(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
2009年にIEEE802.3avにおいて10G−EPON(10 Gigabit Ethernet Passive Optical Network:Ethernetは登録商標)の標準化が完了した。10G−EPONの特徴は、既に広く普及しているGE−PON(Gigabit Ethernet Passive Optical Network:非特許文献1参照)の10倍の高速伝送が可能なことである。さらに、既存のGE−PONと10G−EPONを混在させて利用できるという特徴がある。
【0003】
GE−PONと10G−EPONを混在させて利用する場合は、1G下り信号と10G下り信号で異なる波長を使用するWDM(Wavelength Division Multiplexing)技術を用い、1G下り信号間と10G下り信号間のそれぞれにおいてTDM(Time Division Multiplexing )技術を用いる。上り信号においては、1G上り信号と10G上り信号で同一の波長を使用し、1G上り信号と10G上り信号をまとめてTDMA(Time Division Multiple Access)技術を用いる。すなわち、1G下り信号、10G下り信号、および、上り信号で異なる3種類の波長を用いる。
【0004】
図9に従来のGE−PONシステムの構成の概要を示す。同図において、1はOLT(局側装置)、2は光スプリッタ、3はONU(加入者側装置)であり、OLT1は光スプリッタ2を介して接続された複数のONU3と上位装置(図示せず)との間でフレームを転送処理する。
【0005】
GE−PON用のOLT1は光トランシーバ11とPON制御回路12とを内蔵している。OLT1において、光トランシーバ11は、光トランシーバ11に接続されたONU3への下りフレームの電気光変換とONU3からの上りフレームの光電気変換を行う。
【0006】
OLT1において、1個の光トランシーバ11に接続可能なONU3の台数は最大で32台とIEEE規格で規定されている。そのため、ONU3を収容する局として、33台以上のONU3を接続する必要がある場合は、
図10に示すように、OLT1とONU3との間に複数の光スプリッタ2を設け、複数の光トランシーバ11と、複数のPON制御回路12とを使用する構成が一般的な構成となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の説明では、本発明の権利範囲に含まれないものも実施の形態として記載されているが、ここでは全て実施の形態として説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係る光伝送システムにおける局側装置(OLT)の第1の実施の形態(実施の形態1)を用いたPONシステムの構成例である。
【0018】
このPONシステムにおいて、OLT1(1A)は、N(N≧2:Nは2以上の整数)個の光トランシーバ11(11−1〜11−N)と、1個のPON制御回路12と、1つの選択・分配回路13とで構成されている。
【0019】
OLT1Aにおいて、1つの光トランシーバ11は、光伝送路を介して1つの光スプリッタ2に接続されており、1つの光スプリッタ2には光伝送路を介して最大で32台のONU3が共通接続されている。すなわち、光トランシーバ11−1〜11−Nが光伝送路を介して光スプリッタ2−1〜2−Nにそれぞれ接続されており、光スプリッタ2−1〜2−Nのそれぞれに光伝送路を介して最大で32台、トータルでN×32台のONU3が接続されている。
【0020】
このPONシステムの
図10に示した従来のPONシステムとの構成上の違いは、PON制御回路12が1個とされ、この1個のPON制御回路12とN個の光トランシーバ11−1〜11−Nとの間に1つの選択・分配回路13が設けられていることである。
【0021】
図2にOLT1A内の選択・分配回路13の構成例を示す。この選択・分配回路13(13A)は、アンド回路AND1〜ANDNと、N入力オア回路OR1と、バッファ回路BF1とから構成されている。
【0022】
この選択・分配回路13Aにおいて、アンド回路AND1〜ANDNは、光トランシーバ11−1〜11−Nの上りフレーム出力(図中ではRXと記載)と、光トランシーバ11−1〜11−NのLOS(Loss of Signal)出力の反転値とを入力とする。なお、LOS出力は、光トランシーバ11に光信号が入力されているか否かを示す信号であり、光信号が入力されていない場合は「1」となり、光信号が入力されている場合は「0」となる。
【0023】
