特許第6012755号(P6012755)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012755感光性転写材料、感光性低屈折率転写層を有する基板、感光性低屈折率転写層の製造方法、永久膜の形成方法、光学デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012755
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】感光性転写材料、感光性低屈折率転写層を有する基板、感光性低屈折率転写層の製造方法、永久膜の形成方法、光学デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/02 20060101AFI20161011BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20161011BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20161011BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20161011BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20161011BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20161011BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20161011BHJP
   G02B 1/111 20150101ALI20161011BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20161011BHJP
【FI】
   B32B7/02 103
   B32B27/18 Z
   B32B27/30 A
   B32B27/30 D
   G03F7/004 512
   G03F7/004 501
   G03F7/027 502
   G03F7/038 501
   G02B5/20 101
   G02B1/111
   F21S2/00 438
   F21S2/00 431
【請求項の数】15
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2014-546978(P2014-546978)
(86)(22)【出願日】2013年11月12日
(86)【国際出願番号】JP2013080492
(87)【国際公開番号】WO2014077228
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年5月12日
(31)【優先権主張番号】特願2012-250001(P2012-250001)
(32)【優先日】2012年11月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101719
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀之
(72)【発明者】
【氏名】藤本 進二
(72)【発明者】
【氏名】漢那 慎一
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−146018(JP,A)
【文献】 特開2012−032673(JP,A)
【文献】 特開2012−013962(JP,A)
【文献】 特開2006−293331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
G03F 7/004
F21S 2/00
G02B 1/111
G02B 5/20
G03F 7/027
G03F 7/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に少なくとも感光性低屈折率材料層を有し、
前記感光性低屈折率材料層が、(成分A)中空又は多孔質粒子と、(成分B)光重合開始剤と、(成分C)重合性官能基を有するポリマーと、(成分D)モノマーと、を含有し、
成分Cが、エチレン性不飽和基及び酸基を有する(メタ)アクリル樹脂を含み、
成分Dが、フッ素原子を有するエチレン性不飽和化合物を含むことを特徴とする
感光性転写材料。
【請求項2】
成分Aが、中空シリカ粒子又は多孔質シリカ粒子である、請求項1に記載の感光性転写材料。
【請求項3】
前記エチレン性不飽和基及び酸基を有する(メタ)アクリル樹脂におけるエチレン性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、チオ(メタ)アクリロイル基、アリル基又はビニル基である、請求項1又は2に記載の感光性転写材料。
【請求項4】
前記フッ素原子を有するエチレン性不飽和化合物が、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項5】
前記フッ素原子を有するエチレン性不飽和化合物が、フッ素原子を有する多官能(メタ)アクリレート化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項6】
前記エチレン性不飽和基及び酸基を有する(メタ)アクリル樹脂におけるエチレン性不飽和基が、アリル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和基及び酸基を有する(メタ)アクリル樹脂における酸基が、カルボキシル基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項8】
成分Aが、中空シリカ粒子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項9】
成分Aの含有量が、前記感光性低屈折率材料層の全質量に対し、20〜90質量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性転写材料から前記感光性低屈折率材料層を転写した感光性低屈折率転写層を有する基板。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性転写材料を準備する工程、
被転写部材と前記感光性低屈折率材料層とが接するように前記感光性転写材料を前記被転写部材に積層する工程、及び、
前記感光性転写材料の支持体を剥離する工程、を含む
感光性低屈折率転写層の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性転写材料を準備する工程、
被転写部材と前記感光性低屈折率材料層とが接するように前記感光性転写材料を前記被転写部材に積層する工程、
前記感光性転写材料の支持体を剥離する工程、及び、
転写された前記感光性低屈折率材料層を露光する工程、を含む
永久膜の形成方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性転写材料を準備する工程、
バックライトモジュール基板とカラーフィルター基板との間の少なくとも1層として、前記感光性低屈折率材料層と前記バックライトモジュール基板又は前記カラーフィルター基板とが接するように前記感光性転写材料を積層する工程、及び、
前記感光性転写材料の支持体を剥離する工程、を含む
光学デバイスの製造方法。
【請求項14】
転写された前記感光性低屈折率材料層を露光する工程を更に含む、請求項13に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記光学デバイスが、バックライトユニットである、請求項13又は14に記載の光学デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性転写材料、感光性低屈折率転写層を有する基板、感光性低屈折率転写層の製造方法、永久膜の形成方法、光学デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低屈折率膜は、反射防止膜、反射膜、半透過半反射膜、可視光反射赤外線透過膜、赤外線反射可視光透過膜、青色反射膜、緑色反射又は赤色反射膜、輝線カットフィルター、色調補正膜に含まれる光学機能膜として光学部材に形成される。
表面形状が平坦な光学部材に限らず、液晶用バックライトの輝度向上レンズフィルムや拡散フィルム、ビデオプロジェクションテレビのスクリーンに用いられるフレネルレンズやレンチキュラーレンズ又はマイクロレンズなどの光学機能部材では、いずれも樹脂材料が微細構造体をもつことで所望の幾何光学的な性能を得ているが、これらの微細構造体表面にも低屈折率膜を含む光学機能膜は必要とされている。
従来の感光性樹脂組成物としては、特許文献1及び2に記載の感光性樹脂組成物が知られている。また、従来の感光性転写材料としては、特許文献3に記載の感光性転写材料が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−32673号公報
【特許文献2】特開2012−13962号公報
【特許文献3】特開2006−349867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に近年のスマートフォン液晶用バックライト部材は、ただ単に重ね合わせただけのもので、部材の間は空気層や接着剤層が挟まる形態をとっている。このため、バックライトからこの重ね合わせ部分にて光伝達効率が低下することが問題となっていた。
本発明は、低屈折率であり、光伝達効率が高く、転写後の面内膜厚均一性に優れた層を得ることができる感光性転写材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、以下の<1>又は<10>〜<13>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<9>、<14>及び<15>とともに以下に記載する。
<1>支持体上に少なくとも感光性低屈折率材料層を有し、上記感光性低屈折率材料層が、(成分A)中空又は多孔質粒子と、(成分B)光重合開始剤と、(成分C)重合性官能基を有するポリマーと、(成分D)モノマーと、を含有し、成分Cが、エチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリル樹脂を含み、成分Dが、フッ素原子を有するエチレン性不飽和化合物を含むことを特徴とする感光性転写材料、
<2>成分Aが、中空シリカ粒子又は多孔質シリカ粒子である、上記<1>に記載の感光性転写材料、
<3>上記エチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリル樹脂におけるエチレン性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、チオ(メタ)アクリロイル基、アリル基又はビニル基である、<1>又は<2>に記載の感光性転写材料、
<4>上記フッ素原子を有するエチレン性不飽和化合物が、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性転写材料、
<5>上記フッ素原子を有するエチレン性不飽和化合物が、フッ素原子を有する多官能(メタ)アクリレート化合物である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性転写材料、
<6>上記エチレン性不飽和基及び酸基を有する(メタ)アクリル樹脂におけるエチレン性不飽和基が、アリル基である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性転写材料、
<7>上記エチレン性不飽和基及び酸基を有する(メタ)アクリル樹脂における酸基が、カルボキシル基である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の感光性転写材料、
<8>成分Aが、中空シリカ粒子である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の感光性転写材料、
<9>成分Aの含有量が、上記感光性低屈折率材料層の全質量に対し、20〜90質量%である、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性転写材料、
<10>上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性転写材料から上記感光性低屈折率材料層を転写した感光性低屈折率転写層を有する基板、
<11>上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性転写材料を準備する工程、被転写部材と上記感光性低屈折率材料層とが接するように上記感光性転写材料を上記被転写部材に積層する工程、及び、上記感光性転写材料の支持体を剥離する工程、を含む感光性低屈折率転写層の製造方法、
<12>上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性転写材料を準備する工程、被転写部材と上記感光性低屈折率材料層とが接するように上記感光性転写材料を上記被転写部材に積層する工程、上記感光性転写材料の支持体を剥離する工程、及び、転写された上記感光性低屈折率材料層を露光する工程、を含む永久膜の形成方法、
<13>上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性転写材料を準備する工程、バックライトモジュール基板とカラーフィルター基板との間の少なくとも1層として、上記感光性低屈折率材料層と上記バックライトモジュール基板又は上記カラーフィルター基板とが接するように上記感光性転写材料を積層する工程、及び、上記感光性転写材料の支持体を剥離する工程、を含む光学デバイスの製造方法、
<14>転写された上記感光性低屈折率材料層を露光する工程を更に含む、上記<13>に記載の光学デバイスの製造方法、
<15>上記光学デバイスが、バックライトユニットである、上記<13>又は<14>に記載の光学デバイスの製造方法
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、低屈折率であり、光伝達効率が高く、転写後の面内膜厚均一性に優れた層を得ることができる感光性転写材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の感光性転写材料の一例の模式断面図である。
図2】本発明の永久膜の形成方法の一例を示す模式図である。
図3】本発明の光学デバイスの製造方法により製造されるバックライトユニットの一例を示す断面図である。
図4】実施例で使用したプリズムシート基板を示す模式図である。
図5図4のプリズムシート基板におけるa−a断面の模式図である。
図6】実施例における透過率の測定試料の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
また、本発明において、「(成分A)中空又は多孔質粒子」等を、単に「成分A」等ともいう。
更に、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせはより好ましい。
【0009】
(感光性転写材料)
本発明の感光性転写材料は、支持体上に少なくとも感光性低屈折率材料層を有し、上記感光性低屈折率材料層が、(成分A)中空又は多孔質粒子と、(成分B)光重合開始剤と、(成分C)重合性官能基を有するポリマーと、(成分D)モノマーと、を含有することを特徴とする。
【0010】
上記感光性低屈折率材料層は、ネガ型レジスト層であり、活性光線の照射により硬化する性質を有する層であることが好ましい。
また、本発明の感光性転写材料は、光学デバイス形成用感光性転写材料であることが好ましく、表示装置形成用感光性転写材料であることが好ましく、バックライトユニット形成用感光性転写材料であることが更に好ましく、タッチパネル部材のバックライトユニット形成用感光性転写材料であることが特に好ましい。
