(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ハンドル連結手段は、上記支柱に上下動可能に設けられた支持部材と、この支持部材に、点滴スタンドを車椅子に連結した状態において、車椅子の進行方向と直交する方向においてそれぞれ上下方向に揺動可能に設けられた左右のハンドル連結部材と、各ハンドル連結部材の先端部にそれぞれ設けられて車椅子の左右のハンドルにそれぞれ着脱自在に連結されるグリップ手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の点滴スタンド。
上記クロスバー連結手段は、点滴スタンドを車椅子に連結した状態において、車椅子の進行方向に沿って上下方向に揺動可能に設けられたクロスバー連結部材と、このクロスバー連結部材の先端部に設けられて車椅子のクロスバーの交差部分に連結される係合部材とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の点滴スタンド。
上記クロスバー連結手段は、クロスバー連結部材の揺動範囲の中間に設けられた思案点を上方に越えたら該クロスバー連結部材を上方に付勢するとともに、下方に越えたらクロスバー連結部材を下方に付勢する付勢機構を備えており、また上記クロスバー連結部材の先端部に設けられた係合部材は、下方から上記クロスバーの交差部分に係合可能なコ字形部を備えて、上記クロスバー連結部材は上記思案点を上方に越えた際に上方に付勢されて、上記係合部材のコ字形部がクロスバーの交差部分に継続して係合されることを特徴とする請求項3に記載の点滴スタンド。
上記付勢機構はカム機構から構成されており、該カム機構は、上記台車または支柱に設けられたカム面と、上記クロスバー連結部材に設けられてバネによって上記カム面に弾接されるカムフォロワとを備えており、上記カム面は、クロスバー連結部材の上下方向の揺動範囲の中間部分に上記バネに抗してカムフォロワを後退させる思案点を形成する突出部分と、この突出部分を上方に越えた部分にクロスバー連結部材を上方に揺動させる上昇カム面と、下方に超えた部分にクロスバー連結部材を下方に付勢する下降カム面とを備えて、上記上昇カム面によってクロスバー連結部材を上方に付勢して上記係合部材のコ字形部をクロスバーの交差部分に継続して係合させることを特徴とする請求項4に記載の点滴スタンド。
上記グリップ手段は、ハンドルの略半分を上方から囲繞する円弧状凹部を備えたグリップ本体と、このグリップ本体に揺動自在に設けられて上記円弧状凹部内に挿入されたハンドルを下方から挟持する挟持レバーと、この挟持レバーを開閉作動させる開閉レバーとを備えることを特徴とする請求項2、請求項6又は請求項7に記載の点滴スタンド。
上記台車は、車椅子の進行方向と直交する方向に伸びる中央フレームと、この中央フレームの左右に連結されて車椅子の進行方向に伸びる左右フレームとから概略H型に構成され、上記中央フレームは、車椅子のティッピングレバーよりも高い位置に設けられていてその中央部に上記支柱が立設され、上記左右フレームは、中央フレームよりも前方部分が斜め下方に傾斜して、その先端部は車椅子のティッピングレバーよりも低い位置まで伸びて各先端部にそれぞれキャスターが設けられており、また上記左右フレームの中央フレームよりも後方部分は、該後方部分よりも下方の空間を介して介助者が上記ティッピングレバーを足で踏むことが可能となるようにティッピングレバーよりも高い位置のまま後方に伸びてから下方に湾曲されて、各後端部にそれぞれキャスターが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の点滴スタンド。
上記台車は、車椅子の進行方向と直交する方向に伸びる中央フレームと、この中央フレームの左右に連結されて車椅子の進行方向に伸びる左右フレームとから概略H型に構成され、上記左右フレームは、介助者が車椅子のティッピングレバーを足で踏むことが可能となるように該ティッピングレバーよりも低い位置で車椅子の進行方向に伸び、また上記中央フレームの中央部分は、上記左右フレームを該中央フレームの下方に挿入可能な高さ位置に設けられるとともに、その両端部が下方に湾曲されて上記左右フレームに連結され、さらに該中央フレームの中央部に上記支柱が立設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の点滴スタンド。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、
