特許第6012600号(P6012600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012600フォトレジストパターン上にコーティングするための組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012600
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】フォトレジストパターン上にコーティングするための組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20161011BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   G03F7/40 511
   H01L21/30 570
【請求項の数】14
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-521242(P2013-521242)
(86)(22)【出願日】2011年7月27日
(65)【公表番号】特表2013-536463(P2013-536463A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】IB2011001756
(87)【国際公開番号】WO2012014059
(87)【国際公開日】20120202
【審査請求日】2014年5月22日
(31)【優先権主張番号】12/845,236
(32)【優先日】2010年7月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ヘンペン
(72)【発明者】
【氏名】リー・メン
(72)【発明者】
【氏名】カオ・イー
(72)【発明者】
【氏名】イン・イアン
(72)【発明者】
【氏名】リー・ドンクワン
(72)【発明者】
【氏名】ホン・スン−ユン
(72)【発明者】
【氏名】パウネスク・マルガレタ
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−198862(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/032796(WO,A1)
【文献】 特開2010−113345(JP,A)
【文献】 特開2010−066597(JP,A)
【文献】 特開2006−048035(JP,A)
【文献】 特開2004−205699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00−7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジストパターン上にコーティングするための水性組成物であって、少なくとも一つのケイ素部分と少なくとも一つのアミノ基とを含む第一の水溶性化合物、及び少なくとも一つのカルボン酸基を含む第二の化合物を含み、及び第一の化合物が以下の構造1の部分を含み、かつ第二の化合物中のカルボン酸基と第一の化合物中のアミノ基とのモル比が、1:5〜3:2である、前記組成物。
【化1】
式中、Rは、水素、C−Cアルキル、及びC−Cカルボニルアルキルから選択され、Rは、C−C12脂肪族アルキレン、C−C12カルボニル脂肪族アルキレン、C−C12カルボニルアミノ脂肪族アルキレン及びC−C12アミノ脂肪族アルキレンから選択され、そして
【化2】
は、第一の化合物の残りの部分への結合点である。
【請求項2】
第二の化合物が、少なくとも二つのカルボン酸基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第二の化合物が更にケイ素部分を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
第二の化合物が以下の構造2を有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【化3】
式中、Wは接続基であり、そしてyは、0、1、2または3である。
【請求項5】
第二の化合物が以下の構造3を有する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【化4】
式中、R及びRは、独立して、C〜C12脂肪族アルキレンから選択され、Xは、直接原子価結合または接続基であり、zは0、1、2または3であり、但し、zが0の場合には、Rは、C〜C12脂肪族アルキルから選択される。
【請求項6】
フォトレジストに共形付着層を形成することができる、請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
パターン形成方法であって、次のステップ:
(a)基材上に第一のフォトレジストパターンを形成するステップ;
(b)請求項1〜6のいずれか一つに記載のコーティング組成物を第一のフォトレジストパターン上に施用して、第一のフォトレジストパターンを覆う第二のコーティング層を形成するステップ;
(c)任意に、コーティングを加熱するステップ;及び
(d)第二のコーティング組成物を現像し、それによって第一のフォトレジストパターン上の未反応の第二のコーティング層を除去するステップ;
を含む、前記方法。
【請求項8】
パターン形成方法であって、次のステップ:
(a)フォトレジスト構造を持つ第一のフォトレジストパターンを基材上に形成するステップ;
(b)請求項1〜6のいずれか一つに記載のコーティング組成物を第一のフォトレジストパターン上に施用して、第一のフォトレジストパターンを覆うコーティング層を形成するステップ;
(c)コーティング層を現像し、それによって第一のフォトレジストパターン上に付着コーティング層を形成するステップ;
(d)フォトレジストの表面側の付着コーティング層をドライエッチングして、フォトレジストパターンの最上部で付着コーティング層を完全に除去するステップ;及び
(e)第一のフォトレジストパターンを除去し、それによって基材上に付着コーティング層のパターンを形成するステップ;
を含む、前記方法。
【請求項9】
ステップ(d)の後にハードベークを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
第一のフォトレジストパターンがドライエッチングによって除去される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第一のフォトレジストパターンが有機溶剤によって除去される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
フォトレジストがフラッド露光及び水性アルカリ性現像剤中での現像によって除去される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
パターン形成方法であって、次のステップ:
(a)基材上に第一のフォトレジストパターンを形成するステップ;
(b)請求項1〜6のいずれか一つに記載のコーティング組成物を第一のフォトレジストパターン上に施用して、第一のフォトレジストパターンを覆うコーティング層を形成するステップ;
(c)任意に、コーティングを加熱するステップ;及び
(d)第二のコーティング組成物を現像し、それによって相互混合ドープドフォトレジストパターンを形成するステップ;
を含む、前記方法。
【請求項14】
フォトレジストパターン上にコーティングするための、請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ性能を向上するための、フォトレジストパターン上にコーティングするための新規の組成物に、並びに基材上にパターンを形成するためにこのようなコーティングを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工業における集積回路の緻密化には、これらの集積回路内に非常に微細な配線を形成する必要性が伴ってきた。超微細パターンは、典型的には、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストコーティングにパターンを形成することによって生成される。一般的に、これらのプロセスでは、先ずフォトレジスト組成物のフィルムの薄いコーティングが、集積回路の製造に使用されるケイ素ウェハなどの基材に付与される。次いで、コーティングされた基材はベークされてフォトレジスト組成物中の溶剤が蒸発され、そしてコーティングが基材上に定着される。次に、基材のコーティング及びベークされた表面は放射線での像様露光に付される。この放射線露光は、コーティングされた表面の露光された領域に化学的変化を引き起こす。可視光線、紫外線(UV)、電子ビーム及びX線放射エネルギーが、現在マイクロリソグラフィプロセスで常用されている放射線種である。この像様露光の後、コーティングされた基材は現像剤溶液で処理されて、フォトレジストの放射線露光された領域または未露光の領域のいずれかが溶解、除去される。
【0003】
集積回路の微細化は、フォトレジスト内により一層幅の狭い寸法のプリントを要求する。フォトレジスト寸法を縮小(shrink)するために様々な技術が開発されており、このような技術の例は、多層コーティング、反射防止コーティング、位相シフトマスク、より一層短い波長に感度を示すフォトレジストなどである。
【0004】
より小さい寸法をプリントするための一つの重要な方法は、フォトレジストの画像の上に薄い層を形成する技術に依るものであり、この技術は、フォトレジスト画像の幅を広げるが、隣接するフォトレジストパターンの間の空間の寸法を小さくする。この狭められた空間は、基材のエッチング及び画定に使用できるか、または金属などの材料の堆積に使用することができる。この二層技術は、微細電子デバイスの製造方法の一部として、新しいフォトレジストケミストリーを再調製する必要なく、かなりより小さい寸法を画定することを可能にする。このトップコーティング層またはシュリンク材料は誘電材料などの無機層であることができるか、または架橋可能なポリマー性材料などの有機層であることができる。
【0005】
誘電性シュリンク材料は酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、スピンオン材料または化学蒸着材料を含む。有機系ポリマー性コーティングでは、このようなコーティングは酸の存在下に架橋反応を受けて、フォトレジスト表面上に付着するが、トップシュリンクコーティングが架橋されなかったところでは除去される。半導体デバイスの製造方法の一つでは、基材はパターン化されたフォトレジストを有し、これはトップ層によりコーティングされ、このフォトレジストは次いで露光及び加熱され、そうしてフォトレジスト中の光の作用によって発生した酸がトップ層中を拡散し、次いでトップ層を架橋することができる。この酸がトップコート中をどの程度拡散するかが、その架橋された層の厚さを決定する。トップ層の架橋されていない部分は、そのポリマーを溶解できる溶液を用いて除去される。
【0006】
