特許第6011699号(P6011699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6011699
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】デジタル信号処理装置及び光送受信器
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/50 20130101AFI20161006BHJP
   H04B 10/60 20130101ALI20161006BHJP
【FI】
   H04B9/00 500
   H04B9/00 600
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-183091(P2015-183091)
(22)【出願日】2015年9月16日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTエレクトロニクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】石田 修
(72)【発明者】
【氏名】山崎 悦史
(72)【発明者】
【氏名】武井 和人
(72)【発明者】
【氏名】富澤 将人
(72)【発明者】
【氏名】西沢 秀樹
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/012015(WO,A1)
【文献】 特開2010−245809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00−10/90
H04J 14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号処理部と、第1及び第2の入出力インタフェース部とを有する第1のデジタル信号処理部と、
第2の信号処理部と、第3及び第4の入出力インタフェース部と、選択部とを有する第2のデジタル信号処理部とを備え、
前記第1及び第2の信号処理部は、低速変調方式での変復調と、前記低速変調方式の複数倍のビットレートで信号光を送受信可能な高速変調方式での変復調とを選択的に切り替えてデジタル信号処理可能であり、
前記第1、第2、第3及び第4の入出力インタフェース部は、シリアル信号とパラレル信号を互いに変換し、
前記第1及び第2の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースは前記第1の信号処理部に電気的に接続され、
前記第2の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースは前記第4の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースに電気的に接続され、
前記選択部は、前記低速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと前記第2の信号処理部とを電気的に接続し、前記高速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと前記第4の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースとを電気的に接続することを特徴とするデジタル信号処理装置。
【請求項2】
前記第1、第2、第3及び第4の入出力インタフェース部のそれぞれは、シリアル信号をパラレル信号に変換するシリアル・パラレル変換器と、パラレル信号をシリアル信号に変換するパラレル・シリアル変換器とを有し、
前記第1の入出力インタフェース部の前記シリアル・パラレル変換器及び前記パラレル・シリアル変換器と前記第2の入出力インタフェース部の前記シリアル・パラレル変換器及び前記パラレル・シリアル変換器のそれぞれのパラレル側インタフェースは前記第1の信号処理部に電気的に接続され、
前記第2の入出力インタフェース部の前記シリアル・パラレル変換器のシリアル側インタフェースは前記第4の入出力インタフェース部の前記パラレル・シリアル変換器のシリアル側インタフェースに電気的に接続され、
前記第2の入出力インタフェース部の前記パラレル・シリアル変換器のシリアル側インタフェースは前記第4の入出力インタフェース部の前記シリアル・パラレル変換器のシリアル側インタフェースに電気的に接続され、
前記選択部は、前記低速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部の前記シリアル・パラレル変換器及び前記パラレル・シリアル変換器のそれぞれのパラレル側インタフェースと前記第2の信号処理部とを電気的に接続し、前記高速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部の前記シリアル・パラレル変換器のパラレル側インタフェースと前記第4の入出力インタフェース部の前記パラレル・シリアル変換器のパラレル側インタフェースとを電気的に接続し、かつ前記第3の入出力インタフェース部の前記パラレル・シリアル変換器のパラレル側インタフェースと前記第4の入出力インタフェース部の前記シリアル・パラレル変換器のパラレル側インタフェースとを電気的に接続することを特徴とする請求項1に記載のデジタル信号処理装置。
【請求項3】
前記低速変調方式はQPSK変調方式であり、前記高速変調方式は前記低速変調方式の2倍のビットレートで信号光を送受信可能な16QAM変調方式であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル信号処理装置。
【請求項4】
前記第1の信号処理部は、光トランシーバが受信した信号光のビット誤り率を測定し、所望の誤り率を超えているか否かを判定するビット誤り率判定部を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のデジタル信号処理装置。
【請求項5】
第1及び第2のポートを有するフレーム処理部と、
前記フレーム処理部から信号を入力してデジタル信号処理するか、又は、デジタル信号処理した信号を前記フレーム処理部に出力する第1及び第2のデジタル信号処理部と、
信号光を受信して電気信号に変換してそれぞれ前記第1及び第2のデジタル信号処理部に出力するか、又は、それぞれ前記第1及び第2のデジタル信号処理部から入力した電気信号を信号光に変換して送信する第1及び第2の光トランシーバとを備え、
前記第1のデジタル信号処理部は、第1の信号処理部と、第1及び第2の入出力インタフェース部とを有し、
前記第2のデジタル信号処理部は、第2の信号処理部と、第3及び第4の入出力インタフェース部と、選択部とを有し、
前記第1及び第2の信号処理部は、低速変調方式での変復調と、前記低速変調方式の複数倍のビットレートで信号光を送受信可能な高速変調方式での変復調とを選択的に切り替えてデジタル信号処理可能であり、
