(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に、激甚災害が発生すると、この激甚災害の発生した地域の住人の安否確認のため、激甚災害地域への通話が殺到する。この結果、激甚災害地域への着信が規制され、輻輳が生じる事態が生じる場合がある。この場合、激甚災害地域への発信呼は、激甚災害地域での輻輳を回避するために、発信地域に近いエリアで、呼損にされ、輻輳トーキ接続される。激甚災害で輻輳が生じると、時間をおかずに再度発信する発信者も多く、通話システム全体としての負荷がさらに高まってしまう問題がある。
【0003】
図5を参照して、一般的な通話システム9を説明する。
図5に示す例で、B電話機101bは激甚災害地域に位置し、A電話機101a、C電話機101c、D電話機101dおよびE電話機101eは、激甚災害地域以外の地域に位置する。A電話機101a、B電話機101b、C電話機101c、D電話機101dおよびE電話機101eは、それぞれ、A交換機100a、B交換機100b、C交換機100c、D交換機100dおよびE交換機100eによって収容される。
【0004】
ここで、A電話機101a、C電話機101c、D電話機101dおよびE電話機101eは、B電話機101bに通話を試みる。A電話機101aがB電話機101bと通話している際、C電話機101cがB電話機101bに通話すると、B電話機101bがコールウェイティングサービスを享受できない場合などは、C電話機101cはB電話機101bと通話することはできない。また、激甚災害地域であるB電話機101bが収容されるB交換機100bへの通話が殺到するので、D電話機101dおよびE電話機101eのB電話機への通話は、接続規制され、輻輳トーキ接続される。
【0005】
また、通話システムにおいて、発信者は着信者に通話する際、原則、一対地分の通信帯域が確保されることが知られている。
【0006】
電話会議システムでは、一対地分の帯域で、複数の電話機との通話を実現することができる。電話会議システムでは、三者以上の通話をミキシングして出力することにより、一対地分の帯域で、三者以上の通話を可能とする(例えば、特許文献1参照。)。またコールウェイティング機能は、通話中に別の発信者からの着信があったことを知らせる機能で、通話者は、いずれの発信者と通話するかを、フックボタンなどにより切り替えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、激甚災害が発生した際、早く安否を確認するべく、早く円滑に通話したいという要望がある。通話回線や交換機などのリソースを、激甚災害時にも充分対応可能な程度に増やすことにより、この要望に応えることも可能である。しかしながらその実現のために、コストがかかる反面、コストをかけたとしても通常時は使われないことが多く、無駄が生じてしまう。
【0009】
また、輻輳地域の交換機を避けた経路を使うことにより、通話しやすい状態となる可能性もある。しかしながら通話の経路は、個々の交換機が保有しているため、各交換機における経路を変更することは困難な場合がある。
【0010】
従って本発明の目的は、激甚災害時に、効率よく複数の通話を処理可能な経路管理装置、交換機、通話方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、交換機に、通話のための経路データを提供する経路管理装置に関する。すなわち本発明の第1の特徴に係る経路管理装置は、第1の電話機から第2の電話機に接続する際に経由する交換機の識別子を対応づけるとともに、第3の電話機から第2の電話機に接続する際に経由する交換機の識別子を対応づけた経路データを記憶する記憶装置と、第2の電話機が激甚災害地域に位置する場合、第1の電話機から当該第2の電話機に接続するために、災害電話手段を提供する交換機を経由するように経路データを更新するとともに、第3の電話機から当該第2の電話機に接続するために、災害電話手段を提供する交換機を経由するように経路データを更新する経路更新手段と、第1の電話機が第2の電話機に接続する際、当該第1の電話機を収容する交換機に、災害電話手段を提供する交換機を経由して第2の電話機に接続するための経路データを送信するとともに、第3の電話機が第2の電話機に接続する際、当該第3の電話機を収容する交換機に、災害電話手段を提供する交換機を経由して第2の電話機に接続するための経路データを送信する経路提供手段と、を備える。災害電話手段を提供する交換機は、激甚災害地域以外に位置し、災害電話手段は、一対地分の帯域で複数の電話機の発信を集約して通話可能な手段である。
