特許第6011163号(P6011163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011163
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】接眼レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 25/00 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   G02B25/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-189151(P2012-189151)
(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-48344(P2014-48344A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】毛利 元壽
【審査官】 森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−156017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり
前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、
前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、
以下の条件式を満足することを特徴とする接眼レンズ。
0.33 ≦ (d12)/ΣD < 0.60
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【請求項2】
観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり
前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、
前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、
以下の条件式を満足することを特徴とする接眼レンズ。
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
1.50 < r12/r32 < 6.00
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)
r12:前記第1レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径、
r32:前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【請求項3】
観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり
前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、
前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、
以下の条件式を満足することを特徴とする接眼レンズ。
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
−0.40 < (r21+r22)/(r21−r22) < −0.12
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)
r21:前記第2レンズ群の最も観察物体側のレンズ面の曲率半径、
r22:前記第2レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【請求項4】
観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり、
前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、
前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、
以下の条件式を満足することを特徴とする接眼レンズ。
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
0.40 < (r31+r32)/(r31−r32) < 0.70
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)
r31:前記第3レンズ群の最も観察物体側のレンズ面の曲率半径、
r32:前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【請求項5】
観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり
前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、
前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、
以下の条件式を満足することを特徴とする接眼レンズ。
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
0.38 ≦ d12/f2 ≦ 0.91
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)
f2:前記第2レンズ群の焦点距離。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【請求項6】
観察物体側から順に並んだ、両凹形状の負の屈折力を有する単レンズからなる第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり、
前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、
以下の条件式を満足することを特徴とする接眼レンズ。
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【請求項7】
前記第1レンズ群は、両凹形状の負の単レンズからなることを特徴とする請求項2〜5のうちいずれか1項に記載の接眼レンズ。
【請求項8】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の接眼レンズ。
0.38 ≦ d12/f2 ≦ 0.91
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が-1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上間隔、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離。
【請求項9】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項3または4に記載の接眼レンズ。
1.50 < r12/r32 < 6.00
但し、
r12:前記第1レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径、
r32:前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
【請求項10】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項に記載の接眼レンズ。
−0.40 < (r21+r22)/(r21−r22) < −0.12
但し、
r21:前記第2レンズ群の最も観察物体側のレンズ面の曲率半径、
r22:前記第2レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
【請求項11】
記第2レンズ群は、両凸形状の正の単レンズからなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の接眼レンズ。
【請求項12】
記第3レンズ群は、両凹形状の負の単レンズからなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の接眼レンズ。
【請求項13】
前記第1レンズ群を光軸に沿って移動させることにより、視度調整を行うことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の接眼レンズ。
【請求項14】
