(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒステリシス制御回路は、前記第1の制御信号に応じて、前記インダクタに流れる電流の上限値と下限値とを設定し、前記インダクタに流れる電流が前記上限値と前記下限値との間にあるように前記第1のスイッチを制御する前記第2の制御信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のLED調光回路。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のLED調光回路10を示した回路図である。従来のLED調光回路10は、入力電圧Vinが入力される電源端子20、インダクタ40、スイッチ50、電流検出部60、制御端子70、ヒステリシス制御回路80、及びフリーホイールダイオード90を備える。LED調光回路10は、LED30に流れる電流を制御することで、LED30の発光量を制御する。LED30は、入力電圧Vinが入力され出力電圧Voutを出力する。
【0003】
電源端子20とグラウンドとの間に、LED30、インダクタ40、スイッチ50、電流検出部60が順に接続される。フリーホイールダイオード90は、LED30及びインダクタ40と並列に接続される。
【0004】
スイッチ50は、電源端子20とグラウンドとの間に、LED30及びインダクタ40を介した電流パスを形成するか否かを切り替える第1のスイッチとして機能する。スイッチ50がオン状態のとき、インダクタ40に流れたインダクタ電流ILはスイッチ50を通りグラウンドに流れる。また、スイッチ50がオフ状態のとき、インダクタ電流ILはフリーホイールダイオード90により、LED30の入力端に回生される。フリーホイールダイオード90は、スイッチ50が上記電流パスを形成しないときに、インダクタ40に流れるインダクタ電流ILをLED30の入力端子に回生させる第2のスイッチとして機能する。
【0005】
スイッチ50がオン状態にされたとき、電流検出部60は、インダクタ電流ILを検出する。本例の電流検出部60は、スイッチ50及びグラウンドの間に流れる電流を検出する。また、電流検出部60は、ヒステリシス制御回路80に検出電流を出力する。
【0006】
ヒステリシス制御回路80は、制御端子70及びスイッチ50に接続される。制御端子70は、ヒステリシス制御回路80に第1の制御信号Ctrl1を出力する。また、第1の制御信号Ctrl1は、LED30の調光量を示しており、LED30の平均電流IAに対応する。
【0007】
ヒステリシス制御回路80は、第1の制御信号Ctrl1及び電流検出部60が検出したインダクタ電流ILに基づいて、スイッチ50を制御する。具体的には、電流検出部60が検出するインダクタ電流ILの平均が、第1の制御信号Ctrl1に応じた値となるように、スイッチ50を制御する。ヒステリシス制御回路80は、スイッチ50に第2の制御信号Ctrl2を出力する。スイッチ50は、インダクタ40に流れる電流が、第1の制御信号Ctrl1で示される調光量に応じた範囲内で変動するように、第2の制御信号Ctrl2によって制御される。
【0008】
より具体的には、ヒステリシス制御回路80は、インダクタ電流ILに応じた検出信号に基づきスイッチ50をオンオフ制御して、インダクタ電流ILをピーク電流IPとボトム電流IBとの間で往復させる。また、ヒステリシス制御回路80は、第1の制御信号Ctrl1に応じて、インダクタ電流ILに流れる電流の上限値(ピーク電流値IP)と下限値(ボトム電流値IB)とをそれぞれ設定してもよい。
【0009】
図2は、従来のLED調光回路10の動作を示した図である。
図2の縦軸はインダクタ電流ILを示しており、横軸は時刻tを示している。スイッチ50がオン状態のとき、電源端子20とグラウンドとの間が導通する。また、電源端子20とグラウンドとの間が導通すると、出力電圧Voutと自己インダクタンスLに応じた傾きでインダクタ電流ILが増加する。
【0010】
次に、インダクタ電流ILがピーク電流IPに達すると、ヒステリシス制御回路80はスイッチ50をオフ状態にする。スイッチ50がオフ状態にされると、インダクタ電流ILがフリーホイールダイオード90を介してLED30の入力端に回生されて、LED30において放電される。このとき、インダクタ電流ILは、フリーホイールダイオード90及びLED30の閾値電圧に応じた傾きで減少する。
【0011】
