【実施例】
【0056】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0057】
以下の実施例および比較例において、凝集剤としては、以下のものを用いた。また、以下に示す無機凝集剤の添加量は、水溶液としての添加量である。
【0058】
<無機凝集剤>
塩化第二鉄(FeCl
3、38重量%水溶液)
ポリ塩化アルミニウム(PAC、10重量%水溶液)
【0059】
<メラミン・アルデヒド縮合物>
MF−1:メラミン・アルデヒド縮合物の酸コロイド溶液
メラミン1モルに対し、2モルのホルムアルデヒドを反応させて得られたメチロール化メラミン0.05モルを1.35重量%塩酸水溶液100ml(メラミン1モルに対して塩酸0.75モル)に加えて熟成調製したもの(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物含有量10重量%、pH2)
MF−2:低分子メラミン・アルデヒド縮合物の酸溶液:メチル化メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(重量平均分子量432、シグマ・アルドリッチ)を0.1M塩酸水溶液に溶解したもの(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物10重量%水溶液、pH1)
【0060】
上記のMF−1に含まれるメラミン・アルデヒド縮合物の酸コロイドの分子量については、動的光散乱法を用いて得られた粒径のピークに起因する拡散係数をもとに、以下の換算式を用いて換算分子量を算出した(日本膜学会(編)、膜分離プロセスの設計法)。その結果、分子量は660万であった。
D=8.76×10
−9(Mw)
−0.48
(D:拡散係数(m
2/s),Mw:分子量)
【0061】
<実施例1−1>
生物処理水をRO膜処理して得られる濃縮水(分子量1万以上の高分子有機物を0.1mg/L含む)を被処理水とした。
25℃の被処理水500mLをビーカーに入れ、150rpmで5分間撹拌している最中に、MF−1を有効成分濃度1mg/Lとなるよう添加した後、FeCl
3水溶液を20mg/L添加し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを5.5に合わせた。さらに、50rpmで10分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理後の水は、孔径0.45μmの親水性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シリンジフィルターで濾過し、固液分離を行った。この濾過水をLC−OCDで分析し、分子量1万以上の有機炭素成分のピーク面積を算出した。なお、分子量マーカーとしてデキストランを使用した。有機物の除去率は下記式で算出した。
除去率(%)=(1−凝集処理水の有機炭素成分ピーク面積/未凝集処理水の有機炭素成分ピーク面積)×100
【0062】
<実施例1−2>
MF−1の代わりにMF−2を添加したこと以外は実施例1−1と同様に凝集処理を行って、有機物の除去率を求めた。
【0063】
<比較例1−1>
MF−1の代わりに同量の純水を添加したこと以外は実施例1−1と同様に凝集処理を行って、有機物の除去率を求めた。
【0064】
<比較例1−2>
MF−1の代わりに、カチオン性有機高分子凝集剤であるポリ(2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)(PMETMA、分子量900万)を1mg/L添加したこと以外は実施例1−1と同様に凝集処理を行って、有機物の除去率を求めた。
【0065】
<比較例1−3>
MF−1の代わりに、カチオン性有機高分子凝集剤であるポリ(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム(PMEBDA、分子量1000万)を1mg/L添加したこと以外は実施例1−1と同様に凝集処理を行って、有機物の除去率を求めた。
【0066】
<実施例2−1>
実施例1−1において、FeCl
3水溶液の代わりにPAC水溶液を20mg/L添加し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.5に合わせたこと以外は実施例1−1と同様に凝集処理を行って、有機物の除去率を求めた。
【0067】
<比較例2−1>
MF−1の代わりに同量の純水を添加したこと以外は実施例2−1と同様に凝集処理を行って、有機物の除去率を求めた。
