特許第6011234号(P6011234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011234
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20161006BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   H01L21/308 E
   H01L21/306 E
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-229275(P2012-229275)
(22)【出願日】2012年10月16日
(65)【公開番号】特開2014-82329(P2014-82329A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】納堂 高明
(72)【発明者】
【氏名】中子 偉夫
(72)【発明者】
【氏名】神代 恭
(72)【発明者】
【氏名】稲田 麻希
(72)【発明者】
【氏名】黒田 杏子
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−512028(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/139390(WO,A1)
【文献】 特開2006−059831(JP,A)
【文献】 特表2003−510297(JP,A)
【文献】 特開平11−121442(JP,A)
【文献】 特開2010−202547(JP,A)
【文献】 特表2012−529163(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/070087(WO,A2)
【文献】 国際公開第2004/097918(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸塩及びトリフルオロメタンスルホン酸エステルから選択される少なくとも1つの成分と、
(B)100℃〜250℃において、前記成(A)を溶解する物質と、を含有する、無機薄膜を除去するためのエッチング組成物であって、
前記物質(B)が、ホウ素及び該ホウ素と結合したハロゲンとを構造中に含むルイス酸、前記ルイス酸の塩、並びに前記ルイス酸を発生する化合物から選択されるホウ素化合物の少なくとも1つであり、
前記ホウ素化合物が、テトラフルオロホウ酸トリフェニルカルベニウム、テトラフルオロホウ酸トロピリウム、テトラフルオロホウ酸ジ−n−ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルオキソニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、メチルトリフルオロホウ酸カリウム、4−ヨードフェニルトリフルオロホウ酸カリウム、(4−メチル−1−ピペラジニル)メチルトリフルオロホウ酸カリウム、トリシクロペンチルフォスフィンテトラフルオロホウ酸、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、ピリジン−3−トリフルオロホウ酸カリウム及びテトラフルオロホウ酸ニトロニウムから選択される1以上である、エッチング組成物
【請求項2】
記成(A)が、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イミダゾリウム、トリフル酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジニウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸N−モルホリニウム及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナートから選択される1以上である請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項3】
前記ホウ素化合物の融点が、250℃以下であり、かつ不揮発性である、請求項1又は2に記載のエッチング組成物。
【請求項4】
さらに、250℃において不揮発性の液体であり、前記ホウ素化合物を溶解する物質を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のエッチング組成物。
【請求項5】
前記ホウ素化合物が、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体である請求項1〜4のいずれかに記載のエッチング組成物。
【請求項6】
記成(A)を溶解する物質、又は前記ホウ素化合物を溶解する物質が、イオン液体である、請求項1〜のいずれかに記載のエッチング組成物。
【請求項7】
さらに、溶媒を含有し、前記成(A)の含有率が、組成物全体の30〜80質量%である請求項1〜のいずれかに記載のエッチング組成物。
【請求項8】
25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満である溶媒を含む、請求項1〜のいずれかに記載のエッチング組成物。
【請求項9】
請求項1〜のいずれかに記載のエッチング組成物を使用して、窒化シリコン(SiN)膜を除去する方法。
