(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011655
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】電気脱イオン装置及び純水製造装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/469 20060101AFI20161006BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20161006BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20161006BHJP
B01D 61/48 20060101ALI20161006BHJP
B01D 61/54 20060101ALI20161006BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
C02F1/46 103
B01D61/58
C02F1/44 J
B01D61/48
B01D61/54 500
B01D61/08
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-28736(P2015-28736)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2016-150304(P2016-150304A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋一
【審査官】
▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−193205(JP,A)
【文献】
特開平03−207487(JP,A)
【文献】
特表2007−534453(JP,A)
【文献】
特開2011−110515(JP,A)
【文献】
特開2009−028695(JP,A)
【文献】
特開2012−139687(JP,A)
【文献】
特開2008−068198(JP,A)
【文献】
特開2001−113281(JP,A)
【文献】
特開平10−258289(JP,A)
【文献】
特開2002−001345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46−1/48
C02F 1/42
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極及び陽極と、該陰極と陽極との間に複数のカチオン交換膜とアニオン交換膜とを配列することにより交互に形成された濃縮室及び脱塩室とを有し、該脱塩室にイオン交換樹脂が充填された電気脱イオン装置において、
該イオン交換樹脂が平均粒径150〜250μmで、均一係数が1.1以下のイオン交換樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【請求項2】
請求項1において、前記イオン交換樹脂がアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【請求項3】
請求項2において、前記イオン交換樹脂が、前記脱塩室の通水方向の入口側において、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=60〜90:40〜10(乾燥重量比)の混合樹脂であり、出口側において、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=40〜60:60〜40(乾燥重量比)の混合樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記濃縮室に平均粒径100〜300μmのイオン交換樹脂が充填されていることを特徴とする電気脱イオン装置。
【請求項5】
請求項4において、前記濃縮室に充填されたイオン交換樹脂の均一係数が1.1以下であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、前記濃縮室に充填されたイオン交換樹脂がアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【請求項7】
請求項6において、前記濃縮室に充填されたイオン交換樹脂が、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=40〜70:60〜30(乾燥重量比)の混合樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電気脱イオン装置の前記脱塩室に被処理水を通水し、該脱塩室の流出水の一部を前記濃縮室に、該脱塩室の通水方向と逆方向に通水し、残部を処理水として排出することを特徴とする脱イオン水の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電気脱イオン装置と、該電気脱イオン装置の前段に設けられた逆浸透膜分離装置とを備えることを特徴とする純水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中のホウ素を高度に除去することができる電気脱イオン装置及び純水製造装置と、この電気脱イオン装置を用いた脱イオン水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、市水、地下水、工水等の原水から超純水を製造する超純水製造装置は、基本的に、前処理装置、一次純水製造装置及び二次純水製造装置から構成される。このうち、前処理装置は、凝集、浮上、濾過、除濁膜装置等で構成される。一次純水製造装置は、活性炭吸着塔、紫外線(UV)酸化装置、化学的酸化装置、脱気装置等のうちの1種又は2種以上の装置と、脱塩装置とで構成され、このうち脱塩装置は、逆浸透(RO)膜分離装置、電気脱イオン装置、イオン交換装置(混床式イオン交換装置ないしはイオン交換純水装置)の1種或いは2種以上の組み合わせにより構成される。また、二次純水製造装置は、一次純水製造装置と同様な装置単位を適宜組み合わせたものであり、一般的には、低圧UV酸化装置、混床式イオン交換装置及び限外濾過(UF)膜分離装置で構成される。
