(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面とともに説明する。一例として、国際公開第2007/099976号パンフレット(特許文献1)に開示されるものと類似の半導体ウェハの研磨装置を取り挙げる。なお、添付図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、以下に説明される研磨装置において、ウェハの各搬送装置のウェハ把持機構に関する構造以外については、公知の構成または国際公開第2007/099976号パンフレットに開示されている構成を採用できるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0011】
図1は例示的な研磨装置の全体構成を示す平面図、
図2は
図1に示す研磨装置の概要を示す斜視図である。
図1に示すように、研磨装置は、略矩形状のハウジング1を備えており、ハウジング1の内部は隔壁1a,1b,1cによってロード/アンロード部2と研磨部3(3a,3b)と洗浄部4とに区画されている。これらのロード/アンロード部2、研磨部3a,3b、および洗浄部4は、それぞれ独立に組み立てられ、独立に排気されるものである。
【0012】
ロード/アンロード部2は、多数の半導体ウェハをストックするウェハカセットを載置する2つ以上(本実施形態では4つ)のフロントロード部20を備えている。これらのフロントロード部20は、研磨装置の幅方向(長手方向と垂直な方向)に隣接して配列されている。フロントロード部20には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。ここで、SMIF、FOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0013】
研磨部3は、半導体ウェハの研磨が行われる領域であり、第1研磨ユニット30Aと第2研磨ユニット30Bとを内部に有する第1研磨部3aと、第3研磨ユニット30Cと第4研磨ユニット30Dとを内部に有する第2研磨部3bとを備えている。これらの第1研磨ユニット30A、第2研磨ユニット30B、第3研磨ユニット30C、および第4研磨ユニット30Dは、
図1に示すように、装置の長手方向に沿って配列されている。
【0014】
図1に示すように、第1研磨ユニット30Aは、研磨面を有する研磨テーブル300Aと、半導体ウェハを保持しかつ半導体ウェハを研磨テーブル300Aに対して押圧しながら研磨するためのトップリング301Aと、研磨テーブル300Aに研磨液やドレッシング液(例えば、水)を供給するための研磨液供給ノズル302Aと、研磨テーブル300Aのドレッシングを行うためのドレッサ303Aと、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして、1または複数のノズルから研磨面に噴射するアトマイザ304Aとを備えている。また、同様に、第2研磨ユニット30Bは、研磨テーブル300Bと、トップリング301Bと、研磨液供給ノズル302Bと、ドレッサ303Bと、アトマイザ304Bとを備えており、第3研磨ユニット30Cは、研磨テーブル300Cと、トップリング301Cと、研磨液供給ノズル302Cと、ドレッサ303Cと、アトマイザ304Cとを備えており、第4研磨ユニット30Dは、研磨テーブル300Dと、トップリング301Dと、研磨液供給ノズル302Dと、ドレッサ303Dと、アトマイザ304Dとを備えている。
【0015】
第1研磨部3aの第1研磨ユニット30Aおよび第2研磨ユニット30Bと洗浄部4との間には、長手方向に沿った4つの搬送位置(ロード/アンロード部2側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4とする)の間でウェハを搬送する第1リニアトランスポータ5が配置されている。この第1リニアトランスポータ5の第1搬送位置TP1の上方には、ロード/アンロード部2の搬送ロボット22から受け取ったウェハを反転する反転機31が配置されており、その下方には上下に昇降可能なリフタ32が配置されている。また、第2搬送位置TP2の下方には上下に昇降可能なプッシャ33が、第3搬送位置TP3の下方には上下に昇降可能なプッシャ34がそれぞれ配置されている。なお、第3搬送位置TP3と第4搬送位置TP4との間にはシャッタ12が設けられている。
【0016】
