(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一ユニット部及び前記第二ユニット部の少なくとも一方に設けられ、前記第一ユニット部及び前記第二ユニット部の一方に対し、前記第一ユニット部及び前記第二ユニット部の他方を相対移動させる移動機構を有する
請求項1に記載のカセット装置。
前記第一制御信号を発信し、前記第一通信部を介して前記第一移動部と前記第一ユニット部とを制御するとともに、前記第二制御信号を発信し、前記第二通信部を介して前記第二移動部と前記第二ユニット部とを制御する制御装置をさらに有する
請求項8に記載のカセット装置。
前記第一処理部と前記第二処理部の各々は、前記基板に膜を形成する膜形成装置、前記基板を加熱する加熱装置、前記基板を洗浄する洗浄装置、前記基板を露光する露光装置及び前記基板を検査する検査装置のうち少なくとも一つを含む
請求項23又は請求項24に記載の基板処理装置。
前記第一基板処理部と前記第二基板処理部の各々は、前記基板に膜を形成する膜形成装置、前記基板を加熱する加熱装置、前記基板を洗浄する洗浄装置、前記基板を露光する露光装置、及び前記基板を検査する検査装置のうちの少なくとも一つを含む、
請求項26に記載の基板処理方法。
前記第一移動工程、前記第二移動工程、及び前記第三移動工程の各々は、所定の移動経路に沿って設けられたレール又は案内路に沿って、前記第一ユニット部と前記第二ユニット部とを移動させる移動機構によって行われる、
請求項27に記載の基板処理方法。
前記第一移動工程、前記第二移動工程、及び前記第三移動工程の各々は、位置検出部によって検出される前記第一ユニット部と前記第二ユニット部の各々の位置情報に基づいて、前記前記第一ユニット部と前記第二ユニット部の移動を制御することによって行われる、
請求項27又は請求項28に記載の基板処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る基板処理装置(基板搬送装置)100の全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、基板処理装置100は、可撓性を有するシート状の基板(例えば、帯状のフィルム部材)Sに対して所定の処理を行う処理部(第一基板処理部、第二基板処理部)10と、基板Sを搬送する搬送部(カセット装置)20と、処理部10及びカセット装置20を統括的に制御する制御部CONTとを有する。基板処理装置100は、例えば製造工場の床面FL上に設けられている。
【0015】
基板処理装置100は、基板Sの処理面(表面)に各種処理を実行するロール・トゥ・ロール方式(以下、単に「ロール方式」と表記する)の装置である。基板処理装置100は、基板S上に例えば有機EL素子、液晶表示素子等の表示素子(電子デバイス)を形成する場合に用いられる。勿論、これらの素子以外の素子(例えば、ソーラーセル、カラーフィルター、タッチパネル等)を形成するシステムにおいて基板処理装置100を用いても良い。
【0016】
以下、本実施形態に係る基板処理装置100の構成を説明するにあたり、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。以下の図においては、XYZ直交座標系のうち床面FLに平行な平面をXY平面としている。XY平面のうち基板Sが移動する方向をY軸方向とし、Y軸方向に直交する方向をX軸方向としている。また、床面FL(XY平面)に垂直な方向をZ軸方向としている。また、Z軸回りの方向をθZ軸方向と表記する。
【0017】
基板処理装置100において処理対象となる基板Sとしては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ステンレス箔などの材料を用いることができる。
【0018】
基板Sの短尺方向の寸法は例えば50cm〜2m程度に形成されており、長尺方向の寸法(1ロール分の寸法)は例えば10m以上に形成されている。勿論、この寸法は一例に過ぎず、これに限られることは無い。例えば基板Sの短尺方向の寸法が1m以下、又は50cm以下であっても良いし、2m以上であっても良い。また、基板Sの長尺方向の寸法が10m以下であっても良い。
【0019】
基板Sは、例えば1mm以下の厚みを有し、可撓性を有するように形成されている。ここで可撓性とは、例えば基板に少なくとも自重程度の所定の力を加えても剪断したり破断したりすることはなく、前記基板を撓めることが可能な性質をいう。また、例えば上記所定の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、上記可撓性は、前記基板の材質、大きさ、厚さ、温度、又は周囲の温度、湿度などの環境、等に応じて変わる。なお、基板Sとしては、1枚の帯状の基板を用いても良いが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても良い。
【0020】
基板Sは、比較的高温(例えば200℃程度)の熱を受けても寸法が実質的に変わらない(熱変形が小さい)ように熱膨張係数が比較的小さい方が好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合して熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。
【0021】
基板処理装置100は、デバイス製造の工場内に設置される。工場内の床面FLには、ガイドレール(第一移動経路、第二移動経路)30が形成されている。ガイドレール30は、第一レール31、第二レール32及び第三レール33を有する。第一レール31及び第二レール32は、複数の処理部の配列方向(X軸方向)に延びるように形成されている。また、第一レール31は、Y軸方向に関して、処理部10の一方側に配置され、第二レール32は、Y軸方向に関して、処理部10の他方側に配置される。すなわち、第一レール31及び第二レール32は、処理部10をY軸方向に挟む位置に設けられている。第三レール33は、X軸方向において複数の処理部10の間にそれぞれ配置されている。第三レール33は、Y軸方向に平行に形成されており、第一レール31と第二レール32とを接続している。第一レール31、第二レール32及び第三レール33には、例えばX座標やY座標などの位置情報が設定されている。前記位置情報は、光センサや磁気センサなどのセンサによって読み取り可能となるように各レールに形成されている。
【0022】
基板処理装置100は、カセット装置20を備える。このカセット装置20は、基板Sの供給及び回収のうち一方を行う第一ユニット部21と、基板Sの供給及び回収のうち他方を行う第二ユニット部22とを有する。そして、基板Sは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22の一方側から他方側に搬送される。
第一ユニット部21及び第二ユニット部22は、それぞれ複数用意されている。床面FLには、第一ユニット部21及び第二ユニット部22の少なくとも一方を待機させるバッファ部BFが設けられている。このバッファ部BFに、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を待機させることが可能である。バッファ部BFは、ガイドレール30の一部を介して第一レール31、第二レール32又は第三レール33に接続されている。
【0023】
図2は、カセット装置20のうち、第一ユニット部21側の構成を示す分解斜視図である。
図3は、カセット装置20の一部の構成を示す図である。以下、説明の便宜上、
図2及び
図3におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の表示を
図1に対応させるものとする。
カセット装置20は、第一ユニット部21を第二ユニット部22に対して、移動させる移動機構24を備える。移動機構24は、第一ユニット部21を移動させる移動部(第一移動部)42を備える。また、カセット装置20は、後述する移動部側通信部44及び接触抑制部47を有する。
【0024】
第一ユニット部21は、第一壁部40a、第二壁部40b、底部40c及び外部接続部40dを有する。また、第一ユニット部21には、バッテリーなどの電源部(不図示)が設けられている。
【0025】
第一壁部40a及び第二壁部40bは、それぞれ板状に形成されている。第一壁部40aは、例えば−X軸側の端部に配置されている。第二壁部40bは、例えば+X軸側の端部に配置されている。第一壁部40a及び第二壁部40bは、互いに平行に配置されている。なお、第一壁部40a及び第二壁部40bが、扉状に形成されていても良い。
【0026】
底部40cは、XY平面(床面FL)に平行に形成されており、第一壁部40a及び第二壁部40bを連結している。外部接続部40dは、例えば、X軸方向に延びる円柱の棒状部材で形成され、第一ユニット部21の+Y軸側端部に設けられている。第一ユニット部21の+Y軸側端部は、外部の搬送機構に接続される接続部として機能する。外部接続部40dは、第一ユニット部21の高さ方向(Z軸方向)の例えば2箇所に設けられている。
【0027】
第一壁部40a及び第二壁部40bのうち、接続部側の角部には、それぞれ切り欠き部40fが形成されている。切り欠き部40fは、外部構造物に当接可能に設けられている。切り欠き部40fを外部構造物に当接させることにより、第一ユニット部21と前記外部構造物との間で位置決めが行われる。なお、
