(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。デジタルカメラ100は、カメラボディ200と、カメラボディ200に着脱可能な交換レンズ300とから構成される。
【0009】
交換レンズ300は、被写体からの光束を受光して被写体像を撮像面上に結像させるレンズ光学系1を有する。レンズ光学系1には、光軸方向に移動可能な焦点調節レンズが含まれている。カメラボディ200は、レンズ光学系1により結像された被写体像を撮像し、被写体像を電気信号に変換して出力する撮像素子6を有する。撮像素子6は例えばCCDやCMOSなどの固体撮像素子である。なお
図1では省略しているが、撮像素子6の撮像面には赤外光をカットするための赤外カットフィルタや画像の折り返しノイズを防止するための光学的ローパスフィルタなどが配置されている。
【0010】
カメラボディ200内の、レンズ光学系1を透過した光束の光路上には、撮像素子6を塞ぐ形でクイックリターンミラー2が配置されている。クイックリターンミラー2は、露光前には
図1に示す位置にあり、レンズ光学系1からの光束をカメラボディ200の上部に配置したファインダースクリーン3に向けて反射させる。ファインダースクリーン3は、クイックリターンミラー2に対し撮像素子6と共役な位置に配置されている。
【0011】
クイックリターンミラー2の反射面で反射した光束は、ファインダースクリーン3を透過してペンタプリズム4に導入され、接眼レンズ5へと入射する。従って、露光前の状態のとき、撮影者は接眼レンズ5を介して被写体像を視認することができる。また、ペンタプリズム4に導入された光束の一部は測光用レンズ15を介して測光センサー16に入射する。測光センサー16は被写体光の光量を測定し、光量に応じた電気信号を出力する。
【0012】
ファインダースクリーン3とペンタプリズム4との間には液晶パネル18が設けられている。液晶パネル18には予め、後述する複数のフォーカスエリアの各々に対応する表示セグメントが設けられている。これらの各セグメントは、電圧の印加の有無により光を透過するか遮断するかを制御可能に構成されている。なお、液晶パネル18全体のうち、表示セグメントが設けられていない部分は、常に光を透過するようになっている。従って、撮影者が接眼レンズ5を介して被写体像を視認する際、光を遮断するように制御された表示セグメントは被写体像に重畳してファインダーに表示される。
【0013】
クイックリターンミラー2の中心付近(レンズ光学系1の光軸付近)はハーフミラーになっており、被写体光の一部はこのハーフミラー部を透過する。この透過光束は、クイックリターンミラー2の裏面に設けられたサブミラー7により反射され、後述する焦点検出装置400内の位相差AF検出素子8に入射する。
【0014】
露光時、クイックリターンミラー2およびサブミラー7は、不図示のモータにより駆動され、ファインダースクリーン3の下部(退避位置)へと移動する。クイックリターンミラー2およびサブミラー7が退避位置に移動すると、レンズ光学系1を透過した光束が撮像素子6に導入されるようになり、このとき撮像素子6は被写体像を撮像する。
【0015】
カメラボディ200は、レンズ光学系1により結像された被写体像の焦点調節状態を調節する焦点調節装置400を有する。焦点調節装置400は、位相差AF検出素子8と、AF−CCD制御部9と、デフォーカス演算部10と、フォーカスエリア位置決定部11と、レンズ駆動量演算部12とを有している。以下、これらの各部について順に説明する。
【0016】
位相差AF検出素子8は、例えばCCDなどの電荷蓄積型のラインセンサを複数備える。これらのラインセンサは2つで一対を成しており、サブミラー7の反射光は、不図示のマスクにより2つに分けられた後に、これら一対のラインセンサ上に再結像される。これらのラインセンサは、撮影画面上に後述する複数のフォーカスエリアが構成されるように配置されている。
【0017】
