特許第6013166号(P6013166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013166
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20161011BHJP
   F16P 3/10 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B23Q11/00 D
   F16P3/10
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-270660(P2012-270660)
(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-113669(P2014-113669A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】ポール ヴィンセント アテンディド
【審査官】 長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−237738(JP,A)
【文献】 特開2005−46979(JP,A)
【文献】 特開2010−5759(JP,A)
【文献】 特開平5−92341(JP,A)
【文献】 特開2008−12594(JP,A)
【文献】 特開2010−5712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
F16P 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、高速回転するスピンドルの先端に切削ブレードを装着し前記チャックテーブルに保持された前記被加工物を切削する切削手段と、を備え、開閉扉を有するカバー手段に覆われた切削装置であって、
前記スピンドルの回転停止を検出する回転停止検出手段と、
前記カバー手段の前記開閉扉を閉じた状態でロックする開閉扉ロック手段と、
前記切削手段を含む前記切削装置の構成要素を制御する制御手段と、
前記制御手段に対する指示情報を入力するとともに前記切削装置の運転状況を表示するタッチパネルと、をさらに備え、
前記開閉扉ロック手段は、前記スピンドルの回転が停止している場合に前記開閉扉のロックを解除し、
前記タッチパネルに前記開閉扉のロック解除指示情報を入力すると、前記制御手段により前記スピンドルの回転を停止させるとともに、前記スピンドルの回転が停止するまでに必要とする所要時間を前記タッチパネルにリアルタイムで表示し、前記スピンドルの回転が停止した後に前記開閉扉ロック手段のロックが解除されることを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に対して切削加工を施す切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速回転するスピンドルに切削ブレードを装着した切削装置は、スピンドルの回転が停止するまで開閉扉にロックをかけるロック機構を有しており、スピンドルの回転中に開閉扉をあける指示がオペレータ等の作業員により入力操作されると、スピンドルの回転を停止させる動作を行い、このスピンドルの回転が停止した後に開閉扉のロックを解除する(例えば、特許文献1参照)。このため、特許文献1に示される切削装置は、スピンドルが停止した状態で開閉扉の開閉が可能になる。また、高速回転するスピンドルを停止させる際、切削ブレードやフランジ等を固定するナットがスピンドルから緩まないように当該スピンドルの回転数を減速させることから、スピンドルが停止するまでにある程度の時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−46979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スピンドルの高速回転中に作業員が開閉扉をあける指示を入力操作後、スピンドルの回転が停止するまでにかかる時間を作業員が把握できていない場合や、スピンドルの回転が停止するまでには時間がかかること、スピンドルの回転中は開閉扉がロックされていることを作業員が把握できていない場合、スピンドルの回転中に作業員が開閉扉をあけようとする虞があった。また、スピンドルおよび切削ブレードが開閉扉の内側に配設されていることから、その回転の停止を作業員が認識できていない場合も、スピンドルの回転中に作業員が開閉扉をあけようとする虞があった。