図1〜
図3において、点滴スタンド1は車椅子2の後部に着脱自在に連結されて使用されるようになっている。
上記点滴スタンド1は、従来周知の点滴スタンドと同様に、キャスター3が設けられた台車4と、この台車4に立設された支柱5と、この支柱5に設けられて点滴バッグなどを吊下するためのフック6とを備えている。また上記支柱5には、点滴スタンド1を移動させるためのハンドル7を上下に位置調整可能に設けてある。
上記点滴スタンド1にはハンドル連結手段11とクロスバー連結手段12とが設けられており、ハンドル連結手段11は点滴スタンド1を上記車椅子2の左右のハンドル2Aに着脱自在に連結し、クロスバー連結手段12は点滴スタンド1を上記車椅子2のクロスバー13の交差部分に着脱自在に連結することができるようになっている。
したがって点滴スタンド1は、車椅子2の高い位置でかつ左右に広がった左右のハンドル2Aと、車椅子2の低い位置でかつ中央部となるクロスバー13の交差部分との3点で該車椅子2に連結されることになるので、該点滴スタンド1を車椅子2に極めて安定した状態で連結することが可能となる。
【0009】
上記点滴スタンド1の台車4は、該点滴スタンド1を車椅子2に連結した際に、車椅子2の進行方向と直交する方向で水平方向に伸びる中央フレーム4Aと、この中央フレーム4Aの左右に連結されて車椅子2の進行方向に伸びる左右フレーム4Bとから概略H型(
図3参照)に構成されている。
上記車椅子2は、該車椅子2の前方のキャスター2Bを持ち上げて段差等を容易に越えられるようにするために、介助者が足で踏むことができるティッピングレバー2Cを備えており、上記中央フレーム4Aは、後述するようにティッピングレバー2Cを足で踏むことができるようにするために該ティッピングレバー2Cよりも高い位置(
図1参照)に設けられている。
【0010】
上記左右フレーム4Bは、中央フレーム4Aよりも前方部分が斜め下方に傾斜しており(
図1参照)、その先端部は車椅子2のティッピングレバー2Cよりも低い位置まで伸びて各先端部にそれぞれキャスター3が設けられている。
また、上記左右フレーム4Bの中央フレーム4Aよりも後方部分は、該後方部分よりも下方に形成される空間Sを介して介助者が上記ティッピングレバー2Cを足で踏むことが可能となるように該ティッピングレバー2Cよりも高い位置のまま後方に伸びており、そこから急激に下方に湾曲されてティッピングレバー2Cよりも低い位置まで伸び、各後端部に上記キャスター3が設けられている。
【0011】
上記左右フレーム4Bにおける中央フレーム4Aよりも前方部分は、
図3に示すように相互に平行となっているが、上記中央フレーム4Aよりも後方部分は後方となるに従って相互に拡開するように形成してある。
これによって、多数の点滴スタンド1をスタッキングする際には、後方の点滴スタンド1における台車4の左右フレーム4Bの前方部分を、前方の点滴スタンド1における台車4の中央フレーム4Aよりも前方側に押し込むことができ、したがって多数の点滴スタンド1をコンパクトにスタッキングすることができる。
また上記中央フレーム4Aの中央位置には、有底筒状の筒状部材14を固定してあり、この筒状部材14に上記支柱5の下端部を挿入して(
図4参照)、ネジ15によって筒状部材14に上記支柱5を固定してある。
【0012】
図4、
図5に示すように、上記クロスバー連結手段12は、上記支柱5に固定した支持部材21を備えており、この支持部材21にピン22を介してクロスバー連結部材23の末端部を揺動可能に連結してある。
上記支持部材21は平板を概略コ字形に屈曲させて形成した本体部21A(
図5)を備えており、該本体部21Aはその内部に挿通させた上記支柱5に対して昇降可能となっている。そして該本体部21Aに螺合させた固定ネジ24によって所要の高さ位置で支柱5に固定することができるようにしてある。
上記支持部材21は本体部21Aに固定した断面コ字形のブラケット21Bを備えており、このブラケット21B内に上記連結部材23の末端部を挿入して、上記ピン22によって揺動可能に連結している。これによりクロスバー連結部材23は、車椅子2の進行方向における上下方向に揺動可能となっている。
【0013】
上記クロスバー連結部材23は二重のパイプ23A、23Bから構成してあり、一方のパイプ23Aを他方のパイプ23B内に伸縮可能に嵌合して、所要の長さで固定ネジ25(
