特許第6011859号(P6011859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6011859多孔質電極基材前駆体シートの製造方法および多孔質電極基材前駆体シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011859
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】多孔質電極基材前駆体シートの製造方法および多孔質電極基材前駆体シート
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/88 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   H01M4/88 C
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-282296(P2012-282296)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-127310(P2014-127310A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年2月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠
(72)【発明者】
【氏名】浜田 光夫
(72)【発明者】
【氏名】三原 和茂
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 徹平
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−235134(JP,A)
【文献】 国際公開第01/056103(WO,A1)
【文献】 特開2010−003564(JP,A)
【文献】 特開2004−084136(JP,A)
【文献】 特開2008−235135(JP,A)
【文献】 特開2009−155193(JP,A)
【文献】 特開2003−239164(JP,A)
【文献】 特開2003−221770(JP,A)
【文献】 特開2011−065926(JP,A)
【文献】 特開2004−100102(JP,A)
【文献】 特開2006−236992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86 − 4/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物を、金属製加熱プレス機に連続的に供給して加熱・加圧処理を行い、連続的に巻き取ることにより多孔質電極基材前駆体シートを製造する方法であって、樹脂が金属製加熱プレス機のプレス面の中央部の温度に加熱した際にガスを発生する樹脂であり、シート状物の幅が300mm以上であり、金属製加熱プレス機のプレス面の中央部の最高温度が100〜400℃であり、シート状物の中央部が接する金属製加熱プレス機のプレス面部分の温度がシート状物の端部が接する金属製加熱プレス機のプレス面部分の温度より3〜20℃低く、金属製加熱プレス機の中央部と両端部とを別々に温度調節し、金属製加熱プレス機の加熱プレス面の幅をAmm、シート状物の幅をBmm、金属製加熱プレス機の加熱プレス面の中央部の幅をCmm、金属製加熱プレス機の加熱プレス面の各端部の幅をDmmとした場合、
D+C+D=A
C<B
0.05≦(B−C)/B≦0.3
である多孔質電極基材前駆体シートの製造方法。
【請求項2】
金属製加熱プレス機の加熱プレス面の幅をAmm、シート状物の幅をBmmとした場合、
0.4≦B/A≦0.9
である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
シート状物の幅が600mm以上である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
金属製加熱プレス機のプレス面の中央部の温度に加熱した際にガスを発生する樹脂がフェノール樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質電極基材前駆体シートの製造方法に関するものである。
本発明の多孔質電極基材前駆体シートの製造方法によれば、幅を広くしても幅方向の厚みバラツキが小さい多孔質電極基材前駆体シートを製造することができる。
【背景技術】
【0002】
多孔質電極基材前駆体シートは、例えば、炭素繊維紙を炭化樹脂で結着させてなる固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材の中間材料として用いられる。
【0003】
従来は、バッチ式の製造方法が主流であったが、連続的に加熱プレスと焼成を行うこと
により、生産性が高く低コストで固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材のような材料が
成型できるようになった。
