(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明に係る光増幅装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。
【0015】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る光増幅装置の構成を示すブロック図である。この光増幅装置100は、第1光増幅部である光増幅部1、第2光増幅部である光増幅部2、光増幅部1と光増幅部2との間に配置されたVOA3、制御部4、光カプラ5、第1入力光検出器を構成するフォトダイオード(Photo Diode:PD)6およびモニタ回路7、ADコンバータ8、光カプラ9、第1出力光検出器を構成するPD10およびモニタ回路11、ADコンバータ12、光カプラ13、第2入力光検出器を構成するPD14およびモニタ回路15、ADコンバータ16、光カプラ17、第2出力光検出器を構成するPD18およびモニタ回路19、ADコンバータ20、DAコンバータ21,23,25、LD駆動回路22,24、およびVOA駆動回路26を備えている。
【0016】
以下、各構成要素について具体的に説明する。
光増幅部1は、光増幅媒体であるEDF1aと、EDF1aに、EDF1aに含まれるエルビウムイオンを光励起できる波長(たとえば0.98μm波長帯や1.48μm波長帯)のレーザ光である励起光を出力して供給する励起LD1bとを備えている。光増幅部2は、光増幅媒体であるEDF2aと、EDF2aに、EDF2aに含まれるエルビウムイオンを光励起できる波長のレーザ光である励起光を出力して供給する励起LD2bとを備えている。
【0017】
この光増幅装置100には、光入力側から、EDF1a,2aにて光増幅可能な波長(たとえば1530nm〜1610nmの波長)の信号チャネルで構成されるWDM信号光である信号光が入力される。
【0018】
光カプラ5は、この光増幅装置100に光入力側から入力される信号光の一部(たとえば1%〜5%の強度)をPD6側に分岐し、残りを光増幅部1に出力する。光増幅部1において、励起LD1bはLD駆動回路22から駆動電力が供給されて励起光を出力する。EDF1aでは、励起光によって光励起されたエルビウムイオンが信号光を光増幅する。その結果、光増幅部1から光増幅された信号光が出力される。
【0019】
光カプラ9は、光増幅されて光増幅部1から出力された信号光の一部をPD10側に分岐し、残りをVOA3に出力する。
【0020】
VOA3は、入力された信号光を所定の光減衰量だけ減衰させて光カプラ13に出力する。光カプラ13は、減衰された信号光の一部をPD14側に分岐し、残りを光増幅部2に出力する。光増幅部2において、励起LD2bはLD駆動回路24から駆動電力が供給されて励起光を出力する。EDF2aでは、励起光によって光励起されたエルビウムイオンが信号光を光増幅する。その結果、光増幅部2から光増幅された信号光が出力される。
【0021】
光カプラ17は、光増幅されて光増幅部2から出力された信号光の一部をPD18側に分岐し、残りを光増幅装置100の外部に出力する。
【0022】
一方、PD6は、光カプラ5が分岐した信号光の一部を受光し、受光した光強度に応じた電流信号をモニタ回路7に出力する。モニタ回路7は、たとえば線形または対数の電気増幅器で構成されており、PD6から入力された電流信号の値から、光増幅部1の光入力側において、光増幅部1に入力される光のパワー(第1入力光検出値)を検出する。モニタ回路7は、検出した入力光のパワーを示すアナログ信号をADコンバータ8に出力する。ADコンバータ8は、モニタ回路7からのアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部4に出力する。
【0023】
