【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(ロボット・新技術イノベーションプログラム)「異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
Hong Xiao,Introduction to Semiconductor Manufacturing Technology,米国,Prentice Hall,2000年12月 4日,P.354-356
【文献】
C. Hnatovsky, R. S. Taylor, E. Simova, P. P. Rajeev, D. M. Rayner, V. R. Bhardwaj, and P. B. Corkum,Fabrication of microchannels in glass using focused femtosecond laser radiation and selective chemicaletching,Applied Physics A. Materials Science & Processing,米国,Springer,2006年 4月20日,84/1-2,P.47-61
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一工程において、前記レーザー光として円偏光レーザーを用いることにより、前記周期構造として、円偏波の回転方向に渦を巻いた形状を有する前記凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の表面微細構造の形成方法。
前記第一工程において、前記レーザー光として円偏光レーザーを用いることにより、前記周期構造として、レーザー走査方向に対して斜めに配された前記凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の表面微細構造の形成方法。
【背景技術】
【0002】
パルス時間幅がピコ秒オーダー以下のレーザーパルスを加工材料の内部に集光照射させると、集光部にレーザーパルスによって発生するプラズモンと入射光とによって、改質部と数百ナノオーダーの周期構造とがレーザー偏波に対して垂直に形成されることが知られている。また、円偏波を材料内部に集光照射することで、偏波回転方向に渦を巻いた特異な構造が得られることが知られている。これらの現象を用いた加工方法が盛んに検討されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
この周期構造を内部に形成したうえで凹凸を大きくし、アスペクト比の高い周期構造を作製する方法が提案されている。例えば、パルス時間幅がピコ秒オーダー以下の超短パルスレーザーを、周期構造を形成するための加工閾値より大きなパワーで材質内部にレーザーを集光照射させる。その後、研磨を行いレーザー改質部2を露出させ、フッ酸によるウェットエッチングによって、周期構造を選択的にエッチングし周期的な凹凸構造を形成する手法が開示されている(例えば、下記非特許文献1参照)。
エッチングにより作製した周期構造を利用してデバイスを作製する場合、さまざまなデバイスに対応できるためには、この周期構造のアスペクト比は作製方法により制御できることが望ましい。
【0004】
しかしながら、上述した非特許文献1に開示されている方法には、以下に示す問題があった。
(1)アスペクト比が非常に高い凹凸構造を形成することが難しい。
(2)内部にレーザー照射した後、周期構造を露出させる研磨工程が必須となるため、加工プロセスが増える。
(3)比較的ハイアスペクトな周期構造を形成させることは容易であるが、エッチングプロセスを濃度が1%以下のフッ酸により実施しているため、このフッ酸の濃度を変化させることで加工形状を制御することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、従来よりも簡略な手法により、高アスペクト比を有する周期構造を形成することを第一の目的とする。
また、加工形状の制御が可能であるとともに、高アスペクト比を有する周期構造を形成することが可能な、表面微細構造の形成方法を提供することを第二の目的とする。
さらに、本発明は、高アスペクト比を有する周期構造からなる表面微細構造を備えた基体を提供することを第三の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係る表面微細構造の形成方法は、加工適正値を有する基板を準備し;前記基板の表面に近い部分に対して、前記基板の前記加工適正値に近い照射強度、又は加工適正値以上かつアブレーション閾値以下の照射強度で、ピコ秒オーダー以下のパルス時間幅を有するレーザー光を照射し、前記レーザー光を集光した焦点、および該焦点に近い領域に第一改質部と第二改質部とが周期的に配される周期構造を自己組織的に形成する第一の工程と;前記周期構造が形成された前記基板の表面に対してエッチング処理を行うことにより、前記第一改質部を凹部とする凹凸構造を形成する第二の工程と;を備え、