インダクタ電流ILが減少してボトム電流IBに達すると、ヒステリシス制御回路80は、再びスイッチ50をオン状態にする。このように、ヒステリシス制御回路80がスイッチ50を制御することで、インダクタ電流IL及びLED30に流れる電流は、ピーク電流IPとボトム電流IBとの間を往復する電流となる。
【0012】
ここで、インダクタ40及びLED30に流れる平均電流IAは、ピーク電流IPとボトム電流IBとを往復する電流の平均である。また、LED30は、平均電流IAに応じた明るさに調光される。
【0013】
例えば、このような従来のLED調光回路10は、以下の特許文献1に記載されている。
[特許文献1] 特開2011−108529号公報
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来のLED調光回路10を示した回路図である。
【
図2】従来のLED調光回路10の動作を示した図である。
【
図3】ボトム電流IBが0であるときのインダクタ40の電流波形を示した図である。
【
図4】本発明の一つの実施形態に係るLED調光回路100を示す回路図である。
【
図5】LED調光回路100の構成の他の例を示す回路図である。
【
図6】ヒステリシス制御回路80の例を示す回路図である。
【
図7】PWM信号生成回路120の例を示す回路図である。
【
図8】第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量より大きい場合のタイミングチャートである。
【
図9】第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量より小さい場合のタイミングチャートである。
【
図10】ボトム電流IBが0より大きいときのタイミングチャートである。
【
図11】第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量より大きい場合のインダクタ電流の波形である。
【
図12】第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量より小さい場合のタイミングチャートである。
【
図13】第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量より小さい場合の、インダクタ電流の波形と、PWM信号によりマスクされる様子及び平均電流IAの波形を示した図である。
【
図14】第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量より小さい場合のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図4は、本実施形態のLED調光回路100を示した回路図である。本実施形態のLED調光回路100と、
図1の従来のLED調光回路10との違いは、間欠動作制御回路110を備える点である。間欠動作制御回路110以外の構成は
図1に示した従来のLED調光回路10と同様であるので適宜説明を省略する。
【0023】
間欠動作制御回路110は、ヒステリシス制御回路80とスイッチ50の間に設けられる。また、間欠動作制御回路110は、制御端子70から第1の制御信号Ctrl1が入力される。
【0024】
ヒステリシス制御回路80は、制御端子70から入力された第1の制御信号Ctrl1に基づいて生成した第2の制御信号Ctrl2を間欠動作制御回路110に出力する。例えば第2の制御信号Ctrl2は、
図2および
図3に示したインダクタ電流ILを増加させる期間でスイッチ50をオン状態にさせるレベルを示し、インダクタ電流ILを減少させる期間でスイッチ50をオフ状態にさせるレベルを示す2値の信号である。間欠動作制御回路110は、第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が予め定められた基準調光量よりも高いときに、第2の制御信号Ctrl2をスイッチ50にそのまま伝達する。一方、第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量よりも低いときに、第2の制御信号Ctrl2においてスイッチ50がオン状態にされる期間の少なくとも一部をマスクして間欠的にスイッチ50に伝達する。ここでマスクとは、第2の制御信号Ctrl2においてスイッチ50をオン状態にさせるレベルを、スイッチ50をオフ状態にさせるレベルに変換することを指す。これにより、第2の制御信号Ctrl2において周期的に生じるパルスが間欠的にスイッチ50に伝達される。