前記第3レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の接眼レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正立系を介して観察する接眼レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、視度調整が可能な接眼レンズが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3850421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の接眼レンズに対して、視度調整範囲内でより良好な収差の確保が
望まれていた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、視度調整による収差変動を抑
えて、視度調整範囲内で諸収差が良好に補正された接眼レンズを提供することを目的とす
る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、第1の発明に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり、前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、以下の条件式を満足する。
【0007】
0.33 ≦ (d12)/ΣD < 0.60
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【0008】
また、第2の発明に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり、前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、以下の条件式を満足する。
【0009】
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
1.50 < r12/r32 < 6.00
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)
r12:前記第1レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径、
r32:前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【0010】
また、第3の発明に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり、前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、以下の条件式を満足する。
【0011】
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
−0.40 < (r21+r22)/(r21−r22) < −0.12
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)
r21:前記第2レンズ群の最も観察物体側のレンズ面の曲率半径、
r22:前記第2レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【0012】
また、第4の発明に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり、前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、以下の条件式を満足する。
【0013】
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
0.40 < (r31+r32)/(r31−r32) < 0.70
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)
r31:前記第3レンズ群の最も観察物体側のレンズ面の曲率半径、
r32:前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【0014】
また、第5の発明に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり、前記第1レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、以下の条件式を満足する。
【0015】
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
0.38 ≦ d12/f2 ≦ 0.91
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)
f2:前記第2レンズ群の焦点距離。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【0016】
また、第6の発明に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、両凹形状の負の屈折力を有する単レンズからなる第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり、前記第2レンズ群は、少なくとも1つのレンズ面が非球面であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第3レンズ群は、最もアイポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより視度調整が可能であり、以下の条件式を満足する。
【0017】
0.30 < (d12)/ΣD < 0.60
但し、
d12:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との光軸上の間隔、
ΣD:前記接眼レンズの視度が−1m-1時の前記接眼レンズの総厚(前記第1レンズ群の最も観察物体側のレンズ面から前記第3レンズ群の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上の頂点間隔)。
ここで、前記レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、視度調整による収差変動を抑えて、視度調整範囲内で諸収差が良好に
補正された接眼レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施例に係る接眼レンズの構成図である。
図2】第1実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及び歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−3m-1時の諸収差図、(c)は視度+1m-1時の諸収差図を示す。
図3】第2実施例に係る接眼レンズの構成図である。
図4】第2実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及び歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−2m-1時の諸収差図、(c)は視度+1m-1時の諸収差図を示す。
図5】第3実施例に係る接眼レンズの構成図である。
図6】第3実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及び歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−2m-1時の諸収差図、(c)は視度0m-1時の諸収差図を示す。
図7】第4実施例に係る接眼レンズの構成図である。
図8】第4実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及び歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−2m-1時の諸収差図、(c)は視度0m-1時の諸収差図を示す。
図9】第5実施例に係る接眼レンズの構成図である。
図10】第5実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及び歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−2m-1時の諸収差図、(c)は視度0m-1時の諸収差図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る接眼レン
ズは、図1に示すように、観察物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群
G1と、両凸形状の正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レ
ンズ群G3とを有し、第1レンズ群G1は、最もアイポイント側(すなわち、最も眼側)
のレンズ面が凹面形状であり、第2レンズ群G2は、少なくとも1つのレンズ面が非球面
