(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。本発明の態様として示す紫外レーザ装置LS(LS1〜LS4)のブロック図を
図1に示す。紫外レーザ装置LSは、波長が1800〜2000nmの帯域にある赤外レーザ光La(La
1,La
2)を出力するレーザ光出力部1、レーザ光出力部1から出力された赤外レーザ光Laを深紫外レーザ光Loに波長変換して出力する波長変換部3、レーザ光出力部1及び波長変換部3の作動を制御する制御部8などを備えて構成される。赤外レーザ光La(La
1,La
2)の具体的な波長は、紫外レーザ装置LSから出力する深紫外レーザ光Loの波長、波長変換部3の構成等に応じて設定することができる。
【0018】
波長変換部3には、複数の波長変換光学素子、集光レンズ、ミラー等からなる波長変換光学系30が設けられている。波長変換光学系30は、レーザ光出力部1から出力された赤外レーザ光La(La
1)が入射する第1波長変換光学系30aと、レーザ光出力部1から出力された赤外レーザ光La(La
2)及び第1波長変換光学系30aの出力光が入射する第2波長変換光学系30bとから構成される。
【0019】
第1波長変換光学系30aには3つの波長変換光学素子31,32,33が設けられる。レーザ光出力部1から出力された赤外レーザ光La(La
1)は、これらの波長変換光学素子31,32,33を透過する過程で順次波長変換され、赤外レーザ光La(La
1)の第8高調波である第1紫外レーザ光Lv
1が発生する。
【0020】
第2波長変換光学系30bには2つの波長変換光学素子35,36が設けられる。波長変換光学素子35では、第1波長変換光学系30aから出力された第1紫外レーザ光Lv
1と、レーザ光出力部1から出力された赤外レーザ光La(La
2)との和周波発生により第2紫外レーザ光Lv
2が発生する。波長変換光学素子36では、波長変換光学素子35で発生した第2紫外レーザ光Lv
2と、波長変換光学素子35を透過した赤外レーザ光La(La
2)との和周波発生により波長が200nm以下の深紫外レーザ光Loが発生し、紫外レーザ装置LSから出力される。このように構成される紫外レーザ装置LSにおいては、重ね合わせが僅か一回の簡明な構成で深紫外レーザ光を出力させることができる。
【0021】
以下、紫外レーザ装置LSの具体的な構成について、第1構成形態の紫外レーザ装置LS1の概要を示す
図2を参照して説明する。各図において、光路上に楕円形で示すものはコリメータレンズや集光レンズであり個々の説明を省略する。
【0022】
紫外レーザ装置LS1においては、レーザ光出力部1は、波長が1800〜2000nmの帯域にある第1の赤外レーザ光La
1を出力する第1レーザ光出力部1aと、波長が1800〜2000nmの帯域にある第2の赤外レーザ光La
2を出力する第2レーザ光出力部1bとを備える。第1の赤外レーザ光La
1及び第2の赤外レーザ光La
2の波長は、紫外レーザ装置LSから出力する深紫外レーザ光Loの波長、及び波長変換部3の構成等に応じて設定することができる。
【0023】
図2に例示する構成は、第1レーザ光出力部1aから出力される第1の赤外レーザ光La
1の波長、第2レーザ光出力部1bから出力される第2の赤外レーザ光La
2の波長を、ともに1934nmとした場合を示す。
【0024】
第1レーザ光出力部1aは、波長が1934nmのシード光を出射する第1レーザ光源11と、第1レーザ光源11から出力されたシード光を増幅する第1ファイバ増幅器21とを備えて構成される。同様に、第2レーザ光出力部1bは、波長が1934nmのシード光を出射する第2レーザ光源12と、第2レーザ光源12から出力されたシード光を増幅する第2ファイバ増幅器22とを備えて構成される。各図では、ファイバ増幅器における励起光光源の記載を省略している。
【0025】