この選択・分配回路13Aにおいて、アンド回路AND1〜ANDNは、光トランシーバ11−1〜11−Nの上りフレーム出力とLOS出力の反転値との論理積を演算し、その演算結果(論理積値)をN入力OR回路OR1に送る。N入力OR回路OR1は、アンド回路AND1〜ANDNからのN個の論理積値の論理和を演算し、その演算結果(論理和値)を上りフレームデータとしてPON制御回路12に対して出力する。
【0024】
LOS出力は、上述した様に、光トランシーバ11に光信号が入力されていない場合には「1」となり、光信号が入力されている場合には「0」となる信号であり、上記の演算を行うことにより、複数の光トランシーバ11のLOS出力が同時に0にならない場合は、すなわち1つの光トランシーバ11のLOS出力だけ0となる場合は、LOS出力として0を出力している光トランシーバ11の上りフレーム出力がPON制御回路12に対して出力される。
【0025】
複数の光トランシーバ11のLOS出力が同時に0にならない様にすることは、PON制御回路12が複数のONU3に対して同時に発光(上りフレーム送信)しないように制御することにより実現できる。
【0026】
従来のPONシステムにおいても、同じ光スプリッタに接続されている複数のONUが同時に発光(上りフレーム送信)しないように、上り帯域割当(grant割当)を行っている。
【0027】
本実施の形態のOLT1Aでも、PON制御回路12において、光スプリッタ2−1〜2−Nに接続されているすべてのONU3に対して、複数のONU3が同時に発光(上りフレーム送信)しないように、すなわち1台のONU3だけが発光(上りフレーム送信)するように、上り帯域割当(grant割当)を行うことにより、複数の光トランシーバ11のLOS出力が同時に0にならない様にする。
【0028】
なお、新しいONUの接続の要求等に使用される制御用フレームである登録要求(Register Request)フレームについては、IEEE規格で、複数のONUが同時に発光(上りフレーム送信)することを許容しているため、登録要求(Register Request)フレームの送信が許可されている期間(Discovery Window)については、複数の光トランシーバ11のLOS出力が同時に0になる可能性が有り、同時に0になった場合にはPON制御回路12で登録要求(Register Request)フレームを正常に受信できないことがある。
【0029】
しかし、登録要求(Register Request)フレームの送信が許可されている期間(Discovery Window)については、従来のPONシステムでも、同じ光スプリッタに接続されている複数のONUが同時に登録要求(Register Request)フレームを送信する可能性があり、そのような場合、OLTは正常受信できない登録要求(Register Request)フレームを無視(破棄)して良いという仕様となっている。本実施の形態のOLT1Aにおいても、PON制御回路12において正常受信できない登録要求(Register Request)フレームを無視(破棄)して良いという仕様とする。
【0030】
一方、この選択・分配回路13Aにおいて、PON制御回路12の下りフレーム出力(図中ではTXと記載)は、バッファ回路BF1を介して、すべての光トランシーバ11−1〜11−Nに対して出力(分配)される。
【0031】
OLT1AにおけるPON制御回路12は、上述した様に、光スプリッタ2−1〜2−Nに接続されているすべてのONU3に対して、複数のONU3が同時に発光(上りフレーム送信)しないように、上り帯域割当(grant割当)を行う他、従来のPONシステムのPON制御回路と同様にフレーム転送等を行う。
【0032】
光トランシーバ11として従来のPONシステムと同様のものを用いた場合、本実施の形態のOLT1Aは、最大で「N×32」台のONU3との通信が可能となる。例えば、N=4の場合は最大128台、N=16の場合は最大512台のONU3との通信が可能となる。
【0033】
図3は選択・分配回路13Aの上り(RX)の別の構成例である。この選択・分配回路13A’では、
図2の上り(RX)と同様な論理をセレクタ(Sel)#1〜#7とAND回路♭1〜♭4とを用いて構成している。
【0034】
図3の構成では、すべての光トランシーバ11のLOS出力が1の場合、各セレクタ(Sel)#1〜#7は「1」側の入力を選択して出力する。このため、光トランシーバ11−5の出力がセレクタ(Sel)#3,#6,#7を通過し、PON制御回路12に対して出力される。
【0035】
光トランシーバ11−5のLOS出力のみが0の場合も光トランシーバ11−5の出力がPON制御回路12に対して出力される。光トランシーバ11−4のLOS出力のみが0の場合は、セレクタ(Sel)#2、セレクタ(Sel)#5、及び、セレクタ(Sel)#7が「0」側の入力を選択して出力するので、光トランシーバ11−4の出力がセレクタ(Sel)#2,#5,#7を通過し、PON制御回路12に対して出力される。