【請求項10】
前記エッチング組成物を、印刷法によりSiN膜上に形成する工程と、
加熱によりSiN膜を除去する工程と、を有する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化シリコン(SiN)等からなる無機薄膜の除去に使用される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ケイ素(SiO)やSiN等の無機薄膜は、層間絶縁膜、パッシベーション膜、反射防止膜等として、各種半導体素子や太陽電池等で使用されている。
例えば、太陽電池には変換効率を向上するため、受光面側にSiN膜からなる反射防止膜を形成し、受光面の反対側の面にパッシベーション膜が形成されているものがある。
【0003】
太陽電池として一般的な結晶シリコン太陽電池セルの製造では、p型シリコンウェハの表層にn+層となるリン拡散層を形成し、下層のp層との間にpn接合を形成する。その後、n+層上に反射防止膜を形成した後、受光面側及び裏面側に電極を形成し、必要に応じてパッシベーション膜を形成する。
太陽電池の製造では、反射防止膜やパッシベーション膜を形成した後で、電極をn+層に接続することが多いため、これら無機薄膜に開口を設ける必要がある。
【0004】
無機薄膜に開口を設ける方法の1つとして、エッチング法がある。エッチング法としては、フォトレジストを用いた方法が一般的である。しかしながら、レジスト膜形成、露光、現像、エッチング、レジスト除去の各工程が必要であり、また、使用する資材が多いため効率的ではない。
また、レーザーによって開口を形成する方法がある。しかしながら、加工位置制御が煩雑であり、加工時間を要するため、生産性が十分ではない。また、レーザーによって下部にあるn+層やウェハ等が損傷する可能性がある。
また、従来、最も一般的な製造方法としては、電極となる金属と、ケイ素酸化物など、ガラスを構成する化合物を含有する導電ペーストを塗布し、加熱によってファイヤースルー(焼成貫通)を起こし、無機薄膜に開口部を形成すると同時に電極とn+層を接続する方法がある。しかしながら、本方法では250℃以上の高温処理が必要なため、n+層やウェハがダメージを受け、発電効率の低下が起こる可能性がある。
尚、無機薄膜をはじめからパターン状に形成する方法が考えられるが、工程が煩雑であることから効率的ではなく、また、パターン形成の精度の点で十分ではない。
【0005】
一方、エッチングペーストを印刷して無機薄膜上にパターン等を形成し、その後、加熱することにより、エッチングペースト下部に開口を形成する方法が提案されている。
無機薄膜を除去する成分(エッチング成分)としては、例えば、特許文献1にはリン酸又はリン酸塩を含むエッチング媒体が記載されている。しかしながら、最適なエッチング温度が250℃以上と高いため、n+層やウェハ等がダメージを受ける可能性がある。
【0006】
また、エッチング成分として、アンモニウム、アルカリ金属、およびアンチモンのフッ化物、アンモニウム、アルカリ金属、およびカルシウムの酸性フッ化物、アルキル化アンモニウム、ならびにテトラフルオロホウ酸カリウムの群より選択される少なくとも1種類のフッ素化合物と、任意に、所定の無機鉱酸及び有機酸を含むエッチング媒体を用いる方法が記載されている(特許文献2参照)。しかしながら、フッ素化合物と酸を混合したエッチング媒体は毒性が極めて高いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2005−506705号公報
【特許文献2】特表2008−527698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、エッチングペーストとして使用でき、低温(250℃以下)でも十分に無機薄膜(SiN層等)を除去できる、新規な組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下の組成物等が提供される。
1.トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸塩及びトリフルオロメタンスルホン酸エステルから選択される少なくとも1つのエッチング成分と、
100℃〜250℃において、前記エッチング成分を溶解する物質と、を含有する組成物。
2.前記エッチング成分が、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イミダゾリウム、トリフル酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジニウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸N−モルホリニウム及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナートから選択される1以上である1に記載の組成物。
3.前記エッチング成分を溶解する物質が、ホウ素及び該ホウ素と結合したハロゲンとを構造中に含むルイス酸、前記ルイス酸の塩、並びに前記ルイス酸を発生する化合物から選択されるホウ素化合物の少なくとも1つである、1又は2に記載の組成物。
4.前記ホウ素化合物の融点が、250℃以下であり、かつ不揮発性である、3に記載の組成物。