本発明の感光性転写材料から得られる低屈折率膜(感光性低屈折率材料層を転写し硬化した層)は、屈折率が低く、例えば、タッチパネル部材、LCD用途、各種のOA機器、液晶テレビ、携帯電話、プロジェクター等の液晶表示素子に好適に利用することができる。
本発明の感光性転写材料から得られる低屈折率膜(感光性低屈折率材料層を転写し硬化した層)は、優れた低屈折率性を示す。具体的には、上記低屈折率膜の屈折率(波長589nm、測定温度25℃)は、1.35以下であることが好ましく、1.10〜1.34であることがより好ましく、1.23〜1.33であることが特に好ましい。
なお、屈折率は、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製エリプソメーター(VASE)を用いて波長589nm、25℃で測定した値とすることが好ましい。
上記感光性低屈折率材料層の厚さは、0.01〜2.0μmが好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましく、0.2〜1.0μmが更に好ましい。
また、上記低屈折率膜の厚さは、0.01〜2.0μmが好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましく、0.2〜1.0μmが更に好ましい。
【0011】
<感光性低屈折率材料層>
以下、感光性低屈折率材料層の各成分について詳述する。
【0012】
(成分A)中空又は多孔質粒子
上記感光性低屈折率材料層は、(成分A)中空又は多孔質粒子を含有する。
中空粒子は、内部に空洞を有する構造のものであり、外郭に包囲された空洞を有する粒子を指し、多孔質粒子は、表面及び内部に多数の空洞を有する粒子を指す。
このような粒子の空隙率は、好ましくは10〜80%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空又は多孔質粒子の空隙率を上述の範囲にすることが、低屈折率化と粒子の耐久性維持の観点で好ましい。
中空又は多孔質粒子は、屈折率を低下しやすい観点から、中空粒子であることがより好ましい。例えば、中空粒子をシリカで構成した場合には、中空シリカ粒子は、屈折率の低い空気(屈折率=1.0)を有しているため、その屈折率は、通常のシリカ(屈折率=1.46)と比較して著しく低くなる。
【0013】
中空粒子の製造方法としては、例えば特開2001−233611号公報に記載されている方法が挙げられる。また、多孔質粒子の製造方法は、例えば、特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載されている方法が挙げられる。
【0014】
また、中空又は多孔質粒子は、平均一次粒子径が1〜200nmであることが好ましく、10〜100nmがより好ましい。
中空又は多孔質粒子の平均一次粒子径は、分散した粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。粒子の投影面積を求め、そこから円相当径を求め平均粒径とする(通常、平均粒径を求めるために300個以上の粒子について測定する。)。
【0015】
中空又は多孔質粒子の屈折率は、1.10〜1.40が好ましく、1.15〜1.35がより好ましく、1.15〜1.30が特に好ましい。
ここでの屈折率は、粒子全体として屈折率を表し、粒子が中空粒子である場合、中空粒子の屈折率とは、見かけ上の屈折率をいい、媒体を含んだ形での屈折率の値をいう。また、屈折率は、定法のエリプソメーターにより測定可能である。粒子が多孔質粒子である場合、多孔質粒子の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にても測定することができる。
【0016】
中空又は多孔質粒子は、無機粒子であっても、樹脂粒子等の有機粒子であってもよいが、低屈折率化の観点からは、中空又は多孔質の無機粒子が好ましい。無機の低屈折率粒子としては、フッ化マグネシウムやシリカの粒子が挙げられ、低屈折率性、分散安定性、コストの観点から、シリカ粒子であることがより好ましい。
これらの無機粒子の平均一次粒子径は、1〜100nmであることが好ましく、1〜60nmであることがより好ましい。
無機粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でもよい。形状は、球形状が最も好ましいが、数珠状、長径と短径との比が1以上の形状、あるいは不定形状であってもよい。また、長径と短径との比は、100以下であることが好ましい。
【0017】
無機粒子の比表面積は、10〜2,000m2/gであることが好ましく、20〜1,800m2/gであることがより好ましく、50〜1,500m2/gであることが更に好ましい。
【0018】
無機粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいは、バインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよいが、カップリング剤により化学的表面処理された粒子であることが特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。中でも、シランカップリング処理が特に有効である。
すなわち、無機粒子がシリカ粒子であり、カップリング剤がシラン化合物である場合、シラン化合物とシラノール基との反応により、オルガノシリル基(モノオルガノシリル、ジオルガノシリル、トリオルガノシリル基)がシリカ粒子の表面に結合するものである。表面処理されたシリカ粒子がその表面に有する有機基としては、飽和又は不飽和の炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のハロゲン化炭化水素基などが挙げられる。
上記カップリング剤は、無機粒子の表面処理剤として低屈折率膜用塗布液の調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられても、塗布液調製時に更に添加剤として添加してもよい。
無機粒子は、表面処理前に、媒体中にあらかじめ分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
【0019】
シリカ粒子としては、市販されているものを好ましく用いることができる。
例えば、日揮触媒化成(株)製スルーリアシリーズ(イソプロパノール(IPA)分散、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、メチルイソブチルケトン)分散など)、OSCALシリーズ、日産化学(株)製スノーテックスシリーズ(IPA分散、エチレングリコール分散、メチルエチルケトン(MEK)分散、ジメチルアセトアミド分散、MIBK分散、プロピレングリコールモノメチルアセテート分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メタノール分散、酢酸エチル分散、酢酸ブチル分散、キシレン−n−ブタノール分散、トルエン分散など)、日鉄鉱業(株)製シリナックス、扶桑化学工業(株)製PLシリーズ(IPA分散、トルエン分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メチルエチルケトン分散など)、EVONIK社製アエロジルシリーズ(プロピレングリコールアセテート分散、エチレングリコール分散、MIBK分散など)、EVONIK社製AERODISPシリーズなどのシリカ粒子を用いることができる。低屈折率性の観点では、日揮触媒化成(株)製スルーリアシリーズが好ましい。
【0020】
シリカ粒子を、シリカ粒子と分散剤(分散剤の詳細は後述する。)とを含有する分散液として、感光性組成物に添加する場合、シリカ粒子のシリカ分散液中の含有量は、10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましく、15〜30質量%が更に好ましい。
【0021】
中空又は多孔質粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、例えば、中空粒子と多孔質粒子とを併用してもよい。
上記感光性低屈折率材料層の全質量に対する中空又は多孔質粒子の含有量は、5〜95質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましく、20〜90質量%であることが更に好ましい。
【0022】
感光性樹脂組成物を用いて膜を形成する場合、中空又は多孔質粒子の塗設量は、1〜100mg/m2が好ましく、5〜80mg/m2がより好ましく、10〜60mg/m2が更に好ましい。1mg/m2以上であることによって、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果を確実に得ることができるとともに、100mg/m2以下であることによって、膜の表面に微細な凹凸ができて積分反射率が悪化することを抑制できる。
【0023】
(成分B)光重合開始剤
上記感光性低屈折率材料層は、光重合開始剤を含有する。
感光性低屈折率材料層に光重合開始剤を含有することによって、感光性が付与された感光性低屈折率材料層を有する本発明の感光性転写材料は、フォトレジスト、カラーレジスト、光学用コーティング材料等に好適に用いることができる。
【0024】
光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができ、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、光重合開始剤は、波長約200〜800nm(300〜450nmがより好ましい。)の範囲内に50L/(mol・cm)以上の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましく、波長約200〜800nm(300〜450nmがより好ましい。)の範囲内に50〜106L/(mol・cm)の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることがより好ましい。
【0025】
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0026】
−光ラジカル重合開始剤−
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するものなど)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物類、ロフィンダイマー類、ベンゾイン類、ケタール類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、有機過酸化物、チオ化合物、ジスルフィド化合物類、アゾ化合物、ホウ酸塩類、無機錯体、クマリン類、ケトン化合物(ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チオクロマノン類、アントラキノン類)、芳香族オニウム塩、フルオロアミン化合物類、ケトオキシムエーテル、アセトフェノン類(アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン化合物)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、オキシム誘導体等のオキシム化合物などが挙げられる。
【0027】
上記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42,2924(1969)記載の化合物、英国特許第1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許第3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.,29,1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物などが挙げられる。
【0028】
上記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
【0029】
ベンゾイン類としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが挙げられる。
【0030】
ホウ酸塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martinらの“Rad Tech’98.Proceeding April”、19〜22頁(1998年,Chicago)等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物が挙げられる。また、上記特開2002−116539号公報の段落0022〜0027に記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
【0031】
また、上記以外のラジカル重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルホスフィンオキサイド、Lucirin TPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニルアイアン(1+)ヘキサフルオロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
【0032】
上記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチルクロロアクリドンなどが挙げられる。
【0033】
ラジカル重合開始剤としては、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アシルホスフィン化合物、及び、オキシム化合物からなる群より選択される化合物が更に好ましい。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤、及び、オキシム系開始剤、更にオキシム系開始剤として、特開2001−233842号に記載の化合物も用いることができる。
【0034】
アミノアセトフェノン化合物としては、市販品であるIRGACURE 907、IRGACURE 369、及び、IRGACURE 379(商品名:いずれもBASFジャパン(株)製)を用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE 819やDAROCUR TPO(商品名:いずれもBASFジャパン(株)製)を用いることができる。
【0035】
ヒドロキシアセトフェノン化合物は、下記式(V)で表される化合物であることが好ましい。
【0036】
【化1】
【0037】
式(V)中、R1は水素原子、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ基)、又は、二価の有機基を表す。R1が二価の有機基である場合、2個の光活性なヒドロキシアセトフェノン構造(すなわち、式(V)で表される化合物から置換基R1を除外した構造)がR1を介して連結してなる2量体を表す。R2、R3は互いに独立して、水素原子、又は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基)を表す。また、R2とR3とは結合して環(好ましくは炭素数4〜8の環)を形成していてもよい。
上記R1におけるアルキル基及びアルコキシ基、R2及びR3におけるアルキル基、並びに、R2とR3とが結合して形成される環は、更に置換基を有していてもよい。
【0038】