位相差AF検出素子8には、ラインセンサの適切なゲインや蓄積時間を制御するAF−CCD制御部9が接続されている。AF−CCD制御部9は、必要に応じてラインセンサに蓄積された電荷を読み出し、その量に応じた電気信号を出力する。デフォーカス演算部10は、AF−CCD制御部9から出力された電気信号から、後述する複数のフォーカスエリアの各々に対応するデフォーカス量を算出する。デフォーカス量はピントのズレ量を表す量である。従って、デフォーカス量の算出とは被写体像の焦点調節状態の検出を意味している。
【0018】
フォーカスエリア位置決定部11は、デフォーカス演算部10により算出されたデフォーカス量に基づき、合焦対象となるフォーカスエリアを選択する。以下の説明では、フォーカスエリア位置決定部11により選択されたフォーカスエリアを、注目フォーカスエリアと称する。
【0019】
レンズ駆動量演算部12は、デフォーカス演算部10により算出された、注目フォーカスエリアに対応するデフォーカス量に基づき、焦点調節レンズの駆動位置の目標となるレンズ目標位置を演算する。なお、ここでいうレンズ目標位置とは、焦点調節レンズがその位置に駆動されたときに注目フォーカスエリアに対応するデフォーカス量が0となる位置、すなわち、注目フォーカスエリアにおいて被写体像のピントが合う位置である。
【0020】
レンズ駆動制御部13は、レンズ駆動量演算部12により演算されたレンズ目標位置に焦点調節レンズを駆動させることにより、被写体像の焦点調節状態を調節する。交換レンズ300内には、焦点調節レンズを光軸方向に駆動するためのアクチュエータであるレンズ制御用モータ14が設けられている。レンズ駆動制御部13は、カメラボディ200と交換レンズ300との間に存在する電気通信接点を介して、レンズ制御用モータ14に焦点調節レンズの駆動指示を送信することにより、被写体像の焦点調節状態を調節する。
【0021】
以上で説明した、焦点調節装置400が有する各部は、それぞれが独立した部材や回路等により構成されていてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、デフォーカス演算部10やフォーカスエリア位置決定部11が同一の回路に含まれていてもよい。また、これらの各部が、マイクロプロセッサにより実行される所定の制御プログラムにより実現されていてもよい。
【0022】
カメラボディ200は、以上で述べた各部に加えて制御回路17を備えている。制御回路17はマイクロプロセッサやメモリおよびその周辺回路から成り、デジタルカメラ100全体の制御を行う。制御回路17には、フォーカスエリア選択スイッチやフォーカスモード選択スイッチなど、各撮影条件を設定するための不図示の操作部材が接続されている。
【0023】
(フォーカスモードの説明)
図2は、焦点調節装置400のフォーカスエリアを示す模式図である。表示画面20上には、
図2に示すように計51点のフォーカスエリア21が設けられる。液晶パネル18には、これら51点のフォーカスエリア21に対応するように、51個の表示セグメントが設けられている。
【0024】
デジタルカメラ100は、マニュアルフォーカスモード、シングルAFモード、自動選択AFモードなど複数のフォーカスモードを有している。撮影者が不図示の操作部材(例えばフォーカスモード選択スイッチ)を操作すると、制御回路17は操作に応じたフォーカスモードを選択する。
【0025】
マニュアルフォーカスモードは自動焦点調節を行わないフォーカスモードである。このフォーカスモードが選択されている場合、レンズ駆動用モータ14は動作せず、撮影者は不図示のフォーカス環などの操作部材により手動で焦点調節を行う必要がある。つまり、マニュアルフォーカスモードのとき、撮影者が不図示のレリーズボタンを半押ししても、デジタルカメラ100はフォーカシングに関する動作を行わない。撮影者が不図示のレリーズボタンを全押しすると、制御回路17はクイックリターンミラー2およびサブミラー7を光路上から退避させ、撮像素子6に被写体像を撮像させる。
【0026】
シングルAFモードは撮影者により予め選択されたフォーカスエリアに対して焦点調節が行われるモードである。撮影者は不図示の操作部材(例えばフォーカスエリア選択スイッチなど)により
