(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光送信部は、バイアス電流に応じた光出力レベルの光信号を送出するレーザダイオードと、該レーザダイオードから出力された光を受光するモニタフォトダイオードとを有し、
前記制御部は、前記モニタフォトダイオードが受光した受光レベルに応じて、前記温度特性情報で示される光出力レベルを補正することを特徴とする請求項2記載の光端末装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、伝送路に同軸ケーブルを使用したCATVシステムなどにおいて、ケーブルモデムを使用したインターネットサービスが運用されている。そして、近年、このケーブルモデムを用いたシステムで伝送路を光ファイバ化し、PONシステムとすることが検討されている。
【0006】
しかしながら、ケーブルモデムを用いたシステムで伝送路を光ファイバ化し、PONシステムとした場合、異なる光端末装置からバースト状の上り光信号をそれぞれ出力させた際、終端装置では同一波長帯の光信号を同時に受信する場合がある。この場合、終端装置の光受信器で光ビート雑音が発生し、伝送品質が著しく劣化するという問題がある。
【0007】
このように光ビート雑音による伝送品質劣化が問題となるが、上述したように、複数の光端末装置から同時に送信されて終端装置に入力される光入力レベルがほぼ同じだと、伝送品質の劣化が少ない傾向にある。また、終端装置に入力される光入力レベルが低いほど、上述した光ビート雑音による伝送品質の劣化が小さい傾向にある。
【0008】
このため、光端末装置は、終端装置に入力される光入力レベルが、その下限値近傍で精度良く均一化されるように光信号を送信することが望まれる。
【0009】
上記特許文献1の光伝送方法により、光端末装置側で個別に光出力レベルを調整することができるが、伝送路は温度特性等を持つため、終端装置での光受信レベルは、気温等で変化する。よって、終端装置の光受信器において常時光入力レベルを検出し、光端末装置の光出力レベルを制御しなければならなかった。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、複数の光端末装置とともに単一の光伝送路を介して双方向に光信号を伝送可能に接続された通信局舎に設置された非同期の終端装置との間で同一波長帯の光信号の伝送を行う伝送システムに適用されるものである。本発明は、このような伝送システムにおいて、終端装置に入力される光入力レベルを、その下限値近傍で精度良く均一化することで、光ビート雑音を低減可能な光端末装置、及び、その光伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光端末装置は、他の光端末装置とともに単一の光伝送路を介して双方向に光信号を伝送可能に接続された通信局舎から出力された光信号を受信する光受信部と、通信局舎に設置された互いに非同期である各終端装置によって制御される送信タイミングに基づいて、他の光端末装置と同一波長帯のバースト状の光信号を、光伝送路を介して、通信局舎に送信する光送信部と、光受信部が受信した光信号の光入力レベルを検出する光入力レベル検出部と、通信局舎が光伝送路を介して受信する光信号の目標光入力レベルとが記憶された記憶部と、記憶部に記憶された局舎側光出力レベルと、光入力レベル検出部により検出した光入力レベルとに基づいて、光伝送路の伝送損失を算出する伝送損失算出部と、伝送損失算出部により算出された伝送損失に基づいて、通信局舎が受信する光入力レベルが、記憶部に記憶された目標光入力レベルとなるように、光送信部から伝送路に出力する光出力レベルを制御する制御部とを備える。
【0012】
また、本発明に係る光伝送システムは、互いに非同期な複数の終端装置が設置された通信局舎と、上述した光端末装置とから構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、通信局舎から光伝送路に出力される光信号の局舎側光出力レベルと、光伝送路から入力した光信号の光入力レベルとから算出した伝送損失に基づいて、目標光入力レベルの光信号を通信局舎が受信するように、光送信部から出力される光出力レベルを制御する。
