特許第6011538号(P6011538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011538
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】水素分離装置及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/56 20060101AFI20161006BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20161006BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   C01B3/56 Z
   B01D71/02 500
   B01D53/22
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-533683(P2013-533683)
(86)(22)【出願日】2012年9月12日
(86)【国際出願番号】JP2012073290
(87)【国際公開番号】WO2013039092
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年8月17日
(31)【優先権主張番号】特願2011-199731(P2011-199731)
(32)【優先日】2011年9月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 敬郎
(72)【発明者】
【氏名】山村 和広
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−128505(JP,A)
【文献】 特開2006−274297(JP,A)
【文献】 特開2011−116603(JP,A)
【文献】 特開2007−099528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 − 3/58
B01D 53/22
B01D 71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素分離合金膜を用いた膜分離方式により水素混合ガスから水素を分離する水素分離装置の運転方法であって、
前記水素分離合金膜は、Niをx質量%、Tiをy質量%(10≦x<40、10≦y<30)含み、随意的にV、Ta、Co、Fe、Zr、Hfおよび/またはBを固溶の範囲で含み、残部がNbと不可避的不純物からなる合金からなり、
前記水素分離装置を停止するに際し、前記水素分離合金膜の温度が200℃未満となる前に脱水素処理を行うものであり、
前記脱水素処理は、前記水素分離合金膜の温度が300〜600℃の範囲において前記水素分離合金膜への前記水素混合ガスの供給を停止するステップ
前記水素混合ガスの供給を停止するステップの後、前記水素分離合金膜の温度が前記300〜600℃の範囲内で前記水素分離合金膜の少なくとも上流側に酸化性ガスを所定時間供給して前記水素分離合金膜中に残存する水素量を300ppm以下にするステップ有し
前記脱水素処理の後、前記水素分離合金膜の温度を200℃未満に低下させるステップを行う、
ことを特徴とする水素分離装置の運転方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水素分離装置の運転方法において、
前記所定時間は、前記水素分離合金膜の厚さ0.1mmあたり8〜55分間であることを特徴とする水素分離装置の運転方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の水素分離装置の運転方法において、
前記水素分離合金膜の厚さが0.01〜1mmであることを特徴とする水素分離装置の運転方法。
【請求項4】
請求項3に記載の水素分離装置の運転方法において、
前記水素分離合金膜の厚さが0.05〜0.2mmであることを特徴とする水素分離装置の運転方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の水素分離装置の運転方法において、
前記水素分離合金膜は、その両面に触媒としてのPd薄膜が更に成膜されていることを特徴とする水素分離装置の運転方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の水素分離装置の運転方法において、
前記脱水素処理における前記水素分離合金膜の温度が300〜450℃の範囲であることを特徴とする水素分離装置の運転方法。
【請求項7】
水素分離合金膜を用いた膜分離方式により水素混合ガスから水素を分離する水素分離装置であって、
