(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記比較が、前記第1位置信号、前記第2位置信号及び前記第3位置信号のうちの少なくとも2つの間の測定誤差を求めることを含み、前記較正マップを求める前記ステップが、対応の前記測定誤差をマッピングするステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記第1エンコーダタイプセンサ、前記第2エンコーダタイプセンサ及び前記第3エンコーダタイプセンサに対する前記エンコーダスケールの前記第1方向への移動が一定の速度である、請求項1又は2に記載の方法。
移動中に第1距離信号及び第2距離信号を取得するステップであって、前記第1距離信号が、前記エンコーダスケールと、前記第1エンコーダタイプセンサ、前記第2エンコーダタイプセンサ及び前記第3エンコーダタイプセンサのうちの1つとの間の前記第1方向に垂直な距離を表し、前記第2距離信号が、前記エンコーダスケールと、前記第1エンコーダタイプセンサ、前記第2エンコーダタイプセンサ及び前記第3エンコーダタイプセンサのうちの他の1つとの間の前記第1方向に垂直な距離を表す、ステップと、
前記第1距離及び前記第2距離を考慮しながら、前記第1距離信号に基づき第1距離位置信号及び前記第2距離信号に基づき第2距離位置信号を生成するステップと、
前記第1距離位置信号及び前記第2距離位置信号を相互に比較することによってさらなる比較を生成するステップと、
前記さらなる比較に基づいて、前記エンコーダスケールの真直度較正マップを求めるステップと、を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
前記コントローラは、前記比較を生成する場合、前記第1位置信号、前記第2位置信号及び前記第3位置信号のうちの少なくとも2つの間の測定誤差を求め、前記コントローラは、前記較正マップを求める間に対応の前記測定誤差をマッピングする、請求項8又は9に記載のリソグラフィ装置。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、パターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲットに転写することができる。ターゲット部分は、1つ又はいくつかのダイの一部を含む場合がある。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパを含む。また、従来のリソグラフィ装置は、基板を所与の方向に平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナと、を含む。パターンを基板にインプリントすることによってもパターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0004】
[0004] 既知のリソグラフィ装置では、可動基板支持体及び可動パターニングデバイス支持体のような可動物体が用いられる。これらの可動物体を高い精度で移動させることができる。可動物体の位置を判定するため、高い精度で位置を測定することができる位置測定システムを設けなければならない。例えば、リソグラフィ装置における可動物体の高精度位置測定のため、干渉計システム及びエンコーダ測定システムが提供されている。
【0005】
[0005] エンコーダタイプの測定システムは、例えばグリッドプレート又は他の基準要素の上に、少なくとも1つのエンコーダタイプセンサ及びエンコーダスケールを備えている。エンコーダスケールは、少なくとも第1方向に配されたスケールマークのアレイを備える。少なくとも1つのセンサは、エンコーダスケールに対して少なくとも第1方向に相対的に可動であり、スケールマークを読み取ってエンコーダスケールと少なくとも1つのセンサとの間の第1方向の相対的な位置の変化を判定するように構成されている。
【0006】
[0006] エンコーダタイプセンサは、可動基板支持体又はパターニングデバイス支持体のような可動物体上に搭載することができ、エンコーダスケールは、メトロロジーフレーム等の基準物体上に搭載又は配置される。代替的な実施形態では、エンコーダスケールを可動物体上に搭載することができ、少なくとも1つのエンコーダタイプセンサを基準物体上に配置することができる。
【0007】
[0007] エンコーダスケールのスケールマークは、光学マーク、磁気マーク、又は他のマークである場合がある。マークは一定間隔に配列することができる。スケールマークはエンコーダタイプセンサによって読み取り可能であり、エンコーダスケールに対してセンサが相対的に移動することによって、エンコーダタイプセンサとエンコーダスケールとの間の第1方向の相対的な移動を表す信号が取得され得る。
【0008】
[0008] エンコーダスケールの製造中に、エンコーダスケール上にスケールマークが設けられる。しかしながら、例えば製造の不正確さのため、エンコーダスケール上にスケールマークが完璧には配列されない場合がある。従ってエンコーダスケールの較正が必要となり得る。第1較正は、製造後にエンコーダスケールの製造業者によって実行することができる。しかしながら、この較正では、エンコーダスケールの第1較正後に発生したスケール誤差が考慮されない。
