(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015856
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ハイパーテキスト転送プロトコルによる品質アウェア適応型ストリーミングのための方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/438 20110101AFI20161013BHJP
H04N 21/435 20110101ALI20161013BHJP
【FI】
H04N21/438
H04N21/435
【請求項の数】26
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-521635(P2015-521635)
(86)(22)【出願日】2013年6月24日
(65)【公表番号】特表2015-527809(P2015-527809A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】US2013047277
(87)【国際公開番号】WO2014022017
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年1月8日
(31)【優先権主張番号】13/711,316
(32)【優先日】2012年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/679,627
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】オイマン、オズガー
(72)【発明者】
【氏名】リャオ、イティン
(72)【発明者】
【氏名】フォースター、ジェフリー
【審査官】
富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/100215(WO,A1)
【文献】
特表2009−518915(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/011720(WO,A1)
【文献】
特表2009−543513(JP,A)
【文献】
3GPP,Universal Mobile Telecommunications System (UMTS); LTE; Transparent end-to-end Packet-switched Streaming Service (PSS); Progressive Download and Dynamic Adaptive Streaming over HTTP (3GP-DASH),ETSI TS 126 247,ETSI,2012年 7月,version 10.2.0 Release 10,p.18-56, p.62-73,[平成28年2月9日検索], インターネット<URL: http://www.etsi.org/deliver/etsi_ts/126200_126299/126247/10.02.00_60/ts_126247v100200p.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じた品質アウェア適応型メディアストリーミングをサポートするネットワークデバイスであって、
送受信機と、
回路と
を備え、
前記送受信機は、リプレゼンテーションレベルおよびセグメントレベルを含む1又は複数の他の複数のレベルを網羅するアダプテーションセットレベルを含む階層的な複数のレベルを画定するマニフェストファイルを受信し、
前記階層的な複数のレベルは、適応型ストリーミングに利用可能なメディアコンテンツの複数のエンコード部分を特徴付ける情報を含み、
前記回路は、
前記マニフェストファイルの前記アダプテーションセットレベルから解析された最小及び最大の品質属性から、前記メディアコンテンツの前記複数のエンコード部分の最小及び最大のビデオ品質値のそれぞれを規定する第1の品質情報を取得し、
前記マニフェストファイルの前記1又は複数の他のレベルから解析された品質属性から、前記メディアコンテンツの前記複数のエンコード部分に関連する体感品質(QoE)を示す複数の品質値を規定する第2の品質情報を取得し、
前記マニフェストファイルの前記セグメントレベルから解析された帯域幅属性から、前記メディアコンテンツの前記複数のエンコード部分に関連するセグメントまたはサブセグメントの複数のビットレート値を規定する帯域幅情報を取得し、
所望のビデオ品質値を維持するために、選択されたストリームの前記帯域幅情報、前記第1の品質情報、及び前記第2の品質情報に基づいて、前記メディアコンテンツの異なる複数のエンコード部分の間でストリーミングを動的に切り替える
ように構成されるネットワークデバイス。
【請求項2】
前記品質属性は、客観的なビデオ品質情報を備える請求項1に記載のネットワークデバイス。
【請求項3】
前記品質属性は、主観的なビデオ品質情報を備える請求項1に記載のネットワークデバイス。
【請求項4】
前記品質属性は、ビデオマルチスケール構造的類似性(MS−SSIM)、ビデオ平均オピニオン評点(VMOS)、複数のビデオ品質メトリック(VQM)、複数の構造的類似性メトリック(SSIM)、ピーク信号対雑音比(PSNR)、及び複数のビデオ品質メトリックの知覚評価(PEVQ)からなるグループから選択された品質メトリックを備える請求項1から3のいずれか一項に記載のネットワークデバイス。
【請求項5】
前記マニフェストファイルは、メディアプレゼンテーション記述ファイル(MPDファイル)である請求項1から4のいずれか一項に記載のネットワークデバイス。
【請求項6】
前記品質属性は、ハイパーテキスト転送プロトコルによる動的適応型ストリーミング(DASH)リプレゼンテーション、DASHセグメント、及びDASHサブセグメントの情報として含まれる請求項5に記載のネットワークデバイス。
【請求項7】
無線ネットワークデバイス
を備え、
前記無線ネットワークデバイスにおいて、前記送受信機は、無線周波数送受信機を含む請求項1から6のいずれか一項に記載のネットワークデバイス。
【請求項8】
ネットワークを介したサーバとの通信において、ハイパーテキスト転送プロトコルによる動的適応型ストリーミング(DASH)を用いて、前記サーバからデバイスに配信されるメディアコンテンツの体感品質(QoE)を管理する方法であって、
メディアプレゼンテーション記述ファイル(MPDファイル)を前記サーバから要求する段階であって、前記MPDファイルは、品質属性及び帯域幅属性を含み、前記品質属性は、サービス品質(QoS)及び体感品質(QoE)を示し、DASHアダプテーションセットにおいて特定されるDASHフォーマットのメディアコンテンツに対する最小及び最大の品質値を示し、前記帯域幅属性は、前記DASHフォーマットのメディアコンテンツの複数のサブ部分に対するビットレート値を示し、前記複数のサブ部分は、DASHリプレゼンテーション又は前記DASHリプレゼンテーションのDASHセグメントにおける前記DASHアダプテーションセットから特定される段階と、
前記MPDファイルを前記サーバから受信する段階と、
前記デバイスへの配信のために、前記最小及び最大の品質値の間かつQoEの所望の範囲内の品質値を有し、前記ネットワークの帯域幅能力を上回らないように決定されたビットレート値を有するように、前記MPDファイルによって示されるDASHセグメントを選択する段階と
を備える方法。
【請求項9】