第1レーザ光源11及び第2レーザ光源12は、発振波長が1934nm近傍のDFB(Distributed Feedback)半導体レーザを好適に用いることができる。DFB半導体レーザは、ペルチェ素子等を利用した温度調整器によって温度制御することにより発振波長を所定範囲で調整設定できるとともに、設定後には狭帯域化された単一波長のシード光を発生させることができる。また、DFB半導体レーザは、励起電流を波形制御することにより任意強度でCW発振またはパルス発振させることができる。
【0026】
なお、DFB半導体レーザの出力ポートとファイバ増幅器との間に、EOM(Electro Optic Modulator)等の外部変調器を設け、CW発振またはパルス発振させたDFB半導体レーザの出力光を外部変調器により切り出して、所要パルス波形のシード光をファイバ増幅器に出力するように構成しても良い。
【0027】
第1ファイバ増幅器21及び第2ファイバ増幅器22は、増幅用光ファイバのコアにツリウム(Tm)がドープされたツリウム・ドープ・ファイバ増幅器(TDFA)を好適に用いることができる。ツリウム・ドープ・ファイバ増幅器は、波長が1700〜2100nmの帯域に利得を有する。そのため、波長が1800〜2000nmの帯域にあるシード光を効率的に増幅することができる。またツリウム・ドープ・ファイバ増幅器は、エルビウム・ドープ・ファイバ増幅器(EDFA)と対比して、より高出領域まで安定して動作させることができ、高出力の第1,第2の赤外レーザ光La
1,La
2を得ることができる。
【0028】
第1レーザ光源11から出射され、第1ファイバ増幅器21により増幅された波長1934nmの第1の赤外レーザ光La
1は、第1レーザ光出力部1aから出力され、波長変換部3の第1波長変換光学系30aに入射する。第2レーザ光源12から出射され第2ファイバ増幅器22により増幅された波長1934nmの第2の赤外レーザ光La
2は、第2レーザ光出力部1bから出力され、ミラー42を介して波長変換部3のダイクロイックミラー41に入射する。
【0029】
なお、第1レーザ光出力部1aを第1レーザ光源11と第1ファイバ増幅器21とにより構成し、第2レーザ光出力部1bを、第2レーザ光源12と第2ファイバ増幅器22とにより構成した形態を例示したが、各レーザ光出力部は、少なくともいずれかについて、ファイバ増幅器の入出射端にFBG(Fiber Bragg Grating)等による共振器を組み込んだファイバレーザ(Tmファイバレーザ)を用いて構成しても良い。
【0030】
第1レーザ光出力部1aから出力された第1の赤外レーザ光La
1が入射する第1波長変換光学系30aは、3つの波長変換光学素子31,32,33を主体として構成される。第1波長変換光学系30aにおいては、入射した第1の赤外レーザ光La
1が波長変換光学素子31,32,33を透過する過程で順次波長変換され、第1の赤外レーザ光La
1の第8高調波である第1紫外レーザ光Lv
1が発生する。
【0031】
波長変換光学素子31は、第2高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)により第1の赤外レーザ光La
1の第2高調波を発生させる非線形光学結晶である。波長変換光学素子31に入射した波長1934nmの第1の赤外レーザ光La
1は、この波長変換光学素子31を透過する過程で波長変換され、波長が967nmのレーザ光(以下、967nm光という)が発生する。波長変換光学素子31として、PPLN(Periodically Poled LiNbO
3)結晶を好適に用いることができる。波長変換光学素子31としてPPLN結晶を用いることにより、高効率でビーム品質の高い967nm光を発生させることができる。
【0032】
なお、波長変換光学素子31としては、PPLT(Periodically Poled LiTaO
3)結晶やPPKTP(Periodically Poled KTiOPO
