特許第6014917号(P6014917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友化学株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014917
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】有害生物防除組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 53/06 20060101AFI20161013BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20161013BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   A01N53/00 506Z
   A01N25/00 101
   A01P7/04
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-288245(P2012-288245)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-151493(P2013-151493A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2015年10月6日
(31)【優先権主張番号】特願2011-289276(P2011-289276)
(32)【優先日】2011年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】山田 将弘
【審査官】 井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−273947(JP,A)
【文献】 特開2011−148760(JP,A)
【文献】 特開2011−153129(JP,A)
【文献】 特開昭59−212403(JP,A)
【文献】 特開平06−305904(JP,A)
【文献】 特開2001−010907(JP,A)
【文献】 特開2007−230894(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/036316(WO,A1)
【文献】 特開2012−254963(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0195119(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
で示されるエステル化合物とアジピン酸ジエチルとを含有する有害生物防除組成物。
【請求項2】
式(1)で示されるエステル化合物とアジピン酸ジエチルとの含有割合が重量比で4:1〜1:300である請求項1に記載の有害生物防除組成物。
【請求項3】
式(1)で示されるエステル化合物とアジピン酸ジエチルとの含有割合が重量比で1:1〜1:100である請求項1に記載の有害生物防除組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物を、有害生物又は有害生物の生息場所(ただし、人体の場合を除く)に施用する有害生物の防除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除組成物及び有害生物の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式(1)で示されるエステル化合物が、有害節足動物に対して防除効力を有することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−2363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、有害生物に対して優れた防除効力を有する有害生物防除組成物、及び有害生物の防除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、優れた防除効力を有する組成物を見出すべく鋭意検討した結果、下記式(1)で示されるエステル化合物とアジピン酸ジエチルとを含有する組成物が有害動物に対して優れた防除効力を有することを見出し、本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明は以下の発明を含む。
〔1〕 式(1)で示されるエステル化合物とアジピン酸ジエチルとを含有する有害生物防除組成物。
〔2〕 式(1)で示されるエステル化合物とアジピン酸ジエチルとの含有割合が重量比で4:1〜1:300である〔1〕に記載の有害生物防除組成物。
〔3〕 式(1)で示されるエステル化合物とアジピン酸ジエチルとの含有割合が重量比で1:1〜1:100である〔1〕に記載の有害生物防除組成物。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の有害生物防除組成物を、有害生物又は有害生物の生息場所に施用する有害生物の防除方法。
【0007】
本発明の有害生物防除組成物は、有害生物の防除において優れた効力を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の有害生物防除組成物は、式(1)で示されるエステル化合物(以下、「本エステル化合物」と記す。)とアジピン酸ジエチルとを含有する。
【0009】
本エステル化合物は、例えば特開平2004−2363号公報等に記載の方法により製造することができる。
本エステル化合物には、シクロプロパン環上に存在する2つの不斉炭素原子及びシクロプロパン環に置換している置換基の二重結合に由来する異性体が存在するが、本発明では活性な異性体を任意の比率で含有するものを使用することができる。
本エステル化合物としては、例えば、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−シス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−((E)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート等が挙げられる。
【0010】
