特許第6013320号(P6013320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6013320-親水性修飾ポリロタキサン組成物 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013320
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】親水性修飾ポリロタキサン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/16 20060101AFI20161011BHJP
   C08G 65/06 20060101ALI20161011BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20161011BHJP
   C08L 5/16 20060101ALI20161011BHJP
   C08K 5/1545 20060101ALI20161011BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   C08B37/16
   C08G65/06
   C08L71/02
   C08L5/16
   C08K5/1545
   C08K5/13
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-504519(P2013-504519)
(86)(22)【出願日】2011年12月5日
(86)【国際出願番号】JP2011078026
(87)【国際公開番号】WO2012124220
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2014年11月10日
(31)【優先権主張番号】特願2011-55503(P2011-55503)
(32)【優先日】2011年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-55504(P2011-55504)
(32)【優先日】2011年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-239400(P2011-239400)
(32)【優先日】2011年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505136963
【氏名又は名称】アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智朗
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】濱本 茂生
(72)【発明者】
【氏名】趙 長明
(72)【発明者】
【氏名】岩田 実
(72)【発明者】
【氏名】林 佑樹
【審査官】 井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−063412(JP,A)
【文献】 特開2007−092024(JP,A)
【文献】 再公表特許第2009/145073(JP,A1)
【文献】 再公表特許第2008/108411(JP,A1)
【文献】 SOFT MATTER,2007年,VOL.3,NO.12,PP.1456-1473
【文献】 JOURNAL OF APPLIED POLYMER SCIENCE,2007年,VOL.105,NO.4,PP.2265-2270
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 37/
C08G 65/
C08K 5/
C08L 71/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロデキストリンと、前記シクロデキストリンに串刺し状に包接されるポリエチレングリコールと、前記ポリエチレングリコールの両末端に配置され前記シクロデキストリンの脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンのシクロデキストリンに由来する水酸基の全部または一部が親水性の修飾基で修飾された親水性修飾ポリロタキサン、
並びに、ポリフェノール系酸化防止剤を含有し、
前記ポリフェノール系酸化防止剤は、ロズマリン酸であり、
前記ポリフェノール系酸化防止剤の含有量が、前記親水性修飾ポリロタキサンに対して0.001〜1重量%である
ことを特徴とする乾燥した固体状の親水性修飾ポリロタキサン組成物。
【請求項2】
ポリエチレングリコールの分子量が1000〜50万である請求項1記載の親水性修飾ポリロタキサン組成物。
【請求項3】
シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、および、γ−シクロデキストリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の親水性修飾ポリロタキサン組成物。