前記第1、第2、第3及び第4の入出力インタフェース部は、シリアル信号とパラレル信号を互いに変換し、
前記第1及び第2の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースは前記第1の信号処理部に電気的に接続され、
前記第1及び第3の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースはそれぞれ前記フレーム処理部の前記第1及び第2のポートに電気的に接続され、
前記第2の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースは前記第4の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースに電気的に接続され、
前記選択部は、前記低速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと前記第2の信号処理部とを電気的に接続し、前記高速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと前記第4の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースとを電気的に接続することを特徴とする光送受信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成や接続形態を変更することなく光伝送アプリケーションを選択的に利用でき、デジタル信号処理部と接続されるフレーム処理部のポート数を低減することができるデジタル信号処理装置及び光送受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
コヒーレント光伝送技術とは、無線通信におけるホモダイン検波又はヘテロダイン検波と同様に、受信器に局発光源を備え、局発光源が出力する局発光と受信信号光とを干渉させて生じるビート信号を、ベースバンド又は中間周波数帯に変換した後、受信等化波形を識別再生する技術をいう。コヒーレント光伝送技術により、受信感度の向上や光ファイバなどにおける固定的な分散の補償(遅延等化)などが可能となる。しかし、一方で、受信信号光と局発光との周波数/位相の同期や偏波トラッキングなどが課題となっていた。
【0003】
上記の課題を解決し、1波長あたり100Gbit/s超の伝送容量を実現する伝送技術として、デジタルコヒーレント光伝送技術が開発された(例えば、非特許文献1参照)。デジタルコヒーレント光伝送技術では、デジタル信号処理により光位相同期を行い、かつ、光ファイバの偏波モード分散や波長分散による遅延特性を適応的に補償(適応等化)することで、従来のコヒーレント光伝送技術の課題を解決している。
【0004】
デジタルコヒーレント光伝送技術では、上述の電気的な信号処理にデジタル信号処理を用いていることから、柔軟な信号処理が可能となる。すなわち、上述した光位相同期や適応等化といった処理以外にも、エラー訂正処理などの多様な処理を併せて行うことができる。また、必要に応じてある処理の適否を切り替えて用いることもできるようになる。例えば、外部からの指示に応じて、異なる種類の変調方式から任意の一の変調方式を選択して適用する技術も開発されている。
【0005】
以下、100Gbit/sのQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)と200Gbit/sの16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)の何れかの多値変調方式を選択して送受信することができる従来の光送受信器の構成及び動作について説明する。
【0006】
図11は、変調方式を任意に選択可能な従来の光送受信器を示す図である。この光送受信器は、QPSKと16QAMの何れかの多値変調方式で変調された信号光を出力する光送信部と、QPSKと16QAMの何れかで多値変調された信号光を受信してアナログの電気信号を受信信号として出力する光受信部と、デジタル信号処理LSIと、送受信するフレームの再構築やフレームフォーマットの変換を行うフレーマLSIと、フレーム転送処理LSIとを有する。
【0007】
光送信部は、デジタル信号処理LSIから電気の変調信号を受信し、QPSK又はQAMの何れかの多値変調方式で変調された信号光を出力する。光送信部は、搬送波であるレーザ光を出力する半導体レーザ(LD)と、LDが出力したレーザ光を多値変調する多値変調器と、多値変調器を駆動するドライバとを有する。100Gbit/sのQPSK変調方式の場合、光送信部は、計4レーンの25Gbit/s入力信号を4値位相多重(×2)と偏波多重(×2)で多重することによって、1波長あたり100Gbit/sの伝送速度を実現する。また、200Gbit/sの16QAM変調方式の場合、光送信部は、計8レーンの25Gbit/sの入力信号を16値位相多重(×4)と偏波多重(×2)で多重することによって、1波長あたり200Gbit/sの伝送速度を実現する。
【0008】
光受信部は、多値変調された信号光を受信し、アナログの電気信号を受信信号として出力する。光受信部は、局発光源(LO)と、90度光ハイブリッド回路と、バランス型受光素子(PD)アレイとを有する。バランス型PDアレイからは、QPSK変調方式の光受信部の場合には計4レーンの信号(2対のIQ信号)が出力され、16QAM変調方式の光受信部の場合には計8レーンの信号(4対のIQ信号)が出力される。
【0009】
なお、光送信部と光受信部は、光トランシーバとして一体となって実装されることもある。光トランシーバとしては、例えばCFP2−ACOなどのように、アナログのプラガブルな態様も利用されている。
【0010】
デジタル信号処理LSIは、アナログの受信信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号処理により受信信号を復調する。さらには、伝送すべき信号を各種変調方式(QPSK又は16QAM)に応じた変調信号に符号化する。
【0011】
デジタル信号処理LSIの構成及び動作を詳述する。光受信部から出力されたアナログの受信信号は、アナログ・デジタル(AD)変換部によりデジタル信号に変換される。AD変換部から出力されたデジタル信号は、伝送路である光ファイバの固定的な分散である波長分散を波長分散補償部にて補償され、主として光ファイバを伝送する信号光の偏波変動により生じる高速な波形劣化を適応的に補償する適応等化部にて波形等化された後、復調部にて識別再生される。
【0012】
これらの処理はデジタル信号処理により行われるが、光受信部が出力する25Gbit/s/レーンといった高速な信号をシリアルで処理することは困難であることから、通常はAD変換部で数百Mbit/s/レーン程度のパラレル信号に変換された後、デジタル信号処理される。識別再生された受信信号は、入出力インタフェース部のパラレル・シリアル変換部で25Gbit/s/レーンにシリアル信号化された後、100Gbit/s(25Gbit/s×4レーン)の電気信号としてフレーマLSIへ出力される。
