(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有底筒状のケーシングと該ケーシング内を仕切る仕切部とを備えたピッチャー本体と、該ピッチャー本体の開口した上端部を液密に塞ぐピッチャー蓋体と、前記仕切部に開口された装着部に、着脱自在に取り付けられた浄水カートリッジとを備えた、ピッチャー型浄水器であって、
前記ケーシングの底部が四角形であり、
前記ケーシングの底部の四辺のうち1つの短辺に、側方に突出した2つの足部が形成されたピッチャー型浄水器。
【背景技術】
【0002】
水道水などの被処理水を浄化するとともに、得られた浄水を貯水するピッチャー型浄水器が知られている。このようなピッチャー型浄水器としては、ピッチャー本体と、ピッチャー本体の上端開口部を塞ぐピッチャー蓋体と、ピッチャー本体内に着脱自在に取り付けられた浄水カートリッジとを備えた形態のものが知られている(特許文献1,2参照。)。
浄水貯留部には浄水出口(浄水注ぎ口)が形成され、ここから浄水を注げるようになっている。
【0003】
ピッチャー本体はケーシングを備え、ケーシング内は仕切部により、被処理水が供給される原水貯留部と、処理後の浄水を貯水する浄水貯留部とに仕切られている。仕切部には装着孔が開口され、この装着孔に浄水カートリッジが着脱自在に装着されることによって、原水貯留部に供給された被処理水が浄水カートリッジで処理され、得られた浄水が浄水貯留部に貯水されるようになっている。
【0004】
このようなピッチャー型浄水器のケーシングは、例えばAS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)などの透明樹脂を射出成形する方法などにより、容器状に一体成形されている。
【0005】
さらに、このようなピッチャー型浄水器においては、浄水カートリッジの交換時期をピッチャー蓋体に表示できるようにしたものがある。具体的には、ピッチャー蓋体の蓋本体の上に、1〜12月を示す1、2、・・・、12の数字を環状配置し、その上に、回動可能なダイヤル盤を被せた形態のものがある。ダイヤル盤には窓部が形成され、ダイヤル盤を使用者が適宜回動させることにより、例えば「4、5、6」の数字を窓部より表示する。ここで「4、5、6」は、「4月、5月、6月」の3ヶ月を意味し、この浄水カートリッジの装着時期は4月であり、寿命の点からみると、6月に交換されることが好適であることを示すものである。
【0006】
このような従来のダイヤル盤は、裏面中央に爪部を有し、この爪部を蓋本体に開口された取付け孔に嵌入することにより取り付けられている。そのため、蓋本体の裏側から、爪部を押し上げることにより、ダイヤル盤を容易に外すことができる。ダイヤル盤は、例えば汚れが付着した際などに、このように外されて、洗浄される。
【0007】
一方、最近では、液密にピッチャー本体を閉塞できるピッチャー蓋体を備え、そのため、冷蔵庫内などで横置きできる横置き対応型のピッチャー型浄水器が開発されている。
【0008】
浄水カートリッジとしては、例えば
図15A、
図15Bおよび
図16に示すように、浄水材4113が収容され、底部に浄水を吐出する吐出口4114が形成され、上端が開口した筒状のハウジング本体4110と、ハウジング本体4110の上端を塞ぐハウジング蓋体4120とを備えたものがある。この例のハウジング蓋体4120は、下端が開口した筒状であり、その周壁に、浄水カートリッジ4100内に被処理水を取り込むための上下2列の取水口4121a、4121bが形成されている。浄水材4113としては、中空糸膜モジュール4112と、この中空糸膜モジュール4112の上流側に充填された活性炭などの吸着材4111とが収容されている。
【0009】
このような浄水カートリッジ4100を製造する場合には、まず、ハウジング本体4110内に中空糸膜モジュール4112を収容して固定する。ついで、ハウジング本体4110の上端から吸着材4111を投入して、充填する。吸着材4111をハウジング本体4110に充填した後、ハウジング本体4110の上端にハウジング蓋体4120を被せ、ハウジング蓋体4120に形成されたフランジ部4122に超音波発信器を当てて超音波を照射して、ハウジング本体4110とハウジング蓋体4120とを超音波溶着する。なお、中空糸膜モジュールを固定した後、図示略の仕切板を配置してから、吸着材を投入してもよい。
【0010】
浄水カートリッジ4100内において、取水口4121a、4121bが形成されたハウジング蓋体4120の内側の空間は、空気溜まり部4123となる。ハウジング蓋体4120の内側にこのような空気溜まり部4123が形成されるとともに、ハウジング蓋体4120の頂部に内外を連通する空気排出孔4124が形成されることにより、被処理水は、より円滑に、取水口4121a、4121bから浄水カートリッジ4100内に取水される。
