【文献】
井狩 頌平ら,酸素プラズマ処理を施したフレキシブルプリント配線板用ポリイミドの銅めっき密着性に関する研究,材料,2010年 9月18日,Vol.59,No.10,p.705〜711
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー資源の枯渇の問題や大気中のCO2の増加のような地球環境問題などからクリーンなエネルギーの開発が望まれている。資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を電気エネルギーに直接変換する太陽電池が広く使用されており、またさらなる高機能化を目指して開発が進められている。そのため、特に太陽電池を用いた太陽光発電が新しいエネルギー源として開発、実用化され、発展の道を歩んでいる。
【0003】
太陽電池(ソーラーセル)は、太陽放射を電気的エネルギーに変換するための周知のデバイスである。太陽電池は、従来から、たとえば単結晶または多結晶のシリコン基板の受光面にシリコン基板の導電型と反対の導電型となる不純物を拡散することによってpn接合を形成し、シリコン基板の受光面とその反対側にある裏面とにそれぞれ電極を形成して製造されたものが主流となっている。また、原材料費低減のため、シリコン基板の薄型化が進んでいる。
【0004】
近年、太陽の小型化、薄型化、高集積化に伴い、小面積の絶縁、保護が必要となり、パターン状の緻密な保護層等の形成が要求されている。すなわち、より精密となり半導体として大敵となったα線、樹脂モールドの際に加わる圧力等の外部応力、などから保護する層の形成が必要となった。
【0005】
従来の製造技術では太陽電池に保護層を形成する手法として、ウエハにポリアミック酸又は保護膜用ポリイミド樹脂ワニスをスピンコートして薄膜を得ることが実用化されている。しかしながら、ウエハに必要な部分にのみ薄膜を形成することができないという問題があるため、さらに所望のパターンを形成する工程、例えばフォトリソグラフィ技術等が必要であり、煩雑であった。
【0006】
また、前記ポリイミド層に使用されるポリイミド樹脂の形態は、ポリアミック酸である場合が多く、ポリイミドに加工するためには加熱して閉環(イミド化)する工程(350〜500℃)が必要であった。そのため、イミド化反応時には樹脂の収縮が大きいなど、加工性の問題があり、特に薄いウエハ等に緻密なパターンとして樹脂保護層を成形することは困難であった。
【0007】
また、感光性を付与したポリイミド樹脂を用いて露光により樹脂パターンを形成する方法も提案されているが、感光性付与材料が制約される上に、高価である、湿式では適用できない場合もある、等の問題があった。また、構成要素においては発生したアウトガス成分が、電極と接合される金属層に付着し、製品の信頼性を低下させる恐れが生じ、感光性付与材料が使用できないという制約がある場合が多い。
【0008】
また、単結晶シリコン太陽電池や多結晶シリコン太陽電池の高効率化および低価格化は重要な課題である。セルの高効率化には、裏面の一部分に電極を形成し、そのほかの部分をシリコン酸化膜やシリコン窒化膜といった表面パッシベーション膜で覆うようにした構造の裏面ポイントコンタクトセルが有望である。この構造を低コストで実現するために、裏面側において電極がない領域にポリイミド層にスクリーン印刷法を用いて形成した太陽電池が提案されている(特許文献1)。一方、ポリイミド層は、有機材料なので、一定以上の高温(約500℃以上)を長時間かけると、特性が劣化してしまうという問題があり、裏面の電極をより低温で形成することが求められている。
【0009】
また、電極を形成するために、銀ペーストを用いたスクリーン印刷法を用いて銀のシード層形成した後、電解メッキ法によってニッケルや銅を堆積する方法が用いられているが、シード層を別途スクリーン印刷で作製しなければならないため、製造コストが高くなるという問題がある(特許文献2)。
【0010】
また、非熱可塑性ポリイミドに熱可塑性ポリイミド層を設け、その面上に銅をスパッタリングした後、電解メッキ法により金属層を形成するフレキシブルプリント配線板も知られているが( 例えば特許文献5)、微細配線における密着力が低くなる問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の
太陽電池の製造方法において、絶縁層に使用するポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物と
カルボキシル基を有するジアミンを有機溶媒に溶解させて、酸触媒の存在下、直接イミド化する(すなわち、ポリアミック酸を経由せずに)ことによって製造することができるものである。また、分子鎖中又は/及び分子鎖末端にエチニル基のような三重結合を導入させたイミドオリゴマーを作製し、太陽電池製造時の熱処理反応で良好な有機絶縁層を形成することも可能である(製造方法は後述する)。
【0017】
本発明においては、メッキ法によりポリイミド絶縁層上に金属層を形成できることを特徴としているため、ポリイミド構造中にカルボキシル基を含有していることが必須である。すなわち、前記ポリイミド樹脂組成物を製造するためのジアミン原料として3,5−ジアミノ安息香酸及び/又は3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを用いることが、各種特性面やコスト面で最も好適である。
