【実施例】
【0063】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
尚、下記実施例1〜15、30〜33は参考例である。
【0064】
[バインダ樹脂の製造]
<製造例1:N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)>
脱イオン水40質量部に対し、単量体単位(a)として、N,
N−ジメチルアクリルアミド(興人株式会社製、以下同様)60質量部を混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。得られた重合体の周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてN,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)(PDMA)を得た。
【0065】
<製造例2:N−イソプロピルアクリルアミド重合体(I−2)>
脱イオン水74質量部、エタノール4質量部に対し、単量体単位(a)として、N−イソプロピルアクリルアミド(東京化成株式会社製)22質量部を混合した単量体溶液を作製した。これに、0.007質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで3時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてN−
イソプロピルアクリルアミド重合体(I−2)(PNIPAM)を得た。
【0066】
<製造例3:N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)>
脱イオン水70質量部に対し、N−ビニルホルムアミド30質量部を混合した単量体水溶液を、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行った。その後、4、4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)(和光純薬工業株式会社製、「V−501」)12質量%水溶液を0.4質量部添加し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド10質量%水溶液および亜硫酸水素ナトリウム10質量%水溶液をそれぞれ0.1質量部添加して重合を行った。内温がピークを超えた後さらに1時間熟成し、ゲルを取り出しミートチョッパーで粉砕した後、60℃で10時間乾燥し、得られた固体を粉砕し、N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)(PNVF)を得た。
【0067】
<製造例4:アクリルアミド重合体(II−2)>
脱イオン水33.7質量部に対し、アクリルアミド(和光株式会社製、以下同様)33.3質量部を混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.01質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてアクリルアミド重合体(II−2)(PAAm)を得た。
【0068】
<製造例5:DMA−NVF共重合体(I−3)>
N,
N−ジメチルアクリルアミド70質量%、N−ビニルホルムアミド30質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−3)を得た。
【0069】
<製造例6:DMA−NVF共重合体(I−4)>
N,
N−ジメチルアクリルアミド50質量%、N−ビニルホルムアミド50質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−4)を得た。
【0070】
<製造例7:DMA−NVF共重合体(I−5)>
N,
N−ジメチルアクリルアミド50質量%、N−ビニルホルムアミド50質量%を合わせて100質量部とし、混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.03質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−5)を得た。
【0071】
<製造例8:DMA−NVF共重合体(I−6)>
N,
N−ジメチルアクリルアミド30質量%、N−ビニルホルムアミド70質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−6)を得た。
【0072】
<製造例9:DMA−NVF共重合体(I−7)>
N,
N−ジメチルアクリルアミド10質量%、N−ビニルホルムアミド90質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−7)を得た。
【0073】
<製造例10:DMA−NVF共重合体(I−8)>
N,
N−ジメチルアクリルアミド5質量%、N−ビニルホルムアミド95質量%を合わせて100質量部とし、単量体水溶液を作製した。これに、0.1質量部の開始剤(パーヘキシルPV)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ポリエチレンフィルムを貼ったガラス板で作製した1mm厚さのセルに流しいれ、60度の湯浴で1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−8)を得た。
【0074】
<製造例11:DMA−AAm共重合体(I−9)>
N,
N−ジメチルアクリルアミド70質量%、アクリルアミド30質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−AAm重合体(I−9)を得た。
【0075】
<製造例12:DMA−AAm共重合体(I−10)>
N,
N−ジメチルアクリルアミド50質量%、アクリルアミド50質量%を合わせて10質量部とし、脱イオン水100質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.01質量部の開始剤(パーヘキシルPV)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ポリエチレンフィルムを貼ったガラス板で作製した1mm厚さのセルに流しいれ、60度の湯浴で1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−AAm重合体(I−10)を得た。
【0076】
<製造例13:DMA−AA共重合体(I−11)>
四つ口丸底フラスコに、N,
N−ジメチルアクリルアミド58質量%、アクリル酸42質量%を合わせて10質量部とし、脱イオン水90質量部に混合した単量体水溶液を作製し、攪拌翼、冷却管を接続した。これに、0.4質量部のギ酸ナトリウムを溶解し、攪拌しながら30分窒素バブリングした。50度に昇温し、0.8質量部の10%開始剤(V−50、和光製薬株式会社製)水溶液を添加して3時間重合し、再度、0.8質量部の10%開始剤(V−50)水溶液を添加して3時間重合した。得られた重合溶液は冷却し、大量のメチルエチルケトンに沈殿させた。これを、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−AAm重合体(I−11)を得た。
【0077】
<製造例14:DMA−AA共重合体(I−12)>
四つ口丸底フラスコに、N,
N−ジメチルアクリルアミド26質量%、アクリル酸74質量%を合わせて10質量部とし、脱イオン水90質量部に混合した単量体水溶液を作製し、攪拌翼、冷却管を接続した。これに、0.4質量部のギ酸ナトリウムを溶解し、攪拌しながら30分窒素バブリングした。50度に昇温し、0.8質量部の10%開始剤(V−50、和光製薬株式会社製)水溶液を添加して3時間重合し、再度、0.8質量部の10%開始剤(V−50)水溶液を添加して3時間重合した。得られた重合溶液は冷却し、大量のメチルエチルケトンに沈殿させた。これを、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−AAm重合体(I−12)を得た。