【0025】
図5は、間欠動作制御回路110の構成例を示す図である。間欠動作制御回路110は、第1の制御信号Ctrl1に応じたデューティのPWM信号を生成するPWM信号生成回路120とAND回路130を備える。
【0026】
制御端子70は、ヒステリシス制御回路80及びPWM信号生成回路120に第1の制御信号Ctrl1を出力する。ヒステリシス制御回路80及びPWM信号生成回路120は、AND回路130にそれぞれ接続される。ヒステリシス制御回路80は、AND回路130に第2の制御信号Ctrl2を出力する。PWM信号生成回路120は、第1の制御信号Ctrl1に応じたデューティのPWM信号を生成し、AND回路130に出力する。
【0027】
AND回路130は、PWM信号生成回路120から入力されたPWM信号に応じて、ヒステリシス制御回路80から入力された第2の制御信号Ctrl2をマスクしてスイッチ50に出力する。具体的には、AND回路130は、PWM信号がハイの場合、ヒステリシス制御回路80から入力された第2の制御信号Ctrl2をスイッチ50に出力する。また、AND回路130は、PWM信号がローのときに、スイッチ50にローを出力し、第2の制御信号Ctrl2を出力しない。つまり、AND回路130は、PWM信号に応じて、ヒステリシス制御回路80が出力する第2の制御信号Ctrl2を間欠的にスイッチ50に出力する。
【0028】
図6は、ヒステリシス制御回路80の一例を示す回路図である。ヒステリシス制御回路80は、
図2および
図3に示したように、インダクタ電流ILがピーク電流IP及びボトム電流IBの間で変動するように、スイッチ50を制御する信号を生成する。本例のヒステリシス制御回路80は、インダクタ電流ILがピーク電流IPを超えたときに、スイッチ50をオフする。
【0029】
ただし、スイッチ50がオフ状態のときは、電流検出部60によってインダクタ電流ILを検出することができない。このため本例のヒステリシス制御回路80は、スイッチ50がオフ状態に遷移してからの時間を計測する。そして、ピーク電流IP及びボトム電流IBとの差分、および、インダクタ電流ILの単位時間当たりの減少量に応じて予め設定されるオフ基準時間が経過したときに、スイッチ50をオン状態に遷移させる。これにより、ヒステリシス制御回路80は、インダクタ電流ILがボトム電流IBとなるタイミングを推定し、当該タイミングでスイッチ50をオン状態に制御する。従って、インダクタ電流ILがピーク電流IP及びボトム電流IBの間にあるように制御される。
【0030】
なお、
図2および
図3に示したインダクタ電流ILの傾きは、LED30の負荷抵抗の大きさ等により変化する。このため、負荷抵抗等が仕様値に対して誤差を有するような場合、スイッチ50をオフしてから予め設定されるオフ基準時間が経過したタイミングでは、インダクタ電流ILがボトム電流IBと一致しない。このため、インダクタ電流ILの平均値が、調光量に応じた値とならない場合がある。本例のヒステリシス制御回路80は、インダクタ電流ILの傾きに応じて、スイッチ50をオフしてからスイッチ50をオンするまで計測すべきオフ基準時間を調整する。これにより、インダクタ電流ILの平均値を精度よく制御することができる。
【0031】
具体的には、ヒステリシス制御回路80は、スイッチ50をオフしてから、予め設定されるオフ基準時間を計測して、スイッチ50をオンにする。スイッチ50をオンにすると、電流検出部60によってインダクタ電流ILを計測することができる。本来は、当該タイミングにおけるインダクタ電流ILがボトム電流IBと一致するように制御される。ヒステリシス制御回路80は、当該タイミングにおけるインダクタ電流ILがボトム電流IBより大きい場合には、オフ基準時間を現在の値より大きくする。また、インダクタ電流ILがボトム電流IBより小さい場合には、オフ基準時間を現在の値より小さくする。これにより、スイッチ50をオフからオンに切り替えたタイミングにおけるインダクタ電流ILを、ボトム電流IBに近づけることができる。
【0032】
本例のヒステリシス制御回路80は、第1の電圧源140、第2の電圧源150、第1のコンパレータ160、第2のコンパレータ170、オフタイム制御回路180、SRラッチ190、CS端子200、及びスイッチ入力端子210を備える。
【0033】
