(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で用いる(メタ)アクリレート(A)は前記の通り、化合物(a1)と化合物(a2)とを、前記化合物(a1)1モルに対して、前記化合物(a2)を0.1〜(k−2)モル〔kは前記化合物(a1)1分子中の平均(メタ)アクリロイル基数〕の割合でマイケル付加反応させて得られる。このような(メタ)アクリレート(A)として、例えば、下記一般式(3)で表され官能基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート等を好ましく例示できる。
【0015】
【化2】
〔Rは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基である。Xはアルキレン基、ヘテロ原子を有するアルキレン鎖又は下記一般式(4)
【0016】
【化3】
{YはO又はSである。mおよびnはそれぞれ1〜4の整数である。Rf
1はフッ素化アルキル基である。}で表される連結基である。Rfはフッ素化アルキル基である。〕
【0017】
本発明において、前記フッ素化アルキル基は、アルキル基中の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたもの(パーフルオロアルキル基)と、アルキル基中の一部の水素原子がフッ素原子で置換されたもの(例えば、HCF
2CF
2CF
2CF
2−等)との総称である。尚、該フッ素化アルキル基中に酸素原子を含むもの(例えば、CF
3−(OCF
2CF
2)
2−等)も本定義中に含める。
【0018】
前記一般式(3)で表される構造は、エステル結合中のカルボニル炭素とフッ素化アルキル基との間にアルキレン鎖等が介在するため、加水分解による劣化の問題が少なく、硬化物の性能の長期安定性に優れるものである。また、該構造中のフッ素化アルキル基は分子の末端に存在することにより、架橋した際の網目の一部として取り込まれることが無い。更に表面張力低下能に大きく寄与する−CF3基を有する。このため、例えば、カラーフィルター画素形成用組成物の構成成分として用いた際にはその表面にフッ素原子を効果的に配置することができ、フッ素原子由来の表面特性を効率よく発現することが可能となる。
【0019】
更に本発明で用いる(メタ)アクリレート(A)は2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する。これは、硬化反応時の架橋点を1分子中に2個以上有することであり、強固な三次元網目構造を形成するために必要とするものである。
【0020】
更に(メタ)アクリレート(A)1分子中のフッ素原子含有率は5質量%以上であることが好ましい。これはフッ素原子由来の表面特性を発現させるために必要とするものである。フッ素原子含有率は10〜60質量%がより好ましい。
【0021】
また、本発明で用いる(メタ)アクリレート(A)の分子量は塗膜の耐アルカリ性と平滑性に優れることから300〜20,000が好ましく、500〜15,000がより好ましい。
【0022】
前記一般式(3)中のXとしては下記一般式(5)
−(CH
2)p−Zq−(CH
2)r− (5)
〔式中、Zは水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基を有する窒素原子、酸素原子、硫黄原子または−NR−SO
2−(Rは水素原子または炭素数1〜24のアルキル基である。)である。pは0〜4の整数で、qは0または1で、rは0〜20の整数で、且つ、1≦p+r≦20である。〕
で表されるアルキレン鎖であることが、塗布性が良好で、水しみが起こりにくい塗膜が得られ、更に、洗浄中に発生する未露光部の樹脂残渣が露光部の着色パターンの硬化塗膜表面に付着しにくく、しかも、硬化塗膜が耐加水分解性に優れる硬化塗膜となることから好ましく、一般式(5)の中でも、Zが水素原子若しくは炭素原子数1〜24のアルキル基を有する窒素原子、酸素原子、硫黄原子または又は−NR−SO
2−(Rは水素原子、又は炭素原子数1〜24のアルキル基である。)であり、pが1であり、qが1であり、rが0〜19の整数であるアルキレン鎖がより好ましい。
【0023】
また、上記Zは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基を有する窒素原子、硫黄原子または−NR−SO
2−(Rは炭素原子数1〜6のアルキル基である。)であることが
塗布性が良好で、水しみが起こりにくい塗膜が得られ、更に、洗浄中に発生する未露光部の樹脂残渣が露光部の着色パターンの硬化塗膜表面に付着しにくく、しかも、硬化塗膜が耐加水分解性に優れる硬化塗膜となることからより好ましい。
【0024】
また、一般式(3)中のXとしては、前記一般式(4)で表される連結基〔但し、Rf
1が−C
nF
2n+1(nは1〜20の整数である。)である。〕であり、且つ前記一般式(3)中のRfがRf1と同一又は異なる−CnF
2n+1(nは1〜20の整数である。)である化合物は、後述のマイケル付加反応によって製造可能である点から工業的生産に好適であり、また、フッ素化アルキル基がパーフルオロアルキル基であることから効果的にフッ素原子由来の性能を発現できる点から好ましいものである。
【0025】
更に、一般式(3)中のRf炭素原子数nは炭素原子数4〜8のフッ素化アルキル基が入手や製造の容易さの理由から好ましく、4、6または8がより好ましい。従って、本発明で用いる(メタ)アクリレート(A)の中でも、一般式(3)中のRfの炭素原子数nが4、6または8であり、且つ、一般式(5)中のpが1で、qが1で、rが0〜19の整数である(メタ)アクリレートや、一般式(3)中のRfの炭素原子数nが4、6または8であり、一般式(5)中のZが水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基を有する窒素原子、硫黄原子または−NR−SO
2−(Rは炭素原子数1〜6のアルキル基である。)である(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0026】
また、前記一般式(3)中のRとしては、原料の工業的入手容易性、及びマイケル付加反応によって製造可能である点から、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0027】
本発明で用いる(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、下記一般式(I)〜(X)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
〔式(I)〜(III)中、R
1は水酸基、炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキル基、CH
2=CHCO
2CH2−、CH
2=C(CH
3)CO
2CH
2−、又は炭素原子数1〜3のアルキロール基であり、R
2は(メタ)アクリロイル基であり、mとnは同一でも異なっていても良い1〜4の整数であり、tは4、6、又は8であり、iは1又は2であり、jは2又は3であり、且つi+j=4である。〕
【0031】
〔式(IV)中、R
1、R
2は式(I)〜(III)中のそれと同じであり、R
4は(メタ)アクリロイル基にHS(CH
2)2C
tF
2t+1又はHN(C
3H
7)(CH
2)
2C
tF
2t+1(式中tは4、6又は8を示す。)がマイケル付加した基である。〕
【0033】
〔式(V)中、R
2、R
4は式(I)〜(IV)中のそれと同じであり、mは1又は2であり、nは2又は3であり、且つm+n=4である。〕
【0035】
〔式(VI)中、R
2、R
4は式(I)〜(IV)中のそれと同じであり、pは1〜4の整数であり、qは2〜5の整数であり、rは0〜3の整数であり、且つp+q+r=6である。〕
【0037】
〔式(VII)〜(VIII)中、R
2、R
4は式(I)〜(IV)中のそれと同じであり、wは1〜4の整数であり、w’は2〜5の整数であり、且つw+w’=6であり、yは1〜8の整数であり、y’は2〜9の整数であり、且つy+y’=10である。〕
【0039】
〔式(IX)中、R
2、R
4は式(I)〜(IV)中のそれと同じである。〕
【0041】
〔式(X)中、R
2、R
4は式(I)〜(IV)中のそれと同じである。〕
【0042】
本発明で用いる(メタ)アクリレート(A)のより具体的な例示を以下に挙げる。尚、下記具体例はいずれもアクリレートの場合を示したものであり、式中のアクリロイル基は何れもメタクリロイル基に変更可能である。更に、下記具体例は前記一般式(3)中のRとして水素原子のもののみを記載しており、カルボニル炭素に結合するメチレン基中の水素原子の1つは何れもメチル基に変更可能である。
【0048】