5.前記ホウ素化合物が、テトラフルオロホウ酸トリフェニルカルベニウム、テトラフルオロホウ酸トロピリウム、テトラフルオロホウ酸ジ−n−ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルオキソニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、メチルトリフルオロホウ酸カリウム、4−ヨードフェニルトリフルオロホウ酸カリウム、(4−メチル−1−ピペラジニル)メチルトリフルオロホウ酸カリウム、トリシクロペンチルフォスフィンテトラフルオロホウ酸、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、ピリジン−3−トリフルオロホウ酸カリウム及びテトラフルオロホウ酸ニトロニウムから選択される1以上である、3又は4に記載の組成物。
6.さらに、250℃において不揮発性の液体であり、前記ホウ素化合物を溶解する物質を含む、3〜5のいずれかに記載の組成物。
7.前記ホウ素化合物が、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体である3〜6のいずれかに記載の組成物。
8.前記エッチング成分を溶解する物質、又は前記ホウ素化合物を溶解する物質が、イオン液体である、1〜7のいずれかに記載の組成物。
9.さらに、溶媒を含有し、前記エッチング成分の含有率が、組成物全体の30〜80質量%である1〜8のいずれかに記載の組成物。
10.25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満である溶媒を含む、1〜9のいずれかに記載の組成物。
11.上記1〜10のいずれかに記載の組成物を使用して、窒化シリコン(SiN)膜を除去する方法。
12.前記組成物を、印刷法によりSiN膜上に形成する工程と、加熱によりSiN膜を除去する工程と、を有する、11に記載の方法。
13.上記11又は12に記載の方法を使用して、SiN膜を除去して得られる基板。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新規なエッチング成分を含有する組成物が提供できる。本発明の組成物を使用することにより、従来よりも低温で無機薄膜を除去できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の組成物は、以下の成分(A)及び(B)を含有する。
(A)トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸塩及びトリフルオロメタンスルホン酸エステルから選択される少なくとも1つのエッチング成分
(B)100℃〜250℃において、上記成分(A)を溶解する物質
【0012】
本発明では、エッチング成分として超酸であるトリフルオロメタンスルホン酸及びその誘導体を使用する。これら成分は成分(B)の融解により液化して、無機薄膜、特にSiN膜やSiO膜を溶解、除去する。
エッチング成分は、室温(25℃)では固体であり、無機薄膜の除去温度(エッチング温度で、本願では100℃〜250℃)において液体である。本発明では、成分(B)としてエッチング温度で液状となる化合物を使用し、これに成分(A)が溶解することで液体となる。
【0013】
成分(A)の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イミダゾリウム、トリフル酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジニウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸N−モルホリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。
【0014】
これらのうち、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0015】
エッチング成分である成分(A)の含有率は、使用時における組成物の性状を考慮して適宜調整すればよい。エッチング成分の含有率は高い方が好ましいが、印刷法にて組成物を塗布することを考慮すると、組成物の粘度やペースト性状の調整が重要となる。成分(A)の含有率は、組成物全体に対して30〜80質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることが特に好ましい。
【0016】
エッチング成分は、印刷性向上のため、混合前の粒径が粒径100μm以下であることが好ましい。
尚、ここでの粒径は数平均粒子径であり、SEM観察像における重複せずランダムに選んだ100個の平均値として求められる。具体的には、SEMの試料台上にカーボン粘着テープを貼り付け、その上にエッチング成分を振り掛ける。試料台上のエッチング成分のうち、粘着していないものをエアガンで吹き飛ばす。このエッチング成分の付着したSEM試料台に対し、真空スパッタ装置(例えばION SPUTTER、日立ハイテク製)を用いPtを10〜20nmの厚みでスパッタしてSEM用サンプルとする。このSEM用サンプルをSEM装置(例えばESEM XL30、Philips製)により、印過電圧10kVで観察する。倍率は、平均的なエッチング成分粒子の直径が視野の1割程度を占めように選ぶ。観察された粒子像の中から重なって外形の確認できないエッチング成分を除いた中からランダムに100個選び、それぞれのエッチング成分像に対し外接する並行二直線のうち最大距離となるように選んだ並行二直線間距離を計測する。これら100個の値に対して平均値を求め数平均粒子径とする。尚、1視野の中から100個の粒子が選べない場合には複数視野から計測する。