【0014】
このように、本発明は、光送信部から出力される光出力レベルを制御することで、通信局舎側に入力される光入力レベルを、その下限値近傍で精度良く均一化することができ、結果として光ビート雑音を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、複数の光端末装置が単一の光伝送路を介して双方向に光信号を伝送可能に接続された通信局舎との間で光信号の伝送を行う光伝送システム、及び、この光伝送システムに組み込まれる光端末装置に関するものである。本発明が適用される光伝送システムは、例えば
図1に示すようにして構成される。
【0017】
すなわち、光伝送システム1は、複数の光端末装置が単一の光伝送路を介して双方向に光信号を伝送するために接続された通信局舎との間で光信号の伝送を行うPON(Passive Optical Network)システムである。具体的に、光伝送システム1は、
図1に示すように、後述するCMTS41に同期した通信を行う複数のケーブルモデム(CM:Cable Modem)211a、211b、・・・、211n(以下、総称してCM211ともいう。)と、後述するCMTS42に同期した通信を行う複数のケーブルモデム(CM:Cable Modem)212a、212b、・・・、212n(以下、総称してCM212ともいう。)と、複数の光端末装置2a、2b、・・・2n(以下、総称して光端末装置2ともいう。)と、光伝送路3と、光伝送路3を介して各光端末装置2との間で光信号によって通信する通信局舎4とから構成される。
【0018】
光端末装置2a、2b、・・・、2nは、それぞれ合分波器22a、22b、・・・、22n(以下、総称して合分波器22ともいう。)を介して、CM211a、211b、・・・、211nと、CM212a、212b、・・・、212nとに接続されている。
【0019】
CM211及びCM212は、光端末装置2から供給されたRF信号(以下、RF下り信号ともいう。)を復調する。また、CM211及びCM212は、復調したRF下り信号に含まれているデータ送信タイミングに基づいて、送信先への信号を変調したバースト状のRF信号を光端末装置2を介して通信局舎4側に出力する。また、CM211は、送信先のCMTS41に同期して、バースト状のRF信号の送出期間及び送出タイミングを制御する。また、CM212は、送信先のCMTS42に同期して、バースト状のRF信号の送出期間及び送出タイミングを制御する。
【0020】
光端末装置2は、光伝送路3から伝送されてきた光信号をRF信号に変換して、合分波器22を介してCM211及びCM212に供給する。また、光端末装置2は、CM211及びCM212から出力されたバースト状のRF信号をバースト状の光信号に変換して、光伝送路3に出力する。
【0021】
光伝送路3は、複数の光端末装置2と通信局舎4との間で、光信号を伝送可能に接続する。光伝送路3は、光分岐器3aと、光端末装置2a、2b、・・・、2nと光分岐器3aとの間を双方向に光信号を伝送可能に接続する光伝送路31a、31b、・・・31n(以下、総称して光伝送路31ともいう。)と、光分岐器3aと通信局舎4との間で双方向に光信号を伝送可能に接続する単一の光伝送路32とから構成される。
【0022】
光分岐器3aは、光信号を分波及び合波する光カプラなどの受動型の光学素子である。光分岐器3aは、光伝送路31を介して各光端末装置2から伝送されてくる光信号を合波し、光伝送路32を介して通信局舎4に伝送する。また、光分岐器3aは、光伝送路32を介して通信局舎4から伝送されてくる光信号を分波し、光伝送路31を介して各光端末装置2に伝送する。
【0023】
なお、光分岐器3aは、溶融型と導波路型とに大別されるが、上記のような合波と分波とを行う受動型の光学素子であれば、いずれの種類のものを用いてもよい。
【0024】
また、光端末装置2から通信局舎4に伝送される光信号(以下、上り光信号ともいう。)と、通信局舎4から光端末装置2に伝送される光信号(以下、下り光信号ともいう。)とは、互いに異なる波長帯の光信号が用いられる。本実施形態では、具体例として、上り光信号を1610nm波長帯の光信号を用いるものとし、下り光信号を1555nm波長帯の光信号を用いるものとする。