アジピン酸ジエチルは、市販品または公知の方法により製造したものを用いることができる。
【0011】
本発明の有害生物防除組成物が防除効力(殺虫効力、ノックダウン効力、忌避効力等)を有する有害生物としては、例えば有害昆虫、有害ダニ類等の有害節足動物が挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
【0012】
鱗翅目害虫:ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫(Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属害虫(Helicoverpa spp.)ヘリオティス属害虫(Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等。
双翅目害虫:アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ハモグリバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等。
網翅目害虫:チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等。
膜翅目害虫:アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等。
隠翅目害虫:イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等。
シラミ目害虫:ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等。
等翅目害虫:ヤマトシロアリ、イエシロアリ等。
半翅目害虫:ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、トコジラミ等のトコジラミ類、グンバイムシ類、キジラミ類等。
鞘翅目害虫:ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属(Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等。
総翅目害虫:ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等。
直翅目害虫:ケラ、バッタ等。
ダニ類:コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類、トリサシダニ、ワクモ等のワクモ類。
【0013】
本発明の有害生物防除組成物は、特に双翅目害虫、網翅目害虫および膜翅目害虫に対して優れた防除効力を有する。
【0014】
本発明の有害生物防除組成物において、本エステル化合物とアジピン酸ジエチルとの含有割合は重量比で、通常、4:1〜1:300であり、好ましくは1:1〜1:100であり、より好ましくは1:2〜1:20である。なお、本発明の有害生物防除組成物において、アジピン酸ジエチルを2種以上含有する場合には、本エステル化合物と、アジピン酸ジエチルの合計量との含有割合が、上記した本エステル化合物とアジピン酸ジエチルとの含有割合である。
【0015】
本発明の有害生物防除組成物は、本エステル化合物とアジピン酸ジエチルとの混合物をそのまま用いてもよいが、通常は下記のような製剤として使用する。その製剤としては、例えば液剤、油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、マイクロカプセル剤、粉剤、粒剤、錠剤、エアゾール剤、炭酸ガス製剤、加熱蒸散剤(殺虫線香、電気殺虫マット、吸液芯型加熱蒸散殺虫剤等)、ピエゾ式殺虫製剤、加熱燻煙剤(自己燃焼型燻煙剤、化学反応型燻煙剤、多孔セラミック板燻煙剤等)、非加熱蒸散剤(樹脂蒸散剤、紙蒸散剤、不織布蒸散剤、編織物蒸散剤、昇華性錠剤等)、煙霧剤(フォッキング等)、直接接触剤(シート状接触剤、テープ状接触剤、ネット状接触剤等)、ULV剤及び毒餌が挙げられる。
【0016】
製剤化の方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。
(1)本エステル化合物とアジピン酸ジエチルとの混合物を、固体担体、液体担体、ガス状担体、餌等と混合し、必要であれば界面活性剤その他の製剤用補助剤を添加・加工する方法。
(2)本エステル化合物とアジピン酸ジエチルとの混合物を、有効成分を含有していない基材に含浸する方法。
(3)本エステル化合物、アジピン酸ジエチル及び基材を混合した後に成形加工する方法。
これらの製剤には、本エステル化合物及びアジピン酸ジエチルを、合計量にして通常0.001〜98重量%含有する。
【0017】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、塩安、尿素等)等の微粉末及び粒状物、常温で固体の物質(2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、ナフタリン、p−ジクロロベンゼン、樟脳、アダマンタン等)、並びに羊毛、絹、綿、麻、パルプ、合成樹脂(例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニルエステル共重合体;エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−ビニルカルボン酸共重合体;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリブタジエン、ポリスチレン;アクリロニトリル−スチレン樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物等のスチレン系エラストマー;フッ素樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリルサルフォン、ポリアクリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡エチレン等の多孔質樹脂)、ガラス、金属、セラミック等の1種または2種以上からなるフェルト、繊維、布、編物、シート、紙、糸、発泡体、多孔質体及びマルチフィラメントが挙げられる。
【0018】