前記第一工程において、レーザー伝搬方向に対して平行方向に照射部が重なるように前記レーザー光を照射し、前記第二工程において、前記エッチング処理として異方性ドライエッチング法を用いるとともに、エッチング時のプロセス圧力を変化させることで、前記凹部の形状を制御する。
前記第一工程において、前記レーザー光として直線偏光レーザーを用いることにより、前記周期構造として、前記レーザーの偏波方向に対して垂直に配された前記凹部を形成してもよい。
前記第一工程において、前記レーザー光として円偏光レーザーを用いることにより、前記周期構造として、円偏波の回転方向に渦を巻いた形状を有する前記凹部を形成してもよい。
前記第一工程において、前記レーザー光として円偏光レーザーを用いることにより、前記周期構造として、レーザー走査方向に対して斜めに配された前記凹部を形成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様に係る表面微細構造の形成方法では、第一の工程において、基板の表面に近い部分に対して、この基板の加工適正値に近い照射強度、又は加工適正値以上かつアブレーション閾値以下の照射強度でレーザー光を照射し、前記レーザー光が集光した焦点に近い領域に第一改質部と第二改質部とが周期的に配される周期構造を自己組織的に形成した後、第二の工程において、前記周期構造が形成された前記基板の表面に対してエッチング処理を行うことにより、前記第一改質部を選択的にエッチングして凹部とした凹凸構造を形成する。このため、従来よりも簡略な手法により、高アスペクト比を有する周期構造を形成することができる。また、前記レーザー光の偏光やエッチング時のパラメータを変えることにより、加工形状を制御可能である。これにより、本発明によれば、加工工程の簡略化が図れ、加工形状を制御可能であるとともに、高アスペクト比の凹部を含む凹凸構造を形成することが可能な、表面微細構造の形成方法を提供することができる。
また、本発明の態様に係る基体は、基板の表面に近い部分に周期的に配された凹部を含む凹凸構造を有している。この凹部は、前記本発明の表面微細構造の形成方法によって形成されているので、高アスペクト比を有する。その結果、本発明によれば、高アスペクト比を有する周期構造からなる表面微細構造を備えた基体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る表面微細構造の形成方法及び基体について説明する。
【0012】
図1Aおよび
図1Bは、本実施形態の表面微細構造の形成方法を模式的に示す断面図である。
本発明の表面微細構造の形成方法は、基板10の表面に近い部分に対して、この基板10の加工適正値に近い照射強度、又は加工適正値以上かつアブレーション閾値以下の照射強度でレーザー光Lを照射し、前記レーザー光Lが集光した焦点に近い領域に、周期的に配され、次工程のエッチング処理により凹部12をなす周期構造14を自己組織的に形成する第一の工程[
図1A参照]と;前記周期構造14が形成された前記基板10の表面に対してエッチング処理を行い、前記凹部12をなす領域を掘り下げて凹凸構造15を形成する第二の工程[
図1B参照]と;を備える。
【0013】
本実施形態の表面微細構造の形成方法では、第一の工程において、基板10の表面に近い部分に対して、この基板10の加工適正値に近い照射強度、又は加工適正値以上かつアブレーション閾値以下の照射強度でレーザー光Lを照射する。これにより、前記レーザー光Lが集光した焦点に近い領域に周期的に配され、次工程のエッチング処理により凹部12をなす周期構造14[
図1Aにおける「複数の第一改質部11aからなる構造」を指す]を自己組織的に形成する。その後、第二の工程において、前記周期構造14が形成された前記基板10の表面に対して、エッチング処理を行い、前記凹部12を含む凹凸構造15を形成する。この凹凸構造15における凹部12は、プラズモン、または電子プラズマ波と入射光との干渉波が強め合う部分に相当する第一改質部11aが、その他の領域(第二改質部11b)より選択的にエッチングされることにより得られる。また、前記レーザー光Lの偏光やエッチング時のパラメータを変えることにより、加工形状を制御可能である。特に、エッチングにドライエッチング法を用いることにより形状制御が更に容易となる。これにより、本実施形態の表面微細構造の形成方法では、加工形状を制御可能であるとともに、高アスペクト比の凹部12を有する凹凸構造15を形成することが可能である。