【0019】
この他、市販品として入手できないものの3,3’−ジカルボキシベンジジン、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)安息香酸等の芳香族ジアミンも各種特性面から好適である。また、ジアミノシクロヘキサンカルボン酸や2,3−ジアミノプロパン酸のような脂肪族のジアミン化合物を用いてもカルボキシル基を含有したポリイミドを合成することが可能であるが、耐熱性が落ちる傾向がある。これらの化合物は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0020】
ポリイミド中に含まれるカルボキシル基の量、すなわち、ポリイミド樹脂のカルボン酸当量は、300−3000g/molが好適であり、500−2000g/molがより好適である。300g/mol以下となるとカルボキシル基の量が多くなりすぎ、高温処理時のカルボキシル基の脱炭酸反応による重量減少が無視できなくなり、3000g/mol以上になるとメッキ時の金属層形成不良や金属層との密着性の減少等が発生する傾向が見られる。なお、本件のカルボン酸当量はカルボン酸1molあたりのポリイミド樹脂の重量(単位:g/mol)で記述しているため、数字が小さいほどカルボキシル基を多く含んでいることになる。
【0021】
また、粘度や固形分などの制約からポリイミドの分子量を高くすることができない場合には、ポリマー鎖中及び/又はポリマー鎖末端に反応性基を導入すれば、初期の分子量が低くても熱硬化させることで良好な各種物性を得ることも可能である。
【0022】
反応性基としては、熱硬化により水等を脱離(縮合反応)しないエチニル基が最も好適である。エチニル基は、200℃以上、できれば300℃以上の加熱によりエチニル結合同士が反応し、耐熱性が優れた二重結合構造、高濃度の場合にはベンゼン環構造(3つのエチニル基が反応)を形成することができる。エチニル基を含有するポリイミド原料の具体例としては、ポリマー鎖中の場合には4,4’−(1,2−エチニル)ビスフタル酸二無水物、ポリマー末端の場合には3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン等のアミノ化合物、4−エチニル無水フタル酸、4−(フェニルエチニル)無水フタル酸、(フェニルエチニル)トリメリット酸無水物等の酸無水物を挙げることができる。これらの化合物は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0023】
また、エチニル結合のような三重結合による熱硬化反応の他にも無水マレイン酸による二重結合を用いた反応、水酸基やカルボキシル基と反応するような1,3−ジオキサゾリンベンゼンを用いた反応によっても熱硬化反応をさせることが可能である。特に本件の場合には、すでにイミド構造中にカルボキシル基を含むため手軽に用いることができる。ただし、熱硬化反応によりカルボキシル基が多量に消費されてしまうとメッキ時の金属層形成不良や金属層との密着性の減少等が発生する傾向が見られる。
【0024】
他方、本発明で用いられるポリイミドを構成するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンとしては、通常、上記のカルボキシル基を有するジアミンと共に、他のジアミン及び/又はテトラカルボン酸二無水物が併用される。これにより適切なカルボン酸当量に調整することができ、加えて、耐熱性、電気的特性、膜物性、密着性など様々な機能性を付与することができる。
【0025】
このようなジアミンとしては、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジトリフルオロメチル−1,1’−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジトリフルオロメチル−1,1’−ビフェニル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、9,9’−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン 5,5−ジオキシド、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,6−ジアミノピリジン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1、3−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジヘキサフルオロイソプロピリデンベンゼン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジヘキサフルオロイソプロピリデンベンゼン、α,α−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,4−ジイソプロピルベンゼン等を挙げることができる。これらのジアミンは、単独又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0026】
テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物及び4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−(1,2−エチニル)ビスフタル酸二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、特に溶解性の問題からビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を好適に用いることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0027】
本発明のポリイミド樹脂組成物に含まれるポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを有機溶媒に溶解させて、酸触媒の存在下で直接イミド化する、公知の合成法により製造することができる。各種原料は、一度に全量添加しても、逐次添加してもどちらでも構わない。使用原料、各種特性に応じて適宜用いることができる。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合比は、酸二無水物の合計量1モル%に対して、ジアミンの合計量0.9〜1.1モル%とするのが好ましい。ここで、酸触媒としては、無水酢酸/トリエチルアミン系、バレロラクトン/ピリジン系などの触媒を用いた化学的イミド化が好適に用いることができる。反応温度は、80〜250℃とすることが好ましく、反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件などにより適宜選択することができる。
【0028】
このようにして得られたポリイミド樹脂の数平均分子量は、6000〜60000であることが好ましく、7000〜40000であることがより好ましい。数平均分子量が6000未満であると、破断強度などの膜物性が低下する傾向があり、60000を超えると粘度が高くなり、糸引きの問題が発生し、印刷、塗布に適したワニスが得がたくなる。ここで、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置により標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を基礎としたポリスチレン換算値である。
【0029】
また、反応性基を有するイミドオリゴマーの場合の数平均分子量は、1000〜10000であることが好ましく、2000〜8000であることがより好ましい。数平均分子量が1000未満であると、熱硬化時間を長くしなければならないなど硬化条件が問題となってくる傾向があり、10000を超えるとポリマー末端の数が減少し硬化反応自身が起こりにくくなってしまう傾向がある。
【0030】
本発明の組成物に含まれる溶媒は、安価で手軽に直接パターン形成が可能なスクリーン印刷法を基としているため室温における蒸気圧が1mmHg以下の溶剤を用いることが好ましい。また、印刷時の環境湿度の影響がないように一部以上疎水性の溶剤を含むことが望ましい。ちなみに、インク中の溶媒の蒸発速度は、市販の示差熱・熱重量同時測定装置を使用し、減少した重量を観察することで測定することができる。なお、下記実施例ではMAC. Science Co., Ltd.製TG-DTA 2000Sを使用し、N
2流量150ml/min、温度40度、サンプル量20μlを開口部が5mmφのカップに滴下した条件で測定を行なっている。
【0031】
本発明で使用できる溶媒は、具体的には、安息香酸メチル、安息香酸エチル等の安息香酸エステル類やベンジルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル類やジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。水に難溶な溶媒を用いることにより、特にスクリーン印刷において吸湿により、白化(ポリイミドの析出現象)や粘度変化を起こりにくくすることができる。また、室温における蒸気圧が1mmHg以上となってくると、スクリーン印刷において版渇き等が起こりやすくなり、連続印刷性が劣る傾向にある。
【0032】
また、疎水性溶媒だけでなく、親水性溶媒(すなわち、水と混和可能な溶媒)も併せて使用することができ、インクの蒸発速度をコントロールすることができる。具体的には、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類やトリグライム、テトラグライム等のグライム類やトリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルエーテル等のエーテル類、スルホラン等が挙げられる。なお、水に混和可能であるとの記載は、おのおの異なる蒸気圧、性質を持っている溶剤を併用するということを明確に示すためであり、必ず水と混和しなければならないわけではない。ただし、使用する各種原料、合成したポリイミド組成により、それぞれ良溶媒は異なることから水に難溶な有機溶媒と組み合わせるのは、水に混和できる溶媒の方が、選択肢が広がるという点で好ましい。また、室温における蒸気圧が1mmHg以下である理由は疎水性溶媒の時と同じ理由であり、ポリイミドの各溶媒に対する溶解性と各溶媒の蒸発速度差を利用することで、乾燥時のパターンダレ等の印刷パターン不良を回避することが可能である。