【0009】
[0009] 例えばエンコーダスケールの取り付け中に、例えばフレーム上への接着によって、エンコーダスケールに誤差が発生することがある。また、エンコーダスケールの損傷又は汚染等の他の原因によっても、エンコーダスケールに誤差が生じる恐れがある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0019]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、照明システムIL、支持構造MT、第1位置決めデバイスPM、基板テーブルWT、第2位置決めデバイスPW及び投影システムPSを含む。照明システムILは、放射ビームBを調節するように構成されている。支持構造MTは、パターニングデバイスMAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1位置決めデバイスPMに接続されている。基板テーブルWTは、例えばレジストでコーティングしたウェーハ等の基板Wを保持するように構築されている。基板テーブルWTは、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2位置決めデバイスPWに接続されている。投影システムPSは、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C上に投影するように構成されている。
【0016】
[0020] 本明細書で使用する「放射」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0017】
[0021] 照明システムILは、放射の誘導、形成、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0018】
[0022] 支持構造MTは、パターニングデバイスMAを支持、すなわちその重量を支えている。支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイMAが例えば投影システムPSに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
【0019】
[0023] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分Cに生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0020】
[0024] パターニングデバイスMAは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0021】
[0025] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。
【0022】
[0026] ここに示すように、この装置は透過性マスクを採用するので透過型である。あるいは、装置は反射型であり、上記したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを採用するか、又は反射性マスクを採用することも可能である。
【0023】
[0027] リソグラフィ装置は、少なくとも1つの基板テーブルWT及び少なくとも1つの支持構造MTを有するタイプとすることができる。追加の基板テーブルWT又は支持構造MTを並列に用いることも可能であり、あるいは、1以上の基板テーブルWT又は支持構造MTを露光に用いている間に1以上の他の基板テーブルWT又は支持構造MTに準備ステップを実行することも可能である。リソグラフィ装置は、投影システムPSに対して測定機器を移動させるための測定ステージを有することができる。測定ステージは、基板を保持することに適したものでなくてもよい。
【0024】
[0028] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばパターニングデバイスMAと投影システムとの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために使用することができる。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板Wなどの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムPSと基板Wの間に液体が存在するというほどの意味である。
【0025】
[0029]
図1を参照すると、照明システムILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SO及びリソグラフィ装置は、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOから照明システムILへと渡される。他の事例では、例えば放射源SOが水銀ランプの場合は、放射源SOがリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及び照明システムILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に放射システムと呼ぶことができる。