以下、工程順に説明する。
【0014】
(1)
図1Aに示すように、基板10の表面に近い部分に対して、この基板10の加工適正値に近い照射強度、又は加工適正値以上かつアブレーション閾値以下の照射強度でレーザー光Lを照射し、前記レーザー光Lが集光した焦点に近い領域に、周期構造14を自己組織的に形成する(第一の工程)。この周期構造14は複数の第一改質部11a[
図1Aに太い直線で表示した領域]から構成され、第一改質部11aの間には第二改質部11b[
図1Aに斜線で表示した領域]が形成される。第一改質部11aは、プラズモン、または電子プラズマ波と入射光との干渉波が強め合う部分であり、次工程のエッチング処理により優先的にエッチングされやすく、エッチング後には凹部12をなす。これに対して、第二改質部11bは、第一改質部11aに比べて、プラズモン(電子プラズマ波)と入射光との干渉波による影響が弱い部分であり、次工程のエッチング処理においてエッチングされにくい。
基板10を構成する材料としては、第一の工程によって基板10の表面に周期構造14が形成され、かつレーザー光Lに対して透過率の高い材料が好ましい。合成石英が最も加工性に富むが、その他にも例えば、ホウ珪酸ガラスなどのガラス材料や、石英、サファイア、ダイヤモンド、シリコン単結晶などの結晶性材料を用いることが可能である。
【0015】
前記基板10を構成する材料の加工適正値に近い照射強度、又は加工適正値以上かつアブレーション閾値以下で、基板10の表面又は表面に近い部分にレーザー光Lを集光照射あるいは集光照射を走査する。これにより、前記レーザー光Lが集光した焦点に近い領域に、周期構造14を自己組織的に形成する。
ここで、加工適正値は、周期構造14を形成させるためのレーザーパルスエネルギーの下限値と定義される。また、アブレーション閾値とは、アブレーションを発生させるためのレーザーパルスエネルギーの下限値であり、前記加工適正値とは異なる。一般的に、加工適正値は、アブレーション閾値よりも小さな値となる。
【0016】
また、レーザー光Lとして、ピコ秒オーダー以下のパルス時間幅を有するレーザー光を用いることが好ましい。例えば、チタンサファイアレーザー、ピコ秒オーダー以下のパルス時間幅を有するファイバーレーザーなどを用いることができる。
レーザー光Lを集光するレンズ20は、例えば、屈折式の対物レンズや屈折式のレンズを使用することができる。他にも例えば、フレネル、反射式、油浸、水浸式の対物レンズあるいはレンズで照射することも可能である。また、例えば、シリンドリカルレンズを用いれば、一度に基板10の表面の広範囲にレーザー照射することが可能である。また、例えば、ホログラフィックマスクや干渉などを用いれば、広範囲な領域を一度に加工することができる。
【0017】
レーザー光Lの照射方法は、特に限定されない。例えば、基板10の表面に対して平行方向にレーザー光Lを移動させながら照射すると、広範囲に周期的な凹凸構造を形成することができる。また、例えば、レーザー伝搬方向に対して平行方向に照射部が重なるようにレーザー光Lを照射すると、凹凸構造が他の凹凸構造の影響で自己形成的に形成される。このため、周期構造14同士がずれることなく重なる。
【0018】
具体的には、例えば、Tiサファイアレーザを用いる。照射条件としては、例えば、波長800nm、繰返周波数200kHz、レーザー走査速度1mm/秒としてレーザー光Lを集光照射する。これら波長、繰返周波数、走査速度の値は一例であり、本発明はこれに限定されず任意に変えることが可能である。
上記のチタンサファイアレーザーを石英基板に照射する場合において、集光に用いるレンズ20としては、N.A<0.7未満の対物レンズを用いることが好ましい。パルスエネルギーは、表面に近い部分に照射する際には、アブレーション閾値以下、例えば100nJ/pulse程度以下のエネルギーで照射することが好ましい。
【0019】
また、レーザー光Lの偏光を制御することによって周期構造14を変えることにより、これを反映した(後述するエッチング処理により得られる)凹凸構造15をなす凹部12の形成パターンを変化させることが可能である。
ここで、
図2及び
図5は、凹凸構造15の形成例を模式的に示す平面図である。なお、
図2及び
図5では、レーザー光Lは、紙面に対して垂直に照射されている。
例えば、レーザー光Lとして直線偏光レーザーを用いることにより、
図2〜
図4に示すように、周期構造を反映した凹凸構造15として、前記レーザー光Lの偏波(電場、または電場ベクトルともいう)方向に対して垂直に配された凹部12が形成される。
図2は、レーザー光Lを1点に照射した場合の図である。
図3は、レーザー光Lの偏波方向と走査方向とが垂直をなす場合の写真である。
図4は、レーザー光Lの偏波方向と走査方向とが平行の場合の写真である。