4)等の疑似位相整合(QPM: Quasi Phase Matching)結晶を用いても良い。また、LBO(LiB
3O
5)結晶を用いることもできる。波長変換光学素子31で発生した967nm光は、波長変換光学素子32に入射する。
【0033】
波長変換光学素子32は、第2高調波発生(SHG)により967nm光の第2高調波を発生させる非線形光学結晶である。波長変換光学素子32に入射した967nm光は、この波長変換光学素子32を透過する過程で波長変換され、第1の赤外レーザ光La
1の第4高調波である波長483.5nmのレーザ光(以下、484nm光という)が発生する。波長変換光学素子32としてLBO結晶を好適に用いることができる。このとき、ウォークオフ角は8mradと小さく、ビーム品質が比較的良好な484nm光を得ることができる。なお、波長変換光学素子32としては、PPLT結晶を用いることもできる。波長変換光学素子32で発生した484nm光は、波長変換光学素子33に入射する。
【0034】
波長変換光学素子33は、第2高調波発生(SHG)により484nm光の第2高調波を発生させる非線形光学結晶である。波長変換光学素子33に入射した484nm光(第1の赤外レーザ光の第4高調波)は、波長変換光学素子33を透過する過程で波長変換され、第1の赤外レーザ光La
1の第8高調波である波長241.8nmの第1紫外レーザ光Lv
1が発生する。波長変換光学素子33として、CLBO(CsLiB
6O
10)結晶を好適に用いることができる。このとき、ウォークオフ角は14mradと小さく、また実効非線形光学定数d
effがd
eff=0.91pm/Vと高いため、高効率で第1紫外レーザ光Lv
1を発生させることができる。なお、波長変換光学素子33としては、BBO(β-BaB
2O
4)結晶を用いることもできる。
【0035】
CLBO結晶から出射する第1紫外レーザ光Lv
1は、ウォークオフに起因してビーム断面が楕円形になっているため、2枚のシリンドリカルレンズによりビーム断面を円形に整形し、ダイクロイックミラー41の第1面に入射させる。一方、ダイクロイックミラー41の第2面には、第2レーザ光出力部1bから出力された第2の赤外レーザ光La
2が入射する。
【0036】
ダイクロイックミラー41は、第1紫外レーザ光Lv
1の波長帯域の光を反射し、第2の赤外レーザ光La
2の波長帯域の光を透過する波長選択性を有して構成される。ダイクロイックミラー41の反射波長は、第2の赤外レーザ光La
2の波長よりも短く、第1紫外レーザ光Lv
1の波長を含む波長帯域内であれば任意であるが、例えば、350nm〜400nm程度以下に設定することができる。このように設定することで、第1波長変換光学系30aから出射した光に含まれる第1紫外レーザ光Lv
1と、これ以外の波長成分の光(第1の赤外レーザ光、967nm光、484nm光)とを、ダイクロイックミラー41を利用して分離することができる。これにより、第2波長変換光学系30bに、不要な波長のレーザ光が入射すること、及び第2波長変換光学系30bから出射することを抑止することができる。
【0037】
そのため、ダイクロイックミラー41の第1面に入射した波長241.8nmの第1紫外レーザ光Lv
1は、ダイクロイックミラー41により反射され、第2波長変換光学系30bの波長変換光学素子35に入射する。また、ダイクロイックミラー41の第2面に入射した波長1934nmの第2の赤外レーザ光La
2は、ダイクロイックミラー41を透過して第1紫外レーザ光Lv
1と同軸に重ね合わされ、第2波長変換光学系30bの波長変換光学素子35に入射する。なお、第1紫外レーザ光Lv
1及び第2の赤外レーザ光La
2は、波長変換光学素子35に入射する際の偏光面が相互に直交するように設定する。例えば、第2の赤外レーザ光La
2は偏光面が紙面に垂直なs偏光、第1紫外レーザ光Lv
