【実施例】
【0098】
本発明の代表及び説明として下記実施例を提示する。
【0099】
特定されている場合を除いて、溶媒及び反応物質はそのまま使用する。合成及び重合はすべて不活性アルゴン雰囲気下、標準シュレンク技術を用いて実施する。使用前に、溶媒を予め脱水し、蒸留する:ジクロロメタン(DCM)はCaH
2、トルエンはナトリウムまたは溶媒精製装置(Mbraun MB−SPS−800システム)を用いて、テトラヒドロフラン(THF)はナトリウムを用いて、ジエチルエーテルはナトリウムを用いて脱水する。DL−ラクチド(PURAC)は共沸蒸留し、トルエンから再結晶させることにより精製する。その後、昇華させ、次いでグローブボックス中アルゴン下で保存する。
【0100】
核磁気共鳴(NMR):NMRスペクトルは凍結探針を備えているBruker Avance 300MHz、Bruker Avance 400MHz及びBruker Avance 500MHzデバイスを用いて周囲温度で記録する。
1H及び
13Cにおける化学シフトδは残留溶媒に対してppmで報告し、
29Siにおける化学シフトδは外部標準としてのMe
4Siに対してppmで報告する。カップリング定数Jはヘルツで示す。シグナルを示すために以下の略号が使用されている:s(一重項)、br(広幅)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)及びm(多重項)。
【0101】
立体排除クロマトグラフィー(SEC):数平均モル質量M
n、重量平均モル質量M
w及び多分散指数(M
w/M
n)は、Alliance Waters e2695、MALS miniDAWN(Wyatt)光散乱デテクター、Viscostar−II(Wyatt)粘度計及びWaters 2414屈折計から構成されるトリプル検出ラインを用いて35℃で立体排除クロマトグラフィー(SEC)により測定する。THFを溶離液として1.0ml/分の流速で使用する。Styragel(WAT054405)予備カラム及び2つのShodex(KF−802.5及びKF−804)カラムを使用する。校正はポリスチレン標準(400〜100000g/mol)を用いて実施する。サンプルは以下のように作成する:分析しようとする生成物(10から20mg)をマーカーとしてトルエンを含有しているTHF(1ml)中に溶解させる。その後、溶液を0.45μmフィルターを用いて濾過する。
【0102】
質量分析:化学イオン化(DCI)質量スペクトルをThermo Fisher Scientific DSQ分光計を用いて記録する。
【0103】
透過型電子顕微鏡法(TEM):ナノ粒子のモルホロジーを加速場が200keVのJEOL−JEM 2100F顕微鏡を用いてTEMにより観察する。サンプルを作成するために、10倍希釈した(0.5mg/ml)数滴のナノ粒子分散液を0.2%(w/v)のリンタングステン酸と30分間インキュベートする。その後、サンプルを銅グリッド上に置き、周囲温度で乾燥する。
【0104】
動的光散乱(DLS):ナノ粒子のサイズ(流体力学的径)をゼータサイザー3000 HS(Malvern)を用いてDLSにより測定する。
【0105】
濾過(1.2μm PVDFフィルター)後、サンプル(5mg/ml)を毛細管セル中に配置する。測定は25℃、90℃の検出角度で実施する。使用した波長は633nmである。
【0106】
以下の実施例中、(mPEG)
m及び(PLA)
n中の添字m及びnは重量平均分子量である。nはSEC分析により得た重量から実験的に求められる。
【0107】
5−メチル−2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−カルボン酸(Bn−ビス−MPA)(I)の合成
【0108】
【化23】
2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(ビス−MPA)(10g,74.6mmol)、ベンズアルデヒド(8.3g,78.2mmol)及びメタンスルホン酸(MSA)(1.5g,15.6mmol)をトルエン(100ml)中に溶解させる。反応媒体を周囲温度で5時間撹拌する。その後、溶媒を真空下で蒸発させ、次いで残渣が完全に溶解するまで10% NaHCO
3溶液(300ml)及びエーテル(300ml)を添加する。水性相を回収し、氷酢酸(数滴)を添加する。ガスが強く発生した後、白色沈殿が形成される。沈殿を濾別し、水(20ml)で濯ぎ、真空下で一晩乾燥する。W
obt=13.3g,Y=80%。
【0109】
1H NMR(d
6−アセトン,300MHz):δ(ppm) 1.04(s,3H,−C−CH
3),3.73(d,2H,1a,J
2Ha−Hb=11.4Hz),4.57(d,2H,1b,J
2Ha−Hb=11.3Hz),5.52(s,1H,O
2−CH−),7.32(m,3H,ArH),7.42(m,2H,ArH)。
【0110】
13C NMR(d
6−アセトン,75.5MHz):δ(ppm) 18.4(−CH
3),42.8(Cq),74.2(−CH
2−),102.1(−O
2−CH−),127.3(アリールCH),128.8(アリールCH),129.5(アリールCH),140.0(アリールCq),176.2(−COOH)。
【0111】
DCI 計算値C
12H
14O
4[M+NH
4]
+=240.12;実測値=239.90。
【0112】
メトキシ−ポリエチレングリコール−ベンジリデン(mPEG2000−O2Bn)(II)の合成
【0113】
【化24】