前記品質属性は、前記DASHアダプテーションセット内に含まれる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記品質属性は、前記DASHアダプテーションセットにおいて特定される前記DASHリプレゼンテーションの最小品質を規定する最小の品質値を備える請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記品質属性は、前記DASHアダプテーションセットにおいて特定される前記DASHリプレゼンテーションの最大品質を規定する最大の品質値を備える請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記最小及び最大の品質値は、DASHピリオド、DASHセグメント、又はDASHサブセグメントのメディアプレイバック期間に対応する予め定められたタイムラインにおいて定量化される請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記最小及び最大の品質値は、前記DASHアダプテーションセットにおいて特定される複数のDASHセグメント又は複数のDASHサブセグメントに対する最小及び最大の品質値を規定する複数の量値のベクトル化セットを備える請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第2の品質属性は、前記DASHアダプテーションセットのDASHリプレゼンテーション、DASHサブリプレゼンテーション、DASHセグメント、又はDASHサブセグメント内で提供される請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の品質属性は、前記DASHアダプテーションセットにおいて特定される前記DASHフォーマットのメディアコンテンツの前記複数のサブ部分の平均品質を定量化する第2の品質値を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記最小及び最大の品質値、及びDASHアダプテーションセットにおいて特定されるDASHフォーマットのメディアコンテンツに対する前記第2の品質値に基づいて報告を生成する段階
をさらに備える請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の品質属性は、DASHピリオド、DASHセグメント、又はDASHサブセグメントのビデオプレイバック期間に対応する予め定められたタイムラインにおいてビデオコンテンツプレイバック品質を定量化する第2の品質値を含む請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の品質属性は、前記DASHアダプテーションセットにおいて特定される前記DASHフォーマットのメディアコンテンツの前記複数のサブ部分の平均ビデオコンテンツプレイバック品質を定量化する第2の品質値を含む請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の品質属性は、前記DASHアダプテーションセットにおいて特定される複数のDASHセグメント又は複数のDASHサブセグメントに対する最小及び最大の品質値を規定する複数の量値のベクトル化セットを備える第2の品質値を含む請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第2の品質属性及び前記帯域幅属性は、DASHセグメント又はDASHサブセグメントの複数のバイトの範囲に関連する請求項8から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
複数のバイトの前記範囲は、複数のDASHセグメント又は複数のDASHサブセグメントに跨る請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記品質属性は、ビデオマルチスケール構造的類似性(MS−SSIM)、ビデオ平均オピニオン評点(VMOS)、複数のビデオ品質メトリック(VQM)、複数の構造的類似性メトリック(SSIM)、ピーク信号対雑音比(PSNR)、及び複数のビデオ品質メトリックの知覚評価(PEVQ)からなるグループから選択された品質メトリックを備える請求項8から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
無線通信システムにおいて体感品質(QoE)を向上させる方法であって、
メディアコンテンツをストリームする要求に応じて、サーバから無線チャネルを通じて情報を受信する段階であって、前記情報は、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)による品質アウェア適応型ストリーミングに利用可能なビデオ及びオーディオのメディアコンテンツの複数の部分の帯域幅データとサービス品質(QoS)及び体感品質(QoE)を示す品質データとを記述するメタデータを含む段階と、
前記無線チャネルの利用可能な帯域幅を上回らないような前記帯域幅データによって示される第1のビットレートを有し、予め定められたメディアコンテンツプレイバック品質を上回るような前記品質データによって示される第1の品質を有する前記メディアコンテンツの第1のストリームを、前記サーバから要求する段階と、
前記無線チャネルを介して、前記メディアコンテンツの前記第1のストリームの少なくとも一部を前記サーバから受信する段階と、
前記第1のストリームの前記第1の品質が前記予め定められた品質値を上回るか下回るかを判断する段階と、
前記無線チャネルの前記利用可能な帯域幅を上回らないような前記帯域幅データによって示される第2のビットレートを有し、前記予め定められたメディアコンテンツプレイバック品質を上回るような前記品質データによって示される第2の品質を有する前記メディアコンテンツの第2のストリームを、前記サーバから要求する段階と
を備え、
前記第1のビットレート及び前記第2のビットレートは、異なるレートであり、
前記第2のビットレートは、前記第1のビットレートより低い方法。
【請求項24】
前記メタデータは、マニフェストファイルにおいて受信され、
前記方法は、
前記メディアコンテンツの前記第1のストリーム及び前記第2のストリームの別々の部分の複数の品質値を提供する品質属性を見つけるために、前記マニフェストファイルの前記情報を読み出す段階
をさらに備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記品質属性は、前記メディアコンテンツの前記第1のストリーム及び前記第2のストリームの前記別々の部分に対する最小及び最大の品質値を備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のストリーム及び前記第2のストリームの前記別々の部分は、DASHフォーマットの複数のセグメント又は複数のサブセグメントを備える請求項24又は25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2012年8月3日に出願された米国仮出願61/679,627(代理人整理番号P46630Z)に対する米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、その全体においてここで参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)ストリーミングは、マルチメディアコンテンツ、メディアコンテンツ、メディアサービス、又はその類のものと称される、インターネットビデオ及びオーディオコンテンツのマルチメディア配信の一種である。