図2に示した複数のフォーカスエリアからいずれか1つのフォーカスエリアを選択する。撮影者が不図示のレリーズボタンを半押しすると、制御回路17は焦点調節装置400に自動焦点調節を行わせる。焦点調節装置400は、撮影者により選択されたフォーカスエリアにおいて被写体像のピントが合うようにレンズ光学系1の焦点調節を行う。焦点調節装置400は更に、デフォーカス量が所定のしきい値未満であるフォーカスエリア、すなわち合焦状態となったフォーカスエリアを、液晶パネル18に表示させる。これにより、撮影者はファインダーにより合焦状態のフォーカスエリアを視認することが可能である。撮影者が不図示のレリーズボタンを全押しすると、制御回路17はマニュアルフォーカスモードと同様に、撮像素子6に被写体像を撮像させる。
【0027】
自動選択AFモードは、焦点調節装置400に後述する処理を実行させ、焦点調節の対象となるフォーカスエリアを自動的に選択させるフォーカスモードである。撮影者が不図示のレリーズボタンを半押しすると、制御回路17は焦点調節装置400に後述する処理を実行させる。以下、自動選択AFモードにおいて焦点調節装置400により実行される処理を説明する。
【0028】
(自動選択AFモードの説明)
図3は、自動選択AFモードにおいて、レリーズボタンの半押し時に焦点調節装置400が実行する処理のフローチャートである。撮影者が自動選択AFモードを設定し、レリーズボタンの半押しを行うと、焦点調節装置400により
図3に示す処理が実行される。まずステップS102ではAF−CCD制御部9が、位相差AF検出素子8が有する全てのラインセンサに電荷蓄積を行わせる。ステップS103ではAF−CCD制御部9が、蓄積制御を行ったラインセンサの電荷を読み出し、その量に応じた電気信号を出力する。
【0029】
ステップS104ではデフォーカス演算部10が、ステップS103においてAF−CCD制御部9から出力された電気信号に基づいて、複数のフォーカスエリアの各々に対応するデフォーカス量を算出する。ステップS106ではフォーカスエリア位置決定部11が、ステップS104でデフォーカス量が算出された各フォーカスエリアを、当該デフォーカス量に基づき至近順にソートする。なお、ステップS106以降の処理では、ステップS104で信頼性の高いデフォーカス量が算出できなかった(信頼性を表すパラメータが所定量未満であった)フォーカスエリア、すなわち焦点調節状態が検出不能だったフォーカスエリアは除外して考える。
【0030】
ステップS107ではフォーカスエリア位置決定部11が、ステップS106でソートした複数のフォーカスエリアを、算出されたデフォーカス量が近い値(すなわち焦点調節状態が近い)のフォーカスエリア同士が含まれる複数のグループに分類する。この分類は、例えば以下のようにして行われる。
【0031】
まず、ステップS106でソートされたN個のフォーカスエリアのデフォーカス量D1,D2,…,DNについて、その平均値をDaveとし、分散vを次式(1)により求める。
【0033】
次に、N個のフォーカスエリアのデフォーカス量D1,D2,…,DNのばらつきの度合いを表す量として標準偏差σを次式(2)により求める。
【0035】
最後に、上式(2)により求められた標準偏差σを用いて、グループへの分類のためのデフォーカス幅Hを次式(3)により決定する。
【0036】
H=α・σ …(3)
なお、上式(3)においてαは係数であり、通常は0.4〜0.6程度が適当である。フォーカスエリア位置決定部11は、至近順にソートした各フォーカスエリアを、隣り合うフォーカスエリア間のデフォーカス量の差がこのデフォーカス幅H以上である箇所をグループの境界とすることにより、複数のグループに分類する。
【0037】
ステップS108ではフォーカスエリア位置決定部11が、ステップS107で分類した複数のグループから、合焦させるのに最適な被写体が存在すると考えられるグループを選択する。「合焦させるのに最適な被写体が存在すると考えられるグループ」は、例えばソート順で最至近に位置するフォーカスエリアが含まれるグループであってもよいし、ソート順で中央に位置するフォーカスエリアが含まれるグループであってもよい。また、これら以外のグループであってもよい。