【0003】
これらの各装置単位において、原水の脱塩は、RO膜分離装置、電気脱イオン装置及び混床式イオン交換装置で行われる。また、原水中の微粒子の除去は、RO膜分離装置及びUF膜分離装置で行われ、TOC成分の除去は、RO膜分離装置、イオン交換純水装置、低圧UV酸化装置で行われる。
【0004】
近年、超純水製造において、ホウ素については、例えば1ppt以下という厳しい水質が求められるようになってきている。
【0005】
従来、RO膜分離装置と電気脱イオン装置との組み合わせにおいて、ホウ素除去率の高い電気脱イオン装置(例えば栗田工業(株)製「KCDI−UPz」等)も提案されているが、このような高性能の電気脱イオン装置であっても、そのホウ素除去率は99.9%程度である。このため、例えば、ホウ素濃度20ppb程度の被処理水をRO膜分離装置で処理してホウ素濃度10ppb程度のRO透過水を得、これをホウ素除去率99.9%の電気脱イオン装置で処理しても、得られる処理水(脱イオン水)のホウ素濃度は10pptにしかならず、ホウ素濃度1ppt以下の処理水を得ることはできない。
【0006】
一般的な電気脱イオン装置は、陰極と陽極との間に複数のカチオン交換膜とアニオン交換膜とを交互に配列することにより、濃縮室と脱塩室とを交互に形成し、脱塩室にイオン交換樹脂を充填してなり、更に濃縮室にもイオン交換樹脂が充填されたものも提供されている。
【0007】
従来の電気脱イオン装置において、脱塩室、更には濃縮室に充填されるイオン交換樹脂は、粒径500〜600μm程度のものであり、また、多くの場合、粒径の均一性についての考慮はなされていない。
例えば、特許文献1の実施例では、電気脱イオン装置の脱塩室にアニオン交換樹脂として三菱化学(株)製「ダイヤイオン(登録商標)SA10A」(平均粒径540μm)と、カチオン交換樹脂として三菱化学(株)製「ダイヤイオン(登録商標)SK1B」(平均粒径620μm)を充填している。
特許文献2には、脱塩室に、粒径が異なる複数の均一粒径を有するイオン交換樹脂粒子群の混合物であって、最大の均一粒径を有するイオン交換樹脂粒子群の粒径が、最小の均一粒径を有するイオン交換樹脂粒子群の粒径の1.5倍以上であるものが充填された脱イオン水製造装置が提案されており、最小の均一粒径を有するイオン交換樹脂粒子群の粒径が30〜600μmであるとされているが、実施例で具体的に用いたイオン交換樹脂は、平均粒径が630μmのカチオン交換樹脂と、平均粒径220μmのカチオン交換樹脂と、平均粒径575μmのアニオン交換樹脂の25/22.5/52.5(重量比)の混合物である。
特許文献3の実施例では、脱塩室に平均粒径が600μmのカチオン交換樹脂と平均粒径が550μmのアニオン交換樹脂をバインダーで成形したイオン交換成形体を脱塩室に充填したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−113281号公報
【特許文献2】特開平10−258289号公報
【特許文献3】特開2002−1345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の高性能電気脱イオン装置よりも、更にホウ素除去性能が改善された電気脱イオン装置と、この電気脱イオン装置を用いた脱イオン水の製造方法及び純水製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電気脱イオン装置の脱塩室、更には濃縮室に充填するイオン交換樹脂として、従来用いられているイオン交換樹脂よりも粒径が小さく、均一粒径のイオン交換樹脂を用いることにより、被処理水中のホウ素を高度に除去することができることを見出した。
【0011】
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0012】
[1] 陰極及び陽極と、該陰極と陽極との間に複数のカチオン交換膜とアニオン交換膜とを配列することにより交互に形成された濃縮室及び脱塩室とを有し、該脱塩室にイオン交換樹脂が充填された電気脱イオン装置において、該イオン交換樹脂が平均粒径
150〜
250μm
で、均一係数が1.1以下のイオン交換樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【0014】
[
2] [1
]において、前記イオン交換樹脂がアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【0015】
[
3] [
2]において、前記イオン交換樹脂が、前記脱塩室の通水方向の入口側において、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=60〜90:40〜10(乾燥重量比)の混合樹脂であり、出口側において、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=40〜60:60〜40(乾燥重量比)の混合樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【0016】
[
4] [1]ないし[
3]のいずれかにおいて、前記濃縮室に平均粒径100〜300μmのイオン交換樹脂が充填されていることを特徴とする電気脱イオン装置。
【0017】
[
