(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記基材を前記インク出力部に対して相対的に移動させながら前記ノズルからインクを滴下させることにより、予め定められた幅の線を含むパターンを描画させる請求項1または2に記載のパターン印刷装置。
前記制御部は、描画するパターンの延伸方向を切り替える場合に、前記基材を前記インク出力部に対して予め定められた角度を相対的に移動させ、前記予め定められた角度で折れ曲がる線を含むパターンを描画させる請求項1から3のいずれか一項に記載のパターン印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態に係るパターン印刷装置100の構成例を基材10と共に示す。パターン印刷装置100は、基材10上の描画対象領域にインクを塗布して当該描画対象領域にパターンを形成させる場合に、次に描画対象領域となる領域を加熱してから当該パターンを形成する。また、パターン印刷装置100は、描画するパターンの描画方向を変更する場合に、基材10を移動させた後、描画したパターンのうち次にパターンを形成すべき部分を加熱してから、描画方向を変更したパターンを形成する。
【0010】
基材10は、絶縁材料で形成され、一方の面に電気信号を伝送する配線パターン14が形成される。基材10は、例えば、一方の面が平坦な基板である。ここで、基材10は、柔軟性を有して変形可能なフレキシブル基板であってもよい。パターン印刷装置100は、インク出力部110と、駆動部120と、回転部130と、制御部140と、調整部150とを備える。
【0011】
インク出力部110は、基材10の一部を加熱しつつ、インクを塗布する。インク出力部110は、ノズル112と、加熱部114とを有する。ノズル112は、基材10の描画対象領域12に対してインクを滴下する。ノズル112は、例えば、電圧の印加に応じて生じる圧電素子の変形によって、微細な管からインクを射出させるインクジェット方式のヘッド部である。これに代えて、ノズル112は、ヒータ等によってインクを加熱してインク内に発生させた気泡によって、微細な管からインクを射出させるインクジェット方式のヘッド部であってもよい。また、ノズル112は、超音波等の印加によって微小な液滴となったインクに電界をかけ、印刷面に向けて当該インクを射出させるヘッド部であってもよい。
【0012】
ノズル112は、数百μm以下の開口を有し、直径が数百μm以下の液滴を滴下する。好ましくは、ノズル112は、直径が10μm〜150μmまたはそれ以下の液滴を滴下する。より好ましくは、ノズル112は、直径が50μm〜100μmまたはそれ以下の液滴を滴下する。
【0013】
本実施例において、ノズル112は、導電材料を含むインクを滴下する。当該インクは、例えば、粒子径が1μm程度以下の導電材料で形成された微粒子を含む。ここで、導電材料は、金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、およびアルミニウム等の金属のうち1種類以上の金属を含んでよく、また、これら金属の酸化物を1種類以上含んでもよい。また、これらの金属のうち、2種類以上の金属の合金を含んでもよい。
【0014】
描画対象領域12は、基材10の一方の面において、配線パターン14を形成すべくノズル112からインクを滴下する領域である。描画対象領域12の位置は、予め定められた描画すべき配線パターンの情報に応じて定められてよく、また、予め定められた描画すべき配線パターンの情報、滴下するインクの量、および配線パターンが形成される速度等の情報に応じて定められてもよい。
【0015】
図1は、基材10上に配線パターン14の一部が形成された例を示すが、この場合、描画対象領域12は、形成された配線パターン14の端面の近傍に設定される。描画対象領域12は、インクの滴下に応じてパターンが形成されて当該配線パターン14が当該描画対象領域12まで延長される。そこで、描画対象領域12は、配線パターン14が延長された後に、延長された配線パターン14の端面近傍に設定される。即ち、描画対象領域12の基材10上における位置は、配線パターン14の形成に応じて順次更新される。
【0016】