図5に図示される電流検出部60は、CS端子200に、インダクタ電流ILの大きさに応じた電圧の検出信号を出力する。CS端子200は、電流検出部60から入力された検出信号を、第1のコンパレータ160及び第2のコンパレータ170に出力する。
【0034】
第1の電圧源140は、第1のコンパレータ160の反転入力端子に、ピーク電流IPを示す基準電圧VHを出力する。また、第2の電圧源150は、第2のコンパレータ170の反転入力端子に、ボトム電流IBを示す基準電圧VLを出力する。
【0035】
第1のコンパレータ160は、検出信号のCS電圧と基準電圧VHとを比較する。本例の第1のコンパレータ160は、検出信号のCS電圧が基準電圧VH以上の場合にハイレベルを出力し、検出信号のCS電圧が基準電圧VHより小さい場合にローレベルを出力する。SRラッチ190のリセット端子Rは、第1のコンパレータ160に接続される。SRラッチ190の出力は、検出信号のCS電圧が基準電圧VHより大きくなったときにリセットされ、SRラッチ190はローレベルを出力する。SRラッチ190は、リセットされてから所定のオフ基準時間が経過した場合に、ハイレベルを出力する。オフタイム制御回路180は、第1のコンパレータ160の出力がローからハイに遷移したタイミングを始点として、所定のオフ基準時間を計測する。オフタイム制御回路180は、第1のコンパレータ160の出力がハイに遷移してからオフ基準時間が経過した場合に、SRラッチ190のセット端子Sにハイレベルを出力する。これにより、SRラッチ190の出力はハイレベルとなる。
【0036】
第2のコンパレータ170は、検出信号のCS電圧と基準電圧VLとを比較する。本例の第2のコンパレータ170は、検出信号のCS電圧が基準電圧VL以上の場合にハイレベルを出力し、検出信号のCS電圧が基準電圧VLより小さい場合にローレベルを出力する。
【0037】
第2のコンパレータ170の出力端子は、オフタイム制御回路180に接続される。スイッチ50がオン状態になったときのインダクタ電流ILがボトム電流IBより小さい場合、スイッチ50がオン状態にされてから、検出電圧が基準電圧VLを超えるまでは、第2のコンパレータ170はローを出力する。インダクタ電流ILとボトム電流IBとの誤差が大きいほど、第2のコンパレータ170がローを出力する期間は長くなる。オフタイム制御回路180は、スイッチ50がオン状態にあり、かつ、第2のコンパレータ170がローを出力する時間を測定する。オフタイム制御回路180は、第2のコンパレータ170がローを出力する時間に応じて、上述したオフ基準時間を短くする。これにより、スイッチ50がオフとなる期間が長くなり、スイッチ50をオン状態にしたときのインダクタ電流ILがボトム電流IBに近づく。
【0038】
また、スイッチ50がオフ状態になったときのインダクタ電流ILがボトム電流IBより大きい場合、第2のコンパレータ170がローを出力する期間はない。オフタイム制御回路180は、第2のコンパレータ170がローを出力する期間がない場合に、上述したオフ基準時間を長くする。これにより、スイッチ50がオフとなる期間が短くなり、インダクタ電流ILがボトム電流IBに近づく。また、オフタイム制御回路180は、スイッチ50がオン状態となったときに電流検出部60が検出するインダクタ電流ILが、ボトム電流IBより大きい場合にオフ基準時間を短くしてもよい。また、オフタイム制御回路180は、スイッチ50がオン状態となったときに電流検出部60が検出するインダクタ電流ILが、ボトム電流IBより小さい場合にオフ基準時間を長くしてもよい。
【0039】
スイッチ50のオフ基準時間が終わり、SRラッチ190がセットされると、再びスイッチ50はオン状態にされて、インダクタ電流ILが増加する。オフタイム制御回路180は、この動作を繰り返すことで、インダクタ電流ILがピーク電流IPとボトム電流IBとの間で往復するように制御することができる。
【0040】
なお、第1の電圧源140及び第2の電圧源150は、第1の制御信号Ctrl1が示す値に応じて、基準電圧VH及び基準電圧VLを変化させる。つまり、調光電流の量が大きい場合、基準電圧VHと基準電圧VLを大きくすることで、インダクタ電流及びLED30の平均電流IAを大きくする。一方、調光電流の量が小さい場合、基準電圧VHと基準電圧VLを小さくして、インダクタ電流IL及びLED30の平均電流IAを小さくする。
【0041】
