特許第6015937号(P6015937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015937
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】高耐擦傷性インプリント材料
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20161013BHJP
   C08F 20/28 20060101ALI20161013BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20161013BHJP
   C08F 299/02 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   C08F20/28
   C08F2/50
   C08F299/02
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-511640(P2012-511640)
(86)(22)【出願日】2011年4月15日
(86)【国際出願番号】JP2011059420
(87)【国際公開番号】WO2011132616
(87)【国際公開日】20111027
【審査請求日】2014年4月7日
(31)【優先権主張番号】特願2010-96300(P2010-96300)
(32)【優先日】2010年4月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓
(72)【発明者】
【氏名】首藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正睦
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−186570(JP,A)
【文献】 特開2008−019292(JP,A)
【文献】 特開2010−018753(JP,A)
【文献】 特開平11−080293(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/125970(WO,A1)
【文献】 特開2007−297516(JP,A)
【文献】 特開2008−165040(JP,A)
【文献】 特開平10−182745(JP,A)
【文献】 特開2008−202022(JP,A)
【文献】 特開2010−218605(JP,A)
【文献】 特開2011−090775(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/024673(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00 −19/44 、
C08F 2/00 − 2/60 、 6/00 −246/00、
283/01、290/00−290/14、
299/00−301/00、
G03C 3/00 、
G03F 7/004− 7/04 、 7/06 、
7/075− 7/115、 7/16 − 7/18 、
H01L21/027、21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:炭素原子数2のアルキレンオキサイドユニットを有し且つ重合性基を少なくとも2つ有する化合物、
(B)成分:光重合開始剤、及び
(C)成分:界面活性剤を含み、
前記化合物は、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートまたはこれらの組み合わせであり、そして
該(B)成分の含有量は、該(A)成分及び該(B)成分の総質量に対して0.5phr乃至30phrである、インプリント材料。
【請求項2】
前記(A)成分の分子量に対する前記(A)成分中のアルキレンオキサイドユニットの分子量の割合が7%以上80%以下である請求項1に記載のインプリント材料。
【請求項3】
前記(A)成分のほかに、(A’)成分として重合性基を少なくとも2つ有し且つ炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有さない化合物を更に含有する、請求項1に記載のインプリント材料。
【請求項4】
前記(A’)成分と(A)成分の合計100質量部に対する前記(A)成分の割合は10質量部以上100質量部未満である、請求項3に記載のインプリント材料。
【請求項5】
(D)成分として溶剤を更に含有する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のインプリント材料。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のインプリント材料を基材に塗布して膜を形成する工程、及び
光インプリント装置を用いて、形成された前記膜に、パターンが形成されたモールドを接触させ、そして該膜を加圧するとともに光硬化させ、その後離型することにより、前記パターンが転写された膜を作製する工程、を含む、
パターン転写膜の作製方法。
【請求項7】
請求項6に記載のパターン転写膜を基材上に備えた部材を使用する固体撮像装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載のパターン転写膜を基材上に備えた部材を使用するLEDデバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載のパターン転写膜を基材上に備えた部材を使用する太陽電池の製造方法。
【請求項10】
請求項6に記載のパターン転写膜を基材上に備えた部材を使用するディスプレイの製造方法。
【請求項11】
請求項6に記載のパターン転写膜を基材上に備えた部材を使用する電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント材料、及び当該材料から作製され、パターンが転写された膜に関する。より詳しくは、パターンが転写された後も高い耐擦傷性を有するインプリント材料、並びに当該材料から作製され、パターンが転写された膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1995年、現プリンストン大学のチョウ教授らがナノインプリントリソグラフィという新たな技術を提唱した(特許文献1)。ナノインプリントリソグラフィは、任意のパターンを有する、モールドを樹脂膜が形成された基材と接触させ、当該樹脂膜を加圧すると共に、熱または光を外部刺激として用い、目的のパターンを硬化された当該樹脂膜に形成する技術であり、このナノインプリントリソグラフィは、従来の半導体デバイス製造における光リソグラフィ等に比べて簡便・安価にナノスケールの加工が可能であるという利点を有する。