【0011】
このような形態の浄水カートリッジ4100においては、浄水カートリッジ4100内のデッドスペースを低減して、できるだけ多量の吸着材4111を充填できることが求められる。ただし、吸着材4111を多量に充填しすぎると、上述の空気溜まり部4123が形成されなくなるため、例えば、上側の取水口4121aと下側の取水口4121bの間あたりの高さまで、吸着材4111を充填できることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1および
図2は、本発明のピッチャー型浄水器10の一例を示す図面であり、縦置きした場合の斜視図および縦断面図である。
このピッチャー型浄水器10は、水道水などの被処理水を浄化するとともに、得られた浄水を貯水するものであり、ピッチャー本体20と、ピッチャー本体20の開口した上端部37を塞ぐピッチャー蓋体50と、ピッチャー本体20内に着脱自在に取り付けられた浄水カートリッジ60とを備えている。この例のピッチャー蓋体50は、ピッチャー本体20の上端部37を液密に閉塞できるものである。そのため、
図3に示すように、被処理水の浄化後には、このピッチャー型浄水器10を冷蔵庫内などに横置きすることができる。
【0029】
図4A、
図4Bは、
図1のピッチャー型浄水器10のピッチャー本体20について、その上部を示す部分斜視図、
図5は、
図1のピッチャー型浄水器10の上部を示す部分縦断面図である。
【0030】
なお、本明細書において、「上」、「下」とは、ピッチャー型浄水器10を縦置きした場合を基準にしている。
【0031】
[ピッチャー本体]
ピッチャー本体20は、ケーシング30と、ケーシング30内を仕切る仕切部40とを備え、この仕切部40により、ケーシング30内は、被処理水が供給される原水貯留部31と、処理後の浄水を貯水する浄水貯留部32とに仕切られている。また、仕切部40には筒状の装着部42が開口され、この装着部42に浄水カートリッジ60が着脱自在に装着されることにより、原水貯留部31に供給された被処理水が浄水カートリッジ60で処理され、得られた浄水が浄水貯留部32に貯水されるようになっている。
【0032】
ケーシング30は、一端が開口し他端が閉塞した有底筒状であり、閉塞した側の端部(下端部)は、このピッチャー型浄水器10を縦置きした際に底部36となる部分である。
一方、開口した側の端部(上端部)37からは、水道水などの被処理水を原水貯留部31に供給できるとともに、浄水貯留部32に貯水された浄水を注ぎ出せるようになっている。
【0033】
具体的には、この例の仕切部40は、太径部41とその下方に連続形成された細径の装着部42とを備えた円筒体からなり、
図4Bや
図5に示すように、太径部41の上部外周に周方向に沿って形成された係止爪部43が、ケーシング30の上端部37の内周に周方向に沿って形成された係止受け部33に係止することにより、ケーシング30内に着脱自在に取り付けられている。これにより、取り付けられた仕切部40の内側が原水貯留部31となり、外側が浄水貯留部32となる。
【0034】
また、
図4Bに示すように、係止受け部33と係止爪部43とは、互いに対応する箇所に、切り欠き部を有し、この切り欠き部で形成される連通口70により、ケーシング30の上端部37と浄水貯留部32とが連通している。そして、連通口70に対応する位置において、ケーシング30の上端部37が外方に膨出し、浄水を注ぐための浄水出口34となっている。
なお、この例のピッチャー型浄水器10では、このような連通口70が2箇所形成されているが、
図4Bでは1箇所を示している。また、浄水出口34は、2箇所の連通口70のうち、1箇所に対応する部分に1つ形成されている。
【0035】
なお、
図1、2、3、5では、ケーシング蓋体50をケーシング30に締めた状態を図示している。この場合には、
図2に示すように、ケーシング蓋体50のネジ部53とOリング54からなるシール材とにより、連通口70と浄水出口34とがシールされ、浄水を注げないようになっている。一方、仕切部40の上端部の外周にも、Oリング44からなるシール材が装着され、ピッチャー蓋体50を締めた状態では、原水貯留部31と浄水貯留部32、および、原水貯留部31と外部とが、液密に閉塞されるようになっている。
【0036】
また、この例のケーシング30は、
図6に示すように、周壁部35と底部36とが別体で形成されている。底部36の上面の周縁部には溝36bが形成され、この溝36bに周壁部35の下端が嵌入された状態で、この部分に超音波発信器により超音波が照射されて、周壁部35と底部36とは一体化されている。また、この例では、
図1および