液体担体としては、例えば芳香族または脂肪族炭化水素類(キシレン、トルエン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ケロシン、軽油、ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等)、エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、植物油(大豆油、綿実油等)、植物精油(オレンジ油、ヒソップ油、レモン油等)、及び水が挙げられる。
【0019】
ガス状担体としては、例えばブタンガス、フロンガス、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、窒素及び炭酸ガスが挙げられる。
【0020】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類のポリオキシエチレン化物、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類及び糖アルコール誘導体が挙げられる。
【0021】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、及びBHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)が挙げられる。
【0022】
殺虫線香の基材としては、例えば木粉、粕粉等の植物性粉末とタブ粉、スターチ、グルティン等の結合剤との混合物が挙げられる。
殺虫電気マットの基材としては、例えばコットンリンターを板状に固めたもの、及びコットンリンターとパルプとの混合物のフィリブルを板状に固めたものが挙げられる。
自己燃焼型燻煙剤の基材としては、例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、グアニジン塩、塩素酸カリウム、ニトロセルロース、エチルセルロース、木粉等の燃焼発熱剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重クロム酸塩、クロム酸塩等の熱分解刺激剤、硝酸カリウム等の酸素供給剤、メラミン、小麦デンプン等の支燃剤、珪藻土等の増量剤及び合成糊料等の結合剤が挙げられる。
【0023】
化学反応型燻煙剤の基材としては、例えば、アルカリ金属の硫化物、多硫化物、水硫化物、酸化カルシウム等の発熱剤、炭素質物質、炭化鉄、活性白土等の触媒剤、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、ポリスチレン、ポリウレタン等の有機発泡剤、及び、天然繊維片、合成繊維片等の充填剤が挙げられる。
【0024】
樹脂蒸散剤等の基材に用いられる樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニルエステル共重合体;エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−ビニルカルボン酸共重合体;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリブタジエン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−共役ジエン共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物等のスチレン系エラストマー;フッ素樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル酸樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリルサルフォン、ポリアリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンが挙げられ、これらの基材は、単独で用いても2種以上の混合物として用いても良く、これらの基材には必要によりフタル酸エステル類(フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル等)、アジピン酸エステル類、ステアリン酸等の可塑剤が添加されていてもよい。樹脂蒸散剤は、本エステル化合物およびアジピン酸ジエチルを上記基材中に混練した後、射出成型、押出成型、プレス成型等により成型することにより得ることができる。得られた樹脂製剤は、必要により更に成型、裁断等の工程を経て、板状、フィルム状、テープ状、網状、ひも状等の形状に加工することもできる。これらの樹脂製剤は、例えば動物用首輪、動物用イヤータッグ、シート製剤、誘引ひも、園芸用支柱として加工される。
【0025】
毒餌の基材としては、例えば、穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ粉末等の子どもやペットによる誤食防止剤、及びチーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイル等の害虫誘引性香料があげられる。
【0026】
本発明の有害生物防除組成物は、本エステル化合物およびアジピン酸ジエチルの他に、害虫防除剤、忌避剤、共力剤等を混用または併用してもよい。
混用または併用することのできる他の害虫防除剤の有効成分としては、例えば以下のものが挙げられる。
(1)合成ピレスロイド化合物
アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、ベータ−シフルトリン(beta−cyfluthrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、エンペントリン(empenthrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルフェンプロックス(flufenoprox)、フルメトリン(flumethrin)、フルバリネート(fluvalinate)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、イミプロトリン(imiprothrin)、ペルメトリン(permethrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、レスメトリン(resmethrin)、シグマ−サイパーメトリン(sigma−cypermethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、フェノトリン(phenothrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、アルファシペルメトリン(alpha−cypermethrin)、ゼータシペルメトリン(zeta−cypermethrin)、ラムダシハロトリン(lambda−cyhalothrin)、ガンマシハロトリン(gamma−cyhalothrin)、フラメトリン(furamethrin)、タウフルバリネート(tau−fluvalinate)、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルフェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート等;
