特許第6012218号(P6012218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012218
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】麺塊上の包装パック載置構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/54 20060101AFI20161011BHJP
   B65B 61/20 20060101ALI20161011BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20161011BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B65D75/54
   B65B61/20
   A23L7/109 B
   B65D85/50 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-70737(P2012-70737)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-203399(P2013-203399A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安田 茂
(72)【発明者】
【氏名】田中 充
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−207439(JP,A)
【文献】 実開昭54−034383(JP,U)
【文献】 特開平06−270976(JP,A)
【文献】 特開2005−271935(JP,A)
【文献】 特開2009−153433(JP,A)
【文献】 実開昭59−055493(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/54
B65B 25/06
B65B 61/20
B65D 85/50
A23L 7/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
即席麺に添付される矩形状の包装パック及び乾燥麺塊が搬送される際の載置構造であって、前記乾燥麺塊の上部に前記包装パックが載置されており、該包装パックの隅部のうち少なくとも1箇所以上が下方に屈曲又は湾曲され、乾燥麺塊の麺線間に係合されている載置構造。
【請求項2】
即席麺に添付される矩形状の包装パック及び乾燥麺塊が搬送される際の載置構造であって、前記乾燥麺塊の上部に前記包装パックが載置されており、該包装パックの隅部のうち少なくとも1箇所以上が下方に屈曲又は湾曲されており、該屈曲又は湾曲部が乾燥麺塊の上面外周縁部に達している包装パックと麺塊との載置構造。
【請求項3】
1)乾燥麺塊を搬送する工程、
2)即席麺に添付される矩形状の包装パックの少なくとも1箇所以上の隅部を下方に屈曲又は湾曲させる工程、
3)該包装パックを搬送中の麺塊の上部より麺塊上面に載置させて、載置時に前記隅部のうち少なくとも1箇所以上を乾燥麺塊の麺線間に係合させる工程、
の各工程を備えた即席麺に添付される矩形状の包装パックの乾燥麺塊への載置方法。
【請求項4】
1)乾燥麺塊を搬送する工程、
2)即席麺に添付される矩形状の包装パックの少なくとも1箇所以上の隅部を下方に屈曲又は湾曲させる工程、
3)該包装パックを搬送中の麺塊の上部より麺塊上面に載置させて、載置時に前記隅部のうち少なくとも1箇所以上を乾燥麺塊の上面側面部に達するように載置する工程、
の各工程を備えた即席麺に添付される矩形状の包装パックの乾燥麺塊への載置方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の包装パックの乾燥麺塊への載置工程の後に、包装パック及び乾燥麺塊を一体として横ピロー包装にて包装する工程を加えた袋入り即席麺の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、即席麺の乾燥麺塊の上部に載置される包装パック及び当該包装パックと乾燥麺塊との載置構造に関するものである。
【技術分野】
【0002】
即席麺のうち、袋入り即席麺については種々のタイプが存在するが、乾燥された麺塊とスープパックを含む場合も多い。このようなタイプの場合、搬送する麺塊の上部に包装パックを載置した状態で搬送し、ピロー包装等の自動包装機で包装されることが多かった。
