特許第6011475号(P6011475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6011475ビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011475
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】ビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   C07F7/18 WCSP
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-132222(P2013-132222)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-7003(P2015-7003A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】殿村 洋一
(72)【発明者】
【氏名】久保田 透
【審査官】 小川 由美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−031149(JP,A)
【文献】 特開2009−249312(JP,A)
【文献】 特開平10−017579(JP,A)
【文献】 特開2012−046451(JP,A)
【文献】 特開2012−046452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F7
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R10は炭素数1〜20の置換若しくは非置換の1価炭化水素基であり、R7及びR8は炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、nは0,1又は2である。)
で示されるビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物。
【請求項2】
下記一般式(2)
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は上記と同様であり、R11は水素原子又はメチル基であり、R11が水素原子の場合はR7'は炭素数1〜8の2価炭化水素基であり、R11がメチル基の場合はR7'は炭素数1〜7の2価炭化水素基である。)
で示されるビスシリルアミン化合物と、下記一般式(3)
【化3】

(式中、R8、R9、R10、nは上記と同様である。)
で示されるメルカプト基含有オルガノキシシラン化合物を反応させることを特徴とする請求項1記載のビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等として有用なビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ基が保護されたオルガノキシシラン化合物は、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等として有用であり、特にアミノ基がシリル基で保護されたオルガノキシシラン化合物は、置換基の保護や脱保護が容易なため、上記用途に用いるのに適している。
【0003】
このようなアミノ基がシリル基で保護されたオルガノキシシラン化合物としては、例えばN,N−(ビストリメチルシリル)アミノプロピルシラン化合物が例示され、アミノ変性シリコーンオイルの変性剤として有用であることが開示されている(特許文献1:特開平10−17579号公報)。
【0004】
更に、このようなアミノ基がシリル基で保護されたオルガノキシシラン化合物は、例えばエポキシ樹脂に添加することにより、アミノ系シランカップリング剤添加の効果(接着性、補強性向上)を有する一液型硬化性組成物、即ち水分を遮断した系では反応性を示さず安定な組成物であるが、水分と接触することにより加水分解による脱保護が起こり、アミノ基が再生してアミノ系シランカップリング剤を添加したのと同等の効果を示す組成物とすることができるため、塗料添加剤や接着剤として特に有用である。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の化合物ではシリル基で保護されたアミノ基とオルガノキシシリル基との間の結合がアルキレン基であるため、シリル基で保護されたアミノ基の配向は炭素−炭素の結合角、結合距離に依存し、配向の自由度が制限されている。そのため、塗料添加剤、接着剤として用いた場合、アミノ基の効果が充分に発揮されず、満足する添加効果が得られない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−17579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、塗料添加剤、接着剤等として用いた場合にアミノ基の効果が充分に発揮でき、且つ一液型硬化性組成物とすることができる含硫黄オルガノキシシラン化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、シリル基で保護されたアミノ基とオルガノキシシリル基との間にスルフィド基を導入することにより、アミノ基の配向の自由度がアルキレン基の場合と比較して上昇し、塗料添加剤、接着剤等として用いた場合にアミノ基の効果が充分に発揮でき、且つ一液型硬化性組成物とすることができること見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
従って、本発明は下記に示すビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物及びその製造方法を提供する。
[1] 下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R10は炭素数1〜20の置換若しくは非置換の1価炭化水素基であり、R7及びR8は炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、nは0,1又は2である。)
で示されるビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物。
[2] 下記一般式(2)
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は上記と同様であり、R11は水素原子又はメチル基であり、R11が水素原子の場合はR7'は炭素数1〜8の2価炭化水素基であり、R11がメチル基の場合はR7'は炭素数1〜7の2価炭化水素基である。)
で示されるビスシリルアミン化合物と、下記一般式(3)
【化3】

(式中、R8、R9、R10、nは上記と同様である。)
で示されるメルカプト基含有オルガノキシシラン化合物を反応させることを特徴とする[1]記載のビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により提供されるビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物は、従来以上に使用時におけるアミノ基の効果が発揮でき、且つ一液型硬化性組成物とすることができるため、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1で得られた7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルトリメトキシシランと6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−メチル−4−チアヘキシルトリメトキシシランの混合物の1H−NMRスペクトルである。
図2】実施例1で得られた7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルトリメトキシシランと6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−メチル−4−チアヘキシルトリメトキシシランの混合物のIRスペクトルである。
図3】実施例2で得られた7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルメチルジメトキシシランと6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−メチル−4−チアヘキシルメチルジメトキシシランの混合物の1H−NMRスペクトルである。