5] [
4]において、前記濃縮室に充填されたイオン交換樹脂の均一係数が1.1以下であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【0018】
[
6] [
4]又は[
5]において、前記濃縮室に充填されたイオン交換樹脂がアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【0019】
[
7] [
6]において、前記濃縮室に充填されたイオン交換樹脂が、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=40〜70:60〜30(乾燥重量比)の混合樹脂であることを特徴とする電気脱イオン装置。
【0020】
[
8] [1]ないし[
7]のいずれかに記載の電気脱イオン装置の前記脱塩室に被処理水を通水し、該脱塩室の流出水の一部を前記濃縮室に、該脱塩室の通水方向と逆方向に通水し、残部を処理水として排出することを特徴とする脱イオン水の製造方法。
【0021】
[
9] [1]ないし[
7]のいずれかに記載の電気脱イオン装置と、該電気脱イオン装置の前段に設けられた逆浸透膜分離装置とを備えることを特徴とする純水製造装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被処理水中のホウ素を高度に除去することができ、ホウ素濃度1ppt以下の処理水を得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
本発明は、電気脱イオン装置の脱塩室に平均粒径100〜300μmで、好ましくは均一係数が1.1以下のイオン交換樹脂を充填することを特徴とする。
【0025】
本発明において、平均粒径100〜300μmという、従来用いられている平均粒径500〜600μm程度のイオン交換樹脂よりも小粒径のイオン交換樹脂を用いることによる電気脱イオン装置のホウ素除去性能の向上効果の作用機構の詳細は明らかではないが、粒径500〜600μm程度の従来品に対して、平均粒径100〜300μmの小粒径のイオン交換樹脂を用いると、同一量のイオン交換樹脂に対して、ホウ素の吸着除去に関与するイオン交換樹脂の表面積は4〜5倍となり、イオン交換樹脂に吸着されたホウ素がイオン交換樹脂の表面を伝わって濃縮室に排出される効率が大きく向上するためと考えられる。
また、この場合において、均一係数1.1以下の粒径の揃ったイオン交換樹脂を用いることにより、小粒径のイオン交換樹脂を用いても脱塩室内に充填したときの空隙率は、大粒径のイオン交換樹脂を用いた場合とほぼ同等とすることができ、脱塩室内の通水差圧の増加を抑えることができ、好ましい。
【0026】
脱塩室に充填するイオン交換樹脂の平均粒径が300μmを超えると、小粒径のイオン交換樹脂を用いることによる本発明の効果を十分に得ることができない。一方、平均粒径が100μmより小さいイオン交換樹脂は、取り扱い性や通水抵抗の面で好ましくない場合があり、また、入手の容易性の観点からもイオン交換樹脂の平均粒径は100μm以上とする。本発明で用いるイオン交換樹脂の平均粒径は、150〜250μmの範囲であることが好ましい。
【0027】
また、本発明で用いるイオン交換樹脂は、上記の通り、粒径が均一であることが好ましく、イオン交換樹脂の均一係数は1.1以下、特に1.05以下であることが好ましい。イオン交換樹脂の均一係数の下限は1.0である。ここで、イオン交換樹脂の均一係数は、定法、例えば、三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部発行「ダイヤイオンマニュアルI」第4版(平成20年10月10日)第70〜71頁に記載される公知の算出法に従って算出することができる。
【0028】
上記の平均粒径及び均一係数を満たすイオン交換樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、後述の実施例の項に記載のイオン交換樹脂を用いることができる。また、市販の大粒径のイオン交換樹脂を粉砕、分級、粒度調整して用いてもよい。
【0029】
脱塩室には、通常、イオン交換樹脂として、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合樹脂が充填される。従って、このアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のそれぞれが前述の平均粒径と均一係数を満たすことが好ましく、アニオン交換樹脂の平均粒径とカチオン交換樹脂の平均粒径はほぼ同等(ここで、同等とは、平均粒径の差が100μm以下であることをさす。)で、均一係数についてもほぼ同等(ここで、同等とは、均一係数の差が0.05以下であることをさす。)であることが好ましい。
【0030】
脱塩室に充填するアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合樹脂の混合割合は、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=60〜90:40〜10、特に60〜80:40〜20(乾燥重量比)の範囲であることが好ましい。脱塩室に充填される混合樹脂は、上記の混合割合の範囲おいて、すべての箇所において同一であってもよく、脱塩室の通水方向の入口側と出口側で異なっていてもよい。例えば、脱塩室の通水方向の入口側(上流側)の通水流路の長さのうち1/2〜1/3の領域においては、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=60〜90:40〜10、好ましくは70〜80:30〜20(乾燥重量比)の混合樹脂を充填し、その他の箇所(出口側の箇所)にはアニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=40〜60:60〜40、好ましくは50〜60:50〜40(乾燥重量比)の混合樹脂を充填してもよい。