【請求項4】
ポリロタキサンの包接率が6〜60%である請求項1、2または3記載の親水性修飾ポリロタキサン組成物。
【請求項5】
親水性の修飾基は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基、四級アンモニウム塩基、および、ヒドロキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1、2、3または4に記載の親水性修飾ポリロタキサン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性修飾ポリロタキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物理ゲル、化学ゲルのいずれにも分類されない新しい種類のゲルとして、「環動ゲル」が提案されており、このような環動ゲルに用いられる化合物として、架橋ポリロタキサンが注目を集めている。
架橋ポリロタキサンは、擬ポリロタキサンの両末端に封鎖基を導入したポリロタキサンを複数架橋することで得られる。例えば、擬ポリロタキサンが、両末端に反応性基を有するポリエチレングリコール(以下、「PEG」ともいう)と該PEGを包接するシクロデキストリンとからなる場合、得られる架橋ポリロタキサンは、PEGの直鎖分子上に串刺し状に貫通されているシクロデキストリンが、当該直鎖分子に沿って移動可能(滑車効果)なために、張力が加わっても滑車効果によりその張力を均一に分散させることができる。そのため、架橋ポリロタキサンは、クラックや傷が生じにくいなど、従来の架橋ポリマーにない優れた特性を有する。
【0003】
架橋ポリロタキサンの製造に用いられるポリロタキサンには、通常、遊離したシクロデキストリン(以下、「遊離シクロデキストリン」ともいう)が含まれており、この遊離シクロデキストリンが架橋ポリロタキサンの特性を低下させるため、再沈殿法などにより精製し、遊離シクロデキストリンを除去する必要がある。
【0004】
特許文献1には、カルボキシル化ポリエチレングリコールとシクロデキストリン分子とを混合して、シクロデキストリン分子の開口部に前記カルボキシル化ポリエチレングリコールが串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンの両末端を封鎖基により封鎖したポリロタキサンのシクロデキストリンに由来する水酸基の全部または一部が親水性の修飾基で修飾する親水性修飾ポリロタキサンの製造方法が開示されている。
特許文献1に開示された製造方法では、得られた親水性修飾ポリロタキサン水溶液を透析チューブにて透析することにより精製し、架橋ポリロタキサンの特性を低下させる水酸基の全部または一部が親水性の修飾基で修飾された遊離のシクロデキストリン(以下、修飾シクロデキストリンともいう)を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−63412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように精製され、修飾シクロデキストリンが除去された親水性修飾ポリロタキサンは、製造された直後には架橋ポリロタキサンの原料として好適ではあるものの、親水性修飾ポリロタキサンが保存される過程で経時的に分解し、修飾シクロデキストリンが遊離する場合がある。
【0007】
親水性修飾ポリロタキサンの製造において、修飾シクロデキストリンが除去されたとしても、保存の過程で修飾シクロデキストリンが遊離した親水性修飾ポリロタキサンを架橋ポリロタキサンの原料として使用した場合には、架橋ポリロタキサンの特性は低下する。そのため、架橋ポリロタキサンの特性を有効に発現しようとすれば、架橋ポリロタキサンの原料として使用する前に再精製が必要になるなど煩雑となるため、修飾シクロデキストリンの遊離が抑制された保存安定性に優れた親水性修飾ポリロタキサンが望まれている。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、保存安定性に優れた親水性修飾ポリロタキサン組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シクロデキストリンと、前記シクロデキストリンに串刺し状に包接されるポリエチレングリコールと、前記ポリエチレングリコールの両末端に配置され前記シクロデキストリンの脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンのシクロデキストリンに由来する水酸基の全部または一部が親水性の修飾基で修飾された親水性修飾ポリロタキサン、
並びに、ポリフェノール系酸化防止剤を含有し、前記ポリフェノール系酸化防止剤は、ロズマリン酸であり、前記ポリフェノール系酸化防止剤の含有量は、前記親水性修飾ポリロタキサンに対して0.001〜1重量%である乾燥した固体状の親水性修飾ポリロタキサン組成物である。