【0026】
[0030] 照明システムILは、放射ビームの角度強度分布を修正するように構成される装置ADを備えていてもよい。また、照明システムILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。照明システムILを用いて放射ビームを調節し、その断面に所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0027】
[0031] 放射ビームBは、支持構造MT上に保持されたパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2位置決めデバイスPWと位置測定システムIF(例えば、干渉計デバイス、エンコーダタイプセンサ又は容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めすることができるように正確に移動することができる。同様に、第1位置決めデバイスPMと別の位置測定システム(
図1には明示されていない)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。一般に、支持構造MTの移動は、第1位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールの助けにより実現することができる。ロングストロークモジュールは、投影システムPSに対してショートストロークモジュールを粗動位置決めするためのものである。ショートストロークモジュールは、ロングストロークモジュールに対してパターニングデバイスMAを微動位置決めするためのものである。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2ポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現することができる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークP1、P2は、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分Cの間の空間に位置してもよい。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0028】
[0032] 図示のリソグラフィ装置は、以下の3つのモードのうち少なくとも1つで使用可能である。
【0029】
[0033] 1.第1モード、いわゆるステップモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される。次に、別のターゲット部分Cを露光することができるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0030】
[0034] 2.第2モードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
【0031】
[0035] 3.第3モードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0032】
[0036] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用することができる。
【0033】
[0037]
図2は、エンコーダスケールESの上面図を概略的に示す。エンコーダスケールESは1次元エンコーダスケールであり、矢印Aで示す測定方向に配したスケールマークSMのアレイを備えている。このアレイは周期的なアレイとすることができる。スケールマークSMは、例えば相対的に暗い線又は領域のような光学スケールマークであり、2つのエンコーダタイプセンサSENA、SENBによって読み取り可能である。エンコーダタイプセンサSENA、SENBは、測定方向Aに移動可能な可動物体MO上に配置されている。
【0034】
[0038] 以下の記載において、エンコーダタイプセンサSENA及びSENBを、もっと短い用語すなわち「センサSENA」及び「センサSENB」によって示すことにする。
【0035】
[0039] 可動物体MOがエンコーダスケールESに沿って移動すると、センサSENA、SENBは、スケールマークSMを読み取って、センサSENA及びSENBに対するエンコーダスケールESの測定方向Aの位置量を判定するように構成されている。位置量は、位置、速度、加速度、又はそれらの他のいずれかの時間導関数とすればよい。位置量は位置の変化とすることができる。一実施形態では、センサSENA、SENBは、通り過ぎたスケールマークの数をカウントして位置の粗い変化を判定するように構成され、さらに、少数のスケールマークSMの範囲内で、これらの少数のスケールマークSMに対するセンサの精細な絶対位置を判定するように構成されている。これらの2つの位置データを加算することで、エンコーダスケールES全体に対するセンサの絶対位置、従って測定方向Aにおける可動物体MOの絶対位置を判定することができる。