【0020】
また、レーザー光Lとして円偏光のレーザーを用いることにより、隣接するパルス加工痕が重ならない場合には、
図5に示すように、周期構造を反映した凹凸構造15として、円偏波の回転方向に渦を巻いた形状の凹部12が形成される。
【0021】
また、レーザー光Lとして円偏光のレーザーを用いることにより、隣接するパルス加工痕が重なる場合には、
図6に示すように、周期構造を反映した凹凸構造15として、レーザー走査方向に対して斜めに配された形状の凹部12が形成される。円偏波が基板10の表面に対して平行になるようにレーザー照射することで、凹凸構造15が斜めになる構造を形成することができる。ただし、円偏波を用いて表面に対して平行に走査することにより複数のパルス加工痕が重なる場合には、円偏波の表面は前記形状とは異なる形状になるが、表面直下では渦を巻いた構造となる。
なお、ここでは偏波として直線偏波と円偏波について記載したが、楕円偏波であっても同様な周期的な凹凸構造が形成される。
【0022】
また、アブレーションを抑え、不要なアブレーション粒子の飛散を防止するため、予め、基板10の表面に犠牲層(図示略)を形成してもよい。犠牲層の材質としては、レーザー波長に対して透明な無機の材料が好ましいが、有機材料であってもよい。この場合には、材料の表面に近い部分へのレーザー照射であっても、アブレーション閾値以上のエネルギーをもつレーザーを照射することが可能である。
【0023】
(2)次に、
図1Bに示すように、前記周期構造14が形成された前記基板10の表面に対してエッチング処理を行い、前記凹部12を掘り下げる(第二の工程)。
エッチングを行うことで周期構造14をなす、プラズモン(電子プラズマ波)と入射光との干渉波が強め合う部分に相当する領域である第一改質部11aが、その他の領域(第二改質部11b)より選択的にエッチングされる。これにより、凹部12が形成される。このため、研磨を行わずに、基板10の表面に高アスペクトな凹部12を有する周期構造14を形成することが可能である。
【0024】
ピコ秒オーダー以下のパルスレーザーを加工適正値以上で集光照射させることで、集光部でプラズモンと入射光との干渉が起こり、レーザーの偏波に対して垂直な周期構造14が自己形成的に形成されることが知られている。この周期構造14を反映した凹凸構造15の凹部12は、エッチング耐性の弱い領域であると見られている。例えば、石英の場合、酸素が欠乏した領域と酸素が増えた領域とが周期的に配列され、酸素欠乏部(前述した第一改質部11a)のエッチング耐性が弱くなっている。このため、エッチングを行うと、周期的な凹部12及び凸部13が形成される。ゆえに、凹部12は第一改質部11aを、凸部13は第二改質部11bを、それぞれ反映した領域である。
ただし、前記エッチング耐性は、基板10とエッチング液、あるいはエッチングガスの組合せによって決定される。このため、両者の組合せによっては、第二改質部11bの方が、より選択的にエッチングされ凹部を形成する場合もある。
【0025】
ウェットエッチングを行うと、ドライエッチングによる等方性が高いモードに近いエッチングがなされる。フッ酸の濃度が十分に低いときには、よりエッチング耐性が弱い領域が選択的にエッチングされる。しかしながら、濃度が十分に低い条件にて加工されるため、形状を様々に変えるだけのパラメータ性が低く、ドライエッチングによって見られた多様な形状を形成することは困難である。更に、ハイアスペクトな周期的な凹凸構造を形成するときには、エッチャントの表面張力などによって、周期構造が壊れてしまう可能性がある。
【0026】
これに対し、ドライエッチング法を用いることで、ハイアスペクトな構造を実現することができる。また、本実施形態ではドライエッチング法を用いているため、制御パラメータが多く、多様な加工形状を制御することが容易となる。
【0027】
ドライエッチング法として異方性ドライエッチング法を用いることで、前記レーザー光Lが集光した焦点に近い部分は全体的にエッチングされず、前記凹部12のみをエッチングして掘り下げることができる。
ドライエッチングの異方性が強い時には、エッチング耐性の弱い領域(前述した第一改質部11a)がよりエッチングされやすく、かつエッチングが異方性であるため、横方向へのエッチングが進行しない。このため、改質部11及び改質部11に近い領域の材料がエッチングされず、凹部12とする領域のみがエッチングされ、周期的な凹凸構造が形成される。
【0028】
異方性ドライエッチング法としては、例えば、反応性イオンエッチング(以下、RIE)を用いる方法である、平行平板型RIE、マグネトロン型RIE、ICP型RIE、NLD型RIEなどを使用できる。RIE以外にも、例えば中性粒子ビームを用いたエッチングを使用することが可能である。