本発明で用いる(メタ)アクリレート(A)は、化合物(a1)と(a2)とをマイケル付加反応させて得られる。このマイケル付加反応を利用した製造方法は、付加反応であるため、反応により副生する化合物はなく、後述するように温和な条件下で進行させることが可能であると共に、分子中のフッ素原子含有率や(メタ)アクリロイル基の官能基数等を容易に調整することが可能である。
【0049】
以下、マイケル付加反応を用いた(メタ)アクリレート(A)の合成方法について詳述する。前記3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)としては、分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を含有していれば特に制限はなく、目的とする用途により適宜選択されるものであるが、原料の入手容易性、温和な条件で反応が速やかに進行する等の観点から下記一般式(6)
【0050】
【化15】
〔式(6)中、R
1は水酸基、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数1〜24のアルキルカルボニルオキシ基、CH
2=CHCO
2CH
2−、CH
2=C(CH
3)CO
2CH
2−、繰り返し数が1以上で末端が水素原子若しくは炭素数1〜18のアルキル基で封鎖された(ポリ)オキシアルキレン基または炭素原子数1〜12のアルキロール基である。R
2は(メタ)アクリロイル基である。〕
で表される化合物(a1−1)、
【0052】
【化16】
(式中、R
2は(メタ)アクリロイル基であり、R
3は水素原子または炭素原子数1〜18のアルキルカルボニル基である。mは3〜6の整数で、nは0〜3の整数で、且つm+n=6である。)
で表される化合物(a1−2)、ウレタン(メタ)アクリレート(a1−3)、シアヌレート環含有トリ(メタ)アクリレート(a1−4)、又はリン酸トリ(メタ)アクリレート(a1−5)が好ましい。
【0053】
これらの中でも、前記一般式(6)〔但し、R1が炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキル基、CH
2=CHCO
2CH
2−、CH
2=C(CH
3)CO
2CH
2−、若しくは炭素原子数1〜3のアルキロール基である。〕で表される化合物、前記一般式(7)〔但し、R
3が水素原子若しくは炭素原子数1〜12のアルキルカルボニル基である。〕で表される化合物、又は2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレート(x1)と脂環構造を有するイソシアネート化合物(x2)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートであることが特に好ましい。
【0054】
3個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物(a1)としては、具体的には以下の如き化合物が挙げられる。
【0055】
3官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレンオキシド(EO)変性グリセロールアクリレート(例えば、第一工業製薬株式会社製ニューフロンティアGE3A等)、プロピレンオキシド(PO)変性グリセロールトリアクリレート(例えば、荒川化学株式会社製ビームセット720)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(例えば、第一工業製薬株式会社製ニューフロンティアPET−3等)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMTPA)(例えば、第一工業製薬株式会社製ニューフロンティアTMTP等)、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、ダイセルUCB株式会社製Ebecryl2047等)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)変性トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、日本化薬株式会社製カヤラッドTHE―330等)、(EO)或いは(PO)変性トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、第一工業製薬株式会社製ニューフロンティアTMP−3P等)、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、日本化薬株式会社製カヤラッドD−330等)等、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(例えば、日立化成株式会社製ファンクリルFA−731A等)、EO変性リン酸トリアクリレート(例えば、大阪有機化学株式会社製ビスコート3A)等が挙げられる。
【0056】
4官能の(メタ)アクリレートしては、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)(例えば、東亞合成株式会社製アロニックスM−408等)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート(例えば、三菱レーヨン株式会社製ダイヤビームUK−4154等)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(例えば、新中村化学株式会社製NKエステルA−TMMT等)等が挙げられる。
【0057】
5官能または6官能(メタ)アクリレートしては、例えば、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート(例えば、化薬サートマー株式会社製SR−399E等)、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、日本化薬株式会社製カヤラッドD−310)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(例えば、東亞合成株式会社製アロニックスM−402等)、ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレートベース・多官能モノマー混合物(例えば、東亞合成株式会社製アロニックスM−404等)等が挙げられる。
【0058】
これらは単独での使用、或いは(メタ)アクリロイル基数以外の構造も含めて異なる複数の化合物を併用してもよい。また、一般に市販入手可能な前記化合物としては、主成分となる目的化合物に対して(メタ)アクリロイル基数の異なる化合物の混合物であることが多い。使用に際しては、各種クロマトグラフィー、抽出等の精製方法で目的とする(メタ)アクリロイル基数の化合物を取り出して用いてもよいが、混合物のまま用いてもよい。
【0059】
また、本発明で用いる前記化合物(a1)としては、ウレタン(メタ)アクリレート(a1−3)を使用することも可能である。前記ウレタン(メタ)アクリレート(a1−3)の製造方法としては何ら制限はなく、例えば、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレート(x1)とイソシアネート化合物との重付加反応等により得ることが可能である。
【0060】
前記反応は、無触媒で行うことも可能であるが、反応効率等の観点からウレタン化触媒等の反応助剤等も使用できる。前記ウレタン化触媒としては、例えば、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられ、原料として用いる水酸基含有(メタ)アクリレート(x1)とイソシアネート化合物(x2)との総重量に対して、0.01〜10重量%用いるのが好ましい。
【0061】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート(x1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート(例えば、日油株式会社製ブレンマーGAM等)等が挙げられる。
【0062】
前記イソシアネート化合物としては、芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物の何れも用いることは可能であり、例えば、トルエンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、アダマンチルジイソシアネート等が挙げられ、得られる硬化物のガラス転移温度の高さ、硬化物の耐擦傷性などの観点から、脂環構造を有するものであることが好ましく、例えばノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、アダマンチルジイソシアネートを用いることが好ましい。即ち、ウレタン(メタ)アクリレート(a1−3)としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレート(x1)と脂環構造を有するイソシアネート化合物(x2)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。尚、ウレタン(メタ)アクリレート(a1−3)にマイケル付加によってフッ素化アルキル基を導入して得られる化合物は、前記化合物(a1−1)及び化合物(a1−2)として水酸基を有するものを使用し、これにマイケル付加反応によってフッ素化アルキル基を導入した後、イソシアネート化合物と反応させることによっても合成することが可能であり、反応順序としては特に制限されるものではない。