図5)によって一体に連結固定することができるようにしてある。
上記クロスバー連結部材23の先端部すなわち上記パイプ23Aの先端部には、上方が開放された断面コ字形の係合部材26を固定してあり、該係合部材26は上記クロスバー13の交差部分(
図2参照)に下方から係合可能となっている。
【0014】
さらに本実施例では、上記係合部材26をクロスバー13の交差部分に継続して係合させるために、付勢機構としてのカム機構31を設けている。
このカム機構31は、クロスバー連結部材23がその揺動範囲の中間に設けられた思案点C(
図4)を上方に越えたら該クロスバー連結部材23を上方に付勢し、また下方に越えたらクロスバー連結部材23を下方に付勢することができるようになっている。
上記カム機構31は、断面コ字形の上記ブラケット21Bの両側端面に形成したカム面32を備えており、各カム面32にカムフォロワ33をバネ34の弾発力によって弾接させている。
上記クロスバー連結部材23のパイプ23Bにはその長手方向に沿って長孔23Cを形成してあり、この長孔23Cに貫通させた軸35の両端に上記カムフォロワ33を取り付けてある。そして上記長孔23Cよりも先端側のパイプ23Bに固定した固定軸36と上記カムフォロワ33を取り付けた軸35との間に上記バネ34を弾装して、このバネ34の弾発力により各カムフォロワ33を各カム面32に常時弾接させている。
【0015】
上記クロスバー連結部材23は、先端の係合部材26がクロスバー13の交差部分に係合する略水平位置と、略鉛直下方となる下方位置との間で揺動可能となっており、その際、上記カムフォロワ33はカム面32上を転動することができるようになっている。
そして上記カム面32は、上記カムフォロワ33の転動範囲の中間位置に、すなわち上記連結部材23の揺動範囲の中間部分に、上記バネ34の弾発力に抗してカムフォロワ33を後退させる突出部分32Aを備えており、この突出部分32Aが上記思案点Cを構成している。
この突出部分32Aに隣接するカム面は該突出部分32Aよりも後退しており、上記突出部分32Aを上方に越えた部分が連結部材23を上方に揺動させる上昇カム面32Bとなっており、下方に超えた部分が連結部材23を下方に揺動させる下降カム面32Cとなっている。そしてこの下降カム面32Cの先端に、下降カム面32Cよりも外方に突出してカムフォロワ33がそれ以上転動することを阻止するストッパ部32Dが形成されている。
【0016】
したがって上記クロスバー連結部材23は、通常はカムフォロワ33がストッパ部32Dに弾接している下方位置に位置されており(
図4の想像線の位置)、この状態ではクロスバー連結部材23は鉛直下方に向いていて、先端の係合部材26も邪魔とならない下方位置に位置している。
この状態からクロスバー連結部材23を上方に移動させると、上記カムフォロワ33は上記ストッパ部32Dから下降カム面32Cを介して突出部分32Aに向けて転動するようになり、これに伴なってバネ34を圧縮するようになる。
そしてカムフォロワ33が突出部分32Aである思案点Cを越えると、カムフォロワ33はバネ34の弾発力によって上昇カム面32Bを上方に転動するようになるので、クロスバー連結部材23はバネ34の弾発力により上方に向けて揺動されるようになり、やがて係合部材26がクロスバー13の交差部分に係合するようになる。
上記係合部材26がクロスバー13の交差部分に係合してもクロスバー連結部材23はバネ34の弾発力により継続して上方に向けて付勢されており、これによって係合部材26のクロスバー13の交差部分への係合が維持されるようになる。
他方、上記係合部材26とクロスバー13の交差部分との係合を解除させる際には、上記カムフォロワ33が突出部分32Aを越える位置までクロスバー連結部材23を人手によって押し下げればよく、これによってクロスバー連結部材23は元の下方位置に自動的に復帰するようになる。
【0017】
次に、
図1〜3(特に
図2)において、上記ハンドル連結手段11は、上記支柱5に固定した支持部材41を備えており、この支持部材41にそれぞれピン42を介して左右のハンドル連結部材43の末端部を揺動可能に連結している。
上記支持部材41は、クロスバー連結手段12の支持部材21と同様に、平板を概略コ字形に屈曲させて形成した本体部41A(
図3)を備えており、該本体部41Aはその内部に挿通させた上記支柱5に対して昇降可能となっている。そして該本体部41Aに螺合させた固定ネジ44によって所要の高さ位置で支柱5に固定することができるようにしてある。