ヒドロキシアセトフェノン化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 1173)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルブタン−1−オン、1−(4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メチルチオフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−カルボエトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959)などが挙げられる。
また、市販のα−ヒドロキシアセトフェノン化合物として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社からイルガキュア184(IRGACURE 184)、ダロキュア1173(DAROCURE 1173)、イルガキュア127(IRGACURE 127)、イルガキュア2959(IRGACURE 2959)、イルガキュア1800(IRGACURE 1800)、イルガキュア1870(IRGACURE 1870)及びダロキュア4265(DAROCUR 4265)の商品名で入手可能な重合開始剤も使用することができる。
【0039】
アシルホスフィン化合物としては、市販品であるIRGACURE 819、IRGACURE 819DW,DAROCUR TPO(商品名:いずれもBASFジャパン(株)製)を用いることができる。また、特開2009−134098号公報記載のホスフィン系開始剤も適用できる。
【0040】
本発明で光重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0041】
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE OXE01(BASFジャパン(株)製)、IRGACURE OXE02(BASFジャパン(株)製)、CGI−124(BASFジャパン社製)、CGI−242(BASFジャパン(株)製)も好適に用いられる。
更に、特開2007−231000号公報、及び、特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物も好適に用いることができる。
最も好ましくは、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。なお、オキシム結合のN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0042】
【化2】
(式(I)中、R及びBはそれぞれ独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。)
【0043】
上記Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
上記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0044】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
【0045】
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
【0046】
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
【0047】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
【0048】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
【0049】
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
【0050】
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
【0051】
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
【0052】
上記式(I)におけるBで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基が好ましく挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
【0053】
中でも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(II)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
【0054】
【化3】
【0055】
上記式(I)におけるAで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のシクロヘキシレン基、炭素数2〜12のアルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0056】
上記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
中でも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0057】
式(I)においては、上記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0058】
【化4】
【0059】
オキシム化合物は、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【0060】
【化5】
(式(II)中、R及びXはそれぞれ独立に一価の置換基を表し、A及びYはそれぞれ独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
【0061】
式(II)におけるR、A、及びArは、上記式(I)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
上記Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
【0062】
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(II)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
【0063】
上記Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、上記式(II)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
【0064】
【化6】
【0065】
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
【0066】
【化7】
【0067】
更にオキシム化合物は、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【0068】
【化8】
(式(III)中、R及びXはそれぞれ独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
【0069】
式(III)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、上記式(II)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
以下、好適に用いられるオキシム化合物の具体例(B−1)〜(B−10)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
【化9】
【0071】
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであることが好ましく、360nm〜480nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであることがより好ましい。
【0072】
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜300,000であることがより好ましく、10,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数の測定には、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0073】
−光カチオン重合開始剤−
光カチオン重合開始剤としては、例えば、紫外線等のエネルギー線を受けることにより光カチオン重合を開始させる物質を生成する化合物であればよく、オニウム塩が好ましく、芳香族オニウム塩がより好ましく、アリールスルホニウム塩及びアリールヨウドニウム塩が更に好ましい。
【0074】
オニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)フェニル]スルフィド、η5−2,4−(シクロペンタジエニル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(メチルエチル)ベンゼン]鉄(1+)等が挙げられる。アニオンの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4-)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6-)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6-)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6-)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6-)、過塩素酸イオン(ClO4-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3-)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3-)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸アニオン、トリニトロトルエンスルホン酸アニオンなどが挙げられる。
【0075】
特に、芳香族オニウム塩の具体例としては、特開昭50−151996号公報、特開昭50−158680号公報などに記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号公報、特開昭52−30899号公報、特開昭56−55420号公報、特開昭55−125105号公報などに記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭50−158698号公報などに記載のVA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号公報、特開昭56−149402号公報、特開昭57−192429号公報などに記載のオキソスルホキソニウム塩、特開昭49−17040号公報などに記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号明細書に記載のチオビリリウム塩、鉄/アレン錯体、アルミニウム錯体/光分解ケイ素化合物系開始剤、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、o−ニトロベンジルエステル化合物、イミドスルホネート化合物、ビススルホニルジアゾメタン化合物、オキシムスルホネート化合物を挙げることができる。
【0076】
本発明で用いることができる光カチオン重合開始剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物を広く採用することができる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。これらの化合物は、THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN Voi.71 No.11,1998年、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)に記載の光カチオン重合開始剤と同様、公知の方法にて容易に合成することができる。
【0077】
光カチオン重合開始剤の市販品としては、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990、UVI−6992、(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、(株)ADEKA製)、Irgacure 261、IRGACURE OXE01、IRGACURE CGI−1397、CGI−1325、CGI−1380、CGI−1311、CGI−263、CGI−268、CGI−1397、CGI−1325、CGI−1380、CGI−1311(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103、TPS−103、MDS−103、MPI−103、BBI−103(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、PHOTOINITIATOR 2074(ローディア社製)、UR−1104、UR−1105、UR−1106、UR−1107、UR−1113、UR−1114、UR−1115、UR−1118、UR−1200、UR−1201、UR−1202、UR−1203、UR−1204、UR−1205、UR−1207、UR−1401、UR−1402、UR−1403、UR−M1010、UR−M1011、UR−M10112、UR−SAIT01、UR−SAIT02、UR−SAIT03、UR−SAIT04、UR−SAIT05、UR−SAIT06、UR−SAIT07、UR−SAIT08、UR−SAIT09、UR−SAIT10、UR−SAIT11、UR−SAIT12、UR−SAIT13、UR−SAIT14、UR−SAIT15、UR−SAIT16、UR−SAIT22、UR−SAIT30(以上、URAY社製)などを挙げることができる。これらのうち、UVI−6970、UVI−6974、アデカオプトマーSP−170、SP−171、SP−172、CD−1012、MPI−103は、これらを含有してなる組成物により高い光硬化感度を発現させることができる。上記の光カチオン重合開始剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0078】
光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を自由に組み合わせてもよい。
【0079】
上記感光性低屈折率材料層における光重合開始剤の含有量は、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。
【0080】
(成分C)重合性官能基を有するポリマー
上記感光性低屈折率材料層は、(成分C)重合性官能基を有するポリマーを含有する。
成分Cのポリマー構造は、特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂が挙げられるが、(メタ)アクリル樹脂であることが好ましい。
成分Cは、単独重合体であっても、共重合体であってもよいが、(メタ)アクリレート化合物の単独重合体又は共重合体であることが好ましく、(メタ)アクリレート化合物の共重合体であることがより好ましい。
また、成分Cは、水現像又はアルカリ現像を容易に行うために、極性基(以下、「アルカリ可溶性基」ともいう。)を有していることが好ましい。
また、成分Cにおいて、重合性官能基や極性基は、ポリマーの主鎖に有していても、側鎖に有していてもよいが、側鎖に有していることが好ましい。
【0081】
−重合性官能基−
