(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
本実施形態では、
図1に示すようなレンズ鏡筒10と、撮像装置20と、記録媒体40とからなる装置を例に挙げて説明する。
【0022】
撮像装置20は、レンズ鏡筒10から入射される光学像を撮像する。得られた画像は静止画又は動画の画像として、記憶媒体40に記憶される。
【0023】
レンズ鏡筒10は、焦点調整レンズ(以下、「AF(Auto Focus)レンズ」と称する)11と、レンズ駆動部12と、AFエンコーダ13と、鏡筒制御部14とを備える。なお、レンズ鏡筒10は、撮像装置20に着脱可能に接続されてもよいし、撮像装置20と一体であってもよい。
【0024】
撮像装置20は、撮像部21と、画像処理装置22と、表示部23と、バッファメモリ部24と、記憶部25と、CPU26と、操作部27と、通信部28とを備える。撮像部21は、撮像素子29と、A/D(Analog/Digital)変換部30とを備える。撮像部21は、設定された撮像条件(例えば絞り値、露出値等)に従って、CPU26により制御される。
【0025】
レンズ鏡筒10において、AFレンズ11は、レンズ駆動部12により駆動され、撮像装置20の撮像素子29の受光面(光電変換面)に、光学像を導く。AFエンコーダ13は、AFレンズ11の移動を検出し、AFレンズ11の移動量に応じた信号を、鏡筒制御部14に出力する。ここで、AFレンズ11の移動量に応じた信号とは、例えば、AFレンズ11の移動量に応じて位相が変化するサイン(sin)波信号であってもよい。
【0026】
鏡筒制御部14は、撮像装置20のCPU26から入力される駆動制御信号に応じて、レンズ駆動部12を制御する。ここで、駆動制御信号とは、AFレンズ11を光軸方向に駆動させる制御信号である。鏡筒制御部14は、駆動制御信号に応じて、例えば、レンズ駆動部12に出力するパルス電圧のステップ数を変更する。また、鏡筒制御部14は、AFレンズ11の移動量に応じた信号に基づいて、レンズ鏡筒10におけるAFレンズ11の位置(フォーカスポジション)を、撮像装置20のCPU26に出力する。ここで、鏡筒制御部14は、例えば、AFレンズ11の移動量に応じた信号を、AFレンズ11の移動方向に応じて積算することで、レンズ鏡筒10におけるAFレンズ11の移動量(位置)を算出してもよい。レンズ駆動部12は、鏡筒制御部14の制御に応じてAFレンズ11を駆動し、AFレンズ11をレンズ鏡筒10内で光軸方向に移動させる。
【0027】
撮像装置20において、撮像素子29は、光電変換面を備え、レンズ鏡筒10(光学系)により光電変換面に結像された光学像を電気信号に変換して、A/D変換部30に出力する。撮像素子29は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの光電変換素子で構成される。また、撮像素子29は、光電変換面の一部の領域について、光学像を電気信号に変換するようにしてもよい(画像切り出し)。また、撮像素子29は、操作部27を介してユーザからの撮影指示を受け付けた際に得られる画像を、A/D変換部30および通信部28を介して記憶媒体40に出力する。一方、撮像素子29は、操作部27を介してユーザからの撮影指示を受け付ける前の状態において、連続的に得られる画像をスルー画像として、バッファメモリ部24及び表示部23に、A/D変換部30を介して出力する。
【0028】
A/D変換部30は、撮像素子29によって変換された電気信号をデジタル化して、デジタル信号である画像をバッファメモリ部24等に出力する。
【0029】
画像処理装置22は、記憶部25に記憶されている画像処理条件に基づいて、バッファメモリ部24に一時的に記憶されている画像に対する画像処理を行う。そして、画像処理後の画像は、通信部28を介して記憶媒体40に記憶される。また、画像処理装置22は、バッファメモリ部24に一時的に記憶されている画像に対して、マスク抽出処理を行う(詳細は後述する)。そして、抽出したマスクに関する情報は、CPU26に出力されるとともに、記憶部25や記憶媒体40等に記憶される。