図2において切り欠き部40fは+Y軸側端部に形成されているが、例えば−Y軸側端部に切り欠き部40fが設けられた構成であっても良い。この場合、切り欠き部40fを処理部10の一部に当接させることで、第一ユニット部21と処理部10との間で位置決めを行うことができる。
【0028】
第一壁部40a及び第二壁部40bの−Y軸側の端部には、それぞれ第一接続部23aが形成されている。第一ユニット部21は、前記第一接続部23aを介して第二ユニット部22に接続される。第一接続部23aとしては、例えば着脱状態を自動で切り替え可能な構成、例えば電磁石など、が用いられている。
【0029】
第一ユニット部21は、基板を収容する第一収容部40を有する。この第一収容部40には、基板Sが巻き付けられた基板供給ローラー(供給ロール)41cが取り付けられる基板駆動部(第一基板駆動部)41が設けられる。基板駆動部41は、基板Sを回転させることによって、第二ユニット部22側に基板Sを供給する供給動作を行う。基板駆動部41は、軸部(第一軸部)41a及び回転駆動部(第一駆動部)41bを有する。軸部41aは、円筒状又は円柱状に形成されており、伸縮可能に構成されている。軸部41aが伸縮することによって、第一壁部40aと第二壁部40bの間から取り外すことができ、基板供給ローラー41cの装着が可能になる。軸部41aは、例えば中心軸の軸線方向がX軸方向に平行となるように配置されている。軸部41aの一方の端部は、第一ユニット部21の第二壁部40bによって円周方向に回転可能に支持されている。軸部41aには、基板供給ローラー41cの端部を保持可能な保持部(不図示)が設けられている。回転駆動部41bは、軸部41aを回転させる。回転駆動部41bが軸部41aを回転させることで、基板Sの供給動作(送り出し動作)が可能となっている。
【0030】
第一収容部40には、保護基板供給ローラー48cが取り付けられる保護基板駆動部(第一補助部)48が設けられる。保護基板供給ローラー48cには、基板Sの被処理面を覆う保護基板(保護フィルム)Cが巻き付けられている。保護基板駆動部48は、保護基板供給ローラー48cを回転させることによって、第二ユニット部22側に保護基板Cを供給する供給動作を行う。保護基板Cは、基板Sの被処理面を覆うことで前記被処理面を保護する。保護基板Cは、基板Sと同様に可撓性を有する材料を用いて帯状に形成されており、基板Sとほぼ同一の寸法を有する。
【0031】
保護基板駆動部48は、軸部48a及び回転駆動部48bを有する。軸部48aは、円筒状又は円柱状に形成されており、伸縮可能に構成されている。軸部48aが伸縮することによって、第一壁部40aと第二壁部40bの間から取り外すことができ、保護基板供給ローラー48cの装着が可能になる。軸部48aは、例えば中心軸の軸線方向がX軸方向に平行となるように配置されている。つまり、軸部41a及び軸部48aは、中心軸の軸線方向が互いに平行となるように配置されている。軸部48aの一方の端部は、第一ユニット部21の第二壁部40bによって円周方向に回転可能に支持されている。軸部48aには、保護基板供給ローラー48cの端部を保持可能な保持部(不図示)が設けられている。回転駆動部48bは、軸部48aを回転させる。回転駆動部48bが軸部48aを回転させることで、保護基板Cの供給動作(送り出し動作)が可能となっている。保護基板駆動部48には、送り出した保護基板Cを基板Sに重ねる機構(不図示)が設けられている。
【0032】
第一ユニット部21は、基板側通信部(第一通信部)43を有する。基板側通信部43は、第一壁部40aの+Z軸側端面に設けられている。基板側通信部43は、例えば制御部CONTや第二ユニット部22などとの間で通信可能である。
【0033】
第一ユニット部21は、接触抑制部47を有する。接触抑制部47は、第一壁部40a及び第二壁部40bの+Y軸側の端面に設けられている。接触抑制部47は、第一壁部40a及び第二壁部40bの+Y軸側の端面が外部構造物に接触するのを抑制すると共に、接触時の衝撃を緩和する。接触抑制部47は、例えば第一壁部40a及び第二壁部40bから+Y軸側に突出した棒状部材と、前記棒状部材に対して作用する−Y軸方向の力を受ける弾性部材とを有する。
【0034】
前述した移動部42は、第一ユニット部21を取り外し可能に支持する。移動部42は、第一ユニット部21をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる。移動部42は、筐体51、キャスター52、昇降部53及びキャスター駆動部54を有する。また、移動部42には、バッテリーなどの電源部(不図示)が設けられている。
【0035】
筐体51は、可動部51a及び基部51bを有する。可動部51aは、筐体51の+Z軸側端部に設けられており、昇降部53の駆動によってZ軸方向に移動可能に設けられている。可動部51aが+Z軸方向に移動することで、第一ユニット部21が前記可動部51aと一体的に+Z軸方向に移動する。基部51bは、可動部51aを移動可能に支持する。
【0036】
キャスター52は、筐体51の基部51bの−Z軸側端面に4つ設けられている。キャスター52は、キャスター駆動部54の駆動により回転可能に設けられている。キャスター52が回転することで、筐体51及び第一ユニット部21が一体的にX軸方向、Y軸方向及びθZ軸方向に移動する。
【0037】
可動部51aの+Z軸側の端面51cには、溝部50が形成されている。溝部50は、前記端面51cに対してV字状に形成されている。一方、第一ユニット部21の−Z軸側の端面40eには4つの球状支持部49が形成されている。前記4つの球状支持部49は、それぞれ上記溝部50に支持される。球状支持部49が溝部50に支持されることにより、第一ユニット部21と筐体51との間におけるX軸方向及びY軸方向への相対的な移動が規制される。なお、溝部50及び球状支持部49の数は、それぞれ3つであってもよい。
【0038】
また、可動部51aには、着脱検出部46が設けられている。着脱検出部46は、第一ユニット部21が筐体51に装着されているか否かを検出する。着脱検出部46としては、例えば溝部50と球状支持部49との間における電気抵抗値を検出するセンサや溝部50における圧力を検出するセンサなど、各種センサを用いることができる。着脱検出部46による検出結果は、例えば移動部側通信部44から外部(制御部CONT、基板側通信部43など)に送信されるようになっている。
【0039】
移動部42は、移動部側通信部(第一通信部)44を有する。移動部側通信部44は、筐体51の内部に設けられている。移動部側通信部44は、例えば制御部CONTや基板側通信部43、第二ユニット部22などとの間で通信可能である。基板側通信部43及び移動部側通信部44は、第一ユニット部21の動作を制御するための第一制御信号を受信可能である。第一制御信号には、例えば移動部42の移動動作を制御する信号や、第一ユニット部21における基板Sの供給及び回収動作を制御する信号などが含まれる。
【0040】
図3に示すように、筐体51の基部51bの−Z軸側の端面51d(床面FLに対向する面)には、位置検出部(第一検出部)55が設けられている。位置検出部55は、第一ユニット部21の位置情報を検出する。位置検出部55は、前記位置情報として、例えばガイドレール30(第一レール31、第二レール32及び第三レール33)に設定された位置情報を検出する。位置検出部55による検出結果は、例えば移動部側通信部44から外部(制御部CONT、基板側通信部43など)に送信されるようになっている。例えば制御部CONTは、位置検出部55の検出結果を用いることで、ガイドレール30に沿って第一ユニット部21を移動させる。
【0041】
図4は、カセット装置20のうち第二ユニット部22の構成を示す分解斜視図である。以下、説明の便宜上、
図4におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の表示を
図1に対応させるものとする。
図4に示すように、第二ユニット部22は、基板駆動部(第二基板駆動部)61、基板側通信部63、接触抑制部67、保護基板駆動部(第二補助部)68を有する。また、カセット装置20に設けられる移動機構24は、第二ユニット部22を移動させる移動部(第二移動部)62を有する。
【0042】
第二ユニット部22は、第一壁部60a、第二壁部60b、底部60c及び外部接続部60dを有する。また、第二ユニット部22には、バッテリーなどの電源部(不図示)が設けられている。第一ユニット部21及び第二ユニット部22は、XZ平面を基準とした鏡面構造を有している。
【0043】
第一壁部60a及び第二壁部60bは、それぞれ板状に形成されている。第一壁部60aは、例えば−X軸側の端部に配置されている。第二壁部60bは、例えば+X軸側の端部に配置されている。第一壁部60a及び第二壁部60bは、互いに平行に配置されている。なお、第一壁部60a及び第二壁部60bが、扉状に形成されていても良い。
【0044】
底部60cは、XY平面(床面FL)に平行に形成されており、第一壁部60a及び第二壁部60bを連結している。外部接続部60dは、例えば、X軸方向に延びる円柱の棒状部材で形成され、第二ユニット部22の−Y軸側端部に設けられている。第二ユニット部22の−Y軸側端部は、外部の搬送機構に接続される接続部として機能する。外部接続部60dは、第二ユニット部22の高さ方向(Z軸方向)の例えば2箇所に設けられている。
