特許第6013894号(P6013894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013894
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】レーザー加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20161011BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20161011BHJP
   B23K 26/40 20140101ALI20161011BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B23K26/00 P
   B23K26/364
   B23K26/40
   H01L21/78 P
   H01L21/78 B
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-270939(P2012-270939)
(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公開番号】特開2014-113632(P2014-113632A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】重松 孝一
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−4822(JP,A)
【文献】 特開2006−140294(JP,A)
【文献】 特表2009−505843(JP,A)
【文献】 特開平7−116873(JP,A)
【文献】 特開2012−66281(JP,A)
【文献】 特開2004−111426(JP,A)
【文献】 特開2007−196274(JP,A)
【文献】 特開平10−314966(JP,A)
【文献】 特開2004−337943(JP,A)
【文献】 特開2002−331383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に単位レチクルをステップしながら複数のデバイスがストリートによって区画されて形成されたウエーハをレーザー加工するレーザー加工装置であって、
ウエーハを保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持されたウエーハにレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該被加工物保持手段と該レーザー光線照射手段とをX軸方向に相対的に加工送りするX軸移動手段と、該被加工物保持手段と該レーザー光線照射手段とをX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りするY軸移動手段と、該被加工物保持手段に保持されたウエーハに形成されたレーザー加工溝を撮像する撮像手段と、該撮像手段によって撮像されたレーザー加工溝に基づいてレーザー光線照射手段を診断する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、ウエーハを構成する基板に形成された複数の単位レチクルの座標値を記憶するメモリを備え、該撮像手段を作動してウエーハに形成されたレーザー加工溝における該メモリに記憶された複数の単位レチクルの少なくとも2か所の単位レチクルの同じ領域の特定座標領域を撮像せしめ、該撮像手段によって撮像された少なくとも2か所のレーザー加工溝の変化に基づいて該レーザー光線照射手段を自己診断し、診断結果を表示手段に表示する、
ことを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項2】
該レーザー加工溝の変化は、幅寸法の変化を検出する、請求項1記載のレーザー加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物にレーザー加工を施すためのレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体チップを製造している。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハをストリートに沿って分割する方法として、ウエーハに形成されたストリートに沿ってパルスレーザー光線を照射してアブレーション加工することによりレーザー加工溝を形成し、ウエーハをストリートに沿って分割する方法が提案されている。
【0004】
被加工物にレーザー加工を施すレーザー加工装置は、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、被加工物保持手段とレーザー光線照射手段とを加工送り方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、被加工物保持手段とレーザー光線照射手段とを加工送り方向に直交する割り出し送り方向に割り出し送りする割り出し送り手段を具備している。レーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振するレーザー光線発振手段と、該レーザー光線発振手段が発振したレーザー光線を集光して被加工物保持手段に保持された被加工物に照射する集光器と、レーザー光線発振手段と集光器との間に配設されレーザー光線の出力を調整する出力調整手段等の光学系と、から構成されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−253432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザー加工装置のレーザー光線照射手段を構成する光学系は、時間経過とともに劣化する宿命を負っている。
しかるに、レーザー光線照射手段を構成する光学系の劣化を検出することができないために被加工物の加工品質を低下させるという問題がある。
例えば、レーザー光線発振器を含むレーザー光線発振手段が劣化した場合に暫定的に出力調整手段を制御して出力を調整することにより被加工物の加工品質を維持することが可能であるが、劣化の度合いを知ることができないために、暫定的な対処でよいのか、レーザー光線発振器を交換する必要があるのかを判断することができず、なんら対処することなく被加工物の加工を継続して加工品質の低下を招くという問題がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、レーザー光線照射手段の劣化等を自己診断することができるレーザー加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、基板の表面に単位レチクルをステップしながら複数のデバイスがストリートによって区画されて形成されたウエーハをレーザー加工するレーザー加工装置であって、
