特許第6014224号(P6014224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014224クランプ回路、半導体装置、信号処理システム、及び信号クランプ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014224
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】クランプ回路、半導体装置、信号処理システム、及び信号クランプ方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/18 20060101AFI20161011BHJP
   H04N 5/16 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H04N5/18 A
   H04N5/16 A
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-174144(P2015-174144)
(22)【出願日】2015年9月3日
(62)【分割の表示】特願2011-72778(P2011-72778)の分割
【原出願日】2011年3月29日
(65)【公開番号】特開2016-7069(P2016-7069A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 敬紹
【審査官】 西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−225032(JP,A)
【文献】 特開昭63−261961(JP,A)
【文献】 特開昭60−241374(JP,A)
【文献】 特開平08−223449(JP,A)
【文献】 特開2000−278132(JP,A)
【文献】 特開平05−199431(JP,A)
【文献】 特開昭62−165482(JP,A)
【文献】 特開平11−146229(JP,A)
【文献】 特開2005−277858(JP,A)
【文献】 特開平06−164393(JP,A)
【文献】 特開平05−292345(JP,A)
【文献】 特開平07−015623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/18
H04N 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号が入力される第1の容量と電流供給源との間に配置された第1スイッチング素子と、
前記電流供給源と前記第1の容量との間に配置された第2スイッチング素子と、
前記信号が同期期間である場合に、前記第1スイッチング素子を接続する第1制御部と、
前記信号が前記同期期間である場合とバースト期間である場合に、前記第2スイッチング素子を接続する第2制御部と、
を備えたクランプ回路。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記同期期間の、前記第1の容量を介して入力される前記信号の電圧が第1基準電圧未満である場合に、前記第1スイッチング素子を接続し、
前記第2制御部は、前記同期期間である場合と前記バースト期間である場合の、前記信号が第2基準電圧未満の場合に、前記信号に応じて電圧情報を蓄積し、前記信号の電圧が前記第1基準電圧以上になった場合に、前記電圧情報に基づいて予め定められた期間、前記第2スイッチング素子を接続する、
請求項1に記載のクランプ回路。
【請求項3】
前記第1基準電圧は、前記第2基準電圧よりも大きい、請求項2に記載のクランプ回路。
【請求項4】
前記第2制御部は、前記電圧情報に応じた電荷を蓄積する容量蓄積部を備え、前記信号の電圧が前記第1基準電圧以上になった場合に、前記容量蓄積部に蓄積された電荷に基づいて予め定められた期間、前記第2スイッチング素子を接続する、請求項2または請求項3に記載のクランプ回路。
【請求項5】
前記第2制御部は、前記容量蓄積部が、一端が接地電位に接続されると共に、他端が第3スイッチング素子に接続された第2の容量であり、前記第2の容量に並列に接続された抵抗素子と、前記第2の容量と電源とを接続する前記第3スイッチング素子と、前記第2基準電圧と前記信号とを比較し、前記信号が前記第2基準電圧未満の場合に、前記第3スイッチング素子を接続する比較部と、を備えた、請求項4に記載のクランプ回路。
【請求項6】
前記第2制御部は、前記信号が前記第2基準電圧未満の場合に、前記第2スイッチング素子を接続する比較部と、充電期間に応じて入力される充電制御信号に基づいて、前記信号が前記比較部に入力されるように、前記比較部と前記第1の容量とを接続する第4スイッチング素子と、を備え、前記容量蓄積部は、一端が接地され、かつ他端が前記第4スイッチング素子と前記比較部との間に接続された第2の容量である、請求項4に記載のクランプ回路。
【請求項7】
前記第2制御部は、前記第2基準電圧と前記信号とを比較した比較結果に応じた信号を出力する比較部と、充電期間に応じて入力される充電制御信号の指示に基づいて、前記比較部から出力された比較結果を保持して出力する保持部と、を備えた、請求項2または請求項3に記載のクランプ回路。
【請求項8】
信号が入力される第1の容量と電気的に接続される第1端子と、
電流供給源と電気的に接続される第2端子と、
前記第1の容量と前記電流供給源との間に配置された第1スイッチング素子と、
前記電流供給源と前記第1の容量との間に配置された第2スイッチング素子と、
前記信号が同期期間である場合に、前記第1スイッチング素子を接続する第1制御部と、
前記信号が同期期間である場合とバースト期間である場合に、前記第2スイッチング素子を接続する第2制御部と、
を備えた半導体装置。
【請求項9】
信号が入力される第1の容量と、
前記第1の容量と電気的に接続される第1端子と、
電流供給源と、
前記電流供給源と電気的に接続される第2端子と、
前記第1の容量と前記電流供給源との間に配置された第1スイッチング素子と、
前記電流供給源と前記第1の容量との間に配置された第2スイッチング素子と、
前記信号が同期期間である場合に、前記第1スイッチング素子を接続する第1制御部と、
前記信号が同期期間である場合とバースト期間である場合に、前記第2スイッチング素子を接続する第2制御部と、
を備えた信号処理システム。
【請求項10】
第1の容量に入力される信号が同期期間である場合に、前記第1の容量と電流供給源との間に配置された第1スイッチング素子を第1制御部により接続する第1制御ステップと、
前記信号が同期期間である場合とバースト期間である場合に、前記電流供給源と前記第1の容量との間に配置された第2スイッチング素子を第2制御部により接続する第2制御ステップと、
を備えた信号クランプ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ回路、半導体装置、信号処理システム、及び信号クランプ方法、特に、ビデオ信号をクランプするためのクランプ回路、半導体装置、信号処理システム、及び信号クランプ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、信号としてビデオ信号の処理を行うアナログフロントエンドで使用されるクランプ回路が知られている。当該クランプ回路は、ビデオ信号波形に直流分を加えて、波形の所定の部分を一定の電圧に固定する機能を有しており、入力容量、定電流源、及び比較器で構成されている。比較器で、任意の参照電圧と端子電圧とを比較し、端子電圧の方が低い場合に定電流源を入力容量に接続して入力容量を充電する。
【0003】
図2にビデオ信号の一例を示す。ビデオ信号は、同期信号、バースト信号、及び映像信号から成る。図2のビデオ信号が入力される場合、クランプ回路は、最も電圧が低い同期信号が参照電圧に等しくなるよう充電を行い、クランプする。同期信号レベルが参照電圧に達すると、正常な画像信号が出力されるようになる。このようなクランプ回路として、例えば特許文献1が挙げられる。
【0004】
図20に基本的なクランプ回路の構成を示す。図20に示したクランプ回路1030は、比較器と、クランプ電流源と、制御スイッチと、を備えて構成されている。
【0005】
図20に示したクランプ回路1030の動作を説明する。制御スイッチは、入力端子とクランプ電流源とを接続し、スイッチがオンの場合に、入力容量に電流を供給する。比較器は入力端子電圧と参照電圧とを比較し、入力端子電圧の方が低い場合には、スイッチをオン状態にする。一方、入力端子電圧のほうが高い場合は、スイッチをオフ状態にする。
【0006】
しかしながらこの方式では、同期期間の入力端子電圧が参照電圧より低く、かつ同期期間以外のバースト信号または映像信号期間の入力端子電圧が参照電圧よりも高いとき、同期期間のみ充電が行われその他の期間は充電が行われない。例えば、日本等で利用されているNTSC(National Television Standards Committee)方式のビデオ信号では、水平同期信号周期が63.5μs、同期期間が約4.5μsであるため、充電が行われる時間は、4.5μs/63.5μs=7.1%となり、1周期当りの充電期間が短い。そのため、充電が完了するまでに多くの周期が必要になり、その結果、充電時間(充電開始から充電完了までの時間)が長くなるという問題がある。
【0007】
この問題に対して、入力容量を小さくすることで充電時間を短くできる。
【0008】
また、クランプ電流(入力容量の充電のために供給される電流)を増加させることで充電時間を短くできる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−4071号公報
【特許文献1】特開平05−292345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかながら、入力容量を小さくすることで充電時間を短くした場合、入力容量が小さくなると、クランプ時の入力端子のサグ(変動)が大きくなり、またノイズに対する入力端子電圧の安定性が低下するという問題が生じる。