【0013】
一方、フレーマLSIから出力された伝送すべき信号(以下、伝送信号という)は、入出力インタフェース部のシリアル・パラレル変換部でデジタル信号処理に適したパラレル信号に変換された後、変調部にて符号化される。符号化された伝送信号は、デジタル・アナログ(DA)変換部にて多値変調器を駆動するための25Gbit/s/レーンのアナログの変調信号に変換され、光送信部に出力される。
【0014】
上述した波長分散補償部、適応等化部、復調部及び変調部をもって、信号処理部と呼ぶ。なお、信号処理部には、例えばエラー訂正処理など、上述したもの以外の処理を行う機能部を備えることもある。
【0015】
デジタル信号処理LSIは、2対の100Gbit/s伝送信号に対応した2対の入出力インタフェース部A,Bを備えている。光送受信器が16QAMで変調された200Gbit/sの信号光を送受信する場合は、2対の100Gbit/s伝送信号(例えばOTU4など)が信号処理部に入力され、多重化される。
【0016】
なお、フレーマLSIが処理する機能が信号処理部の一機能としてデジタル信号処理LSIに実装される態様も存在する。その場合は、図11の入出力インタフェース部は、それぞれフレーム転送処理LSIに直接に接続される。
【0017】
次いで、図11に示したQPSKと16QAMの両方の変調方式を実装したデジタル信号処理LSIを用いて、100Gbit/s×2波長伝送と200Gbit/s×1波長伝送の両方のアプリケーションに適用可能な光送受信器の構成及び動作を、図12,13を用いて説明する。
【0018】
図12は、2つの光トランシーバのそれぞれでQPSK変調方式によるビットレート100Gbit/sの信号光を送受信する場合の従来の光送受信器を示す図である。光トランシーバ1a,1bで異なる波長の信号光を用いることで、波長多重による100Gbit/s×2波長=200Gbit/sの信号光を伝送できる。
【0019】
図12の光トランシーバ1a,1b及びデジタル信号処理LSI2a,2bは、それぞれ図11に示した光トランシーバ及びデジタル信号処理LSIと同じ構成である。フレーム処理部3は、フレーマLSIとフレーム転送処理LSIからなり、デジタル信号処理LSI2a,2bに備わる入出力インタフェース部と信号を交信可能な3つのポートP1〜P3を少なくとも備える。デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部A,B及びデジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Cは、それぞれフレーム処理部3のポートP1〜P3と電気的に配線される。なお、この例では、入出力インタフェース部とフレーム処理部3のポートP1〜P3とは、送受とも各4レーンで接続されているものとする。
【0020】
光トランシーバ1aは、QPSK変調方式で変調された100Gbit/sの信号光を送受信する。デジタル信号処理LSI2aは、100Gbit/sの信号を処理するのみであるため、フレーム処理部3とのインタフェースとしては、2つのうち一方の入出力インタフェース部Aのみ動作すれば足りる。よって、入出力インタフェース部Bは、後述する200Gbit/s×1波長伝送のアプリケーションに用いるためフレーム処理部3のポートP2とは電気的に配線されているものの、100Gbit/s×2波長伝送では信号の交信をしない。同様に、光トランシーバ1bは、QPSK変調方式で変調された100Gbit/sの信号光を送受信する。デジタル信号処理LSI2bは、光トランシーバ1bが送受信する100Gbit/sの信号を処理し、入出力インタフェース部Cを介してフレーム処理部3のポートP3と交信する。入出力インタフェース部Dは動作させる必要がない。
【0021】
図13は、単独の光トランシーバで16QAM変調方式によるビットレート200Gbit/sの信号光を送受信する場合の従来の光送受信器を示す図である。光送受信器の構成及び接続形態は、光トランシーバが二つでなく一つであることを除けば図12と同様である。ただし、光トランシーバ1aは、16QAM変調方式で変調された200Gbit/sの信号光を送受信することから、デジタル信号処理LSI2aの2つの入出力インタフェース部A及びBはともに動作する必要がある。また、デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部A,Bとフレーム処理部3のポートP1,P2とが、それぞれ信号を交信する。一方、デジタル信号処理LSI2bは動作させる必要がない。デジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Cは、フレーム処理部3のポートP3と電気的に配線されているものの、信号を交信しない。
【0022】
上述したQPSK変調方式による「100Gbit/s×2波長伝送」と16QAM変調方式による「200Gbit/s×1波長伝送」の両アプリケーションには、トレードオフが存在する。16QAM変調方式は、QPSK変調方式に比べて1シンボルで送受信できるデータ量(ビット数)が大きいが、一方でQPSK方式に比べて伝送可能な距離が短い。すなわち、「200Gbit/s×1波長伝送」では1つの光トランシーバで200Gbit/sの信号光伝送が可能になるが、伝送可能距離が短い。一方、「100Gbit/s×2波長伝送」では、伝送可能距離が稼げるものの、光トランシーバや光波長リソースを2つ要する。図12,13に示した光送受信器は、伝送媒体である光ファイバの特性(損失、波長分散など)や利用できる波長リソース、装置コストなどを勘案し、QPSK変調方式による「100Gbit/s×2波長伝送」と16QAM変調方式による「200Gbit/s×1波長伝送」の何れかのアプリケーションに選択的に適用させることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】宮本裕、佐野明秀、吉田英二、坂野寿和、「超大容量デジタルコヒーレント光伝送技術」、NTT技術ジャーナル、Vol.23、No.3、P.13−18(2011年3月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
図12,13の光送受信器は、その構成や接続形態を変更することなく、100Gbit/s×2波長伝送と200Gbit/s×1波長伝送の両方の光伝送アプリケーション(これらは何れも合計200Gbit/sのビットレート)を選択的に利用できる、というメリットがある。その一方で、光送受信器に備わるデジタル信号処理LSI2a,2bはフレーム処理部3のポートP1〜P3と常に配線されていなければならず、実際に信号を交信している数(2ポート)より多いフレーム処理部3のポート数(3ポート)が常に占有されてしまうという課題があった。もちろん、100Gbit/s×2波長伝送用としてポートP2との配線を除去した光伝送装置を用意し、200Gbit/s×1波長伝送用としてポートP3との配線を除去した光伝送装置を用意すれば、何れの光伝送装置であっても、実際に信号を交信している数と同数のフレーム処理部3のポートのみ占有させるようにすることができる。しかし、そうすると、光伝送アプリケーションに応じて光伝送装置を個別に設計・開発をする必要があり、大量生産による光送受信器の低コスト化が難しかった。