【0012】
ここで、災害電話手段は、第1の電話機の音声と第3の電話機の音声とをミキシングし、ミキシングした音声を第2の電話機に送信する電話会議手段を備えても良い。また災害電話手段は、第2の電話機に、第1の電話機および第3の電話機のいずれかを切り替えて着信させる通話切替手段を備えても良い。
【0013】
本発明の第2の特徴は、第1の電話機から第2の電話機への接続と、第3の電話機から第2の電話機への接続に用いられ、激甚災害地域以外に位置する交換機に関する。すなわち本発明の第2の特徴に係る交換機は、第2の電話機が激甚災害地域に位置する場合、災害電話手段を用いて第1の電話機から当該第2の電話機に接続するとともに、第3の電話機から第2の電話機に接続する災害電話手段とを備える。災害電話手段は、一対地分の帯域で、複数の電話機と通話可能な手段である。
【0014】
ここで災害電話手段は、第1の電話機の音声と第3の電話機の音声とをミキシングし、ミキシングした音声を第2の電話機に送信する電話会議手段を備えても良い。また災害電話手段は、第2の電話機に、第1の電話機および第3の電話機のいずれかを切り替えて着信させる通話切替手段を備えても良い。
【0015】
本発明の第3の特徴は、交換機と、当該交換機に、通話のための経路データを提供する経路管理装置とを備える通話システムにおいて用いられる通話方法に関する。ここで第1の電話機および第3の電話機は激甚災害地域以外に位置し、第2の電話機は激甚災害地域に位置する。本発明の第3の特徴に係る通話方法は、経路管理装置が、第1の電話機から当該第2の電話機に接続するために、災害電話手段を提供する交換機を経由するように経路データを更新するとともに、第3の電話機から当該第2の電話機に接続するために、災害電話手段を提供する交換機を経由するように経路データを更新するステップと、第1の電話機が第2の電話機に接続する際、経路管理装置が、当該第1の電話機を収容する交換機に、災害電話手段を提供する交換機を経由して第2の電話機に接続するための経路データを送信するステップと、第3の電話機が第2の電話機に接続する際、経路管理装置が、当該第3の電話機を収容する交換機に、災害電話手段を提供する交換機を経由して第2の電話機に接続するための経路データを送信するステップと、災害電話手段を提供する交換機は、災害電話手段を用いて第1の電話機からの発信を当該第2の電話機に接続するとともに、第3の電話機からの発信を第2の電話機に接続するステップとを備える。災害電話手段を提供する交換機は、激甚災害地域以外に位置し、災害電話手段は、1対地分の帯域で、複数の電話機と通話可能な手段である。
【0016】
本発明の第3の特徴は、コンピュータに本発明の第1の特徴または第2の特徴に記載の手段として機能させるためのプログラムに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、激甚災害時に、効率よく複数の通話を処理可能な経路管理装置、交換機、通話方法およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0020】
(実施の形態)
(通話システム)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る通話システム3を説明する。
図1に示す例において、波線は通話の流れを示し、実線は、経路データの流れを示す。
【0021】
通話システム3は、A電話機101a、B電話機101b、C電話機101c、D電話機101dおよびE電話機101eを、互いに通話可能に接続するためのシステムである。A電話機101a、B電話機101b、C電話機101c、D電話機101dおよびE電話機101eは、それぞれ、A交換機100a、B交換機100b、C交換機100c、D交換機100dおよびE交換機100eによって収容される。ここで、A電話機101a、B電話機101b、C電話機101c、D電話機101dおよびE電話機101eを特に区別しない場合、単に電話機101と称する場合がある。
【0022】
A交換機100a、B交換機100b、C交換機100c、D交換機100dおよびE交換機100eは、電話網2によって、相互に通信可能に接続される。この電話網2は、図示した交換機以外の交換機をさらに備え、交換機同士の通話を中継しても良い。ここで、A交換機100a、B交換機100b、C交換機100c、D交換機100dおよびE交換機100eを特に区別しない場合、単に交換機100と称する場合がある。