HTTPストリーミングにおいて、マルチメディアファイルは、1又は複数のセグメントに分割され、HTTPプロトコルを用いてクライアントに配信されることができる。HTTPベースのマルチメディアコンテンツ配信(ストリーミング)は、HTTP及びその下層のプロトコルであるトランスミッションコントロールプロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)の両方の幅広い従前の採用により、信頼性のある単純なコンテンツ配信を提供する。さらに、HTTPベースの配信は、ネットワークアドレス変換(NAT)及びファイアウォール横断問題を避けることによって、ストリーミングサービスを単純化する。HTTPベースのストリーミングは、これらのサーバ上で保持される追加の状態情報に起因して拡張することがより難しい特殊なストリーミングサーバの代わりに、標準のHTTPサーバ及びキャッシュを使用する能力も提供する。HTTPストリーミング技術の例は、マイクロソフトインターネットインフォメーションサービス(IIS)スムーズストリーミング、アップルHTTPライブストリーミング、及びアドビHTTP動的ストリーミングを含む。
【0003】
適応型ビデオストリーミングは、変化しているリンク状況、デバイス能力、及びコンテンツ特性に基づく、ビットレート、解像度、及びフレームレートなどの最適化ビデオ設定を継続的に含む。適応型ストリーミングは、高いビデオ品質、低いスタートアップ遅延、及び割り込みがないプレイバックなどの性能目標に関して、エンドクライアントユーザに対するビデオ鑑賞体験を改善する。伝統的に、適応型ビデオストリーミングは、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)を伴っていた。RTSPは、それが切断するまでクライアントの状態をトラッキングするストリーミングサーバに接続するクライアントを含む。クライアントの状態をトラッキングすることは、セッションプロビジョニング及びメディアパラメータのネゴシエーションを含む、クライアントとサーバとの間の頻繁な通信を伴う。クライアント及びサーバがセッションを確立すると、サーバは、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)又はTCP転送のいずれかによってパケットの継続的なストリームとしてメディアを送信する。RTSPベースの適応型ストリーミングのための例示的な技術は、特に、マイクロソフトウインドウズメディア(商標)、アップルクイックタイム(商標)、アドビフラッシュ(商標)、及びリアルネットワークスのへリックス(商標)を含む。
【0004】
HTTPによる動的適応型ストリーミング(DASH)は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)TS26.247及びムービングピクチャエクスパーツグループ(MPEG)ISO/IEC DIS23009−1において標準化された適応型HTTPストリーミング技術である。しかし、様々な標準化団体は、特に、オープンインターネットプロトコルテレビジョン(IPTV)フォーラム(OIPF)及びハイブリッドブロードキャストブロードバンドTV(HbbTV)を含むDASH技術を履行する。DASHは、ステートレスなHTTPプロトコルを用いて動作するので、DASHは、RTSPベースの適応型ストリーミングに比較して異なるように動作する。
【0005】
DASHは、メディアプレゼンテーション記述(MPD)メタデータファイルのためのフォーマットを規定する。MPDファイルは、構造についての情報、及びサーバに格納されるメディアコンテンツのリプレゼンテーションの異なる複数のバージョンを提供する。MPDファイルは、他のリプレゼンテーションとの切り替え及び同時提示に対して、メディアプレゼンテーションタイムラインへのセグメントのマッピングを保証するために、セグメントフォーマット、すなわち、メディアプレーヤに対する初期化及びメディアセグメントに関する情報も規定する。例えば、メディアプレーヤは、コンテナフォーマット及びメディアタイミング情報を理解するために、MPDファイルにおいて特定される初期化セグメントを検査する。
【0006】
WiMAX(登録商標)(Worldwide interoperability for Microwave Access)又はロングタームエボリューション(LTE)などの無線通信技術は、伝統的なボイス及びデータサービスに加えて、リッチなマルチメディア及びビデオサービスを配信するために進化してきた。典型的な無線マルチメディア通信は、ノイズがあるチャネル上の連続的なソースの送信を含む。一般的な例は、音声通信、モバイルTV、モバイルビデオ、及びブロードキャストストリーミングである。そのよう通信において、マルチメディアソースは、エンコードされて有限のビットのストリームに圧縮され、そして、ビットストリームは、ノイズがあるチャネル上で通信される。ソース符号化は、連続的なソースを有限のビットのストリームに変換するために実行される。チャネル符号化は、ノイズがあるチャネルによって導入されるビットストリームにおけるエラーを軽減するために実行される。ソース及びチャネル符号化は、高い歪みレベル、限られた帯域幅、過度の遅延、電力の制約、及びコンピュータの複雑さの制限のような要因に通常起因するメディアのプレイバックの間に品質の劣化を導入する。それにもかかわらず、リアルタイムモバイルビデオストリーミングなどにおいて、平均歪み及びマルチメディア品質要件を含む特定のエンドツーエンドのサービス品質(QoS)又は体感品質(QoE)の制約を満足しながら、時間的に変化する無線チャネル上でソースを送信することは重要であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
複数の実施形態の複数の態様は、添付の複数の図面を参照して進む、以下の発明を実施するための形態から明らかになる。複数の実施形態は、例として示され、添付の複数の図面の複数の形態に限定するために用いられない。
【
図1】DASHのためのクライアント及びサーバにおける複数の手順のブロック図である。
【
図2】複数のDASHサービスの配信のためのアプリケーションアウェアエンドツーエンドQoEアーキテクチャのブロック図である。
【
図3】アダプテーションセット、リプレゼンテーション、サブリプレゼンテーション、セグメント、及びサブセグメントの複数のレベルに含まれる粒度の細かい帯域幅属性及びQoEを示す階層的メタデータのMPDファイル構造のハイレベルデータモデルのブロック図である。
【
図4】DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャのブロック図である。
【
図5】クロスレイヤ最適化DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャのブロック図である。
【
図6】ハイパーテキスト転送プロトコルによる品質アウェア適応型ストリーミングを実行することが可能な情報処理システムのブロック図である。
【
図7】モバイルタブレットコンピュータの実施形態に係る
図6の情報処理システムの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