【0045】
第一壁部60a及び第二壁部60bのうち、接続部側の角部には、それぞれ切り欠き部60fが形成されている。切り欠き部60fは、外部構造物に当接可能に設けられている。切り欠き部60fを外部構造物に当接させることにより、第二ユニット部22と前記外部構造物との間で位置決めが行われる。なお、
図4において切り欠き部60fは−Y軸側端部に形成されているが、例えば+Y軸側端部に切り欠き部60fが設けられた構成であっても良い。この場合、切り欠き部60fを処理部10の一部に当接させることで、第二ユニット部22と処理部10との間で位置決めを行うことができる。
【0046】
第一壁部60a及び第二壁部60bの+Y軸側の端部には、それぞれ第二接続部23bが形成されている。第二ユニット部22は、前記第二接続部23bを介して第一ユニット部21に接続される。第二接続部23bとしては、例えば着脱状態を自動で切り替え可能な構成、例えば電磁石など、が用いられている。
【0047】
第二ユニット部22は、基板を収容する第二収容部60を有する。この第二収容部60には、基板Sが巻きつけられた基板回収ローラー(回収ロール)61cが取り付けられる基板駆動部61が設けられる。基板駆動部61は、基板Sを回転させることによって、第一ユニット部21側から供給された基板Sを回収する回収動作を行う。基板駆動部61は、軸部(第二軸部)61a及び回転駆動部(第二駆動部)61bを有する。軸部61aは、円筒状又は円柱状に形成されており、伸縮可能に構成されている。軸部61aが伸縮することによって、第一壁部60aと第二壁部60bの間から取り外すことができ、基板回収ローラー61cの装着が可能になる。軸部61aは、例えば中心軸の軸線方向がX軸方向に平行となるように配置されている。軸部61aの一方の端部は、第二ユニット部22の第二壁部60bによって円周方向に回転可能に支持されている。軸部61aには、基板回収ローラー61cの端部を保持可能な保持部(不図示)が設けられている。回転駆動部61bは、軸部61aを回転させる。回転駆動部61bが軸部61aを回転させることで、基板Sの供給動作(巻き取り動作)が可能となっている。
【0048】
第二収容部60は、保護基板供給ローラー68cが取り付けられる保護基板駆動部(第二補助部)68が設けられる。保護基板供給ローラー68cには、基板Sの被処理面を覆う保護基板(保護フィルム)Cが巻き付けられている。保護基板駆動部68は、保護基板供給ローラー68cを回転させることによって、第一ユニット部21側から供給される保護基板Cを回収する回収動作を行う。
【0049】
保護基板駆動部68は、軸部68a及び回転駆動部68bを有する。軸部68aは、円筒状又は円柱状に形成されており、伸縮可能に構成されている。軸部68aが伸縮することによって、第一壁部60aと第二壁部60bの間から取り外すことができ、保護基板供給ローラー68cの装着が可能になる。軸部68aは、例えば中心軸の軸線方向がX軸方向に平行となるように配置されている。つまり、軸部61a及び軸部68aは、中心軸の軸線方向が互いに平行となるように配置されている。軸部68aの一方の端部は、第二ユニット部22の第二壁部60bによって円周方向に回転可能に支持されている。軸部68aには、保護基板供給ローラー68cの端部を保持可能な保持部(不図示)が設けられている。回転駆動部68bは、軸部68aを回転させる。回転駆動部68bが軸部68aを回転させることで、保護基板Cの供給動作(巻き取り動作)が可能となっている。保護基板駆動部68には、送り出した保護基板Cを基板Sに重ねる機構(不図示)が設けられている。なお、保護基板Cが基板Sに重なった状態で基板駆動部61に巻き取られる場合、第二ユニット部22側の保護基板駆動部68を省略することも可能である。
【0050】
第二ユニット部22は、基板側通信部(第二通信部)63を有する。基板側通信部63は、第二壁部60bの+Z軸側端面に設けられている。基板側通信部63は、例えば制御部CONTや第一ユニット部21などとの間で通信可能である。
【0051】
第二ユニット部22は、接触抑制部67を有する。接触抑制部67は、第一壁部60a及び第二壁部60bの−Y軸側の端面に設けられている。接触抑制部67は、第一壁部60a及び第二壁部60bの−Y軸側の端面が外部構造物に接触するのを抑制すると共に、接触時の衝撃を緩和する。接触抑制部67は、例えば第一壁部60a及び第二壁部60bから−Y軸側に突出した棒状部材と、前記棒状部材に対して作用する+Y軸方向の力を受ける弾性部材とを有する。
【0052】
可動部71aの+Z軸側の端面71cには、溝部70が形成されている。溝部70は、前記端面71cに対してV字状に形成されている。一方、第二ユニット部22の−Z軸側の端面60eには4つの球状支持部69が形成されている。前記4つの球状支持部69は、それぞれ上記溝部70に支持される。球状支持部69が溝部70に支持されることにより、第二ユニット部22と筐体71との間におけるX軸方向及びY軸方向への相対的な移動が規制される。なお、溝部70及び球状支持部69の数は、それぞれ3つであってもよい。
【0053】
また、可動部71aには、着脱検出部66が設けられている。着脱検出部66は、第二ユニット部22が筐体71に装着されているか否かを検出する。着脱検出部66としては、例えば溝部70と球状支持部69との間における電気抵抗値を検出するセンサや溝部70における圧力を検出するセンサなど、各種センサを用いることができる。着脱検出部66による検出結果は、例えば移動部側通信部64から外部(制御部CONT、基板側通信部63など)に送信されるようになっている。
【0054】
また、第二ユニット部22は、上記構成の他に、接続検出部(第二検出部)65を有する。接続検出部65は、第一ユニット部21と第二ユニット部22との間が接続されているか否かを検出する。接続検出部65としては、第二接続部23bの電気的特性を検出するセンサなどを用いることができる。接続検出部65による検出結果は、例えば移動部側通信部64から外部(制御部CONT、基板側通信部63など)に送信されるようになっている。
【0055】
前述した移動部62は、第二ユニット部22を取り外し可能に支持する。移動部62は、第二ユニット部22をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる。移動部62は、筐体71、キャスター72、昇降部73及びキャスター駆動部74を有する。筐体71は、可動部71a及び基部71bを有する。制御部CONTは、キャスター72の回転速度を制御する。これにより、制御部CONTは、移動部62の移動速度を制御可能である。また、移動部62には、バッテリーなどの電源部(不図示)が設けられている。
【0056】
前記第二ユニット部22の移動部62と、上記第一ユニット部21の移動部42とは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を相対移動させる移動機構24を構成する。移動部42及び移動部62は、それぞれ第一ユニット部21及び第二ユニット部22を独立して駆動可能である。
【0057】
前述した移動部62は、移動部側通信部(第二通信部)64を有する。移動部側通信部64は、筐体71の内部に設けられている。移動部側通信部64は、例えば制御部CONTや基板側通信部63、第一ユニット部21などとの間で通信可能である。基板側通信部63及び移動部側通信部64は、第二ユニット部22の動作を制御するための第二制御信号を受信可能である。第二制御信号には、例えば移動部62の移動動作を制御する信号や、第二ユニット部22における基板Sの供給動作を制御する信号などが含まれる。
【0058】
移動部62は、基板搬送制御部77を有する。基板搬送制御部77は、第一ユニット部21及び第二ユニット部22による基板S及び保護基板Cの搬送動作を制御する。基板搬送制御部77は、移動部側通信部64及び基板側通信部63を介して軸部61a及び軸部68aの回転速度を制御する。これにより、基板搬送制御部77は、基板S及び保護基板Cの回収速度(巻き取り速度)を制御可能である。
【0059】
また、基板搬送制御部77は、例えば移動部側通信部64及び第一ユニット部21の基板側通信部43を介して軸部41a及び軸部48aの回転速度を制御する。これにより、基板搬送制御部77は、基板S及び保護基板Cの供給速度(送り出し速度)を制御可能である。
【0060】
基板搬送制御部77は、第二ユニット部22のキャスター72の回転速度を制御する。これにより、基板搬送制御部77は、移動部62による移動速度を制御可能である。また、基板搬送制御部77は、移動部側通信部64及び第一ユニット部21の移動部側通信部44を介して第一ユニット部21のキャスター52の回転速度を制御する。これにより、基板搬送制御部77は、移動部42の移動速度を制御可能である。
【0061】
図5は、カセット装置20の第一ユニット部21と第二ユニット部22とを接続させた状態を示す斜視図である。
図5に示すように、第一ユニット部21及び第二ユニット部22は、第一接続部23aと第二接続部23bとが対向した状態で接続可能である。第一接続部23aと第二接続部23bとの間は、電磁石の磁気力によって吸着されている。このように、カセット装置20は、第一接続部23a及び第二接続部23bにより、第一ユニット部21と第二ユニット部22とを接続する接続部23を備える。