【0011】
また、特許文献2に記載の技術のように、クランプ電流を増加させることで充電時間を短くした場合、クランプ電流は信号源側外部へ流れるために、信号源インピーダンスに対して電圧降下を発生する。この電圧降下は入力端子電圧を押し上げ、クランプ電流が流れなくなる瞬間に電圧降下が無くなり信号源の電位が変化し、同時に入力端子電圧が変化する。クランプ電流が大きいと、この電位の変化が大きいため、同期信号レベルと目標とするクランプ電圧との誤差が大きくなるという問題が生じる。
【0012】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、クランプ容量を小さくすること無く、かつ充電に要するクランプ電流を大きくすること無く、クランプ容量の充電に要する充電時間を短縮することができるクランプ回路、半導体装置、信号処理システム、及び信号クランプ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のクランプ回路は、信号が入力される第1の容量と電流供給源との間に配置された第1スイッチング素子と、前記電流供給源と前記第1の容量との間に配置された第2スイッチング素子と、前記信号が同期期間である場合に、前記第1スイッチング素子を接続する第1制御部と、前記信号が前記同期期間である場合とバースト期間である場合に、前記第2スイッチング素子を接続する第2制御部と、を備える。
【0014】
本発明の半導体装置は、信号が入力される第1の容量と電気的に接続される第1端子と、電流供給源と電気的に接続される第2端子と、前記第1の容量と前記電流供給源との間に配置された第1スイッチング素子と、前記電流供給源と前記第1の容量との間に配置された第2スイッチング素子と、前記信号が同期期間である場合に、前記第1スイッチング素子を接続する第1制御部と、前記信号が同期期間である場合とバースト期間である場合に、前記第2スイッチング素子を接続する第2制御部と、を備える。
【0015】
本発明の信号処理システムは、信号が入力される第1の容量と、前記第1の容量と電気的に接続される第1端子と、電流供給源と、前記電流供給源と電気的に接続される第2端子と、前記第1の容量と前記電流供給源との間に配置された第1スイッチング素子と、前記電流供給源と前記第1の容量との間に配置された第2スイッチング素子と、前記信号が同期期間である場合に、前記第1スイッチング素子を接続する第1制御部と、前記信号が同期期間である場合とバースト期間である場合に、前記第2スイッチング素子を接続する第2制御部と、を備える。
【0016】
本発明の信号クランプ方法は、第1の容量に入力される信号が同期期間である場合に、前記第1の容量と電流供給源との間に配置された第1スイッチング素子を第1制御部により接続する第1制御ステップと、前記信号が同期期間である場合とバースト期間である場合に、前記電流供給源と前記第1の容量との間に配置された第2スイッチング素子を接続する第2制御ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、クランプ容量を小さくすること無く、かつ充電に要するクランプ電流を大きくすること無く、クランプ容量の充電に要する充電時間を短縮することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施の形態に係るクランプ回路を備えた信号処理システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。
図2】第1の実施の形態に係る信号処理システムで処理されるビデオ信号の具体的一例を示す説明図である。
図3】第1の実施の形態に係るクランプ回路の具体的一例を示す回路図である
図4】第1の実施の形態に係る入力容量C1の充電が未完了な場合のクランプ回路におけるクランプ動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】第1の実施の形態に係る入力容量C1の充電が未完了な場合のクランプ回路の各ノード電圧の一例を示す説明図である。
図6】第1の実施の形態に係る入力容量C1の充電が完了している場合のクランプ回路におけるクランプ動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】第1の実施の形態に係る入力容量C1の充電が完了している場合のクランプ回路の各ノード電圧の一例を示す説明図である。
図8】第2の実施の形態に係るクランプ回路を備えた信号処理システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。
図9】第2の実施の形態に係るクランプ回路の具体的一例を示す回路図である。
図10】第2の実施の形態に係る入力容量C1の充電が未完了な場合のクランプ回路におけるクランプ動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】第2の実施の形態に係る入力容量C1の充電が未完了な場合のクランプ回路の各ノード電圧の一例を示す説明図である。
図12】第2の実施の形態に係る入力容量C1の充電が完了している場合のクランプ回路におけるクランプ動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】第2の実施の形態に係る入力容量C1の充電が完了している場合のクランプ回路の各ノード電圧の一例を示す説明図である。
図14】第3の実施の形態に係るクランプ回路を備えた信号処理システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。
図15】第3の実施の形態に係るクランプ回路の具体的一例を示す回路図である。
図16】第3の実施の形態に係る入力容量C1の充電が未完了な場合のクランプ回路におけるクランプ動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図17】第3の実施の形態に係る入力容量C1の充電が未完了な場合のクランプ回路の各ノード電圧の一例を示す説明図である。
図18】第3の実施の形態に係る入力容量C1の充電が完了している場合のクランプ回路におけるクランプ動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図19】第3の実施の形態に係る入力容量C1の充電が完了している場合のクランプ回路の各ノード電圧の一例を示す説明図である。
図20】従来のクランプ回路の具体的一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施の形態]
【0020】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態のクランプ回路及び当該クランプ回路を備えたLSI(半導体集積回路:半導体装置)の信号処理システムについて詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施の形態の信号処理システムの構成について説明する。本実施の形態の信号処理システムの概略構成の一例を図1に示す。図1に示した本実施の形態の信号処理システム10は、信号源からノードN1を介してビデオ信号が入力される入力容量C1と、入力容量C1からノードN2を介して入力された信号をクランプするクランプ回路30(詳細後述)、クランプ回路30のノードN3にクランプ参照電圧を供給し、またノードN6に参照電圧を供給する参照電圧源24、及びノードN2を介して入力されたクランプされた信号に対して所定の映像処理を施す次段回路26が同一の基板22上に形成されたLSI20と、を備えて構成されている。
【0022】
本実施の形態の信号処理システム10で処理するビデオ信号の具体的一例を図2に示す。当該ビデオ信号は、コンポジットビデオ信号であり、図2に示すように、1周期が同期信号(同期期間)と、バースト信号(バースト信号期間)と、映像信号(映像信号期間)とから成る複数周期の信号である。同期信号は、走査の位置とタイミングを決めるための信号であり、バースト信号は、色相の基準となる信号である。
【0023】
本実施の形態のクランプ回路30の具体的一例の回路図を図3に示す。本実施の形態のクランプ回路30は、当該ビデオ信号の直流成分を映像信号に付加する機能を有しており、同期信号の底部をクランプ参照電圧に固定するものである。クランプ回路30は、入力容量C1に充電用のクランプ電流を供給する電流源I1が接続されるノードN0と、ノードN2と、を接続するスイッチング回路34と、第1制御回路32と、第2制御回路36と、を備えて構成されている。
【0024】
スイッチング回路34は、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2を含んで構成されている。第1制御回路32は、ノードN3に入力されるクランプ参照電圧(以下、クランプ参照電圧V(N3)という)と、ノードN2の信号電圧(以下、電圧V(N2)という)とを比較し、クランプ参照電圧の方が高い場合に、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1をオンにするよう制御信号(Hレベルの信号でスイッチング素子SW1がオン)を制御ノードN4に出力する比較器X1を備えて構成されている。一方、第2制御回路36は、スイッチング素子SW2を制御する制御信号(Hレベルの信号でスイッチング素子SW2がオン)が出力される制御ノードN5と接地電位Vssとの間を接続する容量C2と、容量C2と並列に接続された抵抗R1と、電源電位Vddと制御ノードN5とを接続するスイッチング素子SW3と、ノードN6に入力される参照電圧(以下、参照電圧V(N6)という)とノードN2の信号電圧とを比較し、参照電圧の方が高い場合に、スイッチング素子SW3をオンにするよう制御信号(Hレベルの信号でスイッチング素子SW3がオン)を制御ノードN7に出力する比較器X2と、を備えて構成されている。なお、本実施の形態では、参照電圧は、クランプ参照電圧よりも電圧値が小さい電圧に設定されている(詳細後述)。
