(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
この種の流量測定機構は、リストリクタやノズルなどに代表される抵抗流路の上流側及び下流側の流体圧力を計測し、それら圧力値と抵抗流路の抵抗値とに基づいて、抵抗流路を流れる流体の質量流量を測定するものである。
【0003】
その一例として、
図14に示すように、ブロック状をなすボディ1’に、圧力センサ2’や抵抗流路3a’を形成する流体抵抗部材3’等を取り付けて一体化したものがある。この流量測定機構10’は、前記ボディ1’に測定対象となる流体が流れる内部流路1a’を形成し、その内部流路1a’の中間に抵抗流路3a’が介在するように、前記流体抵抗部材3’をボディ1’に埋めこんでいる。
【0004】
このときの流体抵抗部材3’の配設場所は、ボディ1’における圧力センサ2’とは反対側の面であり、その面に設けた凹部1b’に流体抵抗部材3’を収容するようにしている。流体抵抗部材3’を圧力センサ2’と直列させてボディ1’の同じ面に設けないのは、ボディ1’が長くなってコンパクト化を阻害するといった理由からである。
【0005】
しかしながら、この構成であると、ボディ1’における圧力センサ2’の取付面からその反対側の流体抵抗部材3’の取付面に亘って内部流路1a’が延びることとなり、その長さが長くなりがちになる。例えば、同図に示すように、この流量測定機構10’の前段に流量調整弁4’を取り付けてマスフローコントローラ100’を構成した場合に、流量調整弁4’の弁体から抵抗流路3a’までの内部流路1a’の容積が大きくなる。
【0006】
そのため、流量調整弁4’を閉止した後、内部流路1a’に溜まっていた流体が前記抵抗流路3a’を抜け出るまでに時間がかかり、流量の制御性(応答性)が悪くなるという不具合が生じ得る。
さらに、前記凹部1b’を閉塞するための専用の蓋体やパッキンが必要となるため、構造が複雑になったり多くのシール部材が必要になったりしてコスト高を招く場合もある。
【0007】
一方、特許文献1に示すように、ボディを長手方向に2分することによって内部流路を分断し、その間に流体抵抗部材を挟み込んだ構成のものも考えられてはいるが、ボディを2分しなければならないため、やはり構造の複雑化や部品点数の増大を避けることは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような問題点を鑑みてなされたものであって、その主たる所期課題は、内部流路を有したボディに流体測定器や流体抵抗部材を取り付けて前記内部流路を流れる流体の流量を測定できるように構成したいわゆる流量測定機構において、コンパクト性を維持したまま、少ない部品点数で短い内部流路を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る流量測定機構は、測定対象流体が流れる内部流路を有したボディと、前記内部流路を分断するとともに分断された上流側内部流路及び下流側内部流路を連通する抵抗流路を有した流体抵抗部材と、前記流体の流量に関連する物理量を検知する流体測定器と、を具備し、前記流体測定器が検知した物理量に基づいて前記流体の流量を算出可能に構成した流量測定機構において、前記流体抵抗部材に連通路を貫通形成するとともに、前記ボディと前記流体測定器との間に前記流体抵抗部材が配設されるように構成しておき、この配設状態において前記内部流路のいずれか一方と前記流体測定器に設けられた導入口とが、前記連通路を介して連通するとともに、前記内部流路の他方と前記連通路とが前記抵抗流路を介して連通するように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
このようなものであれば、流体測定器と流体抵抗部材とがボディの同じ側に積層的に配置されるので、その間の内部流路長を可及的に短くできる。したがって、流量センシングの応答性を向上させることが可能になる。また、流体測定器が流体抵抗部材上に積層配置されることから、ボディが無用に長くなることも防止できる。さらにボディの分割や特別な専用部材等は不要であることから、構造の複雑化や部品点数の増大を招くこともない。
【0012】
前記ボディに前記流体測定器を取り付けることによってこれらに挟まれて前記流体抵抗部材が保持されるように構成したものであれば、圧力センサがそのまま流体抵抗部材のボディに対する取付具としての役割を果たすため、部品の削減を図れる。
【0013】