このようにすることで、入口側でアニオンが効果的に除去され、アルカリ雰囲気となるので、炭酸、シリカ、ホウ素がよりイオン化しやすくなり、電気脱イオン装置で除去されやすくなる。
【0031】
本発明の電気脱イオン装置は、高いホウ素除去率を実現するために、濃縮室にもイオン交換樹脂を充填することが好ましく、この場合、濃縮室に充填するイオン交換樹脂もまた、脱塩室に充填するイオン交換樹脂と同様の理由から、平均粒径100〜300μm、好ましくは150〜250μmで、均一係数1.1以下、好ましくは1.0〜1.05のイオン交換樹脂であることが好ましい。
【0032】
濃縮室に充填するイオン交換樹脂もまた、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合樹脂が好ましい。特に、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=40〜70:60〜30、好ましくは50〜70:50〜30(乾燥重量比)の混合樹脂であることが好ましい。
【0033】
本発明の電気脱イオン装置は、上記の通り、脱塩室、好ましくは更に濃縮室に充填するイオン交換樹脂として、特定のイオン交換樹脂を用いること以外は、陰極と陽極との間に複数のカチオン交換膜とアニオン交換膜とを交互に配列することにより、濃縮室と脱塩室とを交互に設けた一般的な電気脱イオン装置と同様な構成とされる。
【0034】
脱塩室の厚さ(脱塩室を区画形成する、隣接するアニオン交換膜とカチオン交換膜との距離)は、イオンの移動効率、即ち移動距離の観点からは薄い方が好ましく、装置の製作の容易さの観点からは厚い方が好ましい。脱塩室の好ましい厚さは、2.0〜8.0mmである。
【0035】
濃縮室の厚さは、脱塩室の厚さと同等とすることが好ましい。
【0036】
本発明の脱イオン水の製造方法は、このような本発明の電気脱イオン装置に被処理水を通水して脱イオン処理する方法であり、好ましくは、電気脱イオン装置の脱塩室に被処理水を通水し、処理水(脱塩室の流出水)の一部、例えば10〜30%程度を濃縮室に、脱塩室の通水方向と逆方向に通水することが、高いホウ素除去率を得る上で好ましい。また、その際の通水速度としては、ホウ素除去率と処理効率の面から、脱塩室の通水LVは50〜150m/hr、濃縮室の通水LVは10〜30m/hr程度であることが好ましい。
また、被処理水の通水処理時の電気脱イオン装置の電流密度は500mA/dm
2以上、例えば1000〜1500mA/dm
2とすることが好ましい。
【0037】
本発明の電気脱イオン装置は、特に、純水製造装置のRO膜分離装置の後段に設ける電気脱イオン装置として好ましく用いられ、RO膜分離装置からのホウ素濃度10〜20ppb程度のRO透過水を本発明の電気脱イオン装置で処理してホウ素濃度1ppt以下の処理水を効率的に得ることができる。
【0038】
なお、本発明の電気脱イオン装置は、RO膜分離装置とその後段の本発明の脱塩室を有するものであればよく、RO膜分離装置は1段に限らず、2段以上の多段に設けられていてもよい。また、RO膜分離装置の前段に、活性炭塔や凝集、浮上、濾過、除濁膜装置等の前処理装置を設けてもよく、RO膜分離装置と電気脱イオン装置との間にUV酸化装置や脱気膜装置を設けてもよい。更に、電気脱イオン装置の後段にUV酸化装置や混床式イオン交換装置、更にUF膜分離装置を設けてもよい。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0040】
[実施例1]
アニオン交換樹脂として三菱化学(株)製「ダイヤイオン(登録商標)UMA150」(平均粒径200μm、均一係数1.03)を、カチオン交換樹脂として三菱化学(株)製「ダイヤイオン(登録商標)UBK550」(平均粒径200μm、均一係数1.05)を用い、陽極と陰極との間に複数のアニオン交換膜とカチオン交換膜とを交互に配列して、濃縮室と脱塩室を交互に形成した電気脱イオン装置(栗田工業(株)製「KCDI−UPz」)を、脱塩室及び濃縮室の通水方向が鉛直方向となるように設け、脱塩室及び濃縮室に、以下の通りイオン交換樹脂を充填した。脱塩室及び濃縮室の厚さは5mmであり、イオン交換樹脂の充填高さは60cmとした。
【0041】
脱塩室:入口側の30cmの通水流路には、アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=8:2(乾燥重量比)の混合樹脂を充填し、それ以降の出口側の通水流路にはアニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=5:5(乾燥重量比)の混合樹脂を充填した。
濃縮室:アニオン交換樹脂:カチオン交換樹脂=5:5(乾燥重量比)の混合樹脂を充填した。
【0042】
この電気脱イオン装置に電流密度1200mA/dm
2で電流を流し、ホウ素濃度10ppbの被処理水を、脱塩室にLV=100m/hrで下向流通水し、脱塩室の流出水の20%を濃縮室にLV=20m/hrで上向流通水し、残部を処理水として取り出した。
得られた処理水(脱塩室流出水)のホウ素濃度は1ppt以下であり、ホウ素除去率99.99%を達成することができた。
【0043】
[比較例1]
実施例1において、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂として、それぞれ粒径が500〜600μmのものを用いたこと以外は同様の構成とされた電気脱イオン装置に、同一条件で被処理水を通水したところ、得られた処理水のホウ素濃度は9pptであり、ホウ素除去率は従来装置と同様、99.9%であった。