【0038】
ステップS109ではフォーカスエリア位置決定部11が、ステップS108で選択したグループに含まれるフォーカスエリアから、合焦対象となる注目フォーカスエリアを選択する。例えば、デフォーカス量が最も0に近いフォーカスエリアを注目フォーカスエリアとして選択すればよい。
【0039】
ステップS111ではレンズ駆動量演算部12が、注目フォーカスエリアにおいて算出されたデフォーカス量に基づいて、焦点調節レンズの駆動量を演算する。ステップS112ではレンズ駆動制御部13が、ステップS111において演算された焦点調節レンズの駆動量に基づいてレンズ駆動用モータ14に焦点調節レンズをレンズ目標位置まで駆動させ、焦点調節を行う。その後焦点調節装置400は、液晶パネル18に、デフォーカス量が所定のしきい値未満である全てのフォーカスエリアを表示させる。
【0040】
焦点調節装置400は、
図3の処理を実行後、ステップS109において選択された注目フォーカスエリアと、当該注目フォーカスエリアが含まれるグループ(すなわち、当該グループに含まれる全てのフォーカスエリア)と、これらのフォーカスエリアにおいて算出されたデフォーカス量と、液晶パネル18に表示させたフォーカスエリアとを不図示の記憶装置に記憶する。この記憶装置に記憶されたこれらのデータは、
図3の処理が実行される度に更新記憶される。以下、注目フォーカスエリアが含まれるグループを、注目グループと称する。
【0041】
なお、ステップS106〜ステップS109の処理により注目フォーカスエリアが決定されないことがある。例えば、ステップS104において全てのフォーカスエリアについて焦点調節状態が検出不能であった場合、フォーカスエリア位置決定部11は注目フォーカスエリアを決定することができない。このような場合、レンズ駆動制御部13は焦点調節レンズを至近端と無限遠端との間で駆動させる、いわゆるスキャン動作を行い、焦点検出位置を探索する。
【0042】
図4は、自動選択AFモードにおいて、
図3に示す処理が実行された後、レリーズボタンの再度の半押し時に焦点調節装置400が実行する処理のフローチャートである。一度レリーズボタンが半押しされてから再度レリーズボタンが半押しされると、焦点検出装置400は
図3に示す処理ではなく
図4に示す処理を実行する。この処理では、フォーカスエリア位置決定部11により構図変更が発生したか否かが判定され、構図変更が発生していないと判定された場合には
図3とは異なる焦点調節が行われる。他方、構図変更が発生したと判定された場合には、
図3と同様の焦点調節が行われる。
【0043】
なお、前回レリーズボタンが半押しされ
図3に示す処理が実行された時刻(デフォーカス演算部10によりデフォーカス量が算出された時刻)と、再度半押しがなされた時刻との間が所定時間(例えば3秒)以上経過していた場合には、焦点検出装置400は再度の半押しであっても
図4に示す処理を実行せず、代わりに
図3に示す処理を実行する。これは、一度半押しがなされてから十分に時間が経過していれば、被写体が変化している(すなわち構図変更が発生している)可能性が高いためである。すなわち、フォーカスエリア位置決定部11は、所定時間(例えば3秒)以上経過していた場合には構図変更が発生したと判定する。
【0044】
また、一度レリーズボタンの半押しが行われると(すなわち
図3の処理が実行されると)、AF−CCD制御部9は
図4の処理の実行が開始されるまでの間、位相差AF検出素子8が有するラインセンサの蓄積制御を所定期間毎に繰り返し行う。AF−CCD制御部9はこの蓄積制御を行う度に、前回の蓄積結果に基づくラインセンサのAGC(オートゲインコントロール)を実行するが、このとき被写体光が大きく変化すると、例えば前回は飽和しなかったセンサの輝度値が今回は飽和してしまう(オーバーフローする)ことがある。このように、いずれかのセンサの輝度値の飽和の有無が前回と今回とで異なっていた場合、AF−CCD制御部9はAGCが失敗したと判断する。いったんAGCが失敗したと判断されると、焦点検出装置400は次にレリーズボタンの半押しが行われたときに、
