(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るプローブ装置100の全体構成を模式的に示す図であり、
図2はプローブ装置100の要部構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、プローブ装置100は、測定部110と、搬送ユニットであるローダー部150とからその主要部が構成されている。測定部110には、x−y−z-θ方向に移動可能とされ、半導体ウエハWが載置される載置台111が設けられており、載置台111を駆動機構112により駆動することによって、プローブカードに配設されたプローブ210(
図2参照。)と、半導体ウエハWに複数形成された半導体デバイスの電極とを接触させて、半導体デバイスの電気的特性を測定するよう構成されている。
【0013】
ローダー部150には、その前方側(
図1中下側)に、半導体ウエハWを収容するウエハキャリア(ウエハカセット又はフープ)151が載置されるロードポート152が配設されており、このロードポート152に隣接してウエハ搬送機構160が配設されている。また、ローダー部150の後方側(
図1中上側)には、位置合わせ機構170が配設されている。位置合わせ機構170は、半導体ウエハWを回転させてノッチの位置と半導体ウエハWの偏芯の状態を検出するよう構成されている。
【0014】
ウエハ搬送機構160は、半導体ウエハWを真空吸着して搬送するためのウエハ搬送アーム161を具備している。このウエハ搬送アーム161には、半導体ウエハWを真空吸着するための吸着部(吸着パッド)162が複数(本実施形態では2つ)配設されている。これらの吸着部162には、真空ポンプ等の吸引源に接続された真空ライン(
図1には図示せず。)が接続されている。なお、ウエハ搬送アーム161は、必要に応じて例えば上下に重ねて複数配設される。
【0015】
ウエハ搬送機構160は、ウエハ搬送アーム161を進退及び旋回させることによって、ロードポート152に載置されたウエハキャリア151と、位置合わせ機構170と、測定部110の載置台111との間で半導体ウエハWを搬送する。
【0016】
ロードポート152は、上下動機構によって上下動自在とされており、ロードポート152とウエハ搬送機構160との間には、支持フレーム153が配設されている。この支持フレーム153には図示しない光学検出器が配設されている。そして、ロードポート152に載置されたウエハキャリア151を上下動させながら、この光学検出器で半導体ウエハWの有無を検出することにより、ウエハキャリア151内のどのスロットに半導体ウエハWが配置されているかを検出できるようになっている。
【0017】
図2に示すように、載置台111は、温度調節機構113を具備しており、温度調節機構113の上部には、載置部114が配設されている。温度調節機構113は、載置台111上に載置された半導体ウエハWを所定温度範囲、例えば、300℃以上の範囲(本実施形態では−60℃〜+400℃の範囲)で温度制御できるようになっている。
【0018】
載置部114は、上側から順に、第1の電極板115、絶縁板116、第2の電極板117が積層され、第1の電極板115と第2の電極板117との間に、絶縁板116が介在する3層構造を有している。なお、載置部114は、上記のような3層構造に限らず、さらに多層である4層構造、5層構造等であってもよい。
【0019】
本実施形態において、第1の電極板115は、フォース電極であり、同軸ケーブル201を介して測定器200のフォース端子に接続されている。また、第2の電極板117は、ガード電極であり、同軸ケーブル201の外側導体を介して測定器200のガード端子に接続されている。半導体ウエハWに形成された半導体デバイスの電極に接触されるプローブ210は、同軸ケーブル211を介して測定器200のフォース端子に接続されており、同軸ケーブル211の外側導体は測定器200のガード端子に接続されている。なお、
図2には、プローブ210を1本のみ示してあるが、複数本のプローブ210を使用することができる。
【0020】