よりコンパクト化が可能で、なおかつシール等も好適に施せる具体的態様としては、側面又は底面に前記上流側内部流路及び下流側内部流路が開口する凹部を前記ボディの外表面に開口させておき、この凹部内に前記流体抵抗部材を収容して、前記流体測定器をボディに取り付けることにより、該圧力センサの取付面が凹部の開口を封止して流体抵抗部材を保持するようにしたものを挙げることができる。
【0014】
前記流体測定器の具体的な実施の態様としては、前記流体測定器が、前記上流側内部流路及び前記下流側内部通路の少なくとも一方の圧力を検知する圧力センサであるとともに、該圧力センサが検知した流体圧力に基づいて前記流体の流量を算出可能に構成してあるものが挙げられる。
【0015】
また、本発明の流量測定装置の別の具体的な実施の態様としては、前記流体測定器が、前記流体抵抗部材により分流され、前記導入口から導入される前記流体の一部が前記内部流路の他方へと導出される導出口を具備するセンサ流路を備えた熱式流量センサであってもよい。
【0016】
この流量測定機構を利用してマスフローコントローラを形成するには、前記ボディに取り付けた流量調整弁と、前記流量測定機構による測定流量が予め定めた目標流量になるように前記流量調整弁を制御する制御回路とを設ければよい。
【0017】
前記圧力センサ及び流量調整弁が前記ボディにおける特定の一面のみに取り付けられているものであれば、複数を併設したときのコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
このようなものであれば、流体測定器と流体抵抗部材とがボディの同じ側に積層的に配置されるので、その間の内部流路長を可及的に短くでき、流量センシングの応答性を向上させることが可能になる。また、流体測定器が流体抵抗部材上に積層配置されることから、ボディが無用に長くなることも防止できるうえ、構造の複雑化や部品点数の増大を招くこともない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態におけるマスフローコントローラの流体回路図
【
図2】同実施形態におけるマスフローコントローラの全体斜視図。
【
図3】同実施形態におけるマスフローコントローラの内部構造を示す縦断面図。
【
図4】同実施形態におけるマスフローコントローラの平面図。
【
図5】同実施形態における圧力センサの内部構造を示す横断面図。
【
図6】同実施形態におけるマスフローコントローラの分解斜視図。
【
図7】同実施形態における流量調整弁の内部構造を示す部分断面図。
【
図8】同実施形態における流量調整弁の内部構造を示す部分断面図。
【
図9】同実施形態における流体抵抗部材を凹部に収容した状態での内部構造を示す部分断面図。
【
図10】本発明の他の実施形態におけるマスフローコントローラの内部構造を示す縦断面図。
【
図11】本発明の別の実施形態におけるマスフローコントローラの流体回路図。
【
図12】別の実施形態におけるマスフローコントローラの全体斜視図。
【
図13】別の実施形態におけるマスフローコントローラの内部構造を示す縦断面図。
【
図14】従来のマスフローコントローラの内部構造を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るマスフローコントローラ100は、例えばガスパネルに搭載されて半導体製造装置の材料供給ラインの一部を構成するものであり、
図1に流体回路図、
図2に全体斜視図を示すように、流量制御対象である流体を流す内部流路1aと、前記内部流路1a上に設けられた流量調整弁4と、この流量調整弁4よりも下流側に設けられ、当該内部流路1aを流れる流体の流量を測定する流量測定機構10と、この流量測定機構10による測定流量が予め定めた目標流量になるように前記流量調整弁4を制御する制御回路6(
図1には示していない)とから構成されている。以下に各部を詳述する。
【0021】
内部流路1aは、
図3に示すように、長細い直方体形状をなすボディ1に形成したものであり、その流体導入口1d及び流体導出口1eを、このボディ1の長手方向に直交する両端面にそれぞれ開口させて、前記部品取付面1cと直交する方向から視たときに(以下、平面視とも言う)、流体が長手方向に沿って流れていくように構成してある。
【0022】
ところで、このボディ1における長手方向と平行な1つの面は、部品取付面1cとして設定してあり、この部品取付面1cのみに、前記流量調整弁4や圧力センサ21、22などが取り付けられるように構成している。また、この取付面1cの反対側の面は、当該ボディ1をパネルなどに固定するための固定面としている。さらに、長手方向と平行な他の2面(以下、側面と言う)には何も取り付けることがないようにして、複数のボディ1の側面同士を密着乃至近接させて配置できるように構成してある。