【0062】
第一ユニット部21が移動部42の筐体51に支持され、かつ、第二ユニット部22が移動部62の筐体71に支持されている場合、第一ユニット部21と第二ユニット部22とが接続されることで、カセット装置20が構成される。この場合、移動部42及び移動部62は、第一ユニット部21と第二ユニット部22とを接続した状態のまま一体的に移動させることができる。
【0063】
また、第一ユニット部21と第二ユニット部22とが接続されている場合において、例えば第一接続部23a及び第二接続部23bに接続端子が設けられ、前記接続端子同士を接続することによって第一ユニット部21と第二ユニット部22との間で情報のやり取りが可能な構成としても良い。
【0064】
カセット装置20は、第一ユニット部21に設けられ、かつカバー部材CVが装着される装着部81を有する。さらに、カセット装置20は、第二ユニット部22に設けられ、かつカバー部材CVが装着される装着部82を有する。カバー部材CVは、例えば埃などの異物が入らないように、第一ユニット部21及び第二ユニット部22の内部を封止する。カバー部材CVは、第一ユニット部21と第二ユニット部22との間に跨って装着される。
【0065】
図5のカバー部材CVは、例えばZ軸方向に着脱可能な構成が示されているが、これに限られることは無い。例えば、第一ユニット部21の底部40c及び第二ユニット部22の底部60cに、カバー部材CVを回転可能に取り付けてもよい。また、カバー部材CVを伸縮又は折り畳み可能なシート状部材で形成し、このカバー部材CVの一部を底部40cに収容可能に構成しても良い。この場合、第一ユニット部21の底部40cにおける+Y軸側端部からカバー部材CVを引き出し、第一ユニット部21の+Y軸側の側面から+Z軸側の側面へと掛けることにより、第一ユニット部21を覆うことができる。同様に、第二ユニット部22の底部60cの−Y軸側端部からカバー部材CVを引き出し、第二ユニット部22の−Y軸側の側面から+Z軸側の側面へと掛けることにより、第二ユニット部22を覆うことができる。また、第一ユニット部21側から第二ユニット部22側へカバー部材CVを巻き掛ける構成であっても良い。
【0066】
図6は、処理部10の構成を示す側面図である。
図6では、保護基板C、保護基板駆動部48及び保護基板駆動部68の図示を省略する。
図6に示すように、処理部10における基板Sの搬送方向に関し、上流側に第一ユニット部21を配置し、下流側に第二ユニット部22を配置する。そして、処理部10は、第一ユニット部21から供給され第二ユニット部22へと搬送される基板Sの移動経路上で、前記基板Sの被処理面Saに対して処理を行う。処理部10は、処理装置15、案内装置16及びアライメント計測装置17を有する。
【0067】
処理装置15は、基板Sの被処理面Saに対して例えば有機EL素子を形成するための各種装置を有する。このような装置としては、例えば被処理面Sa上に隔壁を形成するための隔壁形成装置、電極を形成するための電極形成装置、発光層を形成するための発光層形成装置などが挙げられる。より具体的には、液滴塗布装置(例えばインクジェット型塗布装置など)、成膜装置(膜形成装置、例えば蒸着装置、スパッタリング装置)、露光装置、現像装置、表面改質装置、洗浄装置、乾燥装置、基板を検査する検査装置などが挙げられる。これらの各装置は、基板Sの搬送経路に沿って適宜設けられる。
【0068】
本実施形態では、処理装置15は、基板Sに現像処理を行うための現像液11bを収容する現像液収容容器11aを備える現像装置11と、基板Sを洗浄する洗浄液12bを収容するために洗浄液収容容器12aを備える洗浄装置12とを有する。なお、処理装置15は、上述した液体以外を用いた処理を行う装置を収容することが可能である。
【0069】
案内装置16は、現像側案内部13と、洗浄側案内部14とを有する。現像側案内部13は、第一パッド13a、第二パッド13d、第一ローラー13b及び第二ローラー13cを有する。
【0070】
第一パッド13aは、処理装置15の内部に固定されており、第一ユニット部21から供給された基板Sを現像液収容容器11aに案内する。第二パッド13dは、処理装置15の内部に固定されており、現像液11bを通過した基板Sを現像液収容容器11aの外部に案内する。
【0071】
第一ローラー13b及び第二ローラー13cは、現像液収容容器11aに対して上下方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。第一パッド13aと第一ローラー13bとの間、及び第二パッド13dと第二ローラー13cとの間に基板Sを搬入した後、第一ローラー13b及び第二ローラー13cを現像液収容容器11a側(下方、すなわち−Z軸方向)に移動させることで、第一パッド13aで基板Sの搬送方向が−Z軸方向に変更され、かつ基板Sが現像液11bに浸される共に、基板Sが現像液11bの内部を通過するように案内されることが可能になる。
【0072】
洗浄側案内部14は、第一パッド14a、第二パッド14d、第一ローラー14b及び第二ローラー14cを有する。洗浄側案内部14の各ローラーは、現像側案内部13の各ローラーと同様の構成であるため、説明を省略する。
【0073】
また、現像側案内部13の第一パッド13a及び第二パッド13dと、洗浄側案内部14の第一パッド14a及び第二パッド14dは、基板Sの被処理面Saの裏面を案内する。したがって、これら第一パッド13a、第二パッド13d、第一パッド14a及び第二パッド14dは、それぞれシリンドリカル状の案内面を有し、この案内面から気体を噴出する不図示の噴出口を複数有しており、案内面上に気体の層を形成することができる構成となっている。この気体の層により、案内面において基板Sの裏面(被処理面Saの反対側の面)に対して非接触で案内することができるようになっている。なお、第一パッド13a及び第二パッド13dに交替して、回転ローラーを用いてもよい。回転ローラーを用いる場合には、回転ローラーの案内面に基板Sの裏面が接触した状態で、回転ローラーが基板Sを案内することになる。
【0074】
アライメント計測装置17は、基板Sのエッジ部、又は基板Sに設けられているアライメントマークを計測し、その計測結果に基づいて、基板Sに対してアライメント動作を行う。アライメント計測装置17は、基板Sのエッジ部、又はアライメントマークを検出するアライメントカメラや、前記アライメントカメラの検出結果に基づいて基板Sの位置(例えば、基板Sの幅の方向の位置)及び姿勢(例えば、搬送方向に対する傾き)の少なくとも一方を調整する調整装置などを有する。基板Sの位置計測、速度計測として、光学マウスのような方式で、基板S上にレーザ光を投射し、基板S上に生じるスペックルパターンの変化を光電検出する方式を用いることもできる。
【0075】
次に、上記のように構成された基板処理装置100の動作を説明する。
図7〜
図12は、基板処理装置100の動作を示す図である。
図7〜
図12では、保護基板C、保護基板駆動部48及び保護基板駆動部68の図示を省略する。
まず、搬送機構24のうち軸部41aと軸部61aとの間に基板Sを掛け渡す動作を行う場合について説明する。以降の動作では、制御部CONTが例えば基板側通信部43及び基板側通信部63や、移動部側通信部44及び移動部側通信部64に対して通信することで各部を制御する場合を例に挙げて説明する。
【0076】
まず、第一ユニット部21が移動部42に支持された第一ユニット部21と、第二ユニット部22が移動部62に支持された第二ユニット部22とを、それぞれ複数バッファ部BFに待機させる。制御部CONTは、一組の第一ユニット部21及び第二ユニット部22について、第一接続部23aと第二接続部23bとの間を吸着させて第一収容部40と第二収容部60とを接続させる。これにより、前記第一ユニット部21及び第二ユニット部22は一体的に移動可能となる。
【0077】
制御部CONTは、まずバッファ部BFからガイドレール30上へと第一ユニット部21と第二ユニット部22とを一体的に移動させる。その後、制御部CONTは、
図7に示すように、前記第一ユニット部21と第二ユニット部22とをガイドレール30に沿って移動させ、第三レール33の+Y軸側端部、すなわち第一レール31に配置させる。なお、第一ユニット部21の軸部41aにはロール状の基板Sを取り付けておく。基板Sの先端Sfには、例えば
図7に示す構成ではリーダLfが取り付けられているが、前記リーダLfが省略された構成であっても良い。
【0078】
次に、制御部CONTは、回転駆動部41bによって軸部41aを回転させる。この動作により、基板Sの先端Sfが軸部61a側へ送り出され、基板Sの先端Sfが軸部61aに到達して前記軸部61aに巻き掛けられる。なお、基板Sの先端Sfを軸部61aに巻きかける操作は、自動化されていてもよいが、人手によって、先端Sfを軸部61aに、固定テープ等を用いて貼り付けてもよい。
【0079】
制御部CONTは、基板Sの先端Sfが軸部61aに掛けられた後、第一ユニット部21と第二ユニット部22との接続を切り離す。これにより、第一ユニット部21と第二ユニット部22とが、独立して移動可能となる。その後、制御部CONTは、軸部41aを回転させて基板Sを送り出しつつ、第二ユニット部22を第三レール33に沿って−Y軸方向へ移動させる。
【0080】