したがって、ナノインプリントリソグラフィは、光リソグラフィ技術に代わり、半導体デバイス、オプトデバイス、ディスプレイ、記憶媒体、バイオチップ等の製造への適用が期待されている技術であることから、ナノインプリントリソグラフィに用いる光ナノインプリントリソグラフィ用硬化性組成物について様々な報告がなされている(特許文献2、特許文献3)。
【0003】
しかし、これまでにナノインプリントリソグラフィに用いる材料(以下、本明細書では「インプリント材料」と表現する。)として種々の材料が開示されているものの、凹凸パターン等の構造物を作製した後に擦傷性試験を行い、その結果高い耐擦傷性を保持していることを示した材料の報告はなされているとはいえない。一方で、固体撮像装置、太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイなどの製品では、その内部または表面に作製した構造物に対して耐擦傷性を求められることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5772905号明細書
【特許文献2】特開2008−105414号公報
【特許文献3】特開2008−202022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、パターンが転写された後も高い耐擦傷性を有するインプリント材料を提供することであり、当該材料から作製され、パターンが転写された膜を提供することである。具体的には、パターンを転写した後の膜に対してスチールウール擦傷試験を行ったときに傷の本数が10本以下のインプリント材料を提供することを目的とする。
また、本明細書では、形成されるパターンサイズがナノメートルオーダーに限らず、例えば、マイクロメートルオーダーである場合を含む光ナノインプリント技術を光インプリントと称する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
膜の耐擦傷性を向上させるために、その膜の硬度を高めること、またはその膜の表面の滑り性を高めることが考えられる。本発明者らは、凹凸構造等のパターンを有する膜では、その膜の硬度を高めるよりも、その膜の表面の滑り性を高める方が、傷が形成されにくいことを見出した結果、炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有し且つ重合性基を有する化合物、及び光重合開始剤を使用することにより本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)成分:炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有し且つ重合性基を少なくとも2つ有する化合物、及び
(B)成分:光重合開始剤
を含むインプリント材料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のインプリント材料では、分子内に炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有し且つ重合性基を少なくとも2つ有する化合物を使用しているため、当該インプリント材料から作製され、パターンが転写された膜は、そのパターン上でスチールウール擦傷試験を行っても傷の発生が10本以下であり、傷が50本以上発生していた従来の膜よりもはるかに少ない。
本発明のインプリント材料は、光硬化が可能であり、且つモールドの離型時にパターンの一部の剥がれが生じないため、所望のパターンが正確に形成された膜が得られる。したがって、良好な光インプリントのパターン形成が可能である。
また、本発明のインプリント材料は、任意の基材上に製膜することができ、インプリント後に形成される、パターンが転写された膜は、固体撮像装置、太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイなどの、耐擦傷性が求められる部材を使用する製品(電子デバイス)へ好適に用いることができる。
さらに、本発明のインプリント材料は、上記(A)成分の化合物の種類及び含有割合を変更することで、硬化速度、動的粘度、膜厚をコントロールすることができる。したがって、本発明のインプリント材料は、製造するデバイス種と露光プロセス及び焼成プロセスの種類に対応した材料の設計が可能であり、プロセスマージンを拡大できるため、光学部材の製造に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有し且つ重合性基を少なくとも2つ有する化合物を使用することで、パターン転写後の膜へ耐擦傷性を付与した点に特徴があり、すなわち(A)炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有し且つ重合性基を少なくとも2つ有する化合物及び(B)光重合開始剤を含むインプリント材料である。さらに、(A)成分及び(B)成分に加えて、(A´)成分として、重合性基を少なくとも2つ有し且つ炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有さない化合物、(C)成分として界面活性剤及び(D)成分として溶剤からなる群から選ばれる1以上の成分をも含有することのできるインプリント材料である。
以下、各成分について詳細に説明する。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分である、炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有し且つ重合性基を少なくとも2つ有する化合物とは、1分子内に例えばエチレンオキサイドユニットまたはプロピレンオキサイドユニットを1つ以上有し且つ重合性基を分子末端に2つ以上有する化合物を表す。また、上記重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイルオキシ基及びメタアクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機基のことを指す。ここで、アクリロイルオキシ基はアクリロキシ基と、メタアクリロイルオキシ基はメタアクリロキシ基と表現されることがある。
【0010】
上記(A)成分である化合物としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化グリセリントリメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリグリセリンモノエチレンオキサイドポリアクリレート、ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート等が挙げられる。