【0033】
このように2種類以上の溶剤を混合することは有用であり、その混合割合は、混合溶媒全体に対し、疎水性溶媒が30重量%〜80重量%であることが好ましい。疎水性溶媒の割合が30重量%未満になると溶剤の疎水性が十分に発揮されず、スクリーン印刷時の白化や粘度変化を引き起こす原因となりやすい。
【0034】
また、蒸発速度の調整のためや樹脂組成物作製時の粘度調整のために希釈剤として、γ−ブチロラクトンのようなラクトン系溶剤、シクロヘキサノンのようなケトン系溶剤、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートのようなカーボネート系溶剤を用いることもできる。特に形成するパターンが十分大きいときや連続印刷性がそれ程必要ない場合には、ポリイミドの溶解性が増し、保存安定性が向上するという点で有効な方法である。最も推奨される溶剤はγ−ブチロラクトンであり、ポリイミド合成の時にも使用できる。
【0035】
本発明の組成物中のポリイミド樹脂固形分の割合は、15〜60重量%であることが好ましく、25〜50重量%であることが更に好ましい。15重量%未満であると1回の印刷、塗布で生成できる膜厚が薄くなり複数回の印刷、塗布が必要となる傾向があり、60重量%を超えると樹脂組成物の粘度が高すぎてしまう傾向がある。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、後述のとおりチクソトロピー性を有する。チクソトロピー性は、無機フィラーを添加することにより付与することができるので、本発明の樹脂組成物に無機フィラーを含有させることも有効な手段である。チクソトロピー性を付与するための無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、チタニアのうち、少なくとも1種類からなる無機フィラーを挙げることができる。具体的には、0.01〜0.03μmの無定形シリカ及び/又は粒径0.1〜0.3μmの球状シリカ又はアルミナ又はチタニアを挙げることができる。また、保存安定性などを高める目的でトリメチルシリル化剤などにより表面処理された無機フィラーを使用することがより好ましい。組成物中の無機フィラーの含有量は、通常、0〜50重量%、好ましくは2〜30重量%である。無機フィラーの含有量がこの範囲にあると、適切なチクソトロピー性が付与される。
【0037】
また、本発明のポリイミド樹脂組成物には、製品に影響がなければ必要に応じて、着色剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤等の添加剤を添加することができる。着色剤としては、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等が挙げられる。消泡剤は、印刷、塗工時及び硬化時に生じる泡を消すために用いられ、アクリル系、シリコーン系等の界面活性剤が適宜用いられる。具体的には、BYK Chemi社のBYK−A501、ダウコーニング社のDC−1400、シリコーン系泡消剤として、日本ユニカー社のSAG−30、FZ−328、FZ−2191、FZ−5609等が挙げられる。レベリング剤は、印刷、塗工時に生じる皮膜表面の凹凸を失くすために用いられる。具体的には、約100ppm〜約2重量%の界面活性剤成分を含有させることが好ましく、アクリル系、シリコーン系等のレベリング剤により、発泡を抑えるとともに、塗膜を平滑にすることができる。好ましくは、イオン性不純物を含まない非イオン性のものである。適当な界面活性剤としては、例えば、3M社のFC−430、BYK Chemi社のBYK−051、日本ユニカー社のY-5187、A−1310、SS−2801〜2805が挙げられる。密着性付与剤としては、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これら上記の添加剤は、ポリイミド樹脂成分100重量部に対して、10重量部以下の配合量にすることが好ましい。上記添加剤の配合量が10重量部を超えると、得られる塗膜物性が低下する傾向があると共に揮発成分による汚染の問題も生じるようになる。このため、上記の添加剤を添加しないことが最も好ましい。
【0038】
本発明のポリイミド樹脂組成物の25℃における粘度は、3500〜30000mPa・sが好ましく、4000mPa・s〜20000mPa・sがより好ましく、6000〜18000mPa・sが特に好ましい。これは、3500mPa・s未満となるとダレ等が起こりやすくなり充分な膜厚と解像度を得ることができず、40000mPa・sを超えると転写性、印刷作業性が劣る傾向がある。なお、本発明の粘度数値はレオメーターを用いて回転数333rad/sの条件で得られる、みかけ粘度で表すこととする。
【0039】
この粘度数値は、塗布直後の形状保持性と共に、スクリーン印刷時にスキージにより容易に変形して流動するという流動性についても重要な因子である。スクリーン印刷においては、粘度が高くなると樹脂組成物のローリングが悪くなるため、スクレッパーでのコートが不十分になり、塗布ムラ又はクズレ等が発生し易くなる傾向がある。
【0040】