多孔質電極基材前駆体シートの製造方法としては、連続した長尺の成形品は、適当な加熱手段で加熱された上下一対のプレス面の開閉を間欠的に行い、それに合わせて成形材料を間欠的に供給し、熱プレスが完了した成形品をまた間欠的に引き取る方式の連続成形法(間欠プレス)によって成形することが知られていた。この間欠プレス法は、プレス面に一定の面圧を長時間かけることが可能なため、厚さ均一性が高く、また、熱硬化性樹脂を含む成形品の成形に適するという特長を有しており、強化繊維で補強されたプラスチック系複合材料の成形方法として提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、補強繊維と熱硬化性樹脂を含むシートを、一対のベルトで挟んだ状態で、加熱装置およびスリットを有するダイスに連続的に引き込みながら加熱成型する方法が紹介されている。(特許文献2)加熱プレス時間が長いため厚み精度が高い多孔質電極基材前駆体シートが得られ、さらに予熱装置で加熱することでベルトの変形が緩やかになるため、シートの幅方向の厚みムラを低減させている。
【0005】
さらに、上記のような金属製熱プレス面ではなく、ダブルベルトプレスによる方法も熱硬化性樹脂を含む成形材料の連続成形法として提案されている(例えば、特許文献3参照)加熱プレス時間は短いため、生産性の面で優れているという特徴がある。
【0006】
以上のように多孔質電極基材前駆体シートの製造方法が知られているが、特にシート幅が広くなった場合、幅方向の中央部に加熱した際にガスを発生するガスが滞在するため、
中央部の厚みが薄くなりやすくなる。また、両端は、プレス装置の熱が伝わりにくく厚みが厚くなりやすくなるなど多孔質電極基材前駆体シートの厚み精度が悪くなるなどの問題点があった。
【0007】
一方、ロールを高温に加熱すると、ロール円筒度の異常変形(サーマルクラウン)、ロールの真円度・同軸度の誤差(ロールの回転振れ)などの熱歪みが発生し、厚さ誤差の要因になるため、品質向上を目的に幅方向にロールの温度を変える仕組みは広く利用されている。(例えば、特許文献4参照)しかし、鋼板やフィルムに限定され、炭素短繊維と加熱した際にガスを発生する樹脂を含有するシート状物に適用できる方法はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4661152号公報
【特許文献2】特許第4990073号公報
【特許文献3】特開2010−3564号公報
【特許文献4】特許第4192013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、厚み精度が高く、幅を広くしても幅方向の厚みバラツキが小さい多孔質電極基材前駆体シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、加熱プレス機のプレス温度により多孔質電極基材前駆体シートの幅方向の厚さバラツキを小さくできることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明の要旨は、以下の(1)〜()に存する。
(1) 炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物を、金属製加熱プレス機に連続的に供給して加熱・加圧処理を行い、連続的に巻き取ることにより多孔質電極基材前駆体シートを製造する方法であって、樹脂が金属製加熱プレス機のプレス面の中央部の温度に加熱した際にガスを発生する樹脂であり、シート状物の幅が300mm以上であり、金属製加熱プレス機のプレス面の中央部の最高温度が100〜400℃であり、シート状物の中央部が接する金属製加熱プレス機のプレス面部分の温度がシート状物の端部が接する金属製加熱プレス機のプレス面部分の温度より3〜20℃低く、金属製加熱プレス機の中央部と両端部とを別々に温度調節し、金属製加熱プレス機の加熱プレス面の幅をAmm、シート状物の幅をBmm、金属製加熱プレス機の加熱プレス面の中央部の幅をCmm、金属製加熱プレス機の加熱プレス面の各端部の幅をDmmとした場合、
D+C+D=A
C<B
0.05≦(B−C)/B≦0.3
である多孔質電極基材前駆体シートの製造方法。
【0011】
(2) 金属製加熱プレス機の加熱プレス面の幅をAmm、シート状物の幅をBmmとした場合、
0.4≦B/A≦0.9
である上記(1)に記載の製造方法。
【0012】
(3) シート状物の幅が600mm以上である上記(1)または(2)に記載の方法。
【0014】
(4) 金属製加熱プレス機のプレス面の中央部の温度に加熱した際にガスを発生する樹脂がフェノール樹脂である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
【0015】