【0011】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、NKエステルA−200、同A−400、同A−600、同A−1000、同1G、同2G、同3G、同4G、同9G、同14G、同23G、同ABE−300、同A−BPE−4、同A−BPE−6、同A−BPE−10、同A−BPE−20、同A−BPE−30、同BPE−80N、同BPE−100N、同BPE−200、同BPE−500、同BPE−900、同BPE−1300N、同A−GLY−3E、同A−GLY−9E、同A−GLY−20E、同A−TMPT−3EO、同A−TMPT−9EO、同ATM−4E、同ATM−35E(以上、新中村化学工業株式会社製)、KAYARAD(登録商標)DPEA−12、同PEG400DA、同THE−330、同RP−1040(以上、日本化薬株式会社製)、M−210、M−350(以上、東亞合成株式会社製)、等を挙げることができる。
【0012】
上記(A)成分である化合物は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0013】
<(A´)成分>
(A´)成分として、重合性基を少なくとも2つ有し且つ炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有さない化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等を挙げることができる。
【0014】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、KAYARAD(登録商標)DPHA、同NPGDA、同PET30(以上、日本化薬株式会社製)、NKエステルA−DPH、同A−TMPT、同A−DCP、同A−HD−N、同TMPT、同DCP、同NPG、同HD−N(以上、新中村化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0015】
本発明に含まれる(A)成分は、パターン転写後の膜に対して耐擦傷性を付与することができる。炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットの含有量については、分子量計算において1分子あたりの炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニット濃度が7%以上80%以下、好ましくは20%以上80%以下、より好ましくは22%以上78%以下である。炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニット濃度が7%より小さいと、そのような(A)成分を含むインプリント材料から作製され、パターンが転写された膜は、耐擦傷性に劣る場合がある。ここでアルキレンオキサイドユニット濃度とは、(A)成分の分子量に対するその(A)成分のアルキレンオキサイドユニットの分子量の割合を表す。本発明に含まれる(A)成分が2種以上の化合物からなる場合、及び本発明が(A)成分に加えて(A´)成分を含む場合は、後述する式(1)または式(2)を適用した、炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニット濃度が7%以上80%以下、好ましくは20%以上80%以下、より好ましくは22%以上78%以下である。また、本発明が(A)成分に加えて(A´)成分を含む場合、(A)成分と(A´)成分の合計100質量部に対する(A)成分の割合は、10質量部以上100質量部未満であることが好ましい。(A)成分の割合が10質量部より小さいと、当該(A)成分及び(A´)成分を含むインプリント材料から作製され、パターンが転写された膜は、耐擦傷性に劣る場合がある。
【0016】
例えば、(A)成分である化合物Aをx質量%(xは0<x≦100を満たす正数)及び(A´)成分である化合物Bを(100−x)質量%含む場合の、アルキレンオキサイドユニット濃度(%)は、下記式(1)で表される。ただし、化合物Aのアルキレンオキサイドユニット1個当たりの分子量をMO、化合物Aの1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数nA、化合物A及びBの分子量をそれぞれMA,MBとする。x=100の場合は、(A´)成分を含まないことを意味する。
100(MO×nA×x)/{(MA×x)+〔MB×(100−x)〕}・・・(1)
一方、(A)成分が化合物A1及びA2から成り、当該化合物A1をx質量%(xは0<x≦100を満たす正数)及び化合物A2を(100−x)質量%含む場合の、アルキレンオキサイドユニット濃度(%)は、下記式(2)で表される。ただし、化合物A1及びA2のアルキレンオキサイドユニット1個当たりの分子量をそれぞれMO1,MO2、化合物A1及びA2の1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数をそれぞれnA1,nA2、化合物A1及びA2の分子量をそれぞれMA1,MA2とする。x=100の場合は、(A)成分が化合物A1から成り化合物A2を含まないことを意味する。
100{(MO1×nA1×x)+〔MO2×nA2×(100−x)}/{(MA1×x)+〔MA2×(100−x)〕}・・・(2)
なお、炭素原子数2のアルキレンオキサイドユニットは(−C24−O−)で表され、代表的にはエチレンオキサイドユニット(以下、本明細書では「EO」と略称する。)であり、その分子量MOとして44を適用すればよい。炭素原子数3のアルキレンオキサイドユニットは(−C36−O−)で表され、代表的にはプロピレンオキサイドユニットであり、その分子量MOとして58を適用すればよい。
【0017】
<(B)成分>
(B)成分である光重合開始剤としては、例えば、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルジオキシ)バレレート、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルジペルオキシイソフタレート等の有機過酸化物、9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン誘導体、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等の光ラジカル発生剤が挙げられるが、光硬化時に使用する光源に吸収をもつものであれば、特に限定されない。