加熱部114は、基材10に対するノズル112の進行方向に位置する基材10の予熱対象領域16を加熱する。加熱部114は、例えば、基材10の一方の面に向けてレーザ光を照射する光源部を含み、当該レーザ光を吸収させて予熱対象領域16を加熱する。これに代えて、加熱部114は、LEDまたはランプ等の光源部と、当該光源部からの光を集光するレンズ等の光学系とを含み、当該光源からの光を予熱対象領域16に集光させて加熱してもよい。
【0017】
加熱部114は、描画対象領域12が予め定められた温度範囲に過熱された状態でノズル112からインクが滴下されるべく、配線パターン14を形成する過程において描画対象領域12となる領域を予熱対象領域16として加熱する。即ち、加熱部114は、ノズル112の進行方向にある将来の描画対象領域12を予熱対象領域16として予め加熱し、当該予熱対象領域16がノズル112および/または基材10の移動によって描画対象領域12に設定されてノズル112からインクが滴下される場合に、当該領域を予め定められた温度範囲内にする。
【0018】
予熱対象領域16は、描画対象領域12と同様に、予め定められた描画すべき配線パターンの情報に応じて定められてよく、また、予め定められた描画すべき配線パターンの情報、滴下するインクの量、および配線パターンが形成される速度等の情報に応じて定められてもよい。
【0019】
駆動部120は、基材10をインク出力部110に対して相対的に移動させる。駆動部120は、基材10を固定して、基材10を移動させる駆動ステージであってよく、これに代えて、またはこれに加えて、インク出力部110を固定して、インク出力部110を基材10に対して移動させる駆動ステージであってもよい。
図1は、基材10を固定して、基材10を移動させる駆動部120の例を示す。
【0020】
駆動部120は、基材10の他方の面を吸着して固定してよく、これに代えて、基材10の一方の面側から物理的に押し付けて固定してよい。駆動部120は、一例として、ノズル112がインクを基材10に滴下する方向に対して垂直な面内において基材10を移動させるXYステージである。
【0021】
回転部130は、基材10をインク出力部110に対して相対的に回転させる。回転部130は、一例として、基材10を固定して、ノズル112がインクを基材10に滴下する方向を軸方向とし、当該軸方向に対して垂直な面内で基材10を回転させる回転ステージである。
図1は、基材10を固定したXYステージを搭載し、当該XYステージごと回転させる回転部130の例を示す。
【0022】
制御部140は、駆動部120および回転部130に接続され、駆動部120および回転部130の移動を制御する。制御部140は、駆動部120の移動方向、移動距離、および移動速度等を制御し、また、回転部130の回転方向、回転角度、および回転速度等を制御する。また、制御部140は、ノズル112および加熱部114に接続され、ノズル112から滴下されるインクの量、滴下する速度、および加熱部114の加熱温度等を制御する。
【0023】
制御部140は、予熱対象領域16が描画対象領域12の進行方向に位置するように基材10をインク出力部110に対して相対的に移動させて、インクによって形成されるパターンを当該描画対象領域12に描画させる。即ち、制御部140は、基材10およびインク出力部110の相対位置を制御することで、加熱部114に予熱対象領域16を加熱させつつ、ノズル112にインクを描画対象領域12に滴下させる。
【0024】
ここで、制御部140は、駆動部120の移動速度、加熱部114の加熱温度、およびノズル112が滴下するインクの量および滴下するインクの速度等を制御することで、例えば、描画対象領域12を50〜200℃といった予め定められた温度範囲内の状態にしてから、予め定められた量のインクを滴下することができる。これによって、制御部140は、基材10をインク出力部110に対して相対的に移動させながらノズル112からインクを滴下させることにより、急激な加熱による沸騰を生じさせずに、滴下したインクの溶媒の蒸発を加速させ、描画対象領域12に予め定められた幅の線を含むパターンを描画させることができる。
【0025】