であり、最も観察物体側のレンズ面の曲率(すなわち、曲率半径の逆数)が最もアイポイ
ント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、第3レンズ群G3は、最もアイ
ポイント側のレンズ面が凹面形状であり、この最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最
も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成され、第1レンズ群G1、第2
レンズ群G2および第3レンズ群G3のうち、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って
移動させることにより視度調整が可能であり、次の条件式(1)を満足する。
【0022】
0.30 < d12/ΣD < 0.60 …(1)
但し、
d12:接眼レンズの視度が−1m-1時の第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との光
軸上の間隔、
ΣD:接眼レンズの視度が−1m-1時の接眼レンズの総厚(第1レンズ群G1の最も観
察物体側のレンズ面から第3レンズ群G3の最もアイポイント側のレンズ面までの光軸上
の頂点間隔)。
【0023】
なお、図1では、第1レンズ群G1の最もアイポイント側のレンズ面として、曲率半径
がR5のレンズ面が該当する。第2レンズ群G2の最も観察物体側のレンズ面として曲率
半径がR6のレンズ面が該当し、最もアイポイント側のレンズ面として曲率半径がR7の
レンズ面が該当し、これらのレンズ面は共に非球面である。第3レンズ群G3の最も観察
物体側のレンズ面として曲率半径がR8のレンズ面が該当し、最もアイポイント側のレン
ズ面として曲率半径がR9のレンズ面が該当する。
【0024】
本実施形態に係る接眼レンズは、上述のように、観察物体側から順に並んだ、負の屈折
力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を
有する第3レンズ群G3とからなり、これらレンズ群G1〜G3のうち少なくとも1つの
レンズ群を光軸に沿って移動させることにより、容易に視度調整することが可能となって
いる。しかしながら、接眼レンズ全体の屈折力を強くすると、各レンズ群の屈折力が相対
的に強くなるため、視度調整時に視度の変化と共に収差の変動も大きくなる。特に、第1
レンズ群G1および第2レンズ群G2の屈折力が強まると、その傾向が顕著になり、コマ
収差および歪曲収差の変動が大きくなる。そこで、本実施形態では、条件式(1)を満足
するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔を広げることにより、視度調
整による第1レンズ群G1から第2レンズ群G2へ入射する光束の、第2レンズ群G2へ
対する入射角度の変化を小さくして、視度調整によるコマ収差および歪曲収差の変動を良
好に抑えることができるようにしている。
【0025】
そして、第1レンズ群G1は、負の屈折力を有し、最もアイポイント側のレンズ面を、
アイポイント側に向けた凹面形状とすることにより、第1レンズ群G1で発散して第2レ
ンズ群G2に入射する光束に対して、コマ収差および歪曲収差を良好に補正することがで
きる。
【0026】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正の屈折力を有し、最も観察物体側のレンズ面の曲率
が最もアイポイント側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成することにより、球面
収差およびコマ収差を良好に補正することができる。また、第2レンズ群G2において、
少なくとも1つのレンズ面を非球面とすることにより、球面収差およびコマ収差をより良
好に補正することができる。望ましくは、第2レンズ群G2の観察物体側のレンズ面を非
球面とすると、球面収差およびコマ収差をさらに良好に補正することができる。
【0027】
第3レンズ群G3は、負の屈折力を有し、最もアイポイント側のレンズ面を、アイポイ
ント側に向けた凹面形状とし、最もアイポイント側のレンズ面の曲率が最も観察物体側の
レンズ面の曲率より大きくなるように構成することにより、観察物体(図示略)から出て
アイポイントE.Pで収束する光束に対して、レンズ面に対する入射角を小さくすること
ができるので、コマ収差の発生を良好に抑えることができる。
【0028】
本実施形態では、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3のうち
、少なくとも1つのレンズ群を光軸に沿って移動させることにより、視度調整を行うこと
が可能である。特に、第1レンズ群G1を移動させて視度調整を行う構成にすれば、第1
レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が広がり、第1レンズ群G1の屈折力が弱くな
り、光軸に沿って移動した際に発生する収差量が小さくなるため、視度調整範囲内におけ
る(コマ収差や歪曲収差などの)収差変動が小さくなる。
【0029】
この効果を十分に得るために、上述したように、本実施形態では条件式(1)を規定し
ている。条件式(1)は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔を適切に規定す
るものである。条件式(1)を満足することにより、視度調整時の収差変動を抑えること
ができる。条件式(1)の下限値を下回ると、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との
間隔が狭まり、各レンズ群の屈折力が強くなりすぎて、(コマ収差や歪曲収差など)視度
調整時の収差変動が大きくなり、望ましくない。条件式(1)の上限値を上回ると、第1
レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が広くなり、第1レンズ群G1の屈折力が弱ま
りすぎて、コマ収差や歪曲収差の補正が不十分になり、望ましくない。
【0030】
上記効果を確実なものとするために、条件式(1)の下限値を0.31とすることが好
ましい。上記効果を確実なものとするために、条件式(1)の上限値を0.58とするこ
とが好ましい。
【0031】
本実施形態に係る接眼レンズは、次の条件式(2)を満足することが好ましい。
【0032】
0.38 ≦ d12/f2 ≦ 0.90 …(2)
但し、
d12:接眼レンズの視度が−1m-1時の第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との光
軸上間隔、
f2:第2レンズ群G2の焦点距離。
【0033】
条件式(2)は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔を確保しつつ、第2レ
ンズ群G2の適切な屈折力を規定するものである。条件式(2)の下限値を下回ると、第
2レンズ群G2の屈折力が弱くなり過ぎて、コマ収差や歪曲収差の補正が不十分になる。
条件式(2)の上限値を上回ると、第2レンズ群G2の屈折力が強くなりすぎて、コマ収
差や歪曲収差の補正が過剰な状態に陥る。
【0034】
上記効果を確実なものとするために、条件式(2)の下限値を0.39とすることが好
ましい。上記効果を確実なものとするために、条件式(2)の上限値を0.895とする
ことが好ましい。
【0035】
本実施形態に係る接眼レンズは、次の条件式(3)を満足することが好ましい。
【0036】
1.50 < r12/r32 <6.00 …(3)
但し、
r12:第1レンズ群G1の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径、
r32:第3レンズ群G3の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
【0037】
条件式(3)は、第1レンズ群G1の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径と、第
3レンズ群G3の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径との適切な比を規定するもの
である。条件式(3)を満足することにより、観察物体から射出してアイポイントに収束
する光束に対して、共に凹面形状である第1レンズ群G1および第3レンズ群G3の最も
アイポイント側のレンズ面が最小偏角になる形状となるため、視度調整範囲においてコマ
収差を良好に補正することができる。条件式(3)の下限値を下回ると、コマ収差が補正
過剰になる。条件式(3)の上限値を上回ると、コマ収差の補正不足になり、望ましくな
い。
【0038】
上記効果を確実なものとするために、条件式(3)の下限値を1.73とすることが好