【0030】
表示部23は、例えば液晶ディスプレイであって、撮像部21によって生成された画像、及び操作画面等を表示する。バッファメモリ部24は、撮像部21によって生成された画像を一時的に記憶する。記憶部25は、撮像条件や、各種判定の際にCPU26によって参照される判定条件などを記憶する。
【0031】
CPU26は、画像処理部22や記憶部25などから適宜必要な情報を取得し、取得した情報に基づいて、撮像装置20内の各部を統括的に制御する。CPU26による制御には、焦点調整(AF)の設定、露出調整(AE)の設定、ホワイトバランス調整(AWB)の設定、閃光の発光量の変更の設定、被写体追尾の設定、各種撮影モードの設定、各種画像処理の設定、各種表示の設定、ズーム倍率に連動した明るさの最適化の設定などが含まれる。また、CPU26は、操作部27の操作状態を監視するとともに、表示部23への画像データの出力を行う。
【0032】
操作部27は、例えば、電源スイッチ、シャッタボタン、マルチセレクタ(十字キー)、又はその他の操作キーを備え、ユーザによって操作されることでユーザの操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号をCPU26に出力する。
【0033】
通信部28は、カードメモリ等の取り外しが可能な記憶媒体40と接続され、この記憶媒体40への情報(画像データ、領域の情報など)の書込み、読み出し、あるいは消去を行う。
【0034】
記憶媒体40は、撮像装置20に対して着脱可能に接続される記憶部であって、情報(画像データ、領域の情報など)を記憶する。なお、記憶媒体40は、撮像装置20と一体であってもよい。
【0035】
撮像装置20は、撮影時に、焦点調節情報に基づいて主要被写体領域を検出する通常モードの他に、自動で主要被写体領域を検出する自動検出モードを備える。自動検出モードは、構図確認用のスルー画像等に基づいて、主要被写体領域を自動で継続的に検出するモードである。この自動検出モードは操作部27を介したユーザ操作により設定可能であっても良いし、CPU26により自動で設定可能であっても良い。
【0036】
以下、自動検出モード実行時のCPU26の動作について、
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
ステップS101において、CPU26は、被写界の測光を開始する。被写界の測光は公知技術と同様に行われる。例えば、CPU26は、撮像部21により生成されるスルー画像に基づいて測光を行っても良いし、不図示の測光センサの出力に基づいて測光を行っても良い。CPU26は、所定の時間間隔で測光を行い、取得される輝度値であるBV値を記憶部25に随時記録する。
【0038】
ステップS102において、CPU26は、コントラストの測定を開始する。コントラストの測定は公知技術と同様に行われる。例えば、CPU26は、撮像部21により生成されるスルー画像に基づいてコントラストの測定を行っても良いし、その他のセンサなどの出力に基づいてコントラストの測定を行っても良い。CPU26は、所定の時間間隔でコントラストを測定し、取得されるコントラスト値を記憶部25に随時記録する。
【0039】
ステップS103において、CPU26は、撮像部21を制御して、スルー画像の取得を開始する。取得されたスルー画像の画像情報はバッファメモリ部24に一時的に記憶される。このスルー画像は、所定の時間間隔で連続して生成される。そして、CPU26によるスルー画像の取得は、時間的に連続して順次行われる。
【0040】
ステップS104において、CPU26は、画像処理装置22を制御して通常の画像処理を行う。通常の画像処理とは、ホワイトバランス調整、補間処理、色調補正処理、階調変換処理などである。各処理の具体的な方法は公知技術と同様であるため説明を省略する。画像処理装置22は、バッファメモリ部24から対象となる画像の画像データを取得し、画像処理を施した後に、再びバッファメモリ部24に出力する。
【0041】