1は偏光面が紙面に平行なp偏光で波長変換光学素子35に入射するように設定する。
【0038】
波長変換光学素子35は、和周波発生(SFG:Sum Frequency Generation)により、第1紫外レーザ光Lv
1と第2の赤外レーザ光La
2との和周波を発生させる非線形光学結晶である。また、波長変換光学素子35は、第2の赤外レーザ光La
2を常光、第1紫外レーザ光Lv
1を異常光として入射させ、第2紫外レーザ光Lv
2を常光として発生させる非線形光学結晶である。このような波長変換光学素子35として、本構成例においてはLBO結晶を用いる。なお、波長変換光学素子35としては、CLBO結晶、BBO結晶、CBO(CsB
3O
5)結晶を用いることも可能である。これらの結晶を用いた場合については後述する。
【0039】
波長変換光学素子(LBO結晶)35には、結晶温度を約300度Kとし、第2の赤外レーザ光La
2を常光(o)、第1紫外レーザ光Lv
1を異常光(e)として入射させて、タイプII位相整合により位相整合させる。波長変換光学素子35では、波長1934nmの第2の赤外レーザ光La
2と、波長241.8nmの第1紫外レーザ光Lv
1との和周波発生により、第1,第2の赤外レーザ光の第9高調波である、波長214.9nmの第2紫外レーザ光Lv
2が発生する。
【0040】
このとき、異常光(e)で入射する第1紫外レーザ光Lv
1は複屈折によりウォークオフを生じるが、ウォークオフ角は8mrad程度と極めて小さく、第2の赤外レーザ光La
2と良好な重ね合わせが確保される。波長変換光学素子35において発生する第2紫外レーザ光のビーム形状も比較的良好に保たれる。また、この波長変換におけるLBO結晶の実効非線形光学定数はd
eff=0.77pm/Vと比較的高い。このため、波長変換光学素子35において効率的に第2紫外レーザ光が発生され、良好なビーム品質の第2紫外レーザ光Lv
2が波長変換光学素子35から出力される。
【0041】
さらに、波長変換光学素子35において発生する第2紫外レーザ光Lv
2と、波長変換光学素子35を透過する第2の赤外レーザ光La
2とは、ともに常光(o)である。このため、第2の赤外レーザ光La
2と第2紫外レーザ光Lv
2とは、ビームの重心位置が大きくずれるようなことはなく、空間的な重ね合わせが良好に保たれた状態で波長変換光学素子35から出射する。
【0042】
これにより、波長帯域が既に紫外領域である波長変換光学素子35と波長変換光学素子36との間に、ビーム成形や重ね合わせ調整のための光学素子を設けることなく、次段の波長変換光学素子36で効率的に波長変換することができる。波長変換光学素子35から出射した第2の赤外レーザ光La
2及び第2紫外レーザ光Lv
2は、波長変換光学素子36に入射する。
【0043】
波長変換光学素子36は、和周波発生(SFG)により、第2紫外レーザ光Lv
2と、第2の赤外レーザ光La
2との和周波を発生させる非線形光学結晶である。また、波長変換光学素子36は、第2の赤外レーザ光La
2及び第2紫外レーザ光Lv
2を常光(o)として入射させ、深紫外レーザ光Loを異常光(e)として発生させる非線形光学結晶である。このような波長変換光学素子36として、本構成例においてはCLBO結晶を用いる。なお、波長変換光学素子36としては、LBO結晶、BBO結晶、CBO結晶を用いることもできる。これらの結晶を用いた場合については後述する。
【0044】
波長変換光学素子(CLBO結晶)36には、結晶温度を約420度Kとし、第2の赤外レーザ光La
2及び第2紫外レーザ光Lv
2を常光(o)として入射させ、タイプI位相整合により位相整合させる。波長変換光学素子36では、波長1934nmの第2の赤外レーザ光La
2と、波長214.9nmの第2紫外レーザ光Lv
2との和周波発生により、第1,第2の赤外レーザ光の第10高調波である、波長193.4nmの深紫外レーザ光Loが発生する。
【0045】