本発明における重合性官能基としては、特に制限されないが、ラジカル、カチオン又は加熱により重合反応する結合を有する基が好ましく、不飽和基(炭素−炭素不飽和二重結合など)、エポキシ基、オキセタニル基等を挙げることができ、エチレン性不飽和基又はアセチレン性不飽和基であることがより好ましい。
【0082】
上記エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、チオ(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基及びチオ(メタ)アクリロイル基以外のエチレン性不飽和基が挙げられる。
【0083】
上記(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基及びチオ(メタ)アクリロイル基以外のエチレン性不飽和基又はアセチレン性不飽和基としては、ラジカル重合性基、カチオン重合性基又は加熱により反応する結合を有する基が好ましい。このようなエチレン性不飽和基又はアセチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、スチリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アリルエーテル基、アリルエステル基、プロパルギルエーテル基、プロパルギルエステル基、ジシクロペンテニル基が好ましく、ビニル基、アリル基、アリルエステル基、プロパルギルエステル基、ジシクロペンテニル基が特に好ましく、アリル基が最も好ましい。
重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、チオ(メタ)アクリロイル基、アリル基又はビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基又はビニル基がより好ましく、アリル基が特に好ましい。
【0084】
−極性基(アルカリ可溶性基)−
極性基としては、酸基、アルコール性水酸基、ピロリドン基、アルキレンオキシド基などを挙げることができ、アルカリ現像液との反応によって塩を生じる基が好ましく、酸基がより好ましい。例えば、カルボキシル基、活性メチレン基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられる。
極性基としては、低屈折率性の観点から、カルボキシル基、活性メチレン基であることがより好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。なお、活性メチレン基としては、−NH−C(O)−CH2−C(O)−RMで表される基であることが好ましく、RMはアルキル基又はアルコキシ基を表し、これら基はフッ素原子等の置換基を有していてもよい。RMは、炭素数1〜6の、アルキル基又はアルコキシ基であることが好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基又はメトキシ基であることがより好ましい。
これらの中でも、成分Cは、アリル基及びカルボキシル基を有するポリマーであることが好ましく、アリル基及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂であることがより好ましい。
【0085】
バインダー樹脂に重合性官能基を導入するには、例えば、反応性の異なる2種の重合性官能基を用いたモノマーを用いて、反応性の高い一方の重合性官能基のみを重合する方法や、重合後に重合性官能基を付与しうるモノマーを用いてポリマーを重合し、重合後に、重合性官能基を付与するための処理を施す方法等により行うことができる。
上記反応性の異なる2種の重合性官能基の組み合わせとしては、(メタ)アクリルオキシ基と、エポキシ基、オキセタニル基、アリル基、ビニル基又はプロパルギル基との組み合わせが例示できる。
上記反応性の異なる2種の重合性官能基を用いたモノマーとしては、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、プロパルギルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等が挙げられる。
【0086】
重合性官能基を有するポリマーとしては、例えば、カルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物や、アリルアルコール、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等の不飽和アルコールを反応させた樹脂、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂に、遊離イソシアネート基含有不飽和化合物、不飽和酸無水物を反応させた樹脂、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との付加反応物に、多塩基酸無水物を反応させた樹脂、共役ジエン共重合体と不飽和ジカルボン酸無水物との付加反応物に、水酸基含有重合性モノマーを反応させた樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことでエチレン性不飽和基を生成させた樹脂等が代表的な樹脂として挙げられる。
【0087】
中でも、カルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物を反応させた樹脂、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系化合物を重合させた樹脂に、(メタ)アクリル酸−2−イソシアネートエチル等の遊離イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させた樹脂、後述の式(21)〜(23)で表される構成単位を有する樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起されエチレン性不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで、アルカリ可溶性基を維持しつつ、エチレン性不飽和基を生成させた樹脂等がより好ましい。
【0088】
重合性官能基を有するアルカリ可溶性バインダー樹脂は、下記式(21)〜(23)のいずれかで表される構成単位から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0089】
【化10】
【0090】
上記式(21)〜(23)において、A1、A2及びA3はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は−N(R21)−を表し、R21は置換基を有してもよいアルキル基を表す。G1及びG2はそれぞれ独立に、二価の連結基を表す。G3は、単結合又は二価の連結基を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子又は−N(R22)−を表し、R22は置換基を有してもよいアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は置換基を有してもよいアルキル基を表す。Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は−N(R22)−を表す。R1〜R20は、それぞれ独立に水素原子又は一価の置換基を表す。
【0091】
上記式(21)において、R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表すが、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R1、R2は水素原子が好ましく、R3は水素原子、メチル基が好ましい。
4〜R6はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表すが、R4としては、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。また、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。ここで、導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
【0092】
1は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R21)−を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。ここで、R21、R22としては、置換基を有してもよいアルキル基が挙げられる。
1は、二価の連結基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基がより好ましい。より好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
【0093】
ここで、G1における置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。
【0094】
上記式(22)において、R7〜R9はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表すが、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R7、R8は水素原子が好ましく、R9は水素原子、メチル基が好ましい。
10〜R12はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。R10〜R12としては、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、導入可能な置換基としては、式(21)において挙げたものが同様に例示される。
【0095】
2は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R21)−を表し、ここで、R21としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
2は、二価の連結基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
ここで、G2における置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。
Yは、酸素原子、硫黄原子、−N(R23)−又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R23としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
【0096】
上記式(23)において、R13〜R15はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表すが、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R13、R14は水素原子が好ましく、R15は水素原子、メチル基が好ましい。
16〜R20はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表すが、R16〜R20は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。導入しうる置換基としては、式(21)において挙げたものが例示される。
3は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R21)−を表し、Zは、単結合又は酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。R21、R22としては、式(21)におけるのと同様のものが挙げられる。Zは、単結合であることが好ましい。
【0097】
3は、単結合又は二価の連結基を表すが、単結合又は置換基を有してもよいアルキレン基が好ましく、単結合がより好ましく、G3及びZが共に単結合であることが特に好ましい。二価の連結基としては、好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
ここで、G3における置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。
【0098】
上記式(21)〜(23)で表される構成単位は、硬化性向上及び現像残渣低減の観点から、1分子中に20モル%以上95モル%未満の範囲で含まれる化合物が好ましく、25モル%以上90モル%未満の範囲で含まれる化合物がより好ましく、30モル%以上85モル%未満の範囲で含まれる化合物が更に好ましい。
【0099】
上記式(21)〜(23)で表される構成単位を有するポリマーの合成は、特開2003−262958号公報の段落0027〜0057に記載の合成方法に基づいて行うことができる。この中でも、同公報中の合成方法1)を用いることが好ましい。
【0100】
ポリマーにエポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合すればよい。上記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(又はm−、又はp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。ポリマーを得る際の単量体成分が上記エポキシ基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%であるのがよい。
【0101】
ポリマーに極性基を導入するには、例えば、極性基を有するモノマー及び/又は重合後に極性基を付与しうるモノマー(以下「極性基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として極性基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような極性基を付与するための処理が必要となる。
酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
重合後に酸基を付与しうるモノマーを用いる場合において、重合後に酸基を付与するための処理としては、ポリマー側鎖の極性基の一部を、ポリマー反応により変性する処理が挙げられる。
アルコール性水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
重合後にアルコール性水酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー等が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等が挙げられる。
重合後にエポキシ基を付与しうるモノマーとしては、例えば、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら極性基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0102】
成分Cを合成するために好適に用いることができる重合性官能基を有するモノマーや極性基を有するモノマーと共重合されるモノマーとしては、下記(1)〜(11)の化合物が挙げられる。
【0103】
(1)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、2−アリロキシエチルアクリレート等のアルキルアクリレート。
【0104】
(2)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、2−アリロキシエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
【0105】
(3)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