調整部150は、描画対象領域12が、回転部130の回転軸上に位置するように調整する。調整部150は、例えば、制御部140に接続され、制御部140から駆動部120または回転部130への移動指示等を検出して、基材10、インク出力部110、および駆動部120の相対位置を算出し、当該相対位置に応じて基材10の位置を調整する。これに代えて、調整部150は、基材10、インク出力部110、および/または駆動部120の位置を検出する検出センサを有し、基材10、インク出力部110、および/または駆動部120の位置検出結果に応じて基材10の位置を調整してもよい。
【0026】
以上の本実施形態に係るパターン印刷装置100は、描画するパターンの延伸方向を切り替える場合に、予熱対象領域16を切替前のパターンの端部に移動させて加熱させてから描画対象領域12を切替前のパターンの端部に移動させて切替後のパターンの描画を開始させる。このように、パターン印刷装置100が折れ曲がったパターン等を描画する手順を、
図2から
図6を用いて次に説明する。
【0027】
図2は、本実施形態に係るパターン印刷装置100の動作フローを示す。また、
図3から
図6は、本実施形態に係るパターン印刷装置100が基材10の一方の面に配線パターン14を形成する過程の概略構成を示す。
【0028】
まず、初期設定を実行する(S200)。パターン印刷装置100は、予め定められた描画すべきパターンのパターン情報を読み出してよく、これに代えて、ユーザ等に描画すべきパターンのパターン情報を指定されてもよい。パターン印刷装置100は、基材10を駆動部120に搭載して固定する。
【0029】
次に、軸合わせを実行する(S210)。制御部140は、例えば、駆動部120および/またはインク出力部110を移動させて、基材10上においてノズル112がインクを滴下する位置を、回転部130の回転軸の延長線上に一致させる。本例において、XY平面上において基材10を移動させるXYステージを駆動部120とした場合に、インクが滴下する方向および回転部130の回転軸をZ方向とし、インクが滴下する位置を回転軸上に一致させた例を説明する。
【0030】
制御部140は、描画すべきパターンに応じて、基材10上において配線パターン14の形成を開始する位置を予熱対象領域16として設定する。制御部140は、設定した予熱対象領域16を、基材10上においてノズル112がインクを滴下する位置を通り、ノズル112が相対的に進行する方向に予め定められた距離離れた位置に配置する。
【0031】
例えば、配線パターン14を−X方向に形成していく場合、ノズル112は基材10に対して相対的に−X方向に進行するので、予熱対象領域16は、ノズル112がインクを滴下する位置に対して−X方向にΔXずれた位置に配置される。これによって、制御部140は、ノズル112に対して基材10をX方向にΔX移動させた場合に、ノズル112がインクを滴下する位置である描画対象領域12に当該予熱対象領域16が移動するように、設定した予熱対象領域16を基材10上に配置することができる。
【0032】
次に、加熱部114は、予熱対象領域16を加熱する(S220)。即ち、加熱部114は、配線パターン14の形成を開始する位置を加熱する。
【0033】
次に、制御部140は、加熱した予熱対象領域16を描画対象領域12に設定する。そして、制御部140は、設定した描画対象領域12を、ノズル112がインクを滴下する位置に移動させる。ここで、制御部140は、描画対象領域12の移動を調整部150に指示してもよい。調整部150は、例えば、駆動部120を制御して基材10をX方向にΔX移動させて、描画対象領域12をノズル112がインクを滴下する位置に配置する。
【0034】
次に、制御部140は、ノズル112から当該描画対象領域12にインクを滴下させる(S230)。これによって、制御部140は、描画対象領域12を予め定められた温度範囲内の状態にしてから、予め定められた量のインクを滴下することができる。滴下されたインクの溶媒が蒸発し、描画対象領域12に配線パターン14の一部が形成される。
【0035】
制御部140は、配線パターン14の形成を終了するか否か(S240)、形成する配線パターン14の延伸方向を切り換えるか否か(S250)を、描画すべきパターンに応じて判断する。制御部140は、配線パターン14の形成を継続し、配線パターン14の延伸方向を切り換えずに直線のパターンを形成する場合、ステップS220からステップS230までのフローを繰り返す。
【0036】