【0025】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は構成や接続形態を変更することなく光伝送アプリケーションを選択的に利用でき、デジタル信号処理部と接続されるフレーム処理部のポート数を低減することができるデジタル信号処理装置及び光送受信器を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に係るデジタル信号処理装置は、第1の信号処理部と、第1及び第2の入出力インタフェース部とを有する第1のデジタル信号処理部と、第2の信号処理部と、第3及び第4の入出力インタフェース部と、選択部とを有する第2のデジタル信号処理部とを備え、前記第1及び第2の信号処理部は、低速変調方式での変復調と、前記低速変調方式の複数倍のビットレートで信号光を送受信可能な高速変調方式での変復調とを選択的に切り替えてデジタル信号処理可能であり、前記第1、第2、第3及び第4の入出力インタフェース部は、シリアル信号とパラレル信号を互いに変換し、前記第1及び第2の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースは前記第1の信号処理部に電気的に接続され、前記第2の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースは前記第4の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースに電気的に接続され、前記選択部は、前記低速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと前記第2の信号処理部とを電気的に接続し、前記高速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと前記第4の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースとを電気的に接続することを特徴とする。
【0027】
本発明に係る光送受信器は、第1及び第2のポートを有するフレーム処理部と、前記フレーム処理部から信号を入力してデジタル信号処理するか、又は、デジタル信号処理した信号を前記フレーム処理部に出力する第1及び第2のデジタル信号処理部と、信号光を受信して電気信号に変換してそれぞれ前記第1及び第2のデジタル信号処理部に出力するか、又は、それぞれ前記第1及び第2のデジタル信号処理部から入力した電気信号を信号光に変換して送信する第1及び第2の光トランシーバとを備え、前記第1のデジタル信号処理部は、第1の信号処理部と、第1及び第2の入出力インタフェース部とを有し、前記第2のデジタル信号処理部は、第2の信号処理部と、第3及び第4の入出力インタフェース部と、選択部とを有し、前記第1及び第2の信号処理部は、低速変調方式での変復調と、前記低速変調方式の複数倍のビットレートで信号光を送受信可能な高速変調方式での変復調とを選択的に切り替えてデジタル信号処理可能であり、前記第1、第2、第3及び第4の入出力インタフェース部は、シリアル信号とパラレル信号を互いに変換し、前記第1及び第2の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースは前記第1の信号処理部に電気的に接続され、前記第1及び第3の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースはそれぞれ前記フレーム処理部の前記第1及び第2のポートに電気的に接続され、前記第2の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースは前記第4の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースに電気的に接続され、前記選択部は、前記低速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと前記第2の信号処理部とを電気的に接続し、前記高速変調方式が選択された場合には前記第3の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと前記第4の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースとを電気的に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明により構成や接続形態を変更することなく光伝送アプリケーションを選択的に利用でき、デジタル信号処理部と接続されるフレーム処理部のポート数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態1に係る光送受信器を示す図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る光送受信器を示す図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る光送受信器の実装例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る光送受信器の実装例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る光送受信器の実装例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る光送受信器を示す図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る光送受信器を示す図である。
図8】本発明の実施の形態3に係る光送受信器を示す図である。
図9】本発明の実施の形態4に係る光送受信器を示す図である。
図10】本発明の実施の形態4に係る光送受信器を示す図である。
図11】変調方式を任意に選択可能な従来の光送受信器を示す図である。
図12】2つの光トランシーバのそれぞれでQPSK変調方式によるビットレート100Gbit/sの信号光を送受信する場合の従来の光送受信器を示す図である。
図13】単独の光トランシーバで16QAM変調方式によるビットレート200Gbit/sの信号光を送受信する場合の従来の光送受信器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態に係るデジタル信号処理装置及び光送受信器について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0031】
実施の形態1.