第2の電極板(ガード電極)117は、測定器200から第1の電極板115(フォース電極)と同電位に低インピーダンスで駆動され、第1の電極板115(フォース電極)から絶縁板116を経由して流れる漏洩電流を減少させると共に、第2の電極板(ガード電極)117の下側から侵入する電気的なノイズを遮蔽する役割を持っている。これによって、半導体ウエハWに形成された半導体デバイスの微小電流、微小電圧をより正確に測定することのできる構成となっている。
【0021】
第1の電極板115及び第2の電極板117を構成する材料としては、導電性の金属、例えば、銅、鉄、ニッケル、銀、金、アルミニウム、ステンレス等を用いることができる。また、絶縁板116を構成する材料としては、絶縁性材料、例えば、アルミナセラミック、窒化ホウ素、石英、テフロン(登録商標)等を用いることができる。
【0022】
第2の電極板(ガード電極)117及び絶縁板116は、
図3に示すように、円板状の形状を有し、その中心部に円形の貫通孔である円孔120が形成されている。また、円孔120の周囲には、径方向に延びる長穴(貫通孔)121が複数(本実施形態では6つ)形成されている。長穴121は、最低1つ配設されていればよく、複数配設する場合は、
図3に示すように、周方向に等しい間隔(
図3では60°間隔)を設けて配設することが好ましい。
【0023】
図4は、円孔120の部分の面構成を示しており、
図4(a)は、絶縁板116及び第2の電極板117の部分における水平断面構成を示し、
図4(b)は、垂直断面構成を示している。また、
図5は、長穴121の部分の断面構成を示しており、
図5(a)は、絶縁板116及び第2の電極板117の部分における水平断面構成を示し、
図5(b)は、垂直断面構成を示している。これらの
図4、
図5に示すように、第1の電極板115には、円孔120及び長穴121に対応する部分に、非貫通孔であり、内周面にねじが形成されたねじ穴122が形成されている。
【0024】
図4に示すように、中心部に配設された円孔120の部分には、カラー130が配設されている。カラー130は、絶縁性材料、例えば、アルミナセラミック、マイカ系セラミック(マイカレックス等)等からなり、一方の端部にフランジ部131が形成された円筒状に形成されており、中心軸に沿って雄ねじ140を挿入するための貫通孔132が配設されている。
【0025】
そして、第1の電極板115と、絶縁板116と、第2の電極板117とを重ねた状態で、第2の電極板117側から円孔120にカラー130を挿入し、座金133を介してカラー130の貫通孔132に雄ねじ140を挿入して、雄ねじ140をねじ穴122に螺合させた構成となっている。
【0026】
この場合カラー130は、フランジ部131を除いた長さ(
図4に示すL1)が、絶縁板116の厚さと第2の電極板117の厚さとを加えた長さ(
図4に示すL2)より短く設定されている。これによって雄ねじ140を締め付けた際に、フランジ部131によって第2の電極板117が押圧された状態となり、第1の電極板115と、絶縁板116と、第2の電極板117の中心部が固定された状態となる。なお、円孔120の内径は、例えば1mm〜20mm程度(本実施形態では6mm)とすることが好ましい。また、カラー130の外径(フランジ部131以外の部分の外径)は、同様に例えば1mm〜20mm程度(本実施形態では6mm)とすることが好ましい。
【0027】
図5に示すように、周辺部に配設された長穴121の部分には、カラー135が配設されている。カラー135は、絶縁性材料、例えば、アルミナセラミック、マイカ系セラミック(マイカレックス等)等からなり、一方の端部にフランジ部136が形成された円筒状に形成されており、中心軸に沿って雄ねじ140を挿入するための貫通孔137が配設されている。
【0028】
そして、第1の電極板115と、絶縁板116と、第2の電極板117とを重ねた状態で、第2の電極板117側から長穴121にカラー135を挿入し、座金133を介してカラー135の貫通孔137に雄ねじ140を挿入して、雄ねじ140をねじ穴122に螺合させた構成となっている。
【0029】
この場合カラー135は、フランジ部136を除いた長さ(
図5に示すL3)が、絶縁板116の厚さと第2の電極板117の厚さとを加えた長さ(