ここで、前段の波長変換光学素子35から出射する第2の赤外レーザ光La
2及び第2紫外レーザ光Lv
2は偏光状態が同じ(例えばs偏光)であり、波長変換光学素子36における位相整合は、入射光の偏光方向が平行なタイプI位相整合になっている。そのため、波長帯域が深紫外領域である波長変換光学素子35と波長変換光学素子36との間に、偏光方向を調整するための波長板等を配設する必要がない。また、この波長変換におけるCLBO結晶の実効非線形光学定数はd
eff=0.93pm/Vと高く、高効率で深紫外レーザ光Loが発生する。
【0046】
波長変換光学素子36で発生した波長193.4nmの深紫外レーザ光Loは、第2波長変換光学系30bから出射され、紫外レーザ装置LS1から出力される。
【0047】
このように、紫外レーザ装置LS1においては、第2波長変換光学系30bにおける第1の波長変換光学素子35における位相整合が、第2の赤外レーザ光を常光、第1紫外レーザ光を異常光とし、第2紫外レーザ光を常光として発生させるタイプII位相整合であり、第2波長変換光学系30bにおける第2の波長変換光学素子36における位相整合は、第2の赤外レーザ光及び第2紫外レーザ光を常光とし、深紫外レーザ光を異常光として発生させるタイプI位相整合である。そのため、波長帯域が深紫外領域である波長変換光学素子35と波長変換光学素子36との間に、ビーム成形光学系や波長板等の光学素子を設ける必要がなく、簡明な構成で、波長が200nm以下の深紫外レーザ光を出力する紫外レーザ装置を提供することができる。
【0048】
また、第1,第2の赤外レーザ光の波長1934nmは、ツリウム・ドープ・ファイバ増幅器(TDFA)において容易に増幅可能な波長であり、ツリウム・ドープ・ファイバ増幅器は、エルビウム・ドープ・ファイバ増幅器(EDFA)等と対比して、より高出領域まで安定して動作可能なファイバ増幅器である。そのため、第1,第2ファイバ増幅器21,22としてTDFAを用いることにより、高いパワーの赤外レーザ光を波長変換部3に供給し、高出力の深紫外レーザ光を得ることができる。
【0049】
また、第1ファイバ増幅器21から出力された第1の赤外レーザ光La
1を第1波長変換光学系30aに入射し、第2ファイバ増幅器22から出力された第2の赤外レーザ光La
2を第2波長変換光学系30bに入射する構成により、第1波長変換光学系30a及び第2波長変換光学系30bに各々十分なパワーの赤外レーザ光を供給することができ、これにより、高出力かつ高効率な紫外レーザ装置を提供することができる。
【0050】
以上の実施例においては、第1,第2の赤外レーザ光の波長を1934nmとした場合について説明したが、波長は1800〜2000nmの範囲で適宜に選択することができる。また第1の赤外レーザ光の波長と第2の赤外レーザ光の波長とを同一とした場合について説明したが、両者は異なる波長とすることもできる。
【0051】
なお、紫外レーザ装置LS1から短パルスの深紫外レーザ光Loを出力させる場合には、波長変換光学素子35,36において、第1,第2紫外レーザ光と第2の赤外レーザ光とが時間的に重なり合うように設定する。具体的には、第1レーザ光源11で発生したパルス光(シード光)が第1紫外レーザ光Lv
1になって波長変換光学素子35に入射するタイミングと、第2レーザ光源12で発生したパルス光(シード光)が第2の赤外レーザ光La
2になって波長変換光学素子35に入射するタイミングが同一になるように、これらのパルス光の発生タイミングを調整設定し、あるいは、これら2つの経路の光路長を調整設定すればよい。
【0052】
(第2構成形態)
次に、第2構成形態の紫外レーザ装置LS2について、