本発明は、ケイ素部分及びアミノ基を含む化合物、及びカルボン酸基を含む化合物を含む、フォトレジストパターン上にコーティングするための水性コーティング組成物に関する。アミノ基を含むポリマーは、193nm及び157nmなどの放射線に感度を示すフォトレジスト上にコーティングするのに特に有用であり、ここでフォトレジストポリマーは、アミノ基と反応できる基を含む。アミノ基の他にケイ素基を含むポリマーは、ケイ素を含まないフォトレジストと比べて、向上した耐ドライエッチング性を有する反応性層を提供する。本発明の課題は、画像が形成されたフォトレジスト上に、相互混合層及び/または付着層を形成することである。この相互混合層及び/または付着層は、フォトレジストとは異なる化学的及び物理的性質を供する。一つのケースでは、ケイ素部分の存在の故に、相互混合層及び/または付着層は、適当なエッチング環境下に、十分なドライエッチング選択性を供するか、あるいは多くの用途、例えばダブルパターニングに有用な、相互混合及び/または付着層とフォトレジストとの間の差異を与える。加えて、相互混合及び/または付着層はフォトレジストパターンを安定化することができ、更に、フォトレジストパターンの寸法を大きくする。この新規コーティング組成物の使用が、向上したパターン画定、より高い解像度、画像形成したフォトレジストの安定したパターン形成及び高い耐エッチング性を導くことが図らずしも見出された。該新規組成物は、フォトレジストパターンの表面を、該新規組成物のコーティングから拡散されたケイ素部分でドープするのにも使用でき、この際、このようなドープされた表面は、ドープされていないフォトレジスト表面よりも高い耐ドライエッチング性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US2001/0044070
【特許文献2】US5,843,624
【特許文献3】US6,147,249
【特許文献4】US6,447,980
【特許文献5】US4,491,628
【特許文献6】US5,350,660
【特許文献7】US5,843,624
【特許文献8】US6,866,984
【特許文献9】US6,723,488
【特許文献10】US6,790,587
【特許文献11】US6,849,377
【特許文献12】US6,818,258
【特許文献13】US6,916,590
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Shun−ichi Kodama et al., “Advances in Resist Technology and Processing XIX”,Proceedings of SPIE Vol.4690,pg.76,2002
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、アミノモノマーの例を示す。
図2図2は、アミノモノマーの他の例を示す。
図3図3は、ケイ素コモノマーの例を示す。
図4図4A〜4Fは、該新規組成物を用いたプロセスを示す。
図5図5A〜5Dは、該新規組成物を用いた他のプロセスを示す。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、少なくとも一つのケイ素部分及び少なくとも一つのアミノ基を含む第一の水溶性化合物と、少なくとも一つのカルボン酸基を含む第二の化合物とを含む、フォトレジストパターン上にコーティングするための水性組成物に関する。更に本発明は、該新規発明を使用する方法にも関する。更に本発明は、フォトレジストパターン上にコーティングするための本発明の組成物の使用、及びリソグラフィ性能を向上するための本発明の組成物の使用にも関する。
【0011】
本発明は、少なくとも一つのケイ素部分及び少なくとも一つのアミノ基を含む第一の水溶性化合物と、少なくとも二つのカルボン酸基を含む第二の化合物とを含む、フォトレジストパターン上にコーティングするための水性組成物にも関し、ここで前記第一の化合物は、構造1によって与えられる。
【0012】
【化1】
式中、Rは、水素、C−Cアルキル、及びC−Cカルボニルアルキルから選択され、Rは、C−C12脂肪族アルキレン、C−C12カルボニル脂肪族アルキレン、C−C12カルボニルアミノ脂肪族アルキレン及びC−C12アミノ脂肪族アルキレンから選択され、
【0013】
【化2】
は、第一の化合物の残りの部分への結合点である。
【0014】
[発明の詳細な説明]
本発明は、少なくとも一つのケイ素部分及び少なくとも一つのアミノ基を含む化合物を含む水性ケイ素コーティング組成物に関する。アミノ基は第一アミノ基または第二アミノ基である。該新規組成物は、更に、少なくとも一つのカルボン酸基または少なくとも二つのカルボン酸基を含む化合物を含んでもよい。
【0015】
また本発明は、微細電子デバイスの製造方法であって、画像が形成されたフォトレジストパターンの表面にケイ素コーティング材料の層を形成し、フォトレジスト界面近くのコーティング材料の部分を反応させ、そしてケイ素コーティング材料の未反応の可溶性部分を除去液で除去することを含む前記方法にも関する。この除去液は水または水性アルカリ性溶液であることができる。
【0016】
また本発明は、パターン形成方法であって、基材上にフォトレジスト構造を持った第一のフォトレジストパターンを形成するステップ、第一のフォトレジストパターン上に該新規コーティング組成物を塗布して、第一のフォトレジストパターンを覆うコーティン層を形成するステップ;前記コーティング層を除去液で現像して、第一のフォトレジストパターン上に付着コーティング層を形成するステップ、フォトレジストの表面をドライエッチングして、フォトレジストパターン最上部上の付着コーティング層を完全に除去するステップ、及び第一のフォトレジストパターンを除去して、基材上に付着層のパターンを形成するステップを含む前記方法にも関する。上記除去液は水または水性アルカリ性溶液であることができる。
【0017】
更に本発明は、微細電子デバイスの製造方法であって、画像形成されたフォトレジストパターンの表面上にケイ素コーティング材料の層を形成し、ケイ素部分をフォトレジストパターン中に拡散させ、そしてケイ素コーティング材料を除去液で除去することを含む、前記方法にも関する。前記除去液は水または水性アルカリ性溶液であることができる。
【0018】
画像形成されたフォトレジストパターンは、当業者には周知の方法に従い基材上に形成される。
【0019】
フォトレジストは、半導体工業において使用される任意のタイプのものであることができる。フォトレジスト組成物には、ネガ型とポジ型の二つのタイプのものがある。ネガ型フォトレジスト組成物が放射線に像様露光されると、放射線に曝された領域のレジスト組成物が現像剤溶液に溶けにくくなり(例えば、架橋反応が起こる)、他方、未露光の領域のフォトレジストコーティングはこのような溶液に対して比較的可溶性のまま残る。それ故、露光されたネガ型レジストを現像剤で処理すると、フォトレジストコーティングの未露光の領域が除去されて、コーティングにネガ型の像が形成され、それによってフォトレジスト組成物が付着していたその下にある基材表面の所望の部分が裸出される。
【0020】
これに対し、ポジ型フォトレジスト組成物を放射線で像様露光すると、放射線に曝された領域のフォトレジスト組成物が現像剤溶液に対しより溶けやすくなり、他方、未露光の領域は現像剤溶液に比較的不溶性のまま残る。それ故、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理すると、コーティングの露光された領域が除去されて、フォトレジストコーティングにポジ型の像が形成される。この場合もまた、下にある表面の所望の部分が裸出される。
【0021】
フォトレジスト解像度とは、フォトレジスト組成物が、露光及び現像の後に高いレベルの鋭い像縁をもってフォトマスクから基材へと転写できる最小の図形(feature)と定義される。現在の多くの製造用途では、半ミクロン未満のオーダーのフォトレジスト解像度が必要である。加えて、現像されたフォトレジストの壁の側面が基材に対してほぼ垂直であることが大概の場合に望ましい。フォトレジストコーティングの現像された領域と現像されていない領域との間のこのような明確な境界画定が、基材へのマスク像の正確なパターン転写につながる。このことは、微細化に向かう動向がデバイス上での微小寸法(critical dimensions)を小さくしているのでより一層重大な事柄となっている。
【0022】
一般的に、フォトレジストは、ポリマーと感光性化合物とを含む。フォトレジストシステムの例は、限定はされないが、ノボラック/ジアゾナフトキノン、ヒドロキシスチレンのコポリマー/オニウム塩、キャップドポリヒドロキシスチレンのコポリマー/オニウム塩、環状脂肪族ポリマー/オニウム塩、フルオロポリマー/オニウム塩などである。これらのフォトレジストは、436nm〜13.5nmの範囲の波長での使用に周知である。画像を形成できるものであれば任意のタイプのフォトレジストを使用し得る。フォトレジストを基材上にコーティングし、そしてフォトレジストコーティングをベークして実質的に全てのコーティング溶剤を除去する。次いで、コーティングを適当な波長の光で露光し、そして適当な現像剤で現像する。一般的に知られるナノインプリンティング技術も、フォトレジスト画像の形成に使用することができる。
【0023】
フォトレジストパターンを基材上に画定した後、本発明の新規ケイ素コーティングを、フォトレジストパターンを持つ基材上にコーティングする。このコーティングは、フォトレジストの表面と反応させて、水性除去液中に不溶性の界面付着層を形成してよい。界面付着層は、室温(加熱無し)でまたは基材を適当な時間適当な温度に加熱するかのいずれかで形成し得る。付着層を形成するための加熱は、約75℃〜約250℃、または約80℃〜約160℃の範囲であることができる。該新規組成物のアミノ基はフォトレジストのポリマーと反応して、ここでフォトレジストポリマーは、このアミノ基と反応することができる官能基、例えば限定はされないが、カルボン酸、ラクトン、無水物またはエステルを含む。フォトレジスト中に存在する任意の酸、例えば光の作用によって発生した酸が、フォトレジストパターン上での相互混合及び/または付着層の形成をアシストし得る。該新規材料の未反応部分は除去液で除去され、それによってフォトレジストパターン上に相互混合及び/または付着共形層(conformal layer)を形成する。除去液は水性液、例えば脱イオン水または水性アルカリ性溶液であることができ、ここでアルカリは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドであることができる。
【0024】
