【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、従来の内燃機関の過給機余剰動力回収装置は、過給機の動力で油圧ポンプを回転駆動することにより、油圧動力として排気ガスの余剰動力を回収し、機関のクランク軸に取り付けた油圧モータをこの油圧動力によって回転駆動し、クランク軸を加勢することで、機関の燃費を低減するものである。
【0013】
しかしながら、まず、排気エネルギを過給機を介して油圧ポンプにより油圧に変換するときに油圧ポンプの動力損失が発生する。次に、この油圧により内燃機関のクランク軸に連結した油圧ポンプ(油圧モータ)により回転動力に変換する際に、この油圧モータの動力損失が発生する。
【0014】
また、従来の電子制御機関においては、内燃機関又は電動機から油圧ポンプにより油圧を発生させる場合に、この油圧ポンプでも動力損失が発生する。このため、従来の電子制御の内燃機関における過給機余剰動力回収装置では、システム全体の動力伝達効率が低いという問題がある。
【0015】
これと共に、従来の電子制御の内燃機関の過給機余剰動力回収装置においては、
図7に示すように、過給機の余剰動力回収装置101と、排気弁や燃料噴射弁等を油圧制御するための油圧装置(以下、機関作動装置ともいう)102の双方に、システム構成のための油圧ポンプ、バルブ類、安全装置、配管などを重複装備する必要があり、コスト増を招くという問題がある。
【0016】
また、多数の補機類が錯綜して配設される内燃機関周りにおいて、過給機の余剰動力回収装置101と機関作動装置102とに必要な機器の重複配置が、設計の大きな足かせになっているという問題もある。
【0017】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、機関を作動させるための作動機器が油圧を介して電子制御される内燃機関において、内燃機関の過給機余剰動力回収装置のシステム全体の動力伝達効率を飛躍的に向上させることができ、しかも油圧機器類の重複配置を排除することができ、これにより大幅なコスト削減と設計の容易化を図ることができる、内燃機関の過給機余剰動力回収装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の課題を解決するために、本発明の内燃機関の過給機余剰動力回収装置は、機関を作動させるための作動機器が油圧を介して電子制御される内燃機関と、内燃機関の排ガス路に配設されて内燃機関の排気ガスにより回転駆動されて内燃機関に過給された給気を供給する過給機と、過給機に連結されて過給機により回転駆動されて油圧を発生させる第1油圧ポンプと、内燃機関の作動機器に油圧を供給して内燃機関を作動させる油圧機構と、回転動力を発生させる動力源に連結されてこの動力源により回転駆動されて油圧機構を介して作動機器に油圧を供給する第2油圧ポンプと、油圧機構と第1油圧ポンプと第2油圧ポンプとの作動を制御するコントローラと、油圧機構に配設されて第2油圧ポンプから作動機器へ油圧を供給する第1油路とを備えた内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、油圧機構に配設されて第1油圧ポンプから作動機器へ油圧を供給する第2油路を備えたことにある。
【0019】
また、別の本発明の内燃機関の過給機余剰動力回収装置は、機関を作動させるための作動機器が油圧を介して電子制御される内燃機関と、内燃機関の排ガス路に配設されて内燃機関の排気ガスにより回転駆動されて内燃機関に過給された給気を供給する過給機と、排ガス路に過給機と並列に配設されて排気ガスにより回転駆動されるタービンと、タービンに連結されてタービンにより回転駆動されて油圧を発生させる第1油圧ポンプと、内燃機関の作動機器に油圧を供給して内燃機関を作動させる油圧機構と、回転動力を発生させる動力源に連結されてこの動力源により回転駆動されて油圧機構を介して作動機器に油圧を供給する第2油圧ポンプと、油圧機構と第1油圧ポンプと第2油圧ポンプとの作動を制御するコントローラと、油圧機構に配設されて第2油圧ポンプから作動機器へ油圧を供給する第1油路とを備えた内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、油圧機構に配設されて第1油圧ポンプから作動機器へ油圧を供給する第2油路を備えたことにある。
【0020】
ここで、上述の機関を作動させるための作動機器とは、内燃機関を作動するために必要な、例えば排気弁、燃料噴射弁等の機器をいい、回転動力を発生させる動力源とは、例えば内燃機関、電動機等をいう。ただし、上述の機関を作動させるための作動機器及び回転動力を発生させる動力源とも一例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明の内燃機関の過給機余剰動力回収装置は、上述のように、過給機又はタービンに連結されてこの過給機又はタービンにより回転駆動されて油圧を発生させる第1油圧ポンプが、第2油路を介して内燃機関の作動機器に動力源を介さずに直接油圧を供給することができる。
【0022】