図1,2は、本発明の実施の形態1に係る光送受信器を示す図である。光トランシーバ1a,1bは信号光を送受信する。光トランシーバ1a,1bの各々は、QPSKと16QAMの何れかの多値変調方式で変調された信号光を出力する光送信部と、QPSKと16QAMの何れかで多値変調された信号光を受信してアナログの電気信号を受信信号として出力する光受信部とを有する。図1,2の光送信部と光受信部は図11に示した光送信部と光受信部と同じ構成である。
【0032】
デジタル信号処理LSI2a,2bは、フレーム処理部3から信号を入力してデジタル信号処理するか、又は、デジタル信号処理した信号をフレーム処理部3に出力する。光トランシーバ1a,1bは、信号光を受信して電気信号に変換してそれぞれデジタル信号処理LSI2a,2bに出力するか、又は、それぞれデジタル信号処理LSI2a,2bから入力した電気信号を信号光に変換して送信する。
【0033】
フレーム処理部3は、送受信するフレームの再構築やフレームフォーマットの変換を行うフレーマLSIと、フレーム転送処理LSIとを有する。フレーム処理部3は、デジタル信号処理LSI2a,2bから信号を入力してフレーム処理するか、又は、フレーム処理した信号をデジタル信号処理LSI2a,2bに出力する。
【0034】
デジタル信号処理LSI2aは、アナログ・デジタル(AD)変換部4aと、デジタル・アナログ(DA)変換部5aと、信号処理部6aと、入出力インタフェース部A,Bとを有する。デジタル信号処理LSI2bは、AD変換部4bと、DA変換部5bと、信号処理部6bと、入出力インタフェース部C,Dと、選択部7とを有する。入出力インタフェース部A〜Dのそれぞれは、シリアル信号をパラレル信号に変換するシリアル・パラレル変換器と、パラレル信号をシリアル信号に変換するパラレル・シリアル変換器とを有する。
【0035】
信号処理部6a,6bは、低速変調方式での変復調と、低速変調方式の複数倍のビットレートで信号光を送受信可能な高速変調方式での変復調とを選択的に切り替えてデジタル信号処理可能である。本実施の形態では、低速変調方式はQPSK変調方式であり、高速変調方式は低速変調方式の2倍のビットレートで信号光を送受信可能な16QAM変調方式である。図1,2の信号処理部6a,6bは図11に示した信号処理部と同じ構成である。
【0036】
なお、本発明に適用可能な変調方式はQPSKと16QAMに限定されるものではないが、デジタル信号処理LSI2a,2bは異なる2つの変調方式を選択的に切り替えて適用することができるものであり、かつ、単一の媒体で送受信される信号光のビットレートは両変調方式の間で2倍の差とされる。例えば、本実施の形態の場合、何れの変調方式に対する信号光も25Gシンボル/sのシンボルレートで変調されており、QPSKでは100Gbit/s、16QAMでは200Gbit/sのビットレートとされている。
【0037】
AD変換部4a,4bは、それぞれ光トランシーバ1a,1bの光受信部から出力された25Gbit/s/レーンのアナログの受信信号をデジタル信号に変換する。信号処理部6a,6bは、それぞれAD変換部4a,4bから出力されたデジタル信号を、デジタル信号処理により、波長分散補償、適応等化した後、識別再生する。入出力インタフェース部A〜Dのパラレル・シリアル変換部は、識別再生された受信信号を25Gbit/s/レーンのシリアル信号に変換した後、100Gbit/s(25Gbit/s×4レーン)の電気信号としてフレーム処理部3に出力する。
【0038】
入出力インタフェース部A〜Dのシリアル・パラレル変換部は、フレーム処理部3から出力された伝送すべき信号(以下、伝送信号という)を、デジタル信号処理に適したパラレル信号に変換する。信号処理部6a,6bは、該パラレル信号を所望の変調方式(QPSK又は16QAM)に応じた変調信号に符号化する。DA変換部5a,5bは、符号化された伝送信号を25Gbit/s/レーンのアナログの変調信号に変換し、光トランシーバ1a,1bの光送信部に出力する。
【0039】
入出力インタフェース部A〜Dは、信号処理部6a,6bとフレーム処理部3の双方と信号を交信して、シリアル信号とパラレル信号を互いに変換する。そこで、入出力インタフェース部A〜Dの信号処理部6a,6bとのインタフェースを「パラレル側インタフェース」、フレーム処理部3とのインタフェースを「シリアル側インタフェース」と呼ぶこととする。
【0040】
デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部A,B(のシリアル・パラレル変換器及びパラレル・シリアル変換器のそれぞれ)のパラレル側インタフェースは信号処理部6aに直接電気的に接続される。デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部A(のシリアル・パラレル変換器及びパラレル・シリアル変換器のそれぞれ)のシリアル側インタフェースは、フレーム処理部3のポートP1に電気的に接続される。デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部Bのシリアル側インタフェースは、デジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Dのシリアル側インタフェースに電気的に接続される(具体的には、入出力インタフェース部Bのシリアル・パラレル変換器のシリアル側インタフェースは入出力インタフェース部Dのパラレル・シリアル変換器のシリアル側インタフェースに電気的に接続され、入出力インタフェース部Bのパラレル・シリアル変換器のシリアル側インタフェースは入出力インタフェース部Dのシリアル・パラレル変換器のシリアル側インタフェースに電気的に接続される)。デジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Cのシリアル側インタフェース(のシリアル・パラレル変換器及びパラレル・シリアル変換器のそれぞれ)は、フレーム処理部3のポートP2に電気的に接続される。
【0041】