【0106】
(4)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
【0107】
(5)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
【0108】
(6)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
【0109】
(7)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
【0110】
(8)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0111】
(9)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
【0112】
(10)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
【0113】
(11)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー、例えば、特開2002−309057号公報、特開2002−311569号公報等に記載されている化合物を挙げることができる。
【0114】
また、成分Cとしては、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基とを有する(メタ)アクリル樹脂、特開2000−187322号公報、特開2002−62698号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【0115】
また、成分Cは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0116】
成分Cは、従来公知の方法により合成できる。
合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0117】
また、成分Cを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、モノマー100質量部に対して、1質量部〜20質量部使用されることが好ましい。
【0118】
成分Cの具体例として、下記(E−1)〜(E−7)を挙げるが、特にこれらに限定されるものではない。各ユニットに示されている数値は、樹脂分子中の各ユニットのモル分率を表す。
【0119】
【化11】
【0120】
これらの中でも、成分Cとしては、アリル(メタ)アクリレートを少なくとも共重合した共重合体であることが好ましく、アリル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とを共重合した共重合体であることがより好ましく、アリルメタクリレートとメタクリル酸とを共重合した共重合体であることが特に好ましい。上記態様であると、成分Aを多量に含有していても、十分な硬化性を確保でき、また、より低屈折率であり、転写後の面内膜厚均一性により優れた層を得ることができる。
【0121】
成分Cのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は、400〜50,000であることが好ましく、600〜40,000がより好ましく、800〜30,000が最も好ましい。成分Cのゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、1,500〜200,000であることが好ましく、2,400〜150,000がより好ましく、3,000〜120,000が最も好ましい。重量平均分子量及び数平均分子量が上記の数値の範囲内にあれば、成分Cは良好な溶解性を有し、また、加熱時に気散することなく硬化することができる。より具体的には、数平均分子量が400以上であれば、良好な塗布性や硬化性を得ることができ、数平均分子量が50,000以下であれば良好な現像性が得られる。
【0122】
成分Cが酸基を有する場合、成分Cの酸価としては、30〜300mgKOH/gが好ましく、50〜200mgKOH/gがより好ましく、70〜160mgKOH/gが特に好ましい。酸価がこの範囲にあるとパターン形成時に現像残渣がより残りにくく、かつ塗布均一性がより良好となる。
成分Cの重合性官能基がエチレン性不飽和基である場合、光感度向上の観点から、成分Cの不飽和価は、0.1mmol/g以上が好ましく、更に0.5mmol/g以上が好ましく、1.0mmol/g以上が最も好ましい。また、成分Cの不飽和価は、10mmol/g以下が好ましい。ここで、不飽和価とは、バインダーポリマー1gあたりの不飽和結合のミリモル数を意味する。
成分Cの不飽和当量を0.1mmol/g以上とすることにより、つまり、この樹脂中においてエチレン性不飽和結合数が増加することにより、光重合性、感度が向上し、更に、この重合性向上により、支持体などの固体表面への密着性や含有する中空又は多孔質粒子の固定化性も向上し、結果として、現像におけるパターン膜中の中空又は多孔質粒子の欠損が少なく、テーパー状〜矩形状の断面形状を有するパターンが得られ易い傾向となり、好ましい。
【0123】
成分Cは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記感光性低屈折率材料層における成分Cの含有量としては、感光性低屈折率材料層の全質量に対して、0.01〜25質量%の割合で配合することが耐擦傷性及び塗布性の観点から好ましく、3〜20質量%の範囲で添加することが更に好ましい。成分Cの含有量が3〜20質量%の範囲内にあると、中空又は多孔質粒子の低屈折率性を活かしつつ、膜に硬度を持たせることができる。
【0124】
(成分D)モノマー
本発明の感光性転写材料における感光性低屈折率材料層は、(成分D)モノマー(「重合性化合物」ともいう。)を含有する。
ただし、成分Dは、(成分C)重合性官能基を有するポリマー以外の化合物であり、分子量1,500未満の化合物であり、分子量1,000未満の化合物であることが好ましく、分子量800未満の化合物であることがより好ましい。また、成分Dは、分子量50以上の化合物であることが好ましい。
以下、モノマーについて説明する。
【0125】
モノマーとして、具体的には、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個有する化合物であり、エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物であることが好ましい。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明におけるモノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、モノマーは、エチレン性不飽和結合を分子末端に有する化合物であることが好ましい。
【0126】
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が好ましく挙げられ、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類がより好ましく挙げられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲノ基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落0095〜0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0127】
また、モノマーとしては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有する、常圧(1気圧)下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0128】
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落0254〜0257に記載の化合物も好適である。
また、モノマーとしては、前述した成分Cの製造に用いることができるエチレン性不飽和化合物も好適に用いることができる。
【0129】
上記のほか、下記式(MO−1)〜(MO−5)で表されるモノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
【0130】
【化12】
【0131】
式(MO−1)〜(MO−5)において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
式(MO−1)〜(MO−5)で表されるモノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落0248〜0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0132】
また、成分Dとしては、フッ素原子を有するモノマーを含むことが好ましく、フッ素原子を有する多官能モノマーを含むことがより好ましい。上記態様であると、より低屈折率である感光性低屈折率材料層が得られる。
また、フッ素原子を有するモノマーとしては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、フッ素原子を有する多官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
フッ素原子を有する多官能モノマーとしては、下記式(Df)で表される化合物が好ましい。
【0133】
【化13】
(式(Df)中、R1は、酸素原子を含んでいてもよいn価のフッ化アルキル基又は4級炭素を表し、R2はそれぞれ独立に、酸素原子を含んでもよい一価のフッ化アルキル基又はフッ素原子を表し、mはそれぞれ独立に、0又は1を表し、nは2以上の整数を表し、Gはそれぞれ独立に、エチレン性不飽和結合を有する基を表す。)
【0134】
式(Df)中、R1におけるn価のフッ化アルキル基、及び、R1におけるn価のフッ化アルキル基は、直線状、分岐状又は環状のフッ化アルキル基であってもよく、その炭素数としては、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることが更に好ましい。
式(Df)におけるR1は、n価のペルフルオロアルキル基又は4級炭素であることが好ましく、4級炭素であることがより好ましい。
式(Df)におけるR2は、n価のペルフルオロアルキル基又はフッ素原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
式(Df)におけるmは、1であることが好ましい。
式(Df)におけるnは、3〜20の整数であることが好ましく、3〜10の整数であることがより好ましく、3〜6の整数であることが更に好ましく、4であることが特に好ましい。
式(Df)におけるGは、(メタ)アクリル基、ビニル基又はアリル基であることが好ましく、(メタ)アクリル基であることがより好ましい。
【0135】
フッ素原子を有する多官能モノマーの具体例としては、以下のものが好ましく挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0136】
【化14】
【0137】
【化15】
【0138】
上記のようなフッ素原子を有するモノマーの合成方法としては、特に制限はないが、特開2008−280294号公報に記載の方法を好適に挙げることができる。
【0139】
成分Dは、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。
上記感光性低屈折率材料層における成分Dの含有量は、上記感光性低屈折率材料層の全質量に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.2〜20質量%が更に好ましく、0.3〜15質量%が特に好ましい。
【0140】
<その他の成分>
上記感光性低屈折率材料層は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、以下に詳述する任意成分を更に含有してもよい。
以下、上記感光性低屈折率材料層が含有しうる任意成分について説明する。
【0141】
(成分E)界面活性剤
上記感光性低屈折率材料層は、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0142】
特に、本発明の感光性樹脂組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。すなわち、フッ素系界面活性剤を含有する感光性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0143】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0144】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
【0145】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0146】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0147】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越化学工業(株)製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
【0148】
これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
上記感光性低屈折率材料層における界面活性剤の添加量は、上記感光性低屈折率材料層の全質量100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0.001〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜3質量部であることが更に好ましい。
【0149】
(成分F)分散剤
上記感光性低屈折率材料層は、中空又は多孔質粒子の分散性を向上させる観点から、更に、(成分F)分散剤を含有することが好ましい。
分散剤としては、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などの分散樹脂や、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の化合物を挙げることができるが、樹脂であることが好ましい(以下、これを「分散樹脂」ともいう。)。なお、成分Fは、重合性基を有しないものとする。
分散樹脂は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0150】
分散樹脂は、粒子の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
【0151】
分散樹脂の質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、1,000〜2×105であることが好ましく、2,000〜1×105であることが更に好ましく、5,000〜5×104であることが特に好ましい。
【0152】
分散樹脂は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、111、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ(株)製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学(株)製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成(株)製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王(株)製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカルズ(株)製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、森下産業(株)製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の分散樹脂等が挙げられる。