即ち、形成された配線パターン14の端部近辺の領域を予熱対象領域16として加熱し、加熱した領域を描画対象領域12に移動させてインクを滴下する。滴下されたインクの溶媒が蒸発することで、配線パターン14の端部に予め定められた幅で配線長を延長するようにパターンが形成される。このような配線長の延長が繰り返されて、−X方向に延びる直線状の配線パターン14が形成される。
図3は、本実施形態に係るパターン印刷装置100が基材10上に配線パターン14を形成した段階の構成例を示す。ここで、制御部140は、描画対象領域12から予熱対象領域16の中心近辺までの距離をΔXと設定した例を示す。
【0037】
制御部140は、描画するパターンの延伸方向を切り替える場合に、基材10をインク出力部110に対して予め定められた角度を相対的に移動させる(S260)。この場合、回転部130が、描画すべきパターンに応じた予め定められた角度を回転して、インク出力部110に対する基材10の向きを移動させる。ここで、回転部130の回転軸上に描画対象領域12が位置しているので、回転後の描画対象領域12も回転部130の回転軸上に描画対象領域12が位置し、また、ノズル112がインク20を滴下する位置も当該描画対象領域12のままである。
【0038】
制御部140は、予熱対象領域16を切替前のパターンの端部に移動させて加熱させてから描画対象領域12を切替前のパターンの端部に移動させて切替後のパターンの描画を開始させる。即ち、制御部140は、駆動部120を制御して、ノズル112に対する基材10の相対位置を−Y方向に予め定められた距離移動させ、予熱対象領域16を切換前のパターンの端部に移動させる。一例として、制御部140は、描画対象領域12から予熱対象領域16の中心近辺までの距離をΔXと設定した場合、−Y方向にΔX移動させることで予熱対象領域16を切換前のパターンの端部に移動させることができる。
【0039】
次に、制御部140は、予熱対象領域16に位置するパターン端部を加熱する(S270)。
図4は、本実施形態に係るパターン印刷装置100が基材10を移動させた後に配線パターン14の端部30を加熱する段階の構成例を示す。本例において、制御部140は、−X方向に延伸させて形成した配線パターン14の延伸方向を90度切り替えて、−Y方向に配線パターン14を延伸させて形成する例を示す。
【0040】
次に、調整部150は、駆動部120を制御して、ノズル112に対する基材10の相対位置をY方向に予め定められた距離移動させ、描画対象領域12を切換前のパターンの端部に移動させて、制御部140は、ノズル112からインク20を滴下する(S280)。これにより、制御部140は、切換後のパターン端部とその近傍を予め定められた温度範囲の状態にしてから、インクを滴下することができるので切換後のパターンの描画を当該パターン端部から開始することができる。
【0041】
図5は、本実施形態に係るパターン印刷装置100が描画対象領域12を配線パターン14の端部に移動させてパターンの描画を開始した段階の構成例を示す。ここで、配線パターン14の延伸方向は−Y方向であり、インク20が滴下される位置である描画対象領域12から−Y方向にΔX離れた位置に予熱対象領域16が位置する。
【0042】
そこで、ステップS220に戻り、予熱対象領域16の加熱、インク20の滴下、および基材10の移動を繰り返すことで、−Y方向に配線パターン14を延伸させることができる。
図6は、本実施形態に係るパターン印刷装置100が配線パターン14の延伸方向を切り換えた後に当該配線パターン14を更に形成した段階の構成例を示す。
【0043】
以上の動作フローを実行することで、パターン印刷装置100は、基材10上に、予め定められた角度で折れ曲がる線を含むパターンを描画させることができる。ここで、パターン印刷装置100は、描画するパターンの延伸方向を予め定められた角度以上変更する場合に、当該動作フローを実行して当該パターンを描画させる。また、パターン印刷装置100は、描画するパターンの延伸方向を予め定められた角度未満の変更の場合に、延伸方向を切り換えてからパターンの描画を続行させる。
【0044】