ウエーハを保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持されたウエーハにレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該被加工物保持手段と該レーザー光線照射手段とをX軸方向に相対的に加工送りするX軸移動手段と、該被加工物保持手段と該レーザー光線照射手段とをX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りするY軸移動手段と、該被加工物保持手段に保持されたウエーハに形成されたレーザー加工溝を撮像する撮像手段と、該撮像手段によって撮像されたレーザー加工溝に基づいてレーザー光線照射手段を診断する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、ウエーハを構成する基板に形成された複数の単位レチクルの座標値を記憶するメモリを備え、該撮像手段を作動してウエーハに形成されたレーザー加工溝における該メモリに記憶された複数の単位レチクルの少なくとも2か所の単位レチクルの同じ領域の特定座標領域を撮像せしめ、該撮像手段によって撮像された少なくとも2か所のレーザー加工溝の変化に基づいて該レーザー光線照射手段を自己診断し、診断結果を表示手段に表示する、
ことを特徴とするレーザー加工装置が提供される。
【0009】
上記レーザー加工溝の変化は、幅寸法の変化を検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるレーザー加工装置は、被加工物保持手段に保持されたウエーハにレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該被加工物保持手段に保持されたウエーハに形成されたレーザー加工溝を撮像する撮像手段と、該撮像手段によって撮像されたレーザー加工溝に基づいてレーザー光線照射手段を診断する制御手段とを具備し、制御手段は、ウエーハを構成する基板に形成された複数の単位レチクルの座標値を記憶するメモリを備え、撮像手段を作動してウエーハに形成されたレーザー加工溝におけるメモリに記憶された複数の単位レチクルの少なくとも2か所の単位レチクルの同じ領域の特定座標領域を撮像せしめ、撮像手段によって撮像された少なくとも2か所のレーザー加工溝の変化に基づいてレーザー光線照射手段を自己診断し、診断結果を表示手段に表示するので、デバイスによるバラツキが生ずることなく、レーザー光線照射手段の劣化等を正確に判定することができる。この結果、暫定的に出力を調整したり、レーザー光線照射手段のレーザー光線発振器を交換して、加工品質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図。
図2図1に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段のブロック構成図。
図3図1に示すレーザー加工装置に装備される制御手段のブロック構成図。
図4】被加工物としての半導体ウエーハの斜視図。
図5図4に示す半導体ウエーハを環状のフレームに装着されたダイシングテープに貼着した状態を示す平面。
図6図4に示す半導体ウエーハが図1に示すレーザー加工装置の被加工物保持手段としてのチャックテーブルの所定位置に保持された状態における座標位置との関係を示す説明図。
図7図1に示すレーザー加工装置によって実施されるレーザー加工溝形成工程の説明図。
図8図1に示すレーザー加工装置によって実施されるレーザー加工溝確認工程によって表示手段に表示されるレーザー加工溝の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図が示されている。図1に示すレーザー加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動可能に配設され被加工物であるウエーハを保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2にX軸方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線照射ユニット支持機構4に矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
【0014】
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上にX軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上にX軸方向に移動可能に配設された第1の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上にY軸方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持されたカバーテーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、吸着チャック361上に被加工物である例えば円盤状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
【0015】
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面にY軸方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動させるためのX軸移動手段37を具備している。このX軸移動手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第1の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動せしめられる。
【0016】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記チャックテーブル36の加工送り量即ちX軸方向位置を検出するためのX軸方向位置検出手段374を備えている。X軸方向位置検出手段374は、案内レール31に沿って配設されたリニアスケール374aと、第1の滑動ブロック32に配設され第1の滑動ブロック32とともにリニアスケール374aに沿って移動する読み取りヘッド374bとからなっている。このX軸方向位置検出手段374の読み取りヘッド374bは、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の加工送り量即ちX軸方向の位置を検出する。なお、上記加工送り手段37の駆動源としてパルスモータ372を用いた場合には、パルスモータ372に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36の加工送り量即ちX軸方向の位置を検出することもできる。