前記水素分離合金膜は、Niをx質量%、Tiをy質量%(10≦x<40、10≦y<30)含み、随意的にV、Ta、Co、Fe、Zr、Hfおよび/またはBを固溶の範囲で含み、残部がNbと不可避的不純物からなる合金からなり、該合金膜の厚さが0.01〜1mmであり、
前記水素分離合金膜によって混合ガス室と精製水素室とに仕切られている水素分離器と、
前記水素分離器の温度を調整するヒータと、
前記混合ガス室に接続されるガス供給配管と、
前記混合ガス室に接続される混合ガス室排気配管と、
前記精製水素室に接続される精製水素室パージ配管と、
前記精製水素室に接続される精製水素室排気配管と、
前記ガス供給配管に接続される水素混合ガス供給配管と、
前記ガス供給配管に接続される酸化性ガス供給配管と、
前記の各配管に配設される複数のバルブと、
前記ヒータ及び前記複数のバルブを制御するヒータ/バルブコントローラと、
を具備し、
前記ヒータ/バルブコントローラは、前記水素分離装置を停止する際に前記ヒータ及び前記複数のバルブを制御しながら、
前記水素分離合金膜の温度300〜600℃の範囲に調整するステップと
前記混合ガス室への前記水素混合ガスの供給を停止するステップと
前記300〜600℃の範囲で前記混合ガス室及び前記精製水素室に対して前記酸化性ガスを前記水素分離合金膜の厚さ0.1mmあたり8〜55分間供給して前記水素分離合金膜中に残存する水素量を300ppm以下にするステップと
前記水素分離合金膜中の水素と前記酸化性ガスとが反応・生成した水蒸気を前記混合ガス室排気配管及び前記精製水素室排気配管から排気するステップと
前記水素分離合金膜の温度を200℃未満に低下させるステップと、
を順次行うように構成されていることを特徴とする水素分離装置。
【請求項8】
請求項7に記載の水素分離装置において、
前記水素分離合金膜の厚さが0.05〜0.2mmであることを特徴とする水素分離装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の水素分離装置において、
前記水素分離合金膜は、その両面に触媒としてのPd薄膜が更に成膜されていることを特徴とする水素分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素分離合金膜を用いて水素混合ガスから水素ガスを分離精製する技術に関し、特に、パラジウム系合金膜以外の水素分離合金膜を用いた水素分離装置及びその運転中の当該装置を停止する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素ガス(以下、単に水素と称す)は、燃焼しても二酸化炭素などの温室効果ガスを出さないクリーンなエネルギー源として近年注目されている。水素は、大気中にほとんど存在していないことから(1ppm以下)、通常、炭化水素の水蒸気改質により製造されている。
【0003】
この水素製造プロセスでは、水素(H)と共に一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO)が生成され、未反応の原料ガスである炭化水素(例えば、メタン:CH)や水蒸気(HO)が残存する。その後、これらの混合ガスから水素が分離・精製される。
【0004】
代表的な水素の分離・精製方法としては、圧力変動吸着(PSA)方式と膜分離方式がある。PSA方式は、複数の吸着塔を用いることで高純度水素を精製することができるが、システム全体が大型化・複雑化しやすいというデメリットがある。一方、膜分離方式は、システムを小型化・簡素化できるメリットがあるものの、従来は分離膜としてパラジウム系合金膜(例えば、Pd−Ag合金膜)が使用されており、材料コストが高いという問題があった。
【0005】
そこで、パラジウム系合金膜に替わる安価な金属膜材料やそれを用いた水素分離装置が種々検討されてきた。その結果、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)が金属単体で高い水素透過性能を有することや、それらの金属と他の金属(例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等)とを複相合金化した水素分離合金膜が高い水素透過性能を有することが報告されている。
【0006】
中でもNb−Ni−Ti系合金膜は、水素透過性能と耐水素脆化性との総合的なポテンシャルの高さから注目を集めている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、水素分離装置にパラジウム系合金膜以外の水素分離膜を用いた場合、水素分離合金膜の周りに水素が存在する状態で装置を停止すると(装置温度を低下させると)、水素分離合金膜が劣化(いわゆる水素脆化)してしまうという問題があった。そして、そのような問題を解決するために様々な水素分離装置や制御方法が検討され提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1(特開2001−118594号公報)には、水素と酸素とを反応させて発電する燃料電池システムであって、燃料電池システムの停止時に、燃料と空気とから改質ガスを生成する改質器への燃料の供給を停止すると共に、該改質器の下流に接続され該改質ガスから水素のみを分離する水素分離合金膜の改質器側に空気を導入し、該水素分離合金膜の透過側に接続される水素供給ラインの開閉弁を閉弁することにより、水素分離合金膜の改質器側及び透過側の水素を除去する燃料電池システムが開示されている。