つまり、開閉扉にロックがかかっているということを作業員が認識できていない場合、ロックのかかった開閉扉を作業員が無理にあけようとして、開閉扉やロック機構に予定しない負荷がかかる虞があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、開閉扉にロックがかかっているということを作業員に認識させることができる切削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、高速回転するスピンドルの先端に切削ブレードを装着しチャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削手段と、を備え、開閉扉を有するカバー手段に覆われた切削装置であって、スピンドルの回転停止を検出する回転停止検出手段と、カバー手段の開閉扉を閉じた状態でロックする開閉扉ロック手段と、切削手段を含む切削装置の構成要素を制御する制御手段と、制御手段に対する指示情報を入力するとともに切削装置の運転状況を表示するタッチパネルと、をさらに備え、開閉扉ロック手段は、スピンドルの回転が停止している場合に開閉扉のロックを解除し、タッチパネルに開閉扉のロック解除指示情報を入力すると、制御手段によりスピンドルの回転を停止させるとともに、スピンドルの回転が停止するまでに必要とする所要時間をタッチパネルにリアルタイムで表示し、スピンドルの回転が停止した後に開閉扉ロック手段のロックが解除されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の切削装置によれば、タッチパネルに開閉扉のロック解除指示情報を入力すると、制御手段によりスピンドルの回転を停止させるとともに、スピンドルの回転が停止するまでに必要とする所要時間をタッチパネルにリアルタイムで表示するので、スピンドルが停止するまでには待ち時間があるということ、スピンドルが停止するまでにはどれだけ待つのかということをオペレータ等の作業員に認識させることができ、スピンドルの回転中は開閉扉にロックがかかっているということを作業員に認識させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る切削装置の概略構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る切削装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るタッチパネルの表示の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る切削装置のスピンドルの回転停止をオペレータ等の作業員に認識させる動作を示す概略フローである。
図5図5は、図3に示すタッチパネルの表示の変形例1を示す図である。
図6図6は、図3に示すタッチパネルの表示の変形例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0010】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る切削装置の概略構成例を示す図である。図2は、実施形態に係る切削装置の構成例を示す図である。図3は、実施形態に係るタッチパネルの表示の一例を示す図である。本実施形態において、X軸方向は、後述する切削ブレード51a,51bの回転軸の方向および鉛直方向の双方と直交する方向であり、Y軸方向は、鉛直方向と直交する切削ブレード51a,51bの回転軸の方向であり、Z軸方向は、鉛直方向である。
【0011】
図1および図2に示す実施形態に係る切削装置1は、カセットエレベータ10と、仮置き手段20と、チャックテーブル30と、撮像手段40と、二つの切削手段50a,50bと、洗浄・乾燥手段60と、タッチパネル70と、カバー手段80と、開閉扉ロック手段90と、回転停止検出手段100と、制御手段110と、を含んで構成されている。切削装置1は、本実施形態において、二つの切削手段50a,50bをY軸方向に対向配置させたフェイシングデュアルタイプの加工装置である。切削装置1は、図示しない被加工物を保持するチャックテーブル30と、二つの切削手段50a,50bとを相対移動させることで、被加工物に切削加工を施す。また、切削装置1は、被加工物を保持するチャックテーブル30と、一方の切削手段50aあるいは他方の切削手段50bとを相対移動させることで、被加工物に切削加工を施すこともできる。
【0012】
ここで、被加工物は、切削加工される加工対象であり、特に限定されないが、例えば、シリコン、ヒ化ガリウム(GaAs)等を母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ、セラミック、ガラス、サファイア(Al)系の円板状の無機材料基板、金属や樹脂等の円板状の延性材料等、各種加工材料である。
【0013】
カセットエレベータ10は、装置本体2に対してZ軸方向において昇降自在であり、被加工物を一枚ずつ収納する。仮置き手段20は、切削加工前後の被加工物を一対のレール21,22に一時的に仮置きする。チャックテーブル30は、表面31(保持面に相当)に載置された被加工物を図示しない吸引源により吸引保持し、図示しないX軸移動手段(加工送り手段に相当)によりX軸方向に相対移動する。撮像手段40は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いたカメラ等であり、被加工物に対する二つの切削手段50a,50bのアライメント調整を行うための画像データを生成する。
【0014】