図7は、PWM信号生成回路120の例を示す回路図である。PWM信号生成回路120は、制御端子70、三角波RAMPを生成する三角波生成回路220、第3のコンパレータ230、及び、AND回路接続端子240を備える。
【0042】
第3のコンパレータ230は、調光量を示す第1の制御信号Ctrl1と三角波RAMPとを比較してPWM信号を生成する。第3のコンパレータ230は、制御端子70から第1の制御信号Ctrl1が入力され、三角波生成回路220から三角波RAMPが入力される。第3のコンパレータ230は、第1の制御信号Ctrl1が三角波RAMPより大きい区間でハイとなり、小さい区間でローとなるPWM信号を生成し、AND回路接続端子240にPWM信号を出力する。
【0043】
図8は、第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量よりも大きい場合のPWM信号を示したタイミングチャートである。第1の制御信号Ctrl1が三角波RAMPの最大電圧よりも大きな調光量を示す場合、第3のコンパレータ230は常にハイを出力する。つまり、PWM信号は、最大のデューティ(100%デューティ)となる。
【0044】
ここで、三角波RAMPの最大電圧が、基準調光量に対応する。基準調光量は、PWM信号を用いずに、ヒステリシス制御回路80が出力する第2の制御信号Ctrl2のみで制御可能な最小調光量に対応する。
【0045】
図9は、第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量よりも小さいときのタイミングチャートである。第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が小さくなると、第1の制御信号Ctrl1は三角波RAMPの最大電圧と最小電圧との間の電圧となる。第1の制御信号Ctrl1よりも三角波RAMPが大きい区間では、PWM信号がローとなる。また、第1の制御信号Ctrl1よりも三角波RAMPが小さい区間ではPWM信号がハイとなる。つまり、第1の制御信号Ctrl1が所定の電流量よりも小さな電流量を示すときに、間欠的なPWM信号が出力される。
【0046】
図10から
図14は、本実施形態のLED調光回路100の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図10は、調光量が基準調光量より大きい(即ち、ボトム電流IBが0よりも大きい)ときのPWM信号、ヒステリシス制御回路80の出力、AND回路130の出力、インダクタ電流ILの関係を示すタイミングチャートである。
【0047】
第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量よりも大きいとき、PWM信号のデューティは100%である。このため、AND回路130は、ヒステリシス制御回路80の出力をそのままスイッチ50に出力する。このとき、AND回路130は、バッファ回路として動作する。
【0048】
AND回路130の出力がハイのとき、スイッチ50はオン状態にされてインダクタ電流ILは増加する。AND回路130の出力がローのとき、スイッチ50はオフ状態にされてインダクタ電流ILは減少する。つまり、ボトム電流IBが0よりも大きいとき、インダクタ40が常に充放電を繰り返す。
【0049】
図11は、調光量が基準調光量より大きい(即ち、ボトム電流IBが0よりも大きい)ときのインダクタ電流の波形であり、縦軸がインダクタ電流IL、横軸が時刻tを示す。第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量よりも大きいとき、AND回路130は、ヒステリシス制御回路80の出力をマスクしない。したがって、スイッチ50は、オンオフ状態が繰り返されるので、インダクタ40は充放電が繰り返される。
【0050】
図12は、調光量が基準調光量より小さい(即ち、ボトム電流IBが0)場合の、PWM信号、ヒステリシス制御回路80の出力、AND回路130の出力、及びインダクタ電流ILの関係を示すタイミングチャートである。第1の制御信号Ctrl1が示す調光量が基準調光量よりも小さいとき、PWM信号のデューティは100%ではなくなり、第1の制御信号Ctrl1に応じたデューティとなる。AND回路130は、PWM信号がハイのとき、バッファとして働き、ヒステリシス制御回路80の出力がそのままAND回路130より出力される。また、AND回路130は、PWM信号がローのとき、ヒステリシス制御回路80の出力に関わらずAND回路130の出力はローとなる。