【0063】
次に、前記化合物(a2)について説明する。化合物(a2)としては原料の工業的入手の容易性、マイケル付加反応の容易性の点から、下記一般式(1)
Rf(CH
2)rZH (1)
〔式(1)中、rは0〜20の整数であり、Rfは−CnF2n+1(nは1〜20の整数である。)であり、Zは水素原子若しくは炭素数1〜24のアルキル基を有する窒素原子、酸素原子、硫黄原子、又は−SO2−NR−(Rは水素原子、又は炭素数1〜24のアルキル基である。)である。〕
で表される化合物、又は下記一般式(2)
【0065】
〔式(2)中、Yは酸素原子、又は硫黄原子であり、mとnは同一でも異なっていても良い1〜4の整数であり、RfとRf
1は同一でも異なっていても良い−C
nF
2n+1(nは1〜20の整数である。)である。〕
で表される化合物を用いる。
【0066】
化合物(a2)の中でも、より温和な反応条件を選択でき、得られる硬化物の物性に優れる点から、前記一般式(1)中のZが水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を有する窒素原子、硫黄原子、又は−SO
2−NR−(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)であり、Rf中の炭素数nが4、6又は8である、或いは、前記一般式(2)中のYが硫黄原子であり、Rf及びRf1中の炭素数nが4、6、又は8である化合物が特に好ましい。
【0067】
前記一般式(1)で表わされる含フッ素化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられ、これらは単独でも、2種以上の混合物として使用しても良い。
C
4F
9SO
2N(CH
3)H (a2−1)
C
4F
9SO
2N(C
3H
7)H (a2−2)
C
4F
9CH
2CH
2N(C
8H
17)H (a2−3)
C
4F
9CH
2CH
2SH (a2−4)
C
6F
13CH
2CH
2SO
2N(C
8H
17)H (a2−5)
C
6F
13CH
2CH
2SH (a2−6)
C
6F
13CH
2CH
2N(C
4H
9)H (a2−7)
C
8F
17CH
2CH
2SH (a2−8)
C
8F
17CH
2N(C
3H
7)H (a2−9)
C
9F
19CH
2CH
2SH (a2−10)
C
10F
21CH
2CH
2CH
2N(C
3H
7)H (a2−11)
C
12F
25CH
2CH
2SH (a2−12)
【0068】
また、前記一般式(2)で表される含フッ素化合物の製造方法としては、例えば、2−ヒドロキシコハク酸(以下、リンゴ酸と記す。)、2−メルカプトコハク酸(以下、チオリンゴ酸と記す。)にフッ素化アルキル基含有アルコールまたはフッ素化アルキル基含有メルカプタンを反応させてジエステル体とする方法が挙げられ、具体的には下記の化合物が挙げられる。
【0070】
前記化合物(a1)と前記化合物(a2)との仕込み比としては、マイケル付加反応後に(メタ)アクリロイル基が2個以上残存する仕込み比であり、具体的には前記化合物(a1)1モルに対して、通常前記化合物(a2)を[0.01〜(k−2)〔kは前記化合物(a1)1分子中の平均(メタ)アクリロイル基数〕]モルで使用する。仕込み比は、[0.1〜(k−2)]モルで使用することが好ましく、[0.2〜(k−2)]モルで使用することがより好ましい。
【0071】
前記化合物(a1)と前記化合物(a2)との反応は、通常のマイケル付加反応の方法に従えば良く、フッ素原子を有することによる特別の配慮は特に必要ではなく、無溶媒でも溶媒存在下でも製造できる。溶媒を使用する場合には、前記化合物(a1)及び前記化合物(a2)の溶解性、沸点、使用する設備等を考慮し適宜、選択されるものであるが、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン(以下、MEKと略記する。)、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略記する。)等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素類等が挙げられ、単独でも2種以上の溶媒を混合して使用しても良い。これらの中でもエステル類、芳香族系炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エーテル類、ジメチルホルムアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を用いることが好ましく、エステル類、ケトン類、アルコール類、エーテル類を用いることが特に好ましい。
【0072】
この反応は、無触媒で行うことも可能であるが、反応効率の面から、適宜、触媒等の反応助剤を選択して使用することも可能である。前記反応助剤として、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコラート類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]−オクタン等のアミン類;水素化ナトリウム、水素化リチウム等の金属水素化物類、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラアンモニウムフルオライド等のアンモニウム塩;過酢酸等の過酸化物等が挙げられる。好ましくは金属アルコラート類、アミン類、アンモニウム塩であり、特に好ましくはアミン類である。前記反応助剤の使用量としては、特に制限されるものではないが、原料として用いる前記化合物(a1)1モルに対して0.01〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%である。
【0073】
さらに、用いる化合物(a1)及び化合物(a2)によっては、熱も反応活性化エネルギー源として単独使用または併用使用することが可能である。反応温度としては通常、0℃〜還流温度であり、好ましくは20〜100℃、特に好ましくは20〜70℃である。反応時、溶媒などを使用した場合、溶質濃度としては通常2〜90質量%であり、好ましくは20〜80重量%である。反応資材の投入順序としては特に制限されない。このようにして得られた生成物は、抽出などによる洗浄、およびカラムクロマトグラフィー等で精製して使用することも可能であるが、そのまま使用することも可能である。特に(メタ)アクリロイル基数の多い化合物(a1)を用いた場合には、前記化合物(a2)が付加する場所を制御することは通常困難であり、付加した場所が異なる種々の化合物からなる混合物であるフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートが得られるが、この場合においても、単離・精製によって単一物質を取り出す必要はなく、マイケル付加反応の位置が異なる種々の化合物からなる混合物として使用することが可能である。
【0074】
以上の如く、前記化合物(a1)と、前記化合物(a2)とのマイケル付加反応を経由することで、強酸触媒などを必要とした縮合反応を経ることなく、より簡便且つ穏和な条件下で本発明で用いる(メタ)アクリレート(A)を製造できる。また、現在市販品として入手が容易である、或いは合成が容易である様々な多官能(メタ)アクリレートを出発原料として使用することが可能であるため、(メタ)アクリレート(A)を含有する光硬化性組成物の使用目的、用途また要求特性に対して、構造或いは1分子中のフッ素原子含有率や(メタ)アクリロイル基数を適宜調整するといった変更が容易であり、より有効な製造方法といえる。
【0075】
本発明で用いる本発明のカラーフィルター画素形成用組成物中の(メタ)アクリレート(A)の配合量は、後述するアルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)及び着色剤(D)の合計100質量部に対して、質量基準で0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、0.05〜5質量部の範囲であることがより好ましい。重合性樹脂の配合量がこの範囲であれば、塗布ムラ、ハジキが防止でき、耐アルカリ性も良好なものとなり、水しみも防止できる。
【0076】
本発明のカラーフィルター画素形成用組成物は、(メタ)アクリレート(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、(メタ)アクリレート(A)以外の重合性化合物(C)及び着色剤(D)を含有することを特徴とする。