ましい。上記効果を確実なものとするために、条件式(3)の上限値を5.75とするこ
とが好ましい。
【0039】
本実施形態に係る接眼レンズは、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
【0040】
−0.40 < (r21+r22)/(r21−r22) < −0.12 …(4)
但し、
r21:第2レンズ群G2の最も観察物体側のレンズ面の曲率半径、
r22:第2レンズ群G2の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
【0041】
条件式(4)は、第2レンズ群G2の最も観察物体側のレンズ面と最もアイポイント側
のレンズ面の適切な形状を規定するものである。条件式(4)を満足することにより、視
度調整範囲内において第2レンズ群G2で発生する球面収差およびコマ収差を良好に補正
することができる。条件式(4)の下限値を下回ると、第2レンズ群G2の曲率が大きく
なりすぎて、球面収差およびコマ収差の補正が過剰になり、望ましくない。条件式(4)
の上限値を上回ると、球面収差およびコマ収差の補正不足になり、望ましくない。
【0042】
上記効果を確実なものとするために、条件式(4)の下限値を−0.36とすることが
好ましい。上記効果を確実なものとするために、条件式(4)の上限値を−0.13とす
ることが好ましい。
【0043】
本実施形態に係る接眼レンズは、次の条件式(5)を満足することが好ましい。
【0044】
0.40 < (r31+r32)/(r31−r32) < 0.70 …(5)
但し、
r31:第3レンズ群G3の最も観察物体側のレンズ面の曲率半径、
r32:第3レンズ群G3の最もアイポイント側のレンズ面の曲率半径。
【0045】
条件式(5)は、第3レンズ群G3の最も観察物体側のレンズ面と最もアイポイント側
のレンズ面の適切な形状を規定するものである。条件式(5)を満足することにより、第
3レンズ群G3を用いて、視度調整範囲内において第2レンズ群G2で発生する球面収差
およびコマ収差を良好に補正することができる。条件式(5)の下限値を下回ると、第3
レンズ群G3の曲率が大きくなりすぎて、球面収差およびコマ収差の補正が過剰になり、
望ましくない。条件式(5)の上限値を上回ると、球面収差およびコマ収差の補正不足に
なり、望ましくない。
【0046】
上記効果を確実なものとするために、条件式(5)の下限値を0.45とすることが好
ましい。上記効果を確実なものとするために、条件式(5)の上限値を0.69とするこ
とが好ましい。
【0047】
本実施形態に係る接眼レンズは、第1レンズ群G1や第3レンズ群G3にも、非球面を
導入することが望ましい。第1レンズ群G1に非球面を導入することにより、歪曲収差の
補正が容易になる。また、第3レンズ群G3に非球面を導入することにより、第2レンズ
群G2に導入した場合と同様の効果、すなわち視度調整範囲での球面収差、コマ収差の補
正が容易になる。
【実施例】
【0048】
以下、本実施形態に係る各実施例について、図面に基づいて説明する。以下に、表1〜
表5を示すが、これらは第1実施例〜第5実施例における各諸元の表である。
【0049】
なお、第1実施例に係る図1に対する各参照符号は、参照符号の桁数の増大による説明
の煩雑化を避けるため、実施例ごとに独立して用いている。ゆえに、他の実施例に係る図
面と共通の参照符号を付していても、それらは他の実施例とは必ずしも共通の構成ではな
い。
【0050】
また、各実施例では収差特性の算出対象として、C線(波長656.2730nm)、d線(波長
587.5620nm)、F線(波長486.1330nm)、g線(波長435.8350nm)を選んでいる。
【0051】
表中の[全体諸元]において、Yは観察物体高を、TLは観察光学系の全長であり、視
度が-1m-1時の観察物体面から接眼レンズの第3レンズ群G3の最もアイポイント側の
面までの光軸上の距離を示す。
【0052】
表中の[レンズ諸元]において、面番号は光線の進行する方向に沿った観察物体側から
の光学面の順序、Rは各光学面の曲率半径、Dは各光学面から次の光学面(又はアイポイ
ント)までの光軸上の距離である面間隔、ndはレンズの材質のd線に対する屈折率、ν
dはレンズの材質のd線を基準とするアッベ数、(可変)は可変の面間隔、曲率半径Rの
欄の「∞」は平面、E.Pはアイポイントをそれぞれ示す。光学面が非球面である場合に
は面番号に*印を付し、曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示す。
【0053】
表中の[非球面データ]は、[レンズ諸元]に示した非球面について、その形状を次式
(a)で示す。X(y)は非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位
置までの光軸方向に沿った距離を、Rは基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)を、κは円
錐定数を、Aiは第i次の非球面係数を示す。「E-n」は、「×10-n」を示す。例えば
、1.234E-05=1.234×10-5である。
【0054】
X(y)=y2/[R×{1+(1−κ×y2/R21/2}]+A6×y6 …(a)
【0055】
表中の[可変間隔データ]において、fは接眼レンズ全系の焦点距離、Diは第i面と
第(i+1)面の可変間隔をそれぞれ示す。
【0056】
表中の[レンズ群データ]において、Gは群番号、群初面は各群の最も観察物体側の面
番号、群焦点距離は各群の焦点距離をそれぞれ示す。
【0057】
表中の[条件式]において、上記の条件式(1)〜(5)に対応する値を示す。
【0058】
視度の単位については「m-1」を使用している。視度X「m-1」とは、接眼レンズによ
る像が、アイポイントから光軸上に1/X[m(メートル)]の位置にできる状態のこと
を示す(但し、符号は、像が接眼レンズより観察者側にできた時を正とする)。
【0059】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径R、面間隔D、そ
の他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例
縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、単位は
「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。
【0060】
ここまでの表の説明は全ての実施例において共通であり、以下での説明を省略する。
【0061】
(第1実施例)
第1実施例について、図1図2及び表1を用いて説明する。図1は、第1実施例の接
眼レンズに係るレンズ構成図(視度−1m-1時)を示したものである。なお、図1におい
て、正立系Pを展開した状態で示しているが、実際にはペンタプリズム等の正立系を想定
している。
【0062】
図1に示すように、第1実施例に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の
屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折
力を有する第3レンズ群G3とからなる。
【0063】
第1レンズ群G1は、両凹形状の負レンズL1からなる。
【0064】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL2からなる。正レンズL2の両側のレンズ
面には、非球面が形成されている。また、第2レンズ群G2は、最も観察物体側のレンズ
面の曲率が、最もアイポイント側のレンズ面の曲率よりも大きい構成となっている(後述
の表1の面番号6,7の曲率半径を参照)。
【0065】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL3からなる。負レンズL3のアイポイント
側のレンズ面には、非球面が形成されている。また、第3レンズ群G3は、最もアイポイ
ント側のレンズ面の曲率が、最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成
されている(後述の表1の面番号8,9の曲率半径を参照)。
【0066】
本実施例では、図1に示すように、焦点面F上の像を、正立系Pを介して正立像とした
後に、3つのレンズ群G1〜G3で構成した第1実施例の接眼レンズにより拡大し、観察
者がアイポイントE.Pで観察する構成となっている。また、第1レンズ群G1を光軸に
沿って移動させることにより、視度調整を行っている。
【0067】
下記の表1に、第1実施例における各諸元の値を示す。表1における面番号1〜9が、
図1に示す曲率半径R1〜R9の各光学面に対応している。第1実施例では、第6面、第
7面および第9面が非球面形状に形成されている。
【0068】
(表1)
[全体諸元]
Y 13.5
TL 93.4