【0017】
また、分散後のエッチング成分の粒径(分散粒径)はスクリーン印刷精度の点から100μm以下が好ましく、粘度特性の点から0.01μm以上であることが好ましい。
尚、分散粒径はレーザー散乱法粒度分布測定装置を用い体積平均粒径として求められる。具体的には、ユニバーサルリキッドモジュールを装着したレーザー散乱法粒度分布測定装置(例えば,LS13 320,ベックマンコールタ製)を用い、光源の安定のため本体電源を入れて30分間放置した後、リキッドモジュールに組成物で用いている溶媒のみを測定プログラムからRinseコマンドにより導入し、測定プログラムからDe−bubble,Measure Offset,Align,Measure Backgroundを行う。続いて、測定プログラムのMeasure Loadingを用い、組成物をリキッドモジュールに測定プログラムがサンプル量LowからOKになるまで添加する。その後、測定プログラムからMeasureを行い、粒度分布を取得する。レーザー散乱法粒度分布測定装置の設定として、Pump Speed:70%、Include PIDS data: ON、Run Length: 90 secondsを用いる。分散媒及び分散質の屈折率には、エッチング成分及び溶媒の屈折率をそれぞれ用いる。
【0018】
成分(B)のトリフルオロメタンスルホン酸塩を溶解する物質としては、ホウ素及び該ホウ素と直接結合したハロゲンとを構造中に含むルイス酸、ルイス酸の塩、加熱によりルイス酸を発生する化合物(以下、ホウ素化合物ということがある。)やイオン液体が挙げられる。
【0019】
ホウ素及び該ホウ素と結合したハロゲンとを構造中に含むルイス酸、ルイス酸の塩、ルイス酸を発生する化合物の具体例としては、テトラフルオロホウ酸トリフェニルカルベニウム、N−フルオロ−N’−クロロメチルトリエチレンジアミンビス(テトラフルオロホウ酸)、テトラフルオロホウ酸1−(クロロ−1−ピロリジニルメチレン)ピロリジニウム、テトラフルオロホウ酸トロピリウム、テトラフルオロホウ酸ジ−n−ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルオキソニウム、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾリニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムテトラフルオロホウ酸、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸2,4,6−トリメチルピリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−エチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−エチル−1−メチルピペリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、トリシクロペンチルフォスフィンテトラフルオロホウ酸等のテトラフルオロホウ酸有機塩基塩、
テトラフルオロホウ酸リチウム等のテトラフルオロホウ酸ハロゲン塩、
テトラフルオロホウ酸銅、テトラフルオロホウ酸亜鉛等のテトラフルオロホウ酸金属塩、
メチルトリフルオロホウ酸カリウム、(モルホリン−4−イル)メチルトリフルオロホウ酸カリウム、(3,3−ジメチルブチル)トリフルオロホウ酸カリウム、4−ヨードフェニルトリフルオロホウ酸カリウム、4−フルオロフェニルトリフルオロホウ酸カリウム、フェニルトリフルオロホウ酸カリウム、ピリジン−3−トリフルオロホウ酸カリウム、ビニルトリフルオロホウ酸カリウム、(4−メチル−1−ピペラジニル)メチルトリフルオロホウ酸塩、[(N−tert−ブチルアンモニオ)メチル]トリフルオロホウ酸等のアルキルトリフルオロホウ酸塩、
三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素−酢酸錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素アセトニトリル錯体や三フッ化ホウ素メタノール錯体等の三フッ化ホウ素錯体化合物、
テトラフルオロホウ酸ニトロニウム、三よう化ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩エチルエーテル錯体等が挙げられる。
【0020】
ホウ素化合物の融点は、250℃以下であり、かつ不揮発性であることが好ましい。これにより、ホウ素化合物がエッチング温度において単独で融解し、エッチング成分を溶解できる。
尚、本発明において「不揮発性である」とは、エッチング温度で処理時間中に50質量%以上のエッチング成分が揮発せずに残存できることを意味し、少なくともエッチング温度以上の沸点を有し、望ましくはエッチング温度での蒸気圧が350Pa以下である場合をいう。