【0003】
このように袋入り即席麺において小袋パックを別添してピロー包装機で包装する場合、図1に示すように麺塊表面に供給した小袋パックの位置ずれが発生して、自動包装機シール部分で小袋パックをかみ込んだままシールしてしまう、また、自動包装機の搬送コンベア上で小袋パックが落下して自動包装機停止の原因になることがある。
【0004】
このような、小袋パックのずれを発生させている原因としては、通常、自動包装機の搬送コンベアで乾燥麺塊を搬送するが、当該麺塊の上部に包装パックを載置した状態で
搬送する場合、自動包装機搬送コンベアが振動することにより麺塊上の小袋パックが滑ること、自動包装機の停止時した後、再度動く場合の慣性による麺塊上の小袋パックの滑り、自動包装機でフィルムに包まれる際に、フィルムの走行速度との差で麺塊上の小袋パックが滑るということが原因として考えられる。
このような横ピロータイプの噛み込みの問題を解決する特許出願として、例えば、先行技術1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−106486 しかし、当該技術については麺塊上に載置された包装パックの噛み込みの防止を積極的に意図したものではなく、主として被包装物(乾燥麺)自体や被包装物(乾燥麺)由来の麺カスの噛み込みを防止するための包装機に関するものである。さらに、特殊なシール装置を必要としているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは上述のようなピロー包装の場合において、乾燥麺塊の上部に包装パックを載置した状態において、麺塊上部から包装パックが落下したり、滑ったりしない新たな方法を開発することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らの鋭意研究の結果、本発明者らは、通常の即席麺に使用される麺塊は乾燥され麺線群が入り組んだ状態で柔軟性を失って固形化しており、麺塊の表面において麺線群が隙間を有する状態で存在している。このような隙間を利用する方法を見出した。
【0008】
すなわち、通常の場合、包装パックは略矩形状の扁平な形状を有しており、4つの隅部を有している。その隅部は柔軟な材質からなることが多い。このような場合においては、当該角部を屈曲又は湾曲させて角部を尖らせておくことができる。
【0009】
そして、当該、隅部の先端を、乾燥麺塊の麺線同士の隙間に入れておくことで、麺塊から包装パックの落下が減少することを見出して本発明を完成するに至ったのである。
【0010】
まず、本出願人は、乾燥麺塊上に載置される隅部を屈曲又は湾曲させた包装パックを意図している。
【0011】
すなわち、本願第一の発明は、
「即席麺の乾燥麺塊に載置される矩形状の包装パックであって、当該包装パックの四隅のうち少なくとも1箇所以上の隅部が下方に屈曲又は湾曲している包装パック。」、
である。
【0012】
次に、本出願人は、上述のような包装パックの隅部を屈曲又は湾曲させ乾燥麺塊上に載置し、隅部が乾燥麺塊の麺線間に係合されている載置構造を意図している。
【0013】
すなわち、本願第二の発明は、
「即席麺に添付される矩形状の包装パック及び乾燥麺塊の載置構造であって、前記乾燥麺塊の上部に前記包装パックが載置されており、該包装パックの隅部のうち少なくとも1箇所以上が下方に屈曲又は湾曲され、乾燥麺塊の麺線間に係合されている載置構造。」、
である。
また、上記の係合箇所は1箇所でなく、屈曲又は湾曲した隅部の2箇所以上が係合している状態がより安定的に乾燥麺塊上での包装パックの移動を阻止することができる。
すなわち、本願第三の発明は、
「前記包装パックの乾燥麺塊の麺線間に係合されている部分が、前記包装パックの屈曲又は湾曲した隅部のうち2箇所以上である請求項2に記載の載置構造。」
である。
【0014】
次に、本出願人は、さらに検討を進めた結果、上述のような包装パックの隅部を屈曲又は湾曲させ乾燥麺塊上に載置し、当該隅部が必ずしも係合していない場合でも乾燥麺塊の上面外周縁部に達している場合でも包装パックの落下等を防止できることを見出した。
すなわち、本願第四の発明は、
「即席麺に添付される矩形状の包装パック及び乾燥麺塊の載置構造であって、前記乾燥麺塊の上部に前記包装パックが載置されており、該包装パックの隅部のうち少なくとも1箇所以上が下方に屈曲又は湾曲されており、該屈曲又は湾曲部が乾燥麺塊の上面外周縁部に達している包装パックと麺塊との載置構造。」、
である。