図4の処理ではなく
図3の処理を実行する。これは、AGCの失敗は撮影画面の大きな輝度変化によるものと考えられ、そのような輝度変化は構図変更の発生によるものと考えられるためである。
【0045】
まずステップS205では、AF−CCD制御部9が、最後に行ったラインセンサの蓄積制御の結果を読み出し、電気信号を出力する。ステップS206ではデフォーカス演算部10が、ステップS205においてAF−CCD制御部9から出力された電気信号に基づいて、
図3の処理の実行時に記憶した注目グループに含まれる各フォーカスエリアに対応するデフォーカス量を算出する。例えば注目グループに含まれるフォーカスエリアが4つだけであれば、51点全てではなくこれら4つのフォーカスエリアについてのみ、デフォーカス量を算出する。
【0046】
ステップS208では、ステップS206においてデフォーカス量の算出対象となったフォーカスエリアに、焦点調節状態が検出可能なフォーカスエリアが1つもなかったか否かを判定する。すなわち、ステップS206においてデフォーカス量の算出対象となった全てのフォーカスエリアが、焦点調節状態が検出不能であったか否かを判定する。どのフォーカスエリアについても焦点調節状態が検出不能であった場合には
図4の処理を中止し、
図3の処理をステップS103から実行開始する。つまり、初回の半押し時と同様の処理を実行する。
【0047】
ステップS209では、後述するデフォーカス(Df)差分算出処理を実行する。このデフォーカス差分算出処理では、ステップS206においてデフォーカス量の算出対象となった各フォーカスエリアについて、前回の処理において算出されたデフォーカス量と今回算出されたデフォーカス量とを比較し、該フォーカスエリアにおける焦点調節状態の変化の一様さを表す数値を算出する。そしてこの数値に基づき、構図変更が発生したか否かが判定される。
【0048】
ステップS210ではフォーカスエリア位置決定部11が、ステップS209で構図変更が発生したと判定されたか否かを判定する。構図変更が発生したと判定されていた場合には
図4の処理を中止し、
図3の処理をステップS103から実行開始する。つまり、初回の半押し時と同様の処理を実行する。他方、構図変更が発生していないと判定されていた場合、処理はステップS211に進む。
【0049】
ステップS211ではフォーカスエリア位置決定部11が、ステップS206において前回の注目フォーカスエリアの焦点調節状態が検出可能であったか否かを判定する。前回の注目フォーカスエリアの焦点調節状態が今回の処理において検出可能であった場合にはステップS212に進み、フォーカスエリア位置決定部11は前回注目フォーカスエリアとして選択されたフォーカスエリアを今回も注目フォーカスエリアとして選択する。他方、前回の注目フォーカスエリアの焦点調節状態が検出不能であった場合にはステップS213に進む。ステップS213ではフォーカスエリア位置決定部11が、前回の注目グループ内から、前回の注目フォーカスエリアに最も近接した位置にあるフォーカスエリアを、新たな注目フォーカスエリアとして選択する。
【0050】
ステップS214ではレンズ駆動量演算部12が、注目フォーカスエリアにおいて算出されたデフォーカス量に基づいて、焦点調節レンズの駆動量を演算する。ステップS215ではレンズ駆動制御部13が、ステップS214において演算された焦点調節レンズの駆動量に基づいてレンズ駆動用モータ14に焦点調節レンズをレンズ目標位置まで駆動させ、焦点調節を行う。ステップS216では焦点検出装置400が、液晶パネル18に、
図3の処理を実行した際と同一の表示を行う。すなわち、
図3の処理の実行時にデフォーカス量が所定のしきい値未満であったフォーカスエリアを、液晶パネル18に今回も表示させる。
【0051】
なお焦点調節装置400は、
図4の処理を実行後、