[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 4.0 1.00000
2 ∞ 57.0 1.51680 64.20
3 ∞ D3(可変) 1.00000
4 -75.57000 2.0 1.58518 30.24
5 39.54000 D5(可変) 1.00000
*6 16.10000 6.8 1.53460 56.27
*7 -25.85000 2.6 1.00000
8 -85.60000 3.5 1.49108 57.57
*9 20.14000 D9(可変) E.P

[非球面データ]
第6面
κ=-0.4000,A6=-0.52800E-09
第7面
κ=-1.4000,A6=0.00000E+00
第9面
κ= 0.8270,A6=0.25400E-06

[可変間隔データ]
72.49 63.52 55.84
視度 -3.00 -1.00 +1.00
D3 6.20 3.50 0.50
D5 11.30 14.00 17.00
D9 18.00 18.00 18.00

[レンズ群データ]
群番号 群初面 群焦点距離
G1 4 -44.08
G2 6 19.67
G3 8 -32.84

[条件式]
条件式(1) d12/ΣD = 0.48
条件式(2) d12/f2 = 0.71
条件式(3) r12/r32 = 1.96
条件式(4) (r21+r22)/(r21−r22) = -0.23
条件式(5) (r31+r32)/(r31−r32) = 0.62
【0069】
表1に示す諸元の表から、第1実施例に係る接眼レンズは、条件式(1)〜(5)を満
たすことが分かる。
【0070】
図2は、第1実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及び
歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−3m-1時の諸収
差図、(c)は視度+1m-1時の諸収差図を示す。
【0071】
各収差図において、Y1は正立系Pへの光線の入射高さ、Y0は焦点面F上での物体高
をそれぞれ示す。Dはd線、Gはg線、CはC線、FはF線における収差曲線をそれぞれ
示す。また、記載のないものは、d線における収差曲線を示す。非点収差図では、実線は
サジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。コマ収差図では、「min」
は角度単位の「分」を示す。球面収差図と非点収差図では、それぞれ横軸の単位は[m-1
]であり、図中では「D.」で示す。
【0072】
ここまでの収差図に関する説明は、他の実施例においても同様とし、その説明を省略す
る。
【0073】
図2(a)〜(c)に示す各収差図から明らかなように、第1実施例に係る接眼レンズ
は、視度調整範囲内で諸収差が良好に補正され、優れた光学性能が確保されていることが
分かる。
【0074】
(第2実施例)
第2実施例について、図3図4及び表2を用いて説明する。図3は、第2実施例の接
眼レンズに係るレンズ構成図(視度−1m-1時)を示したものである。なお、図3におい
て、正立系Pを展開した状態で示しているが、実際にはペンタプリズム等の正立系を想定
している。
【0075】
図3に示すように、第2実施例に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の
屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折
力を有する第3レンズ群G3とからなる。
【0076】
第1レンズ群G1は、両凹形状の負レンズL1からなる。
【0077】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL2からなる。正レンズL2の両側のレンズ
面には、非球面が形成されている。また、第2レンズ群G2は、最も観察物体側のレンズ
面の曲率が、最もアイポイント側のレンズ面の曲率よりも大きい構成となっている(後述
の表2の面番号6,7の曲率半径を参照)。
【0078】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL3からなる。負レンズL3のアイポイント
側のレンズ面には、非球面が形成されている。また、第3レンズ群G3は、最もアイポイ
ント側のレンズ面の曲率が、最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成
されている(後述の表2の面番号8,9の曲率半径を参照)。
【0079】
本実施例では、図3に示すように、焦点面F上の像を、正立系Pを介して正立像とした
後に、3つのレンズ群G1〜G3で構成した第2実施例の接眼レンズにより拡大し、観察
者がアイポイントE.Pで観察する構成となっている。また、第1レンズ群G1を光軸に
沿って移動させることにより、視度調整を行っている。
【0080】
下記の表2に、第2実施例における各諸元の値を示す。表2における面番号1〜9が、
図3に示す曲率半径R1〜R9の各光学面に対応している。第2実施例では、第6面、第
7面および第9面が非球面形状に形成されている。
【0081】
(表2)
[全体諸元]
Y 13.5
TL 94.8