DASHにおいて、マニフェストファイル(DASHのコンテキストにおけるMPDファイル又はメディアプレゼンテーション記述を称する)は、ストリーミングに利用可能なメディアコンテンツの異なる複数のバージョンの可用性及び構造についての階層的なメタデータ情報を提供する。MPDファイルの階層的な複数のレベルを減少することは、メディアコンテンツのより小さい複数の部分を特徴付ける。例えば、MPDファイルにおいて、アダプテーションセットは、メディアコンテンツコンポーネント(例えば、メインビデオ、オーディオ、複数のキャプション、又は他のコンポーネント)を表し、アダプテーションセット内のリプレゼンテーション要素は、1つ又はいくつかのメディアコンテンツコンポーネントの配信可能なエンコードされたバージョンを記述する。DASHは、それらが含まれるリプレゼンテーションのより低い品質のバージョンにアクセスするための能力を一般的に提供する複数のサブリプレゼンテーションも提供する。例えば、複数のサブリプレゼンテーションは、多重化されたリプレゼンテーションにおけるオーディオトラックを抽出することを許可し、又はより低いフレームレートで提供された場合に効率的な複数の高速転送動作を可能にし得る。DASHは、アダプテーションセットの複数の異なるリプレゼンテーションの間、又は2又は3以上のアダプテーションセットの複数の異なるリプレゼンテーションの間の切り替え及び同時提示に対して、メディアプレゼンテーションタイムラインへの複数のセグメントのマッピングを保証するための情報を含む複数のリプレゼンテーションの一意にアドレス可能な複数の部分(セグメントを称する)も規定する。
【0009】
一例において、MPDファイルは、別個の複数のアダプテーションセットとしてオーディオ及びビデオの複数のコンポーネントを規定し、それらのそれぞれは、それぞれのコンポーネントの複数のコンテンツの複数の異なる利用可能なバージョンを記述する1又は複数のリプレゼンテーションを含む。いくつかの実施形態において、異なる利用可能な複数のバージョンは、異なる複数のビットレート、複数のフレームレート、複数の解像度、複数のコーデックタイプ、又はアダプテーションセット内のリプレゼンテーション又はセグメントの複数のレベル(若しくはサブリプレゼンテーション又はサブセグメントの複数のレベル)で規定された他の複数の特性でエンコードされる。
【0010】
複数のセグメントの関係及びそれらがメディア提示を形成する方法を記述するMPDメタデータ情報に基づいて、複数のクライアントは、HTTP GET又は部分GETの複数の方法を用いて複数のセグメントを要求する。クライアントがデータを要求すると、サーバは、データを送信することによって応答し、その時点でトランザクションは終了される。したがって、各HTTPリクエストは、完全にスタンドアロンなワンタイムトランザクションとして処理される。クライアントは、ストリーミングセッションを完全に制御する。すなわち、それは、オンタイム要求及び一連の複数のセグメントのスムーズなプレイアウトを管理し、デバイスの状態の複数の変化又は複数のユーザ選択に反応しながら、異なる複数のビットレート又は他のビデオアダプテーションの複数のパラメータを有する複数のセグメントを潜在的に要求する。したがって、DASHは、適応型ストリーミングインテリジェンスをサーバからクライアントに動かす。クライアントは、ストリーミングセッションをドライブし、ビデオアダプテーションの複数のパラメータを示す複数の属性を決定する。DASHベースの複数のサービスは、異なる3GPP無線アクセスネットワーク(RAN)及び複数のコアIPネットワークアーキテクチャ上で配信可能であり、QoS及びQoEに基づくサービスアダプテーションなどのアダプテーションの複数のパラメータをサポートする。
【0011】
普及した手法における高いQoEでのマルチメディアコンテンツの配信を可能にするため、ユーザQoEを最適化すること及びQoSを増加させることに対する包括的なクロスレイヤ設計の複数の方法を考案することは有益である。QoE主導のクロスレイヤ最適化は、より下位の複数のレイヤによって提供される複数のリソース割当メカニズム及びエラー制御を主要因とする複数のストリーミングアルゴリズム及びビデオ圧縮を設計することによる、及び複数のビデオアプリケーションの特定の複数の特性を考慮することによる、より下位の複数のレイヤ(すなわち、PHY、MAC、ネットワーク、及びトランスポート層)での複数のリソース管理戦略に基づく。例えば、コーデックレベルでのPHY/MAC/NETアウェアビットレートアダプテーションは、マルチメディアコンテンツの割り込み自由なプレイバックを維持しつつより高いQoEを保証しながら、ストリーミングサービスが変化するネットワークの複数の状況(例えば、変化するリソース可用性、時間的に変化する無線チャネルの特質)にそのビットレートを適応させることを可能にする。ビデオコンテンツ及びサービスに関連する様々なアプリケーション層の属性の知識を活用することによる、無線、ネットワーク、及びトランスポート層でのアプリケーションアウェアPHY/MAC/NETアダプテーション。例えば、ビデオストリームのレート歪みの複数の特性の知識は、ビデオ品質を向上させるPHY/MAC層でのQoEアウェアスケジューリングを実行することを可能にさせる。他の例は、トランスポートレベルの複数のストリーミングプロトコルがビデオコンテンツの複数の特性に適応されるコンテンツアウェア適応型ストリーミングである。
【0012】
ビデオコンテンツの複数の特性は、コンテンツの特質に基づいて頻繁に変化する。それが、複数のエンコーダが一貫性のある品質を常に生成できず、特定の規定の複数のビットレートを有する複数のビットストリームを同時に生成できない1つの理由である。例えば、ニュース放送の間の複数のスポーツビデオクリップなどにおけるアクティブ及びスタティックな複数のシーンを急激に切り替えることは、一貫性のある品質でエンコードすることが難しい。したがって、エンコードされたデータの品質は著しく変動し得る。さらに、現行の複数の無線通信システム及び複数の適応型ストリーミングプロトコル(例えば、3GPP DASH及びMPEG DASH)は、品質における変動を示すためのMPDファイルにおいてQoE情報の交換を提供しない。代わりに、PHY/MAC/NET層は、アプリケーション層の複数の要件及び複数の特性に不可知であり、特定の目標の複数のQoS要件(例えば、スループット、レイテンシ/ジッタ、パケットエラー/損失レート、又は他の複数のQoS要件)に従って単純にリンク品質を最適化しようとする。
【0013】
図1は、マルチメディアコンテンツが格納されたウェブ/メディアサーバ114からのマルチメディアコンテンツを順に供給するウェブサーバ112から複数のマルチメディアサービスを取得するクライアント110を含むDASH対応適応型ストリーミングネットワーク100を示す。ウェブ/メディアサーバ114は、オーディオ/ビデオ入力装置116を介して、ライブの入力ストリーム又は前に格納されたメディアコンテンツであってよいマルチメディアコンテンツを受信し、メディアは、クライアント110にストリームされる。ウェブ/メディアサーバ114は、メディアコンテンツを適したフォーマットにエンコードするメディアエンコーダ124と、入力メディアコンテンツをストリーミングに適した一連の複数のフラグメント又は複数のチャンクに分割するメディアセグメンタ126とを含んでよい。クライアント110は、ウェブサーバ112と情報をやりとりするウェブブラウザ118と、ストリーミングマルチメディアコンテンツをデコードしてレンダリングするメディアデコーダ/プレーヤ120とを含んでよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、クライアント110は、1つ又はいくつかの標準のHTTPサーバ又はキャッシュに対する1つ又はいくつかのTCP接続をオープンする。そして、クライアントは、例えば、異なる複数のビットレート、複数のフレームレート、複数の解像度、複数のコーデックタイプ、及び複数のDASH規格、3GPP TS26.247、及びISO/IEC23009−1:2012(E)で規定された他のMPDデータモデル情報を含む、ウェブ/メディアサーバ114に格納されたメディアコンテンツの異なる複数のバージョンの可用性及び構造についてのメタデータ情報を提供するMPDファイルを取得する。いくつかの実施形態において、クライアント110上で実行するXMLパーサーソフトウェアは、複数のセグメントがメディアプレゼンテーションタイムラインにマッピングされることができるように、MPD情報をオープンし(又はメモリからアクセスし)、複数のセグメント及び他の関連するメタデータ情報のHTTP URLを取得するために複数のMPDコンテンツの複数の部分を読み出す。クライアント110は、