二つの切削手段50a,50bは、切削ブレード51a,51bと、スピンドル52a,52bと、スピンドルハウジング53a,53bと、ノズル54a,54bと、ブレードカバー55a,55bと、を含んで構成されている。二つの切削手段50a,50bは、Y軸移動手段56a,56b(割り出し送り手段に相当)およびZ軸移動手段57a,57b(切り込み送り手段に相当)によりY軸方向とZ軸方向とにそれぞれ相対移動可能であり、撮像手段40により撮像された被加工物の画像データに基づいて、チャックテーブル30に保持された被加工物に切削水を供給しながら加工すべき領域に切削加工を施す。切削ブレード51a,51bは、高速回転することでチャックテーブル30に保持された被加工物を切削する極薄のリング形状に形成された切削砥石であり、図示しない固定ナットによりスピンドル52a,52bに交換可能に固定されている。スピンドルハウジング53a,53bは、筒状に形成されており、内挿されたスピンドル52a,52bをエアベアリングにより回転自在に支持する。ノズル54a,54bは、切削ブレード51a,51bの加工点に切削液を噴出させて供給する。ブレードカバー55a,55bは、ノズル54a,54bを着脱可能に保持する。
【0015】
洗浄・乾燥手段60は、スピンナテーブル61を図示しない回転駆動源により回転させつつ洗浄液噴射装置から切削加工後の被加工物に噴射して当該被加工物を洗浄し、洗浄後の被加工物に気体噴射装置から気体を噴射して当該被加工物を乾燥させる。
【0016】
タッチパネル70は、切削装置1の筐体において、オペレータ等の作業員が見やすく操作しやすい箇所に配置されている。タッチパネル70は、制御手段110による制御の下に、撮像手段40が撮像した画像の他、加工処理等に伴う必要な各種情報や切削装置1の運転状況等を表示面71に表示する表示パネルであるとともに、加工処理等の条件設定等に必要な指示情報を入力操作するための画面やボタン、キー等を表示面71に表示するタッチパネル構成でもある。タッチパネル70は、例えば、スピンドル52a,52bの回転中に開閉扉81,82をあける指示情報(ロック解除指示情報)が作業員により入力操作されると、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでに必要とする所要時間をリアルタイムで表示する。タッチパネル70は、上記所要時間として、例えば、図3に示すように、所要時間表示画面71aを表示する。所要時間表示画面71aは、停止動作表示部72と、所要時間表示部73と、ボタン画像75と、を有している。
【0017】
停止動作表示部72は、スピンドル52a,52bが停止動作中であることを文字情報として表示する。所要時間表示部73は、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでに必要とする所要時間を図形化して表示する。所要時間表示部73は、経過時間部73aと、標示部73bと、残り時間部73cと、を有している。経過時間部73aは、上記ロック解除指示情報の入力操作からの経過時間に対応している。経過時間部73aは、ラベル部74a側からラベル部74b側に向かって上記経過時間に対応してリアルタイムで伸長する。標示部73bは、上記所要時間に対する上記経過時間の進捗位置を表している。標示部73bは、経過時間部73aと併せて、上記所要時間に対する上記経過時間の割合を表している。つまり、標示部73bは、スピンドル52a,52bが停止するまでには待ち時間があるということを示す。また、標示部73bは、例えば、経過時間部73aおよび残り時間部73cの双方と異なる色彩や模様等で表示され、作業員が容易に視認できることが好ましい。残り時間部73cは、上記所要時間の残り時間を表している。残り時間部73cは、標示部73bがラベル部74bに向かってリアルタイムで伸長することにより、ラベル部74bに向かってリアルタイムで縮小する。つまり、残り時間部73cは、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでにはどれだけ待つのかということを示す。ラベル部74a,74bは、所要時間表示部73の開始位置と終了位置とを説明するための見出しである。ラベル部74aは、上記ロック解除指示情報の入力操作が行われた開始位置を示している。ラベル部74bは、上記所要時間に達する終了位置を示している。ボタン画像75は、作業員による押下操作可能に表示されている。ボタン画像75は、作業員により押下操作されることで、例えば、上記ロック解除指示情報の入力操作が行われる操作画面に戻る。
【0018】
カバー手段80は、切削装置1を覆うカバーであり、開閉扉81,82を有している。開閉扉81,82には、作業員が開閉操作するための取っ手81a,81bが設けられている。開閉扉81は、切削手段50a,50bからの切削水の飛沫を防ぐカバーである。開閉扉82は、カセットエレベータ10を保護するカバーでもある。
【0019】
開閉扉ロック手段90は、例えば、開閉扉81,82を閉じた状態で当該開閉扉81,82と係合し、この開閉扉81,82が開くことを規制する図示しないカバーロックシリンダと、開閉扉81,82の開閉状態を検出する図示しない開閉検出センサと、を有している。カバーロックシリンダは、制御手段110により制御される。開閉検出センサは、開閉扉81,82の開閉状態を検出した開閉信号を制御手段110に出力する。
【0020】
回転停止検出手段100は、スピンドル52a,52bの回転停止を検出するセンサである。回転停止検出手段100は、スピンドル52a,52bの回転数も検出する。回転停止検出手段100は、スピンドル52a,52bの回転数に対応する回転信号を制御手段110に出力する。
【0021】