以下に、本発明を詳述する。
【0009】
本発明者らは、親水性修飾ポリロタキサンにポリフェノール系酸化防止剤を添加することにより、保存中の修飾シクロデキストリンの遊離が少なく、優れた保存安定性を有する親水性修飾ポリロタキサン組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の親水性修飾ポリロタキサン組成物は、シクロデキストリンと、前記シクロデキストリンに串刺し状に包接されるポリエチレングリコールと、前記ポリエチレングリコールの両末端に配置され前記シクロデキストリンの脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンのシクロデキストリンに由来する水酸基の全部または一部が親水性の修飾基で修飾された親水性修飾ポリロタキサンを含有する。
【0011】
親水性修飾ポリロタキサンは通常、シクロデキストリンとPEGとを混合し、シクロデキストリン分子の開口部に前記PEGが串刺し状に包接された擬ポリロタキサンとし、前記擬ポリロタキサンの両末端を封鎖基で封鎖して、シクロデキストリンが串刺し状態から脱離しないようにしたポリロタキサンのシクロデキストリンに由来する水酸基の全部または一部が親水性の修飾基で修飾することにより得られる。
【0012】
本発明の親水性修飾ポリロタキサン組成物において、前記PEGの重量平均分子量は、1000〜50万であることが好ましく、1万〜30万であることがより好ましく、1万〜10万であることがさらに好ましい。前記PEGの重量平均分子量が1000未満であると、得られる架橋ポリロタキサンが特性の低いものとなることがある。前記PEGの重量平均分子量が50万を超えると、親水性修飾ポリロタキサンの保存安定性が低下する場合がある。
なお、本明細書において、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、PEG換算により求められる値である。GPCによってPEG換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、TSKgel SuperAWM−H(東ソー社製)などが挙げられる。
【0013】
前記PEGは、好ましくは、両末端に反応性基を有する。前記PEGの両末端は、従来公知の方法により反応性基を導入することが出来る。
前記PEGの両末端に有する反応性基は、採用する封鎖基の種類により適宜変更することができ、特に限定されないが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基などが挙げられ、とりわけ、カルボキシル基が好ましい。前記PEGの両末端にカルボキシル基を導入する方法としては、例えば、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)と次亜塩素酸ナトリウムとを用いてPEGの両末端を酸化させる方法などが挙げられる。
【0014】
前記シクロデキストリンとしては、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびこれらの誘導体などが挙げられる。なかでも、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、および、γ−シクロデキストリンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、包接性の観点より、α−シクロデキストリンであることがより好ましい。これらのシクロデキストリンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
前記親水性の修飾基は特に限定されないが、具体的には例えば、親水性の修飾基は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基、四級アンモニウム塩基、および、ヒドロキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、架橋ポリロタキサンを合成する際の反応の多様性の観点から、プロピレンオキシドなどとの反応により、ヒドロキシルアルキル基とすることがより好ましい。
【0016】
前記親水性修飾ポリロタキサンの包接率は、用途や使用目的にもよるが、6〜60%であることが好ましい。前記親水性修飾ポリロタキサンの包接率が6%未満であると、得られる架橋ポリロタキサンに滑車効果が発現しないことがある。前記親水性修飾ポリロタキサンの包接率が60%を超えると、環状分子であるシクロデキストリンが密に配置され過ぎてシクロデキストリンの可動性が低下することがある。シクロデキストリンが適度な可動性を有し、得られる架橋ポリロタキサンに良好な滑車効果を発現させるためには、前記親水性修飾ポリロタキサンの包接率は15〜40%であることがより好ましく、20〜30%であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において前記包接率とは、PEGへのシクロデキストリンの最大包接量に対するPEGを包接しているシクロデキストリンの包接量の割合であり、PEGとシクロデキストリンの混合比、水性媒体の種類などを変化させることにより、任意に調整することが出来る。また、前記最大包接量とは、PEG鎖の繰り返し単位2つに対し、シクロデキストリンが1つ包接された最密包接状態とした場合のシクロデキストリンの個数をいう。