図1に示されるように短い複数のダウンロードを介してストリーミングを模倣する個々のHTTP GETメッセージでメディアファイルの選択されたバージョンのより小さい複数のデータセグメント(HTTP GET URL(FRAG1 REQ)、フラグメント1、HTTP GET URL(FRAGi REQ)、フラグメントi)を取得するために、HTTP GET又は部分HTTP GETの複数のメッセージを用いて、複数のチャンクにおける新しいデータを要求する。HTTP GETメッセージのURLは、どのセグメント又は複数のセグメントをクライアントが要求しているかをウェブサーバ112に伝えるために用いられる。結果として、ウェブブラウザ118は、セグメント毎に(又は複数のバイト範囲リクエストに基づくサブセグメント毎に)ウェブサーバ112からメディアを取り出す。
【0015】
ネットワーク100上のDASHの実装は、ストリーミングウェブサーバ112とのネゴシエーションを要求することなく、最初の利用可能な帯域幅にマッチする最初のコンテンツレートを自動的に選択し、その後、利用可能な帯域幅が変化するにつれて、複数のリプレゼンテーションの複数の異なるビットレートの間で動的に切り替わる能力をクライアント110に提供する。結果として、ネットワーク100上でDASHを実装することは、変化するネットワーク及び無線リンクの複数の状況、複数のユーザ選択、複数のコンテンツ特性、並びにディスプレイ解像度、プロセッサ速度、及び複数のリソースのような複数のデバイス能力、複数のメモリリソースなどへのより高速なアダプテーションを可能にする。そのような動的アダプテーションは、より短い複数のスタートアップ遅延、より少ない複数の再バッファ事象、より良いビデオ品質、又は他の複数の改善を含む改善された(例えば、一貫性のある)ユーザQoEを提供する。
【0016】
1又は複数の実施形態によれば、ネットワーク100上でのDASHを可能にすることは、クライアント110にストリーミングセッションをドライブさせ、ビデオアダプテーションの複数のパラメータについて決定させつつ、適応型ストリーミングインテリジェンスをサーバ112からクライアント110に動かす。したがって、特にDASHベースの複数のストリーミングサービスのために構築されたインテリジェントクライアントアダプテーションフレームワークは、1又は複数の実施形態において、セッション状態をトラッキングするために実装されてよい。そのようなパラダイムは、プッシュベースのRTSPベースのストリーミングから、改善された又は最適なユーザQoEを実現することが可能なプルベースのHTTPベースのストリーミングにシフトする。さらに、伝統的なRTSPベースの複数のストリーミングサービスからのその違いに起因して、異なる3GPP RAN及びコアIPネットワークの複数のアーキテクチャによるDASHベースの複数のサービスの配信は、QoEベースのアダプテーション及びサービスアダプテーションに対するサポートとともに実装されてよい。複数のDASHサービスのエンドツーエンドQoE配信の一例となる図が、
図2に示される。
【0017】
図2は、ネットワーク100上での複数のDASHサービスの配信を実装するために利用されてよいエンドツーエンドQoEアーキテクチャ200を示す。
図2に示される例において、ネットワーク100は、3GPPネットワーク又はその類のものであってよい。1又は複数の他の実施形態において、ネットワーク100は、3GPP LTE規格などの3GPP規格、LTEアドバンス規格、第4世代(4G)規格、又は他の複数の規格の進化型を実装してよい。ネットワーク100は、WiMAX(登録商標)ネットワーク又はWiMAX(登録商標)−IIネットワークを実装するために、IEEE802.16e又はIEEE802.16m規格などの電気技術者協会(IEEE)802.16規格を実装してよい。
図2に示されるように、エンドツーエンドQoEアーキテクチャ200は、無線ネットワーク210及びインターネットプロトコル(IP)ネットワーク212を備える。無線ネットワーク210及びIPネットワーク212の複数のサブコンポーネントは、インターネットであってよいパブリックネットワーク214、コアネットワーク216、アクセスネットワーク218、進化型NodeB(eNB)であってよい基地局220、及びユーザ機器(UE)であってよい移動局222を含む。1又は複数の実施形態によれば、DASHサーバ224(ウェブサーバ112)は、IPネットワーク212及び無線ネットワーク210を介して、ストリーミングマルチメディアコンテンツ226を移動局222(クライアント110)に提供することが可能である。
【0018】
上述のとおり、適応型ストリーミングにおいて、クライアントは、ストリーミングに利用可能なメディアの複数の異なる部分に対する品質及びレートの情報を提供するメタデータを含むマニフェストファイルを受信する。例えば、(DASHのコンテキストの中の)MPDファイルは、クライアントによって取得され、そして、それは、MPDに記述された様々なリプレゼンテーションに対応する複数のセグメント及び複数のサブセグメントを要求する。クライアントは、ユーザQoEを最適化する目的のために、帯域幅、品質、CPU負荷、又は他の情報を継続的にトラッキングすることによって、複数のランダムなアクセスポイント(セグメントのアクセスポイント)上で複数の異なるリプレゼンテーションにわたって切り替わってよい。大きい品質の変動を避けるために、複数のランダムなアクセスポイント上で切り替わるときの高いQoEを維持しながら、クライアントは、セグメントの切り替えが行われるべきか否か、いつ行われるべきか、及びどこで行われるべきかを判断するために、MPDにおいて提供される品質情報を用いてよい。
【0019】