(6) 幅が300mm以上で、炭素短繊維と樹脂由来の炭素を含有する多孔質電極基材前駆体シートであって、幅方向に10mm間隔で測定した厚みのバラツキが2.5μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかの製造方法で製造された多孔質電極基材前駆体シート。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、厚み精度が高く、幅を広くしても幅方向の厚みバラツキが小さい多孔質電極基材前駆体シートの製造方法を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明において加熱プレスに用いるダブルベルト装置の一例である。
図2】本発明において加熱プレスに用いる間欠プレス装置の一例である。
図3】本発明において加熱プレスに用いるダイス引き込み装置の一例である。
図4】本発明における加熱プレス装置の正面からみた断面図の一例である。
図5】本発明における加熱プレス装置のヒーターのパターンを示す例である。
図6】本発明における加熱プレス装置の温度測定位置を示す図である。
図7】実施例1および比較例1の幅方向厚みムラ比較データを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面と表を参照しながら、本発明を代表的な実施形態に基づき更に詳しく説明する。 本発明は、炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物を、加熱プレス機に連続的に供給して加熱・加圧処理を行い、連続的に巻き取ることにより多孔質電極基材前駆体シートを製造する方法であって、樹脂が加熱プレス機のプレス面の中央部の温度に加熱した際にガスを発生する樹脂であり、シート状物の幅が300mm以上であり、シート状物の中央部が接する加熱プレス機のプレス面部分の温度がシート状物の端部が接する加熱プレス機のプレス面部分の温度より3〜20℃高いことを必須とする。
【0019】
炭素短繊維とフェノール樹脂組成物とを含むシート2は、例えば、炭素短繊維を抄造した炭素繊維紙や炭素繊維フェルトに、樹脂組成物を含浸することにより得られる。
<シート状物>
本発明におけるシート状物は、少なくとも炭素短繊維と樹脂を含有することを必須とする。当該樹脂は、加熱プレス機のプレス面の中央部の温度に加熱した際にガスを発生する樹脂である。なお、本発明のシート状物は、繊維成分として、更に炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)を含有していてもよい。また、多孔質電極基材前駆体シートとしては、炭素繊維、ガラス繊維や有機繊維などの繊維材料や黒鉛粉末、カーボンブラックなどの粒状物質を含んでもよい。更に、本発明におけるシート状物は、3次元交絡構造合を有していいてもよい。
【0020】
本発明においては、シート状物の幅300mm以上であることを必須とする。シート状物の幅が狭すぎると生産性が低下する。好ましくは450mm以上、より好ましくは600mm以上である。シートの幅は広い方が生産性が高いが、広すぎると加熱した際に発生するガスの影響により外観異常を引き起こす場合があるので、通常は2000mm以下、好ましくは1500mm以下である。
【0021】
<炭素短繊維>
シート状物を構成する1つの繊維である炭素短繊維(以下炭素短繊維(A)という)は、交絡接合構造体中で厚み方向に交絡されることができる。炭素短繊維(A)としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下「PAN系炭素繊維」と言う。)、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維を適当な長さに切断したものが挙げられる。多孔質電極基材の機械的強度の観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
【0022】
炭素短繊維(A)の平均繊維長は、分散性の点から、2〜12mmであることが好ましく、より好ましくは3〜10mmである。炭素短繊維(A)の平均繊維径は、炭素短繊維の生産コスト及び分散性の面から、3〜9μmであることが好ましく、多孔質電極基材の平滑性の面から、4〜8μmであることがより好ましい。平均繊維長は、市販の繊維長測定機(例えば、野村商事(株)製、HiRes−FQA(商品名)等)により測定することができ、平均繊維径は、市販の繊維径測定機(例えば、ダイアストロン社製、FDAS765(商品名)等)により測定することができる。
【0023】
<<炭素繊維前駆体短繊維(b)>>
炭素繊維前駆体短繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものであることができる。また、この長繊維状の炭素繊維前駆体繊維は、後述するポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)から構成されることができる。
【0024】
炭素繊維前駆体短繊維(b)の平均繊維長は、分散性の点から、2〜20mmが好ましい。炭素繊維前駆体短繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体短繊維(b)の平均繊維径は、加熱加圧する工程5及び炭素化処理する工程3における収縮による破断を容易に抑制するため、5μm以下であることが好ましい。また、紡糸性の観点から、炭素繊維前駆体短繊維(b)の平均繊維径は、1μm以上であることが好ましい。