また、第2研磨部3bには、第1リニアトランスポータ5に隣接して、長手方向に沿った3つの搬送位置(ロード/アンロード部2側から順番に第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7とする)の間でウェハを搬送する第2リニアトランスポ
ータ6が配置されている。この第2リニアトランスポータ6の第6搬送位置TP6の下方にはプッシャ37が、第7搬送位置TP7の下方にはプッシャ38が配置されている。なお、第5搬送位置TP5と第6搬送位置TP6との間にはシャッタ13が設けられている。
【0017】
洗浄部4は、研磨後の半導体ウェハを洗浄する領域であり、ウェハを反転する反転機41と、研磨後の半導体ウェハを洗浄する4つの洗浄機42〜45と、反転機41および洗浄機42〜45の間でウェハを搬送する搬送ユニット46とを備えている。これらの反転機41および洗浄機42〜45は、長手方向に沿って直列に配置されている。また、これらの洗浄機42〜45の上部には、クリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹き出している。また、洗浄部4の内部は、研磨部3からのパーティクルの流入を防止するために研磨部3よりも高い圧力に常時維持されている。
【0018】
図1に示すように、第1リニアトランスポータ5と第2リニアトランスポータ6との間には、第1リニアトランスポータ5、第2リニアトランスポータ6、および洗浄部4の反転機41の間でウェハを搬送するスイングトランスポータ(ウェハ搬送機構)7が配置されている。このスイングトランスポータ7は、第1リニアトランスポータ5の第4搬送位置TP4から第2リニアトランスポータ6の第5搬送位置TP5へ、第2リニアトランスポータ6の第5搬送位置TP5から反転機41へ、第1リニアトランスポータ5の第4搬送位置TP4から反転機41にそれぞれウェハを搬送できるようになっている。
【0019】
以下、それぞれの搬送機構について説明する。
スイングトランスポータ
スイングトランスポータ7について説明する。
図3は、洗浄部4の反転機41とともにスイングトランスポータ7を示す斜視図である。
図3に示すように、本実施形態におけるスイングトランスポータ7は、第1研磨部3aの筐体のフレーム102に設置されており、上下に延びる断面略コ字状のフレーム102の内部に配置されたロボシリンダ104と、ロボシリンダ104上を上下動するベースブラケット106と、ロボシリンダ104を上下動させるモータ107と、ベースブラケット106に取り付けられたモータカバー108と、モータカバー108内に収容されたモータの回転軸に取り付けられた旋回アーム110と、旋回アーム110の先端に取り付けられたウェハ把持機構112とを備えている。
【0020】
ウェハ把持機構112は、ウェハWの周縁を両側から把持する一対の把持部114と、把持部114のロッド114aをウェハWの径方向(矢印A)に開閉させる開閉機構116とを備えている。一対の把持部114は、ウェハWの中心を挟んで互いに対向するように配置されており、それぞれの把持部114の両端には、ウェハWの外周部に点接触するコマ(チャック機構)118がそれぞれ2つ設けられている。これらのコマ118は把持部114の両端から下方に突出して設けられている。
【0021】
開閉機構116は、例えばエアシリンダにより構成されており、把持部114を互いに近接する方向に移動させてウェハWを把持し、把持部114を互いに離間する方向に移動させてウェハWをリリースする。
図4は、把持部114を示す図であり、
図4(a)は把持部114の上面図、
図4(b)は把持部114の側面図、
図4(c)はコマ118の拡大側面図である。なお、
図4において、図示および説明の明瞭化のために、把持部114以外の構造を省略している。
図4(c)に示されるように、コマ118は異なる傾斜角のテーパー部120a、120bが形成されており、それぞれのテーパー部120a、120bにおいて、寸法の異なるウェハ(W1、W2)を支持することができる。そのため、
かかる実施形態のスイングトランスポータ7においては、寸法の異なるウェハを搬送することができる。なお、本実施形態では、それぞれの把持部114に2つのコマ118を設けた例を説明したが、これに限られるものではなく、それぞれの把持部114に3つ以上のコマ118を設けてもよい。
【0022】
このように、本実施形態のスイングトランスポータ7のウェハ把持機構112は、一対の把持部114を1方向に互いに反対向きに移動することによってウェハWの把持とリリースとを行っているため、確実にウェハWを把持することができる。
【0023】