【0077】
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂(B)としては、アルカリ現像液に可溶のものであれば特に限定はないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基及びスルホン酸基の群から選ばれる少なくとも1つの酸性基又はその塩を有する樹脂が好ましい。
【0078】
前記アルカリ可溶性樹脂(B)について、より具体的に説明すると、酸性基を有する単量体を重合させたものが挙げられる。アルカリ可溶性樹脂(B)の原料となる酸性基としてカルボキシル基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸又はこれらの塩等が挙げられる。
【0079】
アルカリ可溶性樹脂(B)の原料となる酸性基としてフェノール性水酸基を有する単量体としては、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。また、これらの単量体の芳香環に結合したフェノール性水酸基及びビニル基以外の1個以上の水素原子が、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミド基に置換された化合物等も挙げられる。
【0080】
アルカリ可溶性樹脂(B)の原料となる酸性基としてスルホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アリルオキシプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸−2−スルホプロピル、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はこれらの塩等が挙げられる。
【0081】
また、上記の酸性基を有する単量体は、単独で重合してアルカリ可溶性樹脂(B)とすることもできるが、他の単量体と共重合させても構わない。このような他の単量体しては、炭化水素系オレフィン類、ビニルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル化合物、クロロオレフィン類、共役ジエン類等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
【0082】
前記(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシシクロヘキシル、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−3−オキソブチル、(メタ)アクリル酸2−アセトアセトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0083】
アルカリ可溶性樹脂(B)の原料となる酸性基を有する単量体及び前記の他の単量体は、それぞれ単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0084】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルとアクリロイルの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいう。
【0085】
本発明に用いる前記重合性化合物(C)としては、紫外線等の活性エネルギー線照射により重合又は架橋反応可能な光重合性官能基を有する化合物であれば特に限定されることなく用いることができる。具体的な例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0086】
また、N,N’−エチレンジマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンジマレイミド、N,N’−ドデカメチレンジマレイミド、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、N,N’−p−フェニレンジマレイミド、N,N’−(オキシジ−p−フェニレン)ジマレイミド、N,N’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミド、N,N’−2,4−トリレンジマレイミド、N,N’−2,6−トリレンジマレイミド、N,N’−ジマレイミド、N,N’−m−キシリレンジマレイミド、N,N’−p−キシリレンジマレイミド、N,N’−オキシジプロピレンジマレイミド、エチレンジオキシ−ビス−N−エチルマレイミド、N,N’−p,p’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−p,p’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−ジシクロヘキシルメタンビスマレイミド、N,N’−(3,3’−ジクロロ−p,p’−ビスフェニレン)ビスマレイミド、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、エトキシ(3−マレイミドプロピオキシ)エタン、エトキシ(3−マレイミドプロピオキシ)ブタン、ジエチレングリコール(3−マレイミドプロピル)メチルエーテル、Mn=400のポリエチレングリコールのメチル(3−マレイミドプロピル)エーテル、トリメチロールプロパントリ(3−マレイミドプロピルエーテル)、Mn=400のポリエチレングリコールのビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、Mn=400のポリエチレングリコールのモノ(3−マレイミドプロピル)ビニルエーテル等のエーテル系化合物;メチルマレイミドアセテート、エチルマレイミドカプロネート、エチレングリコールモノメチルエーテルマレイミドアセテート、Mn=400のポリエチレングリコールのモノメチルエーテルマレイミドアセテート、テトラヒドロフルフリルマレイミドアセテート、ジエチレングリコールビスマレイミドアセテート、ジエチレングリコールモノマレイミドアセテートアクリレート、Mn=400のポリエチレングリコールのビスマレイミドアセテート、Mn=250のポリテトラメチレングリコールのビスマレイミドアセテート、Mn=400のポリエチレングリコールのモノマレイミドカプロネートアクリレート、トリメチロールプロパントリマレイミドアセテート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリマレイミドアセテート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパンジマレイミドアセテートモノアクリレート、ペンタエリスリトールテトラマレイミドアセテート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールジマレイミドアセテート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールトリマレイミドアセテート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラマレイミドアセテート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールジマレイミドアセテートジアクリレート等のマレイミドエステル化合物;N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート;ソホロンジイソシアナートと(ポリ)アルキレンポリオールとの当量混合物を2−マレイミドエタノールと反応させたウレタン化合物;2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−イソプロピルカーボネート、テトラエチレングリコールビス(3−マレイミドプロピルカーボネート)等のマレイミドカーボネート化合物等のマレイミド誘導体も挙げられる。これらの重合性化合物(C)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0087】
前記アルカリ可溶性樹脂(B)と重合性化合物(C)との質量比率は、(B):(C)=40:60〜90:10の範囲が好ましく、50:50〜80:20の範囲がより好ましく、55:45〜70:30の範囲がさらに好ましい。
【0088】
本発明で用いる着色剤(D)としては、着色が可能なものであれば、特に制限無く用いることができるが、耐熱性及び耐光性が高い点から顔料が好ましく、有機顔料、無機顔料のいずれであっても用いることができる。
【0089】