【0025】
次に、本実施の形態のクランプ回路30によるクランプ動作及び各ノード(制御ノード含む)の電圧について説明する。
【0026】
まず、入力容量C1の充電が未完了な場合におけるクランプ動作及び各ノード電圧について説明する。図4に、入力容量C1の充電が未完了な場合のクランプ回路30におけるクランプ動作の流れの一例のフローチャートを示す。また、図5に、クランプ回路30の各ノード電圧の一例を示す。
【0027】
図5に示すように、入力容量C1の充電が未完了な場合は、同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い。
【0028】
クランプ回路30の第1制御回路32の動作について説明する。比較器X1が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)とノードN2の電圧V(N2)とを比較する(図4:ステップ100)。同期期間は、クランプ参照電圧V(N3)がノードN2の電圧V(N2)以上であるため(図4:ステップ102)比較器X1から制御ノードN4にHレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW1がオン状態になる(図4:ステップ104、図5:タイミングt1a)。
【0029】
一方、クランプ回路30の第2制御回路36の動作について説明する。比較器X2が、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN2の電圧V(N2)とを比較する(図4:ステップ200)。同期期間は、参照電圧V(N6)がノードN2の電圧V(N2)以上であるため(図4:ステップ202)比較器X2から制御ノードN7にHレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW3がオン状態になる(図4:ステップ204、図5:タイミングt1a)。
【0030】
スイッチング素子SW3がオン状態になることにより、第2制御回路36では、電源電位Vddと容量C2とが接続された状態になり、容量C2が充電される。また、制御ノードN5の電圧V(N5)が制御信号としてスイッチング回路34のスイッチング素子SW2に出力される(図4:ステップ206、図5:タイミングt1a)。
【0031】
本実施の形態のクランプ回路30では、具体的一例として、スイッチング素子SW1、SW2、SW3として、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)トランジスタを用いており、制御ノードN5の電圧V(N5)がMOSトランジスタの閾値電圧Vtをこえるまではスイッチング素子SW2はオフ状態を保持する(図4:ステップ208で否定、図5:タイミングt1a〜t2aの期間)。制御ノードN5の電圧V(N5)がMOSトランジスタの閾値電圧Vtをこえると(図4:ステップ208で肯定、図5:タイミングt2a)スイッチング素子SW2はオン状態になる(図4:ステップ210、図5:タイミングt2a)。
【0032】
このように、タイミングt1aで第1制御回路32により制御されるスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。また、タイミングt2aで第2制御回路36により制御されるスイッチング素子SW2もオン状態になり、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0033】
ビデオ信号の同期期間中は、ノードN2の電圧V(N2)<参照電圧V(N6)<クランプ参照電圧V(N3)であるため(図4:ステップ106で肯定及びステップ212で肯定、図5タイミングt1a〜t3aの期間)、制御ノードN4の電圧V(N4)及び制御ノードN5の電圧V(N5)は、Hレベルとなり、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2がオン状態になり、電流源I1から供給される電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0034】
ビデオ信号の同期期間が終了しバースト信号期間及び映像信号期間(図5:タイミングt3a〜)になると、参照電圧V(N6)<クランプ参照電圧V(N3)<ノードN2の電圧V(N2)となる(図4:ステップ106で否定及びステップ212で否定)ため、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力する。これにより、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1はオフ状態になる(図4:ステップ108、図5:タイミングt3a)。
【0035】
一方、第2制御回路36では、比較器X2は、Lレベルの制御信号を制御ノードN7に出力する。これにより、スイッチング素子SW3はオフ状態になる(図4:ステップ214、図5:タイミングt3a)。スイッチング素子SW3がオフ状態になると、容量C2の両極の電荷は抵抗R1によって放電される(図4:ステップ216)。容量C2の放電により、制御ノードN5の電圧V(N5)は、Hレベルから接地電位Vssに、所定の時間(例えば、容量C2に蓄積される電荷量等に基づいて予め得られている時間)かけて遷移する。ここで、制御ノードN5の電圧V(N5)が、スイッチング素子SW2の閾値電圧Vt以上の場合(図4:ステップ218で肯定)は、スイッチング素子SW2はオン状態を保持し、電流源I1から供給される電流I1により、入力容量C1が充電される。一方、制御ノードN5の電圧V(N5)が、スイッチング素子SW2の閾値電圧Vt未満になった場合(図4:ステップ218で否定、図5:タイミングt4a)は、スイッチング素子SW2はオフ状態(図4:ステップ220)になり、ノードN2には、電流源I1から電流が供給されなくなり、従って、入力容量C1の充電が停止する。
【0036】
次に、入力容量C1の充電が完了している場合におけるクランプ動作及び各ノード電圧について説明する。図6に、入力容量C1の充電が完了している場合のクランプ回路30におけるクランプ動作の流れの一例のフローチャートを示す。また、図7に、クランプ回路30の各ノード電圧の一例を示す。
【0037】
図7に示すように、入力容量C1の充電が完了している場合は、同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも高く、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い。
【0038】
クランプ回路30の第1制御回路32の動作について説明する。比較器X1が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)とノードN2の電圧V(N2)とを比較する(図6:ステップ150)。同期期間は、クランプ参照電圧V(N3)がノードN2の電圧V(N2)以上であるため(図6:ステップ152)比較器X1から制御ノードN4にHレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW1がオン状態になる(図6:ステップ154、図7:タイミングt1b)。
【0039】
一方、クランプ回路30の第2制御回路36の動作について説明する。比較器X2が、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN2の電圧V(N2)とを比較する(図6:ステップ250)。入力容量C1の充電が完了している状態では、参照電圧V(N6)がノードN2の電圧V(N2)よりも小さいため(図6:ステップ252)比較器X2から制御ノードN7にLレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW3がオフ状態を保持する(図6:ステップ254、図7:タイミングt1b)。
【0040】
スイッチング素子SW3がオフ状態であるため、スイッチング回路34のスイッチング素子SW2に出力される制御ノードN5の電圧V(N5)は、Lレベルを保持し(図6:ステップ256)、従って、スイッチング素子SW2もオフ状態を保持する(図6:ステップ258、図7:タイミングt1b)。
【0041】
このように、タイミングt1bで第1制御回路32により制御されるスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。一方、第2制御回路36により制御されるスイッチング素子SW2はオフ状態を保持するが、スイッチング素子SW1がオン状態であることにより、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0042】
ビデオ信号の同期期間中は、参照電圧V(N6)<ノードN2の電圧V(N2)<クランプ参照電圧V(N3)であるため(図6:ステップ156で肯定、図7:タイミングt1b〜t2bの期間)、制御ノードN4の電圧V(N4)はHレベル、制御ノードN5の電圧V(N5)はLレベルとなり、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオン状態になり、スイッチング素子SW2がオフ状態を保持する。これにより、電流源I1から供給される電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0043】
ビデオ信号の同期期間が終了しバースト信号期間及び映像信号期間(図7:タイミングt2b〜)になると、参照電圧V(N6)<クランプ参照電圧V(N3)<ノードN2の電圧V(N2)となる(図6:ステップ156で否定)ため、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力する。これにより、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1はオフ状態になる(図6:ステップ158、図6:タイミングt2b)。