【0023】
流量調整弁4は、
図3、
図6、
図7に示すように、弁座部材42と弁体部材41とからなる概略円柱状をなすものであり、前記ボディ1の部品取付面1cにおける長手方向一端部に鉛直に取り付けられている。また、その幅寸法は、前記部品取付面1cの幅寸法(長手方向と直交する方向の寸法)よりも小さいか又は同一に設定してあり、
図4に示すように、この流量調整弁4をボディ1に取り付けた状態で、流量調整弁4がボディ1よりも幅方向に突出しないように構成してある。
【0024】
より詳細に説明すると、前記弁座部材42は、
図6、
図7等に示すように、その頂面中央部に、突出した円環状の弁座42aを形成した円柱状をなすものであり、前記部品取付面1cの一端部に開口させた有底凹部1fに嵌め込んである。そして、この有底凹部1fは前記内部流路1aを分断する位置に設けたものであり、該有底凹部1fの底面中央部には、分断された内部流路1aのうちの上流側内部流路1a(1)の終端が開口させてある。また、該有底凹部1fの底部側周面には、下流側の内部流路1a(2)の始端が開口させてある。
【0025】
この弁座部材42には、一端が該弁座部材42の頂面における弁座42aの内側に開口するとともに他端が該弁座部材42の底面における中央部に開口する流体導入路42bと、一端が該弁座部材42の頂面における弁座42aの外側に開口するとともに他端が該弁座部材42の底面周縁部に開口する流体導出路42cとが貫通させてある。
【0026】
そして、有底凹部1fに弁座部材42を嵌め込んだ状態において、前記流体導入路42bの他端が、有底凹部1fの中央に開口する上流側内部流路1a(1)の終端にシール部材SL2を介して連通するようにしてある。また、前記流体導出路42cの他端は、弁座部材42の底面周縁部から側周面底部にかけて有底凹部1fの内周面との間に隙間があることから、前記下流側内部流路1a(2)の始端に連通するようにしてある。
【0027】
一方、前記弁体部材41は、
図3、
図7、
図8に示すように、内部が気密状態となるように構成した筐体411と、この筐体411の内部に収容した柱状をなす積層圧電素子412とを具備したものである。筐体411は、概略円筒状をなす筒体411aと、この筒体411aの基端面を封止する弾性変形可能な薄肉板状のダイヤフラム部材411bと、前記筒体411aの先端部に軸方向に進退可能に取り付けた初期調整ネジ411dと、初期調整ネジ411d及び筒体411aとの螺合部分を封止する軸方向に伸縮可能なベローズ部材411cとからなるものであり、積層圧電素子412の一端をダイヤフラム部材411bの内面に接合するとともに、積層圧電素子412の他端を前記初期調整ネジ411dの先端に接合している。そして、前記筒体411aの基端面をボディ1の部品取付面1cにシール部材SL1を介して取り付けることにより、ボディ1に形成した前記有底凹部1fの開口を該基端面で封止するとともに、弁座42aにダイヤフラム部材411bを対向させ、前記圧電素子412の伸縮によってダイヤフラム部材411bと弁座42aとの離間距離が変わって、このダイヤフラム部材411bが弁体41aとして機能するようにしてある。
【0028】
流量測定機構10は、流体回路的に言えば、
図1に示すように、内部流路1a上に設けた抵抗流路3aと、該抵抗流路3aの上流側及び下流側における内部流路1a内の流体圧力を計測する一対の圧力センサ21、22とからなり、圧力センサ21、22による圧力計測値と抵抗流路3aの抵抗値とに基づいて、内部流路1aを流れる流体の流量を測定可能に構成したものである。ここで、前記圧力センサ21、22が請求項での流体測定器に相当するものである。
【0029】
各部を説明する。前記抵抗流路3aは、
図6、
図9に示すように、複数の矩形状薄板31〜35を積層させた直方体状の流体抵抗部材3に形成したものである。すなわち、
図6に示すように、各薄板又は一部の薄板に、積層させたときに重なり合って積層方向に貫通する連通路3cとなる貫通孔3bと、面板方向に貫通するとともに長手方向に延びる複数のスリット3dとを設け、前記薄板31〜35を積層させたときに、スリット3dによって抵抗流路3aが形成されるようにしたものである。なお、スリット3dの形状や本数を異ならせることによって流路抵抗を調整することができる。また、本実施形態では最上面に積層させた矩形状薄板31の中央部に設けたスリット3dの一部が、その一枚下にある矩形状薄板32の貫通孔3bと重なり合って、前記連通路3cを構成するようにしてある。そして、前記最上面にある矩形状板31の中央部のスリット3dに前記圧力導入口2a1が接し、前記上流側内部流路1a(2)の圧力が導入されるようにしてある。