メトキシ−ポリエチレングリコール(平均分子量:2000g/mol、ここではmPEG
2000と称する)(10g,5mmol)及び保護されているビス−MPA(I)(1.35g,6.1mmol)を250mlのシュレンク容器において無水DCM(45ml)中に溶解させる。その後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)(0.96g,5mmol)及びp−トルエンスルホン酸4−(ジメチルアミノ)−ピリジニウム(DPTS)(0.6g,2mmol)を媒体に添加する。反応媒体をアルゴン下40℃で48時間撹拌する。その後、反応媒体を1M HCl溶液(20ml)、10% NaHCO
3溶液(20ml)及びH
2O(20ml)で抽出する。
【0114】
有機相をNa
2SO
4で脱水し、濾過し、溶媒を蒸発させた後、残渣を0℃でエーテルから沈殿させる。次いで、沈殿を濾別し、真空下で一晩乾燥する。白色固体を得る。W
obt=9.68g,Y=88%。
【0115】
1H NMR(CDCl
3,300MHz):δ 1.05(s,3H,6),3.37(s,3H,1),3.63(bs,180H,2,2’&7b),4.36(t,2H,3,J
3H−H=4.8Hz),4.66(d,2H,7a,J
2Ha−Hb=11.5Hz),5.44(s,1H,8),7.32(m,3H,ArH),7.42(m,2H,ArH)。
【0116】
13C NMR(CDCl
3,75.5MHz):δ(ppm) 17.8(C6),42.3(C5),58.9(C1),64.1(C3),68.9(C7),70.5(C2),71.8(C2’),73.4(C2”),101.2(C8),126.1(アリールCH),128.0(アリールCH),128.8(アリールCH),137.8(アリールCq),173.8(C4)。
【0117】
SEC:M
n=2867g/mol,PI=1.06。
【0118】
メトキシ−ポリエチレングリコール−ジオール(mPEG2000−(OH)2)(III)の合成
【0119】
【化25】
化合物(II)(9.5g,4.3mmol)及び炭素担持パラジウム(10% Pd/C)(0.95g,10%w/w)を水素(H
2)が充填されているバルーンを備えた250mlの2口丸底シュレンクフラスコにおいて混合した後、真空−アルゴンサイクルにかける。その後、DCM(40ml)及びメタノール(MeOH)(40ml)を添加する。真空−H
2サイクルを実施する。反応媒体を静的H
2下、Atで4時間撹拌する。その後、混合物をセライトを介して濾過する。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣を真空下で一晩乾燥する。黄色っぽい固体を得る。W
obt=8.7g,Y=95%。
【0120】
1H NMR(CDCl
3,300MHz):δ 1.11(s,3H,6),3.37(s,3H,1),3.63(bs,180H),3.69−3.78(m,4H,7a&7b),4.33(t,2H,3,J
3H−H=4.8Hz)。
【0121】
13C NMR(CDCl
3,125.7MHz):δ 16.9(C6),49.5(C5),58.8(C1),63.2(C3),67.1(C7),68.7(C2’),70.4(C2),71.8(C2”’),72.6(C2”),175.5(C4)。
【0122】
mPEG2000−(OH)−Y−(OTBDPS)(IV)の合成
【0123】
【化26】
化合物(III)(4g,1.90mmol)を100mlのシュレンク容器において無水DCM(18ml)中に溶解させる。その後、KOHで蒸留したトリエチルアミン(TEA)(0.4g,3.95mmol)を添加し、次いでtert−ブチルジフェニルクロロシラン(TBDPSiCl)(1.1g,3.92mmol)を0℃で一滴ずつ添加する。反応媒体をアルゴン下40℃で撹拌する。24時間後、形成された塩を濾別し、次いで有機相を1M HCl溶液(15ml)、次いでNaHCO
3溶液(15ml)、最後にH
2O(15ml)で抽出する。有機相をNa
2SO
4で脱水する。濾過後、混合物を真空下で濃縮し、次いで残渣を0℃でエーテルから沈殿させる。次いで、得られた白色沈殿を濾別し、洗浄し、真空下で乾燥する。その後、生成物をトルエン中での共沸混合物を用いて乾燥する。生成物をグローブボックスにおいて保存する。W
obt=4.1g,Y=90%。
【0124】
RMN 1H(CDCl
3,300MHz):δ 1.02(s,9H,10),1.19(s,3H,6),3.37(s,3H,1),3.63(br,180H,2/2’/2”/2”’),3.73−3.80(m,4H,7&8),4.26(t,2H,3,J
3H−H=4.8Hz),7.35−7.64(m,10H,11)。
【0125】
RMN 13C(CDCl
3,75.5MHz):δ 16.9(C6),19.1(C9),26.5(C10),50.3(C5),58.7(C1),63.1(C3),65.6(C7),66.4(C8),68.6(C2’),70.3(C2),71.7(C2”’),72.3(C2”),127.5(CHアリール),129.5(CHアリール),132.9(Cqアリール),135.3(CHアリール),174.8(C4)。
【0126】
RMN
29Si(CDCl
3,59.6MHz):δ −4.33(−O−Si−)。
【0127】
mPEG2000−PLA14000−Y−OTBDPSコポリマー(V)の合成
【0128】
【化27】