一例として、図4A〜4Fは、該新規組成物を用いて得られたポジ型トーン自己配列ダブルパターンのプロセスを例示する。図4Aは、基材100上に形成された、コンタクトホールまたはトレンチまたはライン/スペースなどのレジストパターン110を示す。該新規水溶液は、図4Bに示されるように、レジストパターン110上にスピンコートされて、コーティング120を形成する。次いで、フィルム120中に埋め込まれたレジストパターン110のスタック全体を、図4Cに示されるように、約75℃〜約250℃、または約80℃〜約160℃、または110℃〜140℃の様々な温度で約60秒間加熱することができる。そうして、付着または相互混合層121が形成される。ベークの後、過剰のフィルム120は除去液中で現像することにより除去することができ、そうして、図4Dに示すように、レジストパターン110aの表面上に界面層121のみが残る。残ったこの界面薄層は、表面付着及びレジスト材料との相互混合の双方から寄与を受ける。これは、レジストパターンとは異なるエッチング性を有し、そしてエッチマスクとしても使用できる。外側に界面層121を備えた相互混合されていないレジストパターンコア110aは、ツーステップエッチングでドライエッチングすることができる。第一のステップは、レジストパターンの最上部上に堆積した層121を除去するエッチバックであり、図4Eに示されるように、レジスト110をエッチングガスに曝された状態にする。第二のステップは、Oリッチエッチケミストリーを用いたレジスト除去である。Oエッチング条件中での層121及びレジスト110の高いエッチング選択性の故に、レジストコア110aが除去されて、図4Fに示されるように、フォトレジストパターンが存在していた所の両側に該新規コーティングに由来する構造体が残る。このプロセスの結果は、最終のダブルパターンが形成されることである。
【0025】
図5A〜5Dは、該新規材料を用いたフォトレジストパターンをドープするプロセスを例示する。コンタクトホールまたはトレンチまたはライン/スペースなどのフォトレジストパターン110を基材100の上に形成する。該新規水溶液130をレジストパターン110の上にスピンコートする。次いで、基材は、110℃〜140℃の様々な温度で60秒間加熱することができる。ベークの後、過剰の該新規フィルム120は、脱イオン水(DI水)中で現像することによって除去することができ、レジストパターン110の表面上に薄い界面層131のみが残る。残ったこの界面薄層は、表面付着とフォトレジスト材料との相互混合の双方からの寄与を受ける。該新規組成物の成分の最適化及び/またはDI水の代わりに水性アルカリ性現像剤中での現像によって、数(1〜5)ナノメータ未満の非常に薄い層が形成されるように、あるいは付着層が除去されそして相互混合ドープドフォトレジスト表面層のみが残るように、付着層を最適化することができる。フォトレジストパターンは次いでドライエッチングでエッチングマスクとして使用することができる。なぜならば、ドープドフォトレジスト表面は、今や、非ドープドフォトレジストと比べて高い濃度でケイ素を含むためである。この場合、フォトレジストパターンの寸法は変化していない。
【0026】
フォトレジストパターン上にコーティングを形成するための本新規組成物は、少なくとも一つのケイ素部分及び少なくとも一つのアミノ基を含む第一の水溶性化合物を含み、ここでアミノ基は、第一アミノ基(NH)または第二アミノ基(NH)から選択される。該組成物は更に、少なくとも一つのカルボン酸基または少なくとも二つのカルボン酸基を含む第二の化合物を含む。第一の化合物中のケイ素部分は、ケイ素を含まない純粋有機系化合物と比べて、特にフォトレジストと比べて高い耐ドライエッチング性を供する。第一の水溶性化合物は、シロキサン(Si−O)またはシラン(Si−Si)部分のオリゴマーまたはポリマーであってよく、そして更に、第一アミンまたは第二アミンから選択されるアミノ基を含む。第一の化合物中の官能基の一例は構造1によって与えられる。
【0027】
【化3】
式中、Rは、水素、C−Cアルキル、及びC−Cカルボニルアルキルから選択され、Rは、C−C12脂肪族アルキレン、C−C12カルボニル脂肪族アルキレン、C−C12カルボニルアミノ脂肪族アルキレン及びC−C12アミノ脂肪族アルキレンから選択され、そして
【0028】
【化4】
は、第一の化合物の残りの部分への結合点である。一つの態様では、Rは、H、CH、CHCH、CHCHCH、及びCH(CH)CHである。一つの態様では、Rは、CH、CHCH、及びCHCHCHである。第一の化合物は、アミノ含有シランの加水分解及び部分的な縮合重合によって製造し得る。第一の化合物の具体的な例としては、ポリ(アミノメチルシロキサン)、ポリ(2−アミノエチルシロキサン)、ポリ(3−アミノプロピルシロキサン)を挙げ得る。図1及び2は、本発明の第一の化合物の製造に使用し得るアミノ含有シランの例を示すものである。第一の化合物は、複数種のアミノ含有シランの混合物から調製されるコポリマーであってよい。第一の化合物は、更に、アミノ含有シランと非アミノ含有シランとから調製されるコポリマーであってもよい。非アミノ含有シランの例は、置換されたもしくは置換されていない炭化水素、置換されたもしくは置換されていないオキシ炭化水素、置換されたもしくは置換されていないカルボニル含有炭化水素、置換されたもしくは置換されていないカルボニル含有オキシ炭化水素、置換されたもしくは置換されていないカルボキシル含有炭化水素、置換されたもしくは置換されていないカルボキシル含有オキシ炭化水素などを有するシランであり、更なる例は、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシランである。更なる例は図3に示す。
【0029】
該新規組成物は、上記のアミノシラン化合物と、少なくとも一つのカルボン酸を含む第二の化合物とを含む。任意の有機モノカルボン酸を使用し得る。この有機モノカルボン酸は更にケイ素基を含んでよい。第二の化合物は少なくとも二つのカルボン酸基を含んでよく、そして場合により更にケイ素基を含んでよい。第の化合物は水溶性であってもよい。第二の化合物単独では水溶性でなくともよくいが、該新規組成物中では水溶性となる。第二の化合物の一例は構造2によって与えられる。
【0030】
【化5】
式中、Wは接続基であり、そしてyは0、1、2または3である。一つの態様では、yは、1、2または3である。一つの態様では、yは1である。Wは、任意の有機系またはケイ素有機系部分であることができる。Wは、炭化水素部分であることができ、例えばC−C12脂肪族アルキレン、C−C12カルボニル脂肪族アルキレン、C−C12カルボニルケイ素脂肪族アルキレン及びC−C12ケイ素脂肪族アルキレンから選択される。第二の化合物の他の例は構造3によって与えられる。
【0031】
【化6】
及びRは、独立して、C〜C12脂肪族アルキレンから選択され、Xは、直接原子価結合または接続基であり、zは0、1、2または3である。Xは、任意の有機系またはケイ素有機系部分であってよい。Xは、炭化水素部分であることができ、例えばC−C12脂肪族アルキレン、C−C12カルボニル脂肪族アルキレン、C−C12カルボニルケイ素脂肪族アルキレン及びC−C12ケイ素脂肪族アルキレンから選択される。一つの態様では、zは1、2または3である。一つの態様では、zは1である。一つの態様では、zは1であり、Xは、C−C12カルボニルケイ素脂肪族アルキレン及びC−C12ケイ素脂肪族アルキレンから選択され、そしてR及びRは、独立して、C〜C12脂肪族アルキレンから選択される。
【0032】
第二の化合物は、限定はされないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、(トリメチルシリル)酢酸、酪酸、吉草酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタール酸、マレイン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などによって例示し得る。ケイ素及びカルボン酸基を含む第二の化合物の他の例は、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラエチルジシロキサン、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)テトラエチルジシロキサン、1,3−ビス(カルボキシメチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(カルボキシメチル)テトラエチルジシロキサン、(3−カルボキシプロピル)を末端に持つポリジメチルシロキサン、(3−カルボキシプロピル)を末端に持つポリジエチルシロキサン、(2−カルボキシエチル)を末端に持つポリジメチルシロキサン、(2−カルボキシエチル)を末端に持つポリジエチルシロキサン、(カルボキシメチル)を末端に持つポリジメチルシロキサン及び(カルボキシメチル)を末端に持つポリジエチルシロキサンである。
【0033】
該新規組成物の一つの態様では、該組成物は、少なくとも一つのケイ素部分及び少なくとも一つの脂肪族アルキル第一アミン(−NH)を含む第一の化合物と、少なくとも二つのカルボン酸基を含む第二の化合物とを含む。該組成物は水溶液であり、この際、第一の化合物及び第二化合物は独立して水溶性であるか、または一緒なって水溶液中に可溶性になる。
【0034】
該新規組成物の他の態様の一つでは、該組成物は、少なくともケイ素部分及び脂肪族アルキル第一アミンを含む第一の化合物と、二つのカルボン酸基を含む第二のシロキサン(SiOSi)化合物とを含む。この組成物は水溶液であり、この際、第一の化合物と第二の化合物の両方が水溶液中に可溶性であるか、または水溶液中に可溶性になる。
【0035】
第一の化合物の例は、ポリ(アミノメチルシロキサン)、ポリ(2−アミノエチルシロキサン)及びポリ(3−アミノプロピルシロキサン)である。
【0036】
第二の化合物の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、(トリメチルシリル)酢酸、酪酸、吉草酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタール酸、マレイン酸などである。更なる例は、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸である。ケイ素及びカルボン酸基を含む第二の化合物の更なる例は、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラエチルジシロキサン、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)テトラエチルジシロキサン、1,3−ビス(カルボキシメチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(カルボキシメチル)テトラエチルジシロキサン、(3−カルボキシプロピル)を末端に持つポリジメチルシロキサン、(3−カルボキシプロピル)を末端に持つポリジエチルシロキサン、(2−カルボキシエチル)を末端に持つポリジメチルシロキサン、(2−カルボキシエチル)を末端に持つポリジエチルシロキサン、(カルボキシメチル)を末端に持つポリジメチルシロキサン及び(カルボキシメチル)を末端に持つポリジエチルシロキサンである。
【0037】