【0025】
炭素繊維前駆体短繊維(b)を構成するポリマーは、炭素化後にシート形態を維持する観点から、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えばアクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。
【0026】
炭素繊維前駆体短繊維(b)に用いるアクリル系ポリマーは、アクリロニトリルの単独重合体でもよく、アクリロニトリルとその他のモノマーとを共重合体でもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
【0027】
また、紡糸性と、低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化処理時の残存質量が大きい点と、更に上述した交絡処理を行う際の繊維弾性、繊維強度を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
【0028】
炭素繊維前駆体短繊維(b)に用いるアクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜100万が好ましい。重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
【0029】
<<3次元交絡構造>>
本発明において、炭素短繊維(A)が3次元交絡構造を形成しているか否かは、シート状の測定対象物(多孔質電極基材)の断面観察を行い、断面における炭素短繊維(A)とシート面との角度を測定することにより判定できる。なお、断面観察を行う断面は、シート状の測定対象物のシート面に対して垂直方向の断面である。
【0030】
<加熱プレス機のプレス面の中央部の温度に加熱した際にガスを発生する樹脂>
樹脂は、加熱プレス機のプレス面の中央部の温度に加熱した際にガスを発生する樹脂であることが必須である。ガスを発生する樹脂としてはフェノール樹脂(フェノールの代わりにクレゾール、キシレノール、アルキルフェノール等のフェノール類を用いた樹脂を含む)、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド等いずれでもよいが、コストおよび焼成後の残炭率の観点から、本発明においては、特にフェノール樹脂の成形時に有効である。
【0031】
<<シート状物の製造方法>>
本発明におけるシート状物は、どのような製造方法で製造してもよいが、例えば、加熱プレス機に連続的に供給して加熱・加圧処理を行い、連続的に巻き取る方法が好ましい。加熱プレス機としては、例えば、(i)一対のエンドレスベルトを備えた連続式加熱ダブルベルトプレス装置(以下、ダブルベルト装置とする)、(ii)間欠プレス装置、(iii)ダイス引き込み装置が好ましい。 前記(i)のダブルベルト装置としては、一例として、図1に示す装置が挙げられる。炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物2枚を離型材コーティング基材2の間に挟み、ベルトによりダブルベルト装置内に搬送される。押さえロール3により2枚のシート状物1を重ね合わせた後、熱風発生装置4内で熱風により、また予熱ロール5により予熱処理が行われる。予熱工程後、プレスロール6により、加熱プレスを行う。
【0032】
前記(ii)の間欠プレス装置は、例えば図2に示されるプレス機を用い、以下の(1)〜(3)の基本手順を繰り返して成形する。なお、加圧面が上下一対の熱板の場合は、上側熱板の下側面、下側熱板の上側面が加圧面である。
【0033】
(1)プレス機加圧面を開く。
【0034】
(2)成形材料をプレス機に送り、成形品を引き取る。
【0035】
(3)プレス機加圧面を閉じ、加熱プレスを行う。
【0036】
前記(iii)のダイス引き込み装置では、炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物を、該シートの両表面を一対のベルトで挟んだ状態で、ダイス13に連続的に引き込みながら加熱プレスする(図3参照)。
【0037】
<加熱プレス機>
加熱プレス機としては、<<シート状物の製造方法>>の欄で挙げたものを使用することができる。本発明においては、長手方向の品質バラツキ低減の観点から、ダブルベルト方式の兼ねるプレス機が好ましいが、特に限定されない。
【0038】
加熱プレス機のプレス部分は、中央部と両端部とを別々に温度調節できるものが好ましい。なお、ダブルベルト装置の場合は図1のプレスロール6、間欠プレス装置の場合は図2プレス機熱板12(金型10、ヒーター11を含むパーツをプレス機熱板12といい、金型10がプレス面に該当する)、ダイズ引き込み装置の場合は図3のダイス13がプレス部分に該当する。当該プレス部分の一例を図4に基づき説明する。プレス部分のプレス面の中央部にメインヒーター、両端にサブヒーターがプレス部分のプレス面の内部に設けられており、少なくとも3分割され、それぞれ独立して電流の調整を可能にすることにより、温度を変えることが可能となる。