【0051】
したがって、PWM信号がハイであり、かつ、AND回路130の出力がハイのとき、スイッチ50はオン状態となり、インダクタ電流ILは増加する。AND回路130の出力がローのとき、スイッチ50はオフ状態になり、インダクタ電流ILは減少する。PWM信号がローの区間では、ヒステリシス制御回路80の出力は常にマスクされる。つまり、ヒステリシス制御回路80の出力する第2の制御信号Ctrl2は、スイッチ50には入力されず、インダクタ電流ILが減少する。
図12に示すように、PWM信号がローを示す期間が、ヒステリシス制御回路80が出力する一つのパルスを全てマスクする場合、当該区間におけるインダクタ電流ILは増大せずに、0のまま維持される。このように、ボトム電流が0に達すると、ヒステリシス制御回路80が出力する第2の制御信号Ctrl2は、PWM信号がハイのときイネーブルされ、ローのときディスエーブルされる。
【0052】
図13は、
図12と同様の実施例に係る、インダクタ電流の波形と、PWM信号によりマスクされる様子及び平均電流IAの波形を示した図である。
図13の縦軸はインダクタ電流ILを、横軸は時刻tを示す。
【0053】
インダクタ電流ILは、PWM信号のデューティに応じてイネーブル動作を行う。PWM信号がハイのとき、ヒステリシス制御回路80の第2の制御信号Ctrl2によりスイッチ50がオンオフ制御され、インダクタ電流ILは充放電される。そして、PWM信号がローのとき、ヒステリシス制御回路80の出力は常にマスクされ、インダクタ電流ILが0になる。
【0054】
間欠動作制御回路110は、ヒステリシス制御回路80の第2の制御信号Ctrl2をマスクすることで、インダクタ電流ILを間欠的に流すことができる。したがって、本実施例に係るLED調光回路100は、平均電流IAをIP/2よりも小さな値に設定することができる。
【0055】
図12及び
図13では、PWM信号がローを示す期間が、ヒステリシス制御回路80の周期と一致する場合の、LED調光回路100の動作を示した。ただし、PWM信号がローを示す期間は、ヒステリシス制御回路80の周期と一致しなくともよい。
【0056】
図14は、PWM信号がローを示す期間が、ヒステリシス制御回路80の周期と一致しない場合の、LED調光回路100の動作を示す。また、
図14は、調光量が基準調光量よりも小さい場合の、PWM信号、ヒステリシス制御回路80の出力、AND回路130の出力、及びインダクタ電流ILの関係を示すタイミングチャートである。
【0057】
図14の前半に示すように、ヒステリシス制御回路80が出力する第2の制御信号Ctrl2において、一つのパルスをマスクする場合、PWM信号は、当該パルスの直前において第2の制御信号Ctrl2がローを示すタイミングから、当該パルスの直後において第2の制御信号Ctrl2がローを示すタイミングまでマスクしてよい。これにより、第2の制御信号Ctrl2と、PWM信号との間で位相誤差が生じた場合でも、当該パルスを確実にマスクすることができる。第2の制御信号Ctrl2がローを示す区間は、PWM信号によりマスクされるか否かに関わらずインダクタ電流ILは減少する。
【0058】
また、
図14の後半に示すように、PWM信号は、第2の制御信号Ctrl2を、一つのパルスより小さい単位でマスクしてもよい。例えば、PWM信号は、第2の制御信号Ctrl2の所定のパルスの半分の区間をマスクしてよい。これにより、より細かい階調で調光量を制御することができる。
【0059】
以上より、PWM信号がローとなる区間は、ヒステリシス制御回路80の周期と同一である必要はなく、PWM信号がローとなる区間が、ヒステリシス制御回路80が出力する第2の制御信号Ctrl2がハイを示す区間の少なくとも一部に重なる構成とすればよい。上述した構成及び動作により、本実施形態のLED調光回路100は、LED30の平均電流を小さくすることができる。
【0060】
また、本実施形態では、第1の制御信号Ctrl1が基準調光量を示すときのボトム電流IBを0に設定したが、これに限られない。しかし、ボトム電流IBが0である場合、第2の制御信号Ctrl2をマスクしても、インダクタ電流ILが0のまま維持されるので、調光量の制御が容易となる。また、電磁誘導によりインダクタに力が加わって発生する音鳴き現象を低減する効果が特に顕著である。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。