有する発光層に含まれる化合物が発光し、白黒表示ができる。
なお、上記有機EL表示装置11において、偏光板4は、広帯域円偏光板として機能するものであることが好ましい。広帯域円偏光板として機能するものであると、有機EL表示装置11の表面において外光の反射を防止することができる。
【実施例】
【0096】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0097】
1.合成例
光配向性ポリマー(Z)を、Macromol. Chem. Phys. 197,1919-1935 (1996)に記載された方法で合成した。
【0098】
合成例(光配向性ポリマー(Z)の合成例)
式(Z−a)で示されるモノマー[モノマー(Z−a)]1.5部とメタクリル酸メチル0.1部とをテトラヒドロフラン16部中に溶解させ、60℃で24時間反応させた。次いで、反応液を室温まで放冷後、トルエンとメタノールとの混合液中に滴下することで、光配向性ポリマー(Z)を得た。光配向性ポリマー(Z)の数平均分子量は33000であった。光配向性ポリマー(Z)において、モノマー(Z−a)に由来する構造の含有率は75mol%であった。
【0099】
【0100】
【0101】
得られた光配向性ポリマー(Z)のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム;TOSOH TSKgel MultiporeHXL−M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−5000、A−500
【0102】
実施例1〜3、比較例1
2.組成物の調製
表1及び表2に示す各成分を混合し、得られた溶液を80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却して組成物を調製した。
【0103】
【表1】

表1中、化合物(A−2)は、Laromer(登録商標)LR−9000(BASFジャパン社製)、溶剤はトルエンを用いた。
【0104】
【表2】
表2中、光重合開始剤は、Irg369(イルガキュア369(BASFジャパン社製))、レベリング剤には、BYK361N(ビックケミージャパン製)、溶剤はトルエン及びシクロペンタノンを用いた。また、液晶化合物(B−1)における、LC242はBASF社製で、下記式の化合物である。
【0105】
3.光学フィルムの製造例
(実施例1、比較例1)
ケン化済トリアセチルセルロースフィルム上に表1の組成物1−1又は組成物1−2で示される光配向性ポリマーのトルエン溶液を塗布し、乾燥後、厚さ280nmの膜を形成した。続いて、面に対して垂直方向から、偏光UV照射冶具付きスポットキュア(SP−7、ウシオ電機(株)製)を用いて 照度15mW/cmで5分間直線偏光を照射した。偏光UVを施した面に、実施例1においては表2の組成物2−1、比較例1においては表2の組成物2−2を、バーコーターを用いて塗布し、120℃に加熱し、液晶相に配向させた膜を得た。その後、室温まで冷却した状態で紫外線をユニキュア(VB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて波長365nmにおいて40mW/cmの照度で1分間照射することにより、光学フィルムを作製した。
【0106】
3−1.密着性評価
JIS−K5600に則り、コーテック株式会社製クロスカットガイドIシリーズ(CCI−1、1mm間隔、25マス用)を用いて、実施例1及び比較例1で作成したサンプルの剥離耐性を評価した。剥離試験後、液晶層の残存数をカウントした結果を表3に示す。
【0107】
4.光学特性の測定
実施例1及び比較例1で作成したフィルムの位相差値を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)により測定した。位相差値Re(λ)は、波長(λ)549nmにおいて測定した。結果を表3に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
組成物1−1及び組成物2−1を用いた実施例の光学フィルムは、密着性に優れることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、液晶表示装置及び有機EL表示装置等に用いられる光学フィルムの製造に極めて有用であり、産業上の価値が高いものである。
【符号の説明】
【0111】
1、1’、12:本光学フィルム、
2、2’:偏光フィルム層、
3、3’:接着剤層、
4a、4b、4c、4d、4e、4、4’:本発明の偏光板、
5、5’:接着層、
6:液晶パネル、
7:有機ELパネル、
10a、10b:液晶表示装置、
11:有機EL表示装置、
図1
図2
図3