【0017】
前記親水性修飾ポリロタキサンの包接率は、H−NMRにより測定することが出来る。具体的には、包接率は、DMSO−dに得られたポリロタキサンを溶解し、NMR測定装置(バリアン・テクノロジーズ・ジャパン社製、「VARIAN Mercury−400BB」)により測定し、4〜6ppmのシクロデキストリン由来の積分値と3〜4ppmのシクロデキストリンおよびPEGの積分値の比較で算出することができる。親水性修飾ポリロタキサンは、ポリロタキサンのシクロデキストリンに由来する水酸基を親水性の修飾基で修飾したものであるため、その包接率はポリロタキサンの包接率と同じである。
【0018】
本発明の親水性修飾ポリロタキサン組成物におけるポリフェノール系酸化防止剤としては、例えば、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、エピガロカテキン、タンニン酸、ガロタンニン、エラジタンニン、カフェー酸、ジヒドロカフェー酸、クロロゲン酸、イソクロロゲン酸、ゲンチシン酸、ホモゲンチシン酸、没食子酸、エラグ酸、ロズマリン酸、ルチン、クエルセチン、クエルセタギン、クエルセタゲチン、ゴシペチン、アントシアニン、ロイコアントシアニン、プロアントシアニジン、エノシアニンなどが挙げられる。なかでも、長期の保存安定性において高い安定化効果を示すため、ロズマリン酸、没食子酸、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
これらのポリフェノール系酸化防止剤は、単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
さらに、前記ポリフェノール系酸化防止剤は、植物に広く含有されている天然化合物であるため、人体に対する安全性が高いという好ましい特徴を有する。このため、本発明の親水性修飾ポリロタキサン組成物は、酸化防止剤としてポリフェノール系酸化防止剤を含有することにより、高い保存安定性を有するだけでなく、得られる架橋ポリロタキサンを、化粧料、バイオマテリアルなど人体に直接作用するような用途において、優れた品質安定性と安全性を備えた材料として使用することができる。また、ポリフェノール系酸化防止剤は抗菌効果にも優れており、架橋ポリロタキサンが応用された最終製品の抗菌効果にも期待することができる。
【0020】
本発明の親水性修飾ポリロタキサン組成物において、前記ポリフェノール系酸化防止剤の含有量は、親水性修飾ポリロタキサンに対して、0.001〜5重量%であることが好ましく、0.005〜2重量%であることがより好ましく、0.01〜1重量%であることがさらに好ましい。前記ポリフェノール系酸化防止剤の含有量が0.001重量%未満であると、保存安定性の向上に効果が見られない場合がある。前記ポリフェノール系酸化防止剤の含有量が5重量%を超えても、それ以上の効果が得られず経済的でない。
【0021】
本発明の親水性修飾ポリロタキサン組成物を調製する方法は特に限定されないが、乾燥した固体状の親水性修飾ポリロタキサン組成物を得る場合、親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤とを均一に混合するため、溶媒に親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤とを投入し、攪拌混合することにより親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液を調製し、該混合液を乾燥する方法が、保存安定性が優れる親水性修飾ポリロタキサン組成物が得られるため好ましく、親水性修飾ポリロタキサン、ポリフェノール系酸化防止剤のうち少なくとも一方が溶媒に溶解している混合液を乾燥する方法がさらに保存安定性に優れる親水性修飾ポリロタキサンが得られるためより好ましい。
【0022】
親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液の調製において、少なくとも親水性修飾ポリロタキサンを溶解させる溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類や、セロソルブアセテート、ブチルセロソロブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルエステル類や、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類や、水などが挙げられる。