【0009】
特許文献1によると、燃料電池システムの停止時に、水素分離合金膜の劣化の原因となる水素分離合金膜内の水素を確実且つ簡便に除去することができると共に、不活性ガス(例えば、窒素ガス)を用いることなく、燃料電池の電池構成要素の劣化を引き起こす燃料電池の両極間の圧力差の発生を抑制することができるとされている。
【0010】
特許文献2(特開2003−112905号公報)には、水蒸気を生成する水蒸発器と、燃料と水の改質反応により水素リッチな改質ガスを生成する改質器とを備え、前記改質器が少なくとも水素分離合金膜を介して隣接する改質層と純水素層からなる膜反応器である燃料改質システムであって、システム停止時に、前記改質層及び純水素層に前記水素分離合金膜の水素脆化を回避し得る所定温度を維持するように前記水蒸発器で生成した水蒸気のみを供給し、前記改質層及び前記純水素層の残留ガスをパージするのに必要な水蒸気量を供給した後に、前記改質器に空気を供給するようにした燃料改質システムが開示されている。
【0011】
特許文献2によると、システム停止時に、水蒸気によるパージを行ってから空気によるパージを行うことにより、不活性ガスを使用してパージを行う必要がなくなるので、ボンベ等の貯蔵手段を備える必要が無く、燃料改質システムのスペース効率を向上できるとされている。さらに、燃料改質システム内に水素等の残留ガスが存在するときは、水素分離合金膜を水素脆化しない温度に維持するので、水素分離合金膜の水素脆化を防ぐことができるとされている。
【0012】
特許文献3(特開2003−334417号公報)には、水素透過能を発現する金属または合金からなる水素透過膜を有する装置において、前記水素透過膜の水素供給側空間及び水素透過側空間につながる配管に、熱を動力源とする感温式バルブをそれぞれ1つ以上有しており、これらのバルブの動作を装置自身が持つ熱により行うことにより、装置の起動時には、装置の温度上昇を検知して自動的にこれらのバルブを動作して定常運転状態にいたらしめ、装置の停止時には、装置の温度低下を検知して自動的にこれらのバルブを動作して水素透過膜につながる前記空間内の水素を除去する水素透過膜利用装置の保護方法が開示されている。
【0013】
特許文献3によると、使用限界温度以下の温度で水素透過膜を水素にさらさずにすむため、膜の崩壊を防ぐことができるとされている。さらに、熱で動作する感温式バルブを用いることにより、水素透過膜の起動停止に必要なバルブ操作のために特別な電気エネルギー等を消費せず、かつ電子制御も必要としないシステムを提供できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−118594号公報
【特許文献2】特開2003−112905号公報
【特許文献3】特開2003−334417号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】山村和広、飛世正博:“Nb−Ni−Ti系合金水素分離膜の耐水素脆性の改善”,日立金属技報Vol.27(2011)pp.14−19.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1〜3には、水素分離合金膜(水素透過膜)中及び/または周りに水素が存在する状態で温度を下げると該水素分離合金膜が劣化することから、ある温度以上に保った状態で該水素分離合金膜内の水素を除去する工程を設けることが好ましい旨の技術的思想が開示されているが、これらの従来技術によっても水素分離合金膜中に残存する水素を効率よく短時間で除去し、かつ水素分離合金膜の脆化割れを抑制することは困難である。
【0017】
具体的には、特許文献1には水素除去を行う際の具体的な温度や時間の記載が示されておらず、その結果、実運転する際に水素分離合金膜から水素を除去する工程が非効率になり、該工程に必要以上の時間を掛けてしまったり、水素除去が不十分で水素分離合金膜が劣化してしまったりする問題があった。
【0018】
特許文献2では水蒸気によるパージを行ってから空気によるパージを行うと記載されているが、水蒸気によるパージを行っても水素分離合金膜中に存在した水素を除去することはできず、水素分離合金膜の脆化を抑制することはできないという問題があった。
【0019】