図2に示すように、周壁部35は、上端部37と、上端部37よりも下方の上端部以外の部分38とが別体で形成され、これらが超音波溶着により溶着されて、一体化されている。周壁部35において上端部37以外の部分38は、透明なAS樹脂の射出成形により形成されている。このような樹脂としては、特に限られるわけではないが、溶出しない樹脂が好ましい。
一方、上端部37と底部36とは、AS樹脂よりも耐衝撃性に優れるABS樹脂の射出成形により形成されている。このような耐衝撃性に優れる樹脂としては、アイゾット衝撃強度が50〜1200(J/m)であることが好ましく、60〜700(J/m)であることがより好ましい。この耐衝撃性に優れる樹脂としては、アイゾット衝撃強度が、前記値の範囲であれば、特に限定されないが、例えば、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、これらのうち、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン樹脂が好ましい。上端部37および底部36に用いられる樹脂としては、耐衝撃性の点から、ABS樹脂が好ましく、さらに、部分38に用いられる樹脂としては、透明性およびABS樹脂との溶着性が良好であることから、AS樹脂が好ましい。
なお、これら耐衝撃性に優れる樹脂は、通常、ASTM試験法D256によって、その衝撃強さを測定することができる。
【0037】
また、このケーシング30の上端部37は横断面円形であり、上端部37の内周には、上述した係止受け部33が形成されるとともに、ケーシング蓋体50と螺合するネジ部39が、係止受け部33よりも上方に形成されている。一方、ケーシング30の底部36は、四角形(長方形)に形成されている。そのため、ケーシング30の横断面は、上方から下方に向けて、円形から四角形へと連続的に変形した形状に形成されている。また、周壁部35の高さ方向の中央よりもやや上部には、縮径したネック部35aが形成され、ケーシング30の意匠性が優れるとともに、このネック部35a近傍を把持することにより、使用者は、ピッチャー型浄水器10を持ち運んだり、浄水を注ぐためにピッチャー型浄水器10を傾けたりしやすいようになっている。
【0038】
また、ケーシング30の底部36の四辺のうち1つの短辺には、側方に突出した2つの足部36a、36aが形成され、また、上端部37にも、側方に突出した1つの足部37aが形成されている。これらの足部36a、37aを下方に向けることにより、
図3に示すようにピッチャー型浄水器10を冷蔵庫内などで安定に横置きすることができる。
【0039】
[ピッチャー蓋体]
図7は、ピッチャー蓋体50の斜視図である。
この例のピッチャー蓋体50は、円板状の蓋部55と、ピッチャー本体20のネジ部39に螺合するネジ部53を備えた蓋本体51とを有し、この蓋本体51が、ピッチャー本体20の開口した上端部37を液密に閉塞する作用を担っている。具体的には、蓋本体51を締めることにより、ネジ部53の下端外周に装着されたOリング54からなるシール材と、上述した仕切部40の上端外周に装着されたOリング44からなるシール材との作用により、上端部37が液密に閉塞される。
【0040】
また、このピッチャー蓋体50は、蓋本体51の上面に着脱自在に取り付けられ、
図7中矢印方向に回動自在な円板状のダイヤル盤52を有している。
図8は、ピッチャー蓋体50から、ダイヤル盤52を取り外した状態を示す部分拡大斜視図である。
【0041】
具体的には、蓋本体51の上面には、横断面が蓋本体51と同心円状の円形である、第1凹部56と第2凹部57とが形成されている。
第1凹部56の横断面は、ダイヤル盤52と同径の円形に形成され、ダイヤル盤52が、第1凹部56に嵌め込まれるようになっている。
第2凹部57は、第1凹部56内に形成され、その底部の中心には、環状に立設された4本の係合爪58aからなる爪部58が形成されている。また、ダイヤル盤52の裏面の中央には、
図9に示すように、筒状の突起52cが突設されている。この例の突起52cは、横断面U字状であり、周壁面の一部が開口した筒状になっている。これにより、
図7に示すようにダイヤル盤52が第1凹部56に嵌め込まれている際には、爪部58が突起52c内に嵌入し、ダイヤル盤52が蓋本体51に回動自在に取り付けられて、装着される。
【0042】
なお、ダイヤル盤52は、使用者がその表面に形成された指置き凹部52bに指を配置して、ダイヤル盤52を回すことにより、回動する。
【0043】
そして、この例の蓋本体51の第1凹部56の上面には、
図8に示すように、1〜12月までの各月を示す1〜12までの数字からなる複数の表示80が、爪部58中心として環状配置されている。一方、ダイヤル盤52には、その表面から裏面に貫通する窓部52aが開口されている。これにより、使用者がダイヤル盤52を適宜回動させることにより、複数の表示80のうちの一部を窓部52aから選択的に表示できるようになっている。