本発明の新規組成物は、界面活性剤(複数種可)を追加的に含んでよく、これは良好なフィルムの形成可能性を供する。界面活性剤の例には、アセチレンアルコール類、アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類のポリエトキシレート、アセチレングリコール類のポリエトキシレートなどが挙げられる。アセチレンアルコール類及びアセチレングリコール類の例には、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールなどが挙げられる。界面活性剤は単独でまたはこれらの少なくとも二種の混合物で使用し得る。それの配合量は、通常は、本発明の全組成物重量に対して50〜2,000ppm、好ましくは100〜1,000ppmである。使用し得る適当な界面活性剤の更なる例は、Air Products(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PA,USA)から入手できるSurfynol(登録商標)485、DIC(DIC Corporation,Tokyo,Japan)から入手できるMegaface(登録商標)Exp TF2066、Megaface(登録商標)F−553、Gelest(Gelest Corp.,Morrisville,PA,USA)から入手できるDBE−712である。
【0038】
該組成物中での第一の化合物に対する第二の化合物の比率は、コーティングの性能に影響を及ぼし得る。一般的に、比率が高いほど、フォトレジストパターン表面上での付着は低下する。第二の化合物と第一の化合物との相対的な装填は、第一の化合物中のアミノ基に対する第二の化合物中のCOOH基のモル比によってより正確に定義し得る。COOH基とアミノ基とのモル比は、1:20〜3:2、または1:20〜11:10、または1:5〜1:1の範囲であってよい。厚手の付着層が望ましい用途では、低くめの比率が好ましく、この場合は、アミノ基は付着のためには未結合(free)の状態である。ドープドフォトレジスト層を形成するためには、高めの比率が好ましく、この場合は、アミノ基は実質的に中和される。
【0039】
該新規組成物のケイ素含有率は、組成物の固形分の5重量%超、または固形分の10重量%超、または固形分の15重量%超、または固形分の20重量%超であることができる。
【0040】
アルキルは、望ましい炭素原子数及び原子価を有する線状、分枝状または環状アルキルを意味する。アルキル基はおおむね脂肪族であり、また環式または非環式であることができる。適当な非環式基は、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−もしくはtert−ブチル、線状もしくは分枝状のペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル及びヘキサデシルであることができる。他に記載が無ければ、アルキルとは、炭素原子数1〜10の部分を指す。環状アルキル基は単環式または多環式であることができる。単環式アルキル基の適当な例としては、置換されたシクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル基などが挙げられる。置換基は、ここに記載の非環式アルキル基のうちの任意のものであってよい。適当な二環式アルキル基としては、置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、及びビシクロ[3.3.2]デカン及び類似物などが挙げられる。三環式アルキル基の例には、トリシクロ[5.4.0.0.2,9]ウンデカン、トリシクロ[4.2.1.2.7,9]ウンデカン、トリシクロ[5.3.2.0.4,9]ドデカン、及びトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカンなどが挙げられる。ここに記載のように、環状アルキル基は、前記非環式アルキル基のうちの任意のものを置換基として有してよい。
【0041】
アルキレン基は、上記のアルキル基のうちの任意のものから誘導される二価のアルキル基である。アルキレン基について触れるときは、これには、アルキレン基の主炭素鎖中で(C−C)アルキル基で置換されたアルキレン鎖も包含される。アルキレン基は、アルキレン部分中に一つまたはそれ以上のアルキン基も含むことができ、ここでアルキン基とは三重結合のことである。本質的には、アルキレンは、主鎖としての二価の炭化水素基である。応じて、二価の非環式基は、メチレン、1,1−もしくは1,2−エチレン、1,1−、1,2−もしくは1,3−プロピレン、2,5−ジメチル−ヘキセン、2,5−ジメチル−ヘキサン−3−インなどであってよい。同様に、二価の環状アルキル基は、1,2−もしくは1,3−シクロペンチレン、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキシレン及び類似物であってよい。二価の三環式アルキル基は、上記の三環式アルキル基のうちの任意のものであってよい。本発明において特に有用な三環式アルキル基の一つは、4,8−ビス(メチレン)−トリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカンである。
【0042】
第一の化合物がポリマーである態様では、第一の化合物のポリマーの重量平均分子量Mwは、おおよそ500〜30,000、または800〜10,000、または1,000〜8,000の範囲である。
【0043】
該新規組成物は、ここに記載の第一の化合物と第二の化合物とを含み、ここで第一の化合物の濃度は、これらの化合物の物理的パラメータ及びこれらの化合物の異なる化学組成に依存して、約1重量%〜約50重量%の範囲、または2重量%〜10重量%の範囲、または4重量%〜8重量%の範囲である。添加剤及び/または水と混和性の他の溶剤を該組成物に加えてもよい。第一の化合物の製造の間の加水分解副生成物は通常はアルコールである。このようなアルコールは、共溶剤として組成物中に残り得る。アルコール、特にエタノール及びイソプロパノールなどの溶剤を加えることができる。
【0044】
フォトレジスト組成物は、ポリマー、光活性化合物及び溶剤を含む。特に好適なフォトレジストは、該新規コーティングポリマーのアミノ基と反応することができる官能基を備えたポリマーを含むものである。以下の説明によって拘束されることを望むものではないが、アミノ基は官能基と反応して、フォトレジストポリマーと結合して界面層を形成し、この界面層がフォトレジストパターンを安定化させるとともに、フォトレジストの全体的な寸法を大きくするものと考えられる。典型的には、カルボン酸、ラクトン、無水物及びエステルなどの基を含むフォトレジストポリマーが好ましく、そしてこのようなポリマーは、193nm及び158nmで画像を形成するのに有用なフォトレジストに最も頻繁に使用される。カルボン酸、ラクトン、無水物及びエステルなどの官能基を含むフォトレジストポリマー及びフォトレジストシステムは、US2001/0044070(特許文献1)、US5,843,624(特許文献2)、US6,147,249(特許文献3)、及びUS6,447,980(特許文献4)に記載されている。なおこれらの特許文献の内容は本明細書中に掲載されたものとする。特に、US2001/0044070(特許文献1)は、フォトレジストポリマーの一部を形成することができる様々なタイプのラクトン基、より好ましくはアクリレートラクトンを含むモノマー性単位を開示している。
【0045】
無水物基を含むフォトレジストポリマーは、無水マレイン酸及び無水フマル酸で例示されるものであってよい。
【0046】
エステル基を有する少なくとも一つの単位を含むフォトレジストポリマーは、アルキルエステルまたは脂肪環式エステル、好ましくは第三エステル、例えば第三ブチルエステル、2−アルキル−2−アダマンチルエステル、2−メチル−2−アダマンチルエステル、2−エチル−2−アダマンチルエステルなどによって例示される。
【0047】
現在まで、微細化に大きな進展をもたらした幾つかの主要な深紫外線(uv)露光技術があり、これらは、248nm、193nm、157nm及び13.5nmの放射線である。248nm用のフォトレジストは、典型的には、置換されたポリヒドロキシスチレン及びそれのコポリマー/オニウム塩をベースとし、例えばUS4,491,628(特許文献5)及びUS5,350,660(特許文献6)に記載のものなどがある。他方、200nm未満の露光のためのフォトレジストは、芳香族類がこの波長で不透明なために非芳香族系のポリマーを必要とする。US5,843,624(特許文献7)及びUS6,866,984(特許文献8)は、193nm露光用に有用なフォトレジストを開示している。一般的に、脂肪環式炭化水素を含むポリマーは、200nm未満の露光用のフォトレジストに使用される。脂肪環式炭化水素は、多くの理由からポリマー中に組み入れられ、主には、これらが、耐エッチング性を向上する比較的高い炭素:水素比を有し、またこれらは短い波長においても透明性を供し、及びこれらは比較的高いガラス転移温度を有するためである。US5,843,624(特許文献7)は、無水マレイン酸と不飽和環状モノマーとのフリーラジカル重合によって得られるフォトレジスト用ポリマーを開示している。193nmフォトレジストの既知のタイプの任意のものを使用でき、例えばUS6,447,980(特許文献8)及びUS6,723,488(特許文献9)に記載のものなどがある。なおこれらの特許文献の内容は本明細書中に掲載されたものとする。
【0048】
シクロオレフィンはポリマーの主鎖中に組み入れられ、そして不飽和結合を含む任意の置換されたもしくは置換されていない任意の多環式炭化水素であってよい。このポリマーは、不飽和結合を有する一種またはそれ以上のシクロオレフィンモノマーから合成し得る。シクロオレフィンモノマーは、置換されたもしくは置換されていないノルボルネン、またはテトラシクロドデセンであることができる。シクロオレフィン上の置換基は、脂肪族もしくは環状脂肪族アルキル、エステル、酸、ヒドロキシル、ニトリルもしくはアルキル誘導体であってよい。シクロオレフィンモノマーは、t−ブチルノルボルネンカルボキシレート(BNC)、ヒドロキシエチルノルボルネンカルボキシレート(HNC)、ノルボルネンカルボン酸(NC)、t−ブチルテトラシクロ[4.4.0.1.2,61.7,10]ドデカン−8−エン−3−カルボキシレート、及びt−ブトキシカルボニルメチルテトラシクロ[4.4.0.1.2,61.7,10]ドデカン−8−エン−3−カルボキシレートから選択してよく;より好ましくはシクロオレフィンは、t−ブチルノルボルネンカルボキシレート(BNC)、ヒドロキシエチルノルボルネンカルボキシレート(HNC)、及びノルボルネンカルボン酸(NC)から選択される。
【0049】