前記有機顔料としては、赤(R)、緑(G)、青(B)の各画素の色に応じて用いる。赤(R)の画素では、例えば、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレド216、C.I.ピグメントレッド217、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド227、C.I.ピグメントレッド228、C.I.グメントレッド240、C.I.グメントレッド254、C.I.ピグメントレッド48:1等の赤色顔料を用いることができる。
【0090】
緑(G)の画素では、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等の緑色顔料を用いることができる。青(B)画素では、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー64等の青色顔料を用いることができる。
【0091】
また、上記の赤(R)、緑(G)、青(B)の各画素の色再現性を向上する目的で、その他の色の有機顔料を色相調整として用いてもよい。このような色相調整の有機顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット30、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット40、C.I.ピグメントバイオレット50等のバイオレット顔料;C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー185等の黄色顔料などが挙げられる。
【0092】
一方、ブラックマトリックス(BM)を形成するのに用いる着色剤(D)としては、黒色であれば特に限定されるものではないが、カーボンブラック、金属酸化物、2種以上の金属酸化物からなる複合金属化合物等の顔料が好ましい。また、赤、青、緑、紫、黄、シアン、マゼンタの色相を有する顔料から選ばれる2種以上の有機顔料を混合し、混色により黒色とした組み合わせでも構わない。
【0093】
前記カーボンブラックとしては、例えば、ランプブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。前記金属酸化物としては、チタンの酸化又は二酸化チタンの還元により得られるチタンブラックが挙げられる。通常、チタンブラックは、Ti
mO
2m−1(mは1以上の数)で表される。また、金属酸化物として、銅、鉄、クロム、マンガン、コバルト等の金属酸化物も挙げられる。さらに、2種以上の金属酸化物からなる複合金属化合物としては、例えば、銅−クロムの酸化物、銅−クロム−マンガンの酸化物、銅−鉄−マンガンの酸化物又はコバルト−鉄−マンガンの酸化物等が挙げられる。
【0094】
一方、有機顔料の例としては、赤の色相を有する顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ピロロ・ピロール系顔料、アントラキノン系顔料等が挙げられ、青の色相を有する顔料としては、フタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料等が挙げられ、緑の色相を有する顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料等が挙げられ、紫の色相を有する顔料としては、ジオキサジンバイオレット、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、インダンスレンブリリアントバイオレット等が挙げられ、黄の色相を有する色相を有する顔料としては、テトラクロロイソインドリノン系顔料、ハンザイエロー系顔料、ベンジジンイエロー系顔料、アゾ系顔料等が挙げられ、シアンの色相を有する顔料としては無金属フタロシアニン、メロシアニン等が挙げられ、マゼンタの色相を有する顔料としては、ジメチルキナクリドン、チオインジゴ等が挙げられる。
【0095】
赤(R)、緑(G)、青(B)の各画素及びブラックマトリックス(BM)を形成するために用いる着色剤(D)は、求められる色相に応じて、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0096】
前記着色剤(D)の配合量は、前記アルカリ可溶性樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計100質量部に対して、質量基準で10〜80質量部の範囲であることが好ましく、15〜65質量部の範囲であることがより好ましい。
【0097】
本発明のカラーフィルター画素形成用組成物においては、前記着色剤(D)が顔料の場合は、分散剤を用いて有機溶剤中で分散させて調製した顔料分散液を予め調製して用いることが好ましい。前記分散剤としては、例えば、界面活性剤;顔料の中間体もしくは誘導体;染料の中間体もしくは誘導体;ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂型分散剤等が挙げられる。これら顔料分散剤の中でも、特に主鎖又は側鎖にN,N−ジ置換アミノ基及び酸性基を有するアクリル系重合体を含有する樹脂型分散剤が好ましい。このような樹脂型分散剤の市販品としては、例えば、ビックケミー社製の「BYK−160」、「BYK−161」、「BYK−2001」、エフカーケミカルズ社製の「エフカ46」、味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−814」等が挙げられる。これらの分散剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0098】
また、前記顔料分散液の調製の際に用いられる有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤;エトキシプロピオネート等のプロピオネート系溶剤;トルエン、キシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤;ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン等の窒素化合物系溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤;カルバミン酸エステル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0099】
前記顔料分散液の調製方法としては、着色剤(D)の混練分散工程及び微分散工程を経る方法、微分散工程のみで行う方法等が挙げられる。前記混練分散工程では、着色剤(D)、アルカリ可溶性樹脂(B)の一部、及び必要に応じて前記分散剤を混合し混練する。混練に用いる機械は、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは二軸の押出機等が挙げられ、これらの混練機を用いて強い剪断力を加えながら分散することにより着色剤を分散することができる。また、着色剤(D)は、上記の混練を行う前に、ソルトミリング法等によって粒子サイズを微細化しておくことが好ましい。
【0100】
一方、前記微分散工程では、前記混練分散工程で得られた着色剤(D)を含む組成物に溶剤を加えたもの、又は、着色剤(D)、アルカリ可溶性樹脂(B)、溶剤及び必要に応じて前記分散剤を混合したものを、ガラス、ジルコニアやセラミックの微粒の分散用メディアと共に分散機を用いて混合分散することにより、着色剤(D)の粒子を一次粒子に近い微小な状態にまで分散することができる。
【0101】
また、カラーフィルターの透過率、コントラスト等を向上する観点から、着色剤(D)の一次粒子の平均粒径は、10〜100nmであることが好ましく、10〜60nmであることがより好ましい。なお、この着色剤(D)の平均粒径は、動的光散乱式の粒度分布計で測定したものであり、例えば、日機装株式会社製のナノトラック(Nanotrac)粒度分布測定装置「UPA−EX150」、「UPA−EX250」等で測定することができる。
【0102】
紫外線等の活性エネルギー線を照射して、本発明のカラーフィルター画素形成用組成物を硬化させる場合には、本発明のカラーフィルター画素形成用組成物に重合開始剤(E)を配合する。この重合開始剤(E)としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、アゾビスイソブチロニトリル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4’−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4’−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’’−ジエチルイソフタロフェン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられ、単独でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明のカラーフィルター画素形成用組成物中に含まれる着色剤(C)の影響を比較的受けずに、高い硬化性を示すが2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1が好ましい。