デジタル信号処理LSI2bの内部において、選択部7は、低速変調方式が選択された場合には入出力インタフェース部Cのパラレル側インタフェースと信号処理部6bとを電気的に接続し、高速変調方式が選択された場合には入出力インタフェース部Cのパラレル側インタフェースと入出力インタフェース部Dのパラレル側インタフェースとを電気的に接続する。具体的には、選択部7は、低速変調方式が選択された場合には入出力インタフェース部Cのシリアル・パラレル変換器及びパラレル・シリアル変換器のそれぞれのパラレル側インタフェースと信号処理部6bとを電気的に接続し、高速変調方式が選択された場合には入出力インタフェース部Cのシリアル・パラレル変換器のパラレル側インタフェースと入出力インタフェース部Dのパラレル・シリアル変換器のパラレル側インタフェースとを電気的に接続し、かつ入出力インタフェース部Cのパラレル・シリアル変換器のパラレル側インタフェースと入出力インタフェース部Dのシリアル・パラレル変換器のパラレル側インタフェースとを電気的に接続する。
【0042】
次いで、図1を参照して、デジタル信号処理LSI6a,6bにてQPSK変調方式が選択され、対向する光送受信器間を2つの媒体で接続してビットレート100Gbit/s×2波長の信号光を送受信する場合の、光送受信器の動作を説明する。
【0043】
QPSK変調方式が選択された場合、デジタル信号処理LSI2bに設けられた選択部7は、入出力インタフェース部Cのパラレル側インタフェースと信号処理部6bとを電気的に接続する。光トランシーバ1aで送受信されるQPSK変調された信号光は、デジタル信号処理LSI2a内の信号処理部6aでデジタル信号処理された後、入出力インタフェース部Aを介してフレーム処理部3のポートP1と交信する。このとき、デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部Bは動作しない。同様に、光トランシーバ1bで送受信されるQPSK変調された信号光は、デジタル信号処理LSI2b内の信号処理部6bでデジタル信号処理された後、選択部7及び入出力インタフェース部Cを介してフレーム処理部3のポートP2と交信する。このとき、デジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Dは動作しない。この光送受信器の動作は、図12,13に示した従来の光送受信器の動作と同じである。
【0044】
次いで、図2を参照して、デジタル信号処理LSI2aにて16QAM変調方式が選択され、対向する光送受信器間を1つの媒体で接続してビットレート200Gbit/sの信号光を単一の波長で送受信する場合の、光送受信器の動作を説明する。
【0045】
16QAM変調方式が選択された場合、デジタル信号処理LSI2bに設けられた選択部7は、入出力インタフェース部Cのパラレル側インタフェースと入出力インタフェース部Dのパラレル側インタフェースとを電気的に接続する。光トランシーバ1aで送受信される16QAM変調された信号光のうちの一方の100Gbit/sの受信信号は、デジタル信号処理LSI2a内の信号処理部6aでデジタル信号処理された後、入出力インタフェース部Aを介してフレーム処理部3のポートP1と交信する。他方の100Gbit/sの受信信号は、デジタル信号処理LSI2a内の信号処理部6aでデジタル信号処理された後、入出力インタフェース部Bに送られる。デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部Bのシリアル側インタフェースとデジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Dのシリアル側インタフェースとはあらかじめ電気的に接続されているため、デジタルLSI2aの入出力インタフェース部Bが入出力する信号は、デジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部D、選択部7、入出力インタフェース部Cを介して、フレーム処理部3のポートP2と交信する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る光送受信器は、デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部Bのシリアル側インタフェースとデジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Dのシリアル側インタフェースとを配線により電気的に接続し、かつデジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Cのパラレル側インタフェースを、選択された変調方式に応じて、信号処理部6b又は入出力インタフェース部Dのパラレル側インタフェースの何れかに電気的に接続する選択部7とを備える。これにより、デジタル信号処理LSI2a,2bとフレーム処理部3を最小のポート数である2ポートで接続することができる。従って、構成や接続形態を変更することなく光伝送アプリケーションを選択的に利用でき、デジタル信号処理部と接続されるフレーム処理部のポート数を必要最小限まで低減することができる。この結果、低コストな光送受信器を提供することができる。
【0047】
なお、本実施の形態に係る選択部7は、デジタル信号処理LSI2bの内部に設けたFETトランジスタなどにより実現することができる。光送受信器の外部より変調方式を選択するための制御信号(不図示)が入力されると、該制御信号はデジタル信号処理LSI2a,2bに導かれ、変調方式を所望の方式に変更するとともに、選択部7が変調方式に応じた接続に切り替えるようにすればよい。「変調方式に応じた接続」とは、より高速な変調方式(16QAMなど)が選択された場合は、選択部7はデジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Cのパラレル側インタフェースと入出力インタフェース部Dのパラレル側インタフェースとを電気的に接続するようにし、より低速な変調方式(QPSKなど)が選択された場合は、選択部7はデジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Cのパラレル側インタフェースと信号処理部6bとを電気的に接続するようすればよい。
【0048】
図3〜5は、本発明の実施の形態1に係る光送受信器の実装例を示す図である。デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部Bのシリアル側インタフェースとデジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Dのシリアル側インタフェースとは、固定的な配線により電気的に接続するようにしてもよい。なお、2つのデジタル信号処理LSI2a,2bを1つのLSIパッケージ8に実装した場合、図3のように、LSIパッケージ8の外部であって、該LSIパッケージ8が実装されるボード上の配線で電気的に接続するようにしてもよい。又は、図4のように、LSIパッケージ8内部の配線で電気的に接続するようにしてもよい。本発明は、配線の実装形態によって限定されるものではない。