ステップS105において、CPU26は、影の影響があるか否かを判定する。CPU26は、影の影響があると判定すると後述するステップS107に進む。一方、影の影響がないと判定すると、CPU26は、ステップS106に進む。
【0042】
影の影響があるか否かの判定は、ステップS101で開始した測光の結果と、ステップS102で開始したコントラストの測定の結果との少なくとも一方に基づいて行われる。
【0043】
影の影響がある場合とは、晴天時の屋外等の状況において撮影が行われる場合や、屋内のスタジオなどにおいて、特殊な照明が被写体に照射される場合などである。このような場合には、処理対象の画像に関して、影の部分が被写体領域として抽出されてしまう可能性がある。CPU26は、ステップS101で開始した測光の結果と、ステップS102で開始したコントラストの測定の結果との少なくとも一方に基づいて、被写界の明るさや、被写界のシーンなどを解析することにより、影の影響があるか否かの判定を行う。
【0044】
具体的には、例えば、BV値が所定の閾値よりも大きい(つまり、明るい)場合に影の影響があると判定しても良いし、BV値が所定の閾値よりも大きく、かつ、コントラスト値が所定の閾値よりも大きい(つまり、コントラストが高い)場合に影の影響があると判定しても良い。また、ステップS101で開始した測光の結果と、ステップS102で開始したコントラストの測定の結果との少なくとも一方に基づいて、影の影響を示す評価値を算出し、その評価値と所定の閾値とを比較することにより、影の影響があるか否かの判定を行っても良い。
【0045】
ステップS106において、CPU26は、画像処理装置22を制御してマスク抽出処理(I)を行う。マスク抽出処理とは、画像における特徴量を算出し、特徴量に基づいて被写体領域を検出するための一手法である。例えば、画像における特徴量を求め、同様の特徴量を有する連続領域を求めることによりマスク抽出を行う。また、マスク抽出処理(I)とは、影の影響がない、一般的な画像を対象とした通常のマスク抽出処理である。
【0046】
マスク抽出処理(I)について
図3〜
図7の模式図を参照して説明する。
【0047】
画像処理装置22は、ステップS104で通常の画像処理を施した画像をバッファメモリ部24から読み出し、適宜リサイズ処理および色空間変換処理を行い、YUV(例えば、YCbCr)画像を生成する。次に、画像処理装置22は、生成したYUV画像のY画像、Cb画像およびCr画像のそれぞれに基づいて、マスク画像を作成する。
【0048】
画像処理装置22は、
図3に示すように、Y画像、Cb画像およびCr画像のそれぞれからYマスクM[Y]、CbマスクM[Cb]およびCrマスクM[Cr]を作成する。画像処理装置22は、Y画像から、例えば、Y画像の中心の4画素における平均画素値Yaveに対して、所定の範囲(例えば、Yave+K・σ)の2値化画像を生成する。そして、生成したY2値化画像に対してラベリング処理を行い、不要なマスクを排除することによりYマスクM[Y]を作成する。なお、上述したKは所定の係数(例えば、K=0.6)であり、σはYaveからの偏差である。また、2値化処理およびラベリング処理は公知技術と同様であるため説明を省略する。画像処理装置22は、同様の処理を行ってCb画像からCbマスクM[Cb]を作成し、Cr画像からCrマスクM[Cr]を作成する。
【0049】
また、画像処理装置22は、
図3に示すように、作成したYマスクM[Y]、CbマスクM[Cb]およびCrマスクM[Cr]から中心マスクM[a]を作成する。中心マスクM[a]は、YマスクM[Y]、CbマスクM[Cb]およびCrマスクM[Cr]が重なる重複領域からなるマスクである。なお、中心マスクM[a]を作成する際には、領域を例えば中央領域に限定して重複領域を求めても良い。あるいは、中央を含むマスクに限定しても良い。以降の処理では、最終的に作成した中心マスクM[a]のみを使用する。
【0050】
また、画像処理装置22は、
図4に示すように、Y画像から3種類の輝度マスクを作成する(ただし、Y画像から4種類以上のマスクを作成しても良い。)。画像処理装置22は、Y画像の各画素値を入力値とし、補正(例えばガンマ補正)後の各画素値を出力値とする。そして、出力値に応じて3つの区分の2値化画像を生成する。