【0044】
一方、第2制御回路36では、制御ノードN7はLレベルの制御信号を保持するため、スイッチング素子SW3はオフ状態を保持し、スイッチング素子SW2もオフ状態を保持する(図6:ステップ258、図7:タイミングt2b〜)。
【0045】
このようにバースト信号期間及び映像信号期間は、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2ともに、オフ状態であるため、電流源I1から電流I1が供給されず、入力容量C1は充電されない。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態の信号処理システム10の半導体装置20におけるクランプ回路30は、第1制御回路32、スイッチング回路34、第2制御回路36を備えている。スイッチング回路34は、電流源I1とノードN2(入力容量C1)との間に、並列に接続され、かつHレベルの制御信号でオン状態になるスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2を備えている。第1制御回路32は、比較器X1を備えており、ノードN2の電圧V(N2)とノードN3のクランプ参照電圧V(N3)とを比較して、電圧V(N2)≦クランプ参照電圧V(N3)の場合に、制御ノードN4にHレベルの制御信号を出力する。また、第2制御回路36は、比較器X2、一端が接地電位Vssに接続された容量C2、容量C2と並列に接続された抵抗R1、及び容量C2の他端と電源電位Vddとを接続し、かつHレベルの制御信号でオン状態になるスイッチング素子SW3を備えている。比較器X2は、ノードN2の電圧V(N2)とノードN6の参照電圧V(N6)とを比較して、電圧V(N2)≦参照電圧V(N6)の場合に、制御ノードN7にHレベルの制御信号を出力する。また、スイッチング素子SW3と容量C2との中間ノードの信号電圧が制御ノードN5に制御信号として出力される。
【0047】
同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い、入力容量C1の充電が未完了な場合は、同期期間では、第1制御回路32の比較器X1は、Hレベルの制御信号を制御ノードN4に出力し、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオン状態になる。また、第2制御回路36の比較器X2は、Hレベルの制御信号を制御ノードN7に出力し、スイッチング素子SW3がオン状態になり、電源電位Vddと容量C2とが接続され、容量C2の充電が行われるとともに、制御ノードN5の信号がスイッチング回路34のスイッチング素子SW2の閾値電圧Vtを越えると、スイッチング素子SW2がオン状態になる。同期期間では、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2がオン状態になり、電流源I1から供給された電流(クランプ電流)I1がノードN2に供給され、入力容量C1が充電される。
【0048】
また、同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間では、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力し、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオフ状態になる。また、第2制御回路36の比較器X2は、Lレベルの制御信号を制御ノードN7に出力し、スイッチング素子SW3がオフ状態になり、電源電位Vddと容量C2とが非接続になる。容量C2の両端の電荷が放電され、制御ノードN5の電圧V(N5)がスイッチング素子SW2の閾値電圧Vt未満になるまでの期間、スイッチング素子SW2はオン状態を保持し、電流源I1から供給された電流(クランプ電流)I1がノードN2に供給され、入力容量C1が充電される。
【0049】
このように、バースト信号期間及び映像信号期間において、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオフ状態になった後でも、制御ノードN5の電圧V(N5)がスイッチング素子SW2の閾値電圧Vt未満になるまでの期間、スイッチング素子SW2はオン状態を保持し、電流I1により入力容量C1が充電されるため、ビデオ信号の1周期当りの入力容量C1の充電期間を延長することができ、入力容量C1の充電が完了するまでに要するビデオ信号の周期の数を少なくすることができる。
【0050】
従って、本実施の形態では、入力容量C1の容量を小さくすること無く、かつ充電に要するクランプ電流I1を大きくすること無く、入力容量C1の充電に要する充電時間を短縮することができる。
【0051】
また、1周期における充電期間の延長幅(延長期間)は、容量C2の容量値及び抵抗R1の抵抗値の設定により任意に変更することができ、他の制御信号(例えば、クランプ回路30の外部から入力される制御信号等)を必要としない。
【0052】
また、本実施の形態のクランプ回路30では、同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも高く、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い、入力容量C1の充電が完了している場合は、同期期間では、第1制御回路32の比較器X1は、Hレベルの制御信号を制御ノードN4に出力し、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオン状態になる。また、第2制御回路36の比較器X2は、Lレベルの制御信号を制御ノードN7に出力し、スイッチング素子SW3はオフ状態を保持し、制御ノードN5に出力される制御信号もLレベルであるため、スイッチング素子SW2はオフ状態を保持する。同期期間では、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給された電流(クランプ電流)I1がノードN2に供給され、入力容量C1が充電される。
【0053】
また、同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間では、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力し、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオフ状態になる。一方、第2制御回路36では、制御ノードN7及び制御ノードN5に出力される制御信号はともにLレベルのままであるため、スイッチング素子SW2はオフ状態を保持する。
【0054】
このように、入力容量C1の充電が完了している場合は、同期期間において第2制御回路36では、スイッチング素子SW3がオフ状態を保持するため、容量C2の充電を行わない。そのため、同期期間が終了すると、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2ともオフ状態となり、入力容量C1の充電が行われない。すなわち、本実施の形態では、クランプ参照電圧V(N3)よりも参照電圧V(N6)の方が小さく、具体的には、クランプ後のノードN2の電圧V(N2)の同期期間の最低電圧(図7参照)未満に設定しているため、第2制御回路36では、制御ノードN5の制御信号が常にLレベルとなり、スイッチング素子SW2がオフ状態を保持する。
【0055】
従って、同期期間のみ入力容量C1の充電が行われるため、入力容量C1の過充電を防止できる。
【0056】
なお、本実施の形態では、具体的一例として第2制御回路36を、抵抗R1、容量C2、及びスイッチング素子SW3により構成したがこれに限らず、カウンタを利用した回路等、任意の一定期間、スイッチング素子SW2の制御レベルを保持することができる回路であればよく、その構成は特に限定されるものではない。
【0057】
[第2の実施の形態]
【0058】
以下、図面を参照して本発明の第2の実施の形態の信号処理システム(半導体装置、クランプ回路)及びクランプ動作について詳細に説明する。なお、本実施の形態の信号処理システム(半導体回路、クランプ回路)及びクランプ動作は、第1の実施の形態と略同一の構成・動作を含むため、第1の実施の形態と略同一の構成・動作である部分にはその旨を示して同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0059】
まず、本実施の形態の信号処理システムの構成について説明する。本実施の形態の信号処理システムの概略構成の一例を図8に示す。図8に示した本実施の形態の信号処理システム40は、信号処理システム40における半導体装置42のクランプ回路44の第2制御回路46の構成及び動作が、第1の実施の形態の信号処理システム10における半導体装置20のクランプ回路30の第2制御回路36と、異なっている。また、本実施の形態の半導体装置42は、第2制御回路46に制御信号を出力する制御信号源43を備えている。
【0060】
本実施の形態のクランプ回路44の具体的一例の回路図を図9に示す。本実施の形態のクランプ回路44は、上述したように、第2制御回路46の構成及び動作が第1の実施の形態のクランプ回路30の第2制御回路36と異なるため、第2制御回路46の構成について説明する。
【0061】
本実施の形態の第2制御回路46は、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN9の信号電圧とを比較し、参照電圧V(N6)の方が高い場合に、Hレベルの制御信号を制御ノードN11に出力する比較器X3と、ノードN9とノードN2とを接続するスイッチング素子SW4と、ノードN9と接地電位Vssとの間に設けられた容量C3と、を備えて構成されている。なお、スイッチング素子SW4のオン/オフは、制御ノードN10の制御信号により制御(Hレベルでオン)される。
【0062】