さらに特許文献3では感温式のバルブを用いて水素分離合金膜につながる空間中の水素を除去する方法が記載されているが、特許文献2同様に水素分離合金膜中に存在する水素の除去ができないため、水素分離合金膜の脆化を抑制することはできないという問題があった。
【0020】
したがって、本発明の目的は、水素分離合金膜の水素脆化を効率良く抑制できる水素分離装置の運転方法及び起動/停止の繰り返しに強い水素分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、水素分離装置を運転する際に水素分離合金膜の表面から放出される水素の挙動についての考察と試行を繰り返した。その結果、水素分離合金膜表面の雰囲気を酸化性ガスにすることで当該表面における水素の結合が促進され、これに伴って水素分離合金膜からの水素の脱離速度が速くなり、極めて短時間で効率よく膜中の水素の量を低減することができることを知見した。本発明者らはさらに、水素を効率よく放出させるための好ましい温度条件等を明らかにし、本発明を完成させた。
【0022】
(I)本発明の1つの態様は、膜分離方式により水素混合ガスから水素を分離する水素分離装置の運転方法であって、前記水素分離装置は水素分離合金膜を用い、前記水素分離合金膜の温度が300〜600℃の範囲において、前記水素分離合金膜への前記水素混合ガスの供給を停止するステップを行い、前記水素混合ガスの供給を停止するステップの後、前記水素分離合金膜の温度が300〜600℃の範囲内で、前記水素分離合金膜の少なくとも上流側に酸化性ガスを所定時間供給するステップを行い、その後、前記水素分離合金膜の温度を200℃未満に低下させるステップを行う水素分離装置の運転方法を提供する。
【0023】
本発明は、上記の本発明に係る水素分離装置の運転方法(I)に対して、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記所定時間は、前記水素分離合金膜の厚さ0.1mmあたり8〜55分間である。
(ii)酸化性ガスを供給する前記ステップにより、前記水素分離合金膜中に残存する水素量を300ppm以下にする。
(iii)前記水素分離合金はNbを含有する合金である。
(iv)前記Nbを含有する合金は、Niをx質量%、Tiをy質量%(10≦x<40、10≦y<30)含み、残部がNbと不可避的不純物からなる合金である。
(v)前記水素分離合金膜の厚さが0.01〜1mmである。
【0024】
(II)本発明の他の1つの態様は、膜分離方式により水素混合ガスから水素を分離する水素分離装置であって、水素分離合金膜を内蔵し前記水素分離合金膜によって混合ガス室と精製水素室とに仕切られている水素分離器と、前記水素分離器の温度を調整するヒータと、前記混合ガス室に接続されるガス供給配管と、前記混合ガス室に接続される混合ガス室排気配管と、前記精製水素室に接続される精製水素室パージ配管と、前記精製水素室に接続される精製水素室排気配管と、前記ガス供給配管に接続される水素混合ガス供給配管と、前記ガス供給配管に接続される酸化性ガス供給配管と、前記の各配管に配設される複数のバルブとを具備し、
前記水素分離合金膜の温度が300〜600℃の範囲において、前記混合ガス室への前記水素混合ガスの供給を停止し、前記混合ガス室及び前記精製水素室に対して前記酸化性ガスを前記水素分離合金膜の厚さ0.1mmあたり8〜55分間供給し、前記水素分離合金膜中の水素と前記酸化性ガスとが反応・生成した水蒸気を前記混合ガス室排気配管及び前記精製水素室排気配管から排気した後に、前記水素分離合金膜の温度を200℃未満に低下させるために前記ヒータ及び前記複数のバルブを制御するヒータ/バルブコントローラを更に具備する水素分離装置を提供する。
【0025】
本発明は、上記の本発明に係る水素分離装置(II)に対して、以下のような改良や変更を加えることができる。
(vi)前記水素分離合金膜はNbを含有する合金からなる。
(vii)前記Nbを含有する合金は、Niをx質量%、Tiをy質量%(10≦x<40、10≦y<30)含み、残部がNbと不可避的不純物からなる合金であり、前記水素分離合金膜の厚さが0.01〜1mmである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、水素分離合金膜の水素脆化を効率良く抑制できる水素分離装置の運転方法を提供することができる。その結果、起動/停止の繰り返しに強くかつ材料コストの低い水素分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】Nb−25質量%Ni−21質量%Ti合金膜における水素放出曲線の一例を示したチャートである。
図2】Nb−25質量%Ni−21質量%Ti合金膜における脱水素処理の保持時間と合金膜中の残留水素量との関係を示すグラフの一例である。
図3】本発明に係る水素分離装置の主要部分の構成例を示す模式図である。