【0023】
図1に示す通話システムにおいて、A交換機100aは、災害電話手段を搭載する。ここで災害電話手段は、1対地分の帯域で、複数の電話機と通話可能な手段であって、具体的には、電話会議手段や、通話切替手段などである。
図1に示す例では、A交換機100aのみが災害電話手段を備える場合を説明するが、そのほかの交換機も、災害電話手段を備えても良い。
【0024】
本発明の実施の形態にかかる通話システム3は、経路管理装置1を備える。経路管理装置1は、各交換機に、各交換機が参照する経路データを提供する。本発明の実施の形態に係る経路管理装置1は特に、激甚災害が発生すると、この激甚災害地域宛の通話を、所定の災害電話手段を提供可能な交換機に集約するように経路データを変更し、各交換機に提供する。
【0025】
(通話方法)
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る通話システム3における通話方法を説明する。
図2に示す例では、A電話機101aがB電話機101bに電話をかけて通話を開始した後、C電話機101cがB電話機101bに電話をかける場合を説明する。ここで、A電話機101aおよびC電話機101cは、激甚災害地域以外に位置し、B電話機101bは、激甚災害地域に位置する。またA交換機100aが、災害電話手段を備えているとする。
【0026】
まずステップS1においてA電話機101aがB電話機101bに発信すると、A電話機101aを収容するA交換機100aが発信を受ける。A交換機100aは、ステップS2において経路管理装置1に、B電話機101bへの経路をリクエストする。ステップS2において経路管理装置1は、A交換機100aからB電話機101bへの経路を、A交換機100aに送信する。このとき経路管理装置1は、B電話機101bが設置された位置が、激震地域であるか否かも合わせて、A交換機100aに送信する。具体的には経路管理装置1は、B電話機101b宛の通話を、B交換機100bに転送することと、B電話機101bが激甚災害地域に位置することを、A交換機100aに送信する。
【0027】
A交換機100aは、経路管理装置1から応答を受信すると、この応答に基づいて、A電話機101aからの発信をB交換機100bに転送する。このとき、A交換機100aは災害電話手段を備えているので、ステップS4において、A電話機101aの発信先のB電話機101bが、激甚災害地域に位置するか否かを判定する。A交換機100aは、B電話機101bが激甚災害地域に位置する場合、災害電話手段を用いて、通話を転送し、激甚災害地域に位置しない場合、通常の手法に従って通話を転送する。
【0028】
さらにB電話機101bが激甚災害地域に位置する場合、ステップS5においてA交換機100aは、B電話機101bに、災害電話手段を使って発信するか否かを判定する。具体的には、B電話機101bの加入者情報等を参照して、B電話機101bの加入者との契約で、災害電話手段を利用可能か否かを判定する。利用可能な場合、ステップS6においてA交換機100aは、A電話機101aからの通話を、災害電話手段を利用してB交換機100bに転送する。このときA電話機101aは、B電話機101bが激甚災害地域に位置することを示す制御信号をSIP信号に付加する。この制御信号は、SIP信号の課金情報などに設定されても良い。
【0029】
このように、A交換機100aは、B電話機101bが激甚災害地域に位置し、災害電話手段を利用可能な場合、災害電話手段を使って、B電話機101bを収容するB交換機100bに発信を転送する。B交換機100bは、B電話機101b宛の発信を受信すると、ステップS7においてB電話機101bに発信を転送する。B電話機101bの加入者が呼び出しに応答することにより、A電話機101aおよびB電話機101bとで通話が成立する。
【0030】
ここで、さらにC電話機101cがB電話機101bに発信するとする。このとき、ステップS11においてC電話機101cを収容するC交換機100cが発信を受ける。C交換機100cは、ステップS12において経路管理装置1に、B電話機101bへの経路をリクエストする。ステップS13において経路管理装置1は、C交換機100cからB電話機101bへの経路を、C交換機100cに送信する。このとき経路管理装置1は、B電話機101bが設置された位置が、激震地域であるか否かも合わせて、C交換機100cに送信する。ここで経路管理装置1は、B電話機101b宛の通話を、A交換機100aに転送することと、B電話機101bが激甚災害地域に位置することを、C交換機100cに送信する。ここで、転送先のA交換機100aは、災害電話手段を有しており、C電話機101cの発信先のB電話機101bの発信を処理した交換機である。このように、経路管理装置1は、同じ電話機への複数の通話を、災害電話手段を備える所定の交換機に集約するように経路を送信する。