【0021】
このようなホウ素化合物の具体例としては、テトラフルオロホウ酸トリフェニルカルベニウム、テトラフルオロホウ酸トロピリウム、テトラフルオロホウ酸ジ−n−ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルオキソニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、メチルトリフルオロホウ酸カリウム、4−ヨードフェニルトリフルオロホウ酸カリウム、(4−メチル−1−ピペラジニル)メチルトリフルオロホウ酸カリウム、トリシクロペンチルフォスフィンテトラフルオロホウ酸、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、ピリジン−3−トリフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ニトロニウム、三よう化ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウムエチルエーテル錯体が好ましい。さらに、テトラフルオロホウ酸ジ−n−ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体が好ましく、特に、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体が好ましい。
【0022】
イオン液体(イオン性液体)としては、公知のものが使用できるが、イオン液体のアニオンに、フッ素を含有することが好ましい。具体的には、アニオンはテトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等が挙げられる。
また、イオン液体のカチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン等が挙げられる。
【0023】
成分(B)の具体例としては、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾリニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩等のイミダゾリウム塩、
1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸2,4,6−トリメチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩等のピリジニウム塩、
1−ブチル−1−メチルピペリジニウムテトラフルオロホウ酸、1−エチル−1−メチルピペリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムヘキサフルオロリン酸塩等のピペリジニウム塩、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−エチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムヘキサフルオロリン酸塩等のピロリジニウム塩、等が好ましい。
【0024】
成分(B)の含有率は、液体組成物全体に対して3.0〜64.0質量%であることが好ましく、特に、5.0〜56.0質量%が好ましい。
【0025】
尚、本発明の組成物には、さらに、250℃において不揮発性の液体であり、ホウ素化合物を溶解する物質を含むことが好ましい。ホウ素化合物を溶解させる物質を配合することにより、エッチング温度において融解しないホウ素化合物も使用できる。また、ホウ素化合物自体がエッチング成分として作用するため、エッチング速度が向上する。
ホウ素化合物を溶解する物質としては、上述したイオン液体が使用できる。
【0026】
本発明の組成物は、溶媒を含むことが好ましい。溶媒は、上述した成分(A)及び(B)を分散できればよく、特に、制限はない。本発明の組成物を、スクリーン印刷を用いて印刷する場合には、印刷中に溶媒の揮発により粘度が変化すると印刷性が変化してしまうことから、25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満、好ましくは、1.0×10Pa・s未満であることが好ましい。
【0027】
溶媒としては、ノナン、デカン、ドデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;エチルベンゼン、アニソール、メシチレン、ナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、フェニルアセトニトリル、フェニルシクロヘキサン、ベンゾニトリル、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、グリコールスルファイト、乳酸エチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒;1−ブタノール、シクロヘキサノール、グリセリン等のアルコ−ル系溶媒;テルピネオール、ターピネオールC、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、テルソルブDTO−210