好ましいアクリレートモノマーは、メバロノラクトンメタクリレート(MLMA)、メバロノラクトンアクリレート(MLA)、2−メチルアダマンチルメタクリレート(MAdMA)、2−メチルアダマンチルアクリレート(MAdA)、2−エチルアダマンチルメタクリレート(EAdMA)、2−エチルアダマンチルアクリレート(EAdA)、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、3−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシアダマンタン、3−ヒドロキシ−1−アクリルオキシアダマンタン、3,5−ジヒドロキシ−1−メタクリルオキシアダマンタン、3,5−ジヒドロキシ−1−アクリルオキシアダマンタン、β−メタクリルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−アクリルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリルオキシ−γ−ブチロラクトンノルボルネンラクトンメタクリレート、ノルボルネンラクトンアクリレートから選択してよい。より好ましくは、アクリレートモノマーは、メバロノラクトンメタクリレート(MLMA)、メバロノラクトンアクリレート(MLA)、2−メチルアダマンチルメタクリレート(MAdMA)、2−メチルアダマンチルアクリレート(MAdA)、2−エチルアダマンチルメタクリレート(EAdMA)、2−エチルアダマンチルアクリレート(EAdA)、3−ヒドロキシ−1−メタクリルオキシアダマンタン、3−ヒドロキシ−1−アクリルオキシアダマンタン、α−メタクリルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリルオキシ−γ−ブチロラクトンノルボルネンラクトンメタクリレート、ノルボルネンラクトンアクリレートから選択される。環状無水物はこのましくは無水マレイン酸である。
【0050】
フォトレジストポリマーの例は、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−ベータ−ブチロラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルアクリレート−co−ベータ−ブチロラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−メバロノラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−ノルボルネンラクトン(メタ)アクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−ベータ−ブチロラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−アルファ−ブチロラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート−co−ベータ−ブチロラクトンアクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−ノルボルネンラクトンメタクリレート)、ポリ(ノルボニルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−ベータ−ブチロラクトンメタクリレート)、ポリ(2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−ノルボルネンラクトンメタクリレート)、ポリ(2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート−co−ベータ−ブチロラクトンアクリレート)、ポリ(2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−アルファ−ブチロラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−ノルボルネンラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−ベータ−ブチロラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−アルファ−ブチロラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート−co−ベータ−ブチロラクトンメタクリレート−co−ノルボルネンラクトンメタクリレート)、ポリ(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート−co−ベータ−ブチロラクトンメタクリレート−co−ノルボルネンラクトンメタクリレート)である。
【0051】
157nmに感度を示しかつフルオロアルコール側基を有するフッ素化ポリマーをベースとする二つの基本的な部類のフォトレジストが、この波長で実質的に透明であることが知られている。一方の部類の157nmフルオロアルコールフォトレジストは、フッ素化ノルボルネン類などの基を含むポリマーから誘導され、そして金属触媒重合またはラジカル重合のいずれかを用いて、単独重合されるかあるいは他の透明モノマー、例えばテトラフルオロエチレンと共重合される(US6,790,587(特許文献10)、及びUS6,849,377(特許文献11))。一般的に、これらの材料はより高い吸光性を与えるが、それらの高い脂肪環式類含有率の故に良好な耐プラズマエッチング性を有する。より最近になって、別の部類の157nmフルオロアルコールポリマーが開示され、この場合は、そのポリマー主鎖は、非対称性ジエン、例えば1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンのシクロ重合から(Shun−ichi Kodama et al., “Advances in Resist Technology and Processing XIX”,Proceedings of SPIE Vol.4690,pg.76,2002(非特許文献1); US6,818,258(特許文献12))、あるいはフルオロジエンとオレフィンとの共重合(US 6,916,590(特許文献13))から誘導される。これらの材料は157nmで許容可能な吸光性を与えるが、それらの脂肪環式類含有率が上記のフルオロ−ノルボルネンポリマーと比べて低いために、耐プラズマエッチング性に劣る。これらの二つの部類のポリマーは、第一のポリマータイプの高い耐エッチング性と第二のポリマータイプの157nmでの高い透明性との間のバランスを図るためにしばしばブレンドすることができる。13.5nmの極端紫外線(EUV)を吸光するフォトレジストも有用であり、当技術分野において既知である。
193nm及び157nm露光に特に好ましいものは、非芳香族系ポリマー、光酸発生剤、任意に溶解防止剤、任意に塩基、及び溶剤を含むフォトレジストである。
【0052】
該フォトレジスト組成物の光酸発生剤(PAG)は、所望の露光波長、好ましくは193nm及び157nmで吸収するものから選択される。酸生成性感光性化合物の適当な例には、限定はされないが、イオン性光酸発生剤(PAG)、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、または非イオン性PAG、例えばジアゾスルホニル化合物、スルホニルオキシイミド類、及びニトロベンジルスルホネートエステル類などが挙げられるが、照射時に酸を生成するものであれば任意の感光性化合物を使用してよい。オニウム塩は、通常は、有機溶剤中に可溶性の形態で、大概はヨードニウムまたはスルホニウム塩として使用され、これの例は、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート及び類似物である。使用し得る照射時に酸を生成する他の化合物は、トリアジン類、オキサゾール類、オキサジアゾール類、チアゾール類、置換された2−ピロン類である。フェノールスルホン酸エステル類、ビス−スルホニルメタン類、ビス−スルホニルメタン類またはビス−スルホニルジアゾメタン類、トリフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリフェニルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジフェニルヨードニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、ジフェニルヨードニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びそれらの同族体も可能な候補である。複数種の光活性化合物の混合物も使用し得る。
【0053】
場合により、画像が形成されたフォトレジストのプロフィルを制御し及びTトップなどの表面阻止効果を防ぐために、塩基または光活性塩基がフォトレジストに加えられる。チッ素含有塩基が好ましく、これの具体例は、アミン類、例えばトリエチルアミン、トリエタノールアミン、アニリン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドまたはその塩である。感光性塩基の例は、ジフェニルヨードニウムヒドロキシド、ジアルキルヨードニウムヒドロキシド、トリアルキルスルホニウムヒドロキシドなどである。塩基は、光酸発生剤に対して100モル%までの量で加えてよい。塩基添加剤という用語を使用したが、酸を除去するための他の機序も可能であり、例えば、それぞれ、ポスト露光ベークの間にフィルムから揮発することによって酸を除去するかあるいは求核性部分と酸前駆体カルボカチオンとの反応(例えばt−ブチルブロマイドを生成する、tert−ブチルカルボカチオンとブロマイドとの反応)によって酸を除去する、揮発性酸(例えばCFCO)または求核性酸(例えばBr)のテトラアルキルアンモニウム塩を使用することによる酸の除去も可能である。
【0054】
非揮発性アミン添加剤の使用も可能である。好ましいアミンは、塩基性、低揮発性及びレジスト調合物中での可溶性を維持しながら求核反応性を妨げるように立体障害構造を持つもの、例えばプロトンスポンジ、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、環状アルキルアミン、またはUS6,274,286(特許文献12)に記載のようなポリエーテル含有アミン類であろう。
【0055】
193nm及び157nmの画像形成のためのフォトレジスト組成物は、典型的には、各成分を適当なフォトレジスト溶剤中でブレンドすることによって調製される。好ましい態様では、フォトレジスト中のポリマーの量は、固形物、すなわち溶剤以外のフォトレジスト成分の重量に基づき、好ましくは90%〜約99.5%、より好ましくは約95%〜約99%である。好ましい態様では、光活性化合物は、固形フォトレジスト成分の重量を基準にして約0.5%〜約10%、好ましくは約4%〜約6%の量でフォトレジスト中に存在する。フォトレジスト組成物の調製時には、フォトレジストの固形成分を溶剤または複数種の溶剤の混合物、例えば、中でも、プロピレングリコールモノ−アルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、酢酸ブチル、キシレン、1,3−ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−メチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネート、及び乳酸エチルとエチル−3−エトキシプロピオネートとの混合物と混合する。