図4】本発明に係る水素分離装置の運転方法を実施した場合における圧力変動・温度変動水素透過試験の結果の一例を示したチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
【0029】
(水素分離合金膜の作製)
Niを25質量%、Tiを21質量%、残部がNbおよび不純物となるように原料金属を配合しNb−Ni−Ti系合金を高周波溶解にて鋳造した(以下、本作製合金をNb−25Ni−21Tiと表記する)。
【0030】
得られたインゴットに対して熱間鍛造工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程を行い、厚さ0.1mmの薄板を作製した。冷間圧延工程の途中及び最終圧延後には焼鈍を実施した。
【0031】
得られた薄板を目的形状に切断した後、水素分子を原子に解離・再結合させるための触媒としてPd薄膜(厚さ:100〜200nm)をスパッタリングによって薄板の両面に成膜して水素分離合金膜を作製した。
【0032】
(水素透過試験)
非特許文献1と同様の試験装置及び手順によって、一定温度環境下(350℃)における圧力変動水素透過試験(水素透過膜の上流側/下流側の水素圧力差:0〜0.2MPa)を行ったところ、100サイクルの圧力変動に対しても水素分離合金膜の破壊は起こらなかった。この結果から、上記の水素分離合金膜は、水素分離装置の運転温度において十分な耐水素脆化性を有していることが確認された。
【0033】
次に、圧力変動に温度変動を加えた水素透過試験を行った(圧力変動1サイクル毎に温度を350℃から100℃に低下させた)。その結果、数サイクル(一例としては3サイクル)で水素分離合金膜の破壊が起こり、水素雰囲気中で水素分離合金膜の温度を低下させると水素脆化が促進されることが確認された。
【0034】
(水素透過膜の水素放出速度)
前述したように、Nb−Ni−Ti系合金膜において吸蔵された水素の放出挙動は現段階で報告されておらず未解明である。そこで、本発明者等は、水素の放出挙動を解明するために水素を吸蔵させた水素分離合金膜に対して、昇温脱離分析法(TDS)により合金からの水素放出速度を測定した。合金中への水素の吸蔵は、水素気流中350℃で1時間保持の条件で行った。
【0035】
図1は、Nb−25Ni−21Ti合金膜における水素放出曲線の一例を示したチャートである。
【0036】
図1に示したように、約120℃から水素の放出が始まり、200℃近傍と400℃近傍とで水素放出速度のピークを迎え、約600℃で放出が完了することが明らかになった。この結果から、Nb−Ni−Ti系合金膜に吸蔵された水素を排出するためには、少なくとも120℃以上が必要であり、600℃以下で十分なことが判った。
【0037】
(水素透過膜からの水素除去に関する考察)
水素分離合金膜における水素透過の素過程は、「膜表面上への水素分子の付着」→「膜表面上での水素分子の解離」→「膜中への水素原子の固溶」→「膜中での水素原子の拡散」→「反対側の膜表面上での水素分子の再結合」→「当該反対側の膜表面からの水素分子の離脱」となっていると考えられる。
【0038】
一方、水素分離合金膜に吸蔵された水素(固溶した水素)の放出は、「膜中での水素原子の拡散」→「膜表面上での水素分子の再結合」→「膜表面からの水素分子の離脱」の素過程を考えればよいと言える。温度は主に「膜中での水素原子の拡散」と「膜表面上での水素分子の再結合」に寄与する因子と考えられる。
【0039】
ここで、上述のTDSは高真空中での測定であり、その高真空は主に「膜表面からの水素分子の離脱」に寄与したと考えられる。しかしながら、水素分離装置を想定した場合、高真空環境を形成・保持するための装置構造は、水素分離装置を高コスト化してしまうことが懸念される。
【0040】
そこで、本発明者等は、高真空環境を用いずに「膜表面からの水素分子の離脱」を促進させる指針として、「膜表面近傍での水素原子または水素分子の密度の低減」を考えた。すなわち、膜表面近傍での水素原子自体または水素分子自体を低減することができれば、平衡移動により「膜表面からの水素分子の離脱」が促進されると考えた。
【0041】
さらに、本発明者等は、膜表面上での水素原子または水素分子の離脱を促進する方法を種々検討した結果、酸化性ガス(酸素を含むガス、例えば酸素ガスや空気)を膜表面に供給することにより、膜表面上で水素原子と酸化性ガス中の酸素成分とを直接化合させて水蒸気(HO)を生成させる方法が好適であることを見出した。これにより、高真空環境を形成・保持しなくても、高真空環境下と同等に水素分離合金膜から効率良く水素を除去することができる。
【0042】
本発明において、水素分離合金膜に対して前述の温度条件下で酸化性ガスを供給する処理を、以下「脱水素処理」と称する。脱水素処理が水素の除去に有効である理由は、次のように考えられる。
【0043】