高分子開始剤(IV)(0.8g,0.34mmol)及びDL−ラクチド(5g,35mmol,DP 100)を無水DCM(25ml)中に溶解させる。その後、触媒の溶液(10ml,4当量のチオ尿素(N−シクロヘキシル−N’−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]チオ尿素)及び4当量の(−)−スパルテイン)を添加する。作用を
1H NMRによりモニターしてラクチドが完全に消費されるまで反応媒体をアルゴン下35℃で撹拌する。6時間後、無水酢酸(166μl,1.71mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(4.5mg,0.35mmol)を反応媒体に添加する。後者を更に1時間撹拌する。その後、混合物を真空下で濃縮し、次いで0℃でMeOH(150ml)から沈殿させる。形成された白色沈殿を濾別し、MeOH(20ml)で洗浄し、次いで真空下で一晩乾燥する。
【0129】
RMN 1H(CDCl
3,500MHz):δ 1.02(s,9H,10),1.19(s,3H,6),1.58(br,595H,14),2.12(s,3H,PLA:16),3.37(s,3H,1),3.63(br,180H,2/2’/2”/2”’),3.73−3.80(m,2H,8),4.20−4.40(m,4H,3&7),5.16(br,192H,13),7.35−7.64(m,10H,11)。
【0130】
RMN
13C(CDCl
3,125.7MHz):δ 16.6(C14&C6),20.4(C9),26.6(C10),48.5(C5),58.8(C1),63.5(C3),65.0(C7),66.6(C8),68.9(C13),68.2(C2’),70.1(C2),71.7(C2”’),72.2(C2”),127.7,129.8,132.8,135.5(C11),169.50(C12&C15),174.82(C4)。
【0131】
平均分子量(NMRによる):M=16150g/mol。
【0132】
開環重合(ROP)反応も35及び150当量のラクチドを用いて実施して、mPEG
2000−PLA
5000及びmPEG
2000−PLA
21000コポリマーを得た。
【0133】
mPEG2000−PLA14000−Y−OHコポリマー(VI)の合成
【0134】
【化28】
コポリマー(V)(3.96g,0.28mmol)を無水THF(40ml)中に溶解させる。その後、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)をTHF中に含む1M溶液(1.5ml,1.5mmol)を一滴ずつ添加する。反応媒体をアルゴン下30℃で7時間撹拌する。その後、THFを真空下で蒸発させる。残渣をDCM(15ml)中に溶解させた後、0℃でエーテル(800ml)から沈殿させる。白色沈殿を濾別した後、真空下で一晩乾燥する。W
obt=2.14g,Y=55%。
【0135】
RMN 1H(CDCl
3,300MHz):δ 1.57(br,590H,PLA:11),2.12(s,3H,PLA:13),3.37(s,3H,1),3.63(br,180H,8,2/2’/2”/2”’),4.33(m,4H,3&7),5.15(br,186H,PLA:10)。
【0136】
RMN 13C(CDCl
3,75.5MHz):δ 16.5(PLA:C11),48.5(C5),58.7(C1),63.4(C3),64.2(C7),66.5(C8),68.8(PLA:C10),68.2(C2’),70.1(C2),71.7(C2”’),72.2(C2”),169.5(PLA:C9),174.8(PEG:C4)。
【0137】
平均分子量(NMRによる):M=15495g/mol。
【0138】
保護もトリイソプロピルクロロシラン(TIPSCl)を用いて次のように実施した。
【0139】
【化29】
【0140】
mPEG2000−(OH)−Y−(OTIPS)の合成
【0141】
【化30】
25mlのシュレンクにおいてmPEG−ジオール誘導体(0.5g,0.24mmol)を無水DCM(5ml)中に溶解させる。次いで、トリエチルアミン(TEA)(KOHで蒸留)(0.2g,2.01mmol)を添加し、トリス−イソプロピルクロロシラン(TIPSCl)(0.40g,2mmol)を0℃で一滴ずつ添加する。反応混合物をアルゴン下40℃で撹拌する。24時間後、形成された塩を濾過し、有機相をHCl 1M溶液(5ml)、NaHCO
3溶液(5ml)及びH
2O(5ml)で抽出する。有機相をNa
2SO
4で脱水する。濾過後、混合物を真空下で濃縮し、残渣を0℃でエーテル中に沈殿させる。次いで、白色沈殿を濾過し、洗浄し、真空下で乾燥する。次いで、生成物をトルエン中の共沸混合物を用いて乾燥する。生成物を密封ボックス中に保存する。M
obt=0.4g,R=74%。
【0142】
NMR 1H(CDCl
3,500MHz):δ 0.98−1.03(br,21H),1.16(s,3H),3.37(s,3H),3.63(m,180H),3.73−3.80(m,4H),4.26(t,2H,J
3H−H=4.8Hz)。
【0143】
コポリマーmPEG2000−PLA10000−Y−OTIPS(V’)の合成
【0144】
【化31】
高分子開始剤(0.18g,79.6μmol)及びDL−ラクチド(0.8g,5.6mmol,70当量)を無水DCM(7ml)中に溶解させる。次いで、触媒の溶液(1ml,4当量のチオ尿素(N,N’−シクロヘキシル−3,5−ビス[トリフルオロメチル]フェニルチオ尿素)及び2当量の(+)−スパルテイン)を添加する。