図4に示すように、Y画像のハイライト部分からはYハイライト2値化画像が生成され、Y画像の中間以上の部分からはY中間以上2値化画像が生成され、Y画像のシャドー部分からはYシャドー2値化画像が生成される。そして、画像処理装置22は、生成した3種類の2値化画像のそれぞれに対してラベリング処理を行い、不要なマスクを排除することにより、YハイライトマスクM[Y1]、Y中間以上マスクM[Y2]およびYシャドーマスクM[Y3]の各輝度マスクを作成する。
【0051】
また、画像処理装置22は、
図5に示すように、Cb画像およびCr画像のそれぞれから、3種類ずつの色マスクを作成する。画像処理装置22は、Cb画像に対して、上述した
図4の例と同様に、出力値に応じて3つの所定区分の2値化画像を生成する。
図5に示すように、Cb画像からは、青側を中心としたCb青側2値化画像、中間成分を中心としたCb中間2値化画像、黄側を中心としたCb黄側2値化画像が生成される。同様に、Cr画像からは、赤側を中心としたCr赤側2値化画像、中間成分を中心としたCr中間2値化画像、緑側を中心としたCr緑側2値化画像が生成される。そして、画像処理装置22は、生成した6種類の2値化画像のそれぞれに対してラベリング処理を行い、不要なマスクを排除することにより、Cb青側マスクM[Cb1]、Cb中間マスクM[Cb2]、Cb黄側マスクM[Cb3]、Cr赤側マスクM[Cr1]、Cr中間マスクM[Cr2]、Cr緑側マスクM[Cr3]の6種類の色マスクを作成する。
【0052】
また、画像処理装置22は、
図6に示すように、Cb画像およびCr画像から3種類の純色マスクを作成する。純色マスクとは、任意の一定の領域を有する「絶対的に純度の高い被写体」を抽出したマスクである。純色マスクの作成は、公知技術と同様に行われるため説明を省略する。画像処理装置22は、
図6に示すように、Cb画像およびCr画像から、純色赤マスクM[R]、純色黄マスクM[Ye]、純色紫マスクM[P]の各純色マスクを作成する。
【0053】
以上説明した処理により、画像処理装置22は、
図3に示した1種類のマスク(中心マスクM[a])と、
図4に示した3種類の輝度マスクと、
図5に示した6種類の色マスクと、
図6に示した3種類の純色マスクの合計13種類のマスクを作成する。
【0054】
次に、画像処理装置22は、作成した13種類のマスクに対して、不要なマスクを排除し、残ったマスクについて、優先度を決定する。優先度とは、13種類のマスクから、実際に被写体領域の抽出に用いるマスクを決定する際の優先度合を示す。
【0055】
一般的な画像を対象とした通常のマスク抽出処理であるマスク抽出処理(I)においては、例えば、
図7に示すように、3段階の優先度が予め定められる。優先度1位は、3種類の純色マスクであり、優先度2位は、色マスクのうちCb青側マスクM[Cb1] およびCb黄側マスクM[Cb3]であり、優先度3位はその他のマスクである。なお、
図7に示す優先度は一例であり、複数段階であれば何段階であっても良い。また、
図7における各マスクの各優先度への振り分けは一例である。
図7に示すように、優先度は、色情報に関するマスクの優先度が相対的に高く決定されている。そして、画像処理装置22は、これらの優先度に応じて、優先度の高い各マスクを優先しつつ、一定評価値以上のマスクを求め、被写体領域を抽出するためのマスクとする。なお、被写体領域を抽出するためのマスクを選択する方法は、公知技術などどのような方法であっても良い。最後に、画像処理装置22は、選択したマスクに基づいて被写体領域を抽出し、後述するステップS108に進む。
【0056】
ステップS107において、CPU26は、画像処理装置22を制御してマスク抽出処理(II)を行う。マスク抽出処理(II)とは、影の影響がある画像を対象としたマスク抽出処理である。CPU26は、画像処理装置22を制御して、マスク抽出処理(II)において、以下の(a)〜(c)の少なくとも1つの処理を行う。以下では、ステップS106で説明したマスク抽出処理(I)との相違点についてのみ説明する。