【0023】
また、親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液の調製において、ポリフェノール系酸化防止剤が溶媒に溶解しない場合、事前にこれらを微細な粒子として混合することによって、より保存安定性に優れた親水性修飾ポリロタキサン組成物を得ることができる。ポリフェノール系酸化防止剤を微細な粒子とする方法は、従来公知の方法を使用することができ、例えば、ボールミル、ピンミルなどの粉砕機による機械的粉砕、晶析などによる微細化などが挙げられる。
【0024】
前記ポリフェノール系酸化防止剤を微細な粒子とする場合、前記ポリフェノール系酸化防止剤の体積平均粒子径は、0.01〜100μmとすることが好ましく、0.1〜30μmとすることがより好ましく、0.1〜10μmとすることがさらに好ましい。前記ポリフェノール系酸化防止剤の体積平均粒子径を0.01μm未満にする場合、粉砕や晶析による調整が難しいだけで無く、それ以上の保存安定性の向上効果が無い。前記ポリフェノール系酸化防止剤の体積平均粒子径が100μmを超える場合は、得られる親水性修飾ポリロタキサン組成物中に均一に分散せず、保存安定性の向上効果が低下する場合がある。
なお、前記ポリフェノール系酸化防止剤の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定することが出来る。
【0025】
本発明者らは、親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液を、噴霧し、加熱した気流中で乾燥する方法、または、前記混合液を薄膜状にして乾燥する方法によれば、得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物の保存時の経時的分解をさらに効果的に抑制できることを見出している。
これらの乾燥方法によれば、乾燥時の過度な品温上昇がなく、熱への暴露時間も短いため、乾燥過程で親水性修飾ポリロタキサンの分解を誘発するラジカル発生が抑制されるため、添加したポリフェノール系酸化防止剤が乾燥過程で消費されることなく、より保存安定性に優れた親水性修飾ポリロタキサン組成物を得ることができる。
【0026】
親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液を噴霧乾燥する場合、前記混合液を噴霧する方法としては、例えば、圧力ノズル、二流体ノズル、四流体ノズル、超音波ノズルなどを用いるノズル法や、回転ディスク法などが挙げられる。
【0027】
前記ノズル法は、親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液の粘度が低い場合に好適に用いることができる。前記ノズル法に用いられる噴霧乾燥装置としては、例えば、ノズルアトマイザー式噴霧乾燥装置などが挙げられる。前記ノズルアトマイザー式噴霧乾燥装置では、熱風の吹き出し方向に対向して前記混合液を噴霧する並向流式、熱風の吹出し方向と同一方向に前記混合液を噴霧する並流式に大別され、並向流式では噴霧した前記混合液の滞留時間を長く、並流式では噴霧した前記混合液の滞留時間を短くすることが出来る。
【0028】
前記回転ディスク法は、前記混合液の粘度が高い場合に好適に用いることができる。
前記回転ディスク法に用いられる噴霧乾燥装置としては、例えば、ロータリーアトマイザー式噴霧乾燥装置が挙げられる。
【0029】
親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液の乾燥において、気流には空気、または窒素などのガスを使用することが出来る。
また、前記乾燥は、前記噴霧乾燥装置の入口温度を70〜200℃、出口温度を50〜110℃となるようにして行われることが好ましい。
前記噴霧乾燥装置の入口温度が70℃未満であると、乾燥が不充分となる場合がある。前記噴霧乾燥装置の入口温度が200℃を超えると、乾燥の過程で親水性修飾ポリロタキサンが分解し、包接率が低下する場合があり、分解せずに親水性修飾ポリロタキサンが得られたとしても、保存中に経時的に分解し、修飾シクロデキストリンが遊離するおそれがある。前記噴霧乾燥装置における入口温度は70〜180℃であることがより好ましく、70〜170℃であることがさらに好ましい。
前記噴霧乾燥装置の出口温度が50℃未満であると、乾燥が不充分となる場合がある。前記噴霧乾燥装置の出口温度が110℃を超えると、親水性修飾ポリロタキサンが分解し、包接率が低下する場合があり、分解せずに親水性修飾ポリロタキサンが得られたとしても、保存中に経時的に分解し、修飾シクロデキストリンが遊離するおそれがある。前記噴霧乾燥装置における出口温度は60〜100℃であることがより好ましく、70〜100℃であることがさらに好ましい。
【0030】