また、インクにおいてスクリーン印刷等で所望のパターン形状に塗布した直後に印刷された形状を保持しようとする形状保持性がないと、パターン外周部ににじみやダレが発生するため、解像度良く厚膜を得ることができない。単純に粘度を高くすればダレ等は抑えられるが、スクリーン印刷において版離れの問題や塗布膜の平坦性の問題が生じてしまう。従って、にじみやダレが発生しないようにするためには、チクソトロピー係数が重要である。通常、レオメーターによる測定ではヒステリシスカーブ(粘度の回転数依存性の測定)により得られた面積から定量化及び評価が可能であるが、より一般的な粘度計を用いたTI値で評価する方法が最も簡便である。本発明においてチクソトロピー係数は、せん断速度が33(rad/s)と333(rad/s)における樹脂組成物のみかけ粘度、η33とη333の比η33/η333として表すこととする。
【0041】
周波数33rad/sで測定した樹脂ワニスの複素粘度としては、14000〜120000mPa・sであることが好ましい。120000mPa・sを超えると、スクリーン印刷した場合に版のメッシュ部分にペーストが残ってしまい、版離れが悪くなる傾向がある。
【0042】
従って、本発明のポリイミド樹脂組成物は、25℃におけるチクソトロピー係数(η33/η333)が1.5〜4.0の範囲になるようにすることが好ましく、1.8〜3.5がより好ましく、2.5〜3.2が特に好ましい。チクソトロピー係数が1.5以上であれば、スクリーン印刷により充分な解像性が得られやすく、一方、4.0以下であれば、印刷時の作業性が向上するためである。
【0043】
本発明のポリイミド樹脂組成物は、シリコンウェハ、セラミック基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、Ni、Cu、Al基板を代表とする金属基板、PIコーティング基板との濡れ性が高いことが好ましい。すなわち、シリコン、SiO
2膜、ポリイミド系樹脂、セラミック、金属表面上のいずれにおいても室温での接触角が20〜90°であることが好ましい。90°以下であれば、ワキ、ハジキ、ピンホールがなく均一な塗膜が得られる。90°を超えると基板上で樹脂ペーストが弾いてしまい、ピンホール、パターニング不良等が発生する。逆に、20°以下になると塗布後のレベリング時にダレが発生してしまい、パターン精度が低下する傾向があるため好ましくない。なお、上記の接触角度は、耐熱性樹脂ペーストの液滴を各種基板上に落とした際、液滴と基板の接点から接線を引き、この接線と基板との角度を接触角とする。なお「室温」とは、主に25℃前後の温度を指す。なお、組成物の接触角は、ポリイミド樹脂組成、溶剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤により調整することができる。
【0044】
上記本発明のポリイミド組成物を、太陽電池内の基層上に塗布、乾燥することにより、太陽電池内の絶縁膜を形成することができる。本発明のポリイミド樹脂組成物の塗布方法は、スクリーン印刷法、ディスペンス法、インクジェット法が好適であり、特に大面積を短時間で塗布できるという点でスクリーン印刷法が最適である。1回の塗布で、乾燥後の厚みが1μm以上、好ましくは2μm以上の膜を安定して形成することが可能である。絶縁信頼性を考慮すると1回の塗布で少なくとも5μm厚を得ることが望ましいため、スクリーン印刷法においては、線径50μm以下かつ420メッシュ以上のメッシュ版及びゴム硬度70度以上90度以下の樹脂製スキージを用いてスクリーン印刷することが望ましい。メッシュ径、メッシュ数などのスクリーン版の仕様は、所望の膜厚、パターンサイズにより適宜選択することができる。また、ディスペンス法にて細線描写が可能であり、塗布直後の線幅と比較してウェット塗膜の線幅が1日室温放置しても+20%以内であることを達成することが可能である。さらに、インクジェット法にて細線描写が可能であり、塗布直後の線幅と比較してウェット塗膜の線幅が1日室温放置しても+100%以内であることを達成することが可能である。
【0045】
上記ポリイミド樹脂組成物は、印刷後にレベリング、真空乾燥、最終のキュアプロセスを行なうことで、電気的特性、耐熱性、耐薬品性の優れた絶縁膜、保護膜を得ることができる。レベリングは、10分以上行なうことが好ましい。真空乾燥は、塗膜の仕上がりが良くなるため行なうことが好ましいが、レベリング剤や消泡剤を添加している場合には必ずしも必要とはしない場合がある。最終のキュア温度や時間は、ポリイミド樹脂組成物の溶剤や塗布した膜厚により適宜選択することができる。
【0046】
上記の通り、結晶シリコン基板の受光面と反対の面に、ポリイミドからなる複数の開口部を有する絶縁層、又は無機材料からなる絶縁層とポリイミドからなる絶縁層とを積層した複数の開口部を有する絶縁層を形成した後、該複数の開口部を通して、該シリコン基板とコンタクトを有している電極をメッキ法により形成する
。特に、電極は、ニッケルまたはニッケル含有金属からなるシード層と銅または銅含有金属との積層構造を
含むことが好ましく、該コンタクト部分とポリイミドからなる前記絶縁層上の両方に同時に
無電解メッキ法を用いて