【0068】
<実施例3−1>
実施例1−1において、MF−1添加後、FeCl
3水溶液を添加せずに、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に合わせたこと以外は実施例1−1と同様に凝集処理を行って、有機物の除去率を求めた。
【0069】
<比較例3−1>
MF−1の代わりにFeCl
3水溶液を20mg/L添加したこと以外は実施例3−1と同様に凝集処理を行って、有機物の除去率を求めた。
上記の結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
表1より次のことが分かる。
実施例1−1,実施例1−2および比較例1−1より、無機凝集剤(FeCl
3)添加前に、メラミン・アルデヒド縮合物を添加することで、除去率の上昇が確認できた。また、比較例1−2,1−3より、無機凝集剤(FeCl
3)とカチオン性高分子凝集剤を併用しても、除去率の向上はほとんど見られないことが分かる。
実施例2−1および比較例2−1より、無機凝集剤としてPACを用いた場合でも、メラミン・アルデヒド縮合物を添加した方が高い除去率を示すことが分かる。
実施例3−1および比較例3−1より、中性条件では、無機凝集剤を用いるよりメラミン・アルデヒド縮合物を用いたほうが高い除去率を示すことが分かる。
【0072】
<実施例4−1>
多糖のモデル物質としてグアガム(グアーコールF50、三栄薬品貿易製)を純水に溶かし、グアガム濃度1mg/L、pH6.5の水溶液を2L調製し、ビーカーに入れた。ビーカー内の水溶液を150rpmで5分間撹拌している最中に、MF−1を有効成分濃度1mg/Lとなるよう添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.5に合わせた。さらに、50rpmで10分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理後の水は、孔径0.45μmの酢酸セルロース膜で吸引濾過し、固液分離を行った。
【0073】
この濾過水を
図2に示したRO平膜評価装置を用い、以下の通水条件で通水し、フラックスの経時変化を測定した。
<測定条件>
供給水流量:0.7mL/min
水温:25℃
回収率:80%
【0074】
この平膜試験装置は、有底有蓋の円筒状容器1の高さ方向の中間位置に平膜セル2を設けて容器内を原水室1Aと透過水室1Bとに仕切り、この容器1をスターラー3上に設置し、ポンプ4で供給水(濾過水)を配管11を介して原水室1Aに給水すると共に、容器1内の攪拌子5を回転させて原水室1A内を攪拌し、透過水を透過水室1Bより配管12を介して取り出すと共に、濃縮水を原水室1Aより配管13を介して取り出すものである。供給水給水配管11には圧力計6が設けられ、濃縮水取り出し配管13には開閉バルブ7が設けられている。
平膜セル2には、膜面積8cm
2のポリアミド系RO膜:(日東電工社製「ES−20」)を設置した。
【0075】
なお、回収率、フラックスは以下の式で算出した。後述の実施例6−1においても同様である。
回収率[%]=(透過水流量[mL/min]/供給水流量[mL/min])×100
フラックス[m
3/(m
2・d)]]=透過水流量[m
3/d]/膜面積[m
2]×温度換算係数[−]
【0076】
<比較例4−1>
MF−1の代わりに同量の純水を添加したこと以外は、実施例4−1と同様に凝集処理を行って、得られた濾過水のフラックスの経時変化を測定した。
【0077】
<実施例5−1>
腐植物質のモデル物質としてカナディアンフルボ(ピィアイシィ・バイオ製)を1mg/Lになるよう純水に溶かし、カルシウムを10mg/L含んだpH6.5の水溶液を2L調製し、ビーカーに入れた。ビーカー内の水溶液を150rpmで5分間撹拌している最中に、MF−1を有効成分濃度1mg/Lとなるよう添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.5に合わせた。さらに、50rpmで10分間撹拌することで凝集処理を行った。凝集処理後の水は、孔径0.22μmの酢酸セルロース膜で吸引濾過し、固液分離を行った。この濾過水について実施例4−1と同様にRO平膜試験装置を用いてフラックスの変化を測定した。
【0078】
<比較例5−1>
MF−1の代わりに同量の純水を添加したこと以外は、実施例5−1と同様に凝集処理を行って、得られた濾過水のフラックスの経時変化を測定した。
【0079】