前記混合液を乾燥させる際、噴霧乾燥装置の入口より、少なくとも2種の温度の異なる熱風を吹き込み、入口温度を制御することもできる。例えば、2種の温度の異なる熱風を吹き込む場合、噴霧乾燥装置の入口温度は、2種の温度の異なる熱風の流量比率を変化させることにより、制御することができる。
入口温度は、以下の計算式により便宜上算出することができる。
入口温度=(高温側熱風温度×(高温側熱風の流量/総熱風流量))+(低温側熱風温度×(低温側熱風の流量/総熱風流量))
【0031】
噴霧乾燥装置により親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液を噴霧する際、第1の高温側熱風中に噴霧され、概ね乾燥された親水性修飾ポリロタキサン組成物粒子が、引き続き第2の低温側熱風に接触し乾燥されることが好ましい。
前記噴霧乾燥装置の入口より、少なくとも2種の温度の異なる熱風を吹き込む場合の一例を図1に示す。図1(a)は、噴霧乾燥装置の入口上面の模式図であり、図1(b)は噴霧乾燥装置の入口側面の模式図である。図1に示すように、噴霧乾燥装置の入口部10は円柱状であり、円柱上部の円の中心に噴霧ノズル1を有する。親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液6は噴霧ノズル1により円錐状に噴霧される。このとき、高温側熱風を入り口円柱部の中央部(高温側熱風吹き込み部3)から高温側熱風の吹き込み方向5の方向に吹き込み、低温側熱風を外周部(低温側熱風吹き込み部2)から低温側熱風の吹き込み方向4の方向に吹き込んで乾燥する。
【0032】
前記乾燥における系の圧力は特に限定されないが、通常、大気圧に近い圧力で乾燥を行う。また、減圧下で乾燥することも可能であり、大気圧以下の圧力で乾燥を行うことが好ましい。
【0033】
噴霧した親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液の滞留時間は、通常数秒から数分であり、修飾シクロデキストリンの遊離を抑制するため、3分以下であることが好ましく、2分以下であることがより好ましい。また、噴霧した親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液の滞留時間が短すぎると、乾燥が不充分となる。
【0034】
親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液を噴霧する際の液滴の直径は、1〜2000μmであることが好ましく、5〜500μmであることがより好ましい。上記液滴の直径が1μm未満であると、気流との同伴により乾燥収率が低下する場合がある。上記液滴の直径が2000μmを超えると、全液滴の総表面積が小さくなり、乾燥速度が遅くなることがある。
【0035】
親水性修飾ポリロタキサンとポリフェノール系酸化防止剤と溶媒とを含む混合液を薄膜状にして乾燥する場合、前記混合液を薄膜状にする方法としては、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法などの方法を用いることができる。
【0036】
前記混合液を薄膜状とする際の膜厚は、0.1〜2mmであることが好ましく、0.1〜1mmであることがより好ましく、0.1〜0.5mmであることがさらに好ましい。前記混合液を薄膜状とする際の膜厚が0.1mmより薄い場合、時間当たりの収量が低くなるため経済的でない。前記混合液を薄膜状とする際の膜厚が2mmより厚い場合、乾燥が不充分となるおそれがある。
前記混合液を薄膜状とする際の膜厚を制御する方法は、使用する乾燥装置などにより異なるが、例えば、後述するドラムドライヤーを用いる場合、ドラム間隔、ドラム回転数、前記混合液の供給速度などにより適宜制御することができる。
【0037】
前記混合液を薄膜状にして乾燥する際に使用される乾燥装置としては、例えば、ドラムドライヤー、遠心薄膜乾燥機などが挙げられる。なかでも、装置の構造が比較的単純でメンテナンスも容易であることから、ドラムドライヤーが好ましく使用される。
【0038】
例えば、ドラムドライヤーでは、加熱されたドラムの表面に前記混合液を薄膜状に付着させ、すみやかに蒸発乾燥を行い、ドラムが1回転する間に、固定されたナイフで乾燥物を連続的にドラム表面より掻き取ることにより、親水性修飾ポリロタキサン組成物を得ることができる。
【0039】
前記混合液を薄膜状にして乾燥する際の乾燥温度は70〜200℃であることが好ましく、90〜180℃であることがより好ましく、100〜170℃であることがさらに好ましい。前記乾燥温度が70℃未満であると、乾燥が不充分となる場合がある。前記乾燥温度が200℃を超えると、親水性修飾ポリロタキサンが分解し、包接率が低下するおそれがある。
【0040】
前記混合液を薄膜状にして乾燥する際の系の圧力は特に限定されないが、通常、大気圧に近い圧力で乾燥を行う。また、減圧下で乾燥することも可能であり、大気圧以下の圧力で乾燥を行うことが好ましい。
【0041】