1HNMRによりコントロールしながらラクチドが完全に消費されるまで反応混合物をアルゴン下35℃で撹拌する。3時間後、反応混合物に無水酢酸(39μl,0.40mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(10mg,82μmol)を添加する。これをもう1時間撹拌する。次いで、混合物を真空下で濃縮した後、0℃でエーテル(50ml)中に沈殿させる。次いで、白色沈殿を濾過し、MeOH(20ml)で洗浄し、次いで真空下で一晩乾燥する。M
obt=1g,R 〜75%。
【0145】
NMR 1H(CDCl
3,500MHz):δ 0.98−1.03(br,21H),1.16(s,3H),1.58(m,423H),2.12(s,3H),3.37(s,3H,1),3.63(m,180H),3.73−3.80(m,2H),4.20−4.40(m,4H),5.16(m,141H,13)。
【0146】
SEC:M
w=13628g/mol,M
n=11850g/mol,IP=1.15。
【0147】
コポリマーmPEG2000−PLA10000−Y−OH(VI’)の合成
【0148】
【化32】
保護されているコポリマー(1g,71μmol)を無水DCM(10ml)中に溶解させる。次いで、BF
3・Et
2O(0.5g,3.56mmol)を0℃で一滴ずつ添加する。反応混合物をアルゴン下0℃で1時間、次いで30℃で19時間撹拌する。次いで、DCMを真空下で蒸発させる。残渣をDCM(5ml)中で可溶化した後、0℃でエーテル(50ml)中に沈殿させ、MeOH(20ml)、次いでペンタン(20ml)で洗浄する。白色沈殿を濾過し、真空下で一晩乾燥する。M
obt=0.85g,R 〜85%。
【0149】
NMR 1H(CDCl
3,500MHz):δ 1.58(m,425H),2.12(s,3H),3.37(s,3H),3.63(m,180H),4.33(m,4H),5.16(m,142H)。
【0150】
SEC:M
w=13925g/mol,M
n=11800g/mol,IP=1.18。
【0151】
カバジタキセル−2’−スクシニル(VII)の合成
【0152】
【化33】
カバジタキセル(0.2g,0.24mmol)をKOHで蒸留したピリジン(4ml)中に溶解させる。その後、無水コハク酸(0.2g,2mmol)を添加する、反応媒体をアルゴン下30℃で撹拌する。反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)(DCM/MeOH:9/1)によりモニターする。8時間後、ピリジンを真空下で蒸発させ、残渣をクロマトグラフカラム(溶離液:CHCl
3/MeOH:99/1から97/3に勾配)を用いて精製する。その後、各種画分を蒸発させ、真空下で乾燥して、白色粉末を得る。W
obt=0.180g,Y=80%。
【0153】
RMN 1H(CDCl
3,300MHz):δ 1.19(s,3H,16),1.20(s,3H,17),1.35(s,9H,7’),1.63(s,1H,−OH第3級),1.70(s,3H,19),1.78(m,1H,6a),1.86(s,3H,18),2.15(s,6H,−CH
3アセトン),2.18−2.33(m,2H,14a&14b),2.34(s,3H,−CH
3アセチル,4),2.65(m,5H,−CH
2スクシニックa,a’&6b),3.28(s,3H,−OCH
3,7),3.44(s,3H,−OCH
3,10),3.80(d,1H,3,J=7.5Hz),3.84(dd,1H,7,J=6.5及び10.5Hz),4.16(d,1H,20a,J=8.5Hz),4.28(d,1H,20b,J=8.5Hz),4.80(s,1H,10),4.95(d,1H,5,J=10Hz),5.28−5.44(br,2H,2’/4’),5.61(d,1H,2,J=7.5Hz),6.19(b,1H,13),7.31,7.38,7.47,7.59,(m,9H,ArH),8.10(d,2H,Hオルトベンゾエート)。
【0154】
RMN 13C(CDCl
3,75.5MHz):δ 10.8(C19),15.1(C18),21.2(C16),23.2(CH
3アセチル),27.3(C17),28.35,28.62(−CH
2スクシニックa&a’),28.7(C7’),32.6(C6),35.7(C14),43.8(C15),47.9(C3),56.7(C3’),57.4(C8),57.5(OCH
3,C7),57.8(OCH
3,C10),73.1(C13),74.7(C2’),75.0(C2),77.0(C20),79.2(C1),80.7(C6’),81.2(C7),82.3(C4),83.1(C10),84.6(C5),127.3−138.9(Ar),136.2(C11),139.1(C12),155.8(C5’),167.5(COベンゾエート),168.7(COアセチル,4),170.0−174.0(C1’,−COO−スクシニック),205.4(C9)。
【0155】
mPEG2000−PLA14000−Y−スクシニル−2’−カバジタキセルコンジュゲート(VIII)の合成
【0156】
【化34】
コポリマー(VI)(2g,163μmol)及びカバジタキセル−2’−スクシニル(VII)(0.33g,353μmol)を無水DCM(40ml)中に溶解させる。その後、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)(45mg,357μmol)、次いでDMAP(45mg,368μmol)を添加する。反応媒体をアルゴン下35℃で24時間撹拌する。その後、有機相を1M HCl溶液(30ml)、10% NaHCO