ロボシリンダ104内にはボールねじとスライドガイドが設けられており、モータ107の駆動によりロボシリンダ104上のベースブラケット106が上下動するようになっている(矢印B)。これによりベースブラケット106とともにウェハ把持機構112が上下動するようになっており、フレーム102に沿ってウェハ把持機構112を上下動させる上下動機構がロボシリンダ104およびベースブラケット106によって構成されている。
【0024】
また、旋回アーム110は、モータカバー108内のモータの駆動により該モータの回転軸を中心として旋回するようになっている(矢印C)。これにより、ウェハ把持機構112が、第1リニアトランスポータ5、第2リニアトランスポータ6、および洗浄部4の反転機41の間で移動されるようになっており、フレーム102に隣接するモータ108の回転軸を中心としてウェハ把持機構112を旋回させる旋回機構がモータカバー108内のモータおよび旋回アーム110によって構成されている。なお、本実施形態では、フレーム102に隣接するモータカバー108内のモータの回転軸を中心としてウェハ把持機構112を旋回する例を説明したが、これに限られるものではなく、フレーム102を中心としてウェハ把持機構112を旋回してもよい。
【0025】
ウェハWを把持する場合には、把持部114を開いた状態で、把持部114のコマ118がウェハWの下方に位置するまでベースブラケット106を下降させる。そして、開閉機構116を駆動して把持部114を互いに近接する方向に移動させ、把持部114のコマ118の最内周部をウェハWの最外周よりも内側に位置させる。この状態で、ベースブラケット106を上昇させ、ウェハWを把持部114のコマ118に把持した状態で持ち上げる。本実施形態では、コマ118とウェハWとが点接触し、ウェハWの接触面積を極力小さくすることができるので、ウェハを把持する際にウェハWの表面に付着するごみを低減することができる。
リニアトランスポータ
次に、第1研磨部3aの第1リニアトランスポータ5について説明する。
図5は第1リニアトランスポータ5の正面図、
図6は
図5の平面図である。
図5および
図6に示すように、第1リニアトランスポータ5は、直線往復移動可能な4つの搬送ステージTS1,TS2,TS3,TS4を備えており、これらのステージは上下に2段の構成となっている。すなわち、下段には第1搬送ステージTS1、第2搬送ステージTS2、第3搬送ステージTS3が配置され、上段には第4搬送ステージTS4が配置されている。
【0026】
下段の搬送ステージTS1,TS2,TS3と上段の搬送ステージTS4とは、
図6の平面図上では同じ軸上を移動するが、設置される高さが異なっているため、下段の搬送ステージTS1,TS2,TS3と上段の搬送ステージTS4とは互いに干渉することなく自由に移動可能となっている。第1搬送ステージTS1は、反転機31とリフタ32とが配置された第1搬送位置TP1とプッシャ33が配置された(ウェハの受け渡し位置である)第2搬送位置TP2との間でウェハを搬送し、第2搬送ステージTS2は、第2搬送位置TP2とプッシャ34が配置された(ウェハの受け渡し位置である)第3搬送位置TP3との間でウェハを搬送し、第3搬送ステージTS3は、第3搬送位置TP3と第4搬
送位置TP4との間でウェハを搬送する。また、第4搬送ステージTS4は、第1搬送位置TP1と第4搬送位置TP4との間でウェハを搬送する。
【0027】
図6に示すように、各搬送ステージTS1,TS2,TS3,TS4には、それぞれ4本のピン50が固定されており、このピン50により搬送ステージに載置されたウェハの外周縁がガイドされて位置決めされた状態でウェハが搬送ステージ上に支持されるようになっている。これらのピン50は、ポリプロピレン(PP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂から形成される。また、各搬送ステージには、透過型センサなどによりウェハの有無を検知するセンサ(図示せず)が構成されており、各搬送ステージ上のウェハの有無を検知することができるようになっている。
【0028】
図7は、搬送ステージTSを示す図である、
図7(a)は搬送ステージSTの上面図、
図7(b)は搬送ステージSTの側面図、
図7(c)は搬送ステージSTのピン50の拡大側面図である。
図7(c)に示されるように、ピン50は異なる傾斜角のテーパー部50a、50bが形成されており、それぞれのテーパー部50a、50bおいて、寸法の異なるウェハ(W1、W2)を支持することができる。そのため、かかる実施形態のリニアトランスポータ5においては、寸法の異なるウェハを搬送することができる。