【0153】
分散樹脂は、前述した成分Cにおける式(21)〜(23)のいずれかで表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1つを有していてもよい。
また、分散樹脂は、前述した成分Cにおける式(E−1)で表される化合物を共重合モノマーとして使用することにより得られる樹脂であってもよい。
【0154】
これらの分散剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記感光性低屈折率材料層における分散剤の含有量は、中空又は多孔質粒子の含有量に対して、1〜100質量%であることが好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜60質量%であることが更に好ましい。
具体的には、分散剤が分散樹脂である場合、その使用量は、中空又は多孔質粒子の含有量に対して、5〜100質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。
【0155】
(成分G)増感剤
上記感光性低屈折率材料層は、光重合開始剤等のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、上記した光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0156】
上記感光性低屈折率材料層に用いられる増感剤としては、例えば、特開2008−32803号公報の段落0101〜0154に記載される化合物が挙げられる。
増感剤を含有する場合、上記感光性低屈折率材料層中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、上記感光性低屈折率材料層の全質量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0157】
(成分H)重合禁止剤
上記感光性低屈折率材料層においては、上記感光性低屈折率材料層の製造中あるいは感光性転写材料の保存中において、モノマーの不要な熱重合を阻止するために少量の重合禁止剤を添加してもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
【0158】
重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の添加量は、上記感光性低屈折率材料層の全質量に対し、0.0005〜5質量%であることが好ましい。
また、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。上記感光性低屈折率材料層が高級脂肪酸誘導体を含有する場合、高級脂肪酸誘導体の添加量は、上記感光性低屈折率材料層の全質量に対し、0.5〜10質量%であることが好ましい。
【0159】
(成分I)密着促進剤
上記感光性低屈折率材料層は、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる密着促進剤を含有していてもよい。
密着促進剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。他には、特開2008−243945号公報の段落0048に記載の化合物を用いることができる。
密着促進剤を含有する場合、密着促進剤の好ましい使用量は、特に制限されないが、上記感光性低屈折率材料層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.005〜5質量%であることがより好ましい。
【0160】
−その他の添加剤−
更に、上記感光性低屈折率材料層は、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が挙げられる。可塑剤を使用した場合、成分C及び成分Dの合計質量に対し10質量%以下添加することが好ましい。
【0161】
上記感光性低屈折率材料層を形成するために用いられる感光性組成物は、一般には、有機溶剤を含有する。
有機溶剤は、各成分の溶解性や感光性組成物の塗布性を満足すれば、基本的には特に制限はなく、特に、バインダーの溶解性、塗布性及び安全性を考慮して選ばれることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、特開2008−32803号公報の段落0187に記載の各種溶剤が挙げられる。
【0162】
有機溶剤の具体例としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等が挙げられる。))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(具体的には、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(具体的には、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(具体的には、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等が挙げられる。)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0163】
また、エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:別名1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0164】
これらの有機溶剤は、前述の各成分の溶解性及びバインダーを含む場合はその溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0165】
有機溶剤の感光性組成物中における含有量としては、塗布性の観点から、組成物中の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5〜60質量%になる量が更に好ましく、10〜50質量%になる量が特に好ましい。
【0166】
<感光性低屈折率材料層の形成方法>
感光性低屈折率材料層の形成方法は、特に限定されないが、例えば、少なくとも成分A〜成分D及び有機溶剤を含有する感光性樹脂組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法、インクジェット法等の任意の方法により、支持体に塗布した後、有機溶剤を必要に応じて加熱処理で除去して塗膜(感光性低屈折率材料層)を形成し、プリベーク処理を施すことにより形成することができる。
【0167】
支持体に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法、インクジェット法が好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法である。スピンコーティング法については、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン(株)製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製造(株)製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業(株)製)等が好ましく使用できる。
【0168】
スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよい。また、感光性樹脂組成物の吐出方法においては、回転する支持体上に感光性樹脂組成物を吐出する動的吐出、静止した支持体上へ感光性樹脂組成物を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶媒のみを支持体上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、支持体の搬送の観点より、支持体エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
【0169】
なお、感光性樹脂組成物は、例えば、塗布装置吐出部のノズル、塗布装置の配管部、塗布装置内等に付着した場合でも、公知の洗浄液を用いて容易に洗浄除去することができる。この場合、より効率の良い洗浄除去を行うためには、感光性組成物に含まれる有機溶剤として前掲した有機溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。
【0170】
また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も、感光性樹脂組成物の洗浄除去用の洗浄液として好適に用いることができる。
洗浄液としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることが好ましい。
洗浄液として用いうるこれら溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤を2種以上混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合してなる混合溶剤が好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、好ましくは1/99〜99/1、より好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。混合溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)との混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、感光性樹脂組成物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には、感光性樹脂組成物が含有しうる界面活性剤として前掲した界面活性剤を添加してもよい。
【0171】
プリベーク処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン(株)製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製造(株)製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業(株)製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、Cxシリーズ(東京エレクトロン(株)製)等が好ましく使用できる。上記プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、60℃〜150℃(好ましくは60℃〜120℃)で、0.5〜15分間加熱する条件が挙げられる。
【0172】
<感光性転写材料の層構成>
本発明の感光性転写材料は、支持体上に少なくとも上記感光性低屈折率材料層を設けたものであり、必要に応じて、熱可塑性樹脂層、中間層、及び/又は、保護層等を設けることができる。
また、上記感光性低屈折率材料層は、支持体上に少なくとも設けられていればよく、支持体と直接接していても、他の層を介して設けられていてもよく、また、支持体上の全面に設けられていても、一部に設けられていてもよい。
上記感光性低屈折率材料層の膜厚は、0.01〜2.0μmの範囲が好ましく、0.1〜1.5μmの範囲がより好ましく、0.2〜1.0μmの範囲が更に好ましい。
【0173】
図1は、本発明の感光性転写材料の好ましい態様の一例の模式断面図である。
図1に示す感光性転写材料10は、支持体12上に、熱可塑性樹脂層14、中間層16、感光性低屈折率材料層18及び保護層20がこの順で設けられており、支持体12の反対の面には、帯電防止層22が設けられている。
感光性転写材料10を使用して転写する際には、保護層20は事前に除去される。
また、熱可塑性樹脂層14及び中間層16は、感光性低屈折率材料層18を容易に露光できるようにするため、活性光線透過性の層であることが好ましい。
【0174】
<支持体(仮支持体)>
本発明の感光性転写材料における支持体としては、特に制限はなく、ポリエステル、ポリスチレン等の公知の支持体を用いることができる。
本発明の感光性転写材料における支持体は、基板等の所望の被転写体に感光性低屈折率材料層を転写した後には、不要なものであり、「仮支持体」ともいう。上記支持体は、感光性低屈折率材料層の転写と同時又は転写後に除去されることが好ましい。
中でも、支持体としては、コスト、耐熱性、寸法安定性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
上記支持体の厚みは、15〜200μmであることが好ましく、30〜150μmがより好ましい。上記支持体の厚みが上記範囲内にあると、ラミネーション工程時に熱によりトタン板状のしわが発生するのを効果的に抑制することができ、コスト上も有利である。
【0175】
<熱可塑性樹脂層>
また、支持体と感光性低屈折率材料層との間又は支持体と中間層との間に、熱可塑性樹脂層を設けることが好ましい。上記熱可塑性樹脂層は、感光性低屈折率材料層の転写と同時又は転写後に除去されることが好ましい。また、上記熱可塑性樹脂層は、アルカリ可溶性であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂層は、下地表面の凹凸(既に形成されている画像などによる凹凸等も含む。)を吸収することができるようにクッション材としての役割を担うものであるため、当該凹凸に応じて変形しうる性質を有していることが好ましい。
【0176】
熱可塑性樹脂層に含まれるアルカリ可溶な樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、等より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。更に「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することもできる。
また、これらの熱可塑性樹脂のうち、軟化点が80℃以下のものが好ましい。また、軟化点は30℃以上であることが好ましい。
【0177】
上記熱可塑性樹脂層に含まれる樹脂の中でも、重量平均分子量3千〜50万(Tg=0〜170℃)の範囲で選択して使用することが好ましく、更には重量平均分子量4千〜20万(Tg=30〜140℃)の範囲がより好ましい。
これらの樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59−44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64−55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特開平5−241340号の各公報に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。
【0178】
また、これらの中でも特に好ましいものとしては、特開昭63−147159号明細書に記載されたメタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、特公昭55−38961号、特開平5−241340号の各公報に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0179】