図3の場合と同様に、注目フォーカスエリアと、注目グループ(すなわち、注目グループに含まれる全てのフォーカスエリア)と、これらのフォーカスエリアにおいて算出されたデフォーカス量と、液晶パネル18に表示させたフォーカスエリアとを不図示の記憶装置に記憶する。この記憶装置に記憶されたこれらのデータは、
図4の処理が実行される度に更新記憶される。
【0052】
図5は、
図4のステップS209で実行される、デフォーカス差分算出処理を説明するための図である。いま、撮影画面20に含まれる51点のフォーカスエリア21のうち、
図5(a)に示すように注目フォーカスエリア22および注目グループ23が選択されたとする。また、これらの各フォーカスエリアにおけるデフォーカス量の一例を
図5(b)に示す。
図5(b)の左側に記載されているのが前回合焦時における各フォーカスエリアのデフォーカス量であり、
図5(b)の右側に記載されているのが今回測距時における各フォーカスエリアのデフォーカス量である。
【0053】
図5(b)に示した例では、前回合焦時に0であった注目フォーカスエリア22のデフォーカス量が、今回測距時には30に変化している。デジタルカメラ100が三脚などに固定されていない手持ち撮影の場合や、暗所での撮影であり高ゲインに設定しなければならない場合など、デフォーカス量のばらつきが大きくなりやすい条件下では
図5(b)に示すように、今回測距時のデフォーカス量が0近傍からずれることがある。そのため、構図変化の判定は、1つのフォーカスエリアにおけるデフォーカス量の変化ではなく、複数のフォーカスエリアにおけるデフォーカス量分布の相対変化量により行うことが望ましい。
【0054】
本実施形態では、デフォーカス差分算出処理において、注目フォーカスエリアにおける今回測距時と前回合焦時のデフォーカス量の差を、注目グループに含まれる各フォーカスエリアの今回測距時のデフォーカス量から減じることにより、デフォーカス量の差をオフセットする。例えば
図5(b)では、今回測距時の注目フォーカスエリアのデフォーカス量は30、前回合焦時は0となっている。そこで、注目グループに含まれる各フォーカスエリアの今回測距時のデフォーカス量から、それぞれ30を減じた後に、該フォーカスエリアにおける焦点調節状態の変化の一様さを表す数値を算出する。
【0055】
図6は、
図4のステップS209において呼び出される、デフォーカス差分算出処理のフローチャートである。まずステップS301ではフォーカスエリア位置決定部11が、注目グループに含まれる全フォーカスエリアを、当該フォーカスエリアに対応する補正後デフォーカス量に基づいて至近順にソートする。ここで補正後デフォーカス量とは、
図4のステップS206において算出されたデフォーカス量に対して、
図5において説明したデフォーカス量のオフセットを適用した後のデフォーカス量を指す。なお、ステップS206においてデフォーカス量を算出できなかった(焦点調節状態が検出不能であった)フォーカスエリアは、ソート処理から除外する。
【0056】
ステップS302ではフォーカスエリア位置決定部11が、ソート順序において隣り合う2つのフォーカスエリアについて、補正後デフォーカス量の差の絶対値が
図3のステップS107で決めたデフォーカス幅Hを超える箇所があるか否かを判定する。隣り合う2つのフォーカスエリアの補正後デフォーカス量の差が、いずれもデフォーカス幅Hを超えない場合には、処理はステップS304に進む。他方、デフォーカス幅Hを超えるフォーカスエリアの組み合わせが存在する場合には、処理はステップS307に進む。
【0057】
ステップS307ではフォーカスエリア位置決定部11が、ステップS302においてデフォーカス幅Hを超えるとされた2つのフォーカスエリアのうち、ソート順序において無限遠側のフォーカスエリアと、当該フォーカスエリアより無限遠側のフォーカスエリアとを全て除外フォーカスエリアに設定する。ステップS308ではフォーカスエリア位置決定部11が、除外フォーカスエリアが所定数(例えば注目グループに含まれる総フォーカスエリア数の30%)以上存在するか否かを判定する。所定数以上存在する場合には肯定判定がなされ、処理はステップS309に進む。ステップS309ではフォーカスエリア位置決定部11が、構図変更が発生していないと判定し、