ニッケル層又はニッケル含有金属層を形成する。この場合、シード層を無電解メッキ法で、銅または銅含有金属を電解メッキ法で形成することが好ましい。無電解メッキ法及び電解メッキ法により金属層を形成する方法自体は周知であり、無電解メッキ法は、市販の無電解メッキ液を用いて常法により行うことができる。下記実施例にも具体的にその方法が記載されている。また、電極形成後、構造全体を100℃〜300℃で10分間〜60分間程度熱処理することが好ましい。この熱処理により、該シリコン基板と該電極とのコンタクト抵抗の低減、および該ポリイミト層と該電極との密着性の向上が達成される。
【0047】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい具体例をさらに詳細に説明する。
【0048】
本発明で用いる結晶シリコン基板1は、単結晶シリコン、多結晶シリコンのどちらを用いてもよい。また、本発明で用いる結晶シリコン基板1は、導電型がp型の結晶シリコンまたは、導電型がn型の結晶シリコンのどちらを用いてもよい。なお、当該結晶シリコン基板1に用いる単結晶シリコンまたは多結晶シリコンは、任意のものでよいが、抵抗率が、0.5−10Ω・cmである単結晶シリコンまたは多結晶シリコンが望ましい。
【0049】
本発明の太陽電池の第一の実施形態について述べる。ただし、本発明は、以下に述べる方法で作製した太陽電池に限るものではない。
【0050】
まず、結晶シリコン基板1(p型単結晶シリコン基板)の表面にテクスチャ構造を形成する。テクスチャ構造の形成は、基板1の両面に形成しても片面(受光面側)に形成してもかまわない。テクスチャ構造を形成するためまず、アズスライス基板を加熱した、水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリウム溶液に浸して、基板のダメージ層を除去する。その後、加熱した水酸化カリウム/イソプロピルアルコールを主成分とする溶液に浸すことで、基板表面にテクスチャ構造を形成する。または、アズスライス基板を直接、加熱した水酸化カリウム/イソプロピルアルコールを主成分とする溶液に浸すことで、基板のダメージ層の除去と表面テクスチャを同時に行ってもよい。または、アズスライス基板を、フッ酸と硝酸を含む溶液に浸すことで表面テクスチャを形成してもよい。
【0051】
続いて、上記の基板1を塩酸、フッ酸などの溶液で洗浄後、結晶シリコン基板1にPOCl
3などの熱拡散により、リン拡散層(n
+層)2を形成する。リン拡散層2は、リンを含んだ溶液を塗布し、熱処理をすることによっても形成できる。このリン拡散層2の深さは、0.2−1μm 、シート抵抗は、50−100Ω/□が望ましい。その後、反射防止膜3として、拡散層2の上に、窒化シリコン膜を厚さ60−100nmの範囲で形成する。反射防止膜3は、窒化シリコン膜に限らず、酸化シリコン、酸化アルミニウム、シリコン窒酸化膜、酸化チタンのうち選択される1種類または2種類のものが用いられる。窒化シリコン膜は、プラズマCVD法, 熱CVD法、スパッタ法などの方法で作製できるが、350−500℃の温度範囲で形成できるプラズマCVD法が望ましい。
【0052】
一方、結晶シリコン基板1の非受光面側には、結晶シリコン基板1と同じ導電型のアルミニウムやボロンなどのIII族の元素を結晶シリコン基板1より高濃度にドーピングした層であるBSF(back surface field)層4が形成される。BSF層4は、裏面側にアルミニウムあるいは、ボロンを主成分とするペーストを所定の形状に塗布し、熱処理を行った後、表面のアルミニウムの金属層あるいは、ボロンガラス層を除去することで形成される。該アルミニウムペーストや該ボロンを主成分とするペーストの塗布には、スクリーン印刷、インクジェット、スピンコートなどの方法を用いることができる。また、受光面側の電極5は、反射防止膜3上に銀を主成分とするペーストをスクリーン印刷により形成し、熱処理(ファイアースルー)を行うことで形成される。なお、BSF層4と表面電極5とを作製するための熱処理は、同時に行ってもかまわない。BSF層4は、裏面の全面または、ドット状、ライン状に形成できる。
図2では、BSF層4は、シリコン基板1の非受光面側の一部に形成されているが、非受光面側全面に形成されていてもよい。
【0053】
さらに、ポリイミド層7の複数の開口部分を通して、裏面電極6(非受光面側の電極)とBSF層4とのコンタクトが形成されている。ポリイミド層7は、スクリーン印刷などにより開口部を有する所定のパターンに印刷することによって形成できるが、開口部は、ドット状でもライン状でも構わない。該裏面電極6は、非受光面側のコンタクト部と、ポリイミド層7の上の
両方に同時に形成される。
【0054】
ここで、裏面電極のコンタクト部周辺の拡大図(
図1のAの部分)を
図2に示す。シリコン基板1とオーミックコンタクトを形成しているシード層61と、その上に形成された銅または銅を含んだ金属層62との積層構造になっている。該シード層は、銅がシリコン基板中に拡散しないようにするためのバリア層としも機能している。裏面電極6は、シード層61として、シリコン基板1(BSF層4)上に無電解メッキ法により、ニッケルまたはニッケルを含む金属を該コンタクト部分と該ポリイミドからなる絶縁層上
の両方に同時に形成し、さらに、該銅または銅を含む金属を、該シード層上に、電解メッキ法あるいは無電解メッキ法を用いて同時に積層する。その後、熱処理をおこなうことによって、ニッケルまたはニッケルを含む金属からなるシード層とシリコン基板1(BSF層4)とのオーミックコンタクトを得る。この場合、ニッケルまたはニッケルを含む金属層61の一部は、BSF層4とシリサイドを形成することが望ましい。