(2)有機リン化合物
アセフェート(acephate)、りん化アルミニウム(Aluminium phosphide)、ブタチオホス(butathiofos)、キャドサホス(cadusafos)、クロルエトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルフェンビンホス(ch1orfenvinphos)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos−methyl)、シアノホス(cyanophos:CYAP)、ダイアジノン(diazinon)、DCIP(dichlorodiisopropyl ether)、ジクロフェンチオン(dichlofenthion:ECP)、ジクロルボス(dichlorvos:DDVP)、ジメトエート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルホトン(disulfoton)、EPN、エチオン(ethion)、エトプロホス(ethoprophos)、エトリムホス(etrimfos)、フェンチオン(fenthion:MPP)、フエニトロチオン(fenitrothion:MEP)、ホスチアゼート(fosthiazate)、ホルモチオン(formothion)、りん化水素(Hydrogen phosphide)、イソフェンホス(isofenphos)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メスルフェンホス(mesulfenfos)、メチダチオン(methidathion:DMTP)、モノクロトホス(monocrotophos)、ナレッド(naled:BRP)、オキシデプロホス(oxydeprofos:ESP)、パラチオン(parathion)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet:PMP)、ピリミホスメチル(pirimiphos−methy1)、ピリダフェンチオン(pyridafenthion)、キナルホス(quinalphos)、フェントエート(phenthoate:PAP)、プロフェノホス(profenofos)、プロパホス(propaphos)、プロチオホス(prothiofos)、ピラクロホス(pyraclorfos)、サリチオン(salithion)、スルプロホス(sulprofos)、テブピリムホス(tebupirimfos)、テメホス(temephos)、テトラクロルビンホス(tetrach1orvinphos)、テルブホス(terbufos)、チオメトン(thiometon)、トリクロルホン(trichlorphon:DEP)、バミドチオン(vamidothion)、フォレート(phorate)等;
(3)カーバメート化合物
アラニカルブ(alanycarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、BPMC、カルバリル(carbary1)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、クロエトカルブ(cloethocarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb:MIPC)、メトルカルブ(metolcarb)、メソミル(methomyl)、メチオカルブ(methiocarb)、NAC、オキサミル(oxamyl)、ピリミカーブ(pirimicarb)、プロポキスル(propoxur:PHC)、XMC、チオジカルブ(thiodicarb)、 キシリルカルブ(xylylcarb)、アルジカルブ(aldicarb)等;
(4)ネライストキシン化合物
カルタップ(cartap)、ベンスルタップ(bensu1tap)、チオシクラム(thiocyclam)、モノスルタップ(monosultap)、ビスルタップ(bisultap)等;
(5)ネオニコチノイド化合物
イミダクロプリド(imidac1oprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、チアクロプリド(thiacloprid)、ジノテフラン(dinotefuran)、クロチアニジン(clothianidin)等;
(6)ベンゾイル尿素化合物
クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、フルアズロン(fluazuron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron)、トリアズロン(triazuron)等;
(7)フェニルピラゾール化合物
アセトプロール(acetoprole)、エチプロール(ethiprole)、フィプロニル(fiproni1)、バニリプロール(vaniliprole)、ピリプロール(pyriprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)等;
(8)Btトキシン殺虫剤
バチルス・チューリンゲンシス菌由来の生芽胞および産生結晶毒素、並びにそれらの混合物;
(9)ヒドラジン化合物
クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)等;
(10)有機塩素化合物
アルドリン(aldrin)、ディルドリン(dieldrin)、ジエノクロル(dienochlor)、エンドスルファン(endosulfan)、メトキシクロル(methoxychlor)等;