【0049】
デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部Bとデジタル信号処理LSI2bの入出力インタフェース部Dと間のシリアル通信及びシリアル・パラレル変換の際に発生したエラーを修正するため、図5のように選択部7と入出力インタフェース部Bとの間にFEC(Forward Error Correction)9を適用するニーズがありうるが、このようなケースにも本発明は適用可能である。本発明は、光伝送装置内の各経路中のFEC機能部の有無によって限定されるものではない。
【0050】
なお、信号処理部6a,6bは、例えばエラー訂正処理など、上述したもの以外の処理を行う機能部を備えてもよい。また、信号処理部6a,6bに、フレーマLSIが処理する機能を実装するようにしてもよい。その場合は、デジタル信号処理LSI2a,2bは、それぞれ直接フレーム転送処理LSIに接続される。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態1では、低速変調方式(QPSKなど)での変復調と、該低速変調方式の2倍のビットレートで信号光を送受信可能な高速変調方式(16QAMなど)での変復調とを切り替えて処理可能な信号処理部6a,6bをそれぞれ有する2つのデジタル信号処理LSI2a,2bを備えた光送受信器について説明した。しかし、本発明はこの実施の形態1の構成に限定されるものではない。本実施の形態では、高速変調方式(64QAMなど)は低速変調方式(QPSKなど)の4倍のビットレートで信号光を送受信可能なものであり、光送受信器には、4つのデジタル信号処理LSIを備える。
【0052】
図6,7は、本発明の実施の形態2に係る光送受信器を示す図である。本実施の形態の光トランシーバ1a〜1d、デジタル信号処理LSI2a〜2d及びフレーム処理部3は、それぞれ実施の形態1の光トランシーバ1a,1b、デジタル信号処理LSI2a,2b及びフレーム処理部3とほぼ同じ構成であるが、以下の点で相違する。光トランシーバ1a〜1dは、QPSK(例えば100Gbit/s)と64QAM(例えば400Gbit/s)の何れかの多値変調方式で変調された信号光を出力する光送信部、及び、QPSKと64QAMの何れかの多値変調方式で変調された信号光を受信しアナログの受信信号を出力する光送信部とを有する。また、デジタル信号処理LSI2a〜2dは、ビットレート400Gbit/sに多重化された信号を4チャネルの同100Gbit/sの信号として出力できるよう、4つの入出力インタフェース部をそれぞれ備える。また、選択部7a〜7cがそれぞれデジタル信号処理LSI2b〜2dに設けられている。デジタル信号処理LSI2a〜2dの入出力インタフェース部A,E,I,Mのシリアル側インタフェースは、フレーム処理部3のポートP1〜P4にそれぞれ電気的に接続される。デジタル信号処理LSI2aの入出力インタフェース部B,C,Dのシリアル側インタフェースは、それぞれデジタル信号処理LSI2b〜2dの入出力インタフェース部F,J,Nのシリアル側インタフェースに電気的に接続される。デジタル信号処理LSI2b〜2dの選択部7a〜7cは、選択された変調方式に応じて、それぞれ入出力インタフェース部E,I,Mのパラレル側インタフェースと、信号処理部6b〜6d又は入出力インタフェース部F,J,Nのパラレル側インタフェースの何れかに切り替えて電気的に接続する。
【0053】
次いで、光送受信器の動作を説明する。低速変調方式としてQPSK(ビットレート100Gbit/s)が選択され、光トランシーバ1a〜1dにQPSK変調方式に対応した光トランシーバが適用されると、図6のように、デジタル信号処理LSI2b〜2dの選択部7a〜7cの各々が、入出力インタフェース部E,I,Mのパラレル側インタフェースと信号処理部6b〜6dとを電気的に接続する。これにより、光トランシーバ1a〜1dの各々が送受信する光信号は、デジタル信号処理LSI2a〜2dを介して、フレーム処理部3のポートP1〜P4と交信する。このようにして、光送受信器は対向する光送受信器間を4つの媒体で接続してビットレート100Gbit/s×4=400Gbit/sの信号光を送受信する。
【0054】
一方、高速変調方式として64QAM(ビットレート400Gbit/s)が選択され、光トランシーバ1a〜1dに64QAM変調方式に対応した光トランシーバが適用されると、図7のように、デジタル信号処理LSI2b〜2dの選択部7a〜7cの各々が、入出力インタフェース部E,I,Mのパラレル側インタフェースと入出力インタフェース部F,J,Nのパラレル側インタフェースとを電気的に接続する。これにより、光トランシーバ1aが送受信する光信号は、1チャネルの100Gbit/sの信号がデジタル信号処理LSI2aを介してフレーム処理部3のポートP1と、2−4チャネルの100Gbit/sの信号がデジタル処理LSI2a、デジタル信号処理LSI2b〜2dの入出力インタフェース部の各々を介してフレーム処理部3のポートP2〜P4と交信する。このようにして、光送受信器は対向する光送受信器間を1つの媒体で接続してビットレート400Gbit/sの信号光を送受信する。
【0055】
なお、本発明は、実施の形態1,2で説明したデジタル信号処理LSIを2個又は4個備える構成に限定されるものではない。低速変調方式での変復調と、該低速変調方式のn倍(nは2以上の整数)のビットレートで信号光を送受信可能な高速変調方式での変復調とを切り替えて処理可能な信号処理部をそれぞれ有するn個のデジタル信号処理LSIを備えた光送受信器に適用することができる。この場合、n個のデジタル信号処理LSIの各々は、選択された変調方式に応じて、1つの入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースを信号処理部又は他の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースの何れかに切り替えて電気的に接続する選択部を有する。第1のデジタル信号処理LSIの第1の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースはフレーム処理部の第1のポートに電気的に接続される。