【0039】
また、間欠プレス装置やダイス引き込み装置を使用する場合も同様で、プレス面の中央部にメインヒーター、両端にサブヒーターが配備され、独立して温度制御できる仕組みが好ましい。
【0040】
メインヒーターとサブヒーターの2種類が3分割されていることが最低限必要であるが、シート幅に応じて、メインヒーターとサブヒーターの領域が調整できるようヒーターが細分化されていることが好ましい。好ましくは、5分割、さらに好ましくは、7分割である。図5にヒーターが7分割された例を示す。このように7分割されていることで、メインヒーターにて加温される部分(中央部C)の幅が調節でき、様々なシート幅に対応することが可能となる。
【0041】
シート状物の中央部が接する加熱プレス機のプレス面部分の温度とは、メインヒーターが設けられている部分(図6の17)のプレス面の温度を示し、当該メインヒーターが設けられている部分のプレス面の中央部(図6の20)および両端部(図6の19,21)の温度を測定し、その平均値をその値とする。また、シート状物の端部が接する加熱プレス機のプレス面部分の温度とは、サブヒーターが設けられている部分(図6の18)のプレス面の温度を示し、当該サブヒーターが設けられている部分のプレス面の中央部(図6の23、26)および両端部(図6の22、24、25、27)の温度を測定し、その平均値をその値とする。なお、両端で温度が異なる場合は、左右の温度が同じになるよう設定温度を調整する。
【0042】
なお、(ii)においては、長手方向で温度が変化するが、中央部および端部のプレス面において最高温度となる部分の温度を測定する。(i)、(iii)は、長手方向で温度差がないため、どの部分を測定しても良い。
【0043】
<加熱プレス機に連続的にシート状物を供給して加熱・加圧処理>
炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物を、加熱プレス機に連続的に供給する方法は、特に限定されないが、例えば図1の1のようにシャフトにシート状物の巻物をかけて繰り出す等の公知の方法を用いることができる。張力をコントロールできるブレーキ機能を持った繰り出し機にて繰り出されることが好ましい。また、炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物の反りを低減するため、表裏対称に2枚重ねるのが好ましく、装置に炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物が貼り付くのを抑制するため、シートと装置の間に離型紙を挿入することが、好ましい。
【0044】
シート状物を巻き取る方法も特に限定されず、例えば図1の7のように巻き取り機にてシートを巻き取る方法等の公知の技術を用いることができる。品質を一定に保つという観点から、巻取り機に張力をコントロールできる機能があり、さらに速度コントロールできるものが好ましい。巻取り機の間にニップロールを設け、ニップロールにより引き取り速度を調節してもよい。
【0045】
<<加圧条件>>
原則、所望の電極基材の厚みになるように調整すれば良いが、電極基材の機械特性向上のために炭素繊維同士の結着を進める観点から、(i)のようにロールプレスの場合は、1MPa以上、50MPa以下でプレスすることが好ましい。さらに好ましくは、5MPa以上、20MPa以下である。また、(ii)や(iii)のように面でプレスする場合は、0.1MPa以上、10MPa以下でプレスすることが好ましい。さらに好ましくは、0.5MPa以上、5MPa以下である。プレス圧力が低すぎると、厚みのバラツキが大きくなり、プレス圧力が高すぎると、炭素繊維が破壊され、十分な強度が発現できない。
【0046】
<<供給速度>>
シート状物の加熱プレス機への供給速度は、生産性の観点から0.1m/min以上が好ましく、樹脂を十分に硬化させる処理時間が必要であるため、10m/min以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.2m/min以上5m/min以下、さらに好ましくは、0.5m/min以上3m/min以下である。また、速度が速いほど加熱温度短時間で硬化を終わらせる必要があるので、プレス温度を高く設定する必要がある。
【0047】
<<加熱条件>>
加熱プレス機のプレス面の中央部の最高温度が100〜400℃であることが好ましい。温度が低すぎると樹脂の硬化反応が十分に進行せず、高すぎると樹脂の劣化だけでなく装置の劣化も促進される。好ましくは130〜350℃、より好ましくは160〜300℃である。
【0048】
本発明においては、シート状物の中央部が接する加熱プレス機のプレス面部分の温度が、シート状物の端部が接する加熱プレス機のプレス面部分の温度より3〜20℃高いことを必須とする。温度差が小さすぎると、プレス面が凸に歪むため、その結果両端が厚くなってしまう。また、予熱不足のため、プレスしても樹脂が十分に軟化しない点も挙げられる。一方、温度差が大きすぎると、プレス面が凹に歪むため、両端が中央部より薄くなる。また予熱過剰のため、プレスにより樹脂の粘度が小さくなりすぎることも懸念される。好ましい範囲は4〜15℃で、より好ましい範囲は5〜10℃である。