ここで、描画すべきパターンの折れ曲がる角度が小さい場合、切換前後のパターンの形状に差異がほとんど無いので、パターン印刷装置100は、延伸方向を切り換えてから直ちに配線の形成を続行しても、形状に乱れ無く配線パターンを形成することができる。したがって、形状に乱れ無く配線パターンを形成できる延伸方向の切り換え角度を予め測定して、記憶することで、パターン印刷装置100は、切り換え角度に応じた手順の選択を実行することができる。
【0045】
以上の本実施形態にかかるパターン印刷装置100は、導電材料を含むインクを基材10上に滴下して配線パターンを形成する例を説明した。これに代えて、ノズル112は、基材10の描画対象領域12においてレジストを形成するインクを滴下し、制御部140は、予め指定されたレジストパターンを基材10上に描画させてもよい。この場合、パターン印刷装置は、レジストパターン印刷装置となる。
【0046】
図7は、本実施形態に係るパターン印刷装置100が配線パターン14を形成した基材10を用いて、被試験デバイス70の試験用パッケージを構成する例を示す。試験用パッケージは、被試験デバイス70をパッケージングする。試験用パッケージは、一例として、試験装置等に搭載される。当該試験装置は、試験用パッケージ内の被試験デバイス70と電気的に接続して被試験デバイス70の試験を実行する。
【0047】
被試験デバイス70は、例えば、アナログ回路、デジタル回路、メモリ、および/またはシステム・オン・チップ(SOC)等が形成された半導体チップまたは半導体デバイスである。被試験デバイス70は、電気信号を授受する複数の端子72を含む。端子72は、入力端子および/または出力端子として動作する端子である。ここで端子72は、例えば、被試験デバイス70の一方の面に形成される電気配線、半田バンプ、またはランド等といった導電材料が露出した端子である。
【0048】
被試験パッケージは、基材10と、フレキシブル基材80とを有し、被試験デバイス70を、基材10とフレキシブル基材80とで挟んで搭載する。基材10は、パターン印刷装置100によって配線パターン14が形成され、配線パターン14には、デバイス接続部22と、基材接続部24とが含まれる。基材10は、被試験デバイス70が含む端子72の数以上のデバイス接続部22および基材接続部24を有することが望ましい。
【0049】
複数のデバイス接続部22のそれぞれは、被試験デバイス70の端子72とそれぞれ接続され、電気信号をそれぞれ授受する。複数のデバイス接続部22のそれぞれは、被試験デバイス70が基材10上に搭載されると、対応する端子72とそれぞれ接触して電気的に接続される。
【0050】
複数の基材接続部24は、複数のデバイス接続部22に対応してそれぞれ形成され、配線パターン14を介して対応するデバイス接続部22にそれぞれ電気的に接続される。基材接続部24は、デバイス接続部22に比べて、基材10の縁側に形成されることが望ましく、デバイス接続部22に比べて、より大きなピッチかつ大きな面積を有して形成される。
【0051】
フレキシブル基材80は、柔軟性を有する変形可能な基板である。フレキシブル基材80は、複数の外部接続部82を有する。外部接続部82は、基材10の基材接続部24に対応して形成される。外部接続部82は、フレキシブル基材80の一方の面と他方の面に、導電材料が露出した端子をそれぞれ含み、一方の面側の端子と他方の面側の端子は電気的に接続される。一例として、フレキシブル基材80の一方の面は、被試験デバイス70の他方の面側を覆い、フレキシブル基材80の一方の面側に形成される端子は、対応する基材接続部24と電気的に接続される。
【0052】
試験用パッケージは、このようなフレキシブル基材80と基材10とで、被試験デバイス70を挟んで形成される。試験用パッケージは、例えば、フレキシブル基材80および基材10の間の気体を吸引した封止パッケージである。これに代えて、試験用パッケージは、フレキシブル基材80を基材10に押し付けて、被試験デバイス70を挟み込んで固定したパッケージであってもよい。
【0053】
ここで、被試験デバイス70が固定された状態において、被試験デバイス70の複数の端子72は、対応するデバイス接続部22および基材接続部24を介して、フレキシブル基材80の対応する外部接続部82に電気的にそれぞれ接続される。これによって、例えば試験装置等は、フレキシブル基材80の他方の面側に形成される外部接続部82の端子に電気的に接続することで、試験用パッケージの内部に固定された被試験デバイス70の対応する端子72と電気信号を授受することができる。