【0018】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、IRGACURE(登録商標)651、同184、同500、同2959、同127、同754、同907、同369、同379、同379EG、同819、同819DW、同1800、同1870、同784、同OXE01、同OXE02、同250、DAROCUR(登録商標)1173、同MBF、同TPO、同4265(以上、BASFジャパン株式会社製)、KAYACURE−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬株式会社製)、VICURE−10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、ESACURE KIP150、同TZT、同1001、同KTO46、同KB1、同KL200、同KS300、同EB3、トリアジン−PMS、トリアジンA、トリアジンB(以上、日本シイベルヘグナー株式会社製)、アデカオプトマ−N−1717、同N−1414、同N−1606(株式会社ADEKA(旧旭電化工業株式会社)製)等が挙げられる。
【0019】
上記光重合開始剤は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0020】
本発明のインプリント材料における(B)成分の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に対して、0.5phr乃至30phrであることが好ましく、1phr乃至20phrであることがより好ましい。この割合が0.1phr以下の場合には、十分な硬化性が得られず、パターニング特性の悪化及び耐擦傷性の低下が起こるからである。ここで、phrとは、(A)成分及び(B)成分の総質量100gに対する、光重合開始剤の質量を表す。
【0021】
<(C)成分>
本発明のインプリント材料は(C)成分として界面活性剤を含有しても良い。(C)成分である界面活性剤を含む場合は、得られる塗膜の製膜性を調整する役割を果たす。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェ二ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社)、メガファック(登録商標)F171、同F173、同R−08、同R−30(DIC株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)、BYK(登録商標)−302、同−307、同−322、同−323、同−330、同−333、同−370、同−375、同−378、同−UV3500、同−UV3570(ビックケミー・ジャパン株式会社製)等を挙げることができる。
【0022】
上記界面活性剤は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。界面活性剤が使用される場合、その割合は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に対して、好ましくは0.01phr乃至20phr、より好ましくは0.01phr乃至10phrである。
【0023】
<(D)成分>
本発明のインプリント材料は(D)成分として溶剤を含有しても良い。(D)成分である溶剤を含む場合は、(A)成分である化合物の粘度調節の役割を果たす。本発明の場合、溶剤の使用は任意であるが、通常は溶剤を必要としない。
【0024】
上記溶剤としては、例えば、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、スチレン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコ−ルジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピルケトン、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、アリルアルコール、n−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、イソブタノール、n−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、1−メトキシ−2−ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフリフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N−シクロヘキシル−2−ピロリジン等が挙げられ、上記(A)成分の粘度を調節することができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0025】
しかし、(A)成分である化合物及び(B)成分である光重合開始剤との相溶性の観点から、好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、シクロヘキサノン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル等である。
【0026】
上記溶剤は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0027】
本発明のインプリント材料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、エポキシ化合物、光酸発生剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着補助剤及び離型性向上剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を更に含有することができる。
【0028】
上記エポキシ化合物は、エポキシ基またはオキシラン環を少なくとも1つ有する化合物であり、例えば、エポリード(登録商標)GT−401、同PB3600、セロキサイド(登録商標)2021P、同2000、同3000、EHPE3150、EHPE3150CE、サイクロマー(登録商標)M100(以上、ダイセル化学工業株式会社製)、EPICLON(登録商標)840、同840−S、同N−660、同N−673−80M(以上、DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0029】
上記光酸発生剤としては、IRGACURE(登録商標)PAG103、同PAG108、同PAG121、同PAG203、同CGI725(以上、BASFジャパン株式会社製)、WPAG−145、WPAG−170、WPAG−199、WPAG−281、WPAG−336、WPAG−367(以上、和光純薬工業株式会社製)、TFE−トリアジン、TME−トリアジン、MP−トリアジン、ジメトキシトリアジン、TS−91、TS−01(株式会社三和ケミカル製)等が挙げられる。
【0030】
上記光増感剤としては、例えば、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3−置換クマリン系、3,4−置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、ケトクマリン系、フマリン系、ボレート系等が挙げられる。