【0017】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、Y軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動させるための第1のY軸移動手段38を具備している。この第1のY軸移動手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0018】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記第2の滑動ブロック33の割り出し加工送り量即ちY軸方向位置を検出するためのY軸方向位置検出手段384を備えている。このY軸方向位置検出手段384は、案内レール322に沿って配設されたリニアスケール384aと、第2の滑動ブロック33に配設され第2の滑動ブロック33とともにリニアスケール384aに沿って移動する読み取りヘッド384bとからなっている。このY軸方向位置検出手段384の読み取りヘッド384bは、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の割り出し送り量即ちY軸方向の位置を検出する。なお、上記第1のY軸移動手段38の駆動源としてパルスモータ382を用いた場合には、パルスモータ382に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36の割り出し送り量即ちY軸方向の位置を検出することもできる。
【0019】
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上にY軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一側面にZ軸方向に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動させるための第2のY軸移動手段43を具備している。この第2のY軸移動手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ネジロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0020】
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたレーザー光線照射手段52を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を上記案内レール423、423に嵌合することにより、Z軸方向に移動可能に支持される。
【0021】
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール423、423に沿ってZ軸方向に移動させるための集光点位置調整手段53を具備している。集光点位置調整手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51およびレーザー光線照射手段52を案内レール423、423に沿ってZ軸方向に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザー光線照射手段52を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段52を下方に移動するようになっている。
【0022】
図示のレーザー光線照射手段52は、上記ユニットホルダ51に固定され実質上水平に延出する円筒形状のケーシング521を含んでいる。このレーザー光線照射手段52について、図2を参照して説明する。
図示のレーザー光線照射手段52は、上記ケーシング521内に配設されたパルスレーザー光線発振手段522と、該パルスレーザー光線発振手段522によって発振されたパルスレーザー光線の出力を調整する出力調整手段523と、該出力調整手段523によって出力が調整されたパルスレーザー光線を上記チャックテーブル36の保持面に保持された被加工物Wに照射する集光器524を具備している。
【0023】
上記パルスレーザー光線発振手段522は、パルスレーザー光線を発振するパルスレーザー光線発振器522aと、パルスレーザー光線発振器522aが発振するパルスレーザー光線の繰り返し周波数を設定する繰り返し周波数設定手段522bとから構成されている。上記出力調整手段523は、パルスレーザー光線発振手段522から発振されたパルスレーザー光線の出力を所定の出力に調整する。これらパルスレーザー光線発振手段522のパルスレーザー光線発振器522a、繰り返し周波数設定手段522bおよび出力調整手段523は、図示しない後述する制御手段によって制御される。
【0024】
上記集光器524は、パルスレーザー光線発振手段522から発振され出力調整手段523によって出力が調整されたパルスレーザー光線をチャックテーブル36の保持面に向けて方向変換する方向変換ミラー524aと、該方向変換ミラー524aによって方向変換されたパルスレーザー光線を集光してチャックテーブル36に保持された被加工物Wに照射する集光レンズ524bを具備している。このように構成された集光器524は、図1に示すようにケーシング521の先端に装着される。
【0025】
図1に戻って説明を続けると、上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部には、レーザー光線照射手段52によってレーザー加工すべき加工領域を検出する撮像手段6が配設されている。この撮像手段6は、顕微鏡等の光学系と撮像素子(CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0026】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、図3に示す制御手段7を具備している。制御手段7はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)71と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)72と、後述する被加工物の設計値のデータや演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)73と、カウンター74と、入力インターフェース75および出力インターフェース76とを備えている。制御手段7の入力インターフェース75には、上記X軸方向位置検出手段374、Y軸方向位置検出手段384および撮像手段6等からの検出信号が入力されるとともに、入力手段77から入力信号が入力される。そして、制御手段7の出力インターフェース76からは、上記パルスモータ372、パルスモータ382、パルスモータ432、パルスモータ532、レーザー光線照射手段52のパルスレーザー光線発振器522a、繰り返し周波数設定手段522bおよび出力調整手段523等に制御信号を出力するとともに表示手段70に表示信号を出力する。