【0031】
C交換機100cは、経路管理装置1からの応答を受信すると、この応答に基づいて、ステップS14においてC電話機101cからの発信を、A交換機100aに転送する。このときC交換機100cは、発信先のB電話機101bが激甚災害地域に位置することを示す制御信号もSIP信号に付加して、A交換機100aに転送する。
【0032】
A交換機100aがC電話機101cからB電話機101b宛の通話を、C交換機100cから受信すると、ステップS15においてA交換機100aは、ステップS2ないしステップS5と同様に処理し、災害電話手段を使ってB交換機100bに転送する。B交換機100bは、B電話機101b宛の発信を受信すると、ステップS16においてB電話機101bに転送する。
【0033】
B電話機101bは、ステップS21において加入者からの操作に基づいて、通話する。例えば、電話会議手段を利用して通話する場合、B電話機101bは、A電話機101aおよびC電話機101cと三者同時に通話することができる。また通話切替手段を利用して通話する場合、B電話機101bは、フックボタンを操作して、A電話機101aおよびC電話機101cのいずれと通話するかを決定することができる。
【0034】
このように、経路管理装置1が、激甚災害地域への通話を、激甚災害地域以外に位置し、災害電話手段を提供可能な交換機に集約して呼を成立させる。ここで、災害電話手段として、電話会議手段や通話切替手段を用いることにより、一対地分の帯域で複数の電話機を集約して通話可能となる。これにより、激甚災害地域における通信帯域を節約するとともに、激甚災害地域の交換機の輻輳を回避することができる。
【0035】
さらに、災害電話手段として電話会議手段を用いることにより、複数の加入者が情報を共有することができるので、通話時間の短縮化、さらには、他の加入者が通話する機会を多く得ることができる。
【0036】
(経路管理装置)
図3を参照して、本発明の実施の形態に係る経路管理装置1を説明する。経路管理装置1は、交換機100に、通話のための経路データを提供する。経路管理装置1は、記憶装置10、処理制御装置20および通信インタフェース30を備える一般的なコンピュータである。一般的なコンピュータに所定の処理を実行するためのプログラムが実行されることにより、経路管理装置1は、
図3に示す各手段として機能する。
【0037】
記憶装置10は、経路データ11を記憶する。
【0038】
経路データ11は、各交換機が、通話の宛先となる電話機に発信を転送する際の経路を記憶するデータである。経路データ11は例えば、通話システム3の交換機の識別子と、この交換機が受信した発信の発信先の電話機の識別子と、この交換機がこの発信先の電話機に発信を転送する際の転送先の交換機の識別子とを対応づけたデータである。この電話機の識別子は、電話番号や、SIP−URLなどが相当する。また、経路データ11は、各電話機が接続するために経由する全ての交換機の識別子が対応づけられていても良い。発信を受けた交換機に、この交換機が次に転送するべき交換機の識別子を把握できれば、経路データ11はどのような形で保持されても良い。
【0039】
例えば、
図1および
図2に示す例において経路データ11は、A電話機101aからB電話機101bに接続する際に経由する交換機の識別子を対応づけるとともに、C電話機101cからB電話機101bに接続する際に経由する交換機の識別子を対応づける。
【0040】
処理制御装置20は、経路提供手段21および経路更新手段22を備える。
【0041】
経路提供手段21は、交換機100から、発信先の電話機101までの経路のリクエストを受信すると、この交換機100がこの電話機101に着信させるために、発信の転送先となる交換機の識別子を送信する。経路提供手段21は、記憶装置10から経路データ11を読み出し、リクエスト送信元の交換機の識別子および発信先の電話機の識別子から、次に転送する交換機の識別子を、経路として取得する。経路提供手段21は、取得した転送先の交換機の識別子を、リクエスト送信元の交換機に送信する。さらに経路提供手段21は、発信先の電話機が、激甚災害地域に位置するか否かもあわせて、リクエスト送信元の交換機に送信する。