【0103】
また、必要に応じてアミン化合物又はリン化合物等の光増感剤を添加し、光重合を促進することもできる。
【0104】
重合開始剤(E)の配合量は、前記(メタ)アクリレート(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)及び着色剤(D)の合計100質量部に対して、0.01〜15質量部の範囲であることが好ましく、0.3〜7質量部の範囲であることがより好ましい。
【0105】
さらに、本発明のカラーフィルター画素形成用組成物は、用途、特性等の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、有機溶剤、重合禁止剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤等の添加剤を配合することができる。
【0106】
また、本発明のカラーフィルター画素形成用組成物に塗布適性を付与するため、有機溶剤を添加して粘度調整を行っても構わない。ここで使用し得る有機溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤;エトキシプロピオネート等のプロピオネート系溶剤;トルエン、キシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤;ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン等の窒素化合物系溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤;カルバミン酸エステル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0107】
ここで有機溶媒の使用量は、用途や目的とする膜厚や粘度によって異なるが、前記(メタ)アクリレート(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計に対して、質量基準で、0.5〜4倍量の範囲であることが好ましい。
【0108】
本発明のカラーフィルター画素形成用組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、光、電子線、放射線等の活性エネルギー線が挙げられる。具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。なお、電子線で硬化させる場合には、本発明のカラーフィルター画素形成用組成物への前記重合開始剤(E)の配合は不要である。
【0109】
これらの活性エネルギー線の中でも特に紫外線であることが好ましい。また、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射すると塗膜の表面硬化性が向上するため好ましい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、活性エネルギー線にて硬化した後、熱処理を行ってもよい。
【0110】
本発明のカラーフィルター画素形成用組成物の塗布方法は用途により異なるが、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、カーテンコーター、シャワーコーター、スピンコーター、スリットコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、アプリケーター、バーコーター等を用いた塗布方法が挙げられる。
【0111】
本発明のカラーフィルター画素形成用組成物は、液晶及び有機EL表示装置に用いられるカラーフィルター(RGBの各画素部及びブラックマトリックス部)の製造に有用である。なお、本発明のカラーフィルターは、以下の工程を経ることにより着色パターンを形成することで作製することができる。
(1)本発明のカラーフィルター画素形成用組成物を基板上に塗布する。
(2)塗布したカラーフィルター画素形成用組成物を乾燥(プリベーク)する。
(3)フォトマスクを用いて所望のパターンに露光する。
(4)現像液を用いて現像処理を行う。
(5)蒸留水で洗浄(リンス)後、乾燥する。
【0112】
上記の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50〜140℃の温度範囲で10〜300秒間加熱することにより行うことができる。中でも、70〜130℃の温度範囲で30〜180秒間加熱するのが好ましく、80〜120℃の温度範囲で30〜90秒間加熱するのがより好ましい。また、より完全に乾燥を行うため、乾燥(プリベーク)前に真空乾燥を行っても構わない。
【0113】
上記の現像処理では、未露光の未硬化部分をアルカリ現像液に溶出させ、光硬化した硬化部分のみを残す。アルカリ現像液としては、未硬化部分を溶解し、RGBの各画素部及びブラックマトリックス部となる硬化部分を溶解しないものであれば特に制限なく用いることができる。具体的なアルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物の水溶液が挙げられる。このアルカリ現像液のアルカリ濃度は0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。また、現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間としては20〜90秒の範囲が好ましい。
【0114】
現像処理後には、必要に応じてポストベーク処理を行なうことができる。ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常200〜250℃の温度範囲で加熱する。ポストベーク処理は、現像後の層を、前記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行える。
【0115】
上記のように作製したカラーフィルターの画素上にITO等の透明電極を形成した基板を他の基板とともに液晶層を挟持する基板として用い、バックライト、偏光板、液晶層を組み合わせて液晶表示装置とすることができる。
【0116】
また、上記のように作成したカラーフィルターの画素上にITO等の電極、単層あるいは多層の有機発光層を有する基板を用い、例えば「有機ELディスプレイ」(オーム社、2004年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載された方法等にて、有機ELディスプレイを作製することができる。尚、本発明のカラーフィルターは、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
【0117】
また、本発明のカラーフィルターを用いた液晶表示装置や有機EL表示装置は、例えば、テレビ、パーソナルコンピューター、プロジェクター、携帯ゲーム機、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジタルオーディオプレイヤー、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーション等の画像表示部として広範囲に用いることができる。
【0118】
本発明のカラーフィルター画素形成用組成物は、その中に配合した(メタ)アクリレート(A)が、フッ素原子を含むため、基板に塗布後、塗膜の乾燥過程でフッ素原子の働きによりフッ素系界面活性剤として塗膜表面に偏析する。その後、露光により塗膜は硬化するが、本発明で用いる(メタ)アクリレート(A)は重合性基を有するため、塗膜表面で強固に固定化される。塗膜表面にフッ素系界面活性剤が存在することで、塗膜表面に撥水撥油性が付与されるため、アルカリ現像液による露光部の硬化塗膜表面の侵食を防ぎ、現像液で現像後、洗浄(リンス)により洗い流された未露光部の樹脂や混入物が、露光部分の着色パターンの硬化塗膜の表面に付着するのを防止できるものと考えられる。また、このとき未露光部では、重合性基が硬化しないため、現像性を悪化させることなくパターンを形成することができる。
【実施例】
【0119】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。例中、断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
【0120】
本発明において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)はGPC測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
【0121】
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件:カラム温度40℃、展開溶媒テトラヒドロフラン、流速1.0ml/分