図3を参照して説明する。本構成形態の紫外レーザ装置LS2は、レーザ光出力部1の構成が相違する点を除いて、既述した第1構成形態の紫外レーザ装置LS1と同様である。すなわち、本構成形態の紫外レーザ装置LS2には、既述した第1レーザ光出力部1a及び第2レーザ光出力部1bを一体とし、レーザ光出力部1において発生された一つの赤外レーザ光Laを二つに分割して、各赤外レーザ光を第1波長変換光学系30aと第2波長変換光学系30bとに入射させるように構成される。第1波長変換光学系30aを構成する波長変換光学素子31,32,33、第2波長変換光学系30bを構成する波長変換光学素子35,36等は、
図2を参照して説明した第1構成形態の紫外レーザ装置LS1と同様である。そこで、
図3における同様部分に同一番号を付して重複説明を省略し、以下では、紫外レーザ装置LS1と構成が相違する部分を中心に説明する。なお、
図3では、レンズ等の記載を省略しレーザ光の光路を主体として示している。
【0053】
紫外レーザ装置LS2においては、レーザ光出力部1は、波長が1800〜2000nmの帯域にある単一の赤外レーザ光Laを発生し出力する。赤外レーザ光Laの波長は適宜に設定することができるが、本構成例においては、前述したレーザ光出力部と同様に、1934nmとした場合を示す。
【0054】
レーザ光出力部1は、波長が1934nmのシード光を出射するレーザ光源13とレーザ光源13から出力されたシード光を増幅するファイバ増幅器23とを備えて構成される。レーザ光源13は、発振波長が1934nm近傍のDFB半導体レーザを好適に用いることができる。また、DFB半導体レーザの出力ポートとファイバ増幅器との間に、EOM等の外部変調器を設け、CW発振またはパルス発振させたDFB半導体レーザの出力光を外部変調器により切り出して、所要パルス波形のシード光をファイバ増幅器に出力するように構成してもよい。
【0055】
ファイバ増幅器23は、ツリウム・ドープ・ファイバ増幅器(TDFA)を好適に用いることができる。ツリウム・ドープ・ファイバ増幅器を用いることにより、高出力の赤外レーザ光Laを比較的容易に得ることができる。
【0056】
レーザ光源13から出射され、ファイバ増幅器23より増幅された波長1934nmの赤外レーザ光Laは、ビームスプリッタ43により適宜な割合で二分割される。そして、一方の赤外レーザ光(第1の赤外レーザ光)La
1が第1波長変換光学系30aに入射し、他方の赤外レーザ光(第2の赤外レーザ光)La
2が第2波長変換光学系30bに入射する。
【0057】
なお、ビームスプリッタ43は、レーザ光出力部1及び波長変換部3のいずれに設けてもよい。すなわち、ビームスプリッタ43をレーザ光出力部1に設けて第1,第2の赤外レーザ光La
1,La
2が波長変換部3に入射するように構成し、あるいは、ビームスプリッタ43を波長変換部3に設けて単一の赤外レーザ光Laが波長変換部に入射するように構成してもよい。
【0058】
第1の赤外レーザ光La
1が入射する第1波長変換光学系30a、及び第2の赤外レーザ光La
2が入射する第2波長変換光学系30bは、既述した紫外レーザ装置LS1における第1波長変換光学系30a及び第2波長変換光学系30bと同様である。
【0059】
すなわち、第1波長変換光学系30aには3つの波長変換光学素子31,32,33が設けられており、第1波長変換光学系30aに入射した第1の赤外レーザ光La
1が波長変換光学素子31,32,33を透過する過程で順次波長変換され、赤外レーザ光Laの第8高調波である波長241.8nmの第1紫外レーザ光Lv
1が発生する。
【0060】
第1波長変換光学系30aで発生した第1紫外レーザ光Lv
1は、ミラー45を介してダイクロイックミラー46の第1面に入射させる。一方、ビームスプリッタ43により分岐された第2の赤外レーザ光La
2は、ミラー44を介してダイクロイックミラー46の第2面に入射させる。
【0061】
ダイクロイックミラー46は、第1紫外レーザ光Lv
1の波長帯域の光を反射し、赤外レーザ光Laの波長帯域の光を透過する波長選択性を有して構成される。ダイクロイックミラー46の反射波長は、赤外レーザ光Laの波長よりも短く、第1紫外レーザ光Lv