次に、本実施の形態のクランプ回路44によるクランプ動作及び各ノード(制御ノード含む)の電圧について説明する。
【0063】
まず、入力容量C1の充電が未完了な場合におけるクランプ動作及び各ノード電圧について説明する。図10に、入力容量C1の充電が未完了な場合のクランプ回路44におけるクランプ動作の流れの一例のフローチャートを示す。また、図11に、クランプ回路44の各ノード電圧の一例を示す。
【0064】
図11に示すように、入力容量C1の充電が未完了な場合は、同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い。
【0065】
クランプ回路44の第1制御回路32の動作は、第1の実施の形態における入力容量C1の充電が未完了な場合における動作と略同様である。同期期間において比較器X1が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)とノードN2の電圧V(N2)とを比較し(図10:ステップ300)、クランプ参照電圧V(N3)がノードN2の電圧V(N2)以上であるため(図10:ステップ302)比較器X1から制御ノードN4にHレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW1がオン状態になる(図10:ステップ304、図11:タイミングt2a)。
【0066】
一方、クランプ回路44の第2制御回路46の動作について説明する。第2制御回路46には、同期期間の開始前に、クランプ回路44の外部から制御ノードN10にHレベルの制御信号が入力され(図10:ステップ400)、スイッチング素子SW4がオン状態になる(図10:ステップ402、図11:タイミングt1a)。
【0067】
スイッチング素子SW4がオン状態になることにより、ノードN2の電圧V(N2)がノードN9の電圧V(N9)にサンプリングされ(V(N2)=V(N9)、図10:ステップ404)、容量C3が充電される(図10:ステップ406)。比較器X3は、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN9の電圧V(N9)とを比較する(図10:ステップ408)。参照電圧V(N6)がノードN9の電圧V(N9)未満の場合(図10:ステップ410で否定)は、制御ノードN11にLレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW2はオフ状態を保持する(図10:ステップ412、図11:タイミングt1a〜t2a)。
【0068】
第2制御回路46では、同期期間になると、参照電圧V(N6)がノードN2の電圧V(N2)以上であり、ノードN9の電圧V(N9)以上であるため(図4:ステップ410で肯定)比較器X3から制御ノードN11にHレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW2がオン状態になる(図4:ステップ414、図11:タイミングt2a)。
【0069】
このように、タイミングt1aで第1制御回路32により制御されるスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。また、タイミングt2aで第2制御回路46により制御されるスイッチング素子SW2もオン状態になり、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0070】
ビデオ信号の同期期間中は、第1制御回路32では、ノードN2の電圧V(N2)<参照電圧V(N6)<クランプ参照電圧V(N3)であるため(図10:ステップ306で肯定、図11タイミングt2a〜t4aの期間)、制御ノードN4の電圧V(N4)はHレベルとなり、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給される電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0071】
一方、第2制御回路36では、同期期間中に、クランプ回路44の外部から制御ノードN10にLレベルの制御信号が入力され(図10:ステップ416)、スイッチング素子SW4がオフ状態になる(図10:ステップ418、図11:タイミングt3a)。
【0072】
スイッチング素子SW4がオフ状態になると、容量C3により、ノードN2にサンプリングされたノードN9の電圧V(N9)(V(N2)=V(N9))が保持される。この際、ノードN2の電圧V(N2)=ノードN9の電圧V(N9)<参照電圧V(N6)であるため、制御ノードN11の制御信号はHレベルを保持し、従って、スイッチング素子SW2のオン状態が保持される。(図10:ステップ420、図11:タイミングt3a〜t5a)。
【0073】
ビデオ信号の同期期間が終了しバースト信号期間及び映像信号期間(図11:タイミングt4a〜)になると、参照電圧V(N6)<クランプ参照電圧V(N3)<ノードN2の電圧V(N2)となる(図10:ステップ306で否定)ため、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力する。これにより、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1はオフ状態になる(図10:ステップ308、図11:タイミングt4a)。
【0074】
一方、第2制御回路46では、比較器X3は、上述したように、スイッチング素子SW4がオフ状態であるため、容量C3により、ノードN2の電圧V(N2)=ノードN9の電圧V(N9)が保持されており、制御ノードN11の制御信号はHレベルを保持し、スイッチング素子SW2のオン状態が保持されている。(図10:ステップ420、図11:タイミングt3a〜t5a)。
【0075】
その後、第2制御回路46では、バースト信号期間及び映像信号期間中に、クランプ回路44の外部から制御ノードN10にHレベルの制御信号が入力され(図10:ステップ422)、スイッチング素子SW4がオン状態になる(図10:ステップ424、図11:タイミングt5a)。
【0076】
スイッチング素子SW4がオン状態になることにより、ノードN2の電圧V(N2)がノードN9の電圧V(N9)にサンプリングされる(V(N2)=V(N9)、図10:ステップ426)。この際、参照電圧V(N6)<ノードN2の電圧V(N2)=ノードN9の電圧V(N9)であるため(図10:ステップ428)、比較器X3は、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN9の電圧V(N9)とを比較した結果(図10:ステップ430)、制御ノードN11の制御信号はLレベルとなり、従って、スイッチング素子SW2がオフ状態になる。(図10:ステップ432、図11:タイミングt5a)。
【0077】
スイッチング素子SW1が既にオフ状態であり、スイッチング素子SW2もオフ状態になるため、ノードN2には、電流源I1から電流が供給されなくなり、従って、入力容量C1の充電が停止する。
【0078】
次に、入力容量C1の充電が完了している場合におけるクランプ動作及び各ノード電圧について説明する。図12に、入力容量C1の充電が完了している場合のクランプ回路44におけるクランプ動作の流れの一例のフローチャートを示す。また、図13に、クランプ回路44の各ノード電圧の一例を示す。
【0079】
図13に示すように、入力容量C1の充電が完了している場合は、同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも高く、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い。
【0080】
クランプ回路44の第1制御回路32の動作は、第1の実施の形態における入力容量C1の充電が完了している場合における動作と略同様である。同期期間において比較器X1が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)とノードN2の電圧V(N2)とを比較し(図12:ステップ350)、クランプ参照電圧V(N3)がノードN2の電圧V(N2)以上であるため(図12:ステップ352)比較器X1から制御ノードN4にHレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW1がオン状態になる(図12:ステップ354、図13:タイミングt1b)。
【0081】
一方、クランプ回路44の第2制御回路46の動作について説明する。同期期間中に第2制御回路46には、クランプ回路44の外部から制御ノードN10にLレベルの制御信号が入力され(図12:ステップ450)、スイッチング素子SW4がオフ状態になる(図12:ステップ452、図13:タイミングt2b)。
【0082】
スイッチング素子SW4がオフ状態になることにより、ノードN9の電圧V(N9)にサンプリングされていたノードN2の電圧V(N2)が保持(V(N2)=V(N9))される。(図12:ステップ454)。この際、参照電圧V(N6)<ノードN2の電圧V(N2)=ノードN9の電圧V(N9)であるため(図12:ステップ456)、比較器X3は、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN9の電圧V(N9)とを比較した結果(図12:ステップ458)、制御ノードN11の制御信号はLレベルとなり、従って、スイッチング素子SW2はオフ状態を保持する。(図12:ステップ460、図13:タイミングt2b)。
【0083】
このようにビデオ信号の同期期間中は、タイミングt1bで第1制御回路32により制御されるスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。一方、第2制御回路46により制御されるスイッチング素子SW2はオフ状態を保持するが、スイッチング素子SW1がオン状態であることにより、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0084】