【0078】
<製造例15:DEA−NVF共重合体(I−13)>
N,
N−ジエチルアクリルアミド30質量%、N−ビニルホルムアミド70質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDEA−NVF重合体(I−13)を得た。
【0079】
<製造例16:DEA−NVF共重合体(I−14)>
N,
N−ジエチルアクリルアミド70質量%、N−ビニルホルムアミド30質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cm
2のケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40度真空乾燥機で一晩乾燥させてDEA−NVF重合体(I−14)を得た。
【0080】
(重合体の分子量測定)
作製した(共)重合体の分子量は、以下の方法で測定した。
Waters社製GPC、カラムにShodex OHpac SB−807HQを使用し、溶媒としてアセトニトリル/水=10/90(0.1N硝酸ナトリウム含有)、流速0.5ml/分、40度で測定。IR検出器にて検出し、粘度換算分子量で基準化したポリN−ビニルホルムアミド換算の分子量を算出した。
【0081】
[実施例1]
<正極電極用の電極スラリーの調製>
バインダ樹脂として、N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を0.2gと、3.56gの水とを自公転ミキサー(Thinky社製、「泡とり練太郎」、以下同様)を用い、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練し溶解した。これに、コバルト酸リチウム(日本化学工業株式会社製、「セルシードC−5H」、以下同様)10.0g、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、以下同様)0.5gをさらに加え混練した後、塗工可能な粘度まで水を加えて混練することにより、正極用電極スラリーを得た。
【0082】
<正極電極の作製>
得られた正極用電極スラリーを集電体(アルミニウム箔、厚さ20μm)にドクターブレード法によって均一に塗布し、室温で2時間乾燥した。さらに真空乾燥機にて0.6kPa、60℃で12時間減圧乾燥して、膜厚80μmの合剤層が集電体(アルミニウム箔)上に形成された正極電極を得た。
得られた電極は以下の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0083】
(電極密着性評価)
正極合剤層と集電体との密着性(電極密着性)は、以下の条件にて行う剥離試験により測定される剥離強度により評価した。
電極を20mm幅の試験片にし、ニップロールを通して粘着剤付きポリカーボネート板と貼り合せた。テンシロン引張強度試験にて、10Nロードセルを用い、引張速度1cm/分で180度剥離試験を行った。
電極と集電体の剥離強度を5つの試験片で測定し、剥離し始める部分を除いた後半の剥離強度の平均を求め、これより180度剥離強度(N/cm)を算出した。
【0084】
(正極電極の可とう性評価)
正極電極の可とう性は、JIS K−5600−5−1(塗料一般試験方法耐屈曲性(円筒形マンドレル法))を参考にして、以下の条件にて行う耐屈曲性(プレス後の可とう性)により評価した。
電極を3cm×5cmに切り出し、プレスロールでプレスして電極密度を3g/cm
3に合わせて試験片とした。試験片のアルミ箔面をマンドレル側になるように、設置し、試験片の片側をテープで固定して、折り曲げて、塗膜の状態を目視で観察した。マンドレルの直径を以下の通り小さくしながら評価した。
マンドレルの直径:32mm、25mm、16mm、10mm、8mm、6mm、5mm、3mm、2mm
○:折り曲げ面にて、電極の変化が見られない
△:折り曲げ面にて、電極に横筋がみられた
×:折り曲げ面にて、電極のワレ、欠け等が見られた
試験片3つについて試験し、○を2、△を1、×を0として、結果の合計値が4以上となるマンドレルの最小径を可とう性(mm)とした。
【0085】
[実施例2]
容器に、コバルト酸リチウム10.0g、アセチレンブラック0.5gを計量し、自公転ミキサーで攪拌した。これに、バインダ樹脂として、N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を脱イオン水に溶解して作製した3質量%の水溶液6.67gを数回に分けて加えながら自公転ミキサーで攪拌した。さらに、塗工可能な粘度まで水を加えて混練することにより、正極用電極スラリーを得た。塗布直後の乾燥条件を40℃、30分とした以外は実施例1と同様にして、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0086】
[実施例3]
塗布直後の乾燥条件を80℃、30分とした以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0087】
[実施例4]
バインダ樹脂の量を0.15gとした以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0088】
[実施例5]
バインダ樹脂の量を0.15gとし、塗布直後の乾燥条件を40℃、30分とした以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0089】
[実施例6]
バインダ樹脂の量を0.1gとした以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0090】
[実施例7]
バインダ樹脂の量を0.1gとし、塗布直後の乾燥条件を40℃、30分とした以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0091】
[実施例8]
バインダ樹脂として、N−イソプロピルアクリルアミド重合体(I−2)の3質量%水溶液を6.67g用い、塗布直後の乾燥条件を室温2時間とした以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0092】
[実施例9]
バインダ樹脂として、N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を0.18g、N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)を0.02g用いた以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0093】
[実施例10]
バインダ樹脂として、N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を0.15g、N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)を0.05g用いた以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0094】
[実施例11]
バインダ樹脂として、N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を0.1g、N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)を0.1g用いた以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0095】
[実施例12]
バインダ樹脂として、N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を0.05g、N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)を0.15g用いた以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0096】
[実施例13]