【0036】
[0040] 1つのセンサSENA、SENBを用いて測定方向Aにおける可動物体MOの位置を判定可能であることを注記しておく。多数の測定方向のために多数のセンサSENA、SENBを設けると、多数の自由度で可動物体の位置を判定することができる。例えば、直交xyz座標系において、x、y、z、Rx、Ry及びRzの位置を、6個のセンサSENA、SENBによって全ての測定方向のセンサ信号を供給することで判定可能である。例えば、3つのzセンサ、2つのxセンサ及び1つのyセンサを用いることができる。
【0037】
[0041] エンコーダスケールESの測定方向AのスケールマークSMのアレイは、例えば完全に等距離の配列のように必ずしもエンコーダスケール上で完璧に配置されているわけではない。この不完全性を補正するため、エンコーダスケールESを較正することが望ましい場合がある。エンコーダスケールESの較正は通常、製造業者によってエンコーダスケールESが製造された後に行われる。エンコーダスケールESと共にエンコーダスケールESの較正マップが与えられる。しかしながら、製造後にも、例えば損傷又は汚染によって、スケールマークSMの周期的なアレイに誤差が発生する可能性がある。また、例えばフレーム上にエンコーダスケールESを取り付ける際にエンコーダスケールESに誤差が生じる恐れがある。
【0038】
[0042]
図2に示すエンコーダスケールESに、誤差領域EAすなわちスケールマークが等距離で配列されていないエンコーダスケールESの一部が示されている。
【0039】
[0043]
図2は、本発明の一実施形態に従ってエンコーダスケールESを較正する方法を実行するシステムを示す。可動物体MO上に、エンコーダスケールESのスケールマークSMを読み取るように構成された2つのセンサSENA、SENBがある。センサSENA、SENBは、測定方向Aにおいて相互に固定距離Dで固定して間隔を空けられている。固定して間隔を空けられるとは、センサSENA及びSENBの相互の位置が固定されているという意味である。距離Dは、エンコーダスケールESの測定方向Aの長さよりも実質的に小さいものに選択することができる。
【0040】
[0044] 可動物体MO及びセンサSENA、SENBを測定方向AにエンコーダスケールESに対して移動させることで、エンコーダスケールESに対する2つのセンサSENA、SENBの位置を表す2つのセンサSENA、SENBのセンサ信号を取得することができる。この移動は、エンコーダスケールESの全長にわたって一定速度で実行し得る。移動中に取得したセンサ信号を用いて、エンコーダスケールESの誤差を求めることができる。
【0041】
[0045]
図3及び
図4は、エンコーダスケールESに沿ってセンサSENA、SENBを測定方向Aに移動させることによって取得された情報の例を示す。センサSENAは、センサSENAに対するエンコーダスケールの測定方向Aの位置量を表すセンサ信号を供給する。センサSENBは、センサSENBに対するエンコーダスケールの測定方向Aの位置量を表すセンサ信号を供給する。しかしながら、エンコーダスケールにおける誤差領域EAのために、測定位置は必ずしも真の位置でない。
【0042】
[0046]
図3及び
図4において、センサ信号に基づく位置データは、時間T1(
図3)及び真の位置TP(
図4)に対する測定位置偏差PDとして示されている。図において、第1センサSENA及び第2センサSENBの位置データは、明確さのために異なる高さレベルで示されている。
【0043】
[0047] エンコーダスケールESのスケールマークSMが完全に等間隔に並べられていれば、測定位置偏差は一定となり、測定領域全体にわたって双方のセンサSENA、SENBで同一となるはずである。しかしながら、エンコーダスケールESの誤差領域EAがあるために、一定レベルから偏差があることがわかる。時間については、まず第1センサSENAが誤差領域EAを通過し、結果として第1偏差を示す。その後、第2センサSENBが誤差領域を通過し、同じ偏差を示す。
【0044】
[0048] 第1センサSENA及び第2センサSENBは、距離Dに関連した時間間隔を空けて測定位置偏差の対応する偏差を有するので、誤差領域EAのために生じる第1及び第2センサSENA及びSENBの偏差は、センサSENA、SENBのセンサ信号の比較によって判定することができる。
図3におけるセンサSENA及びSENBのセンサ信号は、時間の関数としての信号である。これらの信号を用いて、センサSENA、SENB間の固定距離Dを考慮に入れることで、位置の関数としての信号を生成することができる。位置の関数としての信号を
図4に示す。
図4の信号を相互に比較することで、双方のセンサ信号の偏差を判定することができる。双方のセンサ信号の偏差は、エンコーダスケールにおける誤差の存在を示す。この偏差を用いて較正マップを生成することができ、これを例えば位置測定システムのコントローラのメモリに記憶することができる。較正マップは、センサのセンサ信号と真の位置との関係が記録されるいずれかの手段又はデバイスとすればよいことを注記しておく。
【0045】
[0049]