反転機
次に、第1研磨部3aの反転機31について説明する。第1研磨部3aの反転機31は、ロード/アンロード部2の搬送ロボット22のハンドが到達可能な位置に配置され、研磨前のウェハを搬送ロボット22から受け取り、このウェハの上下を反転してリフタ32に渡すものである。
【0029】
図8は反転機31を示す斜視図、
図9は
図8の平面図、
図10は
図8の側面図である。
図8から
図10に示すように、反転機31は、ウェハWの周縁を両側から把持する一対の円弧状の把持部310と、把持部310に取り付けられたシャフト314と、シャフト314をその軸方向に移動させ把持部310を開閉させる開閉機構312とを備えている。一対の把持部310は、ウェハWの中心を挟んで互いに対向するように配置されており、それぞれの把持部310の両端には、ウェハWの外周部に線接触するチャック部311がそれぞれ2つ設けられている。なお、本実施形態では、それぞれの把持部310に2つのチャック部311を設けた例を説明するが、これに限られるものではなく、それぞれの把持部310に3つ以上のチャック部311を設けてもよい。
【0030】
図11は、反転機31の開閉機構312を示す縦断面図である。
図11に示すように、開閉機構312は、それぞれのシャフト314および把持部310を閉方向に付勢する圧縮ばね315と、それぞれのシャフト314に連結されたスライド式エアシリンダ313とを備えている。この開閉機構312は、圧縮ばね315により把持部310を互いに近接する方向に移動させてウェハWを把持するようになっており、このときエアシリンダ313の可動部313aはメカストッパ317に当接するようになっている。また、開閉機構312は、エアシリンダ313の駆動により把持部310を互いに離間する方向に移動させてウェハWをリリースするようになっている。このときの状態を
図12に示す。
【0031】
すなわち、ウェハWを把持する場合には、片方のエアシリンダ313を加圧し、他方のエアシリンダ313は圧縮ばね315の付勢力のみによって閉じられる。このとき、加圧されたエアシリンダ313の可動部313aのみがメカストッパ317に押し付けられ、その位置に固定される。このとき、圧縮ばね315によって付勢される他方のエアシリンダ313に接続された把持部310の位置がセンサ319により検出される。ウェハWがない場合には、加圧されない方のエアシリンダ313はフルストローク位置にあり、センサ319の応答がないため、ウェハWが把持されていないことが検出される。
【0032】
上述したように、圧縮ばね315をウェハWの把持に用い、エアシリンダ313をウェハWのリリースに用いることにより、エアシリンダ313の空気圧によりウェハWが破損することを防止することができる。
【0033】
図8から
図10に示すように、開閉機構312には、ウェハWの中心軸と垂直な軸周りに回転する回転軸316が取り付けられている。この回転軸316は反転機構318に連結されており、反転機構318により回転されるようになっている。したがって、反転機構318が駆動されると、回転軸316を中心として開閉機構312および把持部310が回転し、把持部310に把持したウェハWが反転されるようになっている。
【0034】
図13は、チャック311の側面図である。
図13(a)は、ガラス基板Gに張り合わせた半導体ウェハWを反転する前の状態を示したており、
図13(b)は、反転した後の状態を示している。
図13に示すように、反転機31のチャック部311は、ウェハG,Wの径方向内側から外側に向かって次第に高くなる傾斜面311a(下側突起部)と、ウェハWの半径方向外側から内側に向かって次第に高くなる傾斜面311bとを備える。これらの傾斜面311a、311bの間にウェハG,Wが位置決めされる。
図13においては、ウェハWはガラス基板G上に接着されている。
図13(a)に示される反転前の状態では、ウェハWはガラス基板Gの上側に位置し、
図13(b)に示される反転後の状態では、ウェハWはガラス基板Gの下側に位置する。このとき、ウェハWがチャック311の傾斜面311a、311bに接触しないようにすることが望ましい。そこで、チャック311の傾斜面311a、311bは以下のように設定される。
【0035】
図14は、チャック311の傾斜面311bの傾斜角度θbを決定する方法を説明するための図である。