【0031】
上記光増感剤は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。当該光増感剤を用いることによって、UV領域の波長を調整することもできる。
【0032】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、TINUVIN(登録商標)PS、同99−2、同109、同328、同384−2、同400、同405、同460、同477、同479、同900、同928、同1130、同111FDL、同123、同144、同152、同292、同5100、同400−DW、同477−DW、同99−DW、同123−DW、同5050、同5060、同5151(以上、BASFジャパン株式会社)等が挙げられる。
【0033】
上記紫外線吸収剤は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。当該紫外線吸収剤を用いることによって、光硬化時に膜の最表面の硬化速度を制御することができ、離型性を向上できる場合がある。
【0034】
上記酸化防止剤としては、例えば、IRGANOX(登録商標)1010、同1035、同1076、同1135、同1520L(以上、BASFジャパン株式会社)等が挙げられる。
【0035】
上記酸化防止剤は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。当該酸化防止剤を用いることで、酸化によって膜が黄色に変色することを防止することができる。
【0036】
上記密着補助剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。当該密着補助剤を用いることによって、基材との密着性が向上する。当該密着補助剤の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に対して、好ましくは5phr乃至50phr、より好ましくは10phr乃至50phrである。
【0037】
上記離型性向上剤としては、シリコーンユニット含有化合物またはフッ素含有化合物が挙げられる。シリコーンユニット含有化合物としては、X−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E、X−22−163、X−22−169AS、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−9002、X−22−2475、X−22−4952、KF−643、X−22−343、X−22−2046(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。フッ素含有化合物としては、R−5410、R−1420、M−5410、M−1420、E−5444、E−7432、A−1430、A−1630(以上ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
【0038】
本発明のインプリント材料の調製方法は、特に限定されないが、(A)成分、(A´)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分が均一に混合した状態であれば良い。また、(A)成分乃至(D)成分を混合する際の順序は、均一な溶液が得られるなら問題なく、特に限定されない。当該調製方法としては、例えば、(A)成分に(B)成分を所定の割合で混合する方法等が挙げられる。また、これに更に(C)成分及び(D)成分を混合し、均一な溶液とする方法等も挙げられる。さらに、この調製方法の適当な段階において、必要に応じて、その他の添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0039】
また、(D)成分である溶剤を用いる場合には、光照射前の膜及び光照射後の膜の少なくとも一方に対し、溶剤を蒸発させる目的で、焼成しても良い。焼成機器としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレート、オーブン、ファーネスを用いて、適切な雰囲気下、すなわち大気、窒素等の不活性ガス、真空中等で焼成することができるものであればよい。焼成温度は、溶媒を蒸発させる目的では、特に限定されないが、例えば、40℃乃至200℃で行うことができる。
【0040】
本発明のインプリント材料は、基材に塗布し光硬化することで所望の膜を得ることができる。塗布方法としては、公知または周知の方法、例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等を挙げることができる。
【0041】
本発明のインプリント材料を塗布するための基材としては、例えば、シリコン、インジウム錫酸化物(ITO)が製膜されたガラス(ITO基板)、シリコンナイトライド(SiNが製膜されたガラス(SiN基板)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)が製膜されたガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリル、プラスチック、ガラス、石英、セラミックス等からなる基材を挙げることができる。また、可撓性を有するフレキシブル基材を用いることも可能である。
【0042】
本発明のインプリント材料を硬化させる光源としては、特に限定されないが、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrFエキシマーレーザー、ArFエキシマーレーザー、F2エキシマーレーザー、電子線(EB)、極端紫外線(EUV)等を挙げることができる。また、波長は、一般的には、436nmのG線、405nmのH線、365nmのI線、またはGHI混合線を用いることができる。さらに、露光量は、好ましくは、30乃至2000mJ/cm2、より好ましくは30乃至1000mJ/cm2である。
【0043】
光インプリントを行う装置は、目的のパターンが得られれば、特に限定されないが、例えば、東芝機械株式会社のST50、Obducat社製のSindre(登録商標)60、明昌機構株式会社製のNM−0801HB等の市販されている装置を用いることができる。
【0044】
本発明で用いる光インプリント用に使用するモールド材としては、例えば、石英、シリコン、ニッケル、アルミナ、カルボニルシラン、グラッシーカーボン等を挙げることができるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。また、モールドは、離型性を高めるために、その表面にフッ素系化合物等の薄膜を形成する離型処理を行っても良い。離型処理に用いる離型剤としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)HD等が挙げられるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。