(11)天然系殺虫剤
マシン油(machine oil)、硫酸ニコチン(nicotine−sulfate);
(12)その他の殺虫剤
アベルメクチン(avermectin−B)、ブロモプロピレート(bromopropylate)、ブプロフェジン(buprofezin)、クロルフェナピル(chlorphenapyr)、シロマジン(cyromazine)、D−D(1,3−Dichloropropene)、エマメクチンベンゾエート(emamectin−benzoate)、フェナザキン(fenazaquin)、フルピラゾホス(flupyrazofos)、ハイドロプレン(hydroprene)、メトプレン(methoprene)、インドキサカルブ(indoxacarb)、メトキサジアゾン(metoxadiazone)、ミルベマイシンA(milbemycin−A)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリダリル(pyridalyl)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、スピノサッド(spinosad)、スルフラミド(sulfluramid)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、トリアゼメイト(triazamate)、フルベンジアミド(flubendiamide)、レピメクチン(lepimectin)、亜ひ酸(Arsenic acid)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、石灰窒素(Calcium cyanamide)、石灰硫黄合剤(Calcium polysulfide)、クロルデン(chlordane)、DDT、DSP、フルフェネリウム(flufenerim)、フロニカミド(flonicamid)、フルリムフェン(flurimfen)、ホルメタネート(formetanate)、メタム・アンモニウム(metam−ammonium)、メタム・ナトリウム(metam−sodium)、臭化メチル(Methyl bromide)、オレイン酸カリウム(Potassium oleate)、プロトリフェンビュート(protrifenbute)、スピロメシフェン(spiromesifen)、硫黄(Sulfur)、メタフルミゾン(metaflumizone)、スピロテトラマット(spirotetramat)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazone)、スピネトラム(spinetoram)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、トラロピリル(tralopyril)等。
【0027】
忌避剤の有効成分としては、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、リモネン、リナロール、シトロネラール、メントール、メントン、ヒノキチオール、ゲラニオール、ユーカリプトール、インドキサカルブ、カラン−3,4−ジオール、MGK−R−326、MGK−R−874及びBAY−KBR−3023が挙げられる。
【0028】
共力剤としては、例えば、5−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシメチル〕−6−プロピル−1,3−ベンゾジオキソール、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、オクタクロロジプロピルエーテル、チオシアノ酢酸イソボルニル、N−(2−エチルへキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドが挙げられる。
【0029】
本発明の有害生物の防除方法は、本発明の有害生物防除組成物を有害生物又は有害生物の生息場所(植物体、土壌、家屋内、動物体等)に施用することにより行われる。
【0030】
本発明の有害生物防除組成物の施用方法としては、具体的には、例えば以下の方法が挙げられ、本発明の有害生物防除組成物の形態、使用場所等に応じて適宜選択できる。
(1)本発明の有害生物防除組成物をそのまま有害生物又は有害生物の生息場所に処理する方法。
(2)本発明の有害生物防除組成物を水等の溶媒で希釈した後に、有害生物又は有害生物の生息場所に散布処理する方法。
この場合には、通常、乳剤、水和剤、フロアブル剤、マイクロカプセル製剤等に製剤化された本発明の有害生物防除組成物を、本エステル化合物及びアジピン酸ジエチルの合計の濃度が合計で0.01〜1000ppmとなるように希釈する。
(3)本発明の有害生物防除組成物を有害生物の生息場所で加熱し、有効成分を揮散させる方法。
この場合、本エステル化合物及びアジピン酸ジエチルの施用量、施用濃度はいずれも本発明の有害生物防除組成物の形態、施用時期、施用場所、施用方法、有害生物の種類、被害状況等に応じて適宜定めることができる。
【0031】
本発明の有害生物防除組成物を防疫用として用いる場合は、その施用量は空間に適用するときは、本エステル化合物及びアジピン酸ジエチルの合計量として通常0.0001〜1000mg/m3であり、平面に適用するときは0.0001〜1000mg/m2である。殺虫線香、電気殺虫マット等はその製剤形態に応じて加熱により有効成分を揮散させて施用する。樹脂蒸散剤、紙蒸散剤、不織布蒸散剤、編織物蒸散剤、昇華性錠剤等は例えば施用する空間にそのまま放置する、および、該製剤を送風下に設置することにより使用できる。
本発明の有害生物防除組成物を防疫用として施用する空間としては、例えばクローゼット、押入れ、和ダンス、食器棚、トイレ、浴場、物置、居間、食堂、倉庫、車内等が挙げられ、さらに野外の開放空間で施用することもできる。
【0032】