標準:前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0122】
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)。
【0123】
合成例1〔(メタ)アクリレート(A)の調製〕
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50.6g(0.09モル)とトリエチルアミン0.07gとの混合溶液を仕込んだ。この混合溶液を55℃で撹拌下、パーフルオロオクチルエチルメルカプタン10.6g(0.02モル)を滴下した。滴下終了後、さらに55℃で3時間撹拌し、エバポレーター(バス温50℃以下)で減圧下、トリエチルアミンを留去し、下記構造(8)に代表される(メタ)アクリレート(A1)61.2gを得た。(メタ)アクリレート(A1)の分子量は数平均分子量670、重量平均分子量840であり、重合性不飽和基当量は121g/eqで、原料の仕込み割合から計算される1分子中のフッ素原子の含有率は11.6%であった。
【0124】
【化19】
(式中、R
2は(メタ)アクリロイル基である。xは1〜5の整数で、yは1〜5の整数で、且つx+y=6である。)
【0125】
合成例2(同上)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート28.9gとトリエチルアミン1.0gとの混合溶液を仕込んだ。この混合溶液を室温で撹拌下、パーフルオロオクチルエチルメルカプタン48.2gを滴下した。滴下終了後、さらに50℃で3時間撹拌し、エバポレーター(バス温50℃以下)で減圧下、トリエチルアミンを留去することで上記構造(8)で示される(メタ)アクリレート(A2)76.8gを得た。(メタ)アクリレート(A2)の分子量は数平均分子量700、重量平均分子量900でありで、重合性不飽和基当量は392g/eqで、原料の仕込み割合から計算される1分子中のフッ素原子の含有率は42.0%であった。
【0126】
合成例3(同上)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート38.0gとトリエチルアミン0.05gとの混合溶液を仕込んだ。この混合溶液を室温で撹拌下、パーフルオロヘキシルエチルメルカプタン3.80gを滴下した。滴下終了後、さらに55℃で3時間撹拌し、エバポレーター(バス温50℃以下)で減圧下、トリエチルアミンを留去することで下記構造(9)(メタ)アクリレート(A3)41.8gを得た。(メタ)アクリレート(A3)の分子量は数平均分子量670、重量平均分子量800でありで、重合性不飽和基当量は110g/eqで、原料の仕込み割合から計算される1分子中のフッ素原子の含有率は6.5%であった。
(式中、R
2は(メタ)アクリロイル基である。xは1〜5の整数で、yは1〜5の整数で、且つx+y=6である。)
【0127】
合成例4(同上)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート41.1gとトリエチルアミン0.05gとの混合溶液を仕込んだ。この混合溶液を室温で撹拌下、パーフルオロヘキシルエチルメルカプタン8.9gを滴下した。滴下終了後、さらに55℃で3時間撹拌し、エバポレーター(バス温50℃以下)で減圧下、トリエチルアミンを留去することで上記構造(9)に代表される(メタ)アクリレート(A4)41.8gを得た。(メタ)アクリレート(A4)の分子量は数平均分子量710、重量平均分子量880でありで、重合性不飽和基当量は124g/eqで、原料の仕込み割合から計算される1分子中のフッ素原子の含有率は11.6%であった。
【0128】
合成例5(同上)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート70.6gとトリエチルアミン0.1gとの混合溶液を仕込んだ。この混合溶液を室温で撹拌下、パーフルオロヘキシルエチルメルカプタン29.4gを滴下した。滴下終了後、さらに55℃で3時間撹拌し、エバポレーター(バス温50℃以下)で減圧下、トリエチルアミンを留去することで上記構造(9)に代表される(メタ)アクリレート(A5)100gを得た。(メタ)アクリレート(A5)の分子量は数平均分子量710、重量平均分子量880でありで、重合性不飽和基当量は152g/eqで、原料の仕込み割合から計算される1分子中のフッ素原子の含有率は29.4%であった。
【0129】
比較合成例1〔比較対照用フッ素原子含有重合性樹脂(a´)の調製〕
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、下記式(a2−1−1)で表される両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物20g、溶媒としてジイソプロピルエーテル10g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.006g及び中和剤としてトリエチルアミン3.3gを仕込み、空気気流下にて攪拌を開始し、フラスコ内を10℃に保ちながらメタクリル酸クロライド3.1質量部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で1時間攪拌し、昇温して30℃で1時間攪拌した後、50℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にてメタクリル酸クロライドの消失を確認した。次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル70gを追加した後、更にイオン交換水80gを添加して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を3回繰り返した。次いで、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.02gを添加し、脱水剤として硫酸マグネシウム8gを添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別した。
【0130】
【化20】
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均7個、パーフルオロエチレン基が平均8個存在するものであり、フッ素原子の数が平均46である。また、GPCによる数平均分子量は1,500である。)
【0131】
次いで、減圧下で溶媒を留去することによって、下記式(A−2−1)で表されるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有する化合物(以下、「化合物(A−2−1)」と略記する。)を得た。
【0132】
【化21】
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均7個、パーフルオロエチレン基が平均8個存在するものであり、フッ素原子の数が平均46である。)
【0133】
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエステルアセテート(以下「PGMEA)と略記する。)127gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、化合物(A−2−1)60gと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、「HEMA」と略記する。)67.2gをPGMEA146gに溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート19gをPGMEA 109gに溶解した重合開始剤溶液の3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌して、重合体の溶液を得た。
【0134】
上記の重合体の溶液に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.6g、ウレタン化触媒としてオクチル酸錫0.06gを仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「AOI」と略記する。)72.8gを1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して5時間攪拌し、その後、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認した。次いで、PGMEAを加え、比較対照用フッ素原子含有重合性樹脂(a´1)を30%含有するPGMEA溶液を得た。比較対照用フッ素原子含有重合性樹脂(a´1)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量1,900、重量平均分子量5,800であり、重合性不飽和基当量は388g/eq.であった。また、原料の仕込み割合から計算される1分子中のフッ素原子の含有率は11.6%であった。