上記支持部材41は本体部41Aに固定したT字形のブラケット41Bを備えており、T字形のブラケット41Bの先端部は、左右に開いた断面コ字形部分を有している。そして各コ字形部分内に上記ハンドル連結部材43の末端部をそれぞれ挿入して、上記ピン42によって揺動可能に連結している。これによって各ハンドル連結部材43は、車椅子2の進行方向と直交する方向においてそれぞれ上下方向に揺動可能となっている。
【0018】
上記各ハンドル連結部材43の先端部には、車椅子2の左右のハンドル2Aにそれぞれ着脱自在に連結されるグリップ手段51を設けている。
各グリップ手段51は、
図6に示すように、グリップ本体52と、このグリップ本体52にピン53によって揺動可能に取り付けた開閉レバー54と、この開閉レバー54の操作によってピン55を中心として揺動され、上記グリップ本体52に設けたゴムなどの弾性部材56との間でハンドル2Aを挟持する挟持レバー57とを備えている。
上記グリップ本体52は、
図6の紙面に平行に上下に配置した2枚のプレート52A(
図6には1枚だけ表示)と、両プレート52Aを一体に連結する連結部52Bとから構成してあり、該グリップ本体52の一端部に位置する連結部52Bに上記ハンドル連結部材43を一体に連結してある。
上記グリップ本体52の他端部の下側には、ハンドル2Aの外周の略半分を上方から囲繞する概略円弧状の凹部52Cを形成してあり、この部分に上記弾性部材56を円弧状に取り付けてある。
【0019】
上記挟持レバー57はく字形に屈曲させてあり、その基端部を上記ピン55によってグリップ本体52に揺動自在に取り付けてある。該挟持レバー57の先端部は上記凹部52Cに臨ませてあり、通常は
図7に示すように、該挟持レバー57とグリップ本体52との間に張設した引っ張りバネ58によって、上記挟持レバー57の先端部が上記凹部52Cから離隔した開放位置に保持させている。この状態では、上記凹部52C内にハンドル2Aを相対的に挿入させることができるようになっている。
上記開閉レバー54は、上記挟持レバー57をバネ58の張力に抗して
図7の反時計方向に回転させ、それによって挟持レバー57の先端部を凹部52C側に揺動させてハンドル2Aの外周面下方に当接させることができるようになっている。これにより挟持レバー57の先端部と弾性部材56との間でハンドル2Aを挟持させて、グリップ手段51をハンドル2Aに連結させることができるようになっている。
【0020】
以上の構成において、点滴スタンド1は車椅子2の有無とは関係なく、それ自体単独で使用できることは明らかである。この際には、上記クロスバー連結手段12のクロスバー連結部材23はカム機構31のバネ34によって下方位置に保持されており、またハンドル連結手段11の左右のハンドル連結部材43も下方位置に位置していて、点滴スタンド1を単独で使用する際の邪魔となることはない。
さらに使用しないときには、前述したように後方の点滴スタンド1における台車4の左右フレーム4Bの前方部分を、前方の点滴スタンド1における台車4の中央フレーム4Aよりも前方に押し込むことにより、多数の点滴スタンド1をコンパクトにスタッキングしておくことができる。
【0021】
上記点滴スタンド1を車椅子2の後部に連結する際には、先ずクロスバー連結部材23の係合部材26をクロスバー13の交差部分に係合させる。
この際には、支持部材21をクロスバー13の交差部分の高さ位置に合わせて固定するとともに、パイプ23Bに螺合した固定ネジ25を緩めて、クロスバー連結部材23の長さを調整可能とする。
そして上記固定ネジ25を緩めた状態のまま、クロスバー連結部材23を下方位置から上方に移動させて係合部材26をクロスバー13の交差部分に係合させれば、カム機構31のバネ34によってその係合状態が維持される。
【0022】
次に、各ハンドル連結部材43の先端部に設けたグリップ手段51の開閉レバー54を開放位置に位置させて挟持レバー57を開放位置に位置させたら、ハンドル連結手段11の支持部材41を支柱5に固定している固定ネジ44を緩めるとともに、グリップ手段51が上方となるようにハンドル連結部材43を上方に揺動させて、支持部材41を支柱5に対して昇降させながら、各グリップ手段51を上方から各ハンドル2Aに係合させる。