【0036】
その他の光トランシーバ(11−1〜11−3、もしくは、11−6〜11−8)の中で1個の光トランシーバのLOS出力のみが0になった場合も、一部のセレクタ(Sel)が「0」側の入力を選択して出力することにより、LOS出力が0となっている光トランシーバの出力がPON制御回路12に対して出力される。
【0037】
図1に示したOLT1の構成を10G−EPONシステムに適用する場合は、以下の点を考慮する必要が有る。
(1)10G−EPON用の光トランシーバが、上りフレーム出力として、10Gbit/sの出力と1Gbit/sの出力の2つの出力を持っている場合が有る。
(2)10G−EPON用のONUとGE−PON用のONUの両方を同じOLTに接続する場合、PON制御回路は下りフレーム出力として、10Gbit/sの出力と1Gbit/sの出力の2つの出力を持ち、両方の出力をすべての光トランシーバに対して出力(分配)する必要がある。
【0038】
図4に、
図2に示したOLT1Aの構成を10G−EPONシステムに適用した場合のOLT1の構成の第1例をOLT1Bとして示す。
【0039】
この例において、光トランシーバ11−1〜11−Nは、上りフレームの出力ポートとして、10Gbit/s用の出力ポートと、1Gbit/s用の出力ポートとを備え、下りフレームの入力ポートとして、10Gbit/s用の入力ポートと、1Gbit/s用の入力ポートとを備えているものとする。
【0040】
また、この例において、PON制御回路12は、上りフレーム入力が10Gbit/sと1Gbit/sの両方の入力に対応可能な構成とされており、下りフレームの出力ポートとして、10Gbit/s用の出力ポートと、1Gbit/s用の出力ポートとを備えているものとする。
【0041】
また、PON制御回路12は、上り帯域割当時に10Gbit/sでのフレーム送信を許可するのか、1Gbit/sでのフレーム送信を許可するのかを認識しており、その情報を10G_1G選択信号として選択・分配回路13(13B)に出力する構成となっているものとする。
【0042】
このOLT1Bにおいて、選択・分配回路13(13B)は、セレクタSL1〜SLNと、アンド回路AND1〜ANDNと、N入力OR回路OR1と、バッファ回路BF1,BF2とから構成されている。
【0043】
この選択・分配回路13Bにおいて、セレクタSL1〜SLNは、PON制御回路12からの10G_1G選択信号を受けて、光トランシーバ11−1〜11−Nの上りフレーム出力として、その光トランシーバ11−1〜11−Nの10Gbit/s用の出力ポートおよび1Gbit/s用の出力ポートの何れか一方の出力ポートからの上りフレームを選択し、アンド回路AND1〜ANDNへ送る。
【0044】
また、選択・分配回路13Bにおいて、PON制御回路12の10Gbit/s用の出力ポートからの下りフレーム(10Gbit/sの下りフレーム出力)は、バッファBF1を介して、すべての光トランシーバ11−1〜11−Nの10Gbit/s用の入力ポートに対して出力(分配)される。
【0045】
また、PON制御回路12の1Gbit/s用の出力ポートからの下りフレーム(1Gbit/sの下りフレーム出力)は、バッファBF2を介して、すべての光トランシーバ11−1〜11−Nの1Gbit/s用の入力ポートに対して出力(分配)される。
【0046】
図5に、
図2に示したOLT1Aの構成を10G−EPONシステムに適用した場合のOLT1の構成の第2例をOLT1Cとして示す。
【0047】
この例において、光トランシーバ11−1〜11−Nは、上りフレームの出力ポートとして、10Gbit/s用の出力ポートと、1Gbit/s用の出力ポートとを備え、下りフレームの入力ポートとして、10Gbit/s用の入力ポートと、1Gbit/s用の入力ポートとを備えているものとする。
【0048】
また、この例において、PON制御回路12は、上りフレームの入力ポートとして、10Gbit/s用の入力ポートと、1Gbit/s用の入力ポートとを備え、下りフレームの出力ポートとして、10Gbit/s用の出力ポートと、1Gbit/s用の出力ポートとを備えているものとする。
【0049】
このOLT1Cにおいて、選択・分配回路13(13C)は、RX_10G用選択回路131と、RX_1G用選択回路132と、バッファ回路BF1,BF2とから構成されている。なお、RX_10G用選択回路131とバッファ回路BF1とで本発明でいう第1の選択・分配回路が構成され、RX_1G用選択回路132とバッファ回路BF2とで本発明でいう第2の選択・分配回路が構成されている。
【0050】