本発明の有害生物防除組成物をウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ等の家畜、イヌ、ネコ、ラット、マウス等の小動物の外部寄生虫防除に用いる場合は、獣医学的に公知の方法で動物に使用することができる。具体的な使用方法としては、全身抑制(systemic control)を目的にする場合には、例えば錠剤、飼料混入、坐薬、注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内等)により投与され、非全身的抑制(non-systemic control)を目的とする場合には、例えば油剤若しくは水性液剤を噴霧する、ポアオン(pour-on)処理若しくはスポットオン(spot-on)処理する、シャンプー製剤で動物を洗う又は樹脂蒸散剤を首輪や耳札にして動物に付ける等の方法により用いられる。動物体に投与する場合の本エステル化合物及びアジピン酸ジエチルの合計量は、通常動物の体重1kgに対して、0.01〜1000mgの範囲である。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を製剤例、及び試験例にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。なお、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。
【0034】
まず、本発明の有害生物防除組成物の製剤例を示す。なお、部は重量部を示す。
製剤例1
本エステル化合物0.02部、アジピン酸ジエチル0.18部及びアイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)59.8部をエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)40部を充填してエアゾールを得る。尚、本エステル化合物として、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル〔E/Z=1/9〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物Aと記す。)を用いる。
【0035】
製剤例2
本エステル化合物A0.01部、アジピン酸ジエチル0.09部及びアイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)39.9部をエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾールを得る。
【0036】
製剤例3
本エステル化合物A0.02部、アジピン酸ジエチル0.06部及びアイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)59.92部をエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)40部を充填してエアゾールを得る。
【0037】
製剤例4
本エステル化合物A0.1部、アジピン酸ジエチル0.9部、ミリスチン酸イソプロピル3部及びアイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)56部をエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)40部を充填してエアゾールを得る。
【0038】
製剤例5
本エステル化合物A0.02部、アジピン酸ジエチル0.18部、アイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)8.8部、レオドールMO−60(オレイン酸グリセリル/プロピレングリコール、花王社製)0.8部及びレオドールTW−O120(ポリソルベート80、花王社製)0.2部を混合・溶解したものと、水50部とをエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取り付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)40部を充填してエアゾールを得る。
【0039】
製剤例6
本エステル化合物A0.02部、アジピン酸ジエチル0.06部、アイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)8.92部、レオドールMO−60(オレイン酸グリセリル/プロピレングリコール、花王社製)0.8部及びレオドールTW−O120(ポリソルベート80、花王社製)0.2部を混合・溶解したものと、水50部とをエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取り付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)40部を充填してエアゾールを得る。
【0040】
製剤例7
本エステル化合物A0.02部、アジピン酸ジエチル0.18部及びネオチオゾール(流動パラフィン、中央化成社製)49.8部をエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(ジメチルエーテル/液化石油ガス1/1混合物)50部を充填してエアゾールを得る。
【0041】
製剤例8
本エステル化合物A0.02部、アジピン酸ジエチル0.06部及びネオチオゾール(流動パラフィン、中央化成社製)49.92部をエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(ジメチルエーテル/液化石油ガス1/1混合物)50部を充填してエアゾールを得る。
【0042】
製剤例9
本エステル化合物A0.1部、アジピン酸ジエチル0.9部、ミリスチン酸イソプロピル6部及びネオチオゾール(流動パラフィン、中央化成社製)23部をエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(ジメチルエーテル/液化石油ガス1/1混合物)70部を充填してエアゾールを得る。
【0043】
製剤例10
本エステル化合物A0.02部、アジピン酸ジエチル0.18部、ネオチオゾール(流動パラフィン、中央化成社製)5.8部およびミリスチン酸イソプロピル3部、並びに、レオドールMO−60(オレイン酸グリセリル/プロピレングリコール、花王社製)0.8部及びレオドールTW−O120(ポリソルベート80、花王社製)0.2部を混合・溶解したものと、水40部とをエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取り付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(ジメチルエーテル/液化石油ガス1/1混合物)50部を充填してエアゾールを得る。