図14は、ガラス基板上GにウェハWが接着されたワークの断面を示している。ウェハG,Wの断面において、ガラス基板Gと半導体ウェハWに接する直線をL1とする。L1とガラス基板のなす角をθ1とする。L1とウェハWの接点を中心とし、半径Rの円を描く。この半径Rは、設計値として確保したい、傾斜面311bとウェハWとの間のクリアランスである。Rは、ウェハWをガラス基板G上へ接着するときの位置決め誤差を考慮して決められる。半径Rの円とガラス基板Gに接する直線をL2とする。L1とL2とがなす角をθ2とする。L2とウェハWの面に平行な直線が形成する角をθ3とする。このときに、傾斜面311bの傾斜角度θbをθ3以上90°未満(θ3≦θb<90°)に設定する。このようにθbを設定することで、傾斜面311bとウェハWとの間には、かならず設計値R以上のクリアランスが形成される。Rは、ウェハWをガラス基板G上へ接着するときの位置決め誤差を考慮して決定されるので、ウェハWをガラス基板G上へ接着するときに位置決め誤差があっても、傾斜面311bがウェハWに接触することはない。なお、傾斜面311aについても傾斜面311bと同様の考え方で決定でき
る。また、傾斜角度θbが90°以上となると、
図13(b)の状態では、傾斜面311bによりウェハWが支持されずにウェハWが反転機から落下する。よって、ウェハWの反転機からの落下防止のために、θbは90°未満にする。
【0036】
また、洗浄部4の反転機41についても、ウェハ保持構造を研磨部3の反転機31と同様に構成することができる。
リフタ
次に、第1研磨部3aのリフタ32について説明する。第1研磨部3aのリフタ32は、搬送ロボット22および第1リニアトランスポータ5がアクセス可能な位置に配置されており、これらの間でウェハを受け渡す受け渡し機構として機能する。すなわち、反転機31により反転されたウェハを第1リニアトランスポータ5の第1搬送ステージTS1または第4搬送ステージTS4に受け渡すものである。
【0037】
図15は、リフタ32を示す縦断面図である。
図16(a)はリフタ32のステージ322の上面図、
図16(b)はステージ322の側面図、
図16(c)はステージ322の爪325の部分拡大側面図である。リフタ32は、ウェハを載置するステージ322と、ステージ322の上昇下降動作を行うシリンダ323とを備えており、シリンダ323とステージ322とはスライド可能なシャフト324で連結されている。
図16(a)に示されるように、ステージ322は複数の爪325に分かれていて、それぞれの爪325はオリフラ付きウェハを載置した場合でも搬送に影響しない範囲内にウェハを保持できるような間隔で配置される。この爪325は反転機31のチャック部311と位相が一致しない向きに配置されている。つまりチャック部311がウェハを保持する第1のウェハエッジ部と、リフタ32の爪325が保持する第2のウェハエッジ部は一致しない。また、反転機31や第1リニアトランスポータ5とのウェハ受け渡しを行う爪325にはウェハが載置される面があり、それより上方はウェハが載置される際に搬送位置決め誤差を吸収し、ウェハを求芯するようにテーパ状になっている。
【0038】
図16(c)に示されるように、爪325はウェハ支持部材326を備える。好ましくは、ウェハ支持部材326は、エラストマ材料から形成されることが好ましい。より好ましくは、ウェハ支持部材326はデュロメータDスケール30から50、最も好ましくは40の硬度のエラストマ材料から形成することができる。
洗浄部の搬送ユニット
次に、洗浄部4の搬送ユニット46について説明する。
図17は、搬送ユニット46を示す斜視図である。
図17に示すように、搬送ユニット46は、洗浄機内のウェハを着脱自在に把持するウェハ把持機構としての4つのチャッキングユニット461〜464を備えており、これらのチャッキングユニット461〜464は、メインフレーム465から水平方向に延びるガイドフレーム466に取り付けられている。メインフレーム465には、鉛直方向に延びるボールねじ(図示せず)が取り付けられており、このボールねじに連結されたモータ468の駆動により、チャッキングユニット461〜464が上下に昇降するようになっている。したがって、モータ468およびボールねじは、チャッキングユニット461〜464を上下動させる上下動機構を構成する。
【0039】
また、メインフレーム465には、洗浄機42〜45の並びと平行に延びるボールねじ469が取り付けられており、このボールねじ469に連結されたモータ470の駆動により、メインフレーム465およびチャッキングユニット461〜464が水平方向に移動するようになっている。したがって、モータ470およびボールねじ469は、チャッキングユニット461〜464を洗浄機42〜45の配列方向(チャッキングユニット461〜464の配列方向)に沿って移動させる移動機構を構成する。