しかし、以前の適応型ストリーミングの複数の試みにおいて、複数のメタデータファイルは、クライアントが高いQoEを維持するために用いることができた限られた情報を含んでいた。例えば、メディアコンテンツの帯域幅は、階層的なMPDファイルのアダプテーションセットにおけるリプレゼンテーションレベルで、リプレゼンテーション要素に含まれる帯域幅属性(@帯域幅)に従って、DASH規格のコンテキストにおいて規定されている。したがって、各リプレゼンテーション(又はサブリプレゼンテーション)は、@帯域幅属性によって特定される複数の異なるビットレートを有するメディアコンテンツのエンコードされたバージョンを表してよい。@帯域幅属性は、複数のDASHクライアントに、@帯域幅値のコースの比較及びリンク帯域幅の推定に基づいて、複数のDASHフォーマットのリプレゼンテーション及びサブリプレゼンテーションの間で動的に切り替わる能力を提供しているが、品質情報は、MPDにおいて利用可能でない。特に、以前の複数の試みにおいて、品質情報は、MPDファイルにおいて利用可能でなく、それは、不十分な又は過度の帯域幅ニーズを有する複数のメディアコンポーネントを容易に特定して除外するために、クライアントによって用いられることができた。さらに、@帯域幅属性は、対応する品質及び異なるエンコードされたメディアコンテンツに関連するQoEと共に、DASHクライアントに知らせていなかった。したがって、DASHクライアントが、リプレゼンテーションの中の@帯域幅値に基づいて、DASHフォーマットのメディアコンテンツの複数のセグメントを選択する場合、以下の複数の非効率性が生じる可能性がある。第1に、ストリーミングのために選択された複数のセグメントのいくつか(例えば、低速移動のシーンのもの)は、DASHクライアント上のディスプレイに対して必要なものより非常に高い品質でエンコードされ、それによって、ストリーミングの間に帯域幅を無駄使いする。第2に、他の複数のセグメント(例えば、高速移動のシーンのもの)は、不十分な品質を有し、エンドユーザの体感を損なう可能性がある。結果として、以前の複数の適応型ストリーミング技術は、クライアントが複数の品質特性に基づいて複数のストリームの間でインテリジェントに切り替わることを可能にする十分な情報を提供しない。
【0020】
本発明者らは、選択されたビットレート(すなわち、@帯域幅)によって実現された品質が所望の又は目標の量を下回るときに、クライアントでの品質主導の複数のアダプテーションがストリーミングのQoEを改善できることに気付いた。さらに、選択されたビットレートによって実現された品質が所望の量を上回るときに、帯域幅は節約されることができる。さらに、コンテンツの品質は、メディアコンテンツの複数のセグメント及び複数のサブセグメントにわたって非常に著しく変化する可能性があるが、前述のとおり、品質を知らせることは、MPDにおいて規定されておらず、したがって、ストリームの中の複数のセグメント又は複数のサブセグメントの間の品質の変動を示すことができなかった。MPDにおいて提供される品質情報は、最小及び最大の品質情報を含み、例えば、各セグメントの帯域幅及び品質に基づいて、最適な複数のストリームの間で動的に選択して切り替わるクライアントの能力を改善する。
【0021】
そこで、
図3は、リプレゼンテーション及びサブリプレゼンテーションレベルで、様々なメディアコンポーネントの異なるエンコードされたバージョンに対する(以前に提供されたビットレート、解像度、及びフレームレート情報に加えて)品質関連情報を含むMPDデータモデルを示す。さらに、それは、より動的で品質に最適な複数のアダプテーションを可能にしながら、より粒度の細かい方法においてメディア内の品質及びレートの変動を示すために、ピリオド内の様々なリプレゼンテーション及びサブリプレゼンテーションの複数のセグメント及び複数のサブセグメントをわたる品質及びビットレートの情報も含む。
図3は、DASHのコンテキストの中のMPDファイルを示すが、品質データは、他の複数の適応型ストリーミング技術のための類似の複数のマニフェストファイルに含まれてよい。
【0022】
図3は、品質アウェア適応型ストリーミングのための複数の属性を含む複数の要素を含むDASHフォーマットのMPDファイルデータモデル300(又は単純にMPD300)を示す。例えば、各ピリオド310は、(複数のセグメント340によって示される)複数のメディアコンテンツコンポーネント及び複数のサブリプレゼンテーション350を記述する1又は複数のリプレゼンテーション330をそれ自身が含む1又は複数のアダプテーションセット320を含む。各リプレゼンテーション330は、複数のサブセグメント350を有する1又は複数のセグメント340で構成される。複数のリプレゼンテーション330は、上で説明されたように、複数のサブリプレゼンテーション360を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、複数のアダプテーションセット320は、以下の2つの属性370を有する品質情報を含む。アダプテーションセットにおける全てのリプレゼンテーションに対する最小の品質値を規定する最小品質、及びアダプテーションセットにおける全てのリプレゼンテーションに対する最大の品質値を規定する最大品質。これらの属性は、ピリオド、セグメント、又はサブセグメントに対応してよい規定のタイムライン(例えば、メディアコンテンツの規定の期間)を通しての最小及び最大の品質レベルを定量化する複数の値を含む。いくつかの実施形態において、これらの値は、アダプテーションセットの持続期間全体を通しての長期(又は平均)の最小及び最大の品質尺度を示してよい。他の実施形態において、複数の品質値の複数のベクトル化セットは、異なる複数のセグメント及び複数のサブセグメントにわたって、アダプテーションセットに対する最小及び最大の品質レベルを規定するために提供されてよい。
【0024】
他の実施形態によれば、リプレゼンテーション330は、品質380を表す属性を含み、それは、品質値をリプレゼンテーション330によって記述されたコンテンツに割り当てる。この値は、ピリオド、セグメント、又はサブセグメントの複数の期間に対応してよい規定のタイムラインを通しての品質レベルを定量化してよい。いくつかの実施形態において、この値は、リプレゼンテーションの持続期間全体を通しての長期(平均)の品質尺度を示してよい。他の実施形態において、複数の品質値の複数のベクトル化セットは、リプレゼンテーションの異なる複数のセグメント及び複数のサブセグメントをわたって複数の品質レベルを規定するために提供されてよい。他の実施形態において、2つの属性370、最小品質及び最大品質は、リプレゼンテーション330のレベルで宣言されてもよく、ピリオド、セグメント、又はサブセグメントに対応してよい規定のタイムラインを通しての複数の品質レベルを定量化する。いくつかの実施形態において、これらの値は、リプレゼンテーションの持続期間全体を通しての長期(又は平均)の最小及び最大の品質尺度を示してよい。他の実施形態において、複数の品質値の複数のベクトル化セットは、リプレゼンテーションの異なる複数のセグメント及び複数のサブセグメントにわたって最小及び最大の品質レベルを規定するために提供されてよい。
【0025】
他の実施形態によれば、サブリプレゼンテーションは、サブリプレゼンテーションによって記述されたコンテンツに品質値を割り当てる品質メトリック表す属性380を含む。この値は、ピリオド、セグメント、又はサブセグメントに対応してよい規定のタイムラインを通しての品質レベルを定量化してよい。いくつかの実施形態において、この値は、サブリプレゼンテーションの持続期間全体を通しての長期(又は平均)の品質尺度を示してよい。他の実施形態において、複数の品質値の複数のベクトル化セットは、サブリプレゼンテーションの異なる複数のセグメント及び複数のサブセグメントにわたって複数の品質レベルを規定するために提供されてよい。
【0026】
複数のセグメント及び複数のサブセグメントは、それら自体、セグメント、サブセグメント、又は両方のレベルで、より粒度の細かい方法において帯域幅及び品質を記述する属性390を含んでよい。いくつかの実施形態において、帯域幅及び複数の品質レベルは、セグメント又はサブセグメント内の複数のバイトの所与の範囲(バイト幅)に対して規定されてよい。一般的に、品質及び帯域幅属性は、セグメント又はサブセグメントにおける任意のバイト幅、又は複数のセグメント又は複数のサブセグメントにわたる任意のバイト幅に関連付けられ得る。
【0027】