図6の処理を終了する。他方、ステップS309において除外フォーカスエリアが所定数未満であった場合には、処理はステップS304に進む。
【0058】
ステップS304ではフォーカスエリア位置決定部11が、注目グループ内の各フォーカスエリアの補正後デフォーカス量について、平均デフォーカス量Dfaveを算出する。ステップS305ではフォーカスエリア位置決定部11が、平均デフォーカス量Dfaveが所定のしきい値Dfsth以上か否かを判定する。平均デフォーカス量Dfaveがしきい値Dfsth以上であった場合には肯定判定がなされ、処理はステップS306に進む。ステップS306ではフォーカスエリア位置決定部11が、構図変更が発生したと判定する。他方、ステップS305で否定判定がなされた場合、処理はステップS309に進む。ステップS309ではフォーカスエリア位置決定部11が、構図変更が発生しなかったと判定する。
【0059】
上述した第1の実施の形態によるデジタルカメラによれば、次の作用効果が得られる。
(1)フォーカスエリア位置決定部11は、前回の半押し時に検出された複数のデフォーカス量と、再度の半押し時に算出された複数のデフォーカス量とを比較し、構図変更が発生したか否かを判定する。レンズ駆動制御部13は、フォーカスエリア位置決定部11により構図変更が発生しなかったと判定された場合に、前回の半押し時においてフォーカスエリア位置決定部11により選択された注目フォーカスエリアの、再度の半押し時におけるデフォーカス量に基づき、焦点調節状態を調節する。このようにしたので、焦点検出時の演算負荷を低減することができる。
【0060】
(2)フォーカスエリア位置決定部11は、構図変更が発生したと判定した場合に、再度の半押し時において算出されたデフォーカス量に基づいて注目フォーカスエリアを選択する。レンズ駆動制御部13は、フォーカスエリア位置決定部11により構図変更が発生したと判定された場合に、再度の半押し時において選択された注目フォーカスエリアのデフォーカス量に基づき算出されたレンズ駆動量に基づいて、焦点調節状態を調節する。このようにしたので、構図変更時には画面全体から適切なフォーカスエリアを選択することが可能となる。
【0061】
(3)フォーカスエリア位置決定部11は、前回の半押し時において算出されたデフォーカス量に基づき、複数のフォーカスエリアを、デフォーカス量が近いフォーカスエリア同士が含まれる複数のグループに分類する。フォーカスエリア位置決定部11は、前回の半押し時に選択された注目フォーカスエリアが含まれる、前回の半押し時に分類されたグループ内の各フォーカスエリアについて、前回の半押し時に算出されたデフォーカス量と再度の半押し時に算出されたデフォーカス量とを比較し、該フォーカスエリアにおけるデフォーカス量の変化の一様さ(すなわちデフォーカス量の変化のばらつきの度合い)を算出することにより、構図変更が発生したか否かを判定する。このようにしたので、被写体を変として捉えた構図変更の認識が可能となる。
【0062】
(4)デフォーカス演算部10は、再度の半押し時において、複数のフォーカスエリアの全てではなく、前回の半押し時に選択された注目フォーカスエリアが含まれる、前回の半押し時に分類されたグループ内の各フォーカスエリアについてのみ、デフォーカス量を算出する。このようにしたので、デフォーカス量の演算に要する時間を短縮することが可能となる。
【0063】
(5)レンズ駆動制御部13は、フォーカスエリア位置決定部11により構図変更が発生しなかったと判定され、且つ、デフォーカス演算部10が再度の半押し時において前回の半押し時に選択された注目フォーカスエリアのデフォーカス量を(例えば輝度値の飽和やコントラストの不足等の理由により)算出不能であった場合には、前回の半押し時に選択された注目フォーカスエリアが含まれる、前回の半押し時に分類されたグループ内のフォーカスエリアのうち、当該注目フォーカスエリア以外のいずれかのフォーカスエリアにに対応するデフォーカス量に基づき、焦点調節状態を調節する。このようにしたので、注目フォーカスエリアが焦点検出不能であった場合であっても、適切なフォーカスエリアに基づき速やかに焦点調節を行うことが可能となる。