3溶液(30ml)及び水(30ml)を用いて抽出する。その後、有機相をNa
2SO
4で脱水した後、濾過する。真空下で濃縮した後、残渣をMeOH(400ml)中に沈殿させる。濾過後、沈殿を真空下で一晩乾燥する。W
obt=1.5g,Y=75%。
【0157】
1H NMR(CDCl
3,500MHz):粗な生成物をMeOHから沈殿させた後、完全カップリング(100%)を定量する。化合物(VI)及び(VII)の同じ化学シフトが1/1比で検出される。
【0158】
13C NMR:化合物(VI)及び(VII)の化学シフトに加えて、スクシニックリンカー−(CH
2)−のシグナルのシフト:28.13及び26.71ppm。
【0159】
平均分子量(NMRによる):M=16430g/mol。
【0160】
ナノ粒子製剤:
上で得たコンジュゲート(VIII)(20mg)をアセトン(2ml)中に溶解させる(10mg/ml)。得られた溶液を脱イオン水(4ml)に撹拌しながら一滴ずつ添加する。アセトンを例えば回転蒸発器を用いて蒸発させる。こうして、5mg/mlのコンジュゲートの最終濃度を得る。
【0161】
こうして得たナノ粒子は以下のように特性づけられる。
【0162】
TEM:得られた写真を
図1に示す。27nmの平均直径が観察される。
【0163】
DLS:サンプルを濾過する(1.2μm):62nmの平均直径を得る。分布は3週間の間未変化のままであった。結果を
図2に示す。
【0164】
mPEG2000−PLA10000−Y−スクシニル−2’−カバジタキセルコンジュゲート(VIII’)の合成
【0165】
【化35】
コポリマー(VI’)(Mw=12700g/mol)(14g)及びスクシニル−カバジタキセル(2.24g)を乾燥ジクロロメタン中に溶解させ、活性化モレキュラーシーブ4Å(7g)を粉末として添加する。溶液をRTで10分間撹拌し、DMAP(310mg)及びDIPC(305mg)を添加する。溶液を35℃で24時間撹拌する。濾過後、溶液を真空下40℃で濃縮乾固する。残渣をメタノール(2.8L)及びジクロロメタン(1ml)と一緒に 0℃で2時間撹拌する。懸濁液を濾過し、固体をメタノール(100ml)で洗浄する。RTで一晩乾燥して、14gの白色粉末を得る。7.5gの固体をRTで一晩撹拌することによりメタノール(749ml)を用いて再精製し、濾過し、乾燥後、7.1gの白色粉末を得る。
【0166】
1H NMRスペクトル(600MHz,δ(ppm),CDCl
3−d
1):1.21(m,9H);1.36(s,9H);1.42−1.72(m,468H);1.79(m,1H);1.98(広幅s,3H);2.13(s,3H);2.18(m,1H);2.29(m,1H);2.43(広幅s,3H);2.54−2.77(m,5H);3.31(s,3H);3.38(s,3H);3.44(s,3H);3.50−3.78(m,180H);3.84(d,J=6.5Hz,1H);3.89(dd,J=6.5&10.6Hz,1H);4.08−4.41(m,8H);4.82(s,1H);4.99(d,J=9.8Hz,1H);5.01−5.31(m,156H);5.32(m,1H);5.47(m,2H);5.64(d,J=6.5Hz,1H);6.24(広幅t,J=9.0Hz,1H);7.31(m,3H);7.40(t,J=7.9Hz,2H);7.50(t,J=7.9Hz,2H);7.61(t,J=7.9Hz,1H);8.11(d,J=7.7Hz,2H)。
【0167】
SEC M
w=13530g/mol,M
n=11770g/mol,IP=1.15。
【0168】
ナノ粒子製剤:
1)PLA−PEG−Y−スクシニル−カバジタキセル(VIII’)(30mg)をアセトン(1.5ml)中に溶解させる。溶液を撹拌しながら(500rpmで20分間)WFI(3ml)中に一滴ずつ添加する。次いで、アセトンを回転蒸発器(300から45mbarで30分間)を用いて真空下37℃で蒸発させる。
【0169】
次いで、蒸発中の水の損失を補うためにナノディスパージョンの最終容量を3mLに調節する。
【0170】
ナノディスパージョンの最終濃度:10mg/mL。
【0171】
平均直径(DLSを用いる)=43nm、PDI=0.14。
【0172】
2)PLA−PEG−Y−スクシニルカバジタキセル(VIII’)(1g)を室温で撹拌しながらアセトン(50mL)中に溶解させた。有機溶液を0.45μmナイロンフィルターを介して濾過した後、50mLのハミルトンシリンジに導入した。Solutol HS15(マクロゴール15 ヒドロキシステアレート)(0.2g)及びデオキシコール酸ナトリウム(0.04g)を撹拌しながらWFI(450mL)中に溶解させた。この水溶液を0.22μmフィルターを用いて濾過した。有機溶液をシリンジポンプを用いることにより水性相に20mL/hの速度で注入した。均質に分散させるために、前記シリンジに接続させたテフロン(登録商標)チューブを水性相に潜らせた。次いで、ナノディスパージョン(30nmの平均サイズ,PDI=0.14)により、マルバーンナノサイドー(準弾性光散乱)を用いて測定して≦100nmのサイズのナノ粒子を得た。
【0173】
アセトン及び若干の水を真空下37℃で回転蒸発器を用いることにより除去した。最終ナノディスパージョン濃度は10から200mg/gであった。ナノ粒子のサイズは≦100nm(すべての濃度について30nmの平均サイズ)のままであった。より大きな粒子は0.45μmでの濾過により除去され得る。