【0056】
調製されたフォトレジスト組成物溶液は、フォトレジストの分野で使用される任意の慣用の方法によって基材に塗布でき、例えばディップコート法、スプレーコート法、ホワール(whirling)コート法及びスピンコート法などがある。例えばスピンコート法の場合には、フォトレジスト溶液は、利用されるスピン装置のタイプ及びスピンプロセスに許される時間量の下に、所望の厚さのコーティングを供するために固形物含有率に関して調節することができる。適当な基材には、ケイ素、アルミニウム、ポリマー性樹脂、二酸化ケイ素、ドープド二酸化ケイ素、窒化ケイ素、タンタル、銅、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物、ヒ化ガリウム及び他のこのようなIII/V族化合物などが挙げられる。フォトレジストは、反射防止コーティングの上にもコーティングしてよい。
【0057】
次いで、フォトレジスト組成物は基材上にコーティングされ、そしてこの基材は、約70℃〜約150℃の温度において、ホットプレートでは約30秒間〜約180秒間、またはコンベクションオーブン中で約15〜約90分間、処理される。この温度処理は、フォトレジスト中の残留溶剤の濃度を低下させるために選択され、固形成分を熱分解することは実質的にない。一般的に、溶剤の濃度は最小にすることが望まれるので、この第一の温度処理は、実質的に全ての溶剤が蒸発されて、半ミクロン(マイクロメータ)のオーダーの厚さのフォトレジスト組成物の薄いコーティングが基材上に残るまで行われる。好ましい実施形態の一つでは、温度は約95℃〜約160℃、より好ましくは約95℃〜約135℃である。この処理は、溶剤除去の変化の割合が比較的取るに足らないものなるまで行われる。温度と時間の選択は、ユーザーによって望まれるフォトレジストの性質、並びに使用した装置及び商業的に望ましいコーティング時間に依存する。次いで、コーティングされたこの基材は化学線、例えば約100nm(ナノメータ)〜約300nmの波長の紫外線、x線、電子ビーム、イオンビームまたはレーザー放射線で、適当なマスク、ネガ、ステンシル、テンプレートなどの使用によって形成される任意の所望のパターンに像様露光することができる。ナノインプリンティング技術もパターンの形成に使用し得る。
【0058】
フォトレジストは、次いで、現像の前にポスト露光第二ベークまたは熱処理に付される。加熱温度は、約90℃〜約160℃、より好ましくは約100℃〜約130℃の範囲であることができる。加熱は、ホットプレートでは約30秒間〜約5分間、より好ましくは約60秒間〜約90秒間、またはコンベクションオーブンでは約15〜約45分間、行うことができる。
【0059】
フォトレジストを、当技術分野で周知の方法に従い、基材上にコーティングし、フォトレジストが感度を示す適当な放射線で像様露光し、ベークし、そして現像する。
【0060】
本発明の新規材料を、次いで、フォトレジストの上にコーティングし、そしてフォトレジストと反応させ、未反応の組成物材料を除去液で除去した後に、相互混合及び/または付着相互混合層を形成する。相互混合及び/または付着層の厚さは、約2nm〜約150nm、好ましくは5nm〜30nm、より好ましくは10nm〜30nmの範囲であることができる。同様に、該新規コーティングは、フォトレジストパターン表面をドープするのにも使用される。該コーティング材料とフォトレジストとの間の反応は典型的には加熱ステップの間に起こるが、室温でも起こり得る。該コーティング材料は、ホットプレートで、75℃〜約250℃、または約80℃〜約160℃、または110℃〜140℃の温度で、30秒間〜180秒間、加熱してよい。約90℃または約110℃の温度で該新規材料の加熱は、該新規材料のフィルムを硬化するべきではない。なぜならば、フィルム全体の硬化は、それを除去液で除去することを可能にしないからである。
【0061】
該新規材料の反応していない残りの部分は除去液を用いて除去される。除去液は水であってよくまたは界面活性剤の水溶液を含み、これは更にアルカリ及び/または水混和性溶剤を含んでよい。アルカリの例は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンまたはこれらの混合物である。水混和性溶剤は、例えば、低級脂肪族アルコール、例えばエタノールもしくはイソプロパノール;多官能性アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、もしくはこれらのモノメチルエーテル、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)である。水溶性ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤は、良好なリソグラフィ結果を与えることが認められた。ノニオン性界面活性剤の例は、アルキル、フルオロアルキルもしくは芳香族基を末端に持つエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリマーである。アニオン性界面活性剤も、優れたリソグラフィ性能を与え、そしてこのような界面活性剤の例は、長鎖アルカン酸の塩、例えばラウリン酸塩、ステアリン酸塩またはヘプタン酸塩、アルキルもしくはアラルキルスルホン酸の塩、例えばラウリルスルホン酸の塩、またはスルホン酸アミドの様々に置換された塩、またはこれらの部類の化合物の部分的にもしくは完全にフッ素化された誘導体である。アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、または他のアルキルアンモニウムイオンが有用な対イオンである。除去液の実際の組成は、シュリンク材料、所望のリソグラフィ性能、材料の相溶性、製造規格などのファクターに依存する。
【0062】
除去液は、当技術分野で既知の方法により基材の表面上に施用される。パドル現像、浸漬現像、スプレー現像、またはこれらの技術の任意の組み合わせを、基材から化学組成物を除去するために使用してよい。除去プロセスの時間と温度は、最良のリソグラフィ性を与えるために変えられる。望ましいリソグラフィ性とは、例えば(a)未反応の新規材料を除去した後の基材の綺麗さ、すなわち基材に不溶性の堆積物、ストリンガー、ブリッジなどが無いこと、(b)垂直な壁角度、及び(c)平滑な表面である。
【0063】
それ故、本発明の一つの観点では、次のステップ、すなわち
(a)基材上に第一のフォトレジストパターンを形成するステップ;
(b)本発明のコーティング組成物を、第一のフォトレジストパターン上に施用して、第一のフォトレジストパターンを覆う第二のコーティング層を形成するステップ;
(c)任意に、コーティングを加熱するステップ;及び
(d)第二のコーティング組成物を現像して、第一のフォトレジストパターン上の未反応の第二のコーティング層を除去するステップ;
を含むパターン形成法が提供される。
【0064】
一つの態様では、上記プロセスは、付着層を形成した後にハードベークを更に含む。
【0065】
本発明の更に別の観点では、次のステップ、すなわち
(a)基材上に、フォトレジスト構造を持つ第一のフォトレジストパターンを形成するステップ;
(b)第一のフォトレジストパターンの上に本発明のコーティング組成物を施用して、第一のフォトレジストパターンを覆うコーティング層を形成するステップ;
(c)コーティング層を現像し、それによって第一のフォトレジストパターンのの上に付着コーティング層を形成するステップ;
(d)フォトレジストの表面をドライエッチングして、フォトレジストパターンの最上部で付着コーティング層を完全に除去するステップ;及び
(e)第一のフォトレジストパターンを除去し、それによって基材上に付着層のパターンを形成するステップ;
を含むパターン形成法が提供される。
【0066】
上記方法の一つの態様では、第一のフォトレジストパターンはドライエッチングによって除去される。
【0067】
この方法の他の態様では、第一のフォトレジストパターンは有機溶剤によって除去される。
【0068】
この方法の更に別の態様の一つでは、フォトレジストは、フラッド(flood)露光及び水性アルカリ性現像剤中での現像によって除去される。
【0069】
上記のプロセスによって画定されて所望の狭い空間が形成された後は、デバイスを必要に応じて更に加工してよい。空間中に金属を堆積してもよいし、基材をエッチングしてもよいし、フォトレジストを平坦化してもよいし、また他の加工も可能である。
【0070】
他の態様の一つでは、該新規材料は、図5A〜5Dに示されるように、フォトレジストパターンをドープするために使用される。この場合、フォトレジストパターン上に形成された新規コートフィルムを加熱してケイ素をフォトレジスト中に拡散させ、次いで層をここに記載のように除去液で除去する。上述のように、相互混合ドープ層が、フォトレジストパターンの表面上に形成される。
【0071】
従って、本発明のこの観点では、次のステップ、すなわち
(a)基材上に第一のフォトレジストパターンを形成するステップ;
(b)第一のフォトレジストパターンの上に本発明のコーティング組成物を施用して、第一のフォトレジストパターンを覆うコーティング層を形成するステップ;
(c)任意に、コーティングを加熱するステップ;及び
(d)第二のコーティング組成物を現像し、それによって相互混合されたドープドフォトレジストパターンを形成するステップ;
を含むパターン形成方法が提供される。
【0072】
上記で引用した文献のそれぞれは、全ての目的に関してその内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明の組成物を製造及び使用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を与えるものと解釈するべきものではない。
【実施例】
【0073】
例1
ポリ(3−アミノプロピルシロキサン)の合成: 123.9gのDI(脱イオン)水を、マグネチックスターラーバーを備えた500mlのフラスコ中に仕込んだ。攪拌しながら、51.48gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを滴下した。添加後に、溶液を室温で18時間攪拌して透明な溶液を得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)は約1060g/モルのMWを示した。
調合: 上記のポリマー溶液をDI水で希釈することによって5.0重量%溶液を調製し、そして1000ppmのSurfynol(登録商標)485界面活性剤(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PA,USAから入手可能)を加えた。