膜表面からの水素分子の離脱の素過程は、膜表面における水素分圧により律速される。離脱した水素分子が膜表面で直ちに酸素と化合して水蒸気を生成すると、脱水素処理を行わない場合に比べて膜表面における水素分圧が低下する。膜表面における水素分圧が低下することは、膜表面近傍での水素分子の濃度勾配が大きくなることを意味し、その結果として膜表面からの水素分子の離脱が促進される。
【0044】
さらに、膜表面からの水素分子の離脱が促進されると、該表面における水素原子の濃度が低下し、膜表面と膜内部とで水素原子の濃度差が大きくなる(すなわち、水素原子の濃度勾配が大きくなる)。水素原子の濃度勾配が大きくなると、膜の内部から表面への水素原子の拡散が促進される。これらの総合的な効果として水素分離合金膜からの水素除去の効率が向上すると考えられる。
【0045】
(脱水素処理条件と残留水素量との関係)
次に、水素を吸蔵させた水素分離合金膜に対して種々の条件(温度、時間)で脱水素処理を行い、水素分離合金膜中の残留水素量及び水素脆化割れの有無を調査した。合金中への水素の吸蔵は、先と同様に、水素気流中350℃で1時間保持の条件で行った。結果を図2に示す。
【0046】
図2は、Nb−25Ni−21Ti合金膜における脱水素処理の保持時間と合金膜中の残留水素量との関係を示すグラフの一例である。
【0047】
図2に示したように、脱水素処理温度を高めるにつれて膜中の残留水素量がより短時間で減少していくことが判る。また、水素脆化割れに関しては、膜中の残留水素量が300ppm以下となると水素脆化割れを抑制できることが明らかになった。分離合金膜の長期信頼性を考慮すると、膜中の残留水素量は200ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましい。
【0048】
上記の試験・調査から、厚さ0.1mmの水素分離合金膜中の残留水素量を300ppm以下にする具体的な脱水素処理条件としては、300℃で約55分間以上保持、350℃で約25分間以上保持、400℃で約18分間以上保持、500℃で約10分間以上保持、または水素の放出が完了する600℃で約8分間以上保持という結果が得られた。一方、200℃では120分間保持という長時間の脱水素処理を行っても残留水素量を300ppm以下とすることはできなかった。
【0049】
また、水素分離合金膜を用いた水素分離装置の運転効率の観点から、脱水素処理は1時間以内で完了することが望まれており、信頼性の観点から、分離合金膜の酸化を抑制することが望まれている。加えて、水素分離合金膜には水素分離を十分に行えるようにPdが成膜される場合があることから、成膜されたPdと水素分離合金膜の拡散をできるだけ抑制することも望まれている。
【0050】
これらの要求を総合的に勘案すると、脱水素処理条件としては、水素分離合金膜の温度が300℃以上600℃以下で所定時間保持が好ましく、300℃以上500℃以下で所定時間保持がより好ましい。300℃以上450℃以下の範囲であると、成膜したPdの拡散は十分に抑制できるため、更に望ましく、300℃以上400℃以下で所定時間保持が最も好ましい。なお、水素分離合金膜における水素の透過流束は分離合金膜の膜厚に反比例することから、脱水素処理の保持時間は膜厚に比例させることが望ましい。
【0051】
なお、200℃未満で金属中に水素が存在する場合、金属水素化物が生成する場合がある。金属水素化物は機械的に非常に脆く、高圧環境下において破壊の起点となる。このため水素分離合金膜においては、金属水素化物が生成しないような運転を行う必要がある。そこで本発明では、水素分離合金膜の破壊を防ぐため、水素分離合金膜の温度が200℃未満となる前に脱水素処理を行うこととした。
【0052】
(水素分離合金)
ここで、水素分離装置に用いる合金としては、Nbを含有する水素分離合金であることが好ましい。より具体的には、Nbを含有する水素分離合金はNiをx質量%、Tiをy質量%(10≦x<40、10≦y<30)含み、残部がNbと不可避的不純物からなる合金であることが好ましい。
【0053】
Niが10質量%未満になると耐水素脆性が低下し、40質量%を超えると水素透過能の低下を招くと共に脆い金属間化合物相が合金中に生成しやすくなる。また、Tiが10質量%未満になると耐水素脆性が低下し、30質量%を超えると水素透過能の低下を招くと共に脆い金属間化合物相が合金中に生成しやすくなる。なお、NbとNiとTiとからなる水素分離合金膜には、V、Ta、Co、Fe、Zr、Hf、Bなどの元素を固溶させることができることが一般に知られており、これらの元素を含んでもよい。
【0054】
水素分離合金の組成を変化させ、残留水素量との関係を調査した。
【0055】
Niを31.5質量%、Tiを25.7質量%、残部がNbおよび不純物となるように原料金属を配合しNb−Ni−Ti系合金を高周波溶解にて鋳造した(以下、本作製合金をNb−32Ni−26Tiと表記する)。また、Niを38.4質量%、Tiを31.3質量%、残部がNbおよび不純物となるように原料金属を配合しNb−Ni−Ti系合金を高周波溶解にて鋳造した(以下、本作製合金をNb−38Ni−31Tiと表記する)。