【0057】
(a)YシャドーマスクM[Y3]の作成方法の変更。
【0058】
画像処理装置22は、ステップS106で説明した13種類のマスクを作成する。ただし、画像処理装置22は、
図3で説明したYシャドーマスクM[Y3]を作成する際に、マスク抽出処理(I)とは条件を変える。マスク抽出処理(II)は、上述したように、影の影響がある画像を対象としたマスク抽出処理である。YシャドーマスクM[Y3]は、低輝度領域(所定の閾値と比較した結果が真となる画素の空間的連続領域)に基づく被写体領域を検出するマスクであり、影の部分を被写体領域として検出してしまう可能性が高いマスクである。したがって、YシャドーマスクM[Y3]が影を検出するのを防ぎ、色としての黒側を抽出するようにYシャドーマスクM[Y3]の作成方法を変更する。
【0059】
マスク抽出処理(II)においては、
図4に示したYシャドー2値化画像を生成する際の閾値をマスク抽出処理(I)の場合よりも小さく設定する。すなわち、マスク抽出処理(I)の場合と比較して、閾値をシャドー側にシフトすることにより、薄い影の部分を拾い難くし、黒い物体のみを拾うことができるようにする。なお、閾値の設定を、影の影響の度合に応じて変更しても良い。すなわち、影の影響が大きくなるほど、上述した閾値が小さくなるように、段階的な設定を行っても良い。また、上述した閾値を小さく設定する代わりに、上述した閾値を、より小さい値である所定の第2の閾値に変更する構成としても良い。
【0060】
(b)YシャドーマスクM[Y3]の優先度の変更。
【0061】
画像処理装置22は、ステップS106で説明した13種類のマスクを作成する。ただし、画像処理装置22は、ステップS106とは異なり、YシャドーマスクM[Y3]の優先度を、マスク抽出処理(I)の場合よりも低くする(下げる)。例えば、
図7で説明した優先度3位よりも下の優先度4位とする。このように優先度を決定するのは、対象画像が影の影響がある画像であることを鑑みたことによるものであり、YシャドーマスクM[Y3]により、影の部分を被写体領域として検出してしまう可能性を抑えるためである。そして、画像処理装置22は、ステップS106と同様に、優先度の高い各マスクを優先しつつ、一定評価値以上のマスクを求め、被写体領域を抽出するためのマスクとして選択する。
【0062】
(c)YシャドーマスクM[Y3]とその他のマスクとの相対位置に基づく変更。
【0063】
画像処理装置22は、ステップS106で説明した13種類のマスクを作成する。その後、画像処理装置22は、YシャドーマスクM[Y3]とその他のマスクとの相対位置を確認する。
【0064】
対象画像が
図8に示す画像である場合を例に挙げて説明する。
図8の例では、主要被写体である猫T1と、猫の影T2とが含まれる。この画像に対して作成した13種類のマスクの例を
図9に示す。
図9に示すように、YシャドーマスクM[Y3]においては、影T2の部分が抽出されている。そこで、まず、画像処理装置22は、YシャドーマスクM[Y3]とその他のマスクとの相対位置を確認する。
図9の各マスク中の点線は、YシャドーマスクM[Y3]により抽出された領域に対応する領域を示す。
図9の例では、Cb黄側マスクM[Cb3]、Cr赤側マスクM[Cr1]、Cr中間マスクM[Cr2]の3種類のマスクが、YシャドーマスクM[Y3]と近接している。なお、YシャドーマスクM[Y3]とその他のマスクとが近接しているか否かは、双方のマスクのエッジ間の最近接距離が所定の画素数内であるか(例えば、2画素以内であるか)否かによって判定される。このような場合に、画像処理装置22は、YシャドーマスクM[Y3]を以降の処理から除外する。すなわち、ステップS106で説明した13種類のマスクのうち、YシャドーマスクM[Y3]を除く12種類のマスクから、上述した被写体領域を抽出するためのマスクを選択する。
【0065】
なお、YシャドーマスクM[Y3]とその他のマスクとの相対位置に基づいて、さらにマスクを除外しても良い。