PD10は、光カプラ9が分岐した信号光の一部を受光し、受光した光強度に応じた電流信号をモニタ回路11に出力する。モニタ回路11は、PD10から入力された電流信号の値から、光増幅部1とVOA3との間において、光増幅部1から出力する出力光のパワー(第1出力光検出値)を検出する。ここで、光増幅部1から出力する出力光のパワーはVOA3に入力する入力光のパワーに対応する。モニタ回路11は、検出した出力光(入力光)のパワーを示すアナログ信号をADコンバータ12に出力する。ADコンバータ12は、モニタ回路11からのアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部4に出力する。
【0024】
PD14は、光カプラ13が分岐した信号光の一部を受光し、受光した光強度に応じた電流信号をモニタ回路15に出力する。モニタ回路15は、PD14から入力された電流信号の値から、VOA3と光増幅部2との間において、光増幅部2に入力する入力光のパワー(第2入力光検出値)を検出する。ここで、光増幅部2に入力する入力光のパワーはVOA3から出力する出力光のパワーに対応する。モニタ回路15は、検出した入力光(出力光)のパワーを示すアナログ信号をADコンバータ16に出力する。ADコンバータ16は、モニタ回路15からのアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部4に出力する。
【0025】
PD18は、光カプラ17が分岐した信号光の一部を受光し、受光した光強度に応じた電流信号をモニタ回路19に出力する。モニタ回路19は、PD18から入力された電流信号の値から、光増幅部2の光出力側において、光増幅部2から出力する出力光のパワー(第2出力光検出値)を検出する。ここで、光増幅部2から出力する出力光のパワーは光増幅装置100から出力する出力光のパワーに対応する。モニタ回路19は、検出した出力光のパワーを示すアナログ信号をADコンバータ20に出力する。ADコンバータ20は、モニタ回路19からのアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部4に出力する。
【0026】
制御部4は、ADコンバータ8,12,16,20から入力されたデジタル信号をもとに、この光増幅装置100がAGC(Automatic Gain Control)動作するように励起LD1b,2b、VOA3を制御して、光増幅装置100の動作を制御する。具体的には、制御部4は、励起LD1b,2bの制御指示値(デジタル信号)をDAコンバータ21,23にそれぞれ出力する。DAコンバータ21,23は、制御指示値をアナログ信号である制御信号に変換してLD駆動回路22,24にそれぞれ出力する。LD駆動回路22,24は、制御信号をもとに所定の駆動電流を励起LD1b,2bにそれぞれ出力する。なお、制御部4は、励起LD1b,2bが所望の光強度の励起光を出力するための駆動電流となるような制御指示値を出力してもよい。
【0027】
同様に、制御部4は、デジタル信号であるVOA3の制御指示値をDAコンバータ25に出力する。DAコンバータ25は、制御指示値をアナログ信号である制御信号に変換してVOA駆動回路26に出力する。VOA駆動回路26は、制御信号をもとに所定の駆動電流をVOA3に出力する。
【0028】
ここで、AGC動作とは、光増幅装置100の利得(すなわち、出力する光のパワーと入力する光のパワーとの比)が一定になる動作である。このように制御部4が光増幅装置100をAGC動作させる制御をAGC制御と呼ぶ。
【0029】
(制御例1)
つぎに、制御部4による光増幅装置100の制御例についてより具体的に説明する。
図2は、
図1に示す光増幅装置100の制御例1を説明するブロック図である。ここで、演算記号O1〜O5は制御に係る加算、減算等の演算を示している。また、矢印A1〜A4は制御の流れを模式的に示している。
【0030】
まず、制御部4は、光増幅部1に対しては、PD6、モニタ回路7が検出した第1入力光検出値をもとに光増幅部1の励起LD1bをフィードフォワード制御する(矢印A1)。たとえば、制御部4は、第1入力光検出値と励起LD1bの駆動電流との対応を示すテーブルまたは演算式を記憶しており、このテーブルまたは演算式をもとに、第1入力光検出値に応じた駆動電流の指示値を出力する。
【0031】