この選択・分配回路13Cにおいて、RX_10G用選択回路131は、
図2の上り(RX)、もしくは、
図3と同様な構成とされ、光トランシーバ11−1〜11−Nの10Gbit/s用の出力ポートからの上りフレーム出力(10Gbit/sの上りフレーム出力)から1つの光トランシーバ11の上りフレーム出力を選択して、PON制御回路12の10Gbit/s用の入力ポートへ送る。
【0051】
また、RX_1G用選択回路132は、
図2の上り(RX)、もしくは、
図3と同様な構成とされ、光トランシーバ11−1〜11−Nの1Gbit/s用の出力ポートからの上りフレーム出力(1Gbit/sの上りフレーム出力)から1つの光トランシーバ11の上りフレーム出力を選択して、PON制御回路12の1Gbit/s用の入力ポートへ送る。
【0052】
また、この選択・分配回路13Cにおいて、PON制御回路12の10Gbit/s用の出力ポートからの下りフレーム(10Gbit/sの下りフレーム出力)は、バッファBF1を介して、すべての光トランシーバ11−1〜11−Nの10Gbit/s用の入力ポートに対して出力(分配)される。
【0053】
また、PON制御回路12の1Gbit/s用の出力ポートからの下りフレーム(1Gbit/sの下りフレーム出力)は、バッファBF2を介して、すべての光トランシーバ11−1〜11−Nの1Gbit/s用の入力ポートに対して出力(分配)される。
【0054】
ここで、上述した実施の形態1のOLT1(OLT1A,1B,1C)を用いたPONシステムのONU1台あたりのシステムコストを従来のPONシステムと比較する。
【0055】
図10の構成でN個のPON制御回路12を使用するOLT1の構成と比較すると、本実施の形態のOLT1(OLT1A,1B,1C)の構成の方が、選択・分配回路13が追加されてはいるが、PON制御回路12の数は少ない。
【0056】
選択・分配回路13のコスト(必要な部品の価格、部品数の増加に伴うボード面積の増加に伴うボード価格の増加分等)をPON制御回路12のコストと比較した場合、選択・分配回路13のコストの方がPON制御回路12のコストよりも小さくなる。特に、
図3の構成を用いた場合には、低価格で小さい部品を使用することができるため、よりコストを小さくすることができる。
【0057】
また、10G−EPONシステムの場合は、PON制御回路12の価格がGE−PON用のPON制御回路12より大きくなることが想定されるので、選択・分配回路13のコスト上の優位性がより大きくなる。
【0058】
これにより、本実施の形態のOLT1(OLT1A,1B,1C)のような構成とすることにより、ONU1台あたりのシステムコストを従来のPONシステムよりも小さくすることが可能となる。
【0059】
〔実施の形態2〕
次に、
図6を参照して、実施の形態2のOLTについて説明する。
図6は、実施の形態2のOLT1(1D)における選択・分配回路13Dの上り(RX)の構成例を示す図である。
【0060】
図3の構成との差分は、光トランシーバ11のLOS出力ではなく、PON制御回路12からの上り帯域割当情報出力を用いてセレクタ(Sel)を制御している点である。このため、選択・分配回路13Dには、セレクタ(Sel)#1〜#7の動作を制御するセレクタ制御回路133を設けている。
【0061】
PON制御回路12はONU3毎に上り帯域割当(フレーム送信許可)を行うので、ONU3がどの光トランシーバ11に接続されているのかが分かれば、フレーム送信を許可したONU3からの信号をPON制御回路12に対して出力するように、セレクタ(Sel)#1〜#7の動作を制御することができる。
【0062】
例えば、ONU3を設置する際に、ONU3の個別ID(MACアドレス、もしくは、その他のシリアル番号等)と接続する光トランシーバ11との対応をセレクタ制御回路133に対して設定することができる。
【0063】
ONU3がどの光トランシーバ11に接続されているのかを設定する別の方法として、以下のような方法もある。
(1)登録要求(Register Request)フレームの送信を許可する期間(Discovery Window)において、特定の1個の光トランシーバ11からの入力のみをPON制御回路12に対して出力するようにセレクタ(Sel)#1〜#7を設定する。
(2)上記の設定の期間に登録要求(Register Request)フレームを送信したONU3のMACアドレスを上記の特定の光トランシーバ11のIDに対応させる。
(3)登録要求(Register Request)フレームの送信を許可する期間(Discovery Window)におけるセレクタ(Sel)#1〜#7の設定を周期的に変えることにより、すべての光トランシーバ11に接続されるONU3からの登録要求(Register Request)フレームの受信と、各ONU3のMACアドレスを接続している光トランシーバ11のIDに対応させることが可能となる。