【0044】
製剤例11
本エステル化合物A0.02部、アジピン酸ジエチル0.06部、ネオチオゾール(流動パラフィン、中央化成社製)5.92部およびミリスチン酸イソプロピル3部、並びに、レオドールMO−60(オレイン酸グリセリル/プロピレングリコール、花王社製)0.8部及びレオドールTW−O120(ポリソルベート80、花王社製)0.2部を混合・溶解したものと、水40部とをエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取り付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(ジメチルエーテル/液化石油ガス1/1混合物)50部を充填してエアゾールを得る。
【0045】
製剤例12
本エステル化合物A0.1部、アジピン酸ジエチル0.9部、アイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)8部並びに、レオドールSP−O10(オレイン酸ソルビタン、花王社製)0.9部及びレオドールTW−O120(ポリソルベート80、花王社製)0.1部を混合・溶解したものと、水69.86部及び安息香酸ナトリウム0.14部を混合・溶解したものとをエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取り付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)20部を充填してエアゾールを得る。
【0046】
製剤例13
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学社製)28部、本エステル化合物A2.5部及びアジピン酸ジエチル2.5部を密閉式加圧ニーダ−(森山製作所製)を用いて溶融混錬し、得られる混連物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得る。このペレット33部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67部とを混合・混錬して樹脂混錬物を得る。次いで、該樹脂混錬物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出し、延伸することにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率82%)で直径約7cmの円筒状となった成形体を得る。この成形体を長さ20cmに切断することで、害虫防除用組成物を得る。
【0047】
製剤例14
本エステル化合物A20部、アジピン酸ジエチル5部、ニューカルゲンPS−P(ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩)3部、ニューカルゲンEX−70(ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩/安息香酸ナトリウム)1部、ニューカルゲンSX−C(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩/ぼう硝)3部(ニューカルゲンシリーズ:竹本油脂社製)、上白糖(三井製糖社製)68部を粉砕混合することにより水性毒餌剤用粉状組成物を得る。
【0048】
製剤例15
本エステル化合物A0.02部及びアジピン酸ジエチル0.18部を、イソプロピルアルコール24.8部に添加、混合し、エアゾール容器に注入した。更に該エアゾール容器に安息香酸アンモニウム−アンモニウム緩衝液(安息香酸アンモニウム1.0%w/w溶液に29%アンモニア水を加え、pH8.5に調製)30.0部を注入し、エアゾール原液を調製した。次に、該エアゾール容器にバルブを取り付けた後、該バルブを通じジメチルエーテル45.0部を加圧充填して、エアゾールを得る。
【0049】
製剤例16
本エステル化合物A0.02部及びアジピン酸ジエチル0.06部を、イソプロピルアルコール24.92部に添加、混合し、エアゾール容器に注入した。該エアゾール容器に安息香酸アンモニウム−アンモニウム緩衝液(安息香酸アンモニウム1.0%w/w溶液に29%アンモニア水を加え、pH8.5に調製)30.0部を注入し、エアゾール原液を調製した。次に、該エアゾール容器にバルブを取り付けた後、該バルブを通じジメチルエーテル45.0部を加圧充填して、一液型エアゾールを得る。
【0050】
製剤例17
本エステル化合物Aを20部、アジピン酸ジエチル70部及び[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート10部を混合して液剤を得る。
【0051】
製剤例18
本エステル化合物Aを0.02部、アジピン酸ジエチルを0.18部、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートを0.02部、ミリスチン酸イソプロピル3部及びアイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)56.78部をエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)40部を充填してエアゾールを得る。
【0052】
製剤例19
本エステル化合物Aを0.02部、アジピン酸ジエチルを0.18部、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートを0.02部、ミリスチン酸イソプロピル6部及びネオチオゾール(流動パラフィン、中央化成社製)23.78部をエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(ジメチルエーテル/液化石油ガス1/1混合物)70部を充填してエアゾールを得る。
【0053】
製剤例20
本エステル化合物Aを0.02部、アジピン酸ジエチルを0.18部、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートを0.02部、アイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)8.78部並びに、レオドールMO−60(オレイン酸グリセリル/プロピレングリコール、花王社製)0.8部及びレオドールTW−O120(ポリソルベート80、花王社製)0.2部を混合・溶解したものと、水40部とをエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取り付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)50部を充填してエアゾールを得る。