【0042】
図2に示す例において、ステップS2において、A電話機101aからB電話機への経路をリクエストされた場合を説明する。経路提供手段21は、A電話機101aがB電話機101bに接続する際、A電話機を収容するA交換機100aに、災害電話手段を提供する交換機を経由してB電話機101bに接続するための経路データを送信する。ここで経路提供手段21は、A交換機100aが災害電話手段を備えるので、A交換機100aからB電話機101bに接続する経路データを送信する。
【0043】
図2に示す例において、ステップS12において、C電話機101cからB電話機101bへの経路をリクエストされた場合を説明する。経路提供手段21は、C電話機101cがB電話機101bに接続する際、C電話機101cを収容するC交換機100cに、B電話機101bに接続するための経路データを送信する。ここで経路提供手段21は、C交換機100cからA交換機100aを経由してB電話機101bに接続する経路データを送信するA交換機100aは、災害電話手段を有しており、C電話機101cの発信先のB電話機101bの発信を処理した交換機である。
【0044】
経路更新手段22は、激甚災害が発生すると、この激甚災害地域に位置する電話機宛の通話を、災害電話手段を備える交換機100に集約して発信を転送するように、経路データ11を更新する。B電話機101bが激甚災害地域に位置する場合、経路更新手段22は、A電話機101aからB電話機101bに接続するために、災害電話手段を提供する交換機を経由するように経路データ11を更新する。さらに経路更新手段22は、C電話機101cからB電話機101bに接続するために、この災害電話手段を提供する交換機を経由するように経路データ11を更新する。
【0045】
具体的には、A交換機100aが災害電話手段を提供するので、経路更新手段22は、A電話機101aからB電話機101bに接続するために、A交換機100aを経由するように経路データ11を更新する。また、経路更新手段22は、C電話機101cからB電話機101bに接続するために、A交換機100aを経由するように経路データ11を更新する。
【0046】
このように経路更新手段22は、激甚災害地域に位置する電話機ごとに、災害電話手段を提供する交換機を経由するように経路データを更新する。通話システム3が、災害電話手段を提供する複数の交換機を備える場合、これらの複数の交換機に、激甚災害地域に位置する複数の電話機を分散するように、経路データが更新されても良い。このとき、ロードバランス方式、ランドロビン方式などにより、負荷分散することが好ましい。
【0047】
例えば、激甚災害地域にB1電話機、B2電話機、B3電話機およびB4電話機が存在し、A1交換機、A2交換機が災害電話手段を提供する場合を考える。この場合経路更新手段22は、B1電話機およびB2電話機宛の発信は、A1交換機を経由し、B2電話機およびB3電話機宛の発信は、A2交換機を経由するように、経路データ11を更新する。
【0048】
このように、経路更新手段22は、激甚災害地域に位置する所定の電話機に、激甚災害地域以外に位置する複数の電話機が発信しても、災害電話手段を提供する同一の交換機を経由して、激甚災害地域に位置する電話機に着信するように、経路データ11を更新する。
【0049】
図1および
図2に示す例において、B電話機101bが激甚災害地域に位置する場合、経路更新手段22は、A電話機101aからB電話機101bに接続するために、災害電話手段を提供するA交換機100aを経由するように経路データ11を更新する。さらに経路更新手段22は、C電話機101cからB電話機101bに接続するために、この災害電話手段を提供するA交換機100aを経由するように経路データ11を更新する。
【0050】
(交換機)
図4を参照して、本発明の実施の形態に係る交換機100を説明する。交換機100は、経路管理装置1から提供される経路データに従って、発信を転送する。交換機100は、記憶装置110、処理制御装置120および通信インタフェース130を備える一般的なコンピュータである。一般的なコンピュータに所定の処理を実行するためのプログラムが実行されることにより、交換機100は、
図3に示す各手段として機能する。なお、
図4に示す例において、通常の交換機の機能や、データは割愛している。
【0051】
記憶装置110は、加入者情報データ111を備える。加入者情報データ111は、加入者識別子と、その加入者に提供可能なサービスを対応づけたデータである。加入者情報データ111は、交換機100が、加入者端末にサービスを提供するか否かを判定するために用いられる。