さらに、制御部4は、PD6、モニタ回路7が検出した第1入力光検出値とPD10、モニタ回路11が検出した第1出力光検出値とから、光増幅部1の利得を算出し、算出した利得と第1目標利得とを比較して、光増幅部1の利得が第1目標利得となるように励起LD1bをフィードバック制御する(矢印A2、演算記号O1、O2)。ここで、第1目標利得はたとえば外部から与えられる指示値である。なお、制御部4によるフィードバック制御は、たとえば公知のPID(Proportional Integral Derivative)制御やPI制御を用いて実施される。
【0032】
また、制御部4は、光増幅部2に対しては、PD14、モニタ回路15が検出した第2入力光検出値をもとに光増幅部2の励起LD2bをフィードフォワード制御する(矢印A3)。たとえば、制御部4は、第2入力光検出値と励起LD2bの駆動電流との対応を示すテーブルまたは演算式を記憶しており、このテーブルまたは演算式をもとに、第1入力光検出値に応じた駆動電流の指示値を出力する。
【0033】
さらに、制御部4は、PD6、モニタ回路7が検出した第1入力光検出値とPD18、モニタ回路19が検出した第2出力光検出値とから、光増幅装置100全体の利得を算出し、算出した利得と第2目標利得とを比較して、光増幅装置100全体の利得が第2目標利得となるように励起LD2bをフィードバック制御する(矢印A4、演算記号O4、O5)。ここで、第2目標利得はたとえば外部から与えられる指示値である。
【0034】
また、制御部4は、VOA3に対しては、PD10、モニタ回路11が検出した第1出力光検出値とPD14、モニタ回路15が検出した第2入力光検出値とから、VOA3の光減衰量を算出し、算出した光減衰量と目標光減衰量とを比較して、光減衰量が目標光減衰量となるようにVOA3をフィードバック制御する(演算記号O3)。
【0035】
ここで、上記制御では、光増幅装置100全体の利得は、WDM信号光である信号光に対して、ゲインチルトが0dB(すなわち、WDM信号光の波長帯域において、利得スペクトルが波長に対して略平坦)であるように設定されているとする。このとき、たとえば光増幅部1の第1目標利得は20dB、光増幅部2の目標利得は20dB、光増幅装置100全体の第2目標利得は28dB、VOA3の目標光減衰量は12dBである。
【0036】
制御部4は、上記ゲインチルトが0dBの制御状態(基本制御とする)にあるときに、ゲインチルトを補正する指示を外部から与えられると、VOA3の目標光減衰量、光増幅部2の目標利得、および光増幅部2の励起LD2bをフィードフォワード制御するときのフィードフォワード制御値を、そのゲインチルトに応じた値に補正することによって、光増幅装置100全体のゲインチルトの補正を行う。ここで、光増幅部2の目標利得とは、光増幅装置100全体の利得が第2目標利得となるように励起LD2bをフィードバック制御する際に、光増幅部2の利得の目標値として設定される利得である。
【0037】
以下では、VOA3の目標光減衰量、光増幅部2の目標利得、および光増幅部2の励起LD2bをフィードフォワード制御するときのフィードフォワード制御値を補正する際に制御部4が行う制御工程について説明する。
【0038】
はじめに、制御部4は、以下のようにして、ゲインチルト補正後の、光増幅部1、2の利得G1、G2およびVOA3の目標光減衰量Vlossを算出する。このとき、まず下記式(1)にしたがって、ΔGを算出する。なお、値の単位はすべてデシベル[dB]である。
ΔG=G1o+G2opt−Gs
=G1o+G2o+(Ts/Gt)−Gs ・・・ (1)
ここで、
G1o:チルト補正値が0dBのときの光増幅部1の利得(第1目標利得)
G2o:チルト補正値が0dBのときの光増幅部2の利得(目標利得)
G2opt:チルト加算した光増幅部2の利得
Gs:指示された光増幅装置全体の利得(第2目標利得)
Ts:指示されたゲインチルトの値
Gt:ゲインチルト変動係数
である。なお、ゲインチルト変動係数Gtとは、指示されたゲインチルトの値Tsを発生させることができる利得ΔGを計算するための係数である。たとえば、ゲインチルト変動係数Gtは、VOA3の光減衰量の波長依存性の影響を補正するように設定される。
【0039】