この際、上記固定ネジ25を緩めてクロスバー連結部材23の長さを調整可能としてあるので、各グリップ手段51が各ハンドル2Aの適正位置となるように、点滴スタンド1と車椅子2との間隔を調整することができる。
このようにして各グリップ手段51を各ハンドル2Aの適正位置に位置させたら、上記開閉レバー54を開放位置から
図7の反時計方向に回転させて挟持位置に位置させ、それによって挟持レバー57の先端部と弾性部材56との間でハンドル2Aを挟持させる。そして最後に、上記固定ネジ44を締め付けてハンドル連結部材43の支持部材41を支柱5に固定するとともに、固定ネジ25を緩めてクロスバー連結部材23の長さを固定すれば、車椅子2への点滴スタンド1の連結作業が完了する。
【0023】
この状態では、点滴スタンド1は、ハンドル連結手段11を介して車椅子2の上方かつ左右に位置するハンドル2Aに連結されるとともに、クロスバー連結手段12を介して車椅子2の下部中央に位置するクロスバー13の交差部分に連結されることになる。
したがって、点滴スタンド1は相互に離れた3つの連結点で車椅子2に連結されることになるので、該点滴スタンド1を極めて安定した状態で車椅子2に連結することができる。
【0024】
図8〜
図12は本発明の第2実施例を示すもので、本実施例の点滴スタンド101は上述した第1実施例の点滴スタンド1と同様に、キャスター103が設けられた台車104と、この台車104に立設された支柱105と、この支柱105に設けられて点滴バッグなどを吊下するためのフック106とを備えている。
上記支柱105には点滴スタンド101を移動させるためのハンドル107と、ハンドル連結手段111を構成する左右のハンドル連結部材143を揺動可能に連結した支持部材141とを昇降自在に設けてあるが、上記第1実施例とは異なり本実施例では両者を一体に連結した構成としてある。そして固定ネジ144(
図8)を緩めることによって両者を一体に昇降させ、該固定ネジ144を締め付けることによってハンドル107と支持部材141とを所要の高さ位置で支柱105に固定することができるようにしてある。
【0025】
本実施例においては、上記第1実施例とは異なり、左右のハンドル連結部材143の全長をそれぞれ伸縮させる伸縮機構160(
図11、
図12)を設けている。
上記左右のハンドル連結部材143は同一の構成を有しているので、右方のハンドル連結部材143に設けた伸縮機構160の構成を
図11、
図12に基づいて説明すると、該ハンドル連結部材143は外筒143Aと内筒143Bとから構成してあり、外筒143Aの右端部に内筒143Bの左端部を摺動自在に嵌合することにより、ハンドル連結部材143の全長を伸縮自在としてある。
【0026】
上記外筒143Aの概略中央部分に直径方向のピン161を設けてあり、このピン161は内筒143Bの軸方向に形成した長孔162(
図12参照)を貫通すると同時に、内筒143B内に設けた円柱状のばね座163を直径方向に貫通して、このばね座163に一体に固定してある。これによりピン161が外筒143Aおよび内筒143Bから脱落することがないようにしてある。
上記ピン161の両端部は外筒143Aに形成した円周方向の長孔164(
図11参照)に係合させてあり、これによって上記ピン161がハンドル連結部材143の軸方向に移動しないようにすると同時に、内筒143Bを外筒143Aに対して上記長孔164の長さ分だけ回転させることができるようにしてある。また上記内筒143Bは、外筒143Aに対して上記長孔162の長さ分だけ軸方向に伸縮することができるようになっている。
【0027】
上記内筒143Bの右端部には第1実施例と同一構成を有するグリップ手段151を設けてある。このグリップ手段151は連結部152B(
図11)に固定した軸部166を備えており、この軸部166を上記内筒143Bの右端部にハンドル連結部材143の長手方向を回転軸として回転可能に嵌合している。
そして内筒143Bの右端部に円周方向の長孔167を形成してあり、上記軸部166に固定した直径方向のピン168の両端部を上記長孔167に係合させることにより、グリップ手段151を内筒143Bに対して上記長孔167の長さ分だけ回転させることができるように連結してある。
【0028】
上記内筒143Bの内部には、上記ばね座163とグリップ手段151の軸部166との間に圧縮ばね170を弾装させて設けてあり、またばね座163と内筒143Bの左端部に固定したピン171との間にも圧縮ばね172を弾装して設けてある。