【0049】
なお、中央部の両端に位置する「シート状物の端部が接する加熱プレス機のプレス面部分」の温度は、同じ温度となるようにコントロールすることが好ましい。
【0050】
<<プレス面の温度の測定方法>>
接触式温度計にてプレスロールまたはプレス面の温度を実測する。接触式温度計としては、例えばHFT−50(安立計器製)が挙げられる。
【0051】
<<プレス機の入口側と出口における温度差>>
上記(ii)は、プレス機の入口側と出口における温度差(プレス機の表面温度の差)をつけることは必須ではないが、樹脂がフェノール樹脂の場合、入り側と出側でプレス機の温度差をつける方が効果が大きいため、好ましい。入り口部で樹脂の軟化が開始され、徐々に反応が進行し、樹脂が硬化する。樹脂が硬化してから温度差をつけても反応は完了しているため、効果は低減する。また、(1)ガスの発生位置を前後に分散させる、(2)硬化を促進し完了させる、という点で、中央部・端部問わず、出側の温度が入側より高い方が、好ましい。
【0052】
この時、成形材料供給側のプレス機加圧面温度Tin(℃)と、プレス機加圧面内の最高温度Tmax(℃)がTmax−Tin≧20の関係を満たすことが好ましく、Tmax−Tin≧30がより好ましく、Tmax−Tin≧40がさらに好ましい。Tmax−Tin<20の場合、成形材料供給側の加圧面温度が高く、段差や光沢差を防止する効果が低い。温度差の上限はTmax−Tin<150が好ましい。必要以上の温度差をつけることは低温部で効果のない加圧をして加圧加熱時間や無駄にすることや、高温部での材料劣化やエネルギーロスにつながる。温度Tin(℃)は、100℃以上であることが好ましい。Tinが100℃以上であることによる水分の結露防止効果が大きいからである。Tinは180℃以下が好ましい。180℃を超える温度では成形材料の硬化が進行するなどして成形品の段差や光沢差が発生しやすく、さらに、水分の結露を防止するために必要以上の加熱は不要でエネルギーロスにつながる。
【0053】
入口と出口で温度差をつける方法としては、本発明の幅方向に独立のヒーターを設置する方法と同様、図2のように長手方向に独立のヒーターを配列することが、挙げられる。
【0054】
なお、上記(i)、(iii)においては、プレス面の長さが十分確保されないため、長手方向に温度分布をつけることは困難である。
【0055】
<加熱プレス機の加熱プレス面の幅と、シート状物の幅の関係>
加熱プレス機の加熱プレス面の幅をA、シート状物の幅をBとした場合、
0.4≦B/A≦0.9
であることが好ましい。
【0056】
B/Aが小さすぎると、プレス機の能力に対して、製造できるシートの生産量が少なくなるため、コスト面で問題がある。またB/Aが大きすぎると、サブヒーターでもコントロールできない両端が中央部よりも厚くなってしまう。この場合、さらにプレス圧力も中央部との誤差が大きくなり、シート状物が外気に接触しやすい場所にあるため大きな温度差が生じる。この結果、サブヒーターでも温度コントロールが困難である。好ましい範囲は、0.5≦B/A≦0.87であり、より好ましい範囲は、0.6≦B/A≦0.85である。
【0057】
<加熱プレス機の中央部と両端部とを別々に温度調節する際の、加熱プレス機の加熱プレス面の幅、シート状物の幅、中央部の幅、および各端部の幅の関係>
加熱プレス機の中央部と両端部とを別々に温度調節し、加熱プレス機の加熱プレス面の幅をA、シート状物の幅をB、加熱プレス機の加熱プレス面の中央部の幅をC、加熱プレス機の加熱プレス面の各端部の幅をDとした場合、
D+C+D=A
C<B
0.05≦(B−C)/B≦0.3
であることが好ましい。
【0058】
C≧Bであると、シート幅よりメインヒーターの幅が広くなるため、実質シート全面がメインヒーターにより加熱されることとなる、サブヒーターの導入効果が期待できない。
【0059】
ここで、(B−C)/Bは、シート幅を1とした場合、サブヒーターにより加熱されている部分の占める割合である。(B−C)/Bの値が小さすぎると、シートの外側の厚みが厚くなり、シートを均一の厚みにできない。また、(B−C)/Bの値が大きすぎると、シートの中央部の厚みが厚くなり、シートを均一の厚みにできない。より好ましい範囲は、0.05≦(B−C)/B≦0.30であり、更に好ましい範囲は、0.07≦(B−C)/B≦0.27である。
【0060】
なお、上記の「加熱プレス機の加熱プレス面の中央部」は、加熱プレス機のメインヒーターが設けられている部分(図4の17)を指し、上記の「加熱プレス機の加熱プレス面の各端部」は、加熱プレス機のサブヒーターが設けられている部分(図4の18)を指す。
【0061】
<多孔質前駆体シート>