【0030】
一方、ボディ1の部品取付面1cにおける長手方向中央部には、
図3、
図6、
図9に示すように、内部流路1aを分断するように矩形状の凹部1hが設けてある。前記流体抵抗部材3は、この凹部1hに、幅方向には隙間無く、ボディ1の長手方向には、隙間を有して嵌り込むことで取り付けられる。また、この凹部1hの底面中央には、この凹部1hで分断された内部流路1aのうちの上流側内部流路1a(2)の終端が開口する一方、有底凹部1fにおける長手方向の底面縁部には、下流側内部流路1a(3)の始端が開口するように構成してある。
【0031】
しかして、この流体抵抗部材3が凹部1hに嵌まり込んだ状態では、前記連通路3cの底側の一端が上流側内部流路1a(2)の終端にシール部材SL3を介して接続され、抵抗流路3aが下流側内部流路1a(3)の始端に連通する。つまり、上流側内部流路1a(2)は、連通路3c及び抵抗流路3aを介して、下流側内部流路1a(3)に接続される。
【0032】
圧力センサ21、22は、
図3、
図5、
図9等に示すように、扁平な形状をなす本体部2Aと、その本体部2A内に収容した図示しない圧電素子等のセンサ素子とを具備したものであり、この扁平な本体部2Aをボディ1の部品取付面1cに対し、その面板部が、該部品取付面1c上に垂直で、かつ、ボディ1の長手方向と平行になるように取り付けたものである。また、圧力センサ21、22の厚み寸法は、
図4等に示すように、前記部品取付面1cの長手方向と直交する幅寸法よりも小さく又は同一に設定してあり、取付状態で圧力センサ21、22がボディ1よりも幅方向に突出しないように構成してある。
【0033】
この本体部2A内には、内面に感圧面2b1を形成した流体充填室2bと、ボディ1に対する取付面2aに設けた圧力導入口2a1(請求項での導入口に相当)と前記流体充填室2bとを連通する流体導入路2cとが設けてあり、前記感圧面2b1が受圧して変位した量を前記センサ素子が検知し圧力信号として出力するようにしてある。流体充填室2bは、本体部2Aに形成した薄い円板状をなすものであり、この流体充填室2bの片方の面板部を前記感圧面2b1としている。この感圧面2b1は、圧力センサ21、22をボディ1に取り付けた状態において、ボディ1の長手方向と平行で、かつ、前記部品取付面1cと垂直となるように設定してある。
図示しないセンサ素子は、感圧面2b1を形成する壁体の裏側に接触させてある。
【0034】
しかして、この実施形態では、一対の圧力センサ21、22のうちの上流側の圧力センサ21を、ボディ1の部品取付面1cにおける長手方向中央部に取り付けるとともに、下流側の圧力センサ22を、前記部品取付面1cにおける長手方向他端部に取り付けるようにしている。
【0035】
具体的に説明すれば、前記上流側圧力センサ21は、ボディ1に取り付けることによって、その取付面2aが前記凹部1hの開口を環状シール部材SL4を介して気密に封止するとともに、凹部1h内の流体抵抗部材3を、凹部1hの底面との間で押圧挟持するように構成してある。ここで、前記上流側圧力センサ21を取り付けることにより凹部1hに直方体状に積層された流体抵抗部材3が押し付けられることにより、前記上流側内部流路1a(2)の終端に設けられた前記シール部材SL3が弾性変形し、前記流体抵抗部材3に対して反発力が加わる。このため、前記上流側圧力センサ21との間で強く押圧挟持されることになり、積層された状態を保って前記流体抵抗部材3が固定される。
【0036】
そして、この状態において、流体抵抗部材3における連通路3cが上流側圧力センサ21の圧力導入口2a1に接続され、抵抗流路3aよりも上流側の内部流路1a(2)が前記連通路3cを介して上流側圧力センサ21に連通されるように構成してある。
【0037】
一方、抵抗流路3aよりも下流側の内部流路1a(3)は、ボディ1の長手方向に沿って延伸し流体導出口1eに至るとともに、その途中で分岐した分岐流路1iによって、下流側圧力センサ22に圧力導入口2a1に接続されるようにしてある。
【0038】
制御回路6は、ボディ1とは別体又は付帯させて設けたものであり、CPU、メモリ、I/Oチャネル、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、その他のアナログ乃至デジタル電気回路で構成されている。そして、メモリに格納したプログラムにしたがってCPUやその他周辺機器が協働することによって、この制御回路6が、前記流量調整弁4を制御し、内部流路1aの流体流量を、外部から指示した設定流量となるように調整する。しかして、その動作の概要を、本マスフローコントローラの動作説明も兼ねて以下に簡単に説明する。