【0056】
得られたインゴットに対して熱間鍛造工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程を行い、厚さ0.1mmの薄板を作製した。冷間圧延工程の途中及び最終圧延後には焼鈍を実施した。得られた薄板を目的形状に切断した後、水素分子を原子に解離・再結合させるための触媒としてPd薄膜(厚さ:100〜200nm)をスパッタリングによって薄板の両面に成膜して水素分離合金膜を作製した。
【0057】
Nb−32Ni−26TiおよびNb−38Ni−31Tiの水素分離合金膜について、350℃の水素中で1時間保持を行い、水素を吸蔵させた。次に、脱水素処理(空気中350℃で40分間保持)を行った後、水素分離膜中に残留した水素量をTDSにて測定した。
【0058】
表1は、Nb−25Ni−21Tiと、Nb−32Ni−26Tiと、Nb−38Ni−31Tiにおける脱水素処理(空気中350℃で40分間保持)を行った後の残留水素量の比較である。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示すように、NiとTiの含有量が増えるほど(すなわち、Nbの含有量が減るほど)、同じ脱水素処理条件での残留水素量が増加する傾向が見られた。この原因は明確ではないが、以下のように考察することができる。
【0061】
Nb−Ni−Ti系合金において、Nbが水素の固溶と拡散に寄与する元素であることが知られている。ここで、水素の移動(拡散)は合金中に存在するNb原子同士のつながりを主経路として行われると考える。その場合、Nbの含有量が少なくなるとNb原子同士のつながりが減少し、水素の移動経路が分断され易くなるため、拡散が生じにくくなると推測される。このようなメカニズムにより、Nbが少ない合金組成では、脱水素処理過程において、合金中に溶け込んだ水素の移動が阻害され、外部に放出されにくくなったものと考えられる。
【0062】
水素分離装置に用いる合金膜の膜厚は、0.01mm以上1mm以下が好ましく、0.03mm以上0.5mm以下がより好ましく、0.05mm以上0.2mm以下が更に好ましい。
【0063】
水素分離合金膜における水素の透過流束は分離合金膜の膜厚に反比例することから、膜厚が薄い方がより多くの水素を取り出すことができるようになる。膜厚が0.01mm未満になると膜の強度が不足し、圧力をかけたときに破壊しやすくなる。一方、膜厚が1mmより厚くなると水素透過流束が小さくなりすぎるため、非効率である。
【0064】
(水素分離装置及び運転方法)
図3は、本発明に係る水素分離装置の主要部分の構成例を示す模式図である。
【0065】
図3に示したように、本発明に係る水素分離装置は、基本的に、水素分離合金膜11を内蔵した水素分離器10によって、水素混合ガスから水素を分離する装置である。水素分離器10は、水素分離合金膜11によって内部が混合ガス室12と精製水素室13とに仕切られており、ヒータ14によって温度が調整される。混合ガス室12には、ガス供給配管20と混合ガス室排気配管24とが接続されている。ガス供給配管20には、水素混合ガス供給配管21とパージガス供給配管22と酸化性ガス供給配管23とが接続されている。精製水素室13には、精製水素室パージ配管25と精製水素回収配管26と精製水素室排気配管27とが接続されている。混合ガス室排気配管24と精製水素室排気配管27と真空排気配管29とが、排気配管28に接続されている。真空排気配管29には、真空ポンプ40が接続されている。
【0066】
また、上記の各配管21〜29には、バルブ31〜39がそれぞれ配設されている。さらに、本発明に係る水素分離装置は、ヒータ14の温度及び各バルブ31〜39の開閉を制御するヒータ/バルブコントローラ50を具備している。なお、図3においては、図面の簡素化のため、ヒータ/バルブコントローラ50と各バルブ31〜39とをつなぐ配線の図示を省略した。
【0067】
次に、図3を参照しながら本発明に係る水素分離装置の運転方法を説明する。
【0068】
(水素分離装置の起動と水素精製)
まず、バルブ34(混合ガス室排気配管バルブ)、バルブ37(精製水素室排気配管バルブ)、バルブ39(真空排気配管バルブ)を開き、それ以外のバルブを全て閉じた状態で真空ポンプ40を運転させて、水素分離器10内及び各配管内の残留ガスを真空排気する(真空排気工程)。
【0069】
次に、ヒータ14により水素分離器10を300〜600℃(運転温度)まで加熱する(昇温工程)。
【0070】