【0015】
また、上記の乾燥麺塊の上面外周縁部まで達している部分は1箇所でなく、屈曲又は湾曲した隅部の2箇所以上である状態がより安定的に乾燥麺塊上での包装パックの移動を阻止することができる。
【0016】
すなわち、本願第五の発明は、
「前記包装パックの乾燥麺塊の上面外周縁部に達している部分が、前記包装パックの屈曲又は湾曲した隅部のうち2箇所以上である請求項4に記載の載置構造。」、
である。
【0017】
次に、本出願人は、請求項2に記載する包装パックの載置構造を即席麺の製造ライン上で用いる方法についても意図している。
【0018】
すなわち、本願第六の発明は、
「1)乾燥麺塊を搬送する工程、
2)即席麺に添付される矩形状の包装パックの少なくとも1箇所以上の隅部を下方に屈曲又は湾曲させる工程、
3)該包装パックを搬送中の麺塊の上部より麺塊上面に載置させて、載置時に前記隅部のうち少なくとも1箇所以上を乾燥麺塊の麺線間に係合させる工程、
の各工程を備えた即席麺に添付される矩形状の包装パックの乾燥麺塊への載置方法。」
である。
【0019】
さらに、本出願人は、請求項4に記載する包装パックの載置構造を即席麺の製造ラインで用いる方法についても意図している。
【0020】
すなわち、本願第七の発明は、
「1)乾燥麺塊を搬送する工程、
2)即席麺に添付される矩形状の包装パックの少なくとも1箇所以上の隅部を下方に屈曲又は湾曲させる工程、
3)該包装パックを搬送中の麺塊の上部より麺塊上面に載置させて、載置時に前記隅部のうち少なくとも1箇所以上を乾燥麺塊の上面外周縁部に達するように載置する工程、
の各工程を備えた即席麺に添付される矩形状の包装パックの乾燥麺塊への載置方法。」
である。
【0021】
さらに、本出願人は、請求項6又は7に記載の包装パックの乾燥麺塊への載置の後に、包装パック及び乾燥麺塊を一体として横ピロー包装にて包装する工程を加えた即席麺の製造方法も意図している。
【0022】
すなわち、本願第八の発明は、
「請求項6又は7に記載の包装パックの乾燥麺塊への載置工程の後に、包装パック及び乾燥麺塊を一体として横ピロー包装にて包装する工程を加えた袋入り即席麺の製造方法。」、
である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の包装パックと乾燥麺塊の載置構造を採用することにより、生産ラインにおける麺塊の搬送中の包装パックの位置ずれや落下等の問題を抑制することができる。
【0024】
これによって、即席麺(特に袋入りタイプ)の生産においてラインの停止等を行わずにより効率的に生産を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来までの乾燥麺塊及び包装パックの包装時の問題点について記載した模式図である。
図2】本発明の包装パックと乾燥麺塊の第一の載置構造を示した斜視図である。
図3】本発明に利用できる乾燥麺塊の一例の斜視図である。
図4】本発明に利用できる乾燥麺塊の一例の斜視図である。
図5】本発明に利用できる麺塊の断面模式図である。
図6】本発明の包装パックと乾燥麺塊の第二の載置構造を示した斜視図である。
図7】本発明利用できる包装パックのである。(a)三方シールの斜視図である。(b)四方シールの斜視図である。
図8】本発明の四隅を屈曲又は湾曲させた包装パックの例である。(a)隅部を屈曲させた包装パックの斜視図である。(b)隅部を湾曲させた包装パックの斜視図である。
図9】本発明の包装パックと乾燥麺塊の第二の載置構造を示した斜視図である。
図10図9でAA´間で切断した場合の断面模式図である。
図11】他の包装パックの載置態様を示した断面模式図である。
図12】麺塊上の包装パックの移動を示した断面模式図である。
図13】包装パックの隅部を曲げる器具類の例を示したものである。(a)包装パック収納器の斜視図である。(b)収納器に対応したレールである。
図14】包装パック収納器を示した図である。(a)包装パック収納器の正面図である。(b)包装パック収納器の側面図である。(c)包装パック収納器の斜視図である。
図15】包装パック収納器の押出し棒を押した場合の正面図である。
図16】包装パック収納器及びレールを用いて包装パックの4隅部を屈曲又は湾曲させる場合の手順を示したものである。(a)レール上の包装パックに収納器を上部より収納する前の斜視図である。(b)レール上で包装パック収納器内に収納後にレール上を滑らせる場合の斜視図である。(c)包装パック収納器から包装パックを脱離させた後の斜視図である。