【0044】
この例では、
図10Aに示すように、窓部52aからは、3つの数字を選択的に表示できるようになっており、図示例では「1、2、3」を表示している。これら3つの数字「1、2、3」は、「1月、2月、3月」の3ヶ月を意味し、この例のピッチャー型浄水器10に装着された浄水カートリッジ60の使用可能月である。通常使用時には、使い始めの翌月から約3ケ月間を表示する。すなわち、この例では、浄水カートリッジ60は、12月に取り付けられたものであり、寿命の点からみると、3月に交換されることが好適であることが表示されている。
このように、このピッチャー型浄水器10においては、ダイヤル盤52の窓部52aから、浄水カートリッジを装着した時期(装着時期)の翌月と交換することが望ましい時期(交換時期)とが表示可能になっている。
【0045】
また、蓋本体51の第1凹部56の上面において、環状配置された複数の表示80と同じ円周上には、窪み部81が1箇所形成されている。そのため、使用者がダイヤル盤52を適宜回動させることにより、
図10Bに示すように、窓部52aと窪み部81とを一致させることもできるようになっている。
【0046】
窓部52aと窪み部81とを一致させた場合、これらを一致させない場合に比べて、窓部52aに使用者の指先が入りやすい状態になる。そのため、窓部52aと窪み部81とを一致させることにより、使用者はその人差し指の指先を窓部52aに差し込み、窓部52aの周縁に人指し指を引掛け、窓部52aを起点として、ダイヤル盤52を上方に引き上げやすい状態になる。
一方、ダイヤル盤52の裏面に設けられた突起52cは、上述のように横断面U字状であり、円筒体の周壁部の一部が開口した形状を有している。そして、開口した開口部52c’は、ダイヤル盤52において、窓部52aが形成された側とは反対側に開口する向きに、設けられている。
【0047】
よって、
図11に示すように、使用者が窓部52aから人差し指を差し込み、ダイヤル盤52を上方に引き上げた場合には、ダイヤル盤52の裏面の突起52cと蓋本体51の爪部58との嵌合が開口部52c’の存在により解除され、ダイヤル盤52を蓋本体51から容易に取り外すことができる。
このように窓部52aと窪み部81とを一致させることにより、使用者は容易に、ダイヤル盤52を蓋本体51から取り外すことができ、ダイヤル盤52が汚れた場合などには、これを取り外して洗浄することができる。
【0048】
また、この例のピッチャー蓋体50では、ピッチャー本体20の上端部37を液密に閉塞する蓋本体51に立設された爪部58に、ダイヤル盤52の突起52cを嵌合させることで、蓋本体51から着脱自在としている。そのため、ダイヤル盤52を蓋本体51から取り外しても、ピッチャー蓋体50の液密性には何ら影響はない。
【0049】
また、第2凹部57の内周面には、縦方向の溝59が全周に亘って複数形成されているとともに、ダイヤル盤52の裏面には、この溝59の1つに係合可能な突起52dが突設されている。また、各溝59は、各表示80に対応するように設けられている。これにより、使用者がダイヤル盤52を回動させ、窓部52aから表示される数字を1月分ずつずらすごとに、突起52dが各溝59間の凸部を乗り越えることによるクリック感が付与されるようになっている。
【0050】
[浄水カートリッジ]
図2に示すように、この例のピッチャー型浄水器10が具備する浄水カートリッジ60は、被処理水を処理する浄水材61と、浄水材61が収容された有底筒状のハウジング本体65と、ハウジング本体65に被せられ一体化された板状のハウジング蓋体66とを有している。
【0051】
この例の浄水材61は、中空糸膜モジュールを備える膜濾過浄水部62と、膜濾過浄水部62の上流側に配置された活性炭などからなる吸着浄水部63とを有して構成されている。
また、ハウジング本体65の周壁の上部には、原水貯留部31の被処理水を浄水カートリッジ60内に取水するための上下2列の取水口64が形成されている。
ハウジング本体65の底部の中央には、吐出口67が形成され、取水口64から取り入れられ、浄水材61で処理された浄水がここから吐出される。
吐水された浄水は、浄水貯留部32に貯水される。
【0052】
[ピッチャー型浄水器]
この例のピッチャー型浄水器10により、被処理水を浄化し、得られた浄水を貯水する場合には、まず、ピッチャー蓋体50を弛めてピッチャー本体20から取り外し、ピッチャー本体20の開口した上端部37から、水道水などの被処理水を原水貯留部31に供給する。