制御部CONTは、第二ユニット部22が第三レール33の−Y軸側端部、すなわち、第二レール32に到達するまで、第二ユニット部22を移動させる。第二ユニット部22が移動する間、第一ユニット部21は第一レール31に配置された状態を維持する。この動作により、
図8に示すように、第一ユニット部21が第一レール31に配置され、第二ユニット部22が第二レール32に配置される。また、基板Sの先端Sfが軸部61aに掛けられた状態で−Y軸方向へ引き出されることになる。
【0081】
その後、制御部CONTは、処理装置15の現像側案内部13の第一ローラー13b及び第二ローラー13cと、洗浄側案内部14の第一ローラー14b及び第二ローラー14cとを上方(+Z軸方向)へ移動させておく。これにより、第一ローラー13b及び第二ローラー13cと現像液収容容器11a(すなわち、第一パッド13a及び第二パッド13d)との間、第一ローラー14b及び第二ローラー14cと洗浄液収容容器12a(すなわち、第三パッド14a及び第四パッド14d)との間に、基板Sが通過可能な隙間が形成される。
【0082】
制御部CONTは、軸部41aと軸部61aとの間に掛け渡された基板Sに対して、Y軸方向に適度なテンションを与え、基板Sがその隙間を通れるようにする。基板Sのテンションは、例えば基板搬送制御部77を用いて第二ユニット部22側を制御することで調整することができる。
【0083】
この状態で、制御部CONTは、
図9に示すように、回転駆動部41b及び回転駆動部61bによって第一ユニット部21及び第二ユニット部22を同期させて、それぞれ第一レール31上及び第二レール32上を処理装置15側(+X軸方向)に移動させる。この状態で、基板SはZ軸方向において第一ローラー13b及び第二ローラー13cと現像液収容容器11aとの間、第一ローラー14b及び第二ローラー14cと洗浄液収容容器12aとの間に、それぞれ配置されることになる。
【0084】
制御部CONTは、まず、軸部41a及び軸部61aを回転させて基板Sを−Y軸方向に送りつつ、現像側案内部13の第一ローラー13b及び第二ローラー13cを−Z軸方向に移動させる。これにより、基板Sが現像液11bに浸され、基板Sに対して現像処理が行われる。その後、制御部CONTは、軸部41a及び軸部61aを回転させて基板Sを−Y軸方向に送り出す。この動作により、基板Sのうち現像液11bを通過した部分が洗浄装置12に到達する。
【0085】
次に、制御部CONTは、軸部41a及び軸部61aを回転させて基板Sを−Y軸方向に送りつつ、洗浄側案内部14の第一ローラー14b及び第二ローラー14cを−Z軸方向に移動させる。これにより、基板Sが洗浄液12bに浸され、基板Sに対して現像処理が行われる。
【0086】
このとき、
図10に示すように、基板Sのうち搬送方向(−Y軸方向)の上流側には現像処理が施され、搬送方向の下流側には洗浄処理が施される。その後、制御部CONTは、軸部41a及び軸部61aを回転させて基板Sを−Y軸方向に送り出す。この動作により、基板Sのうち洗浄液12bを通過した部分が洗浄装置12から外部に送り出される。
【0087】
図10に示すように、基板Sの裏面(被処理面Saの反対側の面)を支持するのは、現像側案内部13においては第一パッド13a及び第二パッド13dであり、洗浄側案内部14においては第一パッド14a及び第二パッド14dであるため、それらのパッドの案内面上に形成される気体層によって、裏面に対して非接触の状態で基板Sを搬送することができる。
【0088】
制御部CONTは、現像装置11及び洗浄装置12の処理速度に応じて、軸部41aから軸部61aへと移動する基板Sの移動速度を調整する。また、制御部CONTは、
図11に示すように、軸部41aに巻かれた基板Sの巻き径R1と、軸部61aに巻かれた基板Sの巻き径R2と、に応じて、回転駆動部41b及び回転駆動部61bにおける駆動速度を調整させる。この動作により、搬送速度が一定のまま基板Sが搬送されることになる。基板Sの速度のモニターは、
図3のアライメント計測装置17が、基板Sに設けられているアライメントマークを計測するタイミング(時間)によっても行われる。また、基板Sの巻き径R1、基板Sの巻き径R2の変化により昇降部53及び昇降部73を調整してもよい。
【0089】
現像処理及び洗浄処理が終了した後、制御部CONTは、軸部41a及び軸部61aを回転させて基板Sを−Y軸方向に送りつつ、現像側案内部13の第一ローラー13b及び第二ローラー13cを+Z軸方向に移動させると共に、洗浄側案内部14の第一ローラー14b及び第二ローラー14cを+Z軸方向に移動させる。
【0090】
その後、制御部CONTは、
図12に示すように、移動部42及び移動部62の同期制御によって第一ユニット部21及び第二ユニット部22を同期させて、それぞれ第一レール31及び第二レール32に沿って+X軸方向へ移動させる。この動作により、処理装置15から+X軸側へ退避した状態となる。制御部CONTは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22が第三レール33まで到達した後、前記第一ユニット部21及び第二ユニット部22の移動を停止させる。
【0091】
制御部CONTは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22の移動を停止させた後、軸部61aを回転させつつ第二ユニット部22を+Y軸方向へ移動させる。この動作により、軸部61aが基板Sを巻き取りながら軸部41aと軸部61aとが再び近づき、第一ユニット部21の第一接続部23aと第二ユニット部22の第二接続部23bとが当接する。その後、制御部CONTは、電磁石を起動させて第一接続部23aと第二接続部23bとを吸着させる。これにより、第一収容部40と第二収容部60とが再度接続され、第一ユニット部21と第二ユニット部22とが一体化される。その後、制御部CONTは、一体化された状態の第一ユニット部21及び第二ユニット部22を、第一レール31、第二レール32及び第三レール33に沿って適宜移動させる。以上の動作において、制御部CONTは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22同士が衝突したり混雑したりすることが無いように、位置検出部55及び位置検出部(第一検出部)75によって検出された位置情報を用いて適宜第一ユニット部21及び第二ユニット部22の配置を整理させる。
【0092】
以上のように、本実施形態のカセット装置は、可撓性を有する基板Sの供給を行う基板駆動部41を有する第一ユニット部21と、前記第一ユニット部21との間で着脱可能に設けられ、基板駆動部41との間で基板Sの回収を行う基板駆動部61を有する第二ユニット部22とを備えるので、前記第一ユニット部21と第二ユニット部22との間で基板Sの供給及び回収が完結することになる。これにより、送り出されてから巻き取られるまで掛け渡される基板Sの寸法が長くなるのを抑えることができるため、搬送時の基板Sの管理負担を低減することができる。
【0093】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態を説明する。
図13は、本実施形態に係る基板処理装置200の構成を模式的に示す図である。
図13に示すように、本実施形態では、基板処理装置200がZ軸方向に複数階層(
図13では3階層)に形成されている。基板処理装置200は、各階に処理部10及びカセット装置20を有する。また、各階の床面FL1、床面FL2及び床面FL3には、それぞれ処理部10に沿ってガイドレール30が形成されている。
【0094】
カセット装置20は、上記実施形態と同様の構成を有する。つまり、第一ユニット部21と筐体51との間は着脱可能に設けられている。また、第二ユニット部22と筐体71との間は着脱可能に設けられている。また、第一ユニット部21と第二ユニット部22との間は、着脱可能に設けられている。
【0095】
図14は、基板処理装置200の構成を示す断面図である。
図14に示すように、基板処理装置200は、3つの処理室111〜113を有する。処理室111〜113は、仕切り部114によって仕切られている。仕切り部114は、処理室111の床面FL1を構成する仕切り部材114aと、処理室111の天井部及び処理室112の床面FL2を構成する仕切り部材114bと、処理室112の天井部及び処理室113の床面FL3を構成する仕切り部材114cと、処理室113の天井部を構成する仕切り部材114dとを備える。
【0096】
処理室111は、複数の処理室の中で、重力方向の最下部(最も−Z軸側)に配置されている。処理室111は、基板Sに対して液体を用いた処理(ウェット処理)を行う処理空間を形成している。処理室111には、例えば
図14に示すように、処理装置110として、基板Sに塗布するためのレジスト液を収容するレジスト液収容容器141aを備える塗布装置141と、基板Sに現像処理を行うための現像液を収容する現像液収容容器142aを備える現像装置142と、基板Sを洗浄する洗浄液を収容するために洗浄液収容容器143aを備える洗浄装置143と、洗浄処理後の基板Sに対してパターンを形成するための鍍金液を収容する鍍金液収容容器144aを備える鍍金装置144と、が設けられている。なお、処理室111には、上述した液体以外を用いた処理を行う装置を収容することが可能である。
【0097】