ビデオ信号の同期期間が終了しバースト信号期間及び映像信号期間(図13:タイミングt3b〜)になると、参照電圧V(N6)<クランプ参照電圧V(N3)<ノードN2の電圧V(N2)となる(図12:ステップ356で否定)ため、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力する。これにより、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1はオフ状態になる(図12:ステップ358、図13:タイミングt3b)。
【0085】
一方、第2制御回路46では、比較器X3は、上述したように、スイッチング素子SW4がオフ状態からオン状態になるまでの期間、ノードN2の電圧V(N2)=ノードN9の電圧V(N9)が保持されており、制御ノードN11の制御信号はLレベルを保持し、スイッチング素子SW2のオフ状態が保持されている。(図13:タイミングt2b〜t4b)。
【0086】
第2制御回路46では、バースト信号期間及び映像信号期間中に、クランプ回路44の外部から制御ノードN10にHレベルの制御信号が入力され(図12:ステップ462)、スイッチング素子SW4がオン状態になる(図12:ステップ464、図13:タイミングt4b)。
【0087】
スイッチング素子SW4がオン状態になることにより、ノードN2の電圧V(N2)がノードN9の電圧V(N9)にサンプリングされる(V(N2)=V(N9)、図12:ステップ466)。この際、参照電圧V(N6)<ノードN2の電圧V(N2)=ノードN9の電圧V(N9)であるため(図12:ステップ468)、比較器X3は、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN9の電圧V(N9)とを比較した結果(図12:ステップ470)、制御ノードN11の制御信号はLレベルとなり、従って、スイッチング素子SW2はオフ状態を保持する。(図12:ステップ472、図13:タイミングt4b)。
【0088】
スイッチング素子SW1が既にオフ状態であり、スイッチング素子SW2もオフ状態になるため、ノードN2には、電流源I1から電流が供給されなくなり、従って、入力容量C1の充電が停止する。
【0089】
このようにバースト信号期間及び映像信号期間は、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2ともに、オフ状態であるため、電流源I1から電流I1が供給されず、入力容量C1は充電されない。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態の信号処理システム40の半導体装置42におけるクランプ回路44では、第1制御回路32、スイッチング回路34、第2制御回路46を備えている。スイッチング回路34は、電流源I1とノードN2(入力容量C1)との間に、並列に接続され、かつHレベルの制御信号でオン状態になるスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2を備えている。第1制御回路32は、比較器X1を備えており、ノードN2の電圧V(N2)とノードN3のクランプ参照電圧V(N3)とを比較して、電圧V(N2)≦クランプ参照電圧V(N3)の場合に、制御ノードN4にHレベルの制御信号を出力する。また、第2制御回路46は、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN9の電圧V(N9)とを比較して制御信号を制御ノードN11に出力する比較器X3、ノードN9に接続された容量C3、及びノードN9とノードN2とを接続するスイッチング素子SW4を備えている。スイッチング素子SW4はクランプ回路44の外部から制御ノードN10に入力される制御信号により、制御信号がHレベルのときにオン状態になるように制御される。比較器X3は、ノードN9の電圧V(N9)とノードN6の参照電圧V(N6)とを比較して、電圧V(N9)≦参照電圧V(N6)の場合に、制御ノードN11にHレベルの制御信号を出力する。
【0091】
同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い、入力容量C1の充電が未完了な場合は、同期期間では、第1制御回路32の比較器X1は、Hレベルの制御信号を制御ノードN4に出力し、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオン状態になる。
【0092】
また、第2制御回路46では、クランプ回路44の外部から制御ノードN10にHレベルの制御信号が入力され、スイッチング素子SW4がオン状態になり、ノードN9の電圧V(N9)=ノードN2の電圧V(N2)となる。ノードN9の電圧V(N9)=ノードN2の電圧V(N2)<ノードN6の参照電圧V(N6)であるため、比較器X3は、Hレベルの制御信号を制御ノードN11に出力し、スイッチング素子SW2がオン状態になる。同期期間では、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2がオン状態になり、電流源I1から供給された電流(クランプ電流)I1がノードN2に供給され、入力容量C1が充電される。
【0093】
また、同期期間中に、第2制御回路46では、クランプ回路44の外部から制御ノードN10にLレベルの制御信号が入力され、スイッチング素子SW4がオフ状態になり、容量C3によってノードN9の電圧V(N9)=ノードN2の電圧V(N2)が保持される。この際、ノードN9の電圧V(N9)=ノードN2の電圧V(N2)<ノードN6の参照電圧V(N6)であるため、制御ノードN11はHレベルの制御信号を保持し、スイッチング素子SW2のオン状態を保持する。
【0094】
さらに、同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間では、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力し、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオフ状態になる。また、第2制御回路46では、制御ノードN10に入力されるLレベルの制御信号により、スイッチング素子SW4がオフ状態を保持し、容量C3によって、ノードN9の電圧V(N9)=ノードN2の電圧V(N2)<ノードN6の参照電圧V(N6)が保持されるため、制御ノードN11はHレベルの制御信号を保持し、スイッチング素子SW2のオン状態を保持し、電流源I1から供給された電流(クランプ電流)I1がノードN2に供給され、入力容量C1が充電される。
【0095】
このように、バースト信号期間及び映像信号期間において、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオフ状態になった後でも、スイッチング素子SW2はオン状態を保持し、電流I1により入力容量C1が充電されるため、ビデオ信号の1周期当りの入力容量C1の充電期間を延長することができるため、入力容量C1の充電が完了するまでに要するビデオ信号の周期の数を少なくすることができる。
【0096】
従って、第1の実施の形態と同様に、入力容量C1の容量を小さくすること無く、かつ充電に要するクランプ電流I1を大きくすること無く、入力容量C1の充電に要する充電時間を短縮することができる。
【0097】
また、スイッチング素子SW2の充電期間は、バースト信号期間及び映像信号期間中に制御ノードN10にHレベルの制御信号が入力されるまで継続されるため、より、1周期における充電期間の延長幅(延長期間)を長くすることができる。
【0098】
また、本実施の形態では、入力容量C1の充電期間の調整を制御ノードN10に入力される制御信号により制御することができるため、例えば、第1の実施の形態のクランプ回路30に比べて、クランプ回路44のレイアウトを増大することなく、1周期における充電期間を長くすることができ、入力容量C1の充電に要する充電時間を短縮することができる。
【0099】
また、入力容量C1の充電が完了している場合は、同期期間において第2制御回路46は、制御ノードN10に入力される制御信号に基づいて、スイッチング素子SW4のオン、オフが制御され、ノードN6の参照電圧V(N6)<ノードN9の電圧V(N9)=ノードN2の電圧V(N2)が保持されるため、制御ノードN11はLレベルの制御信号を保持し、スイッチング素子SW2のオフ状態を保持するため、容量C2の充電を行わない。また、同期期間が終了すると、スイッチング素子SW1がオフ状態になると共に、スイッチング素子SW2はオフ状態を保持しているため、入力容量C1の充電が行われない。すなわち、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、クランプ参照電圧V(N3)よりも参照電圧V(N6)の方が小さく、具体的には、クランプ後のノードN2の電圧V(N2)の同期期間の最低電圧(図11参照)未満に設定しているため、第2制御回路46では、制御ノードN11の制御信号が常にLレベルとなり、スイッチング素子SW2がオフ状態を保持する。
【0100】
従って、同期期間のみ入力容量C1の充電が行われるため、入力容量C1の過充電を防止できる。
【0101】
なお、本実施の形態では、具体的一例として第2制御回路46を、容量C3、及びスイッチング素子SW4を用いたS/H回路(サンプルホールド回路)により構成したがこれに限らず、ノードN2の電圧V(N2)を保持することができる回路であればよく、その構成は特に限定されるものではない。
【0102】
[第3の実施の形態]
【0103】