つぎに、制御部4は、VOA3の光減衰量の波長依存性に対する補正値(短波長側と長波長側の光減衰量の差分:WDL補正値)であるWrと、上記算出したΔGの値との対応を示す式またはテーブルを用いて、適切な値のWrを選定する。
【0040】
つぎに、制御部4は、選定したWrを用いて、下記の式(2)より、ゲインチルト補正後のVOA3の目標光減衰量Vlossを算出する。
Vloss=ΔG−Wr×Gt
=G1o+G2o+(Ts/Gt)−Gs−Wr×Gt ・・・ (2)
【0041】
さらに、制御部4は、下記式(3)、(4)より、ゲインチルト補正後の、光増幅部1、2の利得G1、G2を算出する。
G1=G1o
G2=G2opt−(ΔG−Vloss) ・・・ (3)
=G2o+(Ts/Gt)−Wr×Gt ・・・ (4)
【0042】
上記式(2)〜(4)から解るように、制御部4は、チルト補正時にはVOA3の目標光減衰量Vlossおよび光増幅部2の利得G2を補正する。このように光増幅部2の利得G2をチルト補正時に補正するので、光増幅部2のフィードフォワード制御値も補正する必要がある。この補正方法については後に詳述する。
【0043】
その後、制御部4は、補正された後のVOA3の目標光減衰量Vloss、光増幅部2の利得G2、および光増幅部2のフィードフォワード制御値を用いて、上述した基本制御と同様の制御を行う。その結果、光増幅装置100は、所定のゲインチルトTsが与えられた状態でAGC動作を行うことができる。
【0044】
(公知の制御例との比較)
ここで、
図5は、公知の光増幅装置における制御例を説明するブロック図である。
図5に示す光増幅装置1000は、
図1に示す光増幅装置100と同様の構成を有するが、制御の方式として以下のように上述した制御方式1を行う点が異なる。
【0045】
すなわち、光増幅装置1000では、制御部は、光増幅部1に対しては、PD6を用いて検出した第1入力光検出値をもとに光増幅部1の励起LD1bをフィードフォワード制御する(矢印A11)。さらに、制御部は、PD6を用いて検出した第1入力光検出値とPD10を用いて検出した第1出力光検出値とから、光増幅部1の利得を算出し、算出した利得と第1目標利得とを比較して、光増幅部1の利得が第1目標利得となるように励起LD1bをフィードバック制御する(矢印A12、演算記号O11、O12)。
【0046】
また、制御部は、光増幅部2に対しては、PD14を用いて検出した第2入力光検出値をもとに光増幅部2の励起LD2bをフィードフォワード制御する(矢印A13)。さらに、制御部は、PD14を用いて検出した第2入力光検出値とPD18を用いて検出した第2出力光検出値とから、光増幅部2の利得を算出し、算出した利得と光増幅部2の目標利得とを比較して、光増幅部2の利得が目標利得となるように励起LD2bをフィードバック制御する(矢印A14、演算記号O14、O15)。
【0047】
また、制御部は、VOA3に対しては、PD10を用いて検出した第1出力光検出値とPD14を用いて検出した第2入力光検出値とから、VOA3の光減衰量を算出し、算出した光減衰量と目標光減衰量とを比較して、光減衰量が目標光減衰量となるようにVOA3をフィードバック制御する(演算記号O13)。この制御方式1は、上述したように、各光増幅部およびVOAのそれぞれを独立して制御しているので、各光増幅部およびVOAのそれぞれの制御誤差が蓄積されるという問題がある。
【0048】
一方、
図6は、公知の光増幅装置における別の制御例を説明するブロック図である。
図6に示す光増幅装置2000は、
図1に示す光増幅装置100と同様の構成を有するが、制御の方式として以下のように上述した制御方式2を行う点が異なる。
【0049】
すなわち、光増幅装置2000では、制御部は、光増幅部1に対しては、光増幅装置1000の場合と同様の制御を行う。つまり、PD6を用いて検出した第1入力光検出値をもとに光増幅部1の励起LD1bをフィードフォワード制御する(矢印A11)。さらに、制御部は、PD6を用いて検出した第1入力光検出値とPD10を用いて検出した第1出力光検出値とから、光増幅部1の利得を算出し、算出した利得と第1目標利得とを比較して、光増幅部1の利得が第1目標利得となるように励起LD1bをフィードバック制御する(矢印A12、演算記号O11、O12)。