、テルソルブTHA−90、テルソルブTHA−70、テルソルブTOE−100、ジヒドロキシターピニルオキシエタノール、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル、テルソルブMTPH等のテルペン系溶媒;シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、1,3−ジオキソラン−2−オン、1,5,5−トリメチルシクロヘキセン−3−オン等のケトン系溶媒;ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−t−ブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール−t−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコール系溶媒;ジヘキシルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒,マロノニトリル等のニトリル系溶媒が例示できる。
なかでも、テルピネオール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、グリコールスルファイト、プロピレンカーボネートが好ましい。
これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
溶媒の含有率は、使用時における組成物の性状を考慮して適宜調整すればよい。通常、液状組成物全体に対して15〜65質量%であることが好ましく、25〜50質量%であることが特に好ましい。
【0029】
本発明の組成物は、上述した各成分の他に、必要に応じて任意に、チキソ性付与材、基板への濡れ性調整剤、粒子分散剤、脱泡剤、柚子肌等を防止するための外観向上剤(レベリング剤)、均一乾燥促進のための添加剤等の添加剤や、粘度調整用材料(微粒子や溶剤、添加剤)、ドーピング剤、pH調整剤等を添加することができる。
【0030】
例えば、印刷法によっては、細線描画性のためにチキソ性を付与することが好ましい。チキソ性を付与する方法としては、チキソ性付与剤を使用する方法や、微粒子を分散する方法が挙げられる。これらの方法は、併用してもよい。
【0031】
チキソ性付与剤としては、エチルセルロース、BYK−405、410、411、415、420、425、420、430、431等(ビック・ケミー株式会社)、Disparlonチクソトロピック剤シリーズ(楠本化成)等の市販されているものが挙げられる。尚、チキソ性付与剤は、使用する溶媒と目的のチキソ性を得られれば、特に限定はない。
また、ポリシロキサン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、アルキル変性セルロース、ペプチド、ポリペプチド、及びこれらのうち2つ以上の構造を有する共重合体も好ましい。
【0032】
微粒子としては、有機微粒子や、金属酸化物粒子等の無機微粒子が挙げられる。微粒子を添加することで、粘度やチキソ性を適宜調整でき、印刷性(例えば、細線描画性や形状保持性)やエッチング性を制御することができる。また、無機薄膜のエッチング温度まで加熱すると、エッチング成分は液状になるが、粒子により流動性が抑制され印刷された組成物の形状が変形することを防ぐ。
【0033】
有機微粒子としては例えば、ポリスチレンビーズ、ポリエチレン粒子、アクリル粒子、ポリシロキサン樹脂粒子、イソプレンゴム粒子、ポリアミド粒子を例示することができる。
無機微粒子としては、酸化銅、水酸化銅、酸化鉄、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉛、マグネシア、酸化スズ等の金属酸化物粒子、炭酸カルシウム、カーボン、シリカ、マイカ、スメクタイトを例示することができる。
また、表面が電気的に引き合う粒子であれば組成物中で疑凝集を形成することから、同様の効果が期待できる。
【0034】
微粒子の一次粒子形状は、概球状、針状、板状、米粒状等から選択できる。特に、チキソ性付与を目的とする場合は、針状、板状、米粒状、数珠状の形状が好ましい。
尚、微粒子の分散のため、目的の機能を損なわない範囲で、分散助剤や分散安定剤を添加することができる。
微粒子の長径(長辺)は10nm〜10μmが好ましい。
尚、微粒子の長径(長辺)は前述のエッチング成分の粒径をSEM観察像から求める方法と同様の方法で求められる。
【0035】
チキソ性付与剤の含有率は、組成物全体に対して0.1〜5.0質量%である。0.1質量%未満ではチキソ性の発現に十分な効果が得られなくなる。一方、5.0質量%を超えると粘度が高くなりすぎることがある。チキソ性付与剤の含有率は、特に、1.0〜4.0質量%であることが好ましい。
【0036】
本発明の組成物は、上述した(A)及び(B)成分、及び、必要に応じて配合される溶媒や上記添加剤等を混合することにより製造できる。
組成物の均一性を向上させるために、プロペラ撹拌、超音波分散装置(例、日本精機製作所製、超音波ホモジナイザー)、自転公転ミキサー(例、シンキー製、泡取り錬太郎)、高速乳化・分散機(例、プライミクス社製TKホモミクサーシリーズ)、らいかい機、3本ロールミル、ビーズミル、サンドミル、ポットミル等の分散機を使用して混合させることが好ましい。尚、分散はこれら装置を単独で、又は組合せて実施することができる。