【0029】
使用するガスは、例えば、フロロカーボン系、SF系ガス、CHF
3、フッ素ガス、塩素ガス、など材料を化学的にエッチングすることができるガスを主として、それらに適宜その他ガス、酸素、アルゴン、ヘリウムなどを混合して使用することが可能である。その他のドライエッチング方式による加工も可能である。
【0030】
さらに、異方性ドライエッチング法において、エッチング時のプロセス圧力(エッチングチャンバ内の圧力)を変えることで、前記凹部12の構造を制御することが可能となる。エッチング時のRFパワー、チャンバ内の圧力は、加工形状を決めるパラメータとなる。特に、エッチング圧力の変化が、周期構造14のエッチング後の形状(凹凸構造15の形状)を最も制御しやすいパラメータである。
【0031】
圧力が低い場合には、イオンの材料への引き込みが強いため、より異方性が高まり、周期的な凹凸構造15のうちのエッチング選択性が高い領域のみをより選択的にエッチングすることが可能である。そのため、周期構造14をなす改質部11a間に位置する改質部11b及び改質部11bに近い部分の材料はほとんどエッチングされず、改質部11aが選択的にエッチングされる。これにより、
図7に示すように、凸部13および凹部12からなる凹凸構造15が形成される。
【0032】
圧力が高い場合には、イオンの材料への引き込みが弱くなり、より等方性が高いエッチングになる。このため、周期構造14を成し、エッチング選択性が高い領域である改質部11aが、横方向にもエッチングされる。即ち、改質部11aとともに、改質部11aに近い部分の材料(改質部11b)もエッチングされる。これにより、
図8に示すように、第一凹部12aと、この第一凹部12aの底部に周期的に配された微細な第二凸部13bおよび第二凹部12bとからなる凹凸構造15が形成される。
【0033】
また、ドライエッチングにおいて、凸部13及び凹部12の選択性を高めるたには、RFパワーを小さくするなどしてプラズマ密度をできる限り小さくすることが好ましい。一方、RFパワーを大きくするなどしてプラズマ密度を大きくすると、凸部13及び凹部12の選択性が小さくなる傾向になる。
【0034】
一方、ドライエッチング法として等方性ドライエッチング法を用いることで、前記レーザー光Lが集光した焦点に近い領域に周期的に配された第一凹部12aと、この第一凹部12aの底部に周期的に配された微細な第二凹部12bとを有する凹凸構造15を形成する。
ドライエッチングの等方性が強い場合には、エッチング耐性の弱い領域(改質部11a)がよりエッチングされやすく、かつエッチングが等方性を有するため、横方向へのエッチングが進行する。このため、上部から徐々に隣り合う凹部12及び凸部13が繋がり、改質部11a及び改質部11aに近い部分の材料がエッチングされる。これにより、
図8に示すように、レーザー光Lが集光した焦点に近い領域に周期的に配された第一凹部12aと、この第一凹部12aの底部に周期的に配された微細な第二凹部12bとを有する凹凸構造15が形成される。
【0035】
等方性エッチング法としては、例えば、バレル型プラズマエッチング、平行平板型プラズマエッチング、ダウンフロー型ケミカルドライエッチング、などの各種ドライエッチング方式を用いることができる。
以上のようにして、基板10の表面に近い部分に周期的に配された凹部12からなる凹凸構造15を形成することができる。
【0036】
図9は、本実施形態の基体1の一構成例を模式的に示す断面図である。
本実施形態の基体は、基板10の表面に近い部分に周期的に配された凹部12からなる凹凸構造15を有する。
本実施形態の基体1は、基板10の表面に近い部分に周期的に配された凹部12からなる凹凸構造15を有している。この凹部12は、前述した本実施形態の方法によって形成されているので、高アスペクト比を有する。その結果、本実施形態の基体は、高アスペクト比を有する凹凸構造15からなる表面微細構造を備える。
このような高アスペクト比を有する凹凸構造15からなる表面微細構造を備えた基体1は、様々なデバイスに用いることができる。
具体的な適用例の一つとして、回折格子などの光学素子が挙げられる。本発明の表面微細構造により、光の波長程度の周期で並んだ凹凸構造を実現し、回折格子とすることができる。その他の適用例としては、生体解析や化学合成用のナノ流路やナノチャンバ、細胞配向のための基板、ナノインプリントのテンプレートがある。本発明の表面微細構造の形成方法により、このような複雑な形状をマスクレスで容易に形成することができる。
【0037】
以上、本実施形態の表面微細構造の形成方法および表面微細構造を有する基体について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。