【0050】
また、制御部は、光増幅部2に対しては、PD6を用いて検出した第1入力光検出値をもとに光増幅部2の励起LD2bをフィードフォワード制御する(矢印A15)。さらに、制御部は、PD6を用いて検出した第1入力光検出値とPD18を用いて検出した第2出力光検出値とから、光増幅装置2000全体の利得を算出し、算出した利得と光増幅装置2000全体の目標利得とを比較して、光増幅装置2000全体の利得が目標利得となるように励起LD2bをフィードバック制御する(矢印A16、演算記号O14、O15)。
【0051】
また、制御部は、VOA3に対しては、PD10を用いて検出した第1出力光検出値とPD14を用いて検出した第2入力光検出値とから、VOA3の光減衰量を算出し、算出した光減衰量と目標光減衰量とを比較して、光減衰量が目標光減衰量となるようにVOA3をフィードバック制御する(演算記号O13)。
【0052】
この制御方式2は、上述したように、ゲインチルトを与える場合に光増幅装置2000が所望の動作に対して誤差が生じる場合がある。このように誤差が生じる理由は、ゲインチルトを与えたときに、VOA3の目標光減衰量、光増幅部2の目標利得、および光増幅部2のフィードフォワード制御値が変化することが考慮されていないためだと考えられる。
【0053】
これに対して、
図1、2に示す光増幅装置100では、制御部4は、ゲインチルトを補正する指示を外部から与えられると、VOA3の目標光減衰量、光増幅部2の目標利得、および光増幅部2のフィードフォワード制御値を、そのゲインチルトに応じた値に補正することによって、光増幅装置100全体のゲインチルトの補正を行っている。その結果、上述した制御方式2においては生じてしまう誤差を防止することができる。その結果、光増幅装置100は少ない誤差で動作することができる。
【0054】
(制御例2)
図3は、
図1に示す光増幅装置の制御例2を説明する図である。
図3(a)はブロック図であり、
図3(b)はフィードフォワード(FF)制御のテーブルを示す図である。
【0055】
図3に示すように、制御部4(
図1参照)はFF制御のテーブルを格納した記憶部4A、4Bを有している。制御部4は、記憶部4Aに格納されたFF制御1のテーブルを用いて、制御例1と同様にPD6を用いて検出した第1入力光検出値をもとに、光増幅部1の励起LD1bをフィードフォワード制御する。
図3(b)のFF制御1のテーブルには、光増幅部1に対する制御値FF_G1o(i)が格納されている。ここで、「i」はテーブルの行番号である。
【0056】
また、制御部4は、記憶部4Bに格納されたFF制御2のテーブルを用いて光増幅部2の励起LD2bをフィードフォワード制御する。このとき、本制御例2では、制御例1とは異なり、PD6を用いて検出した第1入力光検出値に、光増幅部1の第1目標利得(
図3(a)ではEDFA1利得と表示)を加算しかつVOA3の目標光減衰量(
図3(a)ではVOAロスと表示)を減算した値をもとに(演算記号O6)、光増幅部2の励起LD2bをフィードフォワード制御している。FF制御2のテーブルは、第1入力光検出値と、光増幅部1の第1目標利得と、VOA3の目標光減衰量と、励起LD2bの駆動電流との対応を示すテーブルである。
図3(b)のFF制御2のテーブルAには、光増幅部2に対する制御値FF_G2o(i)が格納されている。なお、制御値FF_G1o(i)および制御値FF_G2o(i)は、いずれも光増幅部1または2に入力される入力光のパワーがある基準値(たとえば0dBm)である状態を基準状態として設定されている。入力光のパワーがこの基準値ではない場合は補正される。たとえば、
図3(b)のFF制御2のテーブルAが、FF制御1のテーブルに対して、後述するG2o_FF_OSでオフセットされているのは、光増幅部2への入力光のパワーが、光増幅部1の利得とVOA3の光減衰量との影響を受けて基準値からずれているために、基準状態に対して、G2o_FF_OSによってオフセットするように補正されているからである。