【0135】
比較合成例2(同上)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてPGMEA138gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、化合物(A−2−1)80gと、HEMA57.6gをPGMEA170gに溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート21gをPGMEA 105gに溶解した重合開始剤溶液との3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌して、重合体の溶液を得た。
【0136】
上記の重合体の溶液に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.6g、ウレタン化触媒としてオクチル酸錫0.06gを仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら、AOI 62.4gを1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して5時間攪拌し、その後、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認した。次いで、PGMEAを加え、比較対照用フッ素原子含有重合性樹脂(a´2)を30質量%含有するPGMEA溶液を得た。得られたフッ素原子含有重合性樹脂(a´2)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量1,600、重量平均分子量4,600であり、重合性不飽和基当量は452g/eq.であった。
【0137】
比較合成例3
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてPGMEA53.5gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、化合物(A−2−1)20gと、ポリエチレンモノメタクリレート(オキシエチレンの平均繰り返し数4.5)33.5gをPGMEA75gに溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート8gをPGMEA 31.8gに溶解した重合開始剤溶液との3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌して、重合体の溶液を得た。
【0138】
上記の重合体の溶液に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.2g、ウレタン化触媒としてオクチル酸錫0.02gを仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら、AOI 13gを1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して5時間攪拌し、その後、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認した。次いで、PGMEAを加え、比較対照用フッ素原子含有重合性樹脂(a´3)を20質量%含有するPGMEA溶液を得た。得られた比較対照用フッ素原子含有重合性樹脂(a´3)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量1,500、重量平均分子量5,000であり、重合性不飽和基当量は606g/eq.であった。
【0139】
合成例6〔アルカリ可溶性樹脂(B)の調製〕
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエステルアセテート(以下「PGMEA)と略記する。)60gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら110℃に昇温した。次いで、ベンジルアクリレート53.4gと、アクリル酸6.5gをPGMEA8gに溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.8gをPGMEA10gに溶解した重合開始剤溶液との2種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を110℃に保ちながら同時に4時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で5時間攪拌して、アルカリ可溶性樹脂(B1)の溶液を得た。得られたアルカリ可溶性樹脂の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量5,000、重量平均分子量12,000であり、酸価は34であった。
【0140】
実施例1
アルカリ可溶性樹脂(B1)15部、緑色顔料分散液 41.7部、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート6部、光重合開始剤(Cibaジャパン株式会社製「イルガキュアOXE02」、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9Hカルバゾール−3−イル]−、1−(0−アセチルオキシム))1部及びPGMEA36.3部を混合した溶液を得た。これに(メタ)アクリレート(A1)の溶液を固形分換算で塗膜形成成分100部に対して0.3部添加しカラーフィルタ−画素形成用組成物(1)を得た。
【0141】
カラーフィルター画素形成用組成物(1)の塗布性と、得られた塗膜への水しみ、及び得られる洗浄後着色パターン上に残る残渣の有無を下記方法に従い評価した。評価結果を第1表に示す。
【0142】
<塗布性の評価方法>
カラーフィルター画素形成用組成物(1)1mlを、12cm四方のガラス板上の中央部分に滴下し、回転数600rpm、回転時間30秒間でスピンコ−ティングした後、80℃で3分間加熱乾燥させて、塗布状態を観察し、下記評価に従って評価した。
【0143】
○:塗布ムラの発生が認められないもの。
△:塗布ムラの発生が部分的に認められるもの。
×:塗布ムラの発生が全体的に認められるもの。
【0144】
<塗膜への水しみの評価方法>
カラーフィルター画素形成用組成物(1)1mlを、7cm四方のガラス板上の中央部分に滴下し、回転数1,000rpm、回転時間30秒間でスピンコ−ティングした後、80℃で3分間加熱乾燥させて、膜厚1.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を高圧水銀灯で50mJ/cm
2露光した後、現像液として25℃に保持した0.05%水酸化カリウム水溶液を用いて45秒間スプレー現像した後、イオン交換水で十分に洗浄し、着色塗膜を得た。その後、クリーンエアで乾燥した。これらの操作によって得られた着色塗膜の表面をKEYENCE製 DIGTAL MICROSCOPE VHX−900にて観察し、下記基準に従って評価した。
【0145】
○:塗膜に水しみにより白色に変色した領域が全く確認できない。
△:塗膜に水しみにより白色に変色した領域が塗膜上に1〜5箇所確認された。
×:塗膜に水しみにより白色に変色した領域が塗膜状に5箇所以上確認された。
【0146】
<着色パターン上に残る残渣の有無の評価方法>
カラーフィルター画素形成用組成物(1)1mlを、7cm四方のガラス板上の中央部分に滴下し、回転数1,000rpm、回転時間30秒間でスピンコ−ティングした後、80℃で3分間加熱乾燥させて、膜厚1.5μmの塗膜を形成した。この塗膜を線幅50μmのパターンマスクで用い、高圧水銀灯で50mJ/cm
2露光した後、現像液として25℃に保持した0.05重量%水酸化カリウム水溶液を用いて45秒間スプレー現像した後、イオン交換水で十分に洗浄した。その後、クリーンエアで乾燥し、着色パターンを得た。これらの操作によって得られた線幅50μmの着色パターンの表面をKEYENCE製 DIGTAL MICROSCOPE VHX−900にて観察し、下記基準に従って評価した。
【0147】
○:着色パターンの表面上に残渣が全く確認できない。
△:着色パターンの表面上に残渣が1〜5個確認された。
×:着色パターンの表面上に残渣が5個以上確認された。
【0148】
実施例2〜5
第1表に示す(メタ)アクリレート(A)を用いた以外は実施例1と同様にしてカラーフィルター画素形成用組成物(2)〜(5)を調製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を第1表に示す。
【0149】
【表1】
【0150】
比較例1〜3
(メタ)アクリレート(A)のかわりに第2表に示す比較対照用フッ素原子含有重合性樹脂(a´1)〜(a´3)を用いた以外は実施例1と同様にしてカ比較対照用ラーフィルター画素形成用組成物(1´)〜(3´)を調製した。実施例1と同様の評価を行い、その結果を第2表に示す。
【0151】
【表2】