上記2つの圧縮ばね170、172は同一の構成を、すなわち同一の自然長とばね常数とを有しており、したがって上記ばね座163は2つの圧縮ばね170、172の弾発力によって、軸部166の左端面とピン171の間の中間位置に保持されている。この状態では、ばね座163に設けたピン161は、軸方向の長孔162の中間位置に保持されるようになっている。
【0029】
上記外筒143Aの左端部は、上記第1実施例と同様にピン142によって支持部材141に揺動自在に連結してある。すなわち上記支持部材141はブラケット141Bを備えており、このブラケット141Bの先端部は、左右に開いた断面コ字形部分を有している。そして各コ字形部分内に上記ハンドル連結部材143を構成する外筒143Aの左端部を挿入して、上記ピン142によって揺動可能に連結している。これによって各ハンドル連結部材143は、車椅子2の進行方向と直交する方向においてそれぞれ上下方向に揺動可能となっている。
【0030】
図11、
図12に示す伸縮機構160の非作動状態では、ばね座163に設けたピン161は円周方向の長孔164に係合しているので、該ピン161およびばね座163は外筒143Aの軸方向に移動されることはない。
そして上記ばね座163は上述したように2つの圧縮ばね170、172の弾発力によって、内筒143Bに設けた軸部166の左端面とピン171の間の中間位置に保持されているので、内筒143Bの右端部に設けたグリップ手段151もその位置に保持されている。
また上述したように、この状態では、ばね座163に設けたピン161は、内筒143Bに設けた軸方向の長孔162の中間位置に保持されている。
【0031】
この状態から、例えばグリップ手段151が
図11、
図12の左方に押し込まれることによって、外筒143Aに対して内筒143Bが左方に移動された際には、ピン161およびばね座163は外筒143Aの軸方向に移動することはできないので、ばね座163よりも右方の圧縮ばね170が圧縮されるとともに、左方の圧縮ばね172が伸長されるようになる。
他方、グリップ手段151が
図11、
図12の右方に引っ張られることによって、外筒143Aに対して内筒143Bが右方に移動された際には、ばね座163よりも右方の圧縮ばね170が伸長されるとともに、左方の圧縮ばね172が圧縮されるようになる。
そしていずれの場合であっても、グリップ手段151を押し込む力や引っ張る力が解除されれば、グリップ手段151は2つの圧縮ばね170、172の弾発力がバランスする図示非作動位置に復帰される。
【0032】
本実施例においても、上述した第1実施例と同様に、固定ねじ144を緩めた状態で支持部材141を昇降させながら、各グリップ手段151を車椅子2の各ハンドル2Aに連結固定し、この状態で固定ネジ144を締め付ければ、ハンドル連結部材143の全長を伸縮させることなく点滴スタンド101を車椅子2に連結することができる。
そして点滴スタンド101を車椅子2に連結した状態で、該点滴スタンド101が車椅子2の中心位置から左右にずれた際には、一方の伸縮機構160が圧縮されるとともに他方の伸縮機構160が伸長されるので、点滴スタンド101を両伸縮機構160のばね力によって車椅子2の中心位置に保持することができる。つまり両伸縮機構160の圧縮ばねの170、172の弾発力は点滴スタンド101を車椅子2の中心位置に保持できればよく、それ程大きな弾撥力が要求されるわけではない。
【0033】
ところで、点滴スタンド101を車椅子2に連結した後に、該車椅子2に患者が座った際には、車椅子2が歪んで両方のハンドル2Aが内側に僅かに倒れこみ、両ハンドル2Aの間隔が狭くなることがある。
両ハンドル2Aの間隔が狭くなると、ハンドル連結手段143やグリップ手段151に圧縮力が作用するようになるが、仮に上記伸縮機構160がないとハンドル連結部材143やグリップ手段151に大きな圧縮力が作用するので、グリップ手段151をハンドル2Aから円滑に離脱させることが困難となる。また車椅子2に患者を座らせたままグリップ手段151をハンドル2Aから離脱させ、その後に再度グリップ手段151をハンドル2Aに連結することも困難となる。
これに対し、本実施例では上記伸縮機構160を設けているので、両ハンドル2Aの間隔が狭くなった際の圧縮力を伸縮機構160で吸収することができ、ハンドル連結部材143やグリップ手段151に加わる圧縮力を上記圧縮ばねの170、172の弾発力とすることができる。したがってこれにより、グリップ手段151をハンドル2Aから容易に離脱させ、またグリップ手段151を再度ハンドル2Aに容易に連結することが可能となる。