【0025】
このような構成からなる光伝送システム1では、光分岐器3aを用いることにより、単一の光伝送路32を介して、複数の光端末装置2と通信局舎4との間が双方向に光信号によって伝送可能となる。なお、本発明が適用される光伝送システムは、複数の光分岐器を用いて、複数の光端末装置2と通信局舎4との間が光信号によって伝送可能とすることができる。
【0026】
次に、通信局舎4の具体的な構成について説明する。通信局舎4には、2つのケーブルモデム終端装置(CMTS:Cable Modem Termination System)41、42と、光受信器43と、合波器44と、光送信器45と、WDMフィルタ46と、管理装置47と、制御信号付加器48とが設けられている。
【0027】
CMTS41は、本発明に係る終端装置であって、各光端末装置2に接続されているCM211との間で通信を行う信号の変調と復調とを行う。具体的に、CMTS41は、各光端末装置2に接続されているCM211に送信する信号を変調し、変調したRF信号を上りポート411から、合波器44に供給する。また、CMTS41は、光受信器43から分波器43aを介して下りポート412に供給されるRF信号を復調する。
【0028】
CMTS42は、本発明に係る終端装置であって、各光端末装置2に接続されているCM212との間で通信を行う信号の変調と復調とを行うため、CMTS41と同様に、上りポート421から変調したRF信号を合波器44に供給し、光受信器43から分波器43aを介して下りポート422に供給されるRF信号を復調する。
【0029】
なお、通信局舎4には、より多くのCMTSを設けてもよい。また、CMTSは、他の終端装置と識別可能な変調方式であれば、周波数変調、及び、位相変調など、いかなる変調方式を用いてもよい。
【0030】
光受信器43は、後述するWDMフィルタ46から分波された下り光信号を受光し、分波器43aを介して、受光したRF信号を各CMTS41、42に供給する。
【0031】
合波器44は、各CMTS41、42から供給されるRF信号を合波して、合波したRF信号を光送信器45に供給する。
【0032】
光送信器45は、合波器44から供給されるRF信号を下り光信号に変換してWDMフィルタ46に出力する。
【0033】
WDMフィルタ46は、異なる光波長の光を合波及び分波するフィルタであって、光伝送路32から上り光信号を分波して光受信器43に出力するとともに、下り光信号を光伝送路32に合波して光端末装置2側に出力する。
【0034】
管理装置47は、通信局舎4に設けられた各部の動作を制御する。また、管理装置47は、後述する制御情報を制御情報付加器48に送信する。
【0035】
制御情報付加器48は、CPU481と、変調部482とを有し、管理装置47から送信された制御情報を変調部482により変調して、変調したRF信号を合波器44に供給する。
【0036】
このような構成からなる光伝送システム1では、通信局舎4側の光送信器45から送信される下り光信号が全ての光端末装置2に到達し、光端末装置2とCM211、212が必要な情報を受信することとなる。
【0037】
一方、CM211は、通信局舎4側から伝送されてきた下り光信号に含まれるデータ送信タイミング情報に基づいて、通信局舎4に設置されたケーブルモデム終端装置CMTS41への上りデータを変調したバースト状のRF信号を光端末装置2に供給する。そして、光端末装置2は、CM211から供給されたRF信号に対応するバースト状の光信号を通信局舎4側に伝送する。
【0038】
また、CM212は、通信局舎4側から伝送されてきた下り光信号に含まれるデータ送信タイミング情報に基づいて、通信局舎4に設置されたケーブルモデム終端装置CMTS42への上りデータを変調したバースト状のRF信号を光端末装置2に供給する。そして、光端末装置2は、CM212から供給されたRF信号に対応するバースト状の光信号を通信局舎4側に伝送する。
【0039】
このようにして、光伝送システム1では、各光端末装置2から出力される上り光信号が、同時に通信局舎4側に入力しないように時分割多重によるデータ伝送を行っている。