【0045】
光インプリントのパターンは、目的の電子デバイスに適合したパターンを選択すればよく、パターンサイズもこれに準ずる。パターンサイズは、例えば、ナノメートルオーダー及びマイクロメートルオーダーである。
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
【0047】
[膜形成用塗布液の調製]
<実施例1>
KAYARAD(登録商標)DPEA−12(日本化薬株式会社製、分子量:1080)(以下、本明細書では「DPEA−12」と略称する。)5gにDAROCUR(登録商標)1173(BASFジャパン株式会社製)(以下、本明細書では「DAROCUR1173」と略称する。)を1g(DPEA−12の総質量に対して20phr)加え、インプリント材料PNI−A1を調製した。本実施例において、DPEA−12は(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EO(エチレンオキサイドユニット)が12個である。DAROCUR1173は(B)成分に該当する。
【0048】
<実施例2>
実施例1のDPEA−12をNKエステルATM−4E(新中村化学工業株式会社製、分子量:529)(以下、本明細書では「ATM−4E」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−A2を調製した。本実施例において、ATM−4Eは(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EOが4個である。
【0049】
<実施例3>
実施例1のDPEA−12をNKエステルA−TMPT−3EO(新中村化学工業株式会社製、分子量:428)(以下、本明細書では「A−TMPT−3EO」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−A3調製した。本実施例において、A−TMPT−3EOは(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EOが3個である。
【0050】
<実施例4>
実施例1のDPEA−12をNKエステルA−TMPT−9EO(新中村化学工業株式会社製、分子量:692)(以下、本明細書では「A−TMPT−9EO」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−A4を調製した。本実施例において、A−TMPT−9EOは(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EOが9個である。
【0051】
<実施例5>
実施例1のDPEA−12をNKエステルA−BPE−20(新中村化学工業株式会社製、分子量:1216)(以下、本明細書では「A−BPE−20」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−A5を調製した。本実施例において、A−BPE−20は(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EOが17個である。
【0052】
<実施例6>
実施例1のDPEA−12をNKエステルA−BPE−10(新中村化学工業株式会社製、分子量:776)(以下、本明細書では「A−BPE−10」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−A6を調製した。本実施例において、A−BPE−10は(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EOが10個である。
【0053】
<実施例7>
実施例1のDPEA−12をNKエステルA−BPE−4(新中村化学工業株式会社製、分子量:512)(以下、本明細書では「A−BPE−4」と略称する)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−A7を調製した。本実施例において、A−BPE−4は(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EOが4個である。
【0054】
<実施例8>
実施例1のDPEA−12をNKエステルA−400(新中村化学工業株式会社製、分子量:508)(以下、本明細書では「A−400」と略称する)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−A8を調製した。本実施例において、A−400は(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EOが9個である。
【0055】
<実施例9>
実施例1のDPEA−12をNKエステルA−200(新中村化学工業株式会社製、分子量:308)(以下、本明細書では「A−200」と略称する)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−A9を調製した。本実施例において、A−200は(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EOが4個である。
【0056】
<実施例10>
実施例1のDPEA−12をNKエステル1G(新中村化学工業株式会社製、分子量:198)(以下、本明細書では「1G」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−A10を調製した。本実施例において、1Gは(A)成分に該当し、その1分子当たりのアルキレンオキサイドユニットの数は、EOが1個である。
【0057】
<実施例11>
KAYARAD(登録商標)DPHA(日本化薬株式会社製、分子量:552)(以下、本明細書では「DPHA」と略称する。)4.5gにA−400を0.5g(DPHAとA−400の合計100質量部の内、10質量部)、DAROCUR1173を1g(DPHA及びA−400の総質量に対して20phr)を加え、インプリント材料PNI−A11を調製した。本実施例及び後述する実施例12乃至17において、A−400は(A)成分に該当し、DPHAは炭素原子数2または3のアルキレンオキサイドユニットを有さない(A´)成分に該当し、DAROCUR1173は(B)成分に該当する。
【0058】
<実施例12>
DPHA4gにA−400を1g(DPHAとA−400の合計100質量部の内、20質量部)、DAROCUR1173を1g(DPHA及びA−400の総質量に対して20phr)を加え、インプリント材料PNI−A12を調製した。
【0059】
<実施例13>