試験: 上記調合物を、6インチSiウェハ上にスピンコートし、そして110℃/30秒間でベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。ベークされたフィルムが水現像後に残り、これはフィルムが硬化されそしてDI水では除去できなかったことを示した。
【0074】
例2
合成: 13.42gの1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサンを34.3gのDI水中に分散した。攪拌しながら、19.38gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを滴下した。添加後に、溶液を室温で24時間攪拌して透明な溶液を得た。GPCは約1200g/molのMWを示した。1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン中のCOOHと3−アミノプロピルトリエトキシシラン中のNHとのモル比は100:100であった。
調合: 上記のポリマー溶液をDI水で希釈することによって5.0重量%溶液を調製し、そして1000ppmのSurfynol(登録商標)485界面活性剤(Air Products and Chemicals,Inc., Allentown,PA,USAから入手可能)を加えた。
試験: 調合物を6インチSiウェハ上にスピンコートし、そして110℃/60秒間でベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。ベークしたフィルムはDI水で完全に洗浄除去され、これは、1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサンが、110℃/60秒間のベークでポリ(3−アミノプロピルシロキサン)の硬化を妨げたことを示した。
【0075】
例3
調合: 例2の20.4gのポリマー溶液及び例1の30.13gのポリマー溶液を、163.7gのDI水と混合した。次いで、500ppmのMegaface(登録商標)Exp TF−2066界面活性剤(DIC Corporation(Tokyo,Japan)から入手可能)を添加し、そしてこの調合物を0.2μmフィルターに通して濾過した。1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン中のCOOHと、3−アミノプロピルトリエトキシシラン中の全NHとのモル比は40:100であった。
試験1: 調合物を別々の8インチSiウェハ上にスピンコートし、そして一つのウェハは110℃/60秒間でベークし、そして他のウェハは140℃/60秒間でベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。どちらの場合も、ベークしたフィルムは完全に洗浄除去されて、硬化を示さなかった。
試験2: 1:1のピッチを有する90nmライン/トレンチパターンを、193nmフォトレジスト(AZ(登録商標)2110P,AZ Electronic Materials Corp.,Somerville,NJ,USA)を用いて別々の8インチケイ素ウェハ上に生成した。上記の調合物を1800rpmで上記パターン上にコーティングし、そして一つのウェハは110℃/60秒間でベークし、そして二つめのウェハは140℃/60秒間でベークし、その後、水で30秒間現像した。CD測定は、フォトレジストのライン幅の約15nmCD増加を示し、付着層が形成されたことを示した。
試験3: 上記の調合物を8インチ(20.3cm)ケイ素ウェハ上に1500rpmでスピンコートし、そしてフィルムを200℃で60秒間ベークした。このウェハを、以下の条件、すなわち50sccmのO流速、0.26Paのプロセス圧;100wのアンテナ電力;100wのトリガー電力、及び15秒間のプロセス時間の条件を用いて純Oプラズマ中でエッチングした。対照としてのAZ(登録商標)2110P193nmフォトレジストに対して、0.08の相対エッチング速度がこの材料で得られ、これは、この材料が、フォトレジストと比べて高いエッチング選択性を有したことを示した。
【0076】
例4
合成: 9.26gの1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサンを37.86gのDI水中に分散した。攪拌しながら、33.4gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを滴下した。添加後に、溶液を室温で24時間攪拌して透明な溶液を得た。GPCは1256g/molのMWを示した。1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン中のCOOHと3−アミノプロピルトリエトキシシラン中のNHとのモル比は40:100であった。
調合: 5.28gの上記のポリマー溶液をDI水で希釈して総重量31gとし、そして500ppmのMegaface(登録商標)Exp TF−2066界面活性剤(DIC Corporation(Tokyo,Japan)から入手可能)を加えた。この溶液を0.2μmフィルターに通して濾過した。
試験1: 調合物を8インチSiウェハ上にスピンコートし、そして110℃/60秒間でベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。ベークしたフィルムは完全に洗浄除去され、これは、110℃/60秒間ベークで硬化しないことを示した。
試験2: 1:1ピッチを有する90nmライン/トレンチパターンを、ArFフォトレジスト(AZ(登録商標)2110P,AZ Electronic Materials Corp.,Somerville,NJ,USA)を用いて8インチ(20.3cm)ケイ素ウェハ上に生成した。上記の組成物を1800rpmで上記パターン上にコーティングし、110℃で60秒間ベークし、その後、水で30秒間現像した。CD測定はフォトレジストライン幅に約15nmのCD増加を示し、これは付着層の形成を示していた。
【0077】
例5
合成: 21.39gの1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサンを87.56gのDI水中に分散した。攪拌しながら、77.24gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを滴下した。更に9.1gのDI水を加えた後、溶液を室温で24時間攪拌して透明な溶液を得た。GPCは1162g/molのMWを示した。1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン中のCOOHと3−アミノプロピルトリエトキシシラン中のNHとのモル比は40:100であった。
調合: 37.7gの上記のポリマー溶液をDI水で希釈して全重量240gとし、そして500ppmのMegaface(登録商標)Exp TF−2066界面活性剤(DIC Corporation(Tokyo,Japan)から入手可能)を加えた。この溶液を0.2μmフィルターに通して濾過した。
試験: 様々なピッチの120nmコンタクトホールを、ArFコンタクトホールフォトレジスト(AZ(登録商標)2050,AZ Electronic Materials Corp.,Somerville,NJ,USA)を用いて8インチ(20.3cm)ケイ素ウェハ上に生成した。上記の水性ケイ素組成物を1800rpmでパターン上にコーティングし、110℃で60秒間ベークし、その後、水で30秒間現像した。CD測定は、コンタクトホール径に約20nmの減少を示した。
【0078】
例6
合成: 5.0gの1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサンを25gのDI水中に分散した。攪拌しながら、18.06gの3−アミノプロピルトリエトキシシランと1gのテトラエトキシシランとの混合物を滴下した。添加後に、溶液を室温で24時間攪拌して透明な溶液を得た。1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン中のCOOHと3−アミノプロピルトリエトキシシラン中のNHとのモル比は40:100であった。GPCは1207g/molのMWを示した。
調合: 8.2gの上記のポリマー溶液を44.6gのDI水によって希釈し、そして500ppmのMegaface(登録商標)Exp TF−2066界面活性剤(DIC Corporation(Tokyo,Japan)から入手可能)を加えた。この溶液を0.2μmフィルターに通して濾過した。
試験1: 調合物を8インチSiウェハ上にスピンコートし、そして110℃/60秒間でベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。ベークしたフィルムは完全に洗浄除去され、硬化は示さなかった。
試験2: 先ず、1:1ピッチを有する90nmライン/トレンチパターンを、ArF(193nm)フォトレジスト(AZ(登録商標)2110P,AZ Electronic Materials Corp.,Somerville,NJ,USA)を用いて、8インチ(20.3cm)ケイ素ウェハ上に生成した。上記の組成物を1800rpmでオーバーコートし、110℃で60秒間ベークし、その後、水で30秒間現像した。CD測定は、約20nmのCD増加を示した。
【0079】
例7
合成: 19.98gの1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサンを45.25gのDI水中に分散した。攪拌しながら、23.35gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを滴下した。添加後に、反応溶液を室温で24時間攪拌して透明な溶液を得た。GPCは1200g/molのMWを示した。1,3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシロキサン中のCOOHと3−アミノプロピルトリエトキシシラン中のNHとのモル比は100:100であった。
調合: 2gの上記のポリマー溶液及び例1の5.18gのポリマー溶液を混合しそしてDI水で希釈して4.7重量%の溶液を調製した。500ppmのMegaface(登録商標)Exp TF−2066界面活性剤(DIC Corporation(Tokyo,Japan)から入手可能)を添加し、そしてこの溶液を0.2μmフィルターに通して濾過した。この調合物中でのCOOHと全NH2とのモル比は30:100であった。
試験1: 調合物を8インチ(20.3cm)Siウェハ上にスピンコートし、そして110℃/60秒間でベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。ベークしたフィルムは完全に洗浄除去され、硬化は示さなかった。
試験2: 先ず、1:1ピッチを有する90nmライン/トレンチパターンを、ArFフォトレジスト(AZ(登録商標)2110P,AZ Electronic Materials Corp.,Somerville,NJ,USA)を用いて、8インチ(20.3cm)ケイ素ウェハ上に生成した。上記の組成物を1800rpmでオーバーコートし、135℃で60秒間ベークし、その後、水で30秒間現像した。CD測定は、約37nmのCD増加を示した。