【0040】
このような時分割多重によってデータ伝送を行っていても、通信局舎4に設置されたCMTS41、42が互いに非同期で動作しているため、複数の光端末装置2が上り光信号を同時に出力する場合がある。これは、各CM211、212に対してバースト状の上り光信号の送信を要求するタイミングを、それぞれCMTS41、42が非同期で制御しているからである。
【0041】
このように複数の光端末装置2が上り光信号を同時に出力する場合、通信局舎4の光受信器43は、同一波長帯の光を同時に受光するため、光ビート雑音が発生し、伝送品質が損なわれる。このような光ビート雑音は、光受信器43の光入力レベルが、その下限値近傍で精度良く均一化すると低減される。
【0042】
そこで、本発明が適用された光伝送システム1は、通信局舎4に伝送されてくる上り光信号の光入力レベルを、その下限値近傍で精度良く均一化するため、光端末装置2が、第1の実施例として
図2に示すような構成を有している。
【0043】
すなわち、光端末装置2は、
図2に示すように、合分波部22と、RF検出部23と、可変減衰器24と、光送信部25と、WDMフィルタ26と、光受信部27と、光入力レベル検出部28と、光送信制御部29とを備える。
【0044】
合分波部22は、CM211、212から供給されるRF信号を、RF検出部23に設けられた分波部231を介して、可変減衰器24に供給する。
【0045】
RF検出部23は、分波部231を介して、CM211、212がRF信号の送出期間及び送出タイミングに応じて、バースト状のRF信号を出力しているか否かを検出して、検出結果を光送信制御部29に通知する。
【0046】
可変減衰器24は、RF検出部23の分波部231を介して供給されるRF信号を可変減衰して信号振幅比を調整して、信号振幅比を調整したRF信号を光送信部25に供給する。後述するように、可変減衰器24は、光送信制御部29によって制御される。なお、光端末装置2は、可変減衰器24の代わりに利得可変型増幅器を、光送信部25の前段に接続して、RF信号の信号振幅比を調整してもよい。
【0047】
光送信部25は、可変減衰器24から供給されるRF信号を上り光信号に変換し、変換した上り光信号をWDMフィルタ26に出力するため、次のような構成を有する。すなわち、光送信部25は、増幅器251と、レーザダイオード252と、モニタフォトダイオード253と、抵抗素子254と、ADコンバータ255とを備える。
【0048】
光送信部25は、増幅器251により増幅したRF信号をレーザダイオード252に流して発光させて、RF信号を上り光信号に変換して、上り光信号をWDMフィルタ26に出力する。
【0049】
また、光送信部25は、モニタフォトダイオード253により、レーザダイオード252の背面光を受光し、受光した電流を抵抗素子254により電圧に変換し、この電圧をADコンバータ255により数値化する。光送信部25は、数値化した電圧値を、レーザダイオード252の光出力レベルを示す値として、光送信制御部29に通知する。
【0050】
また、光送信部25は、後述するように、レーザダイオード252の動作点、すなわち、レーザの出力レベルを設定するバイアス電流が、光送信制御部29により制御される。
【0051】
WDMフィルタ26は、異なる光波長の光を合波及び分波するフィルタであって、光送信部25から出力された上り光信号を光伝送路3に合波して通信局舎4に出力する。また、WDMフィルタ26は、光伝送路3から伝送されてくる下り光信号を分波して光受信部27に出力する。
【0052】
光受信部27は、WDMフィルタ26から出力された下り光信号を受光するフォトダイオード271と、フォトダイオード271により受光した電気信号を増幅する2つの増幅器272、273とを備える。光受信部27は、フォトダイオード271で受信した電気信号を、2つの増幅器272、273により増幅して、合分波部22に供給する。
【0053】
光入力レベル検出部28は、光受信部27に入力した下り光信号の光入力レベルを検出して、検出した光入力レベルを光送信制御部29に通知する。具体的に、光入力レベル検出部28は、フォトダイオード271で受光した電流を抵抗素子281で電圧に変換し、この電圧をADコンバータ282により数値化し、この電圧値を光受信部27の光入力レベルとして光送信制御部29に通知する。