複数の品質属性370、380及び390は、メディアコンテンツの客観的な又は主観的な品質を評価又は比較する複数の品質メトリックの規定の複数の項目である複数の品質値を含む。このコンテキストにおける複数の品質メトリックは、任意の有用なメトリックであってよい。いくつかの例は、以下のメトリックを含む。ビデオMS−SSIM(Multi-Scale Structural SIMilarity)、ビデオMOS(mean opinion score)、複数のビデオ品質メトリック(VQM)、複数の構造的類似性メトリック(SSIM)、ピーク信号対雑音比(PSNR)、複数のビデオ品質メトリックの知覚評価(PEVQ)、及び他の客観的な又は主観的な複数の品質メトリック。
【0028】
新たに導入された複数のMPD属性は、複数の手順を報告するQoEメトリックの一部として用いられてもよい。複数のQoE評価方法、複数の性能メトリック、及び複数の報告プロトコル及び/又は複数のメカニズムは、HTTPストリーミングの配信及び複数のDASHサービスを最適化するために用いられてよい。例えば、QoE監視及びフィードバックは、複数の失敗を検出及びデバックすること、ストリーミング性能を管理すること、(複数のデバイス製造業者に有用であり得る)インテリジェントクライアントアダプテーションを可能にすることのために、及びネットワークオペレータ及びコンテンツ/サービスプロバイダに有用であり得るQoEアウェアネットワークアダプテーション及びサービスプロビジョニングを促進するために有益であり得る。
【0029】
図4は、DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャ400及びクライアント110のための関連するオープンシステムインターコネクション(OSI)通信レイヤ情報422を示す。
図4のクライアントアダプテーションアーキテクチャ400は、後述の
図5に示されるようなDASHのためのクロスレイヤ最適化プラットフォームアダプテーションアーキテクチャを備えてよく、その中でビデオ、トランスポート、及び無線の複数のコンポーネントは、ユーザQoEを最適化するために必要とされる最適な複数のプラットフォーム構成を共同で特定することに対して、協働して情報を交換する。1又は複数の実施形態において、DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャ400は、以下の複数のシステムブロックを備える。無線アダプテーション及びQoSエンジンブロック410は、無線レベルのアダプテーション及び複数のQoSパラメータを判断することが可能である。ネットワークアダプテーション及びQoSエンジンブロック412は、ネットワークレベルのアダプテーション及び複数のQoSパラメータを判断することが可能である。HTTPアクセスクライアントブロック414は、トランスポートレベルハイパーテキスト転送プロトコル/トランスミッションコントロールプロトコル/インターネットプロトコル(HTTP/TCP/IP)動作を処理すること、及び複数のTCP接続を確立及び管理することが可能である。DASH制御エンジンブロック416は、MPDを解析すること、DASHのための複数のストリーミングパラメータ、例えば、
図3に示されるDASHセグメント持続期間の帯域幅又は複数のQoEパラメータ、又は複数のHTTPリクエストのタイミング及びシーケンスを判断することが可能である。メディアアダプテーションエンジン418は、コーデックレベルの複数のアダプテーションパラメータを判断することが可能である。任意選択的なQoEモニタ420は、QoEを動的に測定すること、及びMPDファイルにおいて受信された品質情報と比較することが可能である。
【0030】
1又は複数の実施形態において、DASHクライアントプラットフォーム400は、クロスレイヤ連携を介して、ビデオ、トランスポート、及び/又は無線レベルで連帯して最適化されてよい1つ又はいくつかの構成を有してよく、複数の構成は、以下の複数のパラメータを含む。ビデオレベルの複数のパラメータは、ビデオのビットレート、フレームレート、及び/又は解像度を設定するために利用されてよく、クライアント110の決定は、
図3に示されるMPDファイルの中の複数の品質パラメータに基づいて、複数の要求されたコンテンツリプレゼンテーションをDASHサーバ112からドライブすることが可能である。トランスポートレベルの複数のパラメータは、複数のHTTPリクエストのシーケンス及びタイミング、パラレルなTCP接続の数、及び/又はDASHセグメントの複数の持続期間を設定するために利用されてよい。無線及びネットワークレベルの複数のパラメータは、変調及び符号化スキーム(MCS)、及び/又はコアネットワーク216及び無線アクセスネットワーク218に対する目標の複数のQoSパラメータを設定するために利用されてよい。クロスレイヤ最適化DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャ500は、
図5に示され、以下に説明される。
【0031】
図5をここで参照すると、1又は複数の実施形態に従う、クロスレイヤ最適化DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャのブロック図が説明される。
図5のクロスレイヤ最適化DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャ500は、上記の
図4のDASHクライアントアダプテーションアーキテクチャの構成を最適化することが可能である。1又は複数の実施形態において、クロスレイヤ最適化DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャ500は、以下の複数のパラメータを動的にトラッキングすること、及びクロスレイヤ連携を介してDASHクライアントの複数の構成を共同で適応させることに対する複数の決定のための複数の入力としてそれらを用いることによって、DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャ400の構成を最適化してよいクロスレイヤアダプテーションマネージャ510を含む。測定された複数のQoEパラメータは、VQM、MS−SSIM、SSIM PEVQ、MOS、又は他の客観的な又は主観的な複数の品質メトリックを最適化して確認するために利用されてよい。さらに、測定された複数のビデオレート歪み特性、アプリケーション層での複数のユーザ選択、MPDから取得されたマルチメディア関連情報、現行のQoS可用性及びネットワーク輻輳状態についてのネットワークから受信された情報、スループット、レイテンシ、信頼性などのような測定された動的な複数のQoSパラメータ、無線及びトランスポートレベルでの測定された動的な複数のチャネル/ネットワーク状況、又は電力又はレイテンシの複数の割当量、及びプラットフォームアーキテクチャレベルでの中央処理装置(CPU)/バッファ/メモリの複数の要件を含む追加の複数のパラメータは、最適化されてよい。しかし、これらは、クロスレイヤ最適化DASHクライアントアダプテーションアーキテクチャ500を介して最適化されてよい複数のパラメータの例にすぎない。
【0032】
図6は、1又は複数の実施形態に従うHTTPによる品質アウェア適応型ストリーミングを実装することが可能である情報処理システム600のブロック図を示す。情報処理システム600は、
図1及び