【0039】
この制御回路6は、各圧力センサ21、22からの出力信号値を受信すると、それら出力信号値から、オフセットや係数などを考慮した所定の変換式に基づいて、前記抵抗流路3aの上流側及び下流側における流体の圧力を算出する。そしてそれら圧力と予め測定してある抵抗流路3aでの流体抵抗値(抵抗係数)や流体粘性等に基づいて、抵抗流路3aを流れる流体の流量を算出する。
【0040】
一方、オペレータや外部の他の機器から設定流量が与えられると、この制御回路6はその設定流量と前記算出流量との偏差を算出し、その偏差に基づいて、前記算出流量が設定流量に近づくように、流量制御弁4に対して前記積層圧電素子412を伸縮させる指令信号を出力する。このようにして、弁座42aと弁体41aとの離間距離を変動させ、この流量調整弁4を流れる流体、つまりこの内部流路1aを流れる流体の流量を調整する。
【0041】
しかして、このように構成した本実施形態によれば、ボディ1に凹部1hを設けて流体抵抗部材3を収容するとともに、その凹部1hを圧力センサ21を取り付けることによって、一挙にシールできることから、従来のように、流体抵抗部材3を専用の蓋等でシールする必要がなくなり、部品点数の削減や組み立ての簡単化を促進して低コスト化を図ることができる。
【0042】
また、流量調整弁4と流体抵抗部材3とが、ボディ1における前記部品取付面1cに並んで設けられているので、その間を接続する内部流路1aの容積を可及的に低減できる。したがって、流量の検知と流量の制御との時間ずれを低減でき、マスフローコントローラ100の制御応答性を大幅に改善することが可能になる。
【0043】
さらに、流体抵抗部材3と圧力センサ21とを、シール部材が介在するものの、実質的に直接積層配置しているので、ボディ1が長手方向に長くなることを可及的に抑制でき、コンパクト化を促進できる。
【0044】
コンパクト化という点では、以下の効果も奏し得る。すなわち、圧力センサ21、22を、その感圧面2b1がその取付面2aに対して垂直に起立するように構成するととともに、これら圧力センサ21、22を、平面視、流体の流れ方向と感圧面2b1とが平行となるように、ボディ取付面1cに直列させて取り付けているので、感圧面2b1を大面積にして高感度を維持しながらも幅方向の寸法を小さくし、平面視、細長い形状にできる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0045】
例えば、
図10に模式的に示すように、部品点数削減というメリットを享受できるという点では、下流側の圧力センサ22によって流体抵抗部材3を封止するようにしてもよい。
【0046】
また、流体抵抗部材を収容する凹部を必ずしも設ける必要はなく、この流体抵抗部材を部品取付面から突出させて取り付け、これに圧力センサを取り付けるようにしてもよい。その際、圧力センサ側に流体抵抗部材を収容する凹部を設けることも考えられる。
【0047】
さらに言えば、理論的には、流量調整弁を圧力センサより下流側に設けることも可能であるし、このマスフローコントローラの下流側圧力や上流側圧力が一定状態の場合は、圧力センサを必ずしも一対設ける必要はなく、いずれか一方のみにしても構わない。
流体抵抗部材は、音速ノズルを利用したものでもよい。
【0048】
また、前記実施形態では流量測定機構10は、流体抵抗部材3の前後における流体の差圧に基づいて流量を測定するものであったが、前記流量測定機構10が、流体測定機器たる熱式流量センサ23を備えたものであっても構わない。
【0049】
以下に、本発明の別の実施形態に係る熱式流量センサ23を用いたマスフローコントローラ100について
図11の流体回路図、
図12の全体斜視図、
図13の縦断面図に基づいて説明する。
図11及び
図12に示すように、流量制御対象である流体を流す内部流路1aに沿って、上流から熱式流量センサ23流量調整弁4がこの順で設けてある。そして、この熱式流量センサ23による測定流量が予め定めた目標流量となるように前記流量調整弁4を制御する制御回路6とから構成されている。
【0050】
前記内部流路1aは、前記実施形態と同様に長細い直方体形状をなすボディ1に形成したものであり、その流体導入口1d及び流体導出口13がボディ1の長手方向に直交する面に開口させてあり、前記流体が内部を概略長手方向に流れていくようにしてある。そして、前記流体導入口1d及び流体導出口1eが設けてある面とは直交する面のうち1つを部品取付面1cとして、前記熱式流量センサ23及び前記流量調整弁4がこの面に取り付けるようにしてある。以下では、流量調整弁4については前記実施形態と同じ構成のため説明を省略し、前記流量測定機構10及び前記熱式流量センサ23について説明する。