図17】即席麺の製造ラインにおける包装パックの乾燥麺塊への載置方法の一例を示したものである。(a)は乾燥麺塊及び包装パック収納器具及びレールの全体構成の側面部の断面模式図を示したものである。(b)は当該断面図に対応する麺塊の正面模式図を示したものである。(c)図(b)の矢印部(→)方向から見た場合の乾燥麺塊と包装パック収納器具の位置関係を示した模式図である。
図18】実施例及び比較例で使用した4隅部を湾曲後の包装パックの斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 包装パック
11 屈曲又は湾曲部
12 シール部
2 乾燥麺塊
3 包装パック収納器
31 押出し棒
32 上面部
33 側面部
331 第一側面部
332 第二側面部
34 ガイド部
35 包装パック送り棒
4 レール部
5 ラインにおけるレール部
6 麺塊の搬送コンベア
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の内容について図面を参照しながら説明する。図2は本発明の包装パックと乾燥麺塊の載置構造の一態様を示したものである。
【0028】
図2の実施態様においては、即席麺の乾燥麺塊2の上部に、四隅が屈曲した包装パック1が載置されている。また、屈曲した隅部11は、乾燥麺塊2の麺線同士の隙間部に入り込んでいる。
【0029】
─即席麺の乾燥麺塊─
本発明においては、即席麺に使用される乾燥麺塊2が用いられる。本発明にいう即席麺の乾燥麺塊2とは以下のような方法で製造する。まず、小麦粉、そば粉又は澱粉等を主原料とし、これに水、食塩又はかんすいその他麺の弾力性、粘性等を高めるものを加えて製麺する。次に、蒸煮又は茹で等でα化した麺線群を乾燥させることによって乾燥麺塊を得る。尚、必要に応じて調味料等で味付け等を行うことはもちろんである。
【0030】
また、即席麺については、一般的には、いわゆる乾燥麺塊がカップに収納され注湯するだけで喫食できるカップタイプと鍋等で調理する袋入りタイプが存在する。本発明はいずれのタイプでも利用できるが、特に乾燥麺塊2が扁平な形状であって、これがピロー包装される袋入りタイプにおいて好適に利用できる。
【0031】
尚、本発明にいう即席麺の乾燥麺塊2とは、いわゆるラーメン、うどん、そば等の種々のジャンルの麺が含まれる。
【0032】
─麺塊の乾燥方法─
本発明にいう乾燥麺塊2は、所定形状の型枠に収納されてから乾燥して得られる。乾燥方法としては油熱乾燥や熱風乾燥方法がある。本乾燥麺塊の含有水分は概ね12重量%以下であり、通常、2〜8重量%程度である。また、麺線は乾燥されているため柔軟性を有しておらず、無理に曲げようとすると折れるような状態となっている。
【0033】
また、麺線は蒸煮等のα化処理が施された後に型枠に収納されてから乾燥される工程を経る。ここで、型枠に収納される際に、麺線群がランダムに収納される場合には図3に示すような麺線がランダムに入り組んだ麺線群の塊となる。
【0034】
一方、麺線に切出す際にウエーブボックス等の導管により、麺線にウエーブをつけるタイプでは、図4に示すようにウエーブが残ったまま、型枠に収納され乾燥されるタイプとなる。
【0035】
本発明はこれらのいずれの乾燥麺塊に対しても適用ができる。また、本発明の乾燥麺塊とは、扁平状の乾燥麺塊が好適に利用でき、形状としては丸又は四角のいずれでも可能である。
【0036】
尚、乾燥麺塊2の全体的な形状については、図3図4に示すように平坦な形状でももちろん可能であるが、麺塊の形状が図5に示すように包装パックが載置される乾燥麺塊2の上面部が凹状になっていると、一層、包装パックの落下等を防止することができ、本発明の効果を奏することができる。尚、その他の形状でも可能であることはもちろんである。
【0037】
─包装パック─
本発明にいう包装パックとは、即席麺に添付される軟包材の袋パックであって、通常、スープや具材が封入されている。また、包装パックに充填されるスープや具材については、液状又は固体状のいずれでも可能である。
【0038】
通常の袋入りタイプであるとスープや具材が乾燥麺塊とは別に包装パックされて乾燥麺塊とともに封入されている。
【0039】
当該包装パックに用いられる包装材料としては、種々の材質が用いられるため、特に材質については限定されない。通常、軟包材の包装パックについては、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、NY(ナイロン)、PP(ポリプロピレン)、AL(アルミニウム)等が用いられる。