原水貯留部31内の被処理水は、浄水カートリッジ60の各取水口64から浄水カートリッジ60内に取水され、浄水材61で処理される。そして、吐出口67から浄水が吐出され、浄水貯留部32に貯水される。
【0053】
このように被処理水を処理している間に、ピッチャー蓋体50を締めて、ピッチャー本体20の上端部37を閉塞してしまうと、原水貯留部31に空気が取り込まれなくなり、浄水材61による被処理水の処理も進行しなくなる。よって、被処理水の処理中には、ピッチャー蓋体50を弛めて、空気が入るようにしておく。
【0054】
原水貯留部31内の被処理水がすべて浄水カートリッジ60で処理され、浄水貯留部32に貯留された後には、ピッチャー蓋体50を締めることにより、仕切部40の上端に装着されたOリング44と、ピッチャー蓋体50に装着されたOリング54との作用もあいまって、ピッチャー本体20の上端部37を液密に閉塞することができる。
このピッチャー型浄水器10は、このように上端部37を液密に閉塞可能であるため、
図3のように冷蔵庫内などで横置きすることができる。足部36a、37aを下方にして横置きした場合には、浄水出口34が上方に位置する。
【0055】
ピッチャー型浄水器10から、浄水をコップなどに注ぐ際には、ピッチャー蓋体50を緩めて、その三角形のマーキングMを浄水出口34に一致させた後、ピッチャー型浄水器10のネック部35aを把持してピッチャー型浄水器10を傾け、浄水出口34から浄水を注ぎ出せばよい。マーキング部Mに対応する部分のネジ部53には、ネジ山が設けられておらず、マーキング部Mを浄水出口34に一致させることにより、浄水をスムーズに注ぎ出すことができる。
【0056】
また、例えば、浄水カートリッジ60を新たなものに交換した際には、使用者はピッチャー蓋体50のダイヤル盤52を回して、窓部52aから「交換時(装着時期)の翌月、その次の月、さらにその次の月」を示すようにして、浄水カートリッジ60の装着時期と、次の交換時期とを認識できるようにする。これにより浄水カートリッジ60を適切な時期に交換することができる。また、ピッチャー型浄水器10の使用に伴って、ダイヤル盤52の周囲が汚れた場合などには、
図11に示すようにして、ダイヤル盤52を外して、洗浄する。
【0057】
このようなピッチャー型浄水器10においては、そのケーシング30の底部36と周壁部35とが別体で形成されているため、底部36を周壁部35とを異なる材料で構成することができる。特に、この例のように、周壁部35には、透明性を重視してAS樹脂を用い、一方、底部36には、耐衝撃性の観点からABS樹脂を用いることにより、冷蔵庫への出し入れなどにともなって、ドアポケットなどにぶつかりやすい底部36の耐久性を向上させることができる。
【0058】
また、ケーシング30の底部36と周壁部35とを別体とすることにより、ケーシングの形状の自由度を上げることもできる。
例えば、仮に、底部と周壁部とが一体成形されるケーシングを射出成形で成形しようとすると、金型を開口した上端部から脱型する必要があるため、底部よりも上端部が狭い形状のケーシングや、
図1の例のようにネック部35aを有するケーシング30などを成形することは困難である。
これに対して、ケーシング30の底部36が別体であると、上下両端が開口した形状の周壁部を形成すればよいため、射出成形にあたって2つの金型を用い、一方の金型を上端部から脱型し、他方の金型を下端部から脱型することなどが可能となる。そのため、底部と周壁部とが一体成形される形態のケーシングでは困難であった、底部よりも上端部が狭い形状のケーシングや、
図1の例のようにネック部35aを有するケーシング30なども容易に成形でき、ケーシングの形状の自由度が向上する。
【0059】
さらにこの例のように、上端部37も上端部以外の38とは別体とされていると、上端部37についても、取扱時の耐久性を高めたり、ネジ部39の破損を防いだりする目的で、耐衝撃性を重視した材質とすることができる。
なお、この例では、底部36や上端部37の形成に好適な耐衝撃性を有する材質としてABS樹脂を例示しているが、耐衝撃性を有するものであればABS樹脂に限らない。また、周壁部35の形成に好適な材料としては、AS樹脂を例示しているが、透明性を備えるものであれば、AS樹脂に限らない。
【0060】
また、このようなピッチャー型浄水器10のケーシング30は、上端部37は横断面が円形であり、底部36は、四角形(長方形)に形成されている。そのため、ピッチャー蓋体50の操作性を維持しつつ、ケーシング30の容量を大きくしたり、冷蔵庫のドアポケットに収納したりしやすいようにできる。
【0061】
すなわち、この例のピッチャー型浄水器10では、ピッチャー蓋体50がネジ式であるため、ピッチャー蓋体50およびケーシング30の上端部37の横断面は、円形である必要がある。また、これらは、使用者がピッチャー蓋体50を把持して、締めたり弛めたりしやすい大きさである必要がある。さらに、ピッチャー型浄水器10は、冷蔵庫のドアポケットなどに、コンパクトに収まるサイズであることが求められる一方で、容量の向上も要求される。