【0055】
本裏面電極の構成では、シード層であるニッケルまたはニッケルを含む金属層61と銅または銅を含む金属層62とを共にメッキ法で作製し、堆積後500℃以下の熱処理温度で低抵抗の電極を作製することができる。このため、ポリイミド層7を劣化させることなく裏面電極6を形成することができる。
【0056】
さらに、ポリイミド層7とシリコン基板1との間に、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、酸化アルミニウム膜、酸化チタン膜、のうちの1つあるいは2つが積層された絶縁層8が形成されていても良い(
図3、4)。この場合、絶縁層8を形成後、その上に所定のパターンを有するポリイミド層7を形成し、ポリイミド層7をマスクとしてフッ酸等により絶縁層8をエッチングして、コンタクト部分のパターンを形成することができる。本構造では、シリコン基板1と絶縁層8との界面での表面パッシベーション効果をより高めることが期待できる。また、本構造では、ポリイミド層7とシリコン基板1との間に、絶縁層8を形成しているが、これを除けば、上記ポリイミド層7のみを有する太陽電池を例示したように、裏面電極6およびBSF層4の構造を変更してもかまわない。
【0057】
また、裏面電極6を形成するときに同時に、表面電極5の銀電極上に、該ニッケルまたはニッケルを含む金属と、その上に銅または銅を含んだ金属とを積層し、3層の積層をもつ電極構造を形成してもよい。さらに、銅の酸化防止ために、銅または銅を含む金属の上に錫を含む金属をメッキ法により積層してもよい。
【0058】
次に、本実施形態の第二の実施形態について説明する。
図5は、本発明の太陽電池の断面構造の一例を示す図面である。受光面側の構造が異なっているのみで、結晶シリコン基板1の裏面側には、第一の実施形態と同じ構造が形成されてかまわない。
【0059】
本実施形態における結晶シリコン基板1は、n型の単結晶シリコンを用いた例について説明する。まず、受光面に入射光の反射を低減するため、結晶シリコン基板1の表面(受光面側のみでもよい)にテクスチャ構造が形成される。結晶シリコン基板1の非受光面側には、リンなどのV族の不純物を拡散することで、n型のBSF層4が形成される。反対に、受光面側の表面には、化学気相成長法(CVD法)により、アモルファスシリコン層が形成される。このアモルファスシリコン層9と結晶シリコン基板1との間にヘテロ接合が形成される。該アモルファスシリコン層9は、シリコン基板1上に、ドーピングをしていない層(i層)91とボロンをドーピングした層(p層)92とを積層したアモルファス層を形成することが望ましいが、ボロンをドーピングした層(p層)92を形成するのみでもかまわない。アモルファスシリコン層92上には、スパッタ法や蒸着法により、酸化インジウム(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)などの透明導電膜10が形成される。さらに、透明導電膜上には、表面電極5(受光面側電極)が形成される。表面電極は、銅または銅を含む金属あるいは、銀または銀を含む金属を印刷法やメッキ法により形成する。裏面電極6(非受光面側の電極)は、第一の実施形態で示した構造のうちの1つを選択することができる。本実施形態は、第一の実施形態のシリコン基板1と拡散層2とのpn接合の代わりに、シリコン基板1とアモルファスシリコン層91,91とのヘテロ接合を用いた太陽電池構造になっている。
【0060】
さらに、本発明による太陽電池の第三の実施形態について説明する。
図6は、本発明の太陽電池の断面構造の一例を示す図面である。
【0061】
本実施形態における結晶シリコン基板1として、n型の単結晶シリコンを用いた例について説明する。結晶シリコン基板1の受光面側のみにはテクスチャ構造が形成されている。結晶シリコン基板1の受光面側に、リンなどのV族の元素をドーピングしたn型のFSF(front surface field)層11が形成される。SFS層11の表面には、SiNなどの反射防止膜3(表面パッシベーション膜の効果を兼ねてもよい)が形成される。なお、該拡散層11を除いて、反射防止膜3のみが形成されているだけでもかまわない。
【0062】
一方、非受光面側には、所定の部分にボロンまたはアルミニウムが拡散されたp型の拡散層(p
+層)2が形成される。p型の拡散層2と、n型の単結晶シリコン基板1との間でpn接合が形成される。さらに、リンの拡散により、所定の部分にn型のBSF層(n
+層)4が形成される。ここで拡散層2と第一の裏面電極63がコンタクト部分により接続され、BSF層4と第二の裏面電極64とがコンタクト部分で接続されている。コンタクト部分を除いた場所に、ポリイミド層7、あるいは、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜、シリコン酸窒化膜、酸化チタン膜のうち1つか2つからなる絶縁膜8とポリイミド層7とが積層された絶縁層が形成されている。第一裏面電極63と第二裏面電極64は、シリコン基板1とコンタクトを形成しているシード層61と、その上に形成された銅または銅を含む金属62との積層構造になっている。シード層61は、ニッケルまたはニッケルを含む金属をメッキ法で形成できる。