図4において、測定位置偏差はセンサSENA、SENBの真の位置と比較される。このデータは較正マップとして使用可能であるので、位置測定システムの使用中に、この較正マップを用いて測定位置を真の位置に変換することができる。
【0046】
[0050]
図2の実施形態では、エンコーダスケールESを較正するために2つのセンサSENA、SENBを設けて使用することを注記しておく。センサを2つのみ用いるので、距離Dの高調波及び/又は更に高次の高調波を有するエンコーダスケールの空間周波数成分は、2つのセンサSENA、SENBによって観察することができない。距離Dの高調波は、距離Dの長さの周期を有する空間周波数である。距離Dの更に高次の高調波は、複数の周期の長さが距離Dに等しいような周期を有する空間周波数である。この空間周波数成分を観察しない場合、較正誤差が生じることがある。
【0047】
[0051] エンコーダスケールESを較正することができる精度をさらに高めるため、可動物体MO上に3つ以上のセンサを設けることができる。追加のセンサは、上述のセンサSENA及びSENBと同様のものとすればよい。これらの追加センサは、各々がエンコーダスケールESを測定方向Aで読み取るように構成され、センサは測定方向Aに固定して間隔を空けられている。センサは測定方向Aで一列に配置することができるので、全てのセンサがエンコーダスケールESの同じ不規則配列を横切る。
【0048】
[0052] 3つ以上のセンサが第1センサ、第2センサ及び第3センサを含む場合、第1センサ及び第2センサを測定方向Aに第1距離で固定して間隔を空けることができ、第2センサ及び第3センサを測定方向Aに第2距離で固定して間隔を空けることができる。第1距離及び第2距離は異なるので、センサSENA、SENB間の第1距離のために観察することができないエンコーダスケールの空間周波数成分が、第2距離で間隔を空けた第2及び第3センサによって観察される。
【0049】
[0053] 一実施形態において、第1距離は第2距離より大きい。第1距離を第2距離の複数倍に等しくない距離に選択することで、第1距離及び第2距離の高調波又はさらに高次の高調波を3つのセンサの測定信号によって観察することができない事態を回避することが可能となる。
【0050】
[0054] 例えば、第1距離は5mm又は50mmに選択することができ、第2距離は51mmに選択することができる。
【0051】
[0055] 1つの測定方向に固定距離をあけた3つ以上のセンサを用いることの別の利点は、各センサのセンサ測定の不確定性に対する較正の不確定性が低減されることである。この利点は、各センサ間に選択した距離とは無関係である。
【0052】
[0056] 本発明の一実施形態の較正方法は位置測定システム自体によって実行することができ、従って、例えばリソグラフィ装置のように位置測定システムを設置した構成において用いられる。
【0053】
[0057]
図5は、リソグラフィ装置の可動ステージ、特に基板ステージWSの上面図を示す。基板ステージWSは、基板テーブルWT及び第2ポジショナPWを備えている。基板ステージWSの位置は高い精度で制御されなければならない。エンコーダタイプの測定システムを設けて、基板ステージWSの位置を判定する。
【0054】
[0058] エンコーダタイプの測定システムは、各々が2次元エンコーダスケールを備えた4つのグリッドプレートGPを含む。グリッドプレートGPは、このグリッドプレートGPの主な測定領域を示す点線の円によって示されている。実際には、グリッドプレートGPは矩形又は他の適切な形状を有する場合があり、さらに、例えば当接関係に配置することができる。
【0055】
[0059] 基板ステージWSの各コーナーは、2つのエンコーダヘッドEHを備えている。全てのエンコーダヘッドEHは基板ステージWSに対して固定位置に位置付けられるので、エンコーダヘッドEHは相互に対して固定位置に配置される。
【0056】
[0060] 各エンコーダヘッドEHは、センサSENA、SENB及び距離センサを備えている。距離センサは、グリッドプレートに垂直な方向すなわちこの実施形態ではZ方向の位置量を表すセンサ信号を供給するように構成されている。センサSENA、SENBは、グリッドプレートGPに平行な方向すなわちこの実施形態ではX−Y平面の位置量を表すセンサ信号を供給するように配置されている。距離センサは、この距離センサとグリッドプレートGPとの間の距離を測定する。このような距離センサは、位置測定のためにスケールマークSMを用いたり、又は、例えばグリッドプレートGP上での測定ビームの反射のような別の測定原理を用いたりすることができる。
【0057】
[0061] 3つのエンコーダヘッドEHから取得されたセンサ信号に基づいて、基板ステージWSの位置を6自由度で判定することができる。
【0058】
[0062] さらに別のエンコーダヘッドが存在するので、これらのエンコーダヘッドEHを、本発明の較正方法を用いたリソグラフィ装置におけるグリッドプレートGPの較正のために使用することができる。これは、リソグラフィ装置にグリッドプレートGPを取り付けた結果として生じるグリッドプレートGPの誤差、及び/又は汚染もしくは他の原因による誤差を、リソグラフィ装置自体によって求めて較正することができるという利点を有する。