【0054】
光送信制御部29は、CPU291と、メモリ292と、温度センサ293と、DAコンバータ294と、Ib制御部295とを備える。
【0055】
光送信制御部29は、CPU291が、光送信部25の光出力レベルと、光受信部27の光入力レベルと、温度センサ293で検出した温度と、メモリ292に記憶された情報とに基づいて、光送信部25が備えるレーザダイオード252のバイアス電流を制御する。光送信制御部29は、DAコンバータ294によりバイアス電流制御信号に変換し、Ib制御部295が、バイアス電流制御信号によりレーザダイオード252のバイアス電流を制御する。また、光送信制御部29は、後述するように、光送信部25の光出力レベルに応じて、可変減衰器24の動作を制御することで、上り光信号の光出力レベルが変化しても光変調度が一定となるように調整することができる。
【0056】
このような構成からなる光送信制御部29は、CPU291が、当該光端末装置2と通信局舎4との間で伝送される光信号の伝送損失に基づいて、目標光入力レベルで上り光信号が通信局舎4に入力されるように、レーザダイオード252の光出力レベルを制御する。
【0057】
このような制御を行うため、メモリ292は、通信局舎4から光伝送路3に出力される下り光信号の局舎側光出力レベルPcfと、各光端末装置2から通信局舎4に入力する上り光信号の目標光入力レベルPciとを予め記憶している。なお、局舎側光出力レベルPcfと目標光入力レベルPciとは、同一のメモリ292に記憶されている場合に限定されず、それぞれ異なる記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0058】
CPU291は、メモリ292に記憶された局舎側光出力レベルPcfと、光入力レベル検出部28により検出した光入力レベル(以下、端末側光入力レベルPhiともいう。)とに基づいて伝送損失を算出する。
【0059】
具体例として、局舎側光出力レベルPcf=+14dBm、端末側光入力レベルPhi=−8dBmとすると、CPU291は、Pcf−Phiにより、光伝送路3の下り光信号の伝送損失である22dBを算出する。下り光信号と上り光信号とが同一の伝送路3を伝送するので、両者の伝送損失が同等であるものとする。目標となる局舎側光入力レベルPci=−20dBmの場合、CPU291は、下記の式に従って、目標となる光入力レベルPciで光信号が通信局舎4に入力されるような、光送信部25から出力される端末側光出力レベルPhfを高精度に算出することができる。
【0060】
Phf=Pci+22=−20+22=+2dBm
なお、上り信号と下り信号とでは、伝送損失が同等としたが、周波数帯が異なる。よって、光送信制御部29は、CPU291により、下り光信号の伝送損失を伝送損失の波長依存性に基づいて補正した値を、上り光信号の伝送損失として用いてもよい。これにより、より高精度に目標光入力レベルPciの光信号を通信局舎4に入力することができる。
【0061】
このようにして、光送信制御部29は、光送信部25から出力される光出力レベルを制御することで、通信局舎4に入力される上り光信号の光入力レベルを、その下限値近傍で精度良く均一化することができ、結果として光ビート雑音を低減することができる。
【0062】
また、光送信制御部29は、温度センサ293により、光送信部25が備えるレーザダイオード252の環境温度を検出して、この環境温度に応じてCPU291がレーザダイオード252の光出力レベルを制御する。このような制御を行うため、メモリ292は、次のような温度特性情報を記憶している。すなわち、メモリ292は、環境温度と、レーザダイオード252のバイアス電流値から算出される光出力レベルとの対応を表す関数又はルックアップテーブルを予め記憶している。
【0063】
CPU291は、温度センサ293により検出した環境温度に対応する温度特性情報をメモリ292から読み出し、光送信部25から出力される光出力レベルPhfを得るようなバイアス電流値を算出する。このようにして、光送信制御部29は、レーザダイオード252の温度に応じて変化する光出力特性を考慮して、光送信部25から出力される光出力レベルPhfをより高精度に制御することができる。