【0027】
次に、上述したレーザー加工装置を用いて被加工物としてのウエーハにレーザー加工溝を形成する方法について説明する。
図4には、被加工物としての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図4に示す半導体ウエーハ10は例えば厚みが200μmのシリコン基板の表面10aに単位レチクル100をステップしながら複数のデバイス101が複数の第1のストリート102と該第1のストリート102と直交する第2のストリート103によって区画されて形成されている。なお、単位レチクル100は、図示の実施形態においては複数の第1のストリート102および第2のストリート103によって区画された6個のデバイス101からなっている。
【0028】
上述した図4に示す半導体ウエーハ10は、図5に示すように環状のフレームFに装着されたダイシングテープTの表面に裏面が貼着される(ウエーハ貼着工程)。従って、ダイシングテープTの表面に貼着された半導体ウエーハ10は、表面10aが上側となる。
【0029】
上述したウエーハ貼着工程を実施したならば、図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブル36上に半導体ウエーハ10のダイシングテープT側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、ダイシングテープTを介して半導体ウエーハ10をチャックテーブル36上に吸引保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル36に保持された半導体ウエーハ10は、表面10aが上側となる。また、環状のフレームFは、クランプ362によって固定される。
【0030】
上述したように半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル36は、X軸移動手段37によって撮像手段6の直下に位置付けられる。このようにしてチャックテーブル36が撮像手段6の直下に位置付けられると、撮像手段6および制御手段7によって半導体ウエーハ10のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段6および制御手段7は、半導体ウエーハ10の所定方向に形成されている第1のストリート102と、該第1のストリート102に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52を構成する集光器524との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ10に形成されている上記第1のストリート102に対して直交する方向に延びる第2のストリート103に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。
【0031】
上述したようにアライメントが行われると、チャックテーブル36上の半導体ウエーハ10は、図6の(a)に示す座標位置に位置付けられた状態となる。なお、図6の(b)はチャックテーブル36即ち半導体ウエーハ10を図6の(a)に示す状態から90度回転した状態を示している。
【0032】
上述したように図6の(a)および図6の(b)に示す座標位置に位置付けられた状態の半導体ウエーハ10における複数の単位レチクル100の設計上の座標値が制御手段7のランダムアクセスメモリ(RAM)73に格納されている。そして、図6の(a)の状態においては単位レチクル100における同じ領域の第1のストリート102の複数の特定座標A1,A2,A3が選定されており、この特定座標A1,A2,A3がランダムアクセスメモリ(RAM)73に格納されている。また、図6の(b)の状態においては単位レチクル100における同じ領域の第2のストリート103の複数の特定座標B1,B2,B3が選定されており、この特定座標B1,B2,B3がランダムアクセスメモリ(RAM)73に格納されている。なお、単位レチクル100における同じ領域の第1のストリート102の複数の特定座標および第2のストリート103の複数の特定座標B1,B2,B3を選定するのは、単位レチクル100に含まれる複数のデバイス101はそれぞれ個性を持っており必ずしも同一ではないため、同じ個性を有するデバイスを区画する同じストリートを特定することにより、個性による加工のバラツキをなくすためである。
【0033】
上述した例においては、半導体ウエーハ10における複数の単位レチクル100の設計上の座標値と単位レチクル100における同じ領域の第1のストリート102の複数の特定座標A1,A2,A3および第2のストリート103の複数の特定座標B1,B2,B3が予め制御手段7のランダムアクセスメモリ(RAM)73に格納した例を示したが、チャックテーブル36に保持された半導体ウエーハ10における複数の単位レチクル100をオペレータが検出して入力手段77から特定座標を入力してもよい。
【0034】
以上のようにしてアライメント工程を実施したならば、チャックテーブル36を移動して図6の(a)において最下位の第1のストリート102をレーザー光線照射手段52の集光器524の直下に位置付ける。そして、更に図7の(a)で示すように第1のストリート102の一端(図7の(a)において左端)を集光器524の直下に位置付ける。そして、集光器524を通して照射されるパルスレーザー光線の集光点Pを半導体ウエーハ10の表面10a(上面)付近に位置付ける。
【0035】