DPHA3.5gにA−400を1.5g(DPHAとA−400の合計100質量部の内、30質量部)、DAROCUR1173を1g(DPHA及びA−400の総質量に対して20phr)を加え、インプリント材料PNI−A13を調製した。
【0060】
<実施例14>
DPHA2.5gにA−400を2.5g(DPHAとA−400の合計100質量部の内、50質量部)、DAROCUR1173を1g(DPHA及びA−400の総質量に対して20phr)を加え、インプリント材料PNI−A14を調製した。
【0061】
<実施例15>
DPHA1.5gにA−400を3.5g(DPHAとA−400の合計100質量部の内、70質量部)、DAROCUR1173を1g(DPHA及びA−400の総質量に対して20phr)を加え、インプリント材料PNI−A15を調製した。
【0062】
<実施例16>
DPHA1gにA−400を4g(DPHAとA−400の合計100質量部の内、80質量部)、DAROCUR1173を1g(DPHA及びA−400の総質量に対して20phr)を加え、インプリント材料PNI−A16を調製した。
【0063】
<実施例17>
DPHA0.5gにA−400を4.5g(DPHAとA−400の合計100質量部の内、90質量部)、DAROCUR1173を1g(DPHA及びA−400の総質量に対して20phr)を加え、インプリント材料PNI−A17を調製した。
【0064】
<実施例18>
A−TMPT−9EO2.5gにエポリード(登録商標)GT−401(ダイセル化学工業(株)製、分子量:675)(以下、本明細書では「GT−401」と略称する。)を2.5g、DAROCUR1173を0.5g(A−TMPT−9EOに対して20phr)、IRGACURE PAG103を0.1g(GT−401に対して4phr)を加え、インプリント材料PNI−A18を調製した。本実施例において、A−TMPT−9EOは(A)成分に該当し、GT−401は必要に応じて含有することができるエポキシ化合物に該当し、DAROCUR1173は(B)成分に該当し、IRGACURE PAG103は必要に応じて含有することができる光酸発生剤に該当する。
【0065】
<比較例1>
実施例1のDPEA−12をDPHAに変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B1を調製した。本比較例において、DPHAは(A´)成分に該当する。
【0066】
<比較例2>
実施例1のDPEA−12をNKエステルA−DPH(新中村化学工業株式会社製)(以下、本明細書では「A−DPH」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B2を調製した。本比較例において、A−DPHは(A´)成分に該当する。
【0067】
<比較例3>
実施例1のDPEA−12をNKエステルA−TMPT(新中村化学工業株式会社製)(以下、本明細書では「A−TMPT」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B3を調製した。本比較例において、A−TMPTは(A´)成分に該当する。
【0068】
<比較例4>
実施例1のDPEA−12をKAYARAD(登録商標)PET−30(日本化薬株式会社製)(以下、本明細書では「PET−30」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B4を調製した。本比較例において、PET−30は(A´)成分に該当する。
【0069】
<比較例5>
実施例1のDPEA−12をペンタエリスリトールトリアクリレート(アルドリッチ社製)(以下、本明細書では「PTA」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B5を調製した。本比較例において、PTAは(A´)成分に該当する。
【0070】
<比較例6>
実施例1のDPEA−12をKAYARAD(登録商標)NPGDA(日本化薬株式会社製)(以下、本明細書では「NPGDA」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B6を調製した。本比較例及び後述する比較例7乃至13において、NPGDAは(A´)成分に該当する。
【0071】
<比較例7>
実施例11のA−400をNPGDAに変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B7を調製した。
【0072】
<比較例8>
実施例12のA−400をNPGDAに変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B8を調製した。
【0073】
<比較例9>
実施例13のA−400をNPGDAに変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B9を調製した。
【0074】
<比較例10>
実施例14のA−400をNPGDAに変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B10を調製した。
【0075】
<比較例11>
実施例15のA−400をNPGDAに変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B11を調製した。
【0076】
<比較例12>
実施例16のA−400をNPGDAに変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B12を調製した。
【0077】
<比較例13>
実施例17のA−400をNPGDAに変更した以外は、実施例1と同様にインプリント材料PNI−B13を調製した。
【0078】
[光インプリント]
インプリント装置は、NM−0801HB(明昌機構株式会社製)を使用した。実施例1乃至実施例18並びに比較例1乃至比較例13で調製したインプリント材料から作製した各光インプリント用膜をパターニング試験した。用いたモールドはシリコン製であり、パターンは100nmのラインアンドスペースパターン(以下、本明細書では「L/S」と略称する。)及び直径100nmのドットパターン(以下、本明細書では「Dot」と略称する。)の2種類を使用した。モールドは事前にオプツール(登録商標)HD(ダイキン工業株式会社製)に浸漬し、温度が90℃、湿度が90RH%の高温高湿装置を用いて1時間処理し、純水でリンス後、エアーで乾燥させたものを使用した。
【0079】
[スチールウール擦傷試験]
試験機は大栄精機(有)製を使用し、♯0000のスチールウールを使用した。荷重は82gとし、そのスチールウールを10往復させた。
擦傷後の傷本数について以下のように示した結果を表1に示す。
0〜5本:A
6〜10本:B
11〜20本:C
21〜30本:D
31〜40本:E