【0037】
分散後、組成物中に気泡が発生した場合は、減圧下への放置、減圧下での撹拌脱泡等により組成物中の気泡を除去することができる。
【0038】
本発明の組成物は、無機薄膜、特にSiN膜のエッチングペーストとして好適に使用できる。
本発明の組成物は、例えば、有版印刷として、スクリーン印刷、フレキソ印刷、マイクロコンタクトプリント等、無版印刷として、インクジェット印刷、スリット印刷、ディスペンサ印刷等に適用できる。
なかでも、非接触でパターニング可能な印刷方法が、印刷圧力の印加による基板の損傷を回避できるため好ましい。
【0039】
組成物の粘度は、印刷方法や印刷装置に依存することから、特に限定されず、各々の印刷法に適するように調製することができる。
例えば、スクリーン印刷では25℃における粘度が、100mPa・s以上であることが好ましく、特に、1Pa・s以上であることが好ましい。
インクジェット印刷では、3〜20mPa・sが一般的に好ましい範囲である。
【0040】
組成物を使用して、SiN膜を除去する方法は、本発明の組成物を、印刷法によりSiN膜上に形成する工程(印刷工程)と、加熱によりSiN膜を除去する工程(エッチング工程)と、を有する。
SiN膜は、CMOS等の半導体素子の層間絶縁膜、パッシベーション膜等や、太陽電池等の反射防止膜等として使用されている。SiN膜は化学蒸着法(CVD)等、公知の方法で形成される。尚、「SiN」は化学量論比(Si:N)が1:1であることを意味するものではない。
【0041】
印刷工程では、上述した公知の印刷法により、組成物をSiN膜上の所望のパターンを形成する。パターンの下部に位置するSiN膜が最終的に除去(エッチング)される。
印刷後、必要であれば加熱や減圧により、組成物の溶媒を揮発、除去する。溶媒の除去は、エッチング工程における加熱と兼ねてもよいが、それぞれの温度条件が異なる場合もあるため、適宜選択する。
【0042】
エッチング工程では、100〜250℃、より好ましくは100〜200℃で1〜60分間加熱する。250℃を超えると、例えば、太陽電池の場合、n+層等の内にドープされているドーパントが拡散し、P型/N型界面に相互拡散層が生じ、太陽電池の特性が低下する場合がある。
【0043】
エッチング工程後、残留物がある場合は、残留物を取り除くための洗浄工程を設ける。
洗浄工程としては、純水を用いた超音波洗浄、ブラシ洗浄、スプレー洗浄、流水洗浄等が挙げられる。
【0044】
本発明のSiN膜を除去する方法は、SiN膜を有する基板に適用できる。基板としては、Siを主成分とする場合、ガラス(クオーツ、窓ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス)、シリコンウェハ等を例示できる。使用目的よっては不純物を含んでもよく、酸化されていてもよい。また、表面の形状は問わない。
【0045】
本発明の方法を使用して、SiN膜を除去して得られる基板は、各種半導体装置や太陽電池の中間加工品となる。例えば、太陽電池であれば、SiN膜を除去した後に、金属ペースト等使用して給電配線(電極)を形成することにより太陽電池が作製できる。尚、露出したシリコン表面にリン等のドーパントをドーピングしてn+部を形成してもよい。
【実施例】
【0046】
実施例1
(1)液状組成物の調製
三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体(融点88℃、和光純薬工業株式会社)12.5gとトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム12.5gを自動乳鉢で9時間すりつぶし、100μmのふるいを通して微粉末化した。
得られた微粉末6.87g、シリカ粒子(AEROSIL R202,日本アエロジル)0.13g、及びテルピネオール異性体混合3.5gを、メノウ乳鉢で混ぜ合わせて液状組成物(SiNエッチングペースト)を得た。
【0047】
(2)SiNエッチングペーストの印刷及びSiN膜のエッチング
鏡面上にPE−CVDによりSiOを150nm、及び、SiNを90nm積層したP型シリコンウェハ(1〜50Ω)(水戸精工株式会社)をSiN付きシリコン基板として用いた。
SiNエッチングペーストをスクリーン印刷により、SiN膜上に5cm×5cmの正方形と、幅が50μm、75μm、及び100μmである直線を印刷した。
印刷したSiN膜付きシリコン基板を、200℃に加熱したホットプレート上で30分加熱処理した後、放冷し、超純水中で超音波洗浄した。
エッチング処理後のSiN付きシリコン基板では、印刷部の下部のSiN膜が除去されていた。
【0048】
実験例
実施例1と同じSiN膜上に、表1に示すフッ化ホウ素試薬を少量載せ、200℃のホットプレートで30分間加熱した。加熱時(200℃)の状態とSiN膜のエッチング結果を表1に示す。尚、混合物の混合比は、1:1(重量)である。
【0049】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の組成物は、窒化シリコン(SiN)等からなる無機薄膜の除去に好適である。
本発明のSiN膜を除去する方法は、各種半導体素子や太陽電池の製造工程に使用できる。