仕切り部材114aには、不図示の回収装置に接続された廃液回収流路の一部を構成する複数の回収管145が設けられている。回収管145の一端部は、塗布装置141、現像装置142及び洗浄装置143のそれぞれに接続され、他端部は、回収装置に接続された不図示の廃液回収流路に接続されている。各回収管145は、塗布装置141、現像装置142及び洗浄装置143において廃液となったレジスト液、現像液及び洗浄液を、廃液回収流路を介して回収装置に排出する。回収管145には、不図示の開閉弁などが設けられている。制御部CONTは、前記開閉弁の開閉のタイミングを制御可能である。本実施形態では、重力方向の最下部の処理室111にウェット処理用の装置が設けられているため、これらの装置と回収装置との間の廃液回収流路の流路系の長さを抑えることができる。
【0098】
処理室112は、処理室111の上方(+Z軸側)に配置されている。処理室112は、基板Sに対して加熱処理を行う処理空間を形成している。処理室112には、処理装置110として、基板Sを加熱する加熱装置151〜153が設けられている。加熱装置151は、塗布装置141によってレジスト液が塗布された基板Sを加熱し、レジスト液を乾燥させる。加熱装置152は、処理室113の露光装置EXを通過した基板Sを再び加熱し、レジスト液を乾燥させる。加熱装置152は、加熱装置151の加熱温度と異なる温度、例えば、加熱装置151の加熱温度よりも高い温度で基板Sを加熱している。加熱装置153は、現像装置142によって現像処理が行われ、かつ洗浄装置143によって洗浄された後の基板Sを加熱し、基板Sの表面を乾燥させる。加熱装置151〜153は、内部に基板Sを複数回折り返す構成を有している。加熱装置151〜153の内部では、基板Sが互いに接触しないように重ねて折り返された状態で搬送される。このため、基板Sの被処理面Saの状態を維持しつつ、基板Sが加熱装置151〜153に効率的に収容される。
【0099】
処理室113は、処理室112の上方(+Z軸側)に配置されている。処理室113は、基板Sに対して露光処理を行う処理空間である。処理室113には、処理装置110として、露光装置EXが設けられている。露光装置EXは、塗布装置141において基板Sに塗布されたレジスト層に、マスクのパターンを介した露光光を照射する。
【0100】
上記構成の基板処理装置200には、複数のリフト部160(161〜166)が設けられている。リフト部160は、異なる階の間で第一ユニット部21及び第二ユニット部22を搬送する。例えば、リフト部161、リフト部164、リフト部165及びリフト部166は、第一階と第二階との間で第一ユニット部21及び第二ユニット部22を搬送する。また、例えばリフト部162及びリフト部163は、第二階と第三階との間で第一ユニット部21及び第二ユニット部22を搬送する。
【0101】
各リフト部160は、それぞれ仕切り部材114b及び仕切り部材114cをZ軸方向に貫通する昇降機構160aを有する。
図15は、リフト部160の概略構成を示す斜視図である。
図15に示すように、昇降機構160aは、第一ユニット部21の外部接続部40dや第二ユニット部22の接続部60dに接続される。昇降機構160aは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22をZ軸方向に移動させる不図示の移動機構を有する。昇降機構160aは、一体化された状態の第一ユニット部21及び第二ユニット部22をZ軸方向に移動可能である。
【0102】
また、リフト部160は、階を跨いで搬送した第一ユニット部21及び第二ユニット部22を、搬送先の階に設けられる移動部42及び移動部62の筐体51及び71にそれぞれ装着させる装着部(不図示)を有する。これにより、第一ユニット部21及び第二ユニット部22に収容される基板Sが階を跨いで移動可能となる。
【0103】
次に、上記基板処理装置200の動作を説明する。
制御部CONTは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を所定の入り口から処理室111に搬入させ、ガイドレール30に沿って塗布装置141へ移動させる。制御部CONTは、塗布装置141において、上記第一実施形態と同様の動作により、第一ユニット部21を塗布装置141の+Y軸側に配置させ、第二ユニット部22を塗布装置141の−Y軸側に配置させる。この状態で、制御部CONTは、第一ユニット部21から第二ユニット部22へ基板Sを搬送しつつ、基板Sの被処理面に対して感光剤の塗布処理を行わせる。
【0104】
塗布装置141において処理が行われた後、制御部CONTは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を一体化させ、リフト部161へと移動させる。第一ユニット部21及び第二ユニット部22がリフト部161へ到着した後、制御部CONTは、第一ユニット部21と第二ユニット部22とを接続させたまま、例えば第二ユニット部22の接続部60dをリフト部161の昇降機構160aに接続させる。その後、制御部CONTは、昇降機構160aを用いて第一ユニット部21及び第二ユニット部22を一体化させた状態で+Z軸方向に搬送する。この動作により、第一ユニット部21と筐体51との間、第二ユニット部22と筐体71との間の装着状態が解除され、第一ユニット部21及び第二ユニット部22が筐体51及び筐体71から分離されて+Z軸方向に移動し、処理室111から処理室112へと搬送される。
【0105】
制御部CONTは、処理室112に配置された移動部42及び移動部62を予めリフト部161の近傍に待機させておく。制御部CONTは、不図示の装着部を用いて、処理室112に搬送された第一ユニット部21及び第二ユニット部22を前記移動部42及び移動部62にそれぞれ装着させる。
【0106】
その後、制御部CONTは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を用いて基板Sを加熱装置151に搬入させ、基板Sに対して加熱処理を行わせる。加熱装置151では、基板Sが例えば複数回折り曲げられた状態で基板Sが搬送され、この搬送状態で基板Sの加熱が行われる。このため、スペースを効率的に利用した加熱処理が行われることになる。加熱装置151では、加熱により基板Sに形成された塗布膜を乾燥させる。
【0107】
加熱処理が行われた後、制御部CONTは、上記同様の動作により、リフト部162を介して第一ユニット部21及び第二ユニット部22を処理室113に搬送する。制御部CONTは、処理室113において、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を露光装置EXに搬入させ、基板Sに塗布された感光剤に対して露光処理を行わせる。
【0108】
露光装置を行った後、制御部CONTは、リフト部163を介して第一ユニット部21及び第二ユニット部22を処理室112に搬送する。制御部CONTは、処理室112において、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を加熱装置152に搬入させ、基板Sに対して加熱処理を行わせる。加熱装置152では、感光された塗布膜に対する加熱処理が行われる。
【0109】
加熱処理が行われた後、制御部CONTは、リフト部164を介して第一ユニット部21及び第二ユニット部22を処理室111に搬送する。制御部CONTは、処理室111において、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を現像装置142に搬入させ、基板Sに対して現像処理を行わせる。現像装置142では、基板Sは現像液に浸されながら第一ユニット部21から第二ユニット部22へ搬送され、搬送の過程で現像処理が行われる。
【0110】
現像処理が行われた後、制御部CONTは、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を一体化させたまま洗浄装置143へ移動し、基板Sを洗浄装置143に搬入させる。洗浄装置143では、基板Sは洗浄液に浸されながら第一ユニット部21から第二ユニット部22へ搬送され、搬送の過程で洗浄処理が行われる。
【0111】
洗浄処理が行われた後、制御部CONTは、リフト部165を介して第一ユニット部21及び第二ユニット部22を処理室112に搬送する。制御部CONTは、処理室112において、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を加熱装置153に搬入させ、基板Sに対して加熱処理を行わせる。加熱装置153では、洗浄された基板Sを乾燥させるための加熱処理や、塗布膜を加熱するための加熱処理などが行われる。
【0112】
加熱処理が行われた後、制御部CONTは、リフト部166を介して第一ユニット部21及び第二ユニット部22を処理室111に搬送する。制御部CONTは、処理室111において、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を鍍金装置144に移動させ、基板Sを鍍金装置144に搬入させる。鍍金装置144では、基板Sは鍍金液に浸されながら第一ユニット部21から第二ユニット部22へ搬送され、搬送の過程で鍍金処理が行われる。鍍金処理が行われた基板Sには、所定のパターンが形成される。
【0113】