図5に示すL4)より長く設定されている。これによって雄ねじ140を締め付けた際に、第2の電極板117の下側面と、フランジ部136の上側面との間に間隙dが形成された状態となり。第1の電極板115に、絶縁板116と、第2の電極板117とが完全に固定された状態とはならず、径方向に移動可能に係止された状態となっている。
【0030】
この状態では、長穴121に沿って径方向に、第1の電極板115、絶縁板116、第2の電極板117が夫々移動可能となっており、かつ、周方向には移動が制限された状態となっている。したがって、第1の電極板115、絶縁板116、第2の電極板117が熱膨張率の違いにより、径方向に異なる長さ伸縮した際に、第1の電極板115、絶縁板116、第2の電極板117が夫々移動することによってこれらの部材に伸縮に伴う応力がかからないようになっている。
【0031】
なお、長穴121のサイズは、縦が例えば1mm〜20mm程度(本実施形態では10mm)、横が例えば1mm〜20mm程度(本実施形態では6mm)とすることが好ましい。また、カラー135の外径(フランジ部131以外の部分の外径)は、同様に例えば1mm〜20mm程度(本実施形態では6mm)とすることが好ましい。
【0032】
また、第2の電極板117の下側面とフランジ部136の上側面との間に間隙dは、例えば0.01mm〜0.5mm程度となるように設定することが好ましい。これによって、第1の電極板115、絶縁板116、第2の電極板117が厚さ方向において押圧された状態とならず、夫々径方向に移動可能とすることができる。
【0033】
上記構成のプローブ装置では、載置台111の載置部114が、第1の電極板115と、絶縁板116と、第2の電極板117とが積層された3層構造を有しているが、これらの3枚の板体が、中心部において固定され、径方向外側部分では、径方向に移動可能に係止されている。
【0034】
したがって、温度調節機構113によって広い温度範囲(本実施形態では−60℃〜+400℃の範囲)で温度制御した場合も、第1の電極板115と、絶縁板116と、第2の電極板117とが夫々相対的に移動することによって、熱膨張率の差による伸縮長さの相違に起因する応力を抑制することができる。
【0035】
これによって、載置部114に反りが発生して、プローブ210を正確に半導体ウエハWに形成された半導体デバイスの電極に接触させることができなくなる事態が発生することを防止でき、正確に半導体デバイスの検査を実施することができる。また、第1の電極板115、絶縁板116、第2の電極板117を固着した場合に発生するこれらの部材の剥がれ、応力による破損等が生じることも防止することができる。
【0036】
次に、上記構成のプローブ装置100による半導体ウエハWの検査手順について説明する。ローダー部150のロードポート152に半導体ウエハWを収容したウエハキャリア151が載置されると、まず、上下動機構によってウエハキャリア151上下動させ、光学検出器によって半導体ウエハWがどのスロットに収容されているかを検出する。
【0037】
次に、半導体ウエハWをウエハ搬送機構160のウエハ搬送アーム161に吸着して、位置合わせ機構170に搬送する。そして、位置合わせ機構170によって半導体ウエハWのノッチを検出して半導体ウエハWの位置を検知する。
【0038】
次に、位置合わせ機構170による位置検出の終了した半導体ウエハWを、ウエハ搬送機構160のウエハ搬送アーム161によって、位置合わせ機構170から取り出し、測定部110の載置台111上に半導体ウエハWを載置する。
【0039】
そして、
図2に示したように、載置台111上の半導体ウエハWの半導体デバイスにプローブ210を当接させて電気的な導通を得、測定器200からテスト信号を供給するとともに、半導体デバイスからの出力信号を測定することによって、半導体デバイスの電気的な特性の検査を行う。
【0040】
半導体ウエハWの半導体デバイスの電気的な状態の検査が終了すると、載置台111上の半導体ウエハWを、ウエハ搬送機構160のウエハ搬送アーム161によって取り出し、ウエハキャリア151に収容する。
【0041】
以上本発明を実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能であることは勿論である。