前記混合液を薄膜状にして乾燥する際の乾燥時間は、通常数秒から数分であり、修飾シクロデキストリンの遊離を抑制するため、10分以下であることが好ましく、5分以下であることがより好ましく、2分以下であることがさらに好ましい。また、薄膜状とした前記混合液の乾燥時間が短すぎると、乾燥が不充分となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、保存安定性に優れた親水性修飾ポリロタキサン組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明における乾燥工程において、噴霧乾燥装置の入口より、少なくとも2種の温度の異なる熱風を吹き込む場合の一例を示した(a)噴霧乾燥装置の入口上面および(b)噴霧乾燥装置の入口側面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。以下、PEGを酸化して両末端にカルボキシル基を有するPEGの製造方法について、国際公開第05/052026号パンフレットに記載された方法を参考にして行った。
【0045】
(実施例1)
(1)PEGのTEMPO酸化による両末端にカルボキシル基を有するPEGの調製
20L容の反応槽内に、水10Lを加え、PEG(分子量35000)1kg、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)10g、臭化ナトリウム100gを溶解させた。市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5重量%)500mLを添加し、室温で30分間撹拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるために、エタノールを500mL添加して反応を終了させた。5Lの塩化メチレンを用いた分液抽出を3回繰り返して無機塩以外の成分を抽出した後、減圧留去にて塩化メチレンを除去し、両末端にカルボキシル基を有するPEG1kgを得た。
【0046】
(2)両末端にカルボキシル基を有するPEGとα−シクロデキストリンとを用いた擬ポリロタキサン水性分散体の調製
調製した両末端にカルボキシル基を有するPEG1kgに水35Lを加え、さらにα−シクロデキストリン4kgを加え、70℃まで加熱し溶解させた。攪拌下、4℃まで冷却し、乳液状に析出した擬ポリロタキサン分散体を得た。
【0047】
(3)擬ポリロタキサン水性分散体の乾燥
調製した擬ポリロタキサン分散体40kgを、噴霧乾燥装置を用いて乾燥し、粉末状の乾燥体4.7kgを得た。なお、乾燥機気流入口温度は165℃、出口温度は90℃であった。
【0048】
(4)ポリロタキサンの調製
50L容のフラスコ内で、室温でジメチルホルムアミド(DMF)17Lにアダマンタンアミン45gを溶解し、得られた擬ポリロタキサン4.7kgに添加した後、速やかによく振りまぜた。
続いて、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)130gをDMF8Lに溶解したものを添加し、速やかによく振りまぜた。
さらに、ジイソプロピルエチルアミン50mLをDMF8Lに溶解したものを添加し、得られた混合液を常温で一晩攪拌した。
得られた混合液をろ過後、得られた残渣に水30kgを加えて攪拌下で70℃まで昇温し、同温度で60分間攪拌して、再度ろ過した。得られた残渣を減圧乾燥機を使用して60℃にて16時間減圧乾燥して、ポリロタキサン3kgを得た。
【0049】
(5)シクロデキストリン由来の水酸基のヒドロキシプロピル化
50L容の反応槽内に、水18L、水酸化ナトリウム1kg、得られたポリロタキサン3kgを溶解し、プロピレンオキシド6kgを添加した後、窒素雰囲気下、室温で一晩攪拌した。1mol/LのHCl水溶液で中和し、精製、濃縮した後、固形分濃度5%の親水性修飾ポリロタキサン水溶液60kgを得た。
【0050】
(6)混合液の調製
得られた親水性修飾ポリロタキサン水溶液にポリフェノール系酸化防止剤としてロズマリン酸(ローズマリー抽出物、三菱化学フーズ社製、「RM−21Aベース」)を0.3g添加(親水性修飾ポリロタキサンに対して0.01重量%)し、親水性修飾ポリロタキサンとロズマリン酸と水を含む混合液を得た。
【0051】
(7)混合液の乾燥
ノズルアトマイザー式噴霧乾燥装置(大川原化工機社製)の入口に170℃の熱風を吹き込み、入口温度170℃、出口温度100℃にて「(6)混合液の調製」で得られた混合液60kgを噴霧乾燥して親水性修飾ポリロタキサン組成物3kgを得た。得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物を、高速液体クロマトグラフ(ウォーターズ社製、「アライアンス2695」)により測定したところ、修飾シクロデキストリンは検出されなかった。
【0052】
(実施例2)