【0057】
なお、本制御例2における制御部4のその他のフィードバック制御や、ゲインチルトが与えられたときにVOA3の目標光減衰量、光増幅部2の目標利得、および光増幅部2のフィードフォワード制御値を補正する際に制御部4が行う制御工程については、制御例1の場合と同様である。
【0058】
制御例1と制御例2とを比較すると、制御例2はより高速の制御が可能になる。一方、制御例1は、一般に光増幅部より応答の遅いVOAの光減衰量を大きく変更しているときには、光増幅部2の入力を、光増幅部1とVOA3の制御値を用いて光増幅部1から算出する制御例2よりも正確な値でフィードフォワード制御が可能となる。したがって、そのような場合には、制御例1は、制御例2よりも過渡時の特性が優れている。
【0059】
つぎに、チルト補正をする場合のフィードフォワード制御の補正方法について説明する。チルト補正後のフィードフォワード制御値はたとえば以下のように算出し、テーブルに格納する。
【0060】
まず、
ΔG2:G2oとG2との差分
G2o_FF_OS:G2oのときのフィードフォワードのオフセット
FF_G2o:G2oのときのフィードフォワードのテーブルに格納された制御値
K_FF_OS:テーブルのオフセットの切片補正
K_FF_SP:各テーブルに格納された制御値のスロープ係数
とする。K_FF_OSは、G2oのときにG2o_FF_OSによって補正されたテーブルを、さらにG2用に補正するための補正値であり、K_FF_SPは、各テーブルに格納された制御値をG2用に補正するための係数である。
【0061】
また、
G_FF_OS:チルト補正後のテーブルのオフセットの切片補正分(もしくは各テーブルに格納された制御値の切片補正分)
FF_G2(i)、FF_G2'(i):チルト補正後に各テーブルに格納される制御値
とする。このとき、以下の式(5)、(6)のようになる。
【0062】
G_FF_OS=G2o_FF_OS+ΔG2×K_FF_OS ・・・ (5)
FF_G2(i)=FF_G2o(i)×(1+ΔG2×K_FF_SP) ・・・ (6)
【0063】
もしくは、
K_FF_OS:各テーブルに格納された値の切片補正分
とすると、以下の式(7)、(8)のようになる。
G_FF_OS=G2o_FF_OS ・・・ (7)
FF_G2'(i)=FF_G2(i)×(1+ΔG2×K_FF_SP)+ΔG2×K_FF_OS ・・・ (8)
【0064】
なお、フィードフォワード制御値を補正する場合は、
図3(b)に示す、ある光増幅部2の利得G2に対して設定されたFF制御2のテーブルAに対して、テーブルA内の各制御値を、テーブルBのようにFF_G2'(i)=FF_G2(i)×(1+ΔG2×K_FF_SP)+ΔG2×K_FF_OSに変更してもよい。または、記憶部4Bの容量などによってテーブルのサイズが限られており、上記の変更のための十分なサイズを確保できない場合は、テーブルCのように、テーブルAの全体をΔG2×K_FF_OSだけずらし、テーブルA内の各制御値をFF_G2(i)=FF_G2o(i)×(1+ΔG2×K_FF_SP)に変更してもよい。
【0065】
(制御例3)
図4は、
図1に示す光増幅装置の制御例3を説明する図である。
図4(a)はブロック図であり、
図4(b)はフィードフォワード(FF)制御のテーブルを示す図である。
【0066】
図4に示す制御例3は、光増幅部1、2、VOA3の制御については、制御例1と同様に行うが、フィードフォワード制御値の補正については、制御例2と同様に行うものである。
【0067】
なお、上記実施の形態では、光増幅装置は2つの光増幅部を備えているが、3以上の複数の光増幅部を備えていてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、光増幅部はEDFAであるが、本発明は、エルビウム以外の他の光増幅媒体を添加した光ファイバを用いた光増幅部や、ラマン増幅等の他の光増幅方式を用いた光増幅部にも適用できるものである。
【0069】
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。