【0040】
本発明にいう包装パックの材質はこれらの素材を自由に組み合わせることができる。但し、本発明においては、包装パックの隅部を屈曲又は湾曲させる必要があるためいわゆるデッドフォールド(dead fold)性を付与できるアルミニウムを含むタイプが好ましい。
【0041】
具体的な、材質構成の例としては、ナイロン/アルミニウム/ポリエチレンの場合ややポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ポリプロピレン等の包装パックの材質構成が挙げられる。
【0042】
尚、本発明においては、乾燥麺塊への包装パックの載置から包装までは短時間で行われる場合が多いため、当該包材の隅部を屈曲又は湾曲させる場合には、屈曲又は湾曲させてから数十秒から数分間でも当該形状を保つことができれば、係合状態を実現できる。
【0043】
このため短時間でも上述のような屈曲又は湾曲した状態を維持できる包装材料を選択すれば十分である。
【0044】
また、これらの包装パックは、一般的には、所定のフィルム状の包材が円筒状にシールされて、内容物であるスープや具材が充填されつつシールされる方法(縦ピロー包装又は横ピロー包装)によって製造されるが、特にこのような方法に限定されるものではない。すなわち、最終的な包装パックが長方形等の矩形であって、四隅が存在すればよい。
【0045】
これらの包装パックのサイズについても特に限定されない。通常、乾燥麺塊の大きさよりも小さい場合においては、上述の図2に示すように乾燥麺塊2の麺線間に、湾曲等させた隅部を係合させることができる。
【0046】
また、乾燥麺塊の大きさに近い場合又はこれより大きい場合には、図6に示すように乾燥麺塊の屈曲又は湾曲した部分が乾燥麺塊の上面外周縁部に達しているタイプの利用が容易となる。
【0047】
尚、本発明にいう上面外周縁部に達しているとは、屈曲又は湾曲部が上面の外周縁部付近に係合している状態のみでなく、係合せずに外周縁部の一部を単に覆っている場合を含むものとする。
【0048】
但し、包装パックが乾燥麺塊の大きさよりも小さい場合であっても湾曲等した部分が乾燥麺塊の上面外周縁部に達しているタイプも当然可能であり、また、乾燥麺塊の大きさよりも大きい場合であっても乾燥麺塊の麺線間に係合させるタイプも可能である。
【0049】
─包装パックの製造方法─
本発明にいう通常、包装パックは縦ピロー包装や横ピロー包装のような方法で製造されるため、通常、図7(a)に示すように三方シールのタイプや、(b)に示すように四方シールのものが例として挙げられる。但し、これらに限定されないことはもちろんである。
【0050】
─隅部の屈曲又は湾曲─
矩形の包装パックの隅部には四隅があり、本発明ではこれらの四隅部を利用する。尚、上述のように包装パックには、シール部と実際に内容物が含まれる本体部を有するが、これらのいずれでも曲げることができればよい。
【0051】
尚、本発明にいう、屈曲又は湾曲とは、明確に差異があるわけではないが、図8に示すように、概ね、図8(a)に示すように屈曲とは四隅の特定の部分で鋭く曲がっていることをいう。また、湾曲とは図8(b)に示すように特定の領域に渡ってなだらかに曲がっているものをいう。また、これらの組み合わせであってもよいことはもちろんである。
【0052】
─係合─
本発明にいう係合とは、前記四隅部のうちいずれかの隅部が、麺線間の隙間に挿入されているか、麺線表面の凹凸部に隅部が接触等することによって隅部の移動が抑制されている状態をいう。
【0053】
本発明においては包装パックの四隅のいずれかの隅部が麺塊に係合していれば効果を奏することができる。すなわち、隅部のうち1箇所でも係合していれば乾燥麺塊上の隅部の移動は抑制される。但し、四隅のうち係合する隅部の数は多い方が好ましい。すなわち、2箇所以上であることが好ましい。係合する部分が多い方が包装パックの位置が固定されやすいためである。
【0054】
尚、本発明にいう係合とは、実際に麺塊の麺線間や麺線状の凹凸部に入り込んで接触して固定されている必要はない。つまり、麺線間の隙間に隅部の一部が入り込んでいる状態であればよい。
【0055】
すなわち、実際に接触していなくても、包装パックが滑り又は動いた際に、麺線と接触して、包装パックの麺塊上における自由な移動が阻害されるようになれば、十分である。
【0056】