制御手段110は、コンピュータ等を有する電子制御装置である。制御手段110は、切削手段50a,50bと、タッチパネル70と、開閉扉ロック手段90と、回転停止検出手段100と、切削装置1のその他の構成要素と、にそれぞれ接続されている。制御手段110は、各部50a,50b,70,90,100およびその他の構成要素をそれぞれ制御する。制御手段110は、種々の回転数に対応する種々の所要時間のデータベースを図示しない記憶手段に記憶しており、このデータベースは、例えば、予め実機において各種加工条件ごとに種々の回転数で回転させたスピンドル52a,52bが停止するまでに必要とする種々の所要時間を実験により取得して作成される。制御手段110は、作業員がタッチパネル70に上記ロック解除指示情報が入力操作された時のスピンドル52a,52bの回転数を取得し、上記データベースを参照し、上記所要時間を算出する。
【0022】
ここで、図4を参照して、実施形態に係る切削装置1において、スピンドル52a,52bの回転中に開閉扉81,82をあける操作が行われた際の動作について説明する。図4は、実施形態に係る切削装置のスピンドルの回転停止をオペレータ等の作業員に認識させる動作を示す概略フローである。
【0023】
まず、切削装置1の制御手段110は、スピンドル52a,52bの回転を停止するか否かを判断する(ステップST1)。ここで、制御手段110は、上記ロック解除指示情報がタッチパネル70に入力されることにより、スピンドル52a,52bの回転を停止すると判断する。また、制御手段110は、タッチパネル70上のスピンドル52a,52bの回転を停止させる画像ボタンが押下されること、緊急停止スイッチ4(図1参照)が操作されることでも、スピンドル52a,52bの回転を停止すると判断する。
【0024】
次に、制御手段110は、スピンドル52a,52bの回転を停止すると判断する(ステップST1肯定)と、スピンドル52a,52bをフリーランさせる(ステップST2)。ここで、制御手段110は、スピンドル52a,52bの回転を停止させるため、スピンドル52a,52bに回転駆動力を付与する図示しないモータへの電力の供給を止め、スピンドルハウジング53a,53bにスピンドル52a,52bを回転自在にエアベアリングで支持し、スピンドル52a,52bが回転抵抗により停止するまでフリーランさせる。
【0025】
次に、制御手段110は、スピンドル52a,52bの回転数を取得する(ステップST3)。ここで、制御手段110は、回転停止検出手段100からスピンドル52a,52bの回転数を取得する。
【0026】
次に、制御手段110は、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでに必要とする所要時間を算出する(ステップST4)。ここで、制御手段110は、図示しない記憶手段に記憶させた上記データベースを参照し、ステップST3において取得した回転数に対応する上記所要時間を算出する。
【0027】
次に、制御手段110は、所要時間を表示する(ステップST5)。ここで、制御手段110は、図3に示すように、ステップST4において算出した所要時間を図形化し、この所要時間を図形化した所要時間表示部73を有する所要時間表示画面71aをタッチパネル70に表示する。
【0028】
次に、制御手段110は、所要時間をリアルタイムで表示する(ステップST6)。ここで、制御手段110は、所要時間表示画面71a上に表示する経過時間部73aと標示部73bと残り時間部73cとにおいて、ステップST4において算出した所要時間に対する経過時間に対応させて経過時間部73aおよび標示部73bをリアルタイムで伸長させる。
【0029】
次に、制御手段110は、スピンドル52a,52bが停止したか否かを判断する(ステップST7)。ここで、制御手段110は、回転停止検出手段100からの回転数信号に基づいて、スピンドル52a,52bの回転が停止したか否かを判断する。
【0030】
次に、制御手段110は、スピンドル52a,52bが停止したと判断する(ステップST7肯定)と、スピンドル52a,52bが停止したことをタッチパネル70に表示する(ステップST8)。ここで、制御手段110は、タッチパネル70の所要時間表示画面71aにおいて、所要時間表示部73の全体を経過時間部73aにすることで、スピンドル52a,52bが停止したことを表示する。
【0031】
次に、制御手段110は、開閉扉81,82のロックを解除する(ステップST9)。ここで、制御手段110は、開閉扉ロック手段90によるロックを解除する。これにより、作業員は、開閉扉81,82および開閉扉ロック手段90に予定しない負荷をかけずに、開閉扉81,82を開閉することができる。
【0032】
以上のように、実施形態に係る切削装置1によれば、タッチパネル70に開閉扉81,82のロック解除指示情報を入力すると、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでに必要とする所要時間がタッチパネル70にリアルタイムで表示されるので、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでには待ち時間があるということ、さらにはスピンドル52a,52bの回転が停止するまでにはどれだけ待つのかということを作業員に認識させることができる。また、開閉扉81,82のロック解除指示情報をタッチパネル70に入力操作した作業員は、タッチパネル70に表示された所要時間を見ることにより、この所要時間が開閉扉81,82のロックが解除されるまでにかかる時間であると認識することができる。これにより、タッチパネル70に所要時間が表示されているあいだは、ロックのかかった開閉扉81,82を無理にあけようとして、開閉扉81,82や開閉扉ロック手段90に予定しない負荷がかかる虞を軽減することができる。