次に、バルブ31(水素混合ガス供給配管バルブ)、バルブ34(混合ガス室排気配管バルブ)、バルブ36(精製水素回収配管バルブ)、バルブ38(排気配管バルブ)を開き、それ以外の全てのバルブを閉じた状態とし、水素混合ガス供給配管21から水素混合ガスを水素分離器10の混合ガス室12に供給する。それにより、水素混合ガス中の水素のみが水素分離合金膜11を透過して分離・精製され、精製水素回収配管26から高純度な水素を得ることができる。
【0071】
一方、水素分離合金膜11を透過しなかった他成分ガスは、混合ガス室排気配管24と排気配管28とを通じて系外に排出される。以上が水素精製工程となる。
【0072】
(水素分離合金膜の脱水素処理と装置の停止)
水素精製工程が終了した後、まず、ヒータ14により水素分離器10を所定の温度(300〜600℃)に調整する。次に、バルブ32(パージガス供給配管バルブ)、バルブ34(混合ガス室排気配管バルブ)、バルブ35(精製水素室パージ配管バルブ)、バルブ37(精製水素室排気配管バルブ)、バルブ38(排気配管バルブ)を開き、それ以外のバルブを全て閉じた状態とし、パージガス供給配管22からパージガス(水素と化合しないガス、例えば、窒素、アルゴン、水蒸気など)を導入し、系内の気相の水素を置換排気する(置換排気工程)。
【0073】
なお、置換排気工程の代わりに、バルブ34(混合ガス室排気配管バルブ)、バルブ35(精製水素室パージ配管バルブ)、バルブ37(精製水素室排気配管バルブ)、バルブ39(真空排気配管バルブ)を開き、それ以外のバルブを全て閉じた状態で真空ポンプ40を運転させて、水素分離器10内及び各配管内の気相の水素を真空排気してもよい(真空排気工程)。
【0074】
真空排気工程を行う場合、前述の置換排気工程を行わなくてもよい。また、置換排気工程を行わない場合、パージガス供給配管22及びバルブ32は水素分離装置に具備されなくてもよい。
【0075】
次に、バルブ33(酸化性ガス供給配管バルブ)、バルブ34(混合ガス室排気配管バルブ)、バルブ35(精製水素室パージ配管バルブ)、バルブ37(精製水素室排気配管バルブ)、バルブ38(排気配管バルブ)を開き、それ以外のバルブを全て閉じた状態とし、酸化性ガス供給配管23から酸化性ガス(酸素を含むガス、例えば酸素ガスや空気)を水素分離器10の混合ガス室12と精製水素室13とに供給する。この操作により、水素分離合金膜11中に残留した水素が酸化性ガス中の酸素と化合して水蒸気となり、混合ガス室排気配管24と精製水素室排気配管27と排気配管28とを通じて系外に排出される。
【0076】
この工程を所定時間(8〜55分間)行って、水素分離合金膜11中の残留水素量を300ppm以下にする。なお、酸化性ガスの供給量は、水素分離合金膜11中に残留した水素が全て水蒸気となるのに不足しない量であればよい。以上が脱水素処理工程となる。その後、水素分離器10の温度を低下させ、全てのバルブを閉じて水素分離装置を停止する(停止工程)。
【0077】
以上のサイクルを経ることで、水素分離合金膜の水素脆化を効率良く抑制することができ、水素分離合金膜を用いた水素分離装置において、起動/停止の繰り返しに強い運転方法を提供することができる。
【実施例】
【0078】
前述と同様にNb−25Ni−21Tiからなる水素分離合金膜を作製し、図3に示した構成を有する水素分離装置を組み上げた。
【0079】
前述の運転方法に沿って圧力変動・温度変動水素透過試験を行った。試験条件としては、350℃まで30分間で昇温する昇温工程と、350℃で1時間の水素精製工程と、窒素ガスによる置換排気工程と、350℃で40分間の脱水素処理工程と、80℃まで30分間で降温する停止工程とを1サイクルとした。試験結果を図4に示す。
【0080】
図4は、本発明に係る水素分離装置の運転方法を実施した場合における圧力変動・温度変動水素透過試験の結果の一例を示したチャートである。チャートの縦軸は水素分離合金膜の上流側/下流側の水素圧力差を示し、チャートの横軸は圧力・温度変動のサイクル数を示している。
【0081】
図4に示したように、本発明に係る水素分離装置の運転方法によると、20サイクルを経ても水素圧力差に目立った低下は観察されなかったことから、水素分離合金膜の破壊が起こらなかったことが示唆される。また試験後に水素分離合金膜を取り出し、表面の観察を行ったが実際にクラックは確認されなかった。これらの事実により、水素分離合金膜を用いた水素分離装置であって起動/停止の繰り返しに強い水素分離装置を提供できることが実証された。
【符号の説明】
【0082】
10…水素分離器、11…水素分離合金膜、12…混合ガス室、13…精製水素室、14…ヒータ、20…ガス供給配管、21…水素混合ガス供給配管、22…パージガス供給配管、23…酸化性ガス供給配管、24…混合ガス室排気配管、25…精製水素室パージ配管、26…精製水素回収配管、27…精製水素室排気配管、28…排気配管、29…真空排気配管、31〜39…バルブ、40…真空ポンプ、50…ヒータ/バルブコントローラ。
図1
図2
図3
図4