【0054】
このような試験用パッケージは、被試験デバイス70に微細かつ狭ピッチで形成された複数の端子72と、基材10上に形成された対応する配線パターン14とを電気的にそれぞれ接続し、当該複数の端子72に比べて広いピッチに変換することができる。また、試験用パッケージは、電子回路を形成した半導体ウェハから切り出した半導体チップを挟み込んで、試験装置等に搭載させることができる。
【0055】
ここで、試験用パッケージを構成する基材10および/またはフレキシブル基材80は、本実施形態に係るパターン印刷装置100で配線パターンが形成することができるので、数十μm以下程度の配線幅および配線ピッチで、かつ、複雑に折れ曲がる配線を形成することができる。また、パターン印刷装置100は、インクジェット方式を利用しているので、小型かつ軽量で、容易に微細なパターンを形成することができる。
【0056】
図8は、本実施形態に係る試験装置700の構成例を被試験デバイス70と共に示す。試験装置700は、本実施例で説明した1以上の試験用パッケージを搭載して試験用パッケージ内の被試験デバイス70を試験する。試験装置700は、被試験デバイス70を試験するための試験パターンに基づく試験信号を被試験デバイス70に入力して、試験信号に応じて被試験デバイス70が出力する出力信号に基づいて被試験デバイス70の良否を判定する。
【0057】
試験装置700は、搭載部710と、テストヘッド部720と、試験部730と、制御装置740とを備える。搭載部710は、1以上の試験用パッケージを搭載する。ここで、搭載部710は、被試験デバイス70が実装された基材10を搭載してもよい。この場合、試験装置700は、基材10上に形成された基材接続部24に電気的に接続して電気信号を授受する。
【0058】
テストヘッド部720は、複数のプローブ部722を有し、試験用パッケージと当該複数のプローブ部722を介して電気的にそれぞれ接続される。複数のプローブ部722は、被試験デバイス70の端子72に対応してテストヘッド部720に形成され、試験用パッケージの対応する外部接続部82と電気的に接続されて、対応する端子72と電気信号を授受する。
【0059】
試験部730は、被試験デバイス70との間で電気信号を授受して被試験デバイス70を試験する。試験部730は、試験信号発生部732と、期待値比較部734とを有する。
【0060】
試験信号発生部732は、テストヘッド部720を介して1または複数の被試験デバイス70に接続されて、被試験デバイス70へ供給する複数の試験信号を発生する。試験信号発生部732は、試験信号に応じて被試験デバイス70が出力する応答信号の期待値を生成してよい。
【0061】
期待値比較部734は、テストヘッド部720から受信した被試験デバイス70の応答信号に含まれるデータ値と試験信号発生部732が生成する期待値とを比較する。期待値比較部734は、比較結果に基づき、被試験デバイス70の良否を判定する。
【0062】
制御装置740は、試験装置700の試験を実行すべく、試験プログラムに応じて、搭載部710の試験用パッケージの搭載、テストヘッド部720のプローブ部722と試験用パッケージの外部接続部82との電気的接続、試験部730の試験の開始、終了、停止、および中断等を制御する。以上の本実施形態に係る試験装置700は、試験用パッケージを搭載して試験用パッケージ内の被試験デバイス70を試験することができる。
【0063】
ここで、試験装置700は、被試験デバイス70の端子を接続する配線パターン14を基材10上に印刷するパターン印刷装置100と、配線パターン14が印刷された基材10上に被試験デバイス70を実装させる実装部と、基材10にフレキシブル基材80を取り付けてパッケージするパッケージ部と、試験用パッケージを搭載部710に搭載するハンドラ部とを更に備えてもよい。これによって、試験装置700は、被試験デバイス70に応じた試験用パッケージを形成し、形成した試験用パッケージを試験することができる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0065】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。