以下、図面を参照して本発明の第3の実施の形態の信号処理システム(半導体装置、クランプ回路)及びクランプ動作について詳細に説明する。なお、本実施の形態の信号処理システム(半導体回路、クランプ回路)及びクランプ動作は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と略同一の構成・動作を含むため、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と略同一の構成・動作である部分にはその旨を示して同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0104】
まず、本実施の形態の信号処理システムの構成について説明する。本実施の形態の信号処理システムの概略構成の一例を図14に示す。図14に示した本実施の形態の信号処理システム50は、信号処理システム50における半導体装置52のクランプ回路54の第2制御回路56の構成及び動作が、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と異なっている。また、本実施の形態の半導体装置52は、第2制御回路56に制御信号を出力する制御信号源53を備えている。
【0105】
本実施の形態のクランプ回路54の具体的一例の回路図を図15に示す。本実施の形態のクランプ回路54は、上述したように、第2制御回路56の構成及び動作が第1の実施の形態及び第2の実施の形態と異なるため、第2制御回路56の構成について説明する。
【0106】
本実施の形態の第2制御回路56は、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN2の電圧V(N2)とを比較し、参照電圧V(N6)の方が高い場合に、Hレベルの制御信号を制御ノードN12に出力する比較器X4と、DFF(Dフリップフロップ)と、を備えて構成されている。DFFは、制御ノードN12に出力される信号をデータ入力とし、制御ノードN13を制御信号入力とし、スイッチング素子SW2の制御ノードN14を出力とする。すなわち、DFFは、制御ノードN13の制御信号(パルス)の立ち上がりタイミングのときの制御ノードN12の信号状態を制御ノードN14に出力し、保持する機能を有している。
【0107】
次に、本実施の形態のクランプ回路54によるクランプ動作及び各ノード(制御ノード含む)の電圧について説明する。
【0108】
まず、入力容量C1の充電が未完了な場合におけるクランプ動作及び各ノード電圧について説明する。図16に、入力容量C1の充電が未完了な場合のクランプ回路54におけるクランプ動作の流れの一例のフローチャートを示す。また、図17に、クランプ回路54の各ノード電圧の一例を示す。
【0109】
図17に示すように、入力容量C1の充電が未完了な場合は、同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い。
【0110】
クランプ回路44の第1制御回路32の動作は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態における入力容量C1の充電が未完了な場合における動作と略同様である。同期期間において比較器X1が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)とノードN2の電圧V(N2)とを比較し(図16:ステップ500)、クランプ参照電圧V(N3)がノードN2の電圧V(N2)以上であるため(図16:ステップ502)比較器X1から制御ノードN4にHレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW1がオン状態になる(図16:ステップ504、図17:タイミングt1a)。
【0111】
一方、クランプ回路54の第2制御回路56の動作について説明する。比較器X4が、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN2の電圧V(N2)とを比較する(図16:ステップ600)。同期期間は、参照電圧V(N6)がノードN2の電圧V(N2)以上であるため(図16:ステップ602)比較器X4から制御ノードN12にHレベルの制御信号が出力される(図16:ステップ604、図17:タイミングt1a)。
【0112】
同期期間中に、クランプ回路54の外部から制御ノードN13に制御信号(パルス)が入力されると(図16:ステップ606、図17:タイミングt2a)、DFFは、このときの制御ノードN12のHレベルである電圧レベルを制御ノードN14に出力する(図16:ステップ608、図17タイミングt2a)。
【0113】
制御ノードN14がHレベルであるため、スイッチング素子SW2はオン状態になる(図16:ステップ610、図17タイミングt2a)。
【0114】
このように、タイミングt1aで第1制御回路32により制御されるスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。また、タイミングt2aで第2制御回路56により制御されるスイッチング素子SW2もオン状態になり、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0115】
ビデオ信号の同期期間中は、第1制御回路32では、ノードN2の電圧V(N2)<参照電圧V(N6)<クランプ参照電圧V(N3)であるため(図16:ステップ506で肯定、図17タイミングt1a〜t3aの期間)、制御ノードN4の電圧V(N4)はHレベルとなり、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給される電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0116】
一方、第2制御回路56では、制御ノードN13に制御信号(パルス)が入力されないため、DFFでは、制御ノードN14の制御信号はHレベルを保持し、従って、スイッチング素子SW2は、オン状態を保持する。
【0117】
ビデオ信号の同期期間が終了しバースト信号期間及び映像信号期間(図17:タイミングt3a〜)になると、参照電圧V(N6)<クランプ参照電圧V(N3)<ノードN2の電圧V(N2)となる(図16:ステップ506で否定)ため、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力する。これにより、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1はオフ状態になる(図16:ステップ508、図17:タイミングt3a)。
【0118】
一方、第2制御回路56では、バースト信号期間及び映像信号期間には、制御ノードN13に制御信号(パルス)が入力されないため、DFFでは、制御ノードN14の制御信号はHレベルを保持し、従って、スイッチング素子SW2は、オン状態を保持する。
【0119】
従って、バースト信号期間及び映像信号期間は、スイッチング素子SW1はオフ状態であるが、スイッチング素子SW2はオン状態であるため、ノードN2には、電流源I1から電流が供給され、従って、入力容量C1が充電される。
【0120】
次に、入力容量C1の充電が完了している場合におけるクランプ動作及び各ノード電圧について説明する。図18に、入力容量C1の充電が完了している場合のクランプ回路54におけるクランプ動作の流れの一例のフローチャートを示す。また、図19に、クランプ回路54の各ノード電圧の一例を示す。
【0121】
図19に示すように、入力容量C1の充電が完了している場合は、同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも高く、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い。
【0122】
クランプ回路54の第1制御回路32の動作は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態における入力容量C1の充電が完了している場合における動作と略同様である。同期期間において比較器X1が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)とノードN2の電圧V(N2)とを比較し(図18:ステップ550)、クランプ参照電圧V(N3)がノードN2の電圧V(N2)以上であるため(図18:ステップ552)比較器X1から制御ノードN4にHレベルの制御信号が出力され、スイッチング素子SW1がオン状態になる(図18:ステップ554、図19:タイミングt1b)。
【0123】
一方、クランプ回路54の第2制御回路56の動作について説明する。第2制御回路56では、比較器X4が、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN2の電圧V(N2)とを比較する(図18:ステップ650)。同期期間は、参照電圧V(N6)<ノードN2の電圧V(N2)であるため(図18:ステップ652)比較器X4から制御ノードN12にLレベルの制御信号が出力される(図16:ステップ654、図19:タイミングt1b)。
【0124】
同期期間中に、クランプ回路54の外部から制御ノードN13に制御信号(パルス)が入力されると(図18:ステップ656、図19:タイミングt2b)、DFFは、このときの制御ノードN12のLレベルである電圧レベルを制御ノードN14に出力する(図18:ステップ658、図19タイミングt2b)。
【0125】
制御ノードN14がLレベルであるため、スイッチング素子SW2はオフ状態になる(図18:ステップ660、図19タイミングt2b)。
【0126】
このようにビデオ信号の同期期間中は、タイミングt1bで第1制御回路32により制御されるスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。一方、第2制御回路56により制御されるスイッチング素子SW2はオフ状態を保持するが、スイッチング素子SW1がオン状態であることにより、電流源I1から供給された電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0127】