【0059】
[0063] 較正中、基板ステージWSを、第1測定方向及びこの第1方向に垂直な第2測定方向に、グリッドプレートGPに対して多数回にわたり移動させることで、較正する必要のあるグリッドプレートGPの全領域をカバーする。
【0060】
[0064] 距離センサについて同様の較正方法を使用可能であることを注記しておく。この場合、少なくとも2つの距離センサをグリッドプレートGPに対して第2測定方向に移動させながら、距離センサ信号を取得する。少なくとも2つの距離センサ間の固定距離を考慮して、少なくとも2つの距離センサのこれらの距離センサ信号を比較すればよい。距離センサ信号の比較に基づいて、グリッドプレートGPの真直度(straightness)較正マップを求めることができる。
【0061】
[0065] 少なくとも7個のエンコーダヘッドを用いることで、位置測定システム全体を6自由度の全てにおいて較正することができる。
【0062】
[0066]
図5の実施形態では、基板ステージWSが上述の可動物体MOである。リソグラフィ装置において、支持構造MTのような他の可動物体MOに本発明を適用することも可能である。
【0063】
[0067] 各々が2次元エンコーダスケールを有する4つのグリッドプレートGPの代わりに、異なる数のグリッドプレートGPを用いてもよい。グリッドプレートGPは、1つ又は2つの1次元エンコーダスケールESを有することも可能である。
【0064】
[0068] しかしながら、リソグラフィ装置の位置測定システムはグリッドプレート較正向けに最適化されていない場合があるので、リソグラフィ装置におけるこの較正にはいくつかの制限があり得る。
【0065】
[0069] 例えば、エンコーダヘッドEHの構成は、較正向けでなく位置測定向けに最適化されていることがある。また、エンコーダヘッドEHの数は、最適な較正結果を得るには比較的少ない場合がある。さらに、基板ステージWSによって得られるエンコーダヘッドEH間の安定性は限定的であり、この結果、エンコーダヘッドEH間の固定距離の安定性が低くなる。
【0066】
[0070] 従って、
図5の基板ステージWSの構造に対して同様の構造を有するがグリッドプレートGPの較正向けに最適化された可動ステージシステムを備えることができる較正装置を提供することができれば望ましい。そのような別個の較正装置は、リソグラフィ装置にグリッドプレートGPを搭載した場合よりも長い時間を較正のために利用可能であるという利点を有し得る。
【0067】
[0071] そのような較正装置を用いる場合、較正装置とリソグラフィ装置との間でグリッドプレートGPを移送する際に、グリッドプレートGPの誤差に与える影響を最小限に抑えなければならない。これを達成するには、例えば、1以上のグリッドプレートGPをグリッドプレートフレーム上に搭載し、このフレームを1以上のグリッドプレートGPと共に較正装置とリソグラフィ装置との間で移送すればよい。
【0068】
[0072]
図6は、本発明の較正方法を実行するために使用可能である較正装置の上面図を示す。
図6の較正装置と
図5のリソグラフィ装置との主な相違点は、各コーナー領域に、各々がセンサSENA、SENB、及び距離センサを有する5つのエンコーダヘッドEHがあることである。各グリッドプレートGPのために設けるエンコーダヘッドEHの数を増やすことで、較正誤差をいっそう低減することができる。
【0069】
[0073] さらに、この較正装置は較正向けに最適化されているので、センサの位置はグリッドプレートの較正向けに最適に選択することができる。例えば、3つ以上のセンサを測定方向で一列に配置して較正結果を改善することができる。また、リソグラフィ装置の基板ステージWSよりも、異なるセンサ間の接続を比較的堅固にすることで、エンコーダヘッド間の安定性を改善することができる。
【0070】
[0074] 上述の実施形態において、エンコーダスケールESのスケールマークSMは光学マークである。しかしながら、例えば磁気マークのような他のタイプのマークも使用可能である。磁気マークは、特定のタイプの汚染に対して感度が低いことがある。
【0071】
[0075] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、従って本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0072】
[0076] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0073】
[0077] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明の実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0074】
[0078] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。従って、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。