次に、レーザー光線照射手段52を作動し集光器524を通してパルスレーザー光線を照射するとともに、X軸移動手段37を作動してチャックテーブル36を図7の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図7の(b)で示すようにレーザー光線照射手段52の集光器524の照射位置が第1のストリート102の他端(図7の(b)において右端)の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル36の移動を停止する(レーザー加工溝形成工程)。この結果、ウエーハ10には図7の(b)および(c)に示すように第1のストリート102に沿ってレーザー加工溝110が形成される。
【0036】
上記のレーザー加工溝形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
光源 :半導体励起固体レーザー(Nd:YAG)
波長 :355nm
繰り返し周波数 :100kHz
平均出力 :3W
集光スポット径 :φ10μm
加工送り速度 :100mm/秒
【0037】
以上のようにして、半導体ウエーハ10の図6の(a)において最下位の第1のストリート102に沿って上記レーザー加工溝形成工程を実施したならば、第1のY軸移動手段38を作動してチャックテーブル36を第1のストリート102の間隔だけY軸方向に移動して最下位から2本目の第1のストリート102をレーザー光線照射手段52の集光器524の直下に位置付ける。そして、最下位から2本目の第1のストリート102に沿って上記レーザー加工溝形成工程を実施する。
【0038】
このようにして、図6の(a)において最下位から2本目の第1のストリート102に沿って上記レーザー加工溝形成工程を実施したならば、X軸移動手段37を作動してチャックテーブル36に保持されている半導体ウエーハ10の特定座標A1を撮像手段6の直下に位置付ける。そして、制御手段7は撮像手段6を作動して特定座標A1に第1のストリート102に沿って形成されたレーザー加工溝110を撮像せしめ、撮像手段6は撮像した画像信号を制御手段7に送る。制御手段7は撮像手段6から送られた画像信号に基づいてレーザー加工溝110の幅寸法を求め、表示手段70に図8に示すようにレーザー加工溝110とともに幅寸法L A1を表示し、更に特定座標A1の幅寸法L A1としてランダムアクセスメモリ(RAM)73に格納する(レーザー加工溝確認工程)。
【0039】
以後、図6の(a)において最下位から3本目の第1のストリート102から順次最上位の第1のストリート102に向けて上記レーザー加工溝形成工程を実施し、特定座標A2が位置する第1のストリート102に沿ってレーザー加工溝形成工程を実施したならば、半導体ウエーハ10の特定座標A2を撮像手段6の直下に位置付け、上記レーザー加工溝確認工程を実施する。そして、特定座標A2におけるレーザー加工溝110とともに幅寸法L A2を表示手段70に表示し、更にランダムアクセスメモリ(RAM)73に格納する。このとき、上記特定座標A1におけるレーザー加工溝110の幅寸法L A1が例えば10μmで特定座標A2におけるレーザー加工溝110の幅寸法L A2が10μmである場合はレーザー加工溝110の変化がなく、制御手段7はレーザー光線照射手段52を構成する各要素は劣化していないと判断して上記レーザー加工溝形成工程を実施する。そして、特定座標A3が位置する第1のストリート102に沿ってレーザー加工溝形成工程を実施したならば、半導体ウエーハ10の特定座標A3を撮像手段6の直下に位置付け、上記レーザー加工溝確認工程を実施する。次に、特定座標A3におけるレーザー加工溝110とともに幅寸法L A3を表示手段70に表示し更にランダムアクセスメモリ(RAM)73に格納する。このとき、上記特定座標A3におけるレーザー加工溝110の幅寸法L A3が例えば9μmである場合はレーザー加工溝110の変化があり、制御手段7はレーザー光線照射手段52は劣化していると判断(自己診断工程)し、レーザー光線照射手段52の出力調整手段523からの出力が例えば3.2Wになるように制御するとともに、診断結果を表示手段70に表示する。以後、レーザー光線照射手段52の出力調整手段523からの出力を例えば3.2Wに調整した状態で図6の(a)において最上位の第1のストリート102に沿って上記レーザー加工溝形成工程を実施する。
【0040】
以上のようにして、半導体ウエーハ10の所定方向に延在する全ての第1のストリート102に沿って上記レーザー加工溝形成工程を実施したならば、チャックテーブル36を90度回動せしめて半導体ウエーハ10を図6の(b)に示す状態にし、第2のストリート103に沿って上記レーザー加工溝形成工程を実施するとともに、特定座標B1,B2,B3領域が位置する第2のストリート103に沿ってレーザー加工溝形成工程を実施した後に、それぞれ上記レーザー加工溝確認工程および自己診断工程を実施する。なお、レーザー加工溝確認工程および自己診断工程において前回の特定座標領域のレーザー加工溝110の幅寸法と今回検出した特定座標領域のレーザー加工溝110の幅寸法の差が例えば20%以上の場合には、制御手段7はレーザー光線照射手段52のパルスレーザー光線発振器522aが劣化して寿命に達していると判断し、表示手段70にその旨を表示する。
【0041】
上述した実施形態においては、単位レチクル100における同じ領域の第1のストリート102および第2のストリート103の特定座標A1,A2,A3および特定座標B1,B2,B3が選定され、この特定座標A1,A2,A3および特定座標B1,B2,B3がランダムアクセスメモリ(RAM)73に格納されており、該特定座標A1,A2,A3および特定座標B1,B2,B3が位置する第1のストリート102および第2のストリート103に沿ってレーザー加工溝形成工程が実施される都度、特定座標領域に形成されたレーザー加工溝110の幅寸法等の状態を検出するので、レーザー光線照射手段52の劣化等を正確に判定することができる。
なお、上述した実施形態においては、特定座標領域に形成されたレーザー加工溝110の幅寸法の減少によってレーザー光線照射手段52の劣化を判定した例を示したが、レーザー加工溝110の変化として周囲に飛散したデブリの減少を検出してレーザー光線照射手段52の劣化を判定してもよい。
【符号の説明】
【0042】
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:X軸移動手段
38:第1のY軸移動手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
43:第2のY軸移動手段
5:レーザー光線照射ユニット
52:レーザー光線照射手段
524:集光器
53:集光点位置調整手段
6:撮像手段
7:制御手段
70:表示手段
10:半導体ウエーハ
F:環状のフレーム
T:ダイシングテープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8