鍍金処理が行われた後、制御部CONTは、リフト部166を介して第一ユニット部21及び第二ユニット部22を処理室112に搬送する。制御部CONTは、処理室112において、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を不図示の加熱装置に搬入され、加熱処理を行わせる。
【0114】
以上のように、本実施形態に係る基板処理装置200は、例えば処理室111において、第一レール31と第二レール32との間に、処理装置110として互いに異なる処理を行う塗布装置141、現像装置142、洗浄装置143及び鍍金装置144が設けられており、これらの各装置(塗布装置141、現像装置142、洗浄装置143及び鍍金装置144)の間で、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を移動させつつ、装置ごとに第一ユニット部21が基板Sを供給し、第二ユニット部22が基板Sを回収するので、複数の処理装置110において枚葉処理を行うことができる。
【0115】
これにより、送り出されてから巻き取られるまで掛け渡される基板Sの寸法が長くなってしまうことを抑えることができるため、搬送時の基板Sの管理負担を低減することができる。また、一の製造ラインに処理速度の異なる複数の処理装置110が含まれる場合であっても、ライン全体で処理速度を合わせる必要が無いため、各処理装置110を効率的に利用することができる。更に、複数階層を有する基板処理装置200において、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を移動部42及び移動部62から分割させて異なる階層の間を搬送させることができるため、効率的な搬送が可能となる。
【0116】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、第一ユニット部21と第二ユニット部22との間が着脱可能に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
【0117】
例えば、第一ユニット部21及び第二ユニット部22が互いに装着されずに近接及び離間のみを行う構成であっても良い。また、第一ユニット部21と第二ユニット部22とが装着されるのではなく、第一ユニット部21を支持する移動部42と、第二ユニット部22を支持する移動部62とが着脱可能な構成であっても良い。
【0118】
また、例えば、上記実施形態では、第一ユニット部21を基板Sの供給用とし、第二ユニット部22を基板Sの回収用として用いる例を挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、第一ユニット部21を基板Sの回収用とし、第二ユニット部22を基板Sの供給用として用いても良い。また、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を同一構成とし、ガイドレール30上で第一ユニット部21と第二ユニット部22とを互いに入れ替え、適宜供給動作と回収動作とを切り替えながら基板Sの搬送を行っても良い。
【0119】
また、上記第二実施形態では、基板処理装置が複数階層を有する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、
図16に示すように、Y軸方向に複数のラインが配置された構成であっても良い。この場合、処理部10の構成として、Y軸方向には同一種類の処理を行う装置を配置させる構成であっても良い。
【0120】
また、上記実施形態では、基部51b及び基部71bの−Z軸側の端面51d及び71dに位置検出部55及び75が設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、
図17に示すように、ガイドレール30に接触させる端子(電力取得部)56及び76が設けられた構成であっても良い。この場合、ガイドレール30を電源に接続させておくことで、端子56及び76を介して電力を取得することができる。
【0121】
また、例えば上記実施形態においては、第一ユニット部21及び第二ユニット部22が処理部10を一方向に通過するように移動する場合を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
【0122】
図18(a)〜
図18(c)は、第一ユニット部21及び第二ユニット部22の移動動作の一例を示す図である。
例えば制御部CONTは、
図18(a)に示すように第一ユニット部21と第二ユニット部22とを引き離して基板Sを引き出し、
図18(b)に示すように第一ユニット部21及び第二ユニット部22を+X軸方向に沿って処理部10に搬入させて処理を行わせる。その後、
図18(c)に示すように、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を−X軸方向に沿って戻すように移動させても良い。これにより、処理部10の構成上、基板SがX軸方向に通過することが困難な場合であっても、効率的に基板Sを搬送させることができる。
【0123】
また、上記実施形態においては、第一レール31側に第一ユニット部21及び第二ユニット部22を配置させた後、第二ユニット部22を第二レール32側に移動させることで基板Sを引き出す場合を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば第二レール32側から第一レール31側に第一ユニット部21を移動させることで基板Sを引き出すようにしても良い。
【0124】
また、
図19(a)に示すように、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を第三レール33のY軸方向の中央部に配置させ、その後
図19(b)に示すように、第一ユニット部21を+Y軸方向に、第二ユニット部22を−Y軸方向にそれぞれ移動させることにより、基板Sを引き出すようにしても良い。
【0125】
また、上記実施形態においては、第一ユニット部21及び第二ユニット部22をY軸方向に並べた状態でX軸方向に移動させる場合を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば第一ユニット部21と第二ユニット部22とをX軸方向に並べた状態でY軸方向に移動させるようにしても良い。
【0126】
例えば
図20(a)に示すように、処理部10をX軸方向に挟む2つの第三レール33と第二レール32との交点に第一ユニット部21と第二ユニット部22とをそれぞれ配置させる。このとき、基板Sを引き出した状態とする。その後、
図20(b)に示すように、第一ユニット部21及び第二ユニット部22を+Y軸方向に移動させることで基板Sを処理部10に搬入させる。これにより、処理部10の構成上、基板SがX軸方向に搬入することが困難な場合であっても、効率的に基板Sを搬送させることができる。
【0127】
また、上記実施形態においては、接続部23の構成として、第一接続部23aと第二接続部23bとの間が電磁石によって吸着する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、機械的にロックすることで接続される構成であっても良い。
【0128】
また、上記実施形態においては、基板Sを駆動する軸部41a及び軸部61aや、保護基板Cを駆動する軸部48a及び軸部68aについて、例えば中心軸の軸線方向がX軸方向に平行となるように配置され、基板Sや保護基板CがXY平面に平行に搬送される構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、軸部41a及び軸部61aや軸部48a及び軸部68aについて、中心軸の軸線方向がZ軸方向に平行となるように配置され、基板Sや保護基板CがYZ平面やZX平面に平行に搬送される構成であっても良い。
【0129】
また、上記実施形態においては、移動部42及び移動部62の筐体51及び71がZ軸方向に昇降することで軸部41a、軸部61a、軸部48a及び軸部68aのZ軸方向の位置が調整可能な形態を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、軸部41a、軸部61a、軸部48a及び軸部68aがZ軸方向に昇降可能な構成であっても良い。
【0130】
また、上記実施形態とは異なる構成の基板Sを用いることができる。
図21は、基板Sの構成を示す図である。
図21に示すように、基板Sの被処理面Saのうち、例えば配線や電極、素子などを形成するパターン形成領域Pを囲むように保護層90が形成された構成であっても良い。
【0131】
前記保護層90は、パターン形成領域Pよりも層厚が大きくなるように形成する。この構成により、被処理面Saに保護基板Cを重ねた場合であっても、保護基板Cがパターン形成領域Pに接触するのを防ぐことができる。なお、保護層90は保護基板C側に形成されていても良い。
【0132】
図22〜
図27は、基板搬送装置の他の実施形態を示す斜視図である。先の
図2、
図3で説明したように、第1ユニット部21を搭載して自走可能な移動部42は、キャスター52の回転によってX軸方向、Y軸方向及びθZ軸方向に移動可能である。このことは、第2ユニット部22を搭載して自走可能な移動部62についても同様である。そこで、先の
図18〜20で示したような、X軸方向に延びる第1レール31と第2レール32、Y軸方向に延びる第3レール33とによって構成される搬送ガイド機構に対して、