バインダ樹脂として、N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を0.02g、N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)を0.18g用いた以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0097】
[実施例14]
バインダ樹脂として、N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を0.01g、N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)を0.19g用いた以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0098】
[実施例15]
バインダ樹脂として、N,
N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)の3質量%水溶液を4.67g、N−ビニルホルムアミド重合体(II−2)の3質量%水溶液を2.0g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0099】
[実施例16]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−3)の3質量%水溶液を6.67g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0100】
[実施例17]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−3)の3質量%水溶液を5.0g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0101】
[実施例18]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−3)の3質量%水溶液を3.33g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0102】
[実施例19]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−4)の3質量%水溶液を6.67g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0103】
[実施例20]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−4)の3質量%水溶液を5.0g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0104】
[実施例21]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−4)の3質量%水溶液を3.33g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0105】
[実施例22]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−5)の3質量%水溶液を6.67g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0106】
[実施例23]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−5)の3質量%水溶液を5.0g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0107】
[実施例24]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−5)の3質量%水溶液を3.33g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0108】
[実施例25]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−6)を0.2g用いた以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0109】
[実施例26]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−7)を0.2g用いた以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0110】
[実施例27]
バインダ樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−8)の3質量%水溶液を6.67g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0111】
[実施例28]
バインダ樹脂として、DMA−AAm共重合体(I−9)を0.2g用いた以外は実施例1と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0112】
[実施例29]
バインダ樹脂として、DMA−AAm共重合体(I−10)の3質量%水溶液を6.67g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0113】
[実施例30]
バインダ樹脂として、DMA−AA共重合体(I−11)の3質量%水溶液を6.67g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0114】
[実施例31]
バインダ樹脂として、DMA−AA共重合体(I−12)の3質量%水溶液を6.67g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0115】
[実施例32]
バインダ樹脂として、DEA−NVF共重合体(I−13)の3質量%水溶液を6.67g用いた以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0116】
[実施例33]
バインダ樹脂として、DEA−NVF共重合体(I−14)の3質量%水溶液を6.67g用い、塗布直後の乾燥条件を80℃、30分とした以外は実施例2と同様にして、正極用電極スラリー、正極電極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0117】
【表1】
【0118】
表1中の略号は、以下を意味する。
LCO:コバルト酸リチウム
AB:アセチレンブラック
BP:バインダ樹脂
【0119】
表1から明らかなように、上記一般式(1)で表される単量体単位(a)を有する重合体を含有するバインダ樹脂(I−1〜2)を用いると、正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性に優れた正極電極が得られた(実施例1〜15)。特に、上記一般式(1)で表される単量体単位(a)を有する重合体を含むバインダ樹脂(I−1〜2)を、バインダ樹脂中の10質量%以上用いた実施例1〜13、15は、正極合剤層と集電体との密着性を保ちつつ、正極電極の可とう性が優れていた。
中でも、バインダ樹脂(I−1)を用いた実施例1〜7、9〜15で得られた正極電極は、正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性に特に優れていた。
また、上記一般式(1)で表される単量体単位(a)を有する(共)重合体を含有するバインダ樹脂(I−3〜14)を用いると、正極合剤層と集電体との密着性、正極電極の可とう性に優れた正極電極が得られた。さらに、正極用電極スラリーの分散安定性もよく、正極合剤層と集電体との密着性が高いため、正極電極中のバインダ樹脂の量を削減することができた(実施例4、5、6、7、17、18、20、21、23、24)。これにより、正極活物質の密度を高めることができた。
また、本発明のバインダ樹脂を使用することで、品質安定性に不安のあるCMCや、保存・運搬に不利で耐酸化性が低いラテックス系バインダ樹脂を使用することなく、密着性・可とう性に優れる正極電極を作製することができた。