このような場合においては、ケーシング30の底部36を四角形にして、ドアポケットに収納できる範囲内で、その底部36を大きくすることにより、ピッチャー蓋体50の操作性には何ら影響を与えずに、冷蔵庫のドアポケットなどへの収納性や容量を向上させることができる。
なお、ここでの四角形には、4つの角のうちの少なくとも1つが丸みを帯び、曲率(R)を有する四角形も含まれる。
【0062】
さらに、このようなピッチャー型浄水器10は、ピッチャー蓋体50の蓋本体51の上面に、複数の表示80が環状配置されているとともに、これら複数の表示80の上には、複数の表示80のうちの一部を窓部52aから選択的に表示する回動自在なダイヤル盤52を備えている。また、この例では、浄水カートリッジ60の装着の翌月と交換時期とが窓部52aから表示されるようになっている。
そのため、使用者は浄水カートリッジ60の装着時期と交換時期を認識して、適切な時期に浄水カートリッジ60を交換することができる。
【0063】
なお、この例では、装着している浄水カートリッジ60の寿命に応じて、「交換時(装着時期)の翌月、その次の月、さらにその次の月(交換時期)」の3ケ月を示す形態を例示している。しかしながら、浄水カートリッジの寿命に応じて、窓部52aから表示される月数を適宜変更することができる。
また、この例では、装着の翌月と交換時期とが表示されるようにしているが、窓部からはどちらか一方の時期だけが示されるようにしてもよい。
さらには、浄水カートリッジの装着の翌月や交換時期以外が表示されるようにしてもよく、表示の種類に制限はない。
【0064】
また、この例のダイヤル盤52は、着脱自在に嵌合されていて、容易に取り外すことができる。よって、ピッチャー型浄水器10の使用に伴って、ダイヤル盤52の周囲などが汚れた場合などには、ダイヤル盤52を簡単に取り外して、洗浄することができる。
また、この例のダイヤル盤52は、蓋本体に開口された取付け孔にダイヤル盤の突起を嵌合させるのではなく、蓋本体51に立設された爪部58に、ダイヤル盤52の突起52cを嵌合させることで、蓋本体51から着脱自在とされている。 そのため、ダイヤル盤52を蓋本体51から取り外しても、ピッチャー蓋体50の液密性には何ら影響はなく、例えばこのピッチャー型浄水器10を横置きしている際に、ダイヤル盤52を取り外して、洗浄することもできる。
【0065】
なお、この例では、ピッチャー蓋体50として密封形態がネジ式のものを例示したが、バヨネット式のものでもよい。
【0066】
また、本発明の浄水カートリッジについて、さらに詳細に説明する。
図12Aは、本発明の浄水カートリッジ410の一例を示す正面図であり、
図12Bは、本発明の浄水カートリッジ410の一例を示す縦断面図である。この浄水カートリッジ410は、水道水などの被処理水を処理する浄水材420と、浄水材420が収容された筒状のハウジング本体430と、ハウジング本体430に被せられた板状のハウジング蓋体440とを有し、
図13に示すように、ハウジング本体430とハウジング蓋体440とが別体から構成されたものである。
【0067】
図14は、
図12Aおよび
図12Bの浄水カートリッジ410を備えたピッチャー型浄水器450である。このピッチャー型浄水器450は、ピッチャー本体460と、ピッチャー本体460の上端開口部を液密に塞ぐピッチャー蓋体470と、ピッチャー本体460に着脱自在に装着された
図12Aおよび
図12Bの浄水カートリッジ410とを備えている。ピッチャー本体460は、被処理水が供給される原水貯留部461と、浄水を貯水する浄水貯留部462とが仕切部464で仕切られて形成されている。仕切部464には装着部465が開口され、この装着部465に、
図12Aおよび
図12Bの浄水カートリッジ410が装着される。また、浄水貯留部462には、浄水を注ぐための浄水出口463が形成されている。
【0068】
図12Aおよび
図12Bの浄水カートリッジ410の浄水材420は、膜濾過浄水部421と、膜濾過浄水部421の上流側に配置された吸着浄水部422とを有する。
膜濾過浄水部421は、U字形に屈曲した複数の中空糸膜421aが、その端部の開口を維持しつつ、端部間に充填されたポッティング部421bにより一体化されるとともに、ハウジング本体430の底部側に固定された、いわゆる中空糸膜モジュールを備えてなる。
吸着浄水部422は、膜濾過浄水部421の上流側に充填された吸着材から構成される。
【0069】
中空糸膜421aの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
【0070】
ポッティング部421bは、例えば熱硬化性樹脂の硬化により形成され、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0071】
吸着材としては、この例では、粉状または粒状の活性炭、ゼオライト、モレキュラーシーブなどの吸着材が用いられている。その他の吸着材としては、繊維状活性炭などの繊維状吸着材が挙げられる。
【0072】
ハウジング本体430は上端431が開口した円筒状であり、この上端431の開口部からハウジング本体430内に、膜濾過浄水部421を構成する中空糸膜モジュールが収容、固定され、その後、吸着浄水部422を構成する吸着材が充填される。
【0073】
そして、この浄水カートリッジ410では、ハウジング本体430の周壁の上部に、被処理水を浄水カートリッジ410内に取水するための上下2列の取水口432a、432bが形成されている。この例では、ハウジング本体430の全長をLとした場合に、ハウジング本体430の上端431から下方に約1/3Lまでの範囲内の周壁に、取水口432a、432bが形成されている。また、この例では、上側の取水口432aおよび下側の取水口432bは、周方向にわたってそれぞれ複数形成されている。また、各取水口432a、432bには、メッシュシート432cが配置され、吸着材が取水口432a、432bから外部に排出されることを抑制しつつ、被処理水を浄水カートリッジ410内に取り込めるようになっている。
【0074】
ハウジング本体430の底部の中央には、吐出口433が形成され、取水口432a、432bから取り入れられ、浄水材420で処理された浄水が吐出される。また、ハウジング本体430の底部は、吐出口433に向かって下方に傾斜して形成されている。
【0075】
ハウジング本体430の上部の外周には、Oリングからなるシール材434が装着されている。
図14に示すように、浄水カートリッジ410をピッチャー型浄水器450の装着部465に装着した際には、このシール材434により、原水貯留部461と浄水貯留部462との間が液密にシールされるようになっている。また、ハウジング本体430におけるシール材434の位置は、取水口432a、432bよりもやや下方(下側の取水口432bの下端よりも1〜2mm下方。)である。これにより、浄水カートリッジ410をピッチャー型浄水器450に装着した際には、取水口432a、432bが原水貯留部461内の適切な高さに位置し、原水貯留部461内に被処理水を残すことなく、被処理水を取水口432a、432bから取り込むことができる。
【0076】
ハウジング本体430の上端431の開口部には、板状(円板状)のハウジング蓋体440が被せられ、開口部を閉塞している。ハウジング蓋体440は、この例では、超音波溶着により溶着され、固定されている。また、ハウジング蓋体440の中央には、浄水カートリッジ410の内外を連通する空気排出孔441が形成されている。
【0077】
ハウジング本体430、ハウジング蓋体440の材質としては、樹脂(ABS樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン等)、金属(ステンレス鋼)などが挙げられる。
【0078】
この浄水カートリッジ410において、吸着浄水部422を構成する吸着材は、上側の取水口432aと下側の取水口432bの間あたりの高さまで充填され、充填された吸着材の上方には、空気溜まり部35が形成されている。この空気溜まり部35と、ハウジング蓋体440の中央に形成された空気排出孔441との作用により、被処理水が取水口432a、432bから浄水カートリッジ410内に、より円滑に取り込まれるようになっている。
【0079】
このような浄水カートリッジ410は、例えば次のように組み立てられて製造される。
取水口432a、432bが形成され、シール材(Oリング)434が取り付けられたハウジング本体430を用意する。そして、その上端431の開口部から、膜濾過浄水部421を構成する中空糸膜モジュールをハウジング本体430内に収容し、ハウジング本体430の底部側に固定する。ついで、ハウジング本体430の上端431の開口部から吸着材を充填し、膜濾過浄水部421の上流側に吸着浄水部422を形成する。
【0080】
ここで吸着材の充填量は、充分な容積を持つ有効な空気溜まり部435が形成され、かつ、吸着材が充填されない無駄なデッドスペースができるだけ低減される観点から、この例では、充填された吸着材の上端(吸着浄水部422の上端)が、上側の列の取水口432aと下側の列の取水口432bとの間あたりに位置するような量に調整されている。ただし、吸着材の充填量は、これに限定されず、空気溜まり部435やデッドスペースの容積などを考慮しつつ、適宜調整できる。