図9の例において、例えば、YシャドーマスクM[Y3]に内包されるか、あるいは、YシャドーマスクM[Y3]とほぼ重複しているマスクであるCb青側マスクM[Cb1]、Cb中間マスクM[Cb2]、Cr緑側マスクM[Cr3]、中心マスクM[a]の5種類のマスクを、上述したYシャドーマスクM[Y3]と同様に、以降の処理から除外しても良い。
【0066】
このように一部のマスクを除外するのは、対象画像が影の影響がある画像であることを鑑みたことによるものであり、影の影響が大きく出ると考えられるマスクを除外することにより、影の部分を被写体領域として検出してしまうことを防ぐためである。そして、画像処理装置22は、ステップS106と同様に、優先度の高い各マスクを優先しつつ、一定評価値以上のマスクを求め、被写体領域を抽出するためのマスクとして選択する。
【0067】
さらに、YシャドーマスクM[Y3]とその他のマスクとの相対位置に基づいて、優先度を変更しても良い。例えば、YシャドーマスクM[Y3]とその他のマスクとが近接している場合には、上述した(2)のケースと同様に、YシャドーマスクM[Y3]の優先度を、マスク抽出処理(I)の場合よりも低くしても良い。また、YシャドーマスクM[Y3]とほぼ重複しているマスクであるCb青側マスクM[Cb1]、Cb中間マスクM[Cb2]、Cr緑側マスクM[Cr3]、中心マスクM[a]の5種類のマスクについても、優先度を、マスク抽出処理(I)の場合よりも相対的に低くしても良い。
【0068】
なお、ステップS106およびステップS107で説明した各マスク抽出処理において、画像処理装置22は、1つの被写体領域のみ抽出しても良いし、複数の被写体領域を抽出しても良い。また、ステップS107で説明したマスク抽出処理(II)における変更点は一例である。いずれにせよ、対象画像が影の影響がある画像であるか否かに応じて、マスクの作成方法や、被写体領域を抽出するためのマスクの選択方法を変更すれば良い。さらに、例えば、上述した影の影響の度合に応じて、より細かく上記の点を変更しても良い。
【0069】
ステップS108において、CPU26は、ステップSS106またはステップS107のマスク抽出処理の結果を、被写体情報としてバッファメモリ部24や記憶部25等に記録する。被写体情報には、マスク抽出処理の抽出条件(色区分やマスク区分など)、マスクの位置、マスクの大きさや形状、抽出した被写体領域の位置、被写体領域の大きさや形状などの情報が含まれる。
【0070】
ステップS109において、CPU26は、撮影指示が行われたか否かを判定する。CPU26は、撮影指示が行われたと判定するとステップS110に進む。一方、撮影指示が行われないと判定すると、CPU26は、ステップS104に戻り、次のフレームの画像に対してステップS104以降の処理を行う。撮影指示は、操作部27のシャッタボタンを介したユーザ操作により行われる。
【0071】
ステップS110において、CPU26は、各部を制御して撮影を実行する。このとき、CPU26は、ステップS108で記録した被写体情報に基づいて撮影を行う。CPU26は、ステップS108で記録した被写体情報に基づいて、焦点調整(AF)の設定処理、露出調整(AE)の設定処理、ホワイトバランス調整処理(AWB)の3A処理を行うとともに、画像処理装置22における各種画像処理の条件等を決定する。
【0072】
なお、焦点調整(AF)の設定処理において、CPU26は、抽出した被写体領域を整形し、コントラストスキャンを実行する。そして、CPU26は、コントラストスキャンの結果に基づいて、AFレンズ11により合焦させる(合焦駆動)。
【0073】
また、マスク抽出処理および被写体情報の記録が完了していない状態で撮影指示が行われてしまった場合には、CPU26は、通常の3A処理を行い、この3A処理の結果に基づいて撮影を実行すればよい。または、マスク抽出処理および被写体情報の記録が完了するまで、撮影指示に関するユーザ操作の受付を禁止しても良い。
【0074】