ビデオ信号の同期期間中は、第1制御回路32では、参照電圧V(N6)<ノードN2の電圧V(N2)<クランプ参照電圧V(N3)であるため(図18:ステップ556で肯定、図19タイミングt1b〜t3bの期間)、制御ノードN4の電圧V(N4)はHレベルとなり、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオン状態になり、電流源I1から供給される電流I1により、入力容量C1が充電される。
【0128】
一方、第2制御回路56では、制御ノードN13に制御信号(パルス)が入力されないため、DFFでは、制御ノードN14の制御信号はLレベルを保持し、従って、スイッチング素子SW2は、オフ状態を保持する。
【0129】
ビデオ信号の同期期間が終了しバースト信号期間及び映像信号期間(図13:タイミングt3b〜)になると、参照電圧V(N6)<クランプ参照電圧V(N3)<ノードN2の電圧V(N2)となる(図18:ステップ556で否定)ため、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力する。これにより、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1はオフ状態になる(図18:ステップ558、図19:タイミングt3b)。
【0130】
一方、第2制御回路56では、バースト信号期間及び映像信号期間には、制御ノードN13に制御信号(パルス)が入力されないため、DFFでは、制御ノードN14の制御信号はLレベルを保持し、従って、スイッチング素子SW2は、オフ状態を保持する。
【0131】
このようにバースト信号期間及び映像信号期間は、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2ともに、オフ状態であるため、電流源I1から電流I1が供給されず、入力容量C1は充電されない。
【0132】
以上説明したように、本実施の形態の信号処理システム50の半導体装置52におけるクランプ回路54では、第1制御回路32、スイッチング回路34、第2制御回路56を備えている。スイッチング回路34は、電流源I1とノードN2(入力容量C1)との間に、並列に接続され、かつHレベルの制御信号でオン状態になるスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2を備えている。第1制御回路32は、比較器X1を備えており、ノードN2の電圧V(N2)とノードN3のクランプ参照電圧V(N3)とを比較して、電圧V(N2)≦クランプ参照電圧V(N3)の場合に、制御ノードN4にHレベルの制御信号を出力する。また、第2制御回路56は、ノードN6の参照電圧V(N6)とノードN9の電圧V(N9)とを比較した比較結果を制御ノードN12に出力する比較器X4と、制御ノードN12に出力される信号をデータ入力とし、制御ノードN13を制御信号入力とし、スイッチング素子SW2の制御ノードN14を出力とするDFFと、を備えている。比較器X3は、ノードN2の電圧V(N2)とノードN6の参照電圧V(N6)とを比較して、電圧V(N2)≦参照電圧V(N6)の場合に、制御ノードN12にHレベルの信号を出力する。DFFは、クランプ回路54の外部から制御ノードN13に入力される制御信号(パルス)の立ち上がりタイミングのときの制御ノードN12の信号状態を制御ノードN14に出力し、保持する。
【0133】
同期期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN6の参照電圧V(N6)よりも低く、かつ同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間のノードN2の電圧V(N2)が、ノードN3のクランプ参照電圧V(N3)よりも高い、入力容量C1の充電が未完了な場合は、同期期間では、第1制御回路32の比較器X1は、Hレベルの制御信号を制御ノードN4に出力し、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオン状態になる。
【0134】
また、第2制御回路56では、クランプ回路54の外部から制御ノードN13に制御信号(パルス)が入力されると、DFFは、このときの制御ノードN12のHレベルである電圧レベルを制御ノードN14に出力し、スイッチング素子SW2がオン状態になる。同期期間では、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2がオン状態になり、電流源I1から供給された電流(クランプ電流)I1がノードN2に供給され、入力容量C1が充電される。
【0135】
また、同期期間終了後のバースト信号期間及び映像信号期間では、第1制御回路32の比較器X1は、Lレベルの制御信号を制御ノードN4に出力し、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオフ状態になる。また、第2制御回路46では、制御ノードN13に制御信号(パルス)が入力されないため、DFFでは、制御ノードN14の制御信号はLレベルを保持し、従って、スイッチング素子SW2は、オフ状態を保持し、電流源I1から供給された電流(クランプ電流)I1がノードN2に供給され、入力容量C1が充電される。
【0136】
このように、バースト信号期間及び映像信号期間において、スイッチング回路34のスイッチング素子SW1がオフ状態になった後でも、スイッチング素子SW2はオン状態を保持し、電流I1により入力容量C1が充電されるため、ビデオ信号の1周期当りの入力容量C1の充電期間を延長することができるため、入力容量C1の充電が完了するまでに要するビデオ信号の周期の数を少なくすることができる。
【0137】
従って、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、入力容量C1の容量を小さくすること無く、かつ充電に要するクランプ電流I1を大きくすること無く、入力容量C1の充電に要する充電時間を短縮することができる。
【0138】
また、スイッチング素子SW2の充電期間は、図17に示すように、次周期の同期期間まで継続させることができるため、より、1周期における充電期間の延長幅(延長期間)を長くすることができる。
【0139】
また、本実施の形態では、入力容量C1の充電期間を第2制御回路56のDFFの制御ノードN13に入力される制御信号(パルス)により制御することができるため、例えば、第2の実施の形態のように、ノードN2の電圧V(N2)を保持するためのS/H回路(図9、容量C3及びスイッチング素子SW4参照)を必要とせず、よりクランプ回路54(基板22)の面積を削減することができる。
【0140】
また、入力容量C1の充電が完了している場合は、同期期間において第2制御回路56は、ノードN6の参照電圧V(N6)<ノードN2の電圧V(N2)であるため、制御ノードN14はLレベルの制御信号を保持し、スイッチング素子SW2のオフ状態を保持するため、容量C2の充電を行わない。また、同期期間が終了すると、スイッチング素子SW1がオフ状態になると共に、スイッチング素子SW2はオフ状態を保持しているため、入力容量C1の充電が行われない。すなわち、本実施の形態では、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、クランプ参照電圧V(N3)よりも参照電圧V(N6)の方が小さく、具体的には、クランプ後のノードN2の電圧V(N2)の同期期間の最低電圧(図17参照)未満に設定しているため、第2制御回路56では、制御ノードN14の制御信号が常にLレベルとなり、スイッチング素子SW2がオフ状態を保持する。
【0141】
従って、同期期間のみ入力容量C1の充電が行われるため、入力容量C1の過充電を防止できる。
【0142】
なお、本実施の形態では、第2制御回路46は、DFFを備えるように構成しているがこれに限らず、他のフリップフロップ回路等、同期期間中の入力信号である制御ノードN12の電圧V(N12)を出力である制御ノードN14の電圧V(N14)として保持できるものであれば特に限定されるものではない。
【0143】
なお、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、クランプ参照電圧V(N3)<参照電圧V(N6)である場合について説明したがこれに限らず、クランプ参照電圧V(N3)=参照電圧V(N6)であってもよいが、第1の実施の形態〜第3の実施の形態で上述したように、クランプ参照電圧V(N3)<参照電圧V(N6)とすることにより、入力容量C1の過充電を防止することができるため、好ましい。また、クランプ参照電圧V(N3)と参照電圧V(N6)との差は小さい方が好ましい。
【0144】
また、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、スイッチング素子SW(SW1〜SW4)をMOSトランジスタとした場合について説明したがこれに限らず、バイポーラトランジスタ等、一般的に用いられるその他のスイッチング素子を用いてもよい。また、比較器X(X1〜X4)についても、特に限定されず、一般的に用いられる回路(比較回路)を比較器として用いればよい。
【0145】
また、第1の実施の形態〜第3の実施の形態で説明した、クランプ回路の構成や動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0146】
10、40、50 信号処理システム
20、42、52 半導体装置(LSI)
22 基板
30、44、54 クランプ回路
32 第1制御回路
34 スイッチング回路
36、46、56 第2制御回路
X1、X2、X3、X4 比較器
N0、N1、N2、N3、N6、N9、N12 ノード
N4、N5、N7、N10、N11、N13、N14 制御ノード
C1 入力容量
C2、C3 容量
R1 抵抗
SW1、SW2、SW3、SW4 スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20