このように係合しておくことで、自動包装充填(ピロー包装)等によって包装するために包装パックを上部に載置した状態で乾燥麺塊を搬送する際に振動等が起こっても、係合部分で包装パックの移動が抑制される。これによって包装パックの落下防止することができる。
【0057】
尚、上記のような係合状態は隅部を曲げた包装パックを乾燥麺塊上に意図的に載置しなくても実現できる。すなわち、乾燥麺塊上に隅部を曲げた包装パックを載置すると、乾燥麺塊上は麺線間に多数の隙間部と多くの凹凸部を有するため、包装パックの隅部のいずれかは係合することになる。これによって、本発明の効果を得ることができる。
【0058】
─屈曲又は湾曲部が乾燥麺塊の上面外周縁部に達している─
本発明においては上述の係合状態のみならず、図9に示すように前記屈曲又は湾曲部11が乾燥麺塊2の上面外周縁部に達している状態も意図している。図9においては四隅のいずれも乾燥麺塊の上面外周縁部まで達している。このような構成の場合、上面外周縁部同士を結んだAA´間で切断した断面を見ると、図10に示すように乾燥麺塊2の上に包装パック1が載置され、対角線状の2箇所の隅部で麺塊を覆うような構造となっている。
【0059】
このように屈曲又は湾曲部が乾燥麺塊の上面外周縁部まで達していることで包装パックの自由な移動を妨げることができる。すなわち、当該包装パックを載置した状態で麺塊が移動する際に、当該包装パックが麺塊から落下するのを防止することができる。
【0060】
尚、このように隅部が乾燥麺塊の上面外周縁部まで達している場合、その他の隅部が前述の係合状態となっているような組み合わせの態様も好適である。すなわち、図11に示すような即席麺塊と包装パックの断面図となっている状態であり、このような状態においても包装パックの移動を防止することができる。
【0061】
さらに、図11は、四隅部のうちの1箇所の隅部のみが湾曲又は屈曲され、当該湾曲部が乾燥麺塊の上面外周縁部に達している状態を示している。このような場合、図9図11で示した場合よりも即席麺塊上で包装パックは移動しやすいが、例えば、屈曲又は湾曲部11が麺塊上面の外周縁部付近から乾燥麺塊表面の中央方向に移動することで係合状態が実現する場合もあり、このような移動によって包装パックの麺塊上での移動を防止することもできる場合もある。
【0062】
─包装パックの隅部の折り曲げ方法について─
本発明においては、隅部を折り曲げて屈曲又は湾曲を形成させるが、曲げる角度等についても特に限定されるものではない。前述したように麺塊に係合等できる程度であれば十分である。
【0063】
隅部を曲げる方法としては、種々の方法が採用されるが、手作業で曲げてもよいし、例えば、以下の図13(a),(b)に示すような器具類を用いても良い。
【0064】
以下に、これらの器具類を用いて包装パックの四隅を曲げる方法について説明する。図13に示すように器具類は二種類の器具から構成されており、包装パック収納器3とこれに対応したレール4から構成されている。
【0065】
また、図14は包装パック収納器3の正面図(a)、側面図(b)、斜視図(c)を示したものである。
【0066】
包装パック収納器3は、下面側から包装パック1挿入することにより、包装パック1の四隅部を強制的に湾曲させるように構成されている。
【0067】
すなわち、本器具の第二側面部332の4箇所は内方向に曲がっているため、包装パック1を収納した場合に、当該第二側面部332の下端部が包装パック1の四隅部が接触する。そして、包装パック1をさらに内部に押し込むことで包装パック1が曲げられつつ四隅部がより曲げられる。
【0068】
さらに、本器具内に収納され、四隅部が曲げられた状態の包装パック1を器具外に押出すために上部にスプリングを備えた押出し棒31が設けられている。四隅が曲げられた状態で内部に収納された包装パック1を押出し棒31で押出すことで内部の包装パック1を外部に押出すことが可能となる。
【0069】
次に、上記の器具類を用いて即席麺の製造ラインを想定した上で機械的に包装パックの四隅を折り曲げて、押出す(排出する)手順について以下の図16を参照して説明する。
【0070】
まず、図16(a)に示すようにレールの上に置かれた包装パックの上部より包装パック収納器具を被せて包装パックを内部にまで押し込む。本過程で包装パック収納器具の第二側面部により包装パックの四隅が曲げられ湾曲される。
【0071】
次に(b)に示すようにレール上に被せた状態で包装パック収納器具をスライドさせ、さらに、(c)に示すように包装パック押出し棒を下げることで四隅が湾曲した包装パックを押出す。
【0072】