【0054】
製剤例21
本エステル化合物A0.02部、アジピン酸ジエチルを0.18部及び[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートを0.02部、アイソパーM(イソパラフィン系炭化水素、エクソンモービル有限会社製)8.78部並びに、レオドールSP−O10(オレイン酸ソルビタン、花王社製)0.9部及びレオドールTW−O120(ポリソルベート80、花王社製)0.1部を混合・溶解したものと、水69.86部及び安息香酸ナトリウム0.14部を混合・溶解したものをエアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブ部分を取り付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)20部を充填してエアゾールを得る。
【0055】
製剤例22
本エステル化合物A0.02部、アジピン酸ジエチルを0.18部及び[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート0.02部を、イソプロピルアルコール24.78部に添加、混合し、エアゾール容器に注入する。更に該エアゾール容器に安息香酸アンモニウム−アンモニウム緩衝液(安息香酸アンモニウム1.0%w/w溶液に29%アンモニア水を加え、pH8.5に調製)30.0部を注入し、エアゾール原液を調製する。次に、該エアゾール容器にバルブを取り付けた後、該バルブを通じジメチルエーテル45.0部を加圧充填して、エアゾールを得る。
【0056】
次に、本発明の有害生物防除組成物が有害生物に対して優れた防除効力を有することを試験例として示す。
【0057】
試験例で使用する本発明の有害生物防除組成物を表1に示す。
【表1】
【0058】
次に比較用の有害生物防除組成物を表2に示す。
【表2】
【0059】
試験例1
本発明組成物(1)及び(2)、並びに、比較組成物(3)及び(4)の各々の所定量を脱臭灯油(アイソパーM、エクソンモービル有限会社製)で希釈し、本エステル化合物Aが0.00625%(wt/v)の液状組成物100部を調製した。
ポリエチレンカップ(下部直径10.6cm、上部直径12cm、高さ7cm)にイエバエ成虫10頭(雄雌各5頭)を放飼し、16メッシュのナイロンゴースで蓋をした。該カップを試験用チャンバー(底面:46cm×46cm、高さ:70cm)の底部に設置した。該カップ上面より30cmの高さから上記液状組成物0.5mlをスプレーガンを用いて噴霧した(噴霧圧力0.9kg/cm2)。噴霧後ただちに該カップを該試験用チャンバーから取り出し、一定時間後にノックダウンした虫数をカウントし、ノックダウン率を求めた(2反復平均)。その結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
試験例2
本発明組成物(1)及び(2)、並びに、比較組成物(3)〜(5)の各々の所定量を脱臭灯油(アイソパーM、エクソンモービル有限会社製)で希釈し、本エステル化合物Aが0.00625%(wt/v)の液状組成物100部を調製した。
チャバネゴキブリ成虫10頭(雄雌各5頭)を内壁にバターを塗った試験用コンテナー(直径8.75cm、高さ7.5cm、底面16メッシュ金網張り)内に放飼し、該コンテナーを試験用チャンバー(底面:46cm×46cm、高さ:70cm)の底部に設置した。該コンテナー上面より60cmの高さから上記液状組成物1.5mlをスプレーガンを用いて噴霧した(噴霧圧力0.42kg/cm2)。噴霧から30秒後に該コンテナーを該試験用チャンバーから取り出し、一定時間後にノックダウンした虫数をカウントし、ノックダウン率を求めた(2反復平均)。その結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
試験例3
本発明組成物(1)及び(2)、並びに、比較組成物(2)の各々の所定量をジクロロメタン10部で希釈、溶解し、更に脱臭灯油(アイソパーM、エクソンモービル有限会社製)を加えて、、本エステル化合物Aが0.00625%(wt/v)の液状組成物100部を調製した。
ポリエチレンカップ(下部直径10.6cm、上部直径12cm、高さ7cm)にイエバエ成虫10頭(雄雌各5頭)を放飼し、16メッシュのナイロンゴースで蓋をした。該カップを試験用チャンバー(底面:46cm×46cm、高さ:70cm)の底部に設置した。該カップ上面より30cmの高さから上記液状組成物0.5mlをスプレーガンを用いて噴霧した(噴霧圧力0.9kg/cm2)。噴霧後ただちに該カップを該試験用チャンバーから取り出し、一定時間後にノックダウンした虫数をカウントし、ノックダウン率を求めた(2反復平均)。その結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】
試験例4
本発明組成物(1)及び(2)、並びに、比較組成物(1)及び(2)の各々の所定量をジクロロメタン10部で希釈、溶解し、更に脱臭灯油(アイソパーM、エクソンモービル有限会社製)を加えて、本エステル化合物Aが0.00625%(wt/v)の液状組成物100部を調製した。
チャバネゴキブリ成虫10頭(雄雌各5頭)を内壁にバターを塗った試験用コンテナー(直径8.75cm、高さ7.5cm、底面16メッシュ金網張り)内に放飼し、該コンテナーを試験用チャンバー(底面:46cm×46cm、高さ:70cm)の底部に設置した。該コンテナー上面より60cmの高さから上記液状組成物1.5mlをスプレーガンを用いて噴霧した(噴霧圧力0.9kg/cm2)。噴霧から30秒後に該コンテナーを該試験用チャンバーから取り出し、一定時間後にノックダウンした虫数をカウントし、ノックダウン率を求めた(2反復平均)。その結果を表6に示す。
【0066】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の有害生物防除組成物は、有害生物に対し優れた防除効力を有しており、有用である。