実施例4−1および比較例4−1の結果を
図3に、実施例5−1および比較例5−1の結果を
図4にそれぞれ示す。
【0080】
図3,4より、グアガム溶液もしくはカナディアンフルボ溶液にメラミン・アルデヒド縮合物を添加することで、フラックスの低下を抑制することができた。メラミン・アルデヒド縮合物を添加し濾過することで、膜汚染物質である多糖および腐植物質が凝集除去できることが確認された。
【0081】
<実施例6−1>
MF−1を限外濾過膜を用いて精製した。具体的には、MF−1の6mLを、分画分子量3,000の遠心式限外濾過ユニット(アミコンウルトラ、ミリポア社)に入れ、さらに酸性液(純水に塩酸を加え、pH2に調整したもの)を9mL加えた。その後、重力加速度2,500Gで1時間遠心操作を行い、透過液と濃縮液に分離した。濃縮液に酸性液を加え15mLに希釈し、再び遠心操作を行った。この手順をさらに2回繰り返し、濃縮液を回収することで、精製したMF−1を得た。
【0082】
この精製MF−1に含まれるホルムアルデヒド含有量を以下のアセチルアセトン法による比色定量で求めた。
【0083】
<アセチルアセトン法>
サンプル:供給水および透過水
アセチルアセトン試薬:酢酸アンモニウム15g、酢酸0.3mL、アセチルアセトン0.2mLを純水に溶かし100mLとしたもの
定量法:サンプル5mLとアセチルアセトン試薬を混ぜ、40℃で30min加熱し、30min静置した。その後、波長413nmの吸光度を測定し、濃度が既知のホルムアルデヒド水溶液から作成した検量線をもとに、ホルムアルデヒド含有量を算出した。
【0084】
また、精製したMF−1を有効成分濃度1mg/Lとなるよう純水に添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.5に合わせた。このMF−1を添加した純水を、
図2に示したRO平膜評価装置(膜面積8cm
2のポリアミド系RO膜:(日東電工社製「ES−20」))を用い、以下の通水条件で通水し、供給水と透過水のホルムアルデヒド含有量をGC/MS法で測定した。なお、透過水は、2時間通水を行ったのち採取した。
<通水条件>
供給水流量:1.6mL/min
水温:25℃
回収率:75%
【0085】
<実施例6−2>
MF−1を透析膜を用いて精製した。具体的には、MF−1の6mLを分画分子量7,000の透析膜ユニット(再生セルロース製、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に入れ、5Lの酸性液(純水に塩酸を加え、pH2に調整したもの)に対し、1週間透析を行った。精製したMF−1のホルムアルデヒド含有量を実施例6−1と同様にアセチルアセトン法で求めた。
【0086】
<実施例6−3>
未精製のMF−1を有効成分濃度1mg/Lとなるように添加した純水に、35重量%重亜硫酸ナトリウム水溶液を10mg/L添加して混合した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.5に合わせた。この混合液について、実施例6−1と同様にしてRO平膜評価装置に通水し、供給水と透過水のホルムアルデヒド含有量を測定した。
【0087】
<比較例6−1>
未精製のMF−1のホルムアルデヒド含有量を実施例6−1と同様にアセチルアセトン法で求めた。
精製したMF−1の代わりに未精製のMF−1を用いたこと以外は、実施例6−1と同様にしてRO平膜評価装置に通水し、供給水と透過水のホルムアルデヒド含有量を測定した。
実施例6−1〜6−3および比較例6−1の結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
比較例6−1では未精製のMF−1を用いたため、ホルムアルデヒドは2000mg/L以上含まれており、供給水に含まれているホルムアルデヒドはRO膜処理を用いても十分に除去されずに透過水中に残留していた。
実施例6−1は限外濾過膜で精製したMF−1を用いており、ホルムアルデヒド量は1/3以下に低減できていた。そのため、供給水および透過水に含まれるホルムアルデヒド量は分析の検出下限値未満となり、透過水中のTOCを低減できることが明らかとなった。
実施例6−2は透析膜で精製したMF−1であり、ホルムアルデヒド量は1/40以下に低減できた。この精製法でも同様に透過水中のTOCを低減できることが期待できる。
実施例6−3では、ホルムアルデヒドと重亜硫酸ナトリウムが反応した結果、ヒドロキシメタンスルホネートが生成し、供給水および透過水中でホルムアルデヒドは検出下限値未満となった。