1の波長を含む波長帯域内で任意であるが、例えば、350nm〜400nm程度以下に設定できる。このように設定すれば、第1波長変換光学系30aから出射した光に含まれる第1紫外レーザ光Lv
1と、これ以外の波長成分の光(第1の赤外レーザ光、967nm光、484nm光)とを、ダイクロイックミラー46を利用して分離することができる。これにより、第2波長変換光学系30bに、不要な波長のレーザ光が入射すること、及び第2波長変換光学系30bから出射することを抑止することができる。
【0062】
ダイクロイックミラー46の第1面に入射した波長241.8nmの第1紫外レーザ光Lv
1は、ダイクロイックミラー46により反射され、第2波長変換光学系30bの波長変換光学素子35に入射する。また、ダイクロイックミラー46の第2面に入射した波長1934nmの第2の赤外レーザ光La
2は、ダイクロイックミラー46を透過して第1紫外レーザ光Lv
1と同軸に重ね合わされ、第2波長変換光学系30bの波長変換光学素子35に入射する。
【0063】
なお、第1紫外レーザ光Lv
1及び第2の赤外レーザ光La
2は、波長変換光学素子35に入射する際の偏光面が相互に直交するように設定する。例えば、第2の赤外レーザ光La
2は偏光面が紙面に直交するs偏光、第1紫外レーザ光Lv
1は偏光面が紙面に平行なp偏光で波長変換光学素子35に入射するように設定する。本構成形態においては、第1の赤外レーザ光La
1及び第2の赤外レーザ光La
2は、共通の赤外レーザ光Laを基礎としている。また、代表例として示した結晶構成の第1波長変換光学系30aにおいては、入射する第1の赤外レーザ光La
1の偏光方向と、出射する第1紫外レーザ光Lv
1の偏光方向とが同一(例えばp偏光)である。
【0064】
そこで、波長変換光学素子35に入射する第1紫外レーザ光Lv
1と第2の赤外レーザ光La
2の偏光方向が直交するように設定する具体的な手段として、ビームスプリッタ43により分岐された光路の一方、例えば第2波長変換光学系30bに向かう光路に波長板(λ/2板)を配設し、第2の赤外レーザ光La
2の偏光面を90度回転させる構成が例示される。あるいは、ビームスプリッタ43として偏光ビームスプリッタ(PBS)を用い、例えば偏光面が斜め45度に傾斜した赤外レーザ光Laを入射させて、p偏光の第1の赤外レーザ光La
1とs偏光の第2の赤外レーザ光La
2とに分割する構成が例示される。このような構成により、第1紫外レーザ光Lv
1及び第2の赤外レーザ光La
2を、偏光面が相互に直交した状態で波長変換光学素子35に入射させることができる。
【0065】
以降の第2波長変換光学系30bの構成、第2波長変換光学系30bにおける波長変換過程等は、既述した第1構成形態の紫外レーザ装置LS1と同様である。そこで、以下では要旨のみを簡潔にまとめて説明する。
【0066】
波長変換光学素子35は、第2の赤外レーザ光La
2を常光、第1紫外レーザ光Lv
1を異常光として入射させ、和周波光である第2紫外レーザ光を常光として発生させる非線形光学結晶であり、LBO結晶が好適に用いられる。波長変換光学素子35では、波長1934nmの第2の赤外レーザ光La
2と、波長241.8nmの第1紫外レーザ光Lv
1との和周波発生により、赤外レーザ光Laの第9高調波である、波長214.9nmの第2紫外レーザ光Lv
2が発生する。
【0067】
このとき、異常光(e)で入射する第1紫外レーザ光Lv
1のウォークオフ角は8mrad程度と極めて小さく、第2の赤外レーザ光La
2と良好な重ね合わせが確保される。波長変換光学素子35で発生する第2紫外レーザ光Lv
2のビーム形状も比較的良好に保たれる。また、この波長変換におけるLBO結晶の実効非線形光学定数は比較的高い。このため、波長変換光学素子35において効率的に第2紫外レーザ光が発生され、良好なビーム品質の第2紫外レーザ光Lv