【0174】
mPEG−PLA−スクシニル−ラロタキセル(IX)の合成
スクシニル−ラロタキセルの製造
【0175】
【化36】
フラスコに窒素下でラロタキセル二水和物(2.36g,2.72mmol)、ジクロロメタン(47ml)、無水コハク酸(2.72g,27.19mmol)及びDMAP(33mg,0.27mmol)を添加する。溶液を30℃に一晩加熱し、次いで水(47ml)で2回洗浄する。有機溶液をMgSO
4で脱水した後、溶液を減圧下40℃で濃縮乾固する。乾燥抽出物を3容量のジイソプロピルエーテルで処理し、懸濁液を2時間撹拌し、濾過し、固体を2容量のジイソプロピルエーテルで2回洗浄する。減圧下40℃で乾燥後、2.28gの白色粉末を得る。
【0176】
NMR 1Hスペクトル(500MHz,δ(ppm),CDCl
3−d):1.26(s,3H);1.28(s,3H);1.32(s,9H);1.38(m,1H);1.68(m,1H);1.93(s,3H);2.11(d,J=15.9Hz,1H);2.19(広幅s,4H);2.25(dd,J=4.8&10.3Hz,1H);2.35(m,1H);2.38(s,3H);2.49(td,J=4.8&15.9Hz,1H);2.61−2.82(m,4H);4.07(d,J=8.6Hz,1H);4.12(d,J=7.5Hz,1H);4.31(d,J=8.6Hz,1H);4.75(広幅d,J=4.8Hz,1H);5.35−5.51(m.2H);5.69(dねJ=7.5Hz,1H);6.23(広幅t,J=9.4Hz,1H);6.34(s,1H);7.30(m,3H);7.39(t,J=7.8Hz,2H);7.51(t,J=7.8Hz,2H);7.60(t,J=7.8Hz,1H);8.16(d,J=7.8Hz,2H)。
【0177】
スクシニル−ラロタキセルとコポリマー(VI’)のコンジュゲーション
【0178】
【化37】
25mlのフラスコに窒素下でmPEG−PLA−Y−OHコポリマー(VI’)(0.2g,0.0157mmol)、DCM(4ml)中のスクシニル−ラロタキセル(31.6mg,2.2eq)、次いで粉末状の活性化モレキュラーシーブ4A(100mg)を添加する。10分間撹拌した後、DMAP(4.4mg,2.3eq.)及びDIPC(4.3mg,2.2eq.)を添加する。懸濁液を35℃で24時間撹拌した後、濾過する(0.22ミクロン)。有機相を濃縮乾固し、抽出物をメタノール(40ml)及びジクロロメタン(2滴)で処理する。懸濁液をRTで2時間撹拌し、次いで濾過し、固体を減圧下RTで乾燥して、174mgの予想される化合物を得る。
【0179】
NMR 1Hスペクトル(500MHz,δ(ppm),CDCl
3−d):1.22(m,3H);1.24(s,3H);1.27(s,3H);1.29(s,9H);1.35−1.85(m,512H);1.91(広幅s,3H);2.08−2.75(m,9H);2.13(s,3H);2.20(s,3H);2.41(広幅s,3H);3.39(s,3H);3.48−3.81(m,192H);4.02−4.39(m,8H);4.75(広幅d,J=4.0Hz,1H);5.01−5.33(m,169H);5.34(m,1H);5.40−5.52(m,2H);5.68(d,J=7.6Hz,1H);6.26(広幅t,J=9.0Hz,1H);6.34(s,1H);7.30(m,3H);7.39(t,J=7.7Hz,2H);7.51(t,J=7.7Hz,2H);7.61(t,J=7.7Hz,1H);8.18(d,J=7.7Hz,2H)。
【0180】
SEC M
w=14140g/mol,M
n=11260g/mol,D=1.25。
【0181】
ナノ粒子製剤:
PLA−PEG−Y−スクシニル−ラロタキセル(30mg)をアセトン(1.5ml)中に溶解させる。溶液を撹拌しながら(500rpmで20分間)注射用水(WFI)(3ml)に一滴ずつ添加する。次いで、アセトンを回転蒸発器を用いて真空下37℃で蒸発させる。
【0182】
次いで、蒸発中の水の損失を補うためにナノディスパージョンの最終容量を3mLに調節する。
【0183】
ナノディスパージョンの最終濃度:10mg/mL
平均直径(DLSを用いる)=48nm,PDI=0.17。
【0184】
mPEG−PLA−グルタリル−カバジタキセル(X)の合成
グルタリル−カバジタキセルの製造
【0185】
【化38】
500mlのフラスコに窒素下でカバジタキセルアセトン溶媒和物(10g,11.24mmol)、ジクロロメタン(200ml)、無水グルタル酸(13.51g,112.45mmol)及びDMAP(0.14g,1.12mmol)を添加する。溶液を30℃に一晩加熱した後、水(100ml)で数回洗浄する。有機溶液をMgSO
4で脱水した後、溶液を減圧下40℃で濃縮乾固する。乾燥抽出物を10容量のジイソプロピルエーテルで処理し、懸濁液を濾過し、固体を2容量のジイソプロピルエーテルで2回洗浄する。減圧下RTで乾燥した後、6.75gの白色粉末を得る。
【0186】
NMR 1Hスペクトル(500MHz,δ(ppm),CDCl