41本以上:F
【0080】
実施例1で得たPNI−A1をガラス基板上にスピンコートし、シリコン製モールドを接着させた状態で、光インプリント装置に設置した。光インプリントは、常時23℃の条件で、a)10秒間かけて1000Nまで加圧、b)高圧水銀ランプを用いて500mJ/cm2の露光、c)10秒間かけて除圧、d)モールドと基板を分離して離型、というシーケンスで行い、L/S及びDotが転写された膜をそれぞれ得た。そしてそれぞれの膜について、スチールウール擦傷試験を行った。このとき、L/Sについてはラインと垂直方向に擦傷試験を行った。そして試験後の傷本数を観察した。
【0081】
実施例2で得たPNI−A2を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0082】
実施例3で得たPNI−A3を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0083】
実施例4で得たPNI−A4を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0084】
実施例5で得たPNI−A5を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0085】
実施例6で得たPNI−A6を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0086】
実施例7で得たPNI−A7を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0087】
実施例8で得たPNI−A8を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0088】
実施例9で得たPNI−A9を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0089】
実施例10で得たPNI−A10を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0090】
実施例11で得たPNI−A11を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0091】
実施例12で得たPNI−A12を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0092】
実施例13で得たPNI−A13を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0093】
実施例14で得たPNI−A14を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0094】
実施例15で得たPNI−A15を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0095】
実施例16で得たPNI−A16を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0096】
実施例17で得たPNI−A17を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0097】
実施例18で得たPNI−A18を使用した以外は上記と同様の方法で、光インプリントを行った。そしてL/S及びDotが転写された膜についてそれぞれ100℃で2分間の焼成を行った後にスチールウール擦傷試験を行った。
【0098】
比較例1で得たPNI−B1を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0099】
比較例2で得たPNI−B2を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0100】
比較例3で得たPNI−B3を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0101】
比較例4で得たPNI−B4を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0102】
比較例5で得たPNI−B5を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0103】
比較例6で得たPNI−B6を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0104】
比較例7で得たPNI−B7を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0105】
比較例8で得たPNI−B8を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0106】
比較例9で得たPNI−B9を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0107】
比較例10で得たPNI−B10を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0108】
比較例11で得たPNI−B11を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0109】
比較例12で得たPNI−B12を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0110】
比較例13で得たPNI−B13を使用した以外は上記実施例1で得たインプリント材料を用いた方法と同様の方法で、光インプリント及びスチールウール擦傷試験を行った。
【0111】
【表1】
【表2】
【0112】
表1の結果から、実施例1乃至実施例18はいずれもスチールウール擦傷試験後に発生する傷の本数は10本以下であり、耐擦傷性が確認された。一方、比較例1乃至比較例13はいずれも傷が多数発生し、十分な耐擦傷性は見られなかった。以上の結果から、本発明のインプリント材料を基材に塗布して得られる膜は、インプリント後も耐擦傷性を有するものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明のインプリント材料から得られる膜は、固体撮像装置(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)、太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイ(液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等)などの、耐擦傷性が求められる部材を使用する製品(電子デバイス)へ好適に用いることができる。