【0081】
こうして製造された浄水カートリッジ410は、
図14に示すように、ピッチャー型浄水器450の仕切部464に形成された装着部465に装着される。
このピッチャー型浄水器450により浄水を行う場合には、ピッチャー蓋体470を外して、浄水カートリッジ410を装着部465に装着後、水道水などの被処理水を上端開口部から原水貯留部461に供給する。原水貯留部461内の被処理水は、浄水カートリッジ410の各取水口432a、432bから浄水カートリッジ410内に取水され、浄水材420で処理される。そして、吐出口433から浄水が吐出され、浄水貯留部462に貯水される。
【0082】
なお、この例のピッチャー型浄水器450は、ピッチャー本体460の上端開口部を液密に塞ぐピッチャー蓋体470を具備している。そのため、被処理水を処理して浄水を浄水貯留部462に貯水した後には、ピッチャー蓋体470を締めてピッチャー本体460の上端開口部を液密に塞いでから、このピッチャー型浄水器450を冷蔵庫内などに横置きすることができる。
【0083】
以上説明した浄水カートリッジ410は、浄水カートリッジ410内に被処理水を取水するための取水口432a、432bが、ハウジング蓋体ではなく、ハウジング本体430の周壁に形成されている。そのため、取水口432a、432bよりも上方に位置するハウジング本体430の上端431の開口部から吸着材を投入すると、何ら問題なく、例えば上側の取水口432aと下側の取水口432bの間の高さ付近まで、吸着材を充填することができる。これに対して、
図15Aおよび
図15Bのように、取水口4121a、4121bがハウジング蓋体4120に形成されている場合には、ハウジング本体4110の上端が取水口4121a、4121bよりも下方に位置するため、上端からハウジング本体4110に吸着材を投入して、取水口4121a、4121bの付近まで充填することは、不可能である。
【0084】
すなわち、
図12Aおよび
図12Bの浄水カートリッジ410では、吸着材を投入する投入口として作用するハウジング本体430の上端431が、取水口432a、432bよりも上方に位置することとなるため、吸着材を取水口432a、432bが形成された高さまで充填してデッドスペースを低減でき、浄水カートリッジ410の内容積に対する浄水材420の充填効率を高めることができる。
充填効率が高まると、膜面積を大きくするために中空糸膜の収容量を高めた場合でも、その上に充分な量の吸着材を充填でき、浄水カートリッジの外形やサイズを変えることなく、浄水性能を維持したまま、浄水カートリッジの濾過速度を向上させることも可能となる。また、中空糸膜における濾過速度の向上に伴い、より多くの吸着材を充填することが求められた場合でも、それに対応できる。
【0085】
また、
図15Aおよび
図15Bに示す従来の浄水カートリッジ4100は、ハウジング本体4110とハウジング蓋体4120とを超音波溶着するために、ハウジング蓋体4120にフランジ部4122を設けた結果、フランジ部4122よりも上方部分の直径をハウジング本体4110よりも縮径せざるを得なかった。
これに対して、
図12Aおよび
図12Bの浄水カートリッジ410の場合には、取水口432a、432bの下方において超音波溶着をする必要がないため、上述のように、フランジ部を設けたり、それにより取水口432a、432bが形成されている部分の直径を小さくしたりする必要もない。そのため、より多くの吸着材を充填することができる。
【0086】
なお、以上の例では、浄水材420として、膜濾過浄水部421と、それよりも上流側の吸着浄水部422との2種の浄水部を備えたものを例示したが、浄水材の構成には制限はなく、1種の浄水部から構成されたものでも、3種以上の浄水部から構成されたものでもよい。しかしながら、本発明の浄水カートリッジは、従来は、浄水材の最上流側に、デッドスペースを生じさせることなく充填することが困難であった粉状または粒状の吸着材であっても、高い充填効率で充填できるものである。よって、本発明の浄水カートリッジは、
図12Aおよび
図12Bの例のように、浄水材の少なくとも最上流側に、粉状または粒状の吸着材を具備する形態において、より有効である。
【0087】
また、取水口の形成数、形成位置、配置パターンなどは、被処理水の取り込みと、取り込まれた被処理水の浄水材による処理とが良好に進行する限り、適宜設定できる。
また、ハウジング蓋体の形状は、目的に応じて設計でき、必ずしも板状ではなく、上端が閉塞した筒状などにすることもできる。
また、ハウジング本体とハウジング蓋体との接合は、接合部の外観が優れ、作業が容易である点などから、超音波溶着が好適であるが、接着剤を用いるなどの他の方法で行ってもよい。