図2に示されて説明されたように、ネットワーク100の複数のネットワーク要素のいずれかのうちの1又は複数を明白に具現化してよい。例えば、情報処理システム600は、特定のデバイス又はネットワーク要素の複数のハードウェア仕様に依存するより多い又はより少ないコンポーネントとともに、クライアント110、eNBウェブサーバ112、及び/又はウェブ/メディアサーバ114のハードウェアを表してよい。情報処理システム600は、いくつかのタイプのコンピューティングプラットフォームの一例を表すが、情報処理システム600は、
図6に示されたものより多い又はより少ない要素及び/又は複数の要素の異なる複数の配置を含んでよい。
【0033】
情報処理システム600は、プロセッサ610及び/又はプロセッサ612などの1又は複数のプロセッサを含み、それは、1又は複数のプロセッシングコアを含んでよい。プロセッサ610、612のうちの1又は複数は、メモリブリッジ614を介して1又は複数のメモリ616、618に結合されてよく、それは、複数のプロセッサ610、612の外部に配置されてよく、又は、代替的に、複数のプロセッサ610、612のうちの1又は複数の内部に少なくとも部分的に配置されてもよい。メモリ616、618は、様々なタイプの半導体ベースのメモリを含んでよく、例えば、揮発性タイプのメモリ及び/又は不揮発性タイプのメモリである。メモリブリッジ614は、情報処理システム600に連結されたディスプレイデバイス(図示されていない)をドライブするグラフィックシステム620に結合してよい。
【0034】
情報処理システム600は、様々なタイプの入出力システムに結合する入出力(I/O)ブリッジ622をさらに含んでよい。入出力システム624は、1又は複数の周辺デバイスを情報処理システム600に結合する、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)タイプシステム、IEEE1394タイプシステム、又はその類のものを含んでよい。バスシステム626は、1又は複数の周辺デバイスを情報処理システム600に接続する、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)エクスプレスタイプバス又はその類のものなどの1又は複数のバスシステムを含んでよい。ハードディスクドライブ(HDD)コントローラシステム628は、1又は複数のハードディスクドライブ又はその類のものを情報処理システムに結合してよく、例えば、複数のシリアルATAタイプドライブ又はその類のもの、又は代替的に、フラッシュメモリを備える半導体ベースのドライブ、相変化及び/又はカルコゲニドタイプメモリ又はその類のものである。スイッチ630は、1又は複数のスイッチデバイスをI/Oブリッジ622に結合するために利用されてよく、例えば、ギガビットイーサネット(登録商標)タイプデバイス又はその類のものである。さらに、
図6に示されるように、情報処理システム600は、他の複数の無線通信デバイスとの及び/又は
図1又は
図2の送信システム100などの複数の無線ネットワークを介した無線通信のための1又は複数のアンテナ634に連結された複数のデバイス及び複数のRF回路を備える無線周波数(RF)送受信機632を含んでよい。情報処理システムが複数のアンテナ634を含む場合、RF受信機632は、多重入出力(MIMO)の複数の通信スキームを実装してよい。UEのコンテキストの中の情報処理システムの例示的な実施形態は、下で
図7に関して示されて説明される。
【0035】
図7は、携帯電話、スマートフォン、タブレットタイプデバイス、又はその類のものとして具現化された
図6の情報処理システム600の等角図である。システム600は、
図1のクライアント110を含み、それは、1又は複数の実施形態に従う、HTTPによる品質アウェア適応型ストリーミングを実装する。情報処理システム600は、1又は複数のプロセッサ610又は612を制御するために、ユーザの指716を介して及び/又はスタイラス718を介して触覚入力制御及び複数のコマンドを受け付けるタッチスクリーン714を含んでよいディスプレイ712を有する筐体710を含んでよい。筐体710は、情報処理システム600の1又は複数のコンポーネントを収容してよく、例えば、1又は複数のプロセッサ610、612、複数のメモリ616、618のうちの1又は複数、又は送受信機632である。情報処理システム600は、物理アクチュエータ領域720をさらに任意選択的に含んでよく、それは、1又は複数のボタン又は複数のスイッチを介して複数の情報処理システムを制御するためのキーボード又は複数のボタンを含んでよい。情報処理システム600は、例えば、セキュアデジタル(SD)カード又は加入者アイデンティティモジュール(SIM)カードの形で、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを受け付けるためのポート又はスロット722を含んでもよい。任意選択的に、情報処理システム600は、1又は複数のスピーカ及びマイク724、情報処理システム600を他の電子デバイスに接続するための接続ポート、ドック、ディスプレイ、バッテリチャージャなどをさらに含んでよい。加えて、情報処理システム600は、ヘッドフォン又はスピーカジャック728、及び筐体710の1又は複数の側面上の1又は複数のカメラ730を含んでよい。
図6及び7の情報処理システム600は、様々な配置において、示されたものより多い又はより少ない要素を含んでよいことに留意するべきである。
【0036】
いくつかの実施形態において、情報処理システムは、ネットワークを通じた品質アウェア適応型メディアストリーミングをサポートする無線ネットワークデバイスを含み、無線ネットワークデバイスは、マニフェストファイルを受信する無線周波数送受信機を含む。
図3を参照して上で説明されたように、マニフェストファイルは、メディアコンテンツの異なる複数のバージョンに対応する複数のリプレゼンテーションレベルを含むアダプテーションセットレベルを定義する階層的構造である。各リプレゼンテーションレベルは、複数のセグメントレベルを含み、各セグメントレベルは、複数のサブセグメントレベルを含む。情報処理システム600は、HTTP適応型ストリーミング(例えば、DASH)に利用可能なメディアコンテンツの複数のエンコード部分を特徴付ける情報を読み出すために、マニフェストファイルを解析するように構成された回路(例えば、複数のプロセッサ610又は612)を有し、その中のマニフェストファイルは、MPDファイルである。情報処理システム600は、マニフェストファイルから解析された品質属性をMPDファイルの一部から取得する。品質属性は、メディアコンテンツの複数のエンコード部分に関連する複数のビデオ品質値を規定する品質情報を含む。情報処理システム600は、また、メディアコンテンツの複数のエンコード部分に関連する複数のビットレート値を規定する帯域幅情報を、マニフェストファイルから解析された帯域幅属性から取得する。情報処理システム600は、帯域幅情報及び品質情報に基づいて、無線周波数送受信機を介して無線ネットワークデバイスにストリーミングするためのメディアコンテンツの第1のエンコード部分を選択する。情報処理システム600は、所望のビデオ品質値を上回る又は下回るメディアコンテンツの第1のエンコード部分に関連する品質情報に応じて、メディアコンテンツの第2のエンコード部分に動的に切り替わり、所望のビデオ品質値において、メディアコンテンツの第2のエンコード部分に関連する帯域幅情報は、第2のエンコード部分のビットレート値がネットワークの帯域幅能力を上回らないことを示す。
【0037】
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に対して多くの変化がなされてよいことが当業者に理解されるだろう。したがって、本発明の範囲は、以下の請求項によってのみ判断されるべきである。