【0033】
また、切削装置1は、所要時間を図形化してタッチパネル70に表示したり、所要時間を秒数でタッチパネル70に表示したりするので、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでの待ち時間、および、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでどれだけ待つのかを、作業員に直感的に認識させることができる。
【0034】
〔実施形態の変形例1〕
ここで、上記実施形態に係る切削装置1におけるタッチパネル70の所要時間表示画面71aについて、その変形例1を説明する。図5は、図3に示すタッチパネルの表示の変形例1を示す図である。この変形例1は、上記実施形態に係る切削装置1におけるタッチパネル70の所要時間表示画面71aの表示形態を変えたものであり、他の構成は上記実施形態と同様である。本変形例1においては、上記実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
図5に示すように、本変形例1に係るタッチパネル70の所要時間表示画面71bは、停止動作表示部72と、所要時間表示部76と、ボタン画像75と、を有している。所要時間表示部76は、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでに必要とする所要時間を図形化して表示する。所要時間表示部76は、本変形例1において、時計を模した円グラフ形式の図形になっている。所要時間表示部76は、経過時間部76aと、残り時間部76bと、を有している。経過時間部76aは、ステップST1において上記ロック解除指示情報の入力操作からの経過時間に対応しており、上記所要時間に対する上記経過時間の割合を表している。経過時間部76aは、矢印a方向にリアルタイムで移動する。つまり、経過時間部76aは、スピンドル52a,52bが停止するまでには待ち時間があるということを示す。残り時間部76bは、上記所要時間の残り時間を表している。残り時間部76bは、経過時間部76aが矢印a方向にリアルタイムで移動することにより、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでにはどれだけ待つのかということを示す。なお、経過時間部76aと残り時間部76bとは、互いに相違する色彩や模様等で表示され、作業員が容易に視認できることが好ましい。
【0036】
このように、本変形例1に係るタッチパネル70の所要時間表示画面71bは、時計を模した図形の所要時間表示部76により所要時間を表示するので、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでには待ち時間があるということ、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでにはどれだけ待つのかということ、を作業員に認識させることができる。これにより、タッチパネル70に表示される所要時間が0(ゼロ)、すなわち、所要時間表示部76の全体が経過時間部76aになるまでは、開閉扉81,82を作業員が無理にあけようとすることを抑制することができる。したがって、開閉扉81,82を無理にあけようとして当該開閉扉81,82や開閉扉ロック手段90に予定しない負荷がかかる虞を軽減することができる。
【0037】
〔実施形態の変形例2〕
ここで、上記実施形態に係る切削装置1におけるタッチパネル70の所要時間表示画面71aについて、その変形例2を説明する。図6は、図3に示すタッチパネルの表示の変形例2を示す図である。この変形例2は、上記実施形態に係る切削装置1におけるタッチパネル70の所要時間表示画面71aの表示形態を変えたものであり、他の構成は上記実施形態と同様である。本変形例2においては、上記実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図6に示すように、本変形例2に係るタッチパネル70の所要時間表示画面71cは、ラベル部77と、所要時間表示部78と、ボタン画像75と、を有している。ラベル部77は、タッチパネル70に所要時間表示画面71cが表示されていることを示す。所要時間表示部78は、スピンドル52a,52bが停止するまでに必要とする所要時間、すなわち、開閉扉ロック手段90による開閉扉81,82のロックが解除されるまでに必要とする時間を表示する。所要時間表示部78は、本変形例2において、所要時間としての秒数をアラビア数字で表示する。また、所要時間表示部78は、所要時間としての秒数をリアルタイムのカウントダウン形式で表示する。
【0039】