一方、従来の、機関を作動させるための作動機器が電子制御される内燃機関の過給機余剰動力回収装置においては、過給機に連結されてこの過給機又はタービンにより回転駆動されて油圧を発生させる油圧ポンプが、まず内燃機関のクランク軸に連結された油圧ポンプを回転駆動し、次にこの内燃機関や内燃機関が発生させた電力により回転駆動される電動機等の動力源が、作動機器に油圧を供給するための必要な油圧ポンプを回転駆動させる。
【0023】
ここで、動力源により回転駆動されて油圧機構を介して作動機器に油圧を供給する第2油圧ポンプは、内燃機関の負荷によっては作動機器に作動に必要な油圧を多量に供給しなければならない。このため、第2油圧ポンプの必要容量あるいは台数は、この最大吐出量に応じて決定しなければならない。
【0024】
しかしながら、本発明の内燃機関の過給機余剰動力回収装置においては、この最大吐出量が要求される負荷時には排気エネルギにより過給機を回転駆動してもなお余剰があるため、第1油圧ポンプが第2油路を介して作動機器に油圧を供給することができる。
【0025】
したがって、第2油圧ポンプの必要容量あるいは台数を第1油圧ポンプからの油圧の供給分だけ減少させることができ、コスト削減を図ることができる。また、吐出量に応じて増大する動力損失も、第2油圧ポンプの必要容量あるいは台数の減少に伴って、これを減少させることができる。
【0026】
ここて最も注目すべきことは、従来の内燃機関の過給機余剰動力回収装置においては、過給機により回転駆動される油圧ポンプが発生させた油圧により内燃機関のクランク軸に連結した油圧ポンプを加勢して内燃機関の回転動力に変換する際に、動力損失が発生していた。
【0027】
しかしながら、本発明の内燃機関の過給機余剰動力回収装置においては、上述のように余剰の排気エネルギは、油圧として第2油路を介して作動機器に直接供給されてその有効利用を図るようにしたから、従来の内燃機関の過給機余剰動力回収装置を排除することができる。すなわち、内燃機関のクランク軸に連結される油圧ポンプを排除することができ、この油圧ポンプにより発生していた動力損失を完全に排除することができることである。
【0028】
これに加えて、従来は必要であった第1油圧ポンプが内燃機関のクランク軸に連結された油圧ポンプを加勢するために必要な油圧機構を、すべて排除することができる。したがって、従来の内燃機関の過給機余剰動力回収装置の油圧機構を構成していた油圧ポンプ、バルブ類、安全装置、配管などを重複装備する必要がなくなり、大幅なコスト削減を図ること
ができる。また、多数の補機類が錯綜して配設される内燃機関周りにおいて、過給機の余剰動力回収装置と機関作動装置の油圧機構の重複配置が必要なくなり、設計の容易化を図ることができる。
【0029】
上記内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、コントローラは、内燃機関の高負荷時に第1油圧ポンプが発生させた油圧を第2油路を介して作動機器へ供給することが望ましい。
【0030】
このように、コントローラが、内燃機関の高負荷時に第1油圧ポンプが発生させた油圧を第2油路を介して直接作動機器へ供給することにより、高負荷時の内燃機関の余剰排気エネルギを動力損失なく、作動機器に必要な油圧として有効利用することができる。
【0031】
上記内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、油圧機構に配設されて第1油圧ポンプから第2油圧ポンプへ油圧を供給する第3油路をさらに備えることが望ましい。
【0032】
このように、油圧機構に配設されて第1油圧ポンプから第2油圧ポンプへ油圧を供給する第3油路をさらに備えることにより、第1油圧ポンプから作動機器に油圧を供給してもなお排気ガスエネルギに充分な余剰があるときには、第3油路を介して第1油圧ポンプが発生させた油圧により第2油圧ポンプを回転駆動させて、動力源の回転を加勢することができる。
【0033】
例えば、動力源が内燃機関の場合には直接燃費向上が図られ,また動力源が電動機の場合にはこれを発電機として作動させて発電を行なわせることにより、結果的に、内燃機関全体の大幅な燃費向上を図ることができる。
【0034】
上記内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、コントローラは、高負荷時に第1油圧ポンプが発生させた油圧の一部を第2油路を介して作動機器へ供給すると共に、第1油圧ポンプが発生させた油圧の残部を第3油路を介して第2油圧ポンプへ供給することが望ましい。
【0035】
内燃機関の高負荷時には、例えば、第1油圧ポンプは作動機器に必要な油圧の約2倍の油圧を発生させることが可能である。したがって、コントローラが、高負荷時に第1油圧ポンプが発生させた油圧の一部を第2油路を介して作動機器へ供給すると共に、第1油圧ポンプが発生させた油圧の残部を第3油路を介して第2油圧ポンプへ供給するようにすることにより、高負荷時の内燃機関の余剰排気エネルギを動力損失なく、作動機器に必要な油圧として有効利用することができると共に、第1油圧ポンプが発生させた油圧により第2油圧ポンプが連結されている動力源の回転を加勢することができる。
【0036】
例えば、動力源が内燃機関の場合には直接燃費向上が図られ,また動力源が電動機の場合にはこれを発電機として作動させて発電を行なわせることにより、結果的に、内燃機関全体の大幅な燃費向上を図ることができる。
【0037】