具体的な製造ラインにおいては、このような器具類を応用した装置を用いて、レール端の下部に乾燥麺塊が移動させられて位置するようにしておき、押出された包装パックを当該乾燥麺塊の上面に載置することができる。
【0073】
─製造ラインにおける包装パックの乾燥麺塊への載置方法─
前記包装パック収納器3とレールを利用して実際の製造ラインにおいて乾燥麺塊2へ包装パック1を載置する方法の一例ついて述べる。
【0074】
図17は本発明の包装パック1について隅部を湾曲させつつ、搬送中の乾燥麺塊2に載置する場合のライン構成の一態様の説明図である。
【0075】
図17(a)は乾燥麺塊2及び包装パック収納器具3及びレール5の全体構成の側面部の断面模式図を示している。次に、(b)は当該断面図に対応する麺塊2の正面模式図を示したものである。さらに(c)は(b)の矢印部(→)方向から見た場合の乾燥麺塊2と包装パック収納器具3の位置関係を示した模式図である。
【0076】
図17(a)〜(c)に示すように乾燥麺塊2がコンベア6上で搬送されており、上部に配置されたレール5上を包装パック1が併走する構成を示している。また、包装パック1は、上述の包装パック収納器3に下側から収納され、レール上を移動する過程で四隅が曲げられる。その後に押出し棒31により収納器3から搬送されている乾燥麺塊2上に落下し、麺塊2上に載置され係合状態が実現する。このようにして包装パック1と乾燥麺塊2の載置構造が完成する。
【0077】
そして、図17では示していないが、包装パック1と乾燥麺塊2の載置状態のまま横ピロー包装等され、袋入り即席麺が完成する。
【実施例】
【0078】
以下に本発明の実施例を記載する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0079】
─麺塊の調製─
小麦粉にかん水、食塩及び水を添加して、混練した後、複合→圧延を行い麺帯を押出した。当該麺帯を切刃によって切出し、切出し後の麺線を蒸煮・着味した後、カットした。
【0080】
当該カット後の麺線群をランダム状態のまま、円形リテーナに収納し、上部を蓋をした後、植物油でフライした。当該フライ後の麺塊を次の試験に利用した。尚、当該フライ麺は円形で、直径は概ね130mm、厚さは概ね30mmであった。
【0081】
さらに、麺塊の中央部にくぼみをつけた麺塊の調製のため、前記蓋の上部に凸部を設けた蓋を利用して、麺塊の上部に凹状のくぼみを設けた麺塊を調製した。これらの二種類の麺塊を用いて以下の試験を行った。
【0082】
─包装パック─
材質としてナイロン/ポリエチレン/アルミニウム/ポリエチレンの包装材料を二つ折して下端をヒートシールして作成し、内部にかやく及び粉末スープを12gを封入した後、さらにヒートシールすることにより上端を封入した後に、カットすることによって調製した縦×横×厚み:90×90×20mmの包装パックを複数準備した。
【0083】
本包装パックの一部を図14の器具を用いて4隅部を湾曲させて、図18に示すような4隅部が湾曲した包装パックを複数準備した。
【0084】
─包装パックと乾燥麺塊の積層構造─
上述の麺塊の上部の中央部に包装パック(隅部を湾曲したもの及びしないもの)を載置して、以下の試験を行った。
【0085】
─試験方法─
ステンレスの金属板に乾燥麺塊を固定し、当該麺塊の上部に包装パックを載置して、当該金属板を傾けることでどの程度角度まで包装パックが麺塊上を滑り落ちるかを試験した。試験は、乾燥麺塊が通常の場合と凹部を有する場合の二種類を行い、試験は5回行った。結果を以下の表1及び2示す。表内の各数値は、包装パックが滑り落ち始めた際の傾斜角度を示す。

1.使用した麺塊が通常の場合
【0086】
【表1】
【0087】
2.使用した麺塊が凹部ありの場合
【0088】
【表2】
【0089】
使用した麺塊が凹部有り又は無しのいずれの場合でも、包装パックの隅部を湾曲後に載置した方が、包装パックが滑り落ちる傾斜角度が高かった。
【0090】
包装パックの隅部を曲げることで、ライン上で包装パック及び乾燥麺塊の振動等に対して落下を抑制することができることを示す結果である。
【0091】
また、麺塊が凹部を有する場合においてはさらに、傾斜角度が高くても包装パックが乾燥麺塊の表面で保持できることが分かった。すなわち、より大きな振動等に対しても包装パックの落下を防止することができることを示す結果である。
図1
図2
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図18