【0040】
本実施形態では、洗浄機42〜45と同数のチャッキングユニットを用いている。チャッキングユニット461,462とチャッキングユニット463,464とは基本的に同一構造であり、メインフレーム465に対して対称であるため、以下ではチャッキングユニット461,462についてのみ説明する。
【0041】
チャッキングユニット461は、ウェハWを保持する開閉自在の1対のアーム471a,471bを備え、チャッキングユニット462は1対のアーム472a,472bを備えている。それぞれのチャッキングユニットのアームには、少なくとも3つ(本実施形態では4つ)のチャックコマ473が設けられている。これらのチャックコマ473によりウェハWの周縁部を挟み込んで保持し、ウェハを次の洗浄機に搬送できるようになっている。チャックコマ473の構造を図とともに説明する。
図18は、チャックコマ473を説明する図である。
図18(a)は取り付け前のチャックコマ473を単体で示す斜視図である。
図18(b)はチャックコマ473の上面図、
図18(c)は
図18(b)の線分B−Bに沿った断面図である。
図18(c)に示されるように、チャックコマ473は
、寸法の異なるウェハを支持するための傾斜面473a、473bが形成される。そのため、アームの可動範囲を調整することなく、寸法の異なるウェハWを搬送することができる。
【0042】
図17に示すように、ガイドフレーム466には、チャッキングユニット461のアーム471a,471bとチャッキングユニット462のアーム472a,472bとを互いに近接する方向または互いに離間する方向に開閉するためのエアシリンダ474が設けられている。また、詳細には説明しないがエアシリンダ474の運動をアーム471a、471b、472a、472bへ伝達するリンク機構などが設けられる。したがって、エアシリンダ474によりアーム471a,471b,472a,472bを閉じることにより、ウェハWの端面をアーム471a,471b,472a,472bに挟み込んでウェハWを保持することができるようになっている。このように、エアシリンダ474は、各チャッキングユニット461〜464のアームを互いに近接する方向または互いに離間する方向に開閉する開閉機構を構成する。なお、各チャッキングユニットは、エアシリンダのストロークを検知することによってウェハの有無を検知可能となっている。なお、真空吸着によりウェハを保持することとしてもよく、この場合には、真空圧力を測定することによってウェハ有無の検知を行うことができる。
【0043】
また、チャッキングユニット461のアーム471a,471bとチャッキングユニット462のアーム472a,472bは、ガイドフレーム466に回転可能に設けられた回転軸475に取り付けられている。また、ガイドフレーム466には、回転軸475を中心としてこれらのアーム471a,471b,472a,472bを回転させるエアシリンダ476が設けられている。このエアシリンダ476のロッドの先端にはピン477を中心として回転可能なリンク部材478が設けられている。このリンク部材478はロッド479を介して回転軸475に連結されている。このように、エアシリンダ476、リンク部材478、およびロッド479は、各チャッキングユニット461〜464のアームを回転軸475を中心として回転させる回転機構を構成する。
【0044】
以上のように、本願発明の実施形態を説明してきたが、本願発明は以上の実施形態に限定されるものではない。たとえば、上述のスイングトランスポータ、リニアトランスポータ、反転機、リフタ、洗浄部の搬送ユニット等におけるウェハの把持機構の実施形態は、互いに矛盾しない限り交換可能である。
【0045】
たとえば、反転機の傾斜面311bの傾斜角度θbを決定する方法は、上述のスイングトランスポータ7のコマ118のテーパー部120a、120bの傾斜角度、リニアトランスポータ5のピン50のテーパー部50a、50bの傾斜角度、搬送ユニット46のチャッキングコマ473の傾斜部473a、473bの傾斜角度を決定する際に同様に適用できる。それぞれの傾斜角度をこのように決定することで、反転機の例で説明したのと同様に、ウェハWがガラス基板上に接合されている場合において、把持機構がウェハWに接触しないようにすることができる。