第2〜第nのデジタル信号処理LSIの第1の入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースはフレーム処理部の第2〜第nのポートにそれぞれ電気的に接続される。第1のデジタル信号処理LSIの第2〜第nの入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースは第2〜第nのデジタル信号処理LSIの入出力インタフェース部のシリアル側インタフェースの何れかに電気的に接続される。選択部は、低速変調方式が選択されたときは第1の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと信号処理部とを電気的に接続し、高速変調方式が選択されたときは第1の入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと第2〜第nの入出力インタフェース部のうち第1のデジタル信号処理LSIの入出力インタフェース部に電気的に接続された入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースの何れかに切り替えて電気的に接続する。これにより実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
【0056】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係る光送受信器を示す図である。デジタル信号処理LSI2aの信号処理部6aには、媒体を伝送して光トランシーバ1aが受信した信号光のビット誤り率を測定し、所望の誤り率を超えているか否かを判定するビット誤り率(BER)判定部10が設けられている。また、光送受信器の外部には、BER判定部10と制御信号の送受信をする制御部11と、制御部11に接続された表示部12とが設けられている。なお、制御部11又は表示部12が光送受信器の内部に組み込まれる構成でもよい。
【0057】
光送受信器のユーザは、光信号の送受信を始めるにあたり、より高速な変調方式に対応した光トランシーバ1a,1b(例えば16QAMに対応した光トランシーバ)を適用する。ユーザの指示に基づき、光送受信器は、200Gbit/sの光信号を1つの媒体を用いて送受信する。200Gbit/s光信号が伝送品質のBER判定部10にて評価され、その結果が表示部12に表示される。ユーザは表示部12の表示を参照し、通信品質が所定の基準を満たしていない(BERが所定の誤り率を超えている)場合は、光信号の送受信を停止し、より低速変調方式に対応した2台の光トランシーバ1a,1b(例えばQPSKに対応した光トランシーバ)を適用する。そして、ユーザの指示に基づき、光送受信器は、100Gbit/sの光信号を2つの媒体を用いて送受信する。
【0058】
このようにデジタル信号処理LSI2aの信号処理部6aにBER判定部10を設けたことにより、光送受信器のユーザは、あらかじめ光信号の伝送品質に応じた最適な変調方式を容易に選択できる。また、光トランシーバ1a,1bとして、選択された変調方式に応じた変調方式を選択可能な適応型光トランシーバを用いた場合、光送受信器は、媒体を伝送した信号光のビット誤り率(伝送品質)に応じて、適切な変調方式を自動的に選択できるようになるため、オペレーションコストを低減することもできる。
【0059】
実施の形態4.
図9,10は、本発明の実施の形態4に係る光送受信器を示す図である。実施の形態1ではデジタル信号処理LSI2aにのみ選択部7が設けられていた。これに対して、本実施の形態ではデジタル信号処理LSI2a,2bにそれぞれ同じ構成の選択部7d,7eが設けられている。
【0060】
選択部7d,7eは以下の2つの動作が可能である。
動作1:2つの入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースと信号処理部を電気的に接続する。
動作2:2つの入出力インタフェース部のパラレル側インタフェースを互いに電気的に接続する。
【0061】
光送受信器をQPSK変調方式による100Gbit/s×2波長伝送アプリケーションに用いる場合には、図9に示すように、デジタル信号処理LSI2a,2bの選択部7d,7eはいずれも「動作1」を実行する。一方、光送受信器を16QAM変調方式による200Gbit/s×1波長伝送アプリケーションに用いる場合には、図10に示すように、デジタル信号処理LSI2aの選択部7dは「動作1」を実行し、デジタル信号処理LSI2bの選択部7eは「動作2」を実行する。デジタル信号処理LSI2aの選択部7dは固定的に動作1のみを実行し、動作2を実行することはない。これにより、デジタル信号処理LSI2a,2bとして全く同じ構成のものを用いることができる。
【0062】
一般に、システムLSIを開発するためには巨額の費用を要する。そのため、システムLSIは、可能な限り、品種を少なくして大量生産するようにして、その単価低減を図っている。本実施の形態に係る光送受信器では、同じ構成のデジタル信号処理LSI2a,2bを用いることができるため、デジタル信号処理LSIの品種を不用意に増加させることがなくなる。この結果、デジタル信号処理LSI又は光送受信器のさらなる低コスト化を実現できる。
【符号の説明】
【0063】
1a〜1d 光トランシーバ、 2a〜2d デジタル信号処理LSI、 3 フレーム処理部、 6a〜6d 信号処理部、 7,7a〜7e 選択部、 10 ビット誤り率判定部、 A〜P 入出力インタフェース部、 P1〜P4 ポート
【要約】
【課題】構成や接続形態を変更することなく光伝送アプリケーションを選択的に利用でき、デジタル信号処理部と接続されるフレーム処理部のポート数を低減する。
【解決手段】信号処理部6a,6bは、低速変調方式での変復調と、高速変調方式での変復調とを選択的に切り替えてデジタル信号処理可能である。入出力インタフェース部A,Bのパラレル側インタフェースは信号処理部6aに電気的に接続される。入出力インタフェース部Bのシリアル側インタフェースは入出力インタフェース部Dのシリアル側インタフェースに電気的に接続される。選択部7は、低速変調方式が選択された場合には入出力インタフェース部Cのパラレル側インタフェースと信号処理部6bとを接続し、高速変調方式が選択された場合には入出力インタフェース部Cのパラレル側インタフェースと入出力インタフェース部Dのパラレル側インタフェースとを接続する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13