3−d):0.97(s,3H);0.98(s,3H);1.38(s,9H);1.50(m,5H);1.79(m,6H);2.24(s,3H);2.28(t,J=7.3Hz,2H);2.46(t,J=7.4Hz,2H);2.66(m,1H);3.21(s,3H);3.29(s,3H);3.59(d,J=7.1Hz,1H);3.75(dd,J=6.6&10.7Hz,1H);4.02(s,2H);4.47(s,1H);4.70(s,1H);4.95(広幅d,J=10.7Hz,1H);5.02−5.12(m,2H);5.37(d,J=7.1Hz,1H);5.81(広幅t,J=9.0Hz,1H);7.18(t,J=7.7Hz,1H);7.36(d,J=7.7Hz,2H);7.43(t,J=7.7Hz,2H);7.66(t,J=7.7Hz,2H);7.74(t,J=7.7Hz,1H);7.85(d 大きい,J=9.1Hz,1H);7.98(d,J=7.7Hz,2H);12.13(非常に広幅s,1H)。
【0187】
グルタリル−カバジタキセルのコポリマー(VI’)とのコンジュゲーション
【0188】
【化39】
25mlのフラスコに窒素下でmPEG−PLA−Y−OHコポリマー(VI’)(0.2g,0.0157mmol)、DCM(4ml)中のグルタリル−カバジタキセル(31.6mg,2.2eq)、次いで粉末状活性化モレキュラーシーブ4A(100mg)を添加する。10分間撹拌した後、DMAP(4.4mg,2.3eq.)及びDIPC(4.3mg,2.2eq.)を添加する。懸濁液を35℃で24時間撹拌した後、濾過する(0.22ミクロン)。有機相を濃縮乾固し、抽出物をメタノール(40ml)及びジクロロメタン(2滴)で処理する。懸濁液をRTで2時間撹拌し、次いで濾過し、固体を減圧下RTで乾燥して、170mgの予想される化合物を得る。
【0189】
NMR 1Hスペクトル(500MHz,δ(ppm),CDCl
3−d):1.21(s,3H);1.22(s,3H);1.25(m,3H);1.35(s,9H);1.40−1.70(m,452H);1.72(s,3H);1.80(m,1H);1.87(m,2H);2.00(s,3H);2.13(s,3H);2.15−2.51(m,6H);2.45(広幅s,3H);2.71(m,1H);3.32(s,3H);3.39(s,3H);3.45(s,3H);3.48−3.81(m,172H);3.86(d,J=7.3Hz,1H);3.91(dd,J=6.3&11.0Hz,1H);4.10−4.40(m,8H);4.83(s,1H);5.00(d,J=10.7Hz,1H);5.01−5.33(m,152H);5.35(m,1H);5.44−5.63(m,2H);5.66(d,J=7.3Hz,1H);6.27(広幅t,J=9.0Hz,1H);7.32(m,3H);7.40(t,J=7.7Hz,2H);7.50(t,J=7.7Hz,2H);7.61(t,J=7.7Hz,1H);8.12(d,J=7.7Hz,2H)。
【0190】
SEC M
w=14140g/mol,M
n=11210g/mol,D=1.26。
【0191】
ナノ粒子製剤:
PLA−PEG−Y−グルタリル−カバジタキセル(30mg)をアセトン(1.5ml)中に溶解させる。この溶液を撹拌(500rpmで20分間)しながらWFI(3ml)に一滴ずつ添加する。次いで、アセトンを回転蒸発器を用いて真空下37℃で蒸発させる。
【0192】
次いで、蒸発中の水の損失を補うためにナノディスパージョンの最終容量を3mLに調節する。
【0193】
ナノディスパージョンの最終濃度:10mg/mL
平均直径(DLSを用いる)=60nm,PDI=0.21。
【0194】
mPEG−PLA−ジグリコリル−カバジタキセル(XI)の合成
ジグリコリル−カバジタキセルの製造
【0195】
【化40】
250mlのフラスコに窒素下でカバジタキセルアセトン溶媒和物(5g,5.62mmol)、ジクロロメタン(100ml)、無水ジグリコール酸(6.53g,56.22mmol)及びDMAP(0.107,0.56mmol)を添加する。溶液を22℃に一晩加熱した後、水(50ml)で2回洗浄する。有機溶液をMgSO
4で脱水した後、溶液を減圧下40℃で濃縮乾固する。乾燥抽出物を4容量のジイソプロピルエーテルで処理し、懸濁液を30分間撹拌し、次いで濾過し、固体を2容量のジイソプロピルエーテルで2回洗浄する。減圧下40℃で乾燥した後、5.04gの白色粉末を得る。
【0196】
1H NMRスペクトル(500MHz,δ(ppm),CDCl
3−d):0.96(s,3H);0.98(s,3H);1.37(m,9H);1.44−1.58(m,2H);1.51(s,3H);1.80(広幅s,4H);2.23(s,3H);2.67(m,1H);3.21(s,3H);3.28(s,3H);3.58(d,J=7.3Hz,1H);3.75(dd,J=6.8&10.5Hz,1H);4.02(s,2H);4.13(s,2H);4.31(d,J=17.0Hz,1H);4.38(d,J=17.0Hz,1H);4.51(s,1H);4.70(s,1H);4.95(d,J=10.5Hz,1H);5.06(m,1H);5.16(d,J=8.5Hz,1H);5.37(d,J=7.3Hz,1H);5.82(広幅t,J=9.4Hz,1H);7.19(t,J=7.8Hz,1H);7.36(d,J=7.8Hz,2H);7.43(t,J=7.8Hz,2H);7.66(t,J=7.8Hz,2H);7.73(t,J=7.8Hz,1H);7.88(d,J=9.3Hz,1H);7.97(d,J=7.8Hz,2H);12.78(非常に広幅s,1H)
【0197】
ジグリコリル−カバジタキセルのコポリマー(VI’)とのコンジュゲーション
【0198】
【化41】