図7に示すように、第一電極63と第二電極64は、互いに接続されないようにコンタクト部とポリイミドからなる絶縁層7の上の一部に形成されている。本第三の実施形態の構成では、裏面電極型の結晶シリコン太陽電池においても、本実施形態の構成を用いることで、低コストで作製が可能な太陽電池構造を実現できる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0064】
実施例1
1. ポリイミドの合成
合成実施例1
ステンレス製の碇型攪拌器を取り付けた2リットルのセパラブル3つ口フラスコに、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(ODPA)148.91g(480ミリモル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(PAM−E)23.86g(96ミリモル)、3,3’−ジカルボキシ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)41.22g(144ミリモル)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)98.52g(240ミリモル)、γ−バレロラクトン4.8g、ピリジン7.6g、安息香酸メチル(BAME)385g、γ−ブチロラクトン385g、トルエン100gを仕込んだ。室温、窒素雰囲気下、180rpmで30分攪拌した後、180℃に昇温して5時間攪拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。還流物を系外に除くことにより28%濃度のポリイミド溶液を得た。なお、本ポリイミド樹脂の理論的なカルボン酸当量は1025g/molである。
【0065】
合成比較例1
合成実施例1と同様の装置を用いた。ODPA148.91g(480ミリモル)、PAM−E23.86g(96ミリモル)、4,4'−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン(Bisaniline−M)70.28g(204ミリモル)、BAPP73.89g(180ミリモル)、γ−バレロラクトン4.8g、ピリジン7.6g、BAME385g、テトラグライム385gトルエン100gを仕込んだ。室温、窒素雰囲気下、180rpmで30分攪拌した後、180℃に昇温して5時間攪拌した。反応中、トルエン−水の共沸分を除いた。還流物を系外に除くことにより28%濃度のポリイミド溶液を得た。
【0066】
今回、結晶系Si太陽電池の電極形成及びBSF層に形成する金属の無電解Ni+Cuメッキの前処理法、無電解Ni+Cuメッキ及びメッキ組成は下記の記載である。
【0067】
前処理方法
UV処理 30mm,2分間
↓
アルカリ脱脂(45℃, 2分間)
NaOH 8g/dm
3、クエン酸ナトリウム 10g/dm
3、界面活性剤 2g/dm
3
↓
エッチング(20℃,1分間)
リン酸 5vol%、硝酸 5vol%
↓
コンディショニグ(45℃,1分間)
↓
【0068】
無電解メッキ及び電解メッキ法
触媒化処理(45℃,3分間)
PdCl
2 0.3g/dm
3、HCl 0.3%
↓
還元処理
次亜リン酸 30g/dm
3
↓
無電解Niメッキ
45℃ 10分間(0.7μm)
↓
電気Cuメッキ
室温 3A/dm
2
3μm
↓
炉120℃ 1時間
【0069】
【表1】
【0070】
実施例2
ボロンをドーパンとしたp型の単結晶シリコン基板(結晶シリコン基板1)を用いて、
図2の構造の単結晶シリコン太陽電池を作製した。
【0071】
単結晶シリコン基板1の表面をテクスチャ処理した後、POCl
3を用いたリン拡散層(拡散層2)を形成した。次に、反射防止膜3として、プラズマCVDで、厚さ80nmのSiN膜を形成した。次に、スクリーン印刷法により、銀ペーストによるパターンをSiN膜上に、アルミニウムペーストを裏面側に全面に印刷し、750℃で焼成を行った。これにより、表面の銀ペーストによる表面電極5とシリコン基板1(拡散層2)とのコンタクトと形成された。同時に、裏面側アルミニウムペーストによるBSF層4と裏面アルミニウム層が形成された。次に、裏面側のアルミニウム金属層を塩酸により除去し、BSF層4のみを残した。その後、本発明のメッキが可能なポリイミドインク(実施合成例1)をスクリーン印刷により所定のパターンに印刷し、裏面の絶縁膜層8を形成した。次に、第0067段落及び第0068段落記載の前処理及び無電解メッキによりニッケルを、電解メッキにより銅を連続して作製し、200℃の熱処理を加えることによって、裏面電極6を形成した。同時に、受光面側に形成した銀電極上にもニッケルおよび銅が形成され、銀/ニッケル/銅の積層からなる表面電極5が形成された。
【0072】
上記プロセスにより単結晶シリコン太陽電池を作製した結果、短絡電流34.3mA/cm
2、開放電圧 0.612V、曲線因子0.723、変換効率 15.2% が得られた。この結果、本発明の効果が明らかとなった。
【0073】
比較例1
上記記載の同様なプロセスにてポリイミドインク(比較合成例1)をスクリーン印刷により所定のパターンに印刷し、裏面の絶縁膜層8を形成した。次に、上記前処理及び無電解メッキによりニッケルメッキを実施したがめっきが出来なかった。