図22に示すように、付加的な搬送ガイド部としての環状レール34a、35aを敷設する。
【0133】
環状レール34aは、第1レール31と第3レール33とが交差する中心点TC1から一定半径の円環状に敷設される。また、環状レール35aは、第2レール32と第3レール33とが交差する中心点TC2から一定半径の円環状に敷設される。環状レール34a、35aは、移動部42や移動部62を中心点TC1やTC2の周りに回動(旋回)させる為の案内路として機能する。また、中心点TC1、TC2の各々には、移動部42、62を正確に位置決めする為の円板状のマーカー部(指標となるマークや誘導信号発生器等を含む)34b、35bが敷設されている。
【0134】
さて、
図22に示す処理装置10は、例えば、大気圧CVD装置であり、上部構造体10aと下部構造体10bで構成される。下部構造体10bは工場の床面(FL)に設置され、上部構造体10aは下部構造体10bに対して、Z軸方向に可動するように構成される。
上部構造体10aをZ軸方向の上方に移動させることによって、第1ユニット部21の軸部41cと第2ユニット部22の軸部61cとの間に掛け渡された基板Sを、X軸方向に並進移動させて処理装置10外に搬出することができる。
【0135】
図22は、処理装置10による基板Sの処理が終了し、上部構造体10aが上方に位置した状態で、移動部42(第1ユニット部21)と移動部62(第2ユニット部22)をX軸方向に同期移動させている状態を示したものである。移動部42(第1ユニット部21)は、第1レール31に案内されつつ、ホームポジションとしての中心点TC1に向かって−X軸方向に移動し、移動部62(第2ユニット部22)は、第2レール32に案内されつつ、ホームポジションとしての中心点TC2に向かって−X軸方向に移動する。
【0136】
その後、
図23に示すように、移動部42(第1ユニット部21)と移動部62(第2ユニット部22)は、共にX軸方向のホームポジション(中心点TC1、TC2の位置)に到達する。このとき、移動部42と移動部62との間には、丁度、Y軸方向に延びた第3レール33が位置する。
【0137】
その後、移動部42(第1ユニット部21)と移動部62(第2ユニット部22)のいずれか一方が他方に向けて、Y軸方向に移動する。その状態が
図24であり、ここでは、移動部42(第1ユニット部21)が移動部62(第2ユニット部22)に向かって、第3レール33に案内されて移動する。その際、第1ユニット部21の軸部41c、又は第2ユニット部22の軸部61cが、移動部42(第1ユニット部21)のY軸方向の移動に連動して回転し、基板Sがたるまないように巻き取っていく。
【0138】
図25は、移動部42(第1ユニット部21)が移動部62(第2ユニット部22)に接近して、先の
図5のように連結(連接)した状態を示す。このとき、移動部62(第2ユニット部22)は中心点TC2(マーカー部35b)上に位置し、移動部42(第1ユニット部21)は、環状レール35a上に位置する。
【0139】
この状態から、移動部62のキャスター72は、中心点TC2の周りにθZ軸方向に移動部62(第2ユニット部22)を回動(自転)させるような駆動力を発生する。併せて、移動部42のキャスター52は、環状レール35aの周方向に沿って移動部42(第1ユニット部21)を回動(旋回)させるような駆動力を発生する。さらにこのとき、移動部62のキャスター72、又は移動部42のキャスター52は、マーカー部35bの検出結果に基づいて、移動部62の自転中心が中心点TC2から、X軸方向とY軸方向に大きく位置ずれしないような方向制御も行なう。
【0140】
図26は、連結した移動部42(第1ユニット部21)と移動部62(第2ユニット部22)が、
図25の状態から、XY面内で中心点TC2を中心として時計回りに90度回転した状態を示す。その回転方向は、ここでは時計回りに90度としたが、反時計回りに90度であっても構わない。どちらの方向に回転させるかは、次の処理装置に対して、基板Sをどのように装填するかによって決められる。
【0141】
その後、
図27に示すように、処理装置10(例えば、大気圧CVD装置)によって成膜処理された基板Sのロールを保持する第2ユニット部22(移動部62)と、残存の未処理の基板Sのロールを保持する第1ユニット部21(移動部42)とが、第2レール32の案内によって、+X軸方向に一体となって並進移動し、処理装置10の横を通って次の処理装置に向かう。
【0142】
それによって、ホームポジション(中心点TC1、TC2)が空くことから、次に処理すべき基板Sを搭載した移動部42-1(第1ユニット部21-1)と移動部62-1(第2ユニット部22-1)が、一体となって中心点TC1側のホームポジションに送られてくる。
その後、
図27のように、未処理の基板Sのロールを保持する第1ユニット部21-1(移動部42-1)が中心点TC1(第1レール31と第3レール33の交点部)に位置した状態で、処理済みの基板Sをロール状に巻き取る為の第2ユニット部22-1(移動部62-1)が、中心点TC2に向かって第3レール33に沿って移動する。
【0143】
以上のように、移動部42(第1ユニット部21)や移動部62(第2ユニット部22)が、工場の床面FL上で自由に回転運動できるスペース(環状レール34a、35a等)を設けることにより、処理装置の配置の自由度、基板S(ロール状)の搬送方向の自由度、搬送効率を向上させることができる。
【0144】
以上の実施形態において、
図25、
図26では、一定間隔で連結した移動部42(第1ユニット部21)と移動部62(第2ユニット部22)を90度回転させるようにした。しかし、次の処理装置が、例えば
図25中の処理装置10の−Y軸側に設置されている場合は、−Y軸方向に延設される第3レール33に沿って、移動部42(第1ユニット部21)と移動部62(第2ユニット部22)をそのまま−Y軸方向に移動させても良いし、
図25の状態から中心点TC2の回りに180度回転させてから−Y軸方向に移動させても良い。
【0145】
尚、
図25〜27において、移動部42(第1ユニット部21)と移動部62(第2ユニット部22)は一定間隔で連結した状態で移動する。しかし、両者は必ずしも機械的に接触している必要はなく、非接触センサー等を使って、一定の空間ギャップを保ちつつ、一定の位置ずれ範囲内(例えば1mm以下)で移動部42と移動部62が相互に追従移動するような構成であっても良い。
【0146】
いずれにしても、基板Sへの処理が完了した移動部42(第1ユニット部21)と移動部62(第2ユニット部22)とを、次の処理装置(第2処理装置)に搬送する為には、基板Sが前記処理を行なった処理装置から離れる第1方向(
図22〜27ではX軸方向)への並進運動と、その第1方向と交差する第2方向(
図22〜27ではY軸方向)への並進運動と、第1方向と第2方向を含む面内(
図22〜27ではXY面)での回転運動のうち、少なくとも2つの運動が伴なうように(2つの運動が連続するように)、各キャスター52、72を駆動して、移動部42と移動部62を一緒に移動させることになる。尚、並進運動とは、必ずしもX軸方向やY軸方向に限られず、XY面内でX軸とY軸の両方に対して傾いた方向(例えば、45度方向)に、移動部42(第1ユニット部21)や移動部62(第2ユニット部22)が直線的に移動する場合も含む。
【0147】
以上、
図2〜
図5に示したカセット装置(第1ユニット部21、第2ユニット部22)を用いた基板S(又は保護基板C)の搬送形態を説明した。しかし、各カセット装置内に、基板Sの温度の調整機構、湿度の調整機構、紫外線の照射機構等を設けたり、処理装置の一つとして、温度調整装置、湿度調整装置、紫外線照射装置を設置したりして、処理工程中の適当なタイミングで、基板Sに対して、温調、除湿、加湿、UV照射を行なうようしても良い。
【0148】
一般に、大型の高精細なフラットパネルディスプレー等を生産する場合、母材である基板Sは、様々な処理装置に送られ、多様な処理を受ける。特に、ロール・ツー・ロール方式で、PETやPEN等のフレキシブルなフィルム基板を連続的に処理する場合、各処理工程毎にフィルム基板に応力が溜まって、フィルム基板が変形することが考えられる。さらに、処理を受けるフィルム基板、又は基板上に既に堆積された膜材料は、各処理工程毎に温度、含有水分量、濡れ性等を適切な状態に設定しておくことも必要である。
【0149】
そこで、基板Sを装填したカセット装置20(第1ユニット部21、第2ユニット部22)の移動中、又は待機中に、第1ユニット部21又は第2ユニット部22内に設けた温度調整機構、湿度調整機構、或いは紫外線照射機構を作動させる。或いは、工場内に独立して設置された温度調整装置、湿度調整装置、紫外線照射装置にカセット装置20を移動させて基板Sを通す。このようにすると、基板S(又はその表面の膜材料)の温度、水分含有量、濡れ性、内部応力等の状態を、次の処理工程用の処理装置の仕様に適するように、事前に調整することができる。
【0150】
本発明の実施形態では、ロール状の基板Sを保持するカセット装置20が、各種の処理装置に対して移動可能な構成となっている為、カセット装置単位でのバッチ処理が可能である。その為、処理工程の前に、基板S(又はその表面の膜材料)の各種状態を調整する工程(1つの処理工程に相当)を組み入れたとしても、製造ライン全体での生産効率を大きく低下させること無く、歩留まりの良い生産が可能となる。