【0080】
例8
調合: 例7の13.99gのポリマー溶液を100.1gのDI水によって希釈し、そして500ppmのMegaface(登録商標)Exp TF−2066界面活性剤(DIC Corporation(Tokyo,Japan)から入手可能)を加えた。この溶液を0.2μmフィルターに通して濾過した。 この調合物中のCOOHとNHとのモル比は100:100であった。
試験2: 先ず、1:1のピッチの80nmライン/トレンチパターンを、ArFフォトレジスト(AZ(登録商標)2110P,AZ Electronic Materials Corp.,Somerville,NJ,USA)を用いて8インチ(20.3cm)ケイ素ウェハ上に生成した。上記の組成物を1800rpm/30秒間でオーバーコートし、140℃で60秒間ベークし、2.38重量%TMAH現像剤で30秒間現像した。CD測定はCD変化を示さなかった。同じウェハを次いでフォトレジスト溶剤中に60秒間浸漬した。X−SEMは、ウェハ上のパターンが消失しなかったことを示した。これは、該ケイ素組成物がフォトレジスト中に拡散し、そして付着ケイ素層がTMAH除去液で除去された後でも溶剤浸食からフォトレジストパターンを保護したことを示していた。
【0081】
例9
調合: オリゴマー性ポリ(3−アミノプロピルシロキサン)溶液(22〜25重量%水溶液、MW:570g/mol,Gelest Corp.,Morrisville,PA,USA)をDI水と混合することによって5重量%水溶液を調製した。1000ppmのSurfynol(登録商標)485界面活性剤(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PA,USAから入手可能)を加えた。
試験: 上記調合物を、6インチSiウェハ上にスピンコートし、そして110℃/30秒間でベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。ベークされたフィルムが水現像後に残り、これはフィルムが硬化されそしてDI水では除去できなかったことを示した。
【0082】
例10
2.27gのアジピン酸を、Gelest(Gelest Corp.,Morrisville,PA,USA)から得たポリ(3−アミノプロピルシロキサン)の22〜25重量%水溶液16.57g中に溶解した。1.5gのこの混合物をDI水で希釈して、8.3gの総重量とした。500ppmのMegaface(登録商標)Exp TF−2066界面活性剤(DIC Corporation(Tokyo,Japan)から入手可能)を添加し、そしてこの溶液を0.2μmフィルターに通して濾過した。
調合物を8インチ(20.3cm)Siウェハ上にスピンコートし、そして110℃/60秒間でベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。ベークしたフィルムは完全に洗浄除去され、これはアジピン酸が、ポリ(3−アミノプロピルシロキサン)がこの温度で硬化することを妨げ得たことを示した。
【0083】
例11
合成: 40.56gのDI水を、マグネチックスターラーバーを備えた250mlフラスコ中に仕込んだ。攪拌しながら、19.8gのN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンを滴下した。添加後に、この溶液を室温で19時間攪拌して透明な溶液を得た。
調合: 上記のポリマー溶液をDI水で希釈することによって5.0重量%溶液を調製し、そして500ppmのMegaface(登録商標)Exp TF−2066界面活性剤(DIC Corporation(Tokyo,Japan)から入手可能)を加えた。
試験: 調合物を6インチ(15.2cm)Siウェハ上にスピンコートし、 そして110℃/30秒間でベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。ベークされたフィルムが水現像後に残り、これはフィルムが硬化されそしてDI水では除去できなかったことを示した。
【0084】
例12
合成: 7.3gのアジピン酸を、マグネチックスターラーバーを備えた250mlフラスコ中で40.17gのDI水中に分散した。攪拌しながら、11.18gのN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンを滴下した。添加後に、この溶液を室温で19時間攪拌して透明な溶液を得た。アジピン酸中のCOOHとN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン中の全Nのとのモル比は100:100であった。
調合: 上記のポリマー溶液をDI水で希釈することによって5.0重量%溶液を調製し、そして500ppmのMegaface(登録商標)Exp TF−2066界面活性剤(DIC Corporation(Tokyo,Japan)から入手可能)を加えた。
試験: 調合物を6インチ(15.2cm)Siウェハ上にスピンコートし、そして140℃/60秒間ベークした。次いで、これらのウェハをDI水で30秒間現像した。ベークしたフィルムはDI水で完全に洗浄除去され、これはアジピン酸が、ポリ(プロピルエチレンジアミンシロキサン)が140℃/60秒間ベークで硬化することを妨げたことを示していた。
本願発明は、特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、以下の技術事項を包含するものである。
1. フォトレジストパターン上にコーティングするための水性組成物であって、少なくとも一つのケイ素部分と少なくとも一つのアミノ基とを含む第一の水溶性化合物、及び少なくとも一つのカルボン酸基を含む第二の化合物を含む、前記組成物。
2. 第二の化合物が、少なくとも二つのカルボン酸基を含む、上記1に記載の組成物。
3. 第二の化合物が更にケイ素部分を含む、上記1または2に記載の組成物。
4. 第一の化合物が以下の構造1の部分を含む、上記1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【化7】
式中、Rは、水素、C−Cアルキル、及びC−Cカルボニルアルキルから選択され、Rは、C−C12脂肪族アルキレン、C−C12カルボニル脂肪族アルキレン、C−C12カルボニルアミノ脂肪族アルキレン及びC−C12アミノ脂肪族アルキレンから選択され、そして
【化8】
は、第一の化合物の残りの部分への結合点である。
5. 第二の化合物が以下の構造2を有する、上記1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【化9】
式中、Wは接続基であり、そしてyは、0、1、2または3である。
6. 第二の化合物が以下の構造3を有する、上記1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【化10】
式中、R及びRは、独立して、C〜C12脂肪族アルキレンから選択され、Xは、直接原子価結合または接続基であり、zは0、1、2または3である。
7. 第二の化合物が以下の構造3を有する、上記1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
【化11】
式中、R及びRは、独立して、C〜C12脂肪族アルキレンから選択され、Xは直接原子価結合または接続基であり、zは1、2または3である。
8. Xがケイ素部分を含む、上記7に記載の組成物。
9. 第二の化合物中のカルボン酸基と第一の化合物のアミン基とのモル比が約5:100〜約110:100の範囲である、上記1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
10. 90℃で60秒間ベークした後に水中でまたは水性アルカリ性溶液中で現像可能である、上記1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
11. 水、水溶性有機溶剤またはこれらの混合物から選択される溶剤を更に含む、上記1〜10のいずれか一つに記載の組成物。
12. 組成物のケイ素含有率が、組成物の固形物に対し5重量%を超える、上記1〜11のいずれか一つに記載の組成物。
13. フォトレジストに共形付着層を形成することができる、上記1〜12のいずれか一つに記載の組成物。
14. パターン形成方法であって、次のステップ:
(a)基材上に第一のフォトレジストパターンを形成するステップ;
(b)上記1〜13のいずれか一つに記載のコーティング組成物を第一のフォトレジストパターン上に施用して、第一のフォトレジストパターンを覆う第二のコーティング層を形成するステップ;
(c)任意に、コーティングを加熱するステップ;及び
(d)第二のコーティング組成物を現像し、それによって第一のフォトレジストパターン上の未反応の第二のコーティング層を除去するステップ;
を含む、前記方法。
15. パターン形成方法であって、次のステップ:
(a)フォトレジスト構造を持つ第一のフォトレジストパターンを基材上に形成するステップ;
(b)上記1〜13のいずれか一つに記載のコーティング組成物を第一のフォトレジストパターン上に施用して、第一のフォトレジストパターンを覆うコーティング層を形成するステップ;
(c)コーティング層を現像し、それによって第一のフォトレジストパターン上に付着コーティング層を形成するステップ;
(d)フォトレジストの表面をドライエッチングして、フォトレジストパターンの最上部で付着コーティング層を完全に除去するステップ;及び
(e)第一のフォトレジストパターンを除去し、それによって基材上に付着層のパターンを形成するステップ;
を含む、前記方法。
16. 付着層の形成後にハードベークを更に含む、上記14に記載の方法。
17. 第一フォトレジストパターンがドライエッチングによって除去される、上記15に記載の方法。
18. 第一のフォトレジストパターンが有機溶剤によって除去される、上記15に記載の方法。
19. フォトレジストがフラッド露光及び水性アルカリ性現像剤中での現像によって除去される、上記15に記載の方法。
20. パターン形成方法であって、次のステップ:
(a)基材上に第一のフォトレジストパターンを形成するステップ;
(b)上記1〜13のいずれか一つに記載のコーティング組成物を第一のフォトレジストパターン上に施用して、第一のフォトレジストパターンを覆うコーティング層を形成するステップ;
(c)任意に、コーティングを加熱するステップ;及び
(d)第二のコーティング組成物を現像し、それによって相互混合ドープドフォトレジストパターンを形成するステップ;
を含む、前記方法。
21. フォトレジストパターン上にコーティングするための、上記1〜13のいずれか一つに記載の組成物の使用。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D