本発明による多孔質電極基材前駆体シートの製造方法により、幅が300mm以上で、炭素短繊維と樹脂由来の炭素を含有する多孔質電極基材前駆体シートであって、幅方向に10mm間隔で測定した厚みのバラツキが3.0μm以下である多孔質電極基材前駆体シートが製造可能となる。好ましくは、2.8μm以下でより好ましくは、2.5μm以下である。 厚みは、幅方向の厚みのバラツキ標準偏差は、長尺シートの幅方向に1cm 間隔で30点以上の厚みデータを測定して算出する。厚みデータは、マイクロメーターを用いて多孔質電極基材前駆体シートの厚み方向に0.15MPaの面圧を付与して測定する。マイクロメーターの測定子の断面は、直径5mmの円形である。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。
【0063】
実施例・比較例の実施形態を表1に示した。
【0064】
<幅方向の厚さバラツキの測定>
幅方向に1cm間隔で、評価を実施。幅方向の厚みの標準偏差は、長尺シートの幅方向に1cm間隔で30点以上の厚みデータを測定して算出する。厚みデータは、マイクロメーターを用いて多孔質電極基材前駆体シートの厚み方向に0.15MPa の面圧を付与して測定する。マイクロメーターの測定子の断面は、直径5mmの円形である。
【0065】
<プレス面部分の温度測定方法>
接触式温度計にてプレスロールまたはプレス面の温度を実測する。接触式温度計としては、HFT−50(安立計器製)を使用した。
【0066】
(実施例1)
平均繊維長3mmにカットしたポリアクリロニトリル系炭素繊維(商品名:「パイロフ
ィル TR50S」、三菱レイヨン株式会社製(平均単繊維径:7μm))、ポリビニル
アルコール(PVA)短繊維(商品名:「VBP105−1」、クラレ株式会社製(繊維
長3mm))、さらにポリエチレンパルプ(商品名:「SWP」、三井化学株式会社製)
を用意した。前記ポリアクリロニトリル系炭素繊維を湿式短網連続抄紙装置のスラリータ
ンクで水中に均一に分散解繊し、十分に分散したところに前記PVA短繊維及びポリエチ
レンパルプを表1の組成になるように均一に分散し、送り出した。
【0067】
送り出されたウェブを短網板に通し、ドライヤー乾燥後、坪量25g/m、650mm幅のロール形態の炭素繊維紙を得た。
【0068】
次に、炭素繊維紙をフェノール樹脂(商品名:「フェノライトJ−325」、DIC(株)社製)のメタノール溶液(フェノール樹脂:40質量%)に浸漬し、炭素繊維紙100重量部に対し84重量部付着させた。
【0069】
前記フェノール樹脂を付着させた樹脂含浸紙を、図1に示したとおり、連続的に供給し、ベルト幅が1000mmのダブルベルトプレス装置を用いて加熱プレスを行ったのち、連続的に巻き取る。巻き取り速度は、1m/minであった。加熱プレス前の予熱条件として、熱風発生装置4における熱風温度が150℃、予熱ロール5の温度が230℃で行った。また、プレスロール6による加熱プレスの条件として、プレスロール6のメインヒーター幅Cを600mm、サブヒーター有効幅を50mmとし、中央部の温度Tc=260℃、端部の温度Te=263℃となるように調整し、線圧が8×10N/mで行った。プレスロール6通過後の引き取り張力は、巻取り機により調節し、その張力は21MPaで行った。得られた多孔質電極基材前駆体シート7の幅方向の厚さバラツキを測定した結果、標準偏差σ=2.5μmであった。
【0070】
(実施例2)
サブヒーターの温度を調整し、端部の温度Te=270℃とした以外は、実施例1と同様に多孔質電極基材前駆体シートを作製した。
【0071】
(実施例3)
サブヒーターの温度を調整し、端部の温度Te=280℃とした以外は、実施例1と同様に多孔質電極基材前駆体シートを作製した。
【0072】
(実施例4)
シート幅を900mmとした以外は、実施例1と同様に多孔質電極基材前駆体シートを作製した。
【0073】
(実施例5)
サブヒーターの温度を調整し、端部の温度Te=270℃とした以外は、実施例4と同様に多孔質電極基材前駆体シートを作製した。
【0074】
(実施例6)
サブヒーターの温度を調整し、端部の温度Te=280℃とした以外は、実施例4と同様に多孔質電極基材前駆体シートを作製した。
【0075】
(実施例7)間欠プレス
図2は、実施例7で用いた間欠プレス装置の概略断面図である。
【0076】
先ず、成形準備として、上下の熱板1に金型10を設けた。上側金型の下面および下側金型の上面が加圧面であり、幅1000mmである。金型10は熱板12から成形材料供給側に突出することにより、成形材料供給側のプレス機加圧面温度が低くなっている。成形材料進行方向の熱板長さは1200mm、金型長さは1500mmであり、金型は成形材料供給側に300mm突出している。下側金型は熱板から飛び出した部分が成形材料供給側に向かって300mm進む間に0.4mm薄くなっている。上側金型は均一な厚さであるので、プレス機の上下加圧面の間隔は成形材料供給側から成形品引取側に向かって狭まる構造を成している。
【0077】
かかる成形装置を用い、成形条件を以下の通りとした。
【0078】
炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物シート状物1を駆動機構8によって供給する。成形材料は炭素短繊維を抄紙しポリビニルアルコール(以下PVAと略す)で結着した炭素繊維紙(30g/m2、PVA付着率20wt%)にフェノール樹脂を含浸した材料(フェノール樹脂付着率50wt%)を2枚使用し、離型紙2で挟んで供給した。そして、成形品7は引き取り機構9によって引き取られる。上記金型8の表面温度とプレス圧条件は、加圧面の中央部の温度Tc=170℃、加圧面の端部の温度Te=175℃、予熱温度Tin=70℃、成形圧0.75MPaとした。この製造装置を用いて以下の(1)〜(3)の工程を繰り返して行い、間欠成形を行う。
(1)プレス機の加圧面を開く。
(2)成形材料をプレス機に送り、成形品を引き取る(間欠送り長さ100mm、所要時
間約5秒)。
(3)プレス機加圧面を閉じ、加熱加圧を行う(所要時間約25秒)。
【0079】
以上の間欠プレス装置とその成形条件で、多孔質電極基材前駆体シートを成形した。
成形品の幅は650mmである。得られた多孔質電極基材前駆体シートの幅方向の厚さバラツキを測定した結果、標準偏差σ=2.5μmであった。
【0080】
(実施例8)ダイス引き込み
炭素繊維とフェノール樹脂組成物とを含むシート2を、長さ100m 、幅650mm にトリミングして、一対のベルト15としての両表面をPTFE によりフッ素コーティングした一対のステンレスベルト14で挟んだ状態で、加圧面の中央部の温度Tc=230℃、加圧面の端部の温度Te=235℃ の温度に加熱したダイス4 に0.6m/minの速度で連続的に引き込みながら加熱し、フェノール樹脂を硬化することにより、長さ100m 、幅650mmの多孔質電極基材前駆体シート7 を得た。なお、ダイス13として、ステンレス製の金属ブロックで、PTFE製のスペーサーを挟んだものを用いた。
【0081】
使用したエンドレスベルト15の厚みは200μm 、幅は1000mm 、長さは10mであり、該ステンレスベルトにコーティングしたフッ素樹脂の層は20μmである。また、ダイス4 の幅は1100mm であり、長さは180mmである。
【0082】
得られた多孔質電極基材前駆体シート1の評価結果を表2に示す。長手方向だけで
なく、幅方向にも厚み精度が高くしかも外観不良がない状態であった。幅方向の厚さバラツキを測定した結果、標準偏差σ=2.5μmであった。
【0083】
(比較例1)
サブヒーターの温度をメインヒーターと同じ温度に設定した以外は、すべて実施例1と同じ条件にて多孔質電極基材前駆体シートを作製した。
【0084】
実施例1との幅方向の厚さ分布を図7にて比較する。比較例1では多孔質電極基材前駆体シートの両端が中央部と比較して厚くなるため、厚みバラツキが大きくなる。
【0085】
(比較例2)
サブヒーターの温度を調整し、端部の温度Te=290℃とした以外は、実施例1と同様に多孔質電極基材前駆体シートを作製した。中央部と端部の温度差が大きい場合は、端部の厚さが薄くなりすぎるため、実施例1と比較して厚みバラツキが大きくなる。
【0086】
(比較例3)
シート幅を900mmとした以外は、比較例2と同様に多孔質電極基材前駆体シートを作製した。シート幅を広くすると中央部と端部の厚み差が大きくなるため、厚さバラツキ(標準偏差)も大きくなった。
【0087】
(比較例4)
シート幅を280mmとした以外は、比較例1と同様に多孔質電極基材前駆体シートを作製した。シート幅を狭くすると中央部と端部の厚み差がおおきくなるため、厚さバラツキ(標準偏差)は、小さくなるが、両端は中央部より厚くなった。また、多孔質電極基材前駆体シートの生産性の観点からも好ましい方法とは言えない。
【0088】
(比較例5)
シート幅を950mmとした以外は、比較例2と同様に多孔質電極基材前駆体シートを作製した。シート幅を広くすると中央部と端部の厚み差がさらに大きくなるため、厚さバラツキ(標準偏差)も大きくなった。
【0089】
(比較例6)
加圧面の端部の温度Teを加圧面の中央部の温度Tcと同じ温度(170℃)に設定した以外は、すべて実施例7と同じ条件にて多孔質電極基材前駆体シートを作製した。
【0090】
(比較例7)
加圧面の端部の温度Teを加圧面の中央部の温度Tcと同じ温度(230℃)に設定した以外は、すべて実施例8と同じ条件にて多孔質電極基材前駆体シートを作製した。
【0091】
【表1】
【符号の説明】
【0092】
1 :炭素短繊維と樹脂を含有するシート状物
2 :離型剤コーティング基材
3 :押さえロール
4 :熱風発生装置
5 :予熱ロール
6 :プレスロール
7 :多孔質電極基材前駆体シート
8 :成形材料をプレス機に送る機構
9 :成形品を引き取る機構
10:金型
11:ヒーター
12:プレス機熱板
13:ダイス
14:フッ素コーティングした一対のエンドレスベルト
15:エンドレスベルト
16:駆動部
17:メインヒーター
18:サブヒーター
19〜21:プレス機(中央部)の温度測定位置
22〜27:プレス機(端部)の温度測定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7