上記内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、第2油圧ポンプは、可変容量型の油圧ポンプからなり、油圧機構は、第2油圧ポンプから作動機器への油圧の供給を許容すると共に第1油路の下流側から第2油圧ポンプへの油圧の逆流を防止する逆止機能と、コントローラの制御により強制的に第1油路の下流側から第2油圧ポンプへの油圧の逆流を許容させる逆止解除機能とを有する第1逆止弁機構を第1油路に備え、第2油路は、その作動機器側が第1油路の第1逆止弁機構の下流側に接続されて形成され、第3油路は、第2油圧ポンプ側が第1油路の第1逆止弁機構の下流側に接続されて形成されることが望ましい。
【0038】
このような構成の油圧機構にすることにより、コントローラが第1逆止弁機構の逆止解除機能をOFFにすることにより、第2油圧ポンプが内燃機関の作動機器へ油圧を供給できると共に、第1ポンプが発生させた油圧を内燃機関の作動機器へ油圧を供給することができる。また、第2油圧ポンプは可変容量型の油圧ポンプからなるから、コントローラが第1逆止弁機構の逆止解除機能をONにすることにより、第1油圧ポンプの発生させた油圧を第2ポンプへ供給できるようになり、可変容量型の油圧ポンプからなる第2油圧ポンプの回転、すなわち第2油圧ポンプが連結される動力源の回転を加勢することができるようになる。
【0039】
すなわち、上述の構成によって油圧機構の簡素化を図ることができる。なお、可変容量型の油圧ポンプにおいては、その可変機構によって通常の吐出口からの油圧の逆流によっても油圧ポンプを正転させることができる。
【0040】
上記内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、油圧機構に配設されて第2油圧ポンプから第1油圧ポンプへ油圧を供給する第4油路をさらに備えることが望ましい。
【0041】
このように、油圧機構に配設されて第2油圧ポンプから第1油圧ポンプへ油圧を供給する第4油路をさらに備えることにより、第2油圧ポンプが発生させた油圧を第4油路を介して第1油圧ポンプへ供給することが可能となり、これにより第1油圧ポンプの回転を加勢して過給機の過給能力を高めるようにすれば、排気ガスエネルギが不足して過給不足となった場合にも内燃機関に対して充分な過給を行なうことができる。
【0042】
上記内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、コントローラは、内燃機関の低負荷時に第2油圧ポンプが発生させた油圧を第4油路を介して第1油圧ポンプへ供給して第1油圧ポンプの回転を加勢して過給機の過給能力を高めることが望ましい。
【0043】
このように、コントローラが内燃機関の低負荷時に第2油圧ポンプが発生させた油圧を第4油路を介して第1油圧ポンプへ供給して第1油圧ポンプの回転を加勢して過給機の過給能力を高めることにより、特に排気ガスエネルギが不足して過給不足となりがちな低負荷時にも、内燃機関に対して充分な過給を行なうことができる。
【0044】
上記内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、油圧機構に配設されて第1油圧ポンプから第2油圧ポンプへ油圧を供給する第3油路をさらに備え、第1油圧ポンプは、可変容量型の油圧ポンプからなり、油圧機構は、第1油圧ポンプから第2油圧ポンプへの油圧の供給を許容すると共に第2油圧ポンプから第1油圧ポンプへの油圧の逆流を防止する逆止機能とコントローラの制御により強制的に第2油圧ポンプから第1油圧ポンプへの油圧の逆流を許容する逆止解除機能とを有する第2逆止弁機構を第3油路に具備し、上述の第4油路は、この第3油路からなることが望ましい。
【0045】
このように、油圧機構に配設されて第1油圧ポンプから第2油圧ポンプへ油圧を供給する第3油路をさらに備え、第1油圧ポンプを可変容量型の油圧ポンプとし、油圧機構が、第1油圧ポンプから第2油圧ポンプへの油圧の供給を許容すると共に第2油圧ポンプから第1油圧ポンプへの油圧の逆流を防止する逆止機能とコントローラの制御により強制的に第2油圧ポンプから第1油圧ポンプへの油圧の逆流を許容する逆止解除機能とを有する第2逆止弁機構を第3油路に具備し、第4油路が、第3油路からなるようにすることにより、コントローラの制御によって第2油圧ポンプが発生させた油圧を第3油路を介して第1油圧ポンプへ供給することができるようになり、これにより、この第1油圧ポンプが連結される過給機の回転を加勢することができる。
【0046】
すなわち、上述の構成によって油圧機構の簡素化を図ることができる。なお、上述のように、可変容量型の油圧ポンプにおいては、その可変機構によって通常の吐出口からの油圧の逆流によっても油圧ポンプを正転させることができる。
【0047】
上記内燃機関の過給機余剰動力回収装置において、油圧機構は、コントローラの制御により第1油圧ポンプが発生させた油圧をドレインさせて第1油圧ポンプへ戻すドレイン機構を備えることが望ましい。
【0048】
このように、油圧機構がコントローラの制御により第1油圧ポンプが発生させた油圧をドレインさせて第1油圧ポンプへ戻すドレイン機構を備えることにより、第1油圧ポンプから作動機器への油圧の供給と、第1油圧ポンプから第2油圧ポンプへの油圧の供給と、第2油圧ポンプから第1油圧ポンプへの油圧の供給とをいずれも行わ
ないようにすることができる。