「(6)混合液の調製」において、ロズマリン酸(ローズマリー抽出物、三菱化学フーズ社製、「RM−21Aベース」)の添加量を1.5g(親水性修飾ポリロタキサンに対して0.05重量%)としたこと以外は、実施例1と同様に親水性修飾ポリロタキサン組成物3kgを得た。得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物を、実施例1と同様にして測定したところ、修飾シクロデキストリンは検出されなかった。
【0053】
参考例3
「(6)混合液の調製」において、ポリフェノール系酸化防止剤としてロズマリン酸0.3gに代えて、没食子酸3g(親水性修飾ポリロタキサンに対して0.1重量%)を加えたこと以外は、実施例1と同様に親水性修飾ポリロタキサン組成物3kgを得た。得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物を、実施例1と同様にして測定したところ、修飾シクロデキストリンは検出されなかった。
【0054】
参考例4
「(6)混合液の調製」において、ポリフェノール系酸化防止剤としてロズマリン酸0.3gに代えて、カテキン含有量が5%の茶抽出物(日本葉緑素社製、「カテキングS」)60g(親水性修飾ポリロタキサンに対してカテキン0.1重量%)を加えたこと以外は、実施例1と同様に親水性修飾ポリロタキサン組成物3kgを得た。得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物を、実施例1と同様にして測定したところ、修飾シクロデキストリンは検出されなかった。
【0055】
(実施例5)
「(7)混合液の乾燥」において、ノズルアトマイザー式噴霧乾燥装置の入口に190℃と120℃の熱風を、図1と同様の方法で吹き込み、入口温度を170℃、出口温度を100℃とした以外は実施例1と同様にして親水性修飾ポリロタキサン組成物を得た。得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物を、実施例1と同様にして測定したところ、修飾シクロデキストリンは検出されなかった。
【0056】
(実施例6)
「(7)混合液の乾燥」において、ノズルアトマイザー式噴霧乾燥装置を用いず、ダブルドラム型ドラムドライヤー(カツラギ工業社製、「D−0303型」)を用いて、ドラム表面温度120℃、ドラム回転数1rpm(乾燥時間40秒)にて乾燥した以外は、実施例1と同様にして親水性修飾ポリロタキサン組成物を得た。乾燥させる際のドラムに付着した前記混合液の膜厚は0.5mmであった。得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物を、実施例1と同様にして測定したところ、修飾シクロデキストリンは検出されなかった。
【0057】
(比較例1)
「(6)混合液の調製」において、ロズマリン酸を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、親水性修飾ポリロタキサンを得た。実施例1と同様にして測定したところ、得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物の修飾シクロデキストリン含有率は0.1重量%であった。
【0058】
(比較例2)
「(6)混合液の調製」において、ロズマリン酸を添加しなかったこと以外は、実施例5と同様の操作を行い、親水性修飾ポリロタキサンを得た。得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物を、実施例1と同様にして測定したところ、修飾シクロデキストリンは検出されなかった。
【0059】
(比較例3)
「(6)混合液の調製」において、ロズマリン酸を添加しなかったこと以外は、実施例6と同様の操作を行い、親水性修飾ポリロタキサンを得た。得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物を、実施例1と同様にして測定したところ、修飾シクロデキストリンは検出されなかった。
【0060】
<評価>
実施例及び参考例で得られた親水性修飾ポリロタキサン組成物および比較例で得られた親水性修飾ポリロタキサンを40℃の恒温槽に保管し、高速液体クロマトグラフ(ウォーターズ社製、「アライアンス2695」)により30日目、および、120日目の修飾シクロデキストリン含有率を測定した。結果を作製直後のものとともに表1に示した。
【0061】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、保存安定性に優れた親水性修飾ポリロタキサン組成物を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 親水性修飾ポリロタキサン溶液の噴霧ノズル
2 低温側熱風吹き込み部
3 高温側熱風吹き込み部
4 低温側熱風の吹き込み方向
5 高温側熱風の吹き込み方向
6 親水性修飾ポリロタキサン溶液を含む混合液
10 噴霧乾燥装置の入口部
図1