[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 4.0 1.00000
2 ∞ 63.0 1.51680 64.20
3 ∞ D3(可変) 1.00000
4 -75.57000 2.0 1.58518 30.24
*5 74.00000 D5(可変) 1.00000
*6 15.96000 6.8 1.53460 56.27
7 -25.85000 3.0 1.00000
8 -100.00000 4.5 1.49108 57.57
*9 18.90000 D9(可変) E.P

[非球面データ]
第6面
κ=0.0450,A6=-0.50756E-07
第7面
κ=-2.9253,A6=0.00000E+00
第9面
κ= 2.9835,A6=-0.12696E-05

[可変間隔データ]
55.33 53.03 49.08
視度 -2.00 -1.00 +1.00
D3 5.00 3.50 0.60
D5 6.50 8.00 10.90
D9 18.00 18.00 18.00

[レンズ群データ]
群番号 群初面 群焦点距離
G1 4 -63.58
G2 6 19.57
G3 8 -31.97

[条件式]
条件式(1) d12/ΣD = 0.33
条件式(2) d12/f2 = 0.41
条件式(3) r12/r32 = 3.92
条件式(4) (r21+r22)/(r21−r22) = -0.24
条件式(5) (r31+r32)/(r31−r32) = 0.68
【0082】
表2に示す諸元の表から、第2実施例に係る接眼レンズは、条件式(1)〜(5)を満
たすことが分かる。
【0083】
図4は、第2実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及び
歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−2m-1時の諸収
差図、(c)は視度+1m-1時の諸収差図を示す。
【0084】
図4(a)〜(c)に示す各収差図から明らかなように、第2実施例に係る接眼レンズ
は、視度調整範囲内で諸収差が良好に補正され、優れた光学性能が確保されていることが
分かる。
【0085】
(第3実施例)
第3実施例について、図5図6及び表3を用いて説明する。図5は、第3実施例の接
眼レンズに係るレンズ構成図(視度−1m-1時)を示したものである。なお、図5におい
て、正立系Pを展開した状態で示しているが、実際にはペンタプリズム等の正立系を想定
している。
【0086】
図5に示すように、第3実施例に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の
屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折
力を有する第3レンズ群G3とからなる。
【0087】
第1レンズ群G1は、両凹形状の負レンズL1からなる。
【0088】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL2からなる。正レンズL2の両側のレンズ
面には、非球面が形成されている。また、第2レンズ群G2は、最も観察物体側のレンズ
面の曲率が、最もアイポイント側のレンズ面の曲率よりも大きい構成となっている(後述
の表3の面番号6,7の曲率半径を参照)。
【0089】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL3からなる。負レンズL3のアイポイント
側のレンズ面には、非球面が形成されている。また、第3レンズ群G3は、最もアイポイ
ント側のレンズ面の曲率が、最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成
されている(後述の表3の面番号8,9の曲率半径を参照)。
【0090】
本実施例では、図5に示すように、焦点面F上の像を、正立系Pを介して正立像とした
後に、3つのレンズ群G1〜G3で構成した第3実施例の接眼レンズにより拡大し、観察
者がアイポイントE.Pで観察する構成となっている。また、第1レンズ群G1を光軸に
沿って移動させることにより、視度調整を行っている。
【0091】
下記の表3に、第3実施例における各諸元の値を示す。表3における面番号1〜9が、
図5に示す曲率半径R1〜R9の各光学面に対応している。第3実施例では、第6面、第
7面および第9面が非球面形状に形成されている。
【0092】
(表3)
[全体諸元]
Y 13.5
TL 94.3

[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 4.0 1.00000
2 ∞ 63.0 1.51680 64.20
3 ∞ D3(可変) 1.00000
4 -77.32700 2.0 1.58518 30.24
*5 74.37900 D5(可変) 1.00000
*6 16.01500 6.8 1.53460 56.27
7 -26.17300 1.0 1.00000
8 -101.96200 3.5 1.49108 57.57
*9 19.16100 D9(可変) E.P