ステップS111において、CPU26は、撮像により生成した画像を、通信部28を介して記憶媒体40に記録して一連の処理を終了する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、処理対象の画像データを取得し、画像データにより示される画像の特徴量を算出し、特徴量に基づいて定まる被写体領域を検出する。さらに、取得した画像における影の影響を示す評価値を算出し、算出した評価値に基づいて、被写体領域の検出方法を決定する。したがって、処理対象の画像に影の影響がある場合であっても、影の領域を誤認識することなく、被写体領域の抽出を的確に行うことができる。
【0076】
特に、構図確認用のスルー画像については、一般に表示時間が長くなるため、このような工夫が大きな効果を発揮することとなる。
【0077】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0078】
上記実施形態では、処理対象の画像に影の影響があるか否かに応じて、被写体領域の検出方法を決定する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、操作部27を介したユーザ操作に基づいて、影の影響がある場合の処理(マスク抽出処理(II))を実行しても良い。また、風景モードや夜景モードなど、シーンに応じて撮影条件等が予め設定されるいわゆるシーンモードの種類に応じて、影の影響がある場合の処理(マスク抽出処理(II))を実行しても良い。
【0079】
また、上記の実施形態において、
図2のステップS101において測光を開始した時に、BV値の変化が大きく、不安定である場合には、ステップS104以降の処理のうち、特にステップS105における判定処理が正しく行えない場合がある。そこで、ステップS101において測光を開始した後にBV値を監視し、BV値がある程度安定したことを確認してからステップS104以降の処理を行う構成としても良い。
【0080】
また、上記の実施形態においては、構図確認用のスルー画像に基づいて、一連の処理を行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、一眼レフカメラなどにおいて生成される構図確認用のライブビュー画像を対象とする場合にも、本発明を同様に適用することができる。また、記録媒体40等に記録された動画像を対象とする場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0081】
また、上記の実施形態においては、すべてのフレームを対象として一連の処理を行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、時間的に間欠して生成された複数の画像を対象としても良い。具体的には、適宜フレーム間引きを行った複数の画像を対象としても良い。このような処理を行うことにより、処理負荷を軽減することができる。
【0082】
また、コンピュータと画像処理プログラムとからなる「コンピュータシステム」により、上述した実施形態で説明した画像処理をソフトウェア的に実現しても良い。この場合、実施形態で説明したフローチャートの処理の一部または全部をコンピュータシステムで実行する構成とすれば良い。例えば、
図2のステップS104からステップS108の処理の一部または全部をコンピュータで実行しても良い。このような構成とすることにより、上述した実施形態と同様の処理を実施することが可能になる。この場合、コンピュータにより、処理対象の画像とともに、実施形態で用いたBV値やコントラスト値などを取得する構成としても良い。
【0083】
また、「コンピュータシステム」は、wwwシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0084】
さらにコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0085】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0086】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。