【0034】
なお、車椅子2に患者が座った状態で点滴スタンド101を車椅子2に連結した後に、該車椅子2から患者が降りた際には両ハンドル2Aの間隔が広くなるが、この場合であっても両ハンドル2Aの間隔の拡がりを伸縮機構160で吸収することができ、点滴スタンド101が浮いて不安定となることを防止することができる。
また、車椅子2で段差を乗り越える際などに車椅子2が歪んで両ハンドル2Aの間隔が変化した場合においても、上記伸縮機構160によりハンドル連結部材143に加わる衝撃を緩和することができるので、各ハンドル連結部材143の損傷や車椅子2へ加わる衝撃を緩和して、車椅子2の破損や衝撃により患者が感じる不快感を緩和することができる。
さらに本実施例においては、各グリップ手段151をハンドル連結部材143の長手方向を回転軸として、上記長孔164と167の合計の長さの範囲内で回転させることができるので、各グリップ手段151を車椅子2の各ハンドル2Aに連結固定する際に、その作業をより容易なものとすることができる。
【0035】
また本実施例においては、台車104の構成を第1実施例のものとは異ならせてある。
すなわち本実施例における台車104は、本実施例の点滴スタンド101を上記車椅子2に連結した際に、車椅子2の進行方向と直交する方向で水平方向に伸びるとともに、その両端部を下方に湾曲させた中央フレーム104A(
図9)と、この中央フレーム104Aの左右に連結されて車椅子2の進行方向に伸びる左右フレーム104Bとから概略H型(
図10参照)に構成されている。
本実施例では、上記左右フレーム104Bは、ティッピングレバー2Cを介助者が足で踏むことができるように、ティッピングレバー2Cよりも低い位置でそれぞれ水平面内でくの字形となるように形成してある。左右フレーム104Bにおける中央フレーム104Aよりも前方側はその部分を車椅子2の下部に押し込めることができるように互いに平行となっており、また中央フレーム104Aよりも後方側は介助者の邪魔とならないようにハの字形に拡げてある。
そして各左右フレーム104Bの先端部と後端部とにキャスター103を取り付けてある。
【0036】
左右フレーム104Bを連結する上記中央フレーム104Aの中央部分は、左右フレーム104Bを該中央部分の下方に挿入できるように、左右フレーム104Bの高さ位置よりも高い位置で水平方向に伸びており、その両端部が下方に急激に湾曲して各左右フレーム104Bに連結されている。
これにより本実施例では、多数の点滴スタンド101をスタッキングする際には、
図10に示すように、後方の点滴スタンド101における右側の左右フレーム104Bの前方部分を、前方の点滴スタンド101の左右フレーム104Bの後方部分の間に、中央フレーム104Aを超えて押し込むことができる。そしてこれと同時に、前方の点滴スタンド101における左側の左右フレーム104Bの後方部分を、後方の点滴スタンド101の左右フレーム104Bの前方部分の間に、中央フレーム104Aを超えて押し込むことができる。
これにより
図10に示すように、本実施例においても多数の点滴スタンド101をコンパクトにスタッキングすることができる。
【0037】
本実施例におけるその他の構成は上述した第1実施例と同様に構成してあり、第1実施例と同一もしくは相当部分には第1実施例で付した符号に100を加えた符号を付して示してある。
【0038】
なお、上述したいずれの実施例においても、上記クロスバー連結手段12、112は上記支柱5、105に昇降可能に設けた支持部材21、121に連結してあるが、台車4、104に直接揺動可能に連結してもよい。
また、上述した実施例では係合部材26をクロスバー13の交差部分に継続して係合させるために付勢機構としてカム機構31を用いているが、カム機構31に限定されるわけではない。例えば自転車のスタンドで用いられているように、
図4の支持部材41の本体部41Aとピン36との間に、ピン22に跨って引っ張りバネを張設しても、カム機構31と同様な作用を得ることができる。
さらにグリップ手段51、151としても図示の構成に限定されるものではなく、ハンドル2Aに着脱自在に連結できれば如何なる構成であっても良く、また伸縮機構160としても図示実施例の構成に限定されるものではない。