【0064】
また、CPU291は、光送信部25から通知されるモニタフォトダイオード253の光出力レベルに基づいて、メモリ292に記憶された温度特性情報を補正してもよい。このようにして、CPU291は、例えば経年変化するレーザダイオード252の温度特性を補正することができる。
【0065】
また、CPU291は、光送信部25のレーザダイオード252の光出力レベルを制御するとともに、光送信部25により送信される光信号の光変調度が所定の値となるように、可変減衰器24から出力されるRF信号の信号振幅値を変化させる。これは、光信号の変調度は、光出力レベルに応じて変化し、この変化が大きくなると歪み特性が劣化し、この変化が小さくなるとCNRが劣化し、いずれの場合も伝送特性が悪化するためである。すなわち、CPU291は、可変減衰器24により、RF信号の信号振幅レベルを適切に変化させることで、光変調度が変化しないようにすることができる。
【0066】
また、光送信制御部29は、RF検出部23による検出結果に応じて、当該光送信制御部29の動作を制御する。すなわち、光送信制御部29は、CM211、212がRF信号を出力している期間のみ、動作する。このようにして、光送信制御部29は、通信局舎4の各CMTS41、42に同期した送出タイミングで動作することによって、CM211、212により供給されたRF信号に対応したバースト状の上り光信号を出力することができる。
【0067】
次に、第2の実施例に係る光端末装置5について説明する。第2の実施例に係る光端末装置5は、上述した第1の実施例に係る光端末装置2と同様の構成を備え、更に、通信局舎4から伝送されてくる光信号に変調されている制御信号を復調する制御信号復調部51を備える。なお、上述した第1の実施例に係る光端末装置2と同様の構成について、同様の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0068】
制御信号復調部51は、光受信部27により受信したRF信号を分波する分波部511を有し、分波部511から分波されたRF信号から制御信号を復調し、復調した制御信号を光送信制御部29に供給する。分波部511は、例えば、
図3に示すように、増幅器272、273の間に接続される。このような接続により、光端末装置5は、上り光信号から変換されたRF信号を、所望とする信号レベルで、合分波部22に供給することができる。
【0069】
制御信号復調部51により復調される制御信号は、次のようにして通信局舎4により変調されて、光端末装置5に送信される。通信局舎4は、例えば、上り光信号の伝送損失が、下り光信号の伝送損失に比べて大きかった場合には、光受信器43で受信する光入力レベルが目標よりも小さくなる。このような具体例を含め、通信局舎4は、目標光入力レベルPciの変更が必要となる場合がある。
【0070】
そこで、通信局舎4は、管理装置47が、目標光入力レベルPciを制御情報付加器48に送信して、制御情報付加器48が目標光入力レベルPciを制御信号としてRF信号に変調して、光送信器45により下り光信号を光端末装置5に送信する。
【0071】
また、通信局舎47は、光伝送路3を介して接続された全ての光端末装置5に対して、同一の目標光入力レベルPciを設定してもよいし、光端末装置5毎に異なる値を設定するようにしてもよい。
【0072】
光端末装置5は、上述した制御信号が変調されている光信号を光受信部27が受信すると、制御情報復調部51が制御信号を復調して、光送信制御部29に供給する。光送信制御部29は、CPU291が、メモリ292に記憶されている目標光入力レベルPciを、制御情報復調部51からの制御信号に示されている目標光入力レベルPciに変更する。
【0073】
このようにして、光端末装置5は、通信局舎4からの要求に応じて変更した目標光入力レベルPciで高精度に上り光信号が通信局舎4に入力されるように、光送信部25の動作を制御することができる。
【0074】
なお、本発明が適用された光端末装置2、5は、上述した実施例に限定されることなく、種々の変更が可能であることはもちろんである。