25mlのフラスコに窒素下でmPEG−PLA−Y−OHコポリマー(VI’)(0.2g,0.0157mmol)、DCM(4ml)中のジグリコリル−カバジタキセル(32.3mg,2.2eq)、次いで粉末状活性化モレキュラーシーブ4A(100mg)を添加する。10分間撹拌した後、DMAP(4.4mg,2.3eq.)及びDIPC(4.3mg,2.2eq.)を添加する。懸濁液を35℃で24時間撹拌した後、濾過する(0.22ミクロン)。有機相を濃縮乾固し、抽出物をメタノール(40ml)及びジクロロメタン(2滴)で処理する。懸濁液をRTで2時間撹拌し、次いで濾過し、固体を減圧下RTで乾燥して、184mgの予想される化合物を得る。
【0199】
NMR 1Hスペクトル(500MHz,δ(ppm),CDCl
3−d):1.21(s,3H);1.22(s,3H);1.26(m,3H);1.35(s,9H);1.40−1.70(m,486H);1.72(s,3H);1.80(m,1H);2.01(広幅s,3H);2.13(s,3H);2.21(m,1H);2.32(m,1H);2.45(広幅s,3H);2.71(m,1H);3.31(s,3H);3.38(s,3H);3.45(s,3H);3.48−3.81(m,180H);3.86(d,J=7.3Hz,1H);3.91(dd,J=6.6&11.0Hz,1H);4.08−4.40(m,8H);4.83(s,1H);5.02(d,J=10.7Hz,1H);5.03−5.33(m,162H);5.40−5.57(m,3H);5.67(d,J=7.3Hz,1H);6.29(広幅t,J=9.0Hz,1H);7.31(m,3H);7.40(t,J=7.7Hz,2H);7.50(t,J=7.7Hz,2H);7.60(t,J=7.7Hz,1H);8.11(d,J=7.7Hz,2H)。
【0200】
SEC M
w=14830g/mol,M
n=11920g/mol,D=1.24。
【0201】
ナノ粒子製剤:
PLA−PEG−Y−ジグリコリル−カバジタキセル(30mg)をアセトン(1.5ml)中に溶解させる。溶液を撹拌(500rpmで20分間)しながらWFI(3ml)に一滴ずつ添加する。次いで、アセトンを回転蒸発器を用いて真空下(30分間で300mbarから45mbarに)37℃で蒸発させる。
【0202】
次いで、蒸発中の水の損失を補うためにナノディスパージョンの最終容量を3mLに調節する。
【0203】
ナノディスパージョンの最終濃度:10mg/mL
平均直径(DLSを用いる)=52nm,PDI=0.18。
【0204】
カバジタキセルコンジュゲートナノ粒子製剤のインビトロ放出研究
3つのカバジタキセルコンジュゲートナノ粒子製剤、すなわちPLA−PEG−Y−スクシニル−カバジタキセル、PEG−Y−グルタリル−カバジタキセル及びPLA−PEG−Y−ジグリコリル−カバジタキセルからの遊離カバジタキセルのインビトロ放出カイネティックスをSprague Dawleyラットから得た血漿(血漿中10mMの最終濃度まで500mM リン酸緩衝液を用いて予め緩衝した)において高速液体クロマトグラフィー(HPLC)技術を用いて評価した。血漿アリコートを収容しているバイアルに、標準カバジタキセルまたはカバジタキセルコンジュゲートナノ粒子製剤(1mg/mL)を800μLの最終容量に達するようにマイクロピペットを用いて添加した。次いで、バイアルを撹拌装置(撹拌速度250rpm)上に37℃で置いた。サンプル分析を0時間目、1時間目、2時間目、4時間目、16時間目及び24時間目に実施した。
【0205】
時間間隔毎に、100μLのサンプルをアセトニトリル:水 85:15v/v(0.3mL)を収容しているバイアル中に集め、5分間撹拌してタンパク質を沈殿させ、遊離カバジタキセルを抽出した。次いで、内容物を10,000rpmで10分間遠心にかけ、透明な上清を集め、HPLCを用いて定量した。
【0206】
使用したHPLC条件は次の通りであった:
カラム:150mm Zorbax SBフェニル 3.5μm
流束:1mL 分;カラム温度は30℃であった。
230nm(滴定のために使用した原理)及び210nmでの紫外(UV)二重検出モード
無勾配移動相:アセトニトリル 60%/水 40%/トリフルオロ酢酸 0.006%
カバジタキセルの保持時間=4.1分。
【0207】
結果を下表に要約する。
【0208】
【表1】
【0209】
ラット血漿でのインビトロ放出研究から、すべてのカバジタキセルコンジュゲート製剤が持続性薬物放出プロフィールを示し、異なるリンカーを用いて合成したコンジュゲートにより異なる放出プロフィールが生じた(
図3)ことが明らかとなった。スクシニルリンカーを含有しているコンジュゲートは最も遅い放出プロフィール(24時間で〜17%の遊離カバジタキセルが放出された)を示し、次いでグルタリルリンカーを含有しているコンジュゲート(24時間で〜27%の遊離カバジタキセルが放出された)であった。一方、ジジリコリルリンカーを含有しているコンジュゲートの場合には比較的迅速な放出が観察された(24時間で〜47%の遊離カバジタキセルが放出された)。特に、PLA−PEG−Y−スクシニル−カバジタキセルの場合には、スクシニル−カバジタキセルの放出をHPLCを用いて定量した。結果は、無視できる濃度(ナノ粒子中に最初に存在するカバジタキセルの<1%)のスクシニル−カバジタキセルしか製剤から放出されなかったことを示した。結局、薬物放出の順序は次の通りであった:PLA−PEG−Y−ジグリコリル−カバジタキセル>PLA−PEG−Y−グルタリル−カバジタキセル>PLA−PEG−Y−スクシニル−カバジタキセルナノ粒子。これらの結果は、異なるリンカーを有するカバジタキセルコンジュゲートによりインビトロ放出プロフィールが異なることを示している。