【0064】
(6)フォーカスエリア位置決定部11は、前回レリーズボタンが半押しされてから再度レリーズボタンが半押しされるまでに所定時間以上経過していた場合には、構図変更が発生したと判定する。このようにしたので、構図変更が確実に見込まれる場合に余計な演算を行う必要がない。
【0065】
(7)デフォーカス演算部10は、位相差AF検出素子8のラインセンサにより検知された被写体からの光束の輝度値に基づいてデフォーカス量を算出する。フォーカスエリア位置決定部11は、前回の半押し時において位相差AF検出素子8のラインセンサにより検出された輝度値が所定範囲内であり、且つ、再度の半押し時において前検出された輝度値が所定範囲内ではない場合には、構図変更が発生したと判定する。このようにしたので、構図変更が確実に見込まれる場合に余計な演算を行う必要がない。
【0066】
(8)液晶パネル18には、デフォーカス演算部10により算出されたデフォーカス量が合焦状態であったフォーカスエリアが表示される。フォーカスエリア位置決定部11により構図変更が発生しなかったと判定された場合、液晶パネル18には、前回の半押し時において合焦状態であったフォーカスエリアが表示される。このようにしたので、フォーカスエリアの表示のばらつき(ごく短い時間内で、表示されるフォーカスエリアが次々に変化する状態)を低減し、撮影者にとって違和感のない表示を行うことが可能となる。
【0067】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0068】
(変形例1)
図5において説明したデフォーカス量のオフセットは、注目フォーカスエリアにおける今回測距時と前回合焦時のデフォーカス量の差以外に基づいて行うことも可能である。例えば、各フォーカスエリアについて今回測距時と前回合焦時のデフォーカス量の差をとることにより、デフォーカス量をオフセットしてもよい。
【0069】
(変形例2)
上述した実施形態では、レンズ駆動用モータ14が交換レンズ300内に存在していたが、レンズ駆動用モータ14はカメラボディ200内に存在していてもよい。この場合、カメラボディ200内のレンズ駆動用モータ14による駆動力が、所定の動力伝達機構を介して焦点調節レンズに伝わるように、カメラボディ200および交換レンズ300を構成すればよい。またレンズ駆動用モータ14は、焦点調節装置400に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0070】
(変形例3)
図5の処理では、注目グループに含まれる各フォーカスエリアを処理対象としていた。これを、他のフォーカスエリアについても処理対象とするようにしてもよい。例えば、注目フォーカスエリアの周辺に位置するフォーカスエリアのうち、注目フォーカスエリアのデフォーカス量に近いデフォーカス量が算出されたフォーカスエリアについて、
図5の処理の処理対象としてもよい。あるいは、
図2に示す全フォーカスエリアについて、
図5の処理を適用するようにしてもよい。
図5の処理の処理対象とするフォーカスエリアを増やす場合、記憶装置に必要な記憶容量は大きくなるが、デフォーカス量分布の相対変化量を見るフォーカスエリア数が多くなり、それだけ検出精度が高くなる。
【0071】
(変形例4)
上述した実施形態では、注目グループ内のフォーカスエリアにおける焦点調節状態の変化の一様さを、デフォーカス量をオフセットすることにより算出していた。本発明はこのような実施形態に限定されない。例えば焦点調節状態の変化の一様さを、デフォーカス量の平均値により表すようにしてもよい(すなわちデフォーカス量の平均値を算出することにより、焦点調節状態の変化の一様さを算出したものとみなしてもよい)。
【0072】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。