図4に示す例では、交換機100が加入者情報データ111を記憶する場合を説明したが、外部のサーバ等に記憶され、交換機100が、そのサーバにアクセスして加入者情報データ111を参照しても良い。
【0052】
処理制御装置120は、経路取得手段121、災害電話手段122を備える。
【0053】
経路取得手段121は、電話機101や交換機100から通話の発信を受信すると、発信先の電話機に転送するための経路データと、この発信先の電話機が激甚災害地域に位置するか否かの情報を経路管理装置1から取得する。発信先の電話機101が激甚災害地域でない場合、交換機100は通常の処理に基づいて発信を転送する。発信先の電話機101が激甚災害地域に位置する場合、災害電話手段122が、この発信を処理する。
【0054】
災害電話手段122は、複数の通話を重畳して、甚大地域に位置する電話機が、一対地分の帯域で、複数の電話機と通話可能となるように制御する。災害電話手段122は、電話会議手段123および通話切替手段124を備える。災害電話手段122は、電話会議手段123および通話切替手段124のうち、甚大地域に位置する電話機の加入者の操作で指定された手段によって、災害時の電話を制御しても良い。
【0055】
電話会議手段123は、甚大地域に位置する電話機が、複数の電話機と同時に通話するように、これらの電話機の音声をミキシングして、甚大地域に位置する電話機に音声を転送し、電話会議を実現する。災害電話手段122は、加入者情報データ111を参照して、甚大地域に位置する電話機が電話会議サービスを利用可能である場合に、この電話会議手段123によって、災害電話を実現する。
【0056】
図2に示す例において電話会議手段123は、A電話機101aおよびC電話機101cの音声をミキシングし、ミキシングした音声を、B交換機100bを経由してB電話機101bに送信する。
【0057】
通話切替手段124は、通話切替機能により、甚大地域に位置する電話機が、複数の電話機のいずれかと通話できるように、甚大地域に位置する電話機に音声を転送し、いずれかの電話機との通話を実現する。災害電話手段122は、加入者情報データ111を参照して、甚大地域に位置する電話機が通話切替機能を利用可能である場合に、この通話切替手段124によって、災害電話を実現する。通話切替手段124は、交換機100と発信先とを一対地分の帯域を確保し、この確保した帯域を使って複数の呼を切り替えて通話する。
【0058】
図2に示す例において通話切替手段124は、A電話機101aの発信をB交換機100bを経由してB電話機101bに転送した後、C電話機101cからの発信をB交換機100bを経由してB電話機101bに通知する。ここでB電話機101bがフックボタンを操作することなどによって、通話切替手段124は、B電話機101bに、A電話機101aおよびC電話機101cのいずれかに切り替えて通話させる。これによりB電話機101bは、一対地分の帯域で、A電話機101aまたはC電話機101cと通話することができる。
【0059】
ここで、災害電話手段122が、電話会議手段123および通話切替手段124のいずれを利用可能であるかは、激甚災害地域に位置する電話機における操作によって、設定されても良い。
【0060】
このように本発明の実施の形態によれば、経路管理システムが、各交換機の経路を管理し、激甚災害地域から離れた地点に位置する交換機に着信呼を集約させる。各交換機は、激甚災害地域の加入者への着信呼を、この交換機に集約させ、災害電話手段を用いて、発信者の回線を統合して、加入者に着信させる。これにより、着信交換機への回線を、発信者数分消費することなく、一対地の帯域で、複数の発信者と一人の着信者との通話を実現する。また、着信者側の交換機や回線の負荷が高くならないように制御するとともに、激甚災害地域の加入者と複数の発信者間での情報疎通を可能にすることができる。
【0061】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0062】
例えば、本発明の実施の形態に記載した経路管理装置は、
図3に示すように一つのハードウェア上に構成されても良いし、その機能や処理数に応じて複数のハードウェア上に構成されても良い。また、既存の情報処理システム上に実現されても良い。
【0063】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。