このように、本変形例2に係るタッチパネル70の所要時間表示画面71cは、所要時間としての秒数が所要時間表示部78に表示されるので、開閉扉81,82のロックが解除されるまでには待ち時間があるということ、開閉扉81,82のロックが解除されるまでにはどれだけ待つのかということ、を作業員に認識させることができる。これにより、開閉扉81,82を無理にあけようとして当該開閉扉81,82や開閉扉ロック手段90に予定しない負荷がかかる虞を軽減することができる。
【0040】
なお、上記実施形態においては、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでに必要とする所要時間をリアルタイムでタッチパネル70に表示するものを説明したが、上記所要時間をリアルタイムでタッチパネル70に表示しつつ、開閉扉81,82がロックされていること、および、開閉扉81,82のロックが解除されていること、をタッチパネル70に表示してもよい。これにより、切削装置1は、開閉扉81,82にロックがかかっていることを作業員に容易に認識させることができ、開閉扉81,82のロックが解除されたことを作業員に容易に認識させることができる。すなわち、スピンドル52a,52bの回転中は開閉扉81,82にロックがかかっているということを作業員に容易かつ直感的に認識させることができる。したがって、開閉扉81,82を作業員が無理にあけようとすることをより抑制することができ、開閉扉81,82や開閉扉ロック手段90に予定しない負荷がかかる虞をより軽減することができる。
【0041】
また、制御手段110は、回転停止検出手段100から出力されるスピンドル52a,52bの回転数をリアルタイムで取得し、ステップST6においてリアルタイムで表示する所要時間を補正してもよい。これにより、タッチパネル70に表示される所要時間が0(ゼロ)になるタイミングと、スピンドル52a,52bの回転が停止するタイミングとを同期させることができる。したがって、スピンドル52a,52bの回転が停止する前に、タッチパネル70に表示される所要時間が0(ゼロ)になることを防止することができる。
【0042】
また、タッチパネル70に所要時間を示す所要時間表示部73,76,78として、棒グラフ形式、円グラフ形式、カウントダウン形式について説明したが、これらに限定されず、例えば、歩行者信号機のように残り時間が視覚的に表示される形式、ソフトウェアのインストール時などに表示される進行状況を示すプログレスバー形式、カウントダウン形式のタイマーなどでもよい。すなわち、タッチパネル70に表示される所要時間は、作業員が直感的に認識することができるものであればよい。
【0043】
また、撮像手段40等により撮像した切削ブレード51a,51bの画像をリアルタイムでタッチパネル70に表示してもよい。これにより、切削ブレード51a,51b、すなわちスピンドル52a,52bが回転中であるか否かを直感的に作業員が認識することができる。
【0044】
また、タッチパネル70は、所要時間表示画面71a,71b,71cにおいて、その最上部の一部で画面表示や作業員による指示情報の入力操作に支障のない領域に、スピンドル52a,52bの回転数をリアルタイムで表示してもよい。これにより、スピンドル52a,52bの回転数を作業員が認識することができる。
【0045】
また、ステップST2においてスピンドル52a,52bをフリーランさせているが、切削ブレード51a,51b等をスピンドル52a,52bに固定する固定ナットが緩まない程度の制動をかけてもよい。これにより、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでに必要とする所要時間を短縮することができる。
【0046】
また、制御手段110は、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでに必要とする所要時間のデータベースに代えて、フリーラン時におけるスピンドル52a,52bの回転抵抗値に基づいて所要時間を算出してもよく、また、フリーラン時や制動時におけるスピンドル52a,52bの減速度に基づいて所要時間を算出してもよい。これにより、データベースにはない加工条件や回転数であっても、スピンドル52a,52bの回転が停止するまでに必要とする所要時間を算出することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、二つの切削手段50a,50bを対向配置させたフェイシングデュアルタイプの切削装置1について説明したが、二つの切削手段を平行に並べたパラレルデュアルタイプの切削装置、一つの切削手段を有する切削装置、あるいは、ロック可能な開閉扉が一枚のタイプの切削装置などであってもよい。すなわち、ロック可能な開閉扉とタッチパネル70とを有する切削装置であればよい。これらの切削装置において、タッチパネル70に所要時間を表示することにより、ロックのかかった開閉扉を作業員が無理にあけようとする虞を抑制することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 切削装置
50a,50b 切削手段
51a,51b 切削ブレード
52a,52b スピンドル
70 タッチパネル
80 カバー手段
81,82 開閉扉
90 開閉扉ロック手段
100 回転停止検出手段
110 制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6