図4】実施例2で得られた7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルメチルジメトキシシランと6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−メチル−4−チアヘキシルメチルジメトキシシランの混合物のIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物は、下記一般式(1)で示される化合物である。
【化4】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R10は炭素数1〜20の置換若しくは非置換の1価炭化水素基であり、R3及びR4は互いに結合してこれらが結合するケイ素原子と共に環を形成してもよく、R7及びR8は炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、nは0,1又は2である。)
【0013】
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R10の炭素数1〜20の置換若しくは非置換の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が例示され、特にメチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シアノ基;アミノ基;フェニル基、トリル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基;炭素数2〜10のアシル基;それぞれ各アルキル基、各アルコキシ基が炭素数1〜5であるトリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基、ジアルキルモノアルコキシシリル基若しくはモノアルキルジアルコキシシリル基が挙げられ、更にエステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)、スルフィド基(−S−)等が介在していてもよく、これらを組み合わせて用いることもできる。
【0014】
また、R3及びR4が互いに結合してこれらが結合するケイ素原子と共に環を形成する場合の−R3−R4−基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基等が例示される。
【0015】
7及びR8は炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、イソブチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、メチレンフェニレン基、メチレンフェニレンメチレン基等のアラルキレン基が例示される。
【0016】
上記一般式(1)で示されるビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物の具体例としては、5−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルトリメトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルメチルジメトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルジメチルメトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルトリエトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルメチルジエトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルジメチルエトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルトリメトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルメチルジメトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルジメチルメトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルトリエトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルメチルジエトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルジメチルエトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルトリメトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルメチルジメトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルジメチルメトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルトリエトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルメチルジエトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルジメチルエトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルトリメトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルメチルジメトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルジメチルメトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルトリエトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルメチルジエトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルジメチルエトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルトリメトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルメチルジメトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルジメチルメトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルトリエトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルメチルジエトキシシラン、5−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−2−チアペンチルジメチルエトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルトリメトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルメチルジメトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルジメチルメトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルトリエトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルメチルジエトキシシラン、4−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−3−メチル−2−チアブチルジメチルエトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルトリメトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルメチルジメトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルジメチルメトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルトリエトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルメチルジエトキシシラン、7−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルジメチルエトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルトリメトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルメチルジメトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルジメチルメトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルトリエトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルメチルジエトキシシラン、6−[N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノ]−5−メチル−4−チアヘキシルジメチルエトキシシラン、N−(5−トリメトキシシリル−4−チアペンチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(5−メチルジメトキシシリル−4−チアペンチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(5−ジメチルメトキシシリル−4−チアペンチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(5−トリエトキシシリル−4−チアペンチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(5−メチルジエトキシシリル−4−チアペンチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(5−ジメチルエトキシシリル−4−チアペンチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(4−トリメトキシシリル−2−メチル−3−チアブチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(4−メチルジメトキシシリル−2−メチル−3−チアブチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(4−ジメチルメトキシシリル−2−メチル−3−チアブチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(4−トリエトキシシリル−2−メチル−3−チアブチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(4−メチルジエトキシシリル−2−メチル−3−チアブチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(4−ジメチルエトキシシリル−2−メチル−3−チアブチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(7−トリメトキシシリル−4−チアヘプチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(7−メチルジメトキシシリル−4−チアヘプチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(7−ジメチルメトキシシリル−4−チアヘプチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(7−トリエトキシシリル−4−チアヘプチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(7−メチルジエトキシシリル−4−チアヘプチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(7−ジメチルエトキシシリル−4−チアヘプチル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(6−トリメトキシシリル−2−メチル−3−チアヘキシル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(6−メチルジメトキシシリル−2−メチル−3−チアヘキシル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(6−ジメチルメトキシシリル−2−メチル−3−チアヘキシル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(6−トリエトキシシリル−2−メチル−3−チアヘキシル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(6−メチルジエトキシシリル−2−メチル−3−チアヘキシル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−(6−ジメチルエトキシシリル−2−メチル−3−チアヘキシル)−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン等が例示される。
【0017】
本発明における上記一般式(1)で示されるビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物の製造方法は、例えば、下記一般式(2)
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は上記と同様であり、R11は水素原子又はメチル基であり、R11が水素原子の場合はR7’は炭素数1〜8の2価炭化水素基であり、R11がメチル基の場合はR7’は炭素数1〜7の2価炭化水素基である。)
で示されるビスシリルアミン化合物と、下記一般式(3)
【化6】

(式中、R8、R9、R10、nは上記と同様である。)
で示されるメルカプト基含有オルガノキシシラン化合物を反応させる方法が例示される。
【0018】
ここで、R7’としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、イソブチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、メチレンフェニレン基、メチレンフェニレンメチレン基等のアラルキレン基が例示される。
【0019】
上記一般式(2)で示されるビスシリルアミン化合物としては、具体的には、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミン、N,N−ビス(トリメチルシリル)メタリルアミン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アリルアミン、N,N−ビス(トリエチルシリル)メタリルアミン、N−アリル−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、N−メタリル−2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン等が例示される。
【0020】
上記一般式(3)で示されるメルカプト基含有オルガノキシシラン化合物としては、具体的には、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルジメチルエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルジメチルエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン等が例示される。
【0021】
上記一般式(2)で示されるビスシリルアミン化合物と上記一般式(3)で示されるメルカプト基含有オルガノキシシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(2)で示される化合物1モルに対し一般式(3)で示される化合物を0.1〜4モル、特に0.2〜2モルの範囲が好ましい。
【0022】
上記反応において反応速度を向上させるために、ラジカル発生剤を触媒として用いることができる。用いられるラジカル発生剤としては、具体的には、tert−ブチルペルオキシド、ジtert−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス2−メチルブチロニトリル等のアゾ化合物等が例示される。
【0023】
触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、上記一般式(2)で示されるビスシリルアミン化合物1モルに対し0.0001〜0.2モル、特に0.001〜0.1モルの範囲が好ましい。