【0064】
選択・分配回路13Dにおいて、セレクタ制御回路133は、ONU3と光トランシーバ11との接続関係の設定に従い、PON制御回路12からの上り帯域割当情報に基づいて、セレクタ(Sel)#1〜#7の動作を制御し、光トランシーバ11−1〜11−8の上りフレーム出力から1つの光トランシーバ11の上りフレーム出力を選択し、PON制御回路12へ送る。
【0065】
この実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、光トランシーバ11として従来のPONシステムと同様のものを用いた場合、最大で「N×32」台のONU3との通信が可能となる。例えば、N=4の場合は最大128台、N=16の場合は最大512台のONUとの通信が可能となる。
【0066】
また、この実施の形態2の構成を10G−EPONシステムに適用することも可能である。ONU1台あたりのシステムコストについても、実施の形態2の構成は、実施の形態1の構成と同等であり、従来の構成よりコストが小さくなる。
【0067】
〔実施の形態3〕
次に、
図7及び
図8を参照して、実施の形態3のOLTについて説明する。
図7は、実施の形態3のOLT1(1E)を用いたPONシステムの構成例である。
図1の構成との差分は、PON制御回路12が2個、選択・分配回路13に接続されている点である。この例では、PON制御回路12Aが運用用のPON制御回路(第1のPON制御回路)として、PON制御回路12Bが予備用のPON制御回路(第2のPON制御回路)12Bとして設けられている。
【0068】
図8は、OLT1E内の選択・分配回路13(13E)の構成例を示す図である。
図2の構成との差分は、N入力OR回路OR1の出力(上りフレーム出力)を2個のPON制御回路12A,12Bに対して出力している点と、2個のPON制御回路12A,12Bの下りフレーム出力の何れか一方を光トランシーバ11−1〜11−Nへの下りフレームとして選択するセレクタ(Sel)134と、PON制御回路12A,12Bからの通知を受けてセレクタ134の動作を制御するセレクタ制御回路135とを内蔵する点である。
【0069】
本実施の形態のOLT1Eは、2個のPON制御回路12A,12Bを搭載しており、片方を予備用としている。この例では、PON制御回路12Bを予備用としている。PON制御回路12Aは、運用状態であることをセレクタ制御回路135に通知し、予備用のPON制御回路12Bは、予備状態であることをセレクタ制御回路135に通知する。
【0070】
セレクタ制御回路135は、運用状態であるPON制御回路12Aの下りフレーム出力を選択するように、セレクタ134の動作を制御する。これにより、セレクタ134で選択されたPON制御回路12Aの下りフレーム出力が光トランシーバ11−1〜11−Nへ送られる。
【0071】
この状態で、PON制御回路12Aに不具合が発生した場合、PON制御回路12Aはセレクタ制御回路135へ不具合が発生したことを通知するとともに、PON制御回路12Bに対して予備状態から運用状態への変更を指示する。PON制御回路12Bは、PON制御回路12Aからの運用状態への変更の指示を受けて、セレクタ制御回路135へ予備状態から運用状態に変更されたことを通知する。
【0072】
セレクタ制御回路135は、PON制御回路12Bが運用状態に変化したことを確認した後、運用状態に変更されたPON制御回路12Bの下りフレーム出力を選択するように、セレクタ134の動作を制御する。これにより、セレクタ134で選択されたPON制御回路12Bの下りフレーム出力が光トランシーバ11−1〜11−Nへ送られる。
【0073】
このようにして、本実施の形態のOLT1Eでは、運用中のPON制御回路12Aから予備用のPON制御回路12Bに切り替えられるので、PON制御回路12Bで運用中に、PON制御回路12Aを搭載したボードの交換を行うことができるようにシステムを構成しておくことにより、PON制御回路12Aの故障等により通信が停止する期間を極力小さくすることができる。
【0074】
また、本実施の形態のOLT1Eは、その基本構成が実施の形態1のOLT1Aと同じとされているので、実施の形態1のOLT1Aと同様の効果を有している。
【0075】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施の形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
例えば、GE−PON、10G−EPON以外のPONシステムに適用することも可能である。