[非球面データ]
第6面
κ=-0.1484,A6=-0.96338E-07
第7面
κ=-0.3364,A6=0.00000E+00
第9面
κ= 2.8187,A6=-0.47062E-06

[可変間隔データ]
63.67 60.53 57.53
視度 -2.00 -1.00 0.00
D3 5.80 4.00 2.10
D5 8.20 10.00 11.90
D9 18.00 18.00 18.00

[レンズ群データ]
群番号 群初面 群焦点距離
G1 4 -64.47
G2 6 19.69
G3 8 -32.54

[条件式]
条件式(1) d12/ΣD = 0.43
条件式(2) d12/f2 = 0.51
条件式(3) r12/r32 = 3.88
条件式(4) (r21+r22)/(r21−r22) = -0.24
条件式(5) (r31+r32)/(r31−r32) = 0.68
【0093】
表3に示す諸元の表から、第3実施例に係る接眼レンズは、条件式(1)〜(5)を満
たすことが分かる。
【0094】
図6は、第3実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及び
歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−2m-1時の諸収
差図、(c)は視度0m-1時の諸収差図を示す。
【0095】
図6(a)〜(c)に示す各収差図から明らかなように、第3実施例に係る接眼レンズ
は、視度調整範囲内で諸収差が良好に補正され、優れた光学性能が確保されていることが
分かる。
【0096】
(第4実施例)
第4実施例について、図7図8及び表4を用いて説明する。図7は、第4実施例の接
眼レンズに係るレンズ構成図(視度−1m-1時)を示したものである。なお、図7におい
て、正立系Pを展開した状態で示しているが、実際にはペンタプリズム等の正立系を想定
している。
【0097】
図7に示すように、第4実施例に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の
屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折
力を有する第3レンズ群G3とからなる。
【0098】
第1レンズ群G1は、両凹形状の負レンズL1からなる。
【0099】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL2からなる。正レンズL2の両側のレンズ
面には、非球面が形成されている。また、第2レンズ群G2は、最も観察物体側のレンズ
面の曲率が、最もアイポイント側のレンズ面の曲率よりも大きい構成となっている(後述
の表4の面番号6,7の曲率半径を参照)。
【0100】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL3からなる。負レンズL3のアイポイント
側のレンズ面には、非球面が形成されている。また、第3レンズ群G3は、最もアイポイ
ント側のレンズ面の曲率が、最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成
されている(後述の表4の面番号8,9の曲率半径を参照)。
【0101】
本実施例では、図7に示すように、焦点面F上の像を、正立系Pを介して正立像とした
後に、3つのレンズ群G1〜G3で構成した第4実施例の接眼レンズにより拡大し、観察
者がアイポイントE.Pで観察する構成となっている。また、第1レンズ群G1を光軸に
沿って移動させることにより、視度調整を行っている。
【0102】
下記の表4に、第4実施例における各諸元の値を示す。表4における面番号1〜9が、
図7に示す曲率半径R1〜R9の各光学面に対応している。第4実施例では、第6面、第
7面および第9面が非球面形状に形成されている。
【0103】
(表4)
[全体諸元]
Y 13.5
TL 93.3

[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 4.0 1.00000
2 ∞ 57.0 1.51680 64.20
3 ∞ D3(可変) 1.00000
4 -100.00000 2.0 1.58518 30.24
*5 76.00000 D5(可変) 1.00000
*6 13.21400 6.8 1.53460 56.27
7 -26.42300 1.0 1.00000
8 -63.97149 2.5 1.49108 57.57
*9 13.78669 D9(可変) E.P

[非球面データ]
第6面
κ=0.2638,A6=-0.13503E-06
第7面
κ=-0.8136,A6=0.00000E+00
第9面
κ= 2.1742,A6=-0.62686E-06

[可変間隔データ]
62.68 59.39 56.31
視度 -2.00 -1.00 0.00
D3 6.40 4.00 1.50
D5 13.60 16.00 18.50
D9 18.00 18.00 18.00