また、上記熱可塑性樹脂層には、熱可塑性樹脂層と支持体との接着力を調節するために、各種可塑剤、各種ポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤又は離型剤等を加えることが可能である。
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物等を挙げることができる。
上記熱可塑性樹脂層中の可塑剤の量は、上記熱可塑性樹脂の全質量に対して、200質量%以下であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。
【0180】
また、熱可塑性樹脂層の厚みは、1μm以上が好ましい。熱可塑性樹脂層の厚みが1μm以上であれば、下地表面の凹凸を完全に吸収することができる。
また、上限については、現像性、製造適性から、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
【0181】
本発明において、熱可塑性樹脂層を形成する際に用いる塗布液の溶媒としてはこの層を構成する樹脂を溶解するものであれば特に制限なく使用できる。
上記溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n−プロパノール、i−プロパノール等が挙げられる。
【0182】
<中間層>
本発明の感光性転写材料は、支持体と感光性低屈折率材料層との間に中間層を設けてもよい。上記中間層は、感光性低屈折率材料層の転写と同時又は転写後に除去されることが好ましい。
中間層を構成する樹脂としては、アルカリ可溶であれば特に制限はない。
中間層を構成する樹脂の例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及び、これらの共重合体を挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂のように通常はアルカリ可溶性でない樹脂にカルボキシル基やスルホン酸基を持つモノマーを共重合した樹脂も好ましく用いることができる。
これらの中で好ましいものはポリビニルアルコールである。
ポリビニルアルコールとしては、鹸化度が80%以上のものが好ましく、83〜98%のものがより好ましい。
【0183】
中間層を構成する樹脂は、1種単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよいが、2種類以上を混合して使用することが好ましく、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを混合して用いることが特に好ましい。両者の質量比はポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール=1/99〜75/25の範囲が好ましく、更には10/90〜50/50の範囲がより好ましい。質量比が上記の範囲内にあると中間層の面状が良好であり、その上に塗設した感光性遮光層との密着性がよく、更に、酸素遮断性が低下して感度が低下するのを防止することができる。
なお、上記中間層には、必要に応じて、界面活性剤などの添加剤を添加することができる。
【0184】
上記中間層の厚みは、0.1〜5μmであることが好ましく、0.5〜3μmであることがより好ましい。中間層の厚みが上記範囲内にあると、酸素遮断性を低下させることなく、また、現像時の中間層除去時間が増大するのを防止することができる。
中間層の塗布溶媒としては、上記の樹脂が溶解すれば特にその他の制限はないが、中でも水が好ましく、また水に前述の水混和性有機溶剤を混合した混合溶媒も好ましい。
好ましい塗布溶媒の具体例としては、例えば、水、水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/メタノール=55/45、水/エタノール=70/30、水/1−プロパノール=70/30、水/アセトン=90/10、水/メチルエチルケトン=95/5(ただし、比は質量比を表す。)等が挙げられる。
【0185】
<他の層>
本発明の感光性転写材料は、必要に応じて、帯電防止層を有していてもよい。帯電防止層は、支持体の上記感光性低屈折率材料層が設けられている面とは反対の面に設けられることが好ましい。
帯電防止層としては、例えば、特開平11−149008号公報に記載されている導電性層が挙げられる。
また、本発明の感光性転写材料は、感光性低屈折率材料層への汚れ等の付着を防ぐため、必要に応じて、保護層を有していてもよい。保護層は、上記感光性低屈折率材料層上に設けられることが好ましい。
保護層としては、公知の材質の層であればよいが、樹脂フィルムが好ましく挙げられる。樹脂フィルムの材質としては、ポリプロピレンやポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンがより好ましく挙げられる。
また、本発明の感光性転写材料は、必要に応じて、前述した以外の公知の層を有していてもよい。
【0186】
<感光性転写材料の作製>
本発明の感光性転写材料を作製する方法としては、例えば、支持体に、少なくとも成分A〜成分Dを含有する感光性樹脂組成物を、例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて塗布・乾燥させることにより形成する方法が好ましく挙げられる。
アルカリ可溶性熱可塑性樹脂の層を設ける場合にも同様にして形成することができる。
上記感光性樹脂組成物は、有機溶剤を含有することが好ましい。上記態様であると、薄膜でかつ膜厚均一性の高い塗布膜を作製することができる。
【0187】
(感光性低屈折率転写層を有する基板)
本発明の感光性低屈折率転写層を有する基板は、本発明の感光性転写材料から上記感光性低屈折率材料層を転写した感光性低屈折率転写層を有する基板である。
上記感光性低屈折率転写層を有する基板の作製方法としては、特に制限はないが、基板、好ましくは光透過性基板の上に、本発明の感光性転写材料を、感光性転写材料の感光性低屈折率材料層が接触するように配置して積層し、次に、感光性転写材料と基板との積層体から支持体を剥離し、その後、上記感光性低屈折率転写層を露光し、現像して感光性低屈折率転写層を有する基板を形成する方法が好ましく挙げられる。
この感光性低屈折率転写層を有する基板の製造方法は、煩雑な工程を行うことを必要とせず、低コストである。
【0188】
(感光性低屈折率転写層の製造方法)
本発明の感光性低屈折率転写層の製造方法は、本発明の感光性転写材料を用いた方法であれば、特に制限はないが、本発明の感光性転写材料を準備する工程(以下、「準備工程」ともいう。)、被転写部材と上記感光性低屈折率材料層とが接するように上記感光性転写材料を上記被転写部材に積層する工程(以下、「積層工程」ともいう。)、及び、上記感光性転写材料の支持体を剥離する工程(以下、「剥離工程」ともいう。)、を含むことが好ましい。
上記準備工程は、前述した方法により本発明の感光性転写材料を作製すればよい。
上記積層工程における被転写部材としては、リフレクター上や導光板上、ガラス基板、又は、これらの表面に各種金属層が形成された基板や、プラスチックフィルムが形成された基板、拡散シート、プリズムシート、マイクロレンズユニットなどの光学シートを挙げることができる。中でも、拡散シート、プリズムシート、マイクロレンズユニットなどの光学シートが好ましく、光学シートの間に本発明の転写材料を積層してバックライトモジュールを製造することがより好ましい。
上記剥離工程における支持体の剥離方法としては、特に制限はなく、公知の方法により剥離すればよい。
また、本発明の感光性低屈折率転写層の製造方法は、他の公知の工程を含んでいてもよい。
【0189】
(永久膜の形成方法)
本発明の永久膜の形成方法は、本発明の感光性転写材料を用いた方法であれば、特に制限はないが、本発明の感光性転写材料を準備する工程(「準備工程」ともいう。)、被転写部材と上記感光性低屈折率材料層とが接するように上記感光性転写材料を上記被転写部材に積層する工程(「積層工程」ともいう。)、上記感光性転写材料の支持体を剥離する工程(「剥離工程」ともいう。)、及び、転写された上記感光性低屈折率材料層(感光性低屈折率転写層)を露光する工程(「露光工程」ともいう。)、を含むことが好ましい。
本発明の永久膜の形成方法における準備工程、積層工程及び剥離工程の好ましい態様は、前述した本発明の感光性低屈折率転写層の製造方法における準備工程、積層工程及び剥離工程の好ましい態様と同様である。
【0190】
上記露光工程における露光は、必要に応じてマスクを介して行われる。
上記露光工程における露光に活性光線又は放射線としては、赤外光、g線、h線、i線、KrF光、ArF光、X線、電子線等を挙げることができる。露光量、感度、解像度の観点から、i線、KrF光、ArF光、電子線が好ましく、更に汎用性の観点から、i線、KrF光が最も好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm2〜10000mJ/cm2の露光量で照射することが好ましい。KrF光を用いる場合は、30mJ/cm2〜300mJ/cm2の露光量で照射することが好ましい。
また、露光した層は、必要に応じて、ホットプレートやオーブンを用いて、加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては、特に制限はないが、例えば、70℃〜180℃で、0.5〜15分間が好ましい。
露光工程では、光重合開始剤が分解し重合開始種が発生する。発生した重合開始種により成分Cの重合性官能基や成分D等が重合し、露光した部分が硬化され、永久膜が得られる。
露光光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、LED光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
露光装置としては、ミラープロジェクションアライナー、ステッパー、スキャナー、プロキシミティ、コンタクト、マイクロレンズアレイ、レーザー露光など各種方式の露光機を用いることができる。
【0191】
また、本発明の永久膜の形成方法は、露光した上記感光性低屈折率材料層を現像する工程(「現像工程」ともいう。)を更に含んでいてもよい。
上記現像工程では、硬化していない未露光部分を現像液により除去して現像し、ネガ画像(永久膜)を形成する。
現像工程で使用する現像液には、塩基性化合物が含まれることが好ましい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類;ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノールやエタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
好ましい現像液として、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドの0.4質量%水溶液、0.5質量%水溶液、0.7質量%水溶液、又は、2.38質量%水溶液を挙げることができる。
現像液のpHは、好ましくは10.0〜14.0である。
現像時間は、好ましくは30〜500秒間であり、また、現像の手法は液盛り法、ディップ法等のいずれでもよい。現像後は、流水洗浄を30〜300秒間行い、所望のパターンを形成させることができる。
現像の後に、リンス工程を行うこともできる。リンス工程では、現像後の基板を純水などで洗うことで、付着している現像液除去、現像残渣除去を行う。リンス方法は公知の方法を用いることができる。例えばシャワーリンスやディップリンスなどを挙げることができる。
【0192】
また、本発明の永久膜の形成方法は、現像工程後、必要に応じて、現像された上記感光性低屈折率材料層を加熱及び/又は露光する工程(「後加熱及び/又は後露光工程」ともいう。)を更に含んでいてもよい。これにより、耐光性、耐気候性、膜強度が向上し、更に低屈折率性も向上させることができる場合がある。
後加熱及び/又は後露光工程としては、加熱処理(焼成)することが好ましい。例えば、樹脂に残存する成分Cの重合性官能基や成分Dのエチレン性不飽和基等の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜600℃、より好ましくは200〜500℃、特に好ましくは200℃〜450℃で、好ましくは1分〜3時間、より好ましくは1分〜2時間、特に好ましくは1分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行ってもよい。後加熱工程は、現像された上記感光性低屈折率材料層を、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により加熱することにより行うことができる。
この後加熱工程において、加熱温度は、120〜250℃が好ましく、160〜230℃がより好ましい。また加熱時間は、加熱手段により異なるが、ホットプレート上で加熱する場合、5〜30分間が好ましく、オーブン中で加熱する場合、30〜90分間が好ましい。
また、後加熱工程に際しては、2回以上加熱するステップベーク法等を採用することもできる。
【0193】
また、現像工程後、必要に応じて、加熱処理ではなく、光照射や放射線照射などの高エネルギー線を照射することで、重合体中に、依然、残存する成分Cの重合性官能基や成分Dのエチレン性不飽和基間の重合反応を起こして硬膜してもよい。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
高エネルギー線として電子線を使用した場合のエネルギーは、0.1〜50keVが好ましく、0.2〜30keVがより好ましく、0.5〜20keVが特に好ましい。電子線の総ドーズ量は、0.01〜5μC/cm2が好ましく、0.01〜2μC/cm2がより好ましく、0.01〜1μC/cm2が特に好ましい。電子線を照射する際の基板温度は、0〜500℃が好ましく、20〜450℃がより好ましく、20〜400℃が特に好ましい。圧力は、0〜133kPaが好ましく、0〜60kPaがより好ましく、0〜20kPaが特に好ましい。
重合体の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
【0194】
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は160〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2,000mWcm-2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は、250〜450℃が好ましく、250〜400℃がより好ましく、250〜350℃が特に好ましい。重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
【0195】
加熱処理と光照射や放射線照射などの高エネルギー線処理照射を、同時に又は順次行うことにより硬膜してもよい。
【0196】
また、本発明の永久膜の形成方法は、他の公知の工程を含んでいてもよい。
【0197】
図2は、本発明の永久膜の形成方法の一例を示す模式図である。
まず、図2(a)に示すように、感光性転写材料100は、支持体102上に、熱可塑性樹脂層104、中間層106及び感光性低屈折率材料層108がこの順で設けられており、感光性低屈折率材料層108と被転写部材110とが直接接するように、2つのローラー112を接着させる。
続いて、支持体102を剥離し(不図示)、図2(b)に示すように、熱可塑性樹脂層104側から活性光線114を照射し、感光性低屈折率材料層108を露光する。
図2(c)〜(d)に示すように、熱可塑性樹脂層104、中間層106及び感光性低屈折率材料層108の未露光部分を現像液により除去し、現像する。熱可塑性樹脂層104、中間層106及び感光性低屈折率材料層108の未露光部分の除去は、それぞれ逐次に行っても、2以上の層を同時に行ってもよい。
続いて、図2(e)に示すように、現像された感光性低屈折率材料層108の表面をブラシ116によりこすり、現像残渣を除去してもよい。