【0024】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜200℃、特に20〜150℃が好ましく、反応時間も特に限定されないが、1〜40時間、特に1〜20時間が好ましい。反応雰囲気は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
【0025】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0026】
また、本発明における上記一般式(1)で示されるビスシリルアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物の製造方法として、例えば、下記一般式(4)
【化7】

(式中、R7、R8、R9、R10、nは上記と同様である。)
で示されるアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物を、
123Si−基及び/又はR456Si−基
(R1、R2、R3、R4、R5、R6は上記と同様である。)
を有するシリル化剤を用いてシリル化する方法も挙げられる。
【0027】
上記一般式(4)におけるR7、R8、R9、R10は上述したものが例示でき、上記一般式(4)で示されるアミノ基を有する含硫黄オルガノキシシラン化合物の具体例としては、5−アミノ−2−チアペンチルトリメトキシシラン、5−アミノ−2−チアペンチルメチルジメトキシシラン、5−アミノ−2−チアペンチルジメチルメトキシシラン、5−アミノ−2−チアペンチルトリエトキシシラン、5−アミノ−2−チアペンチルメチルジエトキシシラン、5−アミノ−2−チアペンチルジメチルエトキシシラン、4−アミノ−3−メチル−2−チアブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−メチル−2−チアブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−メチル−2−チアブチルジメチルメトキシシラン、4−アミノ−3−メチル−2−チアブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3−メチル−2−チアブチルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−メチル−2−チアブチルジメチルエトキシシラン、7−アミノ−4−チアヘプチルトリメトキシシラン、7−アミノ−4−チアヘプチルメチルジメトキシシラン、7−アミノ−4−チアヘプチルジメチルメトキシシラン、7−アミノ−4−チアヘプチルトリエトキシシラン、7−アミノ−4−チアヘプチルメチルジエトキシシラン、7−アミノ−4−チアヘプチルジメチルエトキシシラン、6−アミノ−5−メチル−4−チアヘキシルトリメトキシシラン、6−アミノ−5−メチル−4−チアヘキシルメチルジメトキシシラン、6−アミノ−5−メチル−4−チアヘキシルジメチルメトキシシラン、6−アミノ−5−メチル−4−チアヘキシルトリエトキシシラン、6−アミノ−5−メチル−4−チアヘキシルメチルジエトキシシラン、6−アミノ−5−メチル−4−チアヘキシルジメチルエトキシシラン等が例示される。
【0028】
上記シリル化反応で用いられるR123Si−基及び/又はR456Si−基を有するシリル化剤としては、具体的には、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルヨードシラン、トリエチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタン等のR123SiX(R1、R2、R3は上記の通りであり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子である。)で表されるトリオルガノハロシラン化合物;ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン等の(R123Si)2NH(R1、R2、R3は上記の通りである。)で表されるシラザン化合物;ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリエチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド等のCR3C(−OSiR123)=NSiR123(Rは水素原子又はフッ素原子であり、R1、R2、R3は上記の通りである。)で表されるシリルアミド化合物;メタンスルホン酸トリメチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のCR3SO3SiR123(Rは水素原子又はフッ素原子であり、R1、R2、R3は上記の通りである。)で表されるスルホン酸シリルエステル化合物が例示される。
【0029】
上記一般式(4)で示される化合物と、シリル化剤との配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(4)で示される化合物1モルに対し、シリル化剤を、シリル基のモル数で1〜4モル、特に1〜2モルの範囲が好ましい。
【0030】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜200℃、特に20〜150℃が好ましく、反応時間も特に限定されないが、1〜40時間、特に1〜20時間が好ましい。
【0031】
上記反応は、無触媒でも進行するが、触媒を用いることもできる。用いられる触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩や、硫酸、スルホン酸といった酸とその誘導体やその無機塩等の塩基性又は酸性化合物が例示される。
【0032】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0034】
[実施例1]
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン98.2g(0.5モル)を仕込み、80℃に加熱した。内温が安定した後、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミン100.8g(0.5モル)とアゾビスイソブチロニトリル0.82g(0.005モル)の混合液を1時間かけて滴下し、その温度で4時間撹拌した。反応液を蒸留し、沸点163−167℃/0.4kPaの留分を142.7g得た。
【0035】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 397,382,174,121,91,73
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)
図1にチャートで示す。
IRスペクトル
図2にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルトリメトキシシラン63質量%と6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−メチル−4−チアヘキシルトリメトキシシラン37質量%の混合物であることが確認された。
【0036】
[実施例2]
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン54.1g(0.3モル)を仕込み、80℃に加熱した。内温が安定した後、N,N−ビス(トリメチルシリル)アリルアミン60.5g(0.5モル)とアゾビスイソブチロニトリル0.49g(0.003モル)の混合液を1時間かけて滴下し、その温度で4時間撹拌した。反応液を蒸留し、沸点157−161℃/0.4kPaの留分を73.7g得た。
【0037】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 381,366,174,105,86,73
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)
図3にチャートで示す。
IRスペクトル
図4にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は7−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チアヘプチルメチルジメトキシシラン61質量%と6−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−メチル−4−チアヘキシルメチルジメトキシシラン39質量%の混合物であることが確認された。
図1
図2
図3
図4