[レンズ群データ]
群番号 群初面 群焦点距離
G1 4 -73.48
G2 6 17.53
G3 8 -22.85

[条件式]
条件式(1) d12/ΣD = 0.57
条件式(2) d12/f2 = 0.91
条件式(3) r12/r32 = 5.51
条件式(4) (r21+r22)/(r21−r22) = -0.33
条件式(5) (r31+r32)/(r31−r32) = 0.65
【0104】
表4に示す諸元の表から、第4実施例に係る接眼レンズは、条件式(1)〜(5)を満
たすことが分かる。
【0105】
図8は、第4実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及び
歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−2m-1時の諸収
差図、(c)は視度0m-1時の諸収差図を示す。
【0106】
図8(a)〜(c)に示す各収差図から明らかなように、第4実施例に係る接眼レンズ
は、視度調整範囲内で諸収差が良好に補正され、優れた光学性能が確保されていることが
分かる。
【0107】
(第5実施例)
第5実施例について、図9図10及び表5を用いて説明する。図9は、第5実施例の
接眼レンズに係るレンズ構成図(視度−1m-1]時)を示したものである。なお、図9
おいて、正立系Pを展開した状態で示しているが、実際にはペンタプリズム等の正立系を
想定している。
【0108】
図9に示すように、第5実施例に係る接眼レンズは、観察物体側から順に並んだ、負の
屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折
力を有する第3レンズ群G3とからなる。
【0109】
第1レンズ群G1は、両凹形状の負レンズL1からなる。
【0110】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL2からなる。正レンズL2の両側のレンズ
面には、非球面が形成されている。また、第2レンズ群G2は、最も観察物体側のレンズ
面の曲率が、最もアイポイント側のレンズ面の曲率よりも大きい構成となっている(後述
の表5の面番号6,7の曲率半径を参照)。
【0111】
第3レンズ群G3は、両凹形状の負レンズL3からなる。負レンズL3のアイポイント
側のレンズ面には、非球面が形成されている。また、第3レンズ群G3は、最もアイポイ
ント側のレンズ面の曲率が、最も観察物体側のレンズ面の曲率より大きくなるように構成
されている(後述の表5の面番号8,9の曲率半径を参照)。
【0112】
本実施例では、図9に示すように、焦点面F上の像を、正立系Pを介して正立像とした
後に、3つのレンズ群G1〜G3で構成した第5実施例の接眼レンズにより拡大し、観察
者がアイポイントE.Pで観察する構成となっている。また、第1レンズ群G1を光軸に
沿って移動させることにより、視度調整を行っている。
【0113】
下記の表5に、第5実施例における各諸元の値を示す。表5における面番号1〜9が、
図9に示す曲率半径R1〜R9の各光学面に対応している。第5実施例では、第6面、第
7面および第9面が非球面形状に形成されている。
【0114】
(表5)
[全体諸元]
Y 13.5
TL 100.8

[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 4.0 1.00000
2 ∞ 63.0 1.51680 64.20
3 ∞ D3(可変) 1.00000
4 -106.18980 2.0 1.58518 30.24
*5 71.00000 D5(可変) 1.00000
*6 18.00000 6.8 1.53460 56.27
7 -24.00000 2.0 1.00000
8 -57.77981 3.0 1.49108 57.57
*9 19.54480 D9(可変) E.P

[非球面データ]
第6面
κ=-0.1694,A6=-0.31862E-07
第7面
κ=-2.3403,A6=0.00000E+00
第9面
κ= 0.7855,A6=-0.24479E-06

[可変間隔データ]
70.56 66.46 62.54
視度 -2.00 -1.00 0.00
D3 6.50 4.00 1.30
D5 13.50 16.00 18.70
D9 18.00 18.00 18.00

[レンズ群データ]
群番号 群初面 群焦点距離
G1 4 -72.41
G2 6 20.39
G3 8 -29.36

[条件式]
条件式(1) d12/ΣD = 0.54
条件式(2) d12/f2 = 0.79
条件式(3) r12/r32 = 3.63
条件式(4) (r21+r22)/(r21−r22) = -0.14
条件式(5) (r31+r32)/(r31−r32) = 0.49
【0115】
表5に示す諸元の表から、第5実施例に係る接眼レンズは、条件式(1)〜(5)を満
たすことが分かる。
【0116】
図10は、第5実施例に係る接眼レンズの諸収差図(球面収差、非点収差、コマ収差及
び歪曲収差)であり、(a)は視度−1m-1時の諸収差図、(b)は視度−2m-1時の諸
収差図、(c)は視度0m-1時の諸収差図を示す。
【0117】
図10(a)〜(c)に示す各収差図から明らかなように、第5実施例に係る接眼レン
ズは、視度調整範囲内で諸収差が良好に補正され、優れた光学性能が確保されていること
が分かる。
【0118】
以上のような本発明によれば、視度調整範囲内で諸収差が良好に補正され、優れた光学
性能を有する接眼レンズを提供することができる。
【0119】
本発明を分かりやすくするために、実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明が
これに限定されるものではないことは言うまでもない。以下に記載の内容は、光学性能を
損なわない範囲で適宜採用可能である。実施例では、3群構成を示したが、4群、5群等
の他の群構成にも適用可能である。また、最も観察物体側にレンズまたはレンズ群を追加
した構成や、最もアイポイント側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。
また、レンズ群とは、単レンズまたは接合レンズを示す。
【符号の説明】
【0120】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
E.P アイポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10