【0198】
(光学デバイスの製造方法)
本発明の光学デバイスの製造方法は、本発明の感光性転写材料を準備する工程、バックライトモジュール基板とカラーフィルター基板との間の少なくとも1層として、上記感光性低屈折率材料層と上記バックライトモジュール基板又は上記カラーフィルター基板とが接するように上記感光性転写材料を積層する工程、及び、上記感光性転写材料の支持体を剥離する工程、を含む。
本発明の光学デバイスの製造方法における各工程の好ましい態様は、本発明の感光性転写材料を用いた方法であれば、特に制限はないが、感光性転写材料の積層時に、バックライトモジュール基板とカラーフィルター基板との間の少なくとも1層として、上記感光性低屈折率材料層と上記バックライトモジュール基板又は上記カラーフィルター基板とが接するように上記感光性転写材料を積層すること以外は、前述した本発明の感光性低屈折率転写層の製造方法における各工程の好ましい態様と同様である。
上記光学デバイスとしては、例えば、液晶ディスプレイ等が挙げられ、特に、バックライトモジュール基板及びカラーフィルター基板を備えたバックライトユニットが好適に挙げられる。
【0199】
また、本発明の光学デバイスの製造方法は、転写された上記感光性低屈折率材料層(感光性低屈折率転写層)を露光する工程(「露光工程」ともいう。)を更に含むことが好ましい。
本発明の光学デバイスの製造方法における露光工程の好ましい態様は、前述した本発明の永久膜の形成方法における露光工程の好ましい態様と同様である。
本発明の光学デバイスの製造方法は、露光した上記感光性低屈折率材料層を現像する工程(「現像工程」ともいう。)を更に含んでいてもよい。
本発明の光学デバイスの製造方法における現像工程の好ましい態様は、前述した本発明の永久膜の形成方法における現像工程の好ましい態様と同様である。
本発明の光学デバイスの製造方法は、現像工程後、必要に応じて、現像された上記感光性低屈折率材料層を加熱及び/又は露光する工程(「後加熱及び/又は後露光工程」ともいう。)を更に含んでいてもよい。
本発明の光学デバイスの製造方法における後加熱及び/又は後露光工程の好ましい態様は、前述した本発明の永久膜の形成方法における後加熱及び/又は後露光工程の好ましい態様と同様である。
また、本発明の光学デバイスの製造方法は、他の公知の工程を含んでいてもよい。
【0200】
以下に、本発明の光学デバイスの製造方法の好適な一例を図面を参照して説明する。
図3は、本発明の光学デバイスの製造方法により製造されるバックライトユニットの一例を示す断面図である。
反射板202に本発明の感光性転写材料を接触するように重ね合わせ、ラミネーター((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて両者を貼り合わせた後に、感光性転写材料から支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を剥離し、その後に熱可塑性樹脂層を除去することにより(不図示)、感光性低屈折率材料層を積層させた反射板202が得られる。導光板204の端辺に光源としてランプ206とランプ反射板208とを備えるランプユニット210を設け、導光板204と感光性低屈折率材料層とを積層させた反射板202を、感光性低屈折率材料層と導光板204とが接触するように貼り合わせ、感光性低屈折率材料層を露光し硬化して、ランプユニット210と反射板202を具備する導光板204が得られる。同様に、拡散シート212、プリズムシート214に本発明の感光性転写材料から感光性低屈折率材料層をそれぞれ転写して積層させ導光板204に貼り合わせ、感光性転写材料から転写した感光性低屈折率材料層を硬化させて低屈折率層216とし、バックライトユニット200が得られる。
光学デバイスである得られたバックライトユニット200には、図3の下から反射板202、低屈折率層216、導光板204、低屈折率層216、拡散シート212、低屈折率層216、プリズムシート214、プリズムシート214の形状に合った低屈折率層216が当該順で積層されており、導光板204の端辺には、ランプ206とランプ反射板208とを備えたランプユニット210が設けられている。
また、本発明の光学デバイスの製造方法により製造されるバックライトユニットは、図3における4つの低屈折率層216のうち、少なくとも1層が本発明の感光性転写材料により形成されたものであればよい。本発明の感光性転写材料は、図3に示すように、バックライトユニット等の光学デバイスにおける種々の層に用いることができる。
【実施例】
【0201】
以下に実施例を示し本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、下記において特に限定のないかぎり「部」は「質量部」を、高分子化合物における「分子量」は「重量平均分子量」を表す。
【0202】
(実施例1〜4、並びに、比較例3及び4)
<感光性低屈折率材料層用塗布液の調製>
下記組成を混合して、感光性低屈折率材料層用塗布液を調製した。なお、表1に記載の各成分の使用量を表す数値の単位は、質量部である。
【0203】
【表1】
【0204】
表1に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
Allyl/MAA=80/20:アリルメタクリレートとメタクリル酸とのモル比80:20の共重合体(下記に示すポリマー)、分子量Mw=30,000
BzMA/MAA=80/20:ベンジルメタクリレートとメタクリル酸とのモル比80:20の共重合体(下記に示すポリマー)、分子量Mw=30,000
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業(株)製)
FFA−1:下記に示すモノマーFFA−1の40質量%PGMEA溶液
IRGACURE OXE−01:下記に示す化合物
F−554:パーフルオロアルキル基含有ノニオン界面活性剤の2質量%PGMEA溶液、DIC(株)製
スルーリア4320:中空シリカ粒子の20質量%メチルイソブチルケトン(MIBK)分散液、日揮触媒化成(株)製、平均一次粒子径60nm
SiO2粒子:中空又は多孔質でないシリカ粒子の30質量%MIBK分散液、日産化学工業(株)製MIBK−ST、粒子径10〜20nm
【0205】
【化16】
【0206】
【化17】
【0207】
【化18】
【0208】
<感光性転写材料の作製>
2軸延伸した75μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体表面に、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・ジャパン社製、商品名:MH−1600)を用いて、下記のように調製した熱可塑性樹脂層用塗布液を厚みが15μmになるように塗布して100℃で5分間乾燥し、熱可塑性樹脂層を形成した。次いで、この上に中間層用塗布液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布して、100℃で5分間乾燥し、中間層を形成した。更にこの上に、感光性低屈折率材料層用塗布液を、乾燥膜厚2.0μmになるよう塗布して100℃で5分間乾燥し、感光性低屈折率材料層を形成し、感光性転写材料を作製した。
【0209】
<熱可塑性樹脂層用塗布液の調製>
下記組成を混合して熱可塑性樹脂層用塗布液を調製した。
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(55/11.7/4.5/28.8)の共重合体(分子量80,000):58部
・スチレン/アクリル酸=63/37の共重合体(分子量7,000):136部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製、多官能アクリレート):90部
・フッ素系界面活性剤(商品名:F780F、大日本インキ化学工業(株)製):1部
・メチルエチルケトン:541部
・1−メトキシ−2−プロパノール:63部
・メチルアルコール:111部
【0210】
<中間層用塗布液の調整>
下記組成を混合して中間層用塗布液を調製した。
・ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550):32.2部
・ポリビニルピロリドン(商品名:K−30、アイエスピー・ジャパン(株)製):14.9部
・蒸留水:524部
・メタノール:429部
【0211】
<感光材料の作製>
図4及び図5に示す、高さ1.0μmの凹凸のあるプリズムシート基板と上記より得られた感光性転写材料とを、感光性低屈折率材料層が2μmのプリズムシート基板に接触するように重ね合わせ、ラミネーター((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて両者を貼り合わせた。ラミネーション条件は、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分であった。その後、感光性転写材料から支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を剥離し、感光材料を作製した。
【0212】
<低屈折率材料層の作製>
得られた感光材料に対し、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)で積算照射量が2,000mJ/cm2(照度:20mW/cm2)となるように露光し硬化した。次いで以下の3工程の現像処理を行い、熱可塑性樹脂層と中間層とを現像除去し、図4及び図5に示す2μmのプリズムシート上に低屈折率材料層を得た。
【0213】
〔現像処理〕
第1工程:現像処理液(商品名:T−PD1、富士フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用い、温度30℃・40秒の条件で現像処理を行った。
第2工程:現像処理液(商品名:T−CD1、富士フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用い、温度33℃・20秒の条件で現像処理を行った。
第3工程:現像処理液(商品名:T−SD1、富士フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用い、温度33℃・20秒の条件で現像処理を行った。
実施例1〜4、並びに、比較例3及び4の感光性転写材料をそれぞれ作製した。
【0214】
実施例1〜4、並びに、比較例3及び4において、得られた感光性低屈折率材料層用塗布液及び感光性転写材料を使用し、以下の評価を行った。評価結果を表2にまとめて示す。
【0215】
<転写時の面内膜厚均一性評価>
得られた感光材料において、A4サイズにて、縦方向と横方向とを2cm間隔で膜厚を測定した。
評価基準は、いずれの膜厚の測定結果も2.0μm±0.1μm以内であればA、超えるものをBとした。
【0216】
<膜の屈折率の測定>
上記で得られた感光性低屈折率材料層用塗布液をシリコンウエハ上に塗布し、その後、ホットプレート上で、100℃で2分間加熱して感光性低屈折率膜を得た。
続いて、得られた感光性低屈折率膜を、ジェー・エー・ウーラム社エリプソメーター MC−200を使用して、以下に示す条件で露光し硬化して、低屈折率膜を得た。
低屈折率膜作製条件:プリベーク:80℃120分、露光:ghi−mix、200mJ/cm2、ポストベーク:230℃60分
上記エリプソメーターを用いて、この低屈折率膜における波長589nm、25℃で測定した値を屈折率とした。
【0217】
<透過率の測定(光伝達効率評価)>
図6に示すように、ポリエチレンテレフタレート基板42上に低屈折率層44が1.0μmとなるように塗布乾燥させ、更にポリエチレンテレフタレートフィルム46を熱ラミネーターにて貼り合わせ、分光光度計にて波長550nmの光の透過率を測定した。透過率が高いほうが、光伝達効率に優れる。
ラミネーター((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、上記140℃で加熱した基材に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
【0218】
<鉛筆硬度評価>
膜の屈折率の測定に用いたものと同様に作製した膜について、JIS K5600−4に基づき、鉛筆硬度試験を行った。強度が高いほうが好ましい。結果を表2に示す。
なお、鉛筆は三菱鉛筆(株)製のUNI(登録商標)を使用した。
【0219】
(比較例1)
実施例1で得られた感光性低屈折率材料層用塗布液を使用し、転写時の面内膜厚均一性評価の測定において、転写の代わりに高さ1.0μmのプリズムシート上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が2.00μmになるように上記感光性低屈折率材料層用塗布液を塗布して、100℃で5分間乾燥し、感光性低屈折率材料層を形成した以外は、実施例1と同様に評価を行った。
また、実施例1で得られた感光性低屈折率材料層用塗布液を使用し、透過率の測定及び鉛筆硬度評価において、スピンコーターを用いて上記感光性低屈折率材料層用塗布液を塗布した以外は、実施例1と同様に評価を行ったが、いずれも気泡が膜中に生じ、膜の透過率及び強度が明らかに劣っており、評価できなかった。
【0220】
(比較例2)
低屈折率層を形成しなかった以外は、実施例1と同様に透過率の評価を行った。すなわち、比較例2は、低屈折率層なしで、単にフィルム同士を重ね合わせて測定を行った。評価結果を表2にまとめて示す。
【0221】
【表2】
【0222】
(実施例5)
バックライトユニットを以下の方法で作製した。
図3は、実施例5において作製したバックライトユニット200の断面図である。
反射板202に実施例1の感光性転写材料を接触するように重ね合わせ、ラミネーター((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて両者を貼り合わせた後に、感光性転写材料から支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を剥離し、その後に熱可塑性樹脂層を除去した。導光板204の端辺に光源としてランプ206とランプ反射板208とを備えるランプユニット210を用意し、導光板204と感光性低屈折率材料層とを積層させた反射板202を、感光性低屈折率材料層と導光板204とが接触するように貼り合わせた。続いて、得られた積層体をキヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)で積算照射量が2,000mJ/cm2(照度:20mW/cm2)となるように露光し硬化して、ランプユニット210と反射板202を具備する導光板204を得た。同様に、拡散シート212、プリズムシート214に実施例1の感光性転写材料から感光性低屈折率材料層をそれぞれ転写して積層させ導光板204に貼り合わせ、実施例1の感光性転写材料から転写した感光性低屈折率材料層を硬化させて低屈折率層216とし、実施例5のバックライトユニット200を得た。得られたバックライトユニット200は良好な輝度を示した。
【符号の説明】
【0223】
10:感光性転写材料、12:支持体、14:熱可塑性樹脂層、16:中間層、18:感光性低屈折率材料層、20:保護層、22:帯電防止層、30:プリズムシート基板、32:ポリエチレンフィルム、34:プリズム部材、40:透過率測定試料、42:ポリエチレンテレフタレート基板、44:低屈折率層、46:ポリエチレンテレフタレートフィルム、100:感光性転写材料、102:支持体、104:熱可塑性樹脂層、106:中間層、108:感光性低屈折率材料層、110:被転写部材、112:ローラー、114:活性光線、116:ブラシ、200:バックライトユニット、202:反射板、204:導光板、206:ランプ、208:ランプ反射板、210:ランプユニット、212:拡散シート、214:プリズムシート、216:低屈折率層
図1
図2
図3
図4
図5
図6