【0051】
前記流量測定機構10は、
図11に示すように流体回路的には、前記内部流路1a上に設けた抵抗流路3aと、該抵抗流路3aの上流側及び下流側をつなぐように設けられたセンサ流路23aと、前記センサ流路23aの外管に巻き回された2つのコイル状のセンサ部234、235と、前記センサ部から出力される値に基づいて流体の流量を算出する流量演算部236とから構成してある。そして、前記流量演算部236から出力される流量値が、目標流量値となるように後続の流量調整弁4の開度を前記制御回路6が制御するようにしてある。
【0052】
前記熱式流量センサ23は、前記ボディ1の部品取付面1cの凹部1hに設けられた概略矩形状の流体抵抗部材3を上側から押さえつけるための基礎部2A1と、前記基礎部2A1の上面に取り付けられ、前記センサ流路23a中において特に管径が細く設定してある測定細管232と前記測定細管232の外管に巻き付けられるセンサ部234、235とを収容するセンサ収容部2A2とから構成してある。
【0053】
前記基礎部2A1は、概略直方体形状のブロック体であり、当該基礎部2A1と前記ボディ1との間に前記流体抵抗部材3を挟み込んで保持するようにしてある。そのため、当該基礎部の上面と下面とを貫通するように四隅にボルト取付穴が設けてあり、このボルト取付穴から、前記ボディ1の部品取付面1c側に設けられたねじ山へとボルトを螺合させていくことにより、前記流体抵抗部材3を前記ボディ1に押さえつけて、シール部材によって略気密に固定されるようにしてある。また、前記基礎部2A2の下面の中央部には、前記センサ流路請求項での導入口に相当する流体導入口2a1が開口してあり、前記流体抵抗部材3の連通路3cと連通するようにしてある。この流体導入口2a1から上面に向かって流体導入流路231が設けてあり、後述する測定細管232を通って、再び前記基礎部2A1に設けられた流体導出流路233の導出口2a2から前記凹部1hの外縁へと戻るようにしてある。
【0054】
前記センサ収容部2A2は、前記基礎部の上面に取り付けられる上下方向に細長い直方体形状の筐体を有するものであり、その内部に概略逆U字状の測定細管232と測定細管232の外管に巻き付けられる上流側センサ部234と下流側センサ部235とを収容しているものである。なお、断面図においては、各センサ部の記載を省略している。前記測定細管232の両端は、基礎部2A1の上面に開口している流路の開口部に対して、溶接により気密に取り付けられている。
【0055】
前記流体抵抗部材3は、前記実施形態と同様に複数の薄板を積層させたものであり、各薄板のスリットの大きさや数を調節することにより、いわゆる層流素子として機能するように構成してある。すなわち、このように熱式流量センサ23及び流体抵抗部材3を設けることにより、前記ボディ1の上流側内部流路1a(2)を通ってきた流体の一部は、前記流体抵抗部材3の抵抗流路3aを通り、層流化されて下流側内部流路1a(3)へと流れるとともに、残りは、前記連通路3cを通って前記測定流路23aをバイパスして前記下流側内部流路1a(3)へと流れることになる。この際、上流側内部流路1a(2)から直接下流側内部流路1a(3)へと流れる流量と、前記センサ流路23aを流れる流量の比率は流量測定に適した比率となるように前記流体抵抗部材3の流路抵抗を設定してある。
【0056】
流量の測定について簡単に説明すると、この実施形態では、いわゆる定電流型の熱式流量測定を行っており、前記測定流路23aでは、各センサ部234、235に流れる電流が一定となるように制御されている状態において、測定流路23aを流れる流体により熱が運ばれることにより上流側センサ部234、下流側センサ部235の抵抗値が変化して、印加される電圧が変化するのを検出することにより流体の流量が検出される。
【0057】
この熱式流量センサを用いた実施形態に関する変形例としては、例えば、定温度型の熱式流量測定を行うものであってもよいし、流体の温度測定を行いセンサ流路での上流側と下流側の温度変化に基づいて、流量を測定するものであっても構わない。また、その他の流体測定方法を用いる場合でも、流体の物理量を測定する流体測定機器とボディとの間に流体抵抗部材が設けてあり、前記流体測定機器の筐体により、前記流体抵抗部材を押さえつけて気密に固定するものであればよい。
【0058】
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。