2が波長変換光学素子35から出力される。
【0068】
さらに、波長変換光学素子35において発生する第2紫外レーザ光Lv
2、及び波長変換光学素子35を透過する第2の赤外レーザ光La
2は、ともに常光であるため、両者のビームの重心位置が大きくずれるようなことはなく、空間的な重ね合わせが良好に保たれた状態で波長変換光学素子35から出射する。
【0069】
これにより、波長帯域が深紫外領域である波長変換光学素子35と波長変換光学素子36との間に、ビーム成形や重ね合わせ調整のための光学素子を設けることなく、次段の波長変換光学素子36で効率的に波長変換することができる。波長変換光学素子35から出射した第2の赤外レーザ光La
2及び第2紫外レーザ光Lv
2は、波長変換光学素子36に入射する。
【0070】
波長変換光学素子36は、第2の赤外レーザ光La
2及び第2紫外レーザ光Lv
2を常光として入射させ、和周波光である深紫外レーザ光Loを異常光として発生させる非線形光学結晶であり、CLBO結晶が好適に用いられる。波長変換光学素子36では、波長1934nmの第2の赤外レーザ光La
2と、波長214.9nmの第2紫外レーザ光Lv
2との和周波発生により、赤外レーザ光Laの第10高調波である、波長193.4nmの深紫外レーザ光Loが発生する。
【0071】
ここで、前段の波長変換光学素子35から出射する第2の赤外レーザ光La
2及び第2紫外レーザ光Lv
2は偏光状態が同じ(例えばs偏光)であり、波長変換光学素子36における位相整合は、入射光の偏光方向が平行なタイプI位相整合になっている。そのため、波長帯域が深紫外領域である波長変換光学素子35と波長変換光学素子36との間に、偏光方向を調整するための波長板等を配設する必要がない。また、この波長変換におけるCLBO結晶の実効非線形光学定数は高く、高効率で深紫外レーザ光が発生する。波長変換光学素子36で発生した波長193.4nmの深紫外レーザ光Loは、第2波長変換光学系30bから出射され、紫外レーザ装置LS1から出力される。
【0072】
このように、波長変換光学素子35における位相整合が、第2の赤外レーザ光を常光、第1紫外レーザ光を異常光とし、第2紫外レーザ光を常光として発生させるタイプII位相整合であり、波長変換光学素子36における位相整合は、第2の赤外レーザ光及び第2紫外レーザ光を常光とし、深紫外レーザ光を異常光として発生させるタイプI位相整合である。そのため、波長帯域が深紫外領域である波長変換光学素子35と波長変換光学素子36との間に、ビーム成形光学系や波長板等の光学素子を設ける必要がなく、簡明な構成で、波長が200nm以下の深紫外レーザ光を出力する紫外レーザ装置を提供することができる。
【0073】
また、本構成形態の紫外レーザ装置LS2は、ファイバ増幅器23から出力された赤外レーザ光Laを、二つに分割して第1波長変換光学系30aと第2波長変換光学系30bとに入射させる構成になっている。これにより、レーザ光出力部1の構成、ひいては紫外レーザ装置全体の構成を簡明化し、200nm以下の深紫外レーザ光を出力する紫外レーザ装置を低コストで提供することができる。
【0074】
(第3構成形態)
次に、第3構成形態の紫外レーザ装置LS3について、
図4を参照して説明する。本構成形態の紫外レーザ装置LS3は、第2波長変換光学系30bに入射させる赤外レーザ光の分岐位置が第2構成形態の紫外レーザ装置LS2と相違する点を除いて、他の構成は紫外レーザ装置LS2と同様である。すなわち、本構成形態の紫外レーザ装置LS3においては、第1波長変換光学系30aの光路の途中から赤外レーザ光を分岐して、第2波長変換光学系30bに入射させる構成としている。レーザ光出力部1、第1波長変換光学系30aを構成する波長変換光学素子31,32,33、第2波長変換光学系30bを構成する波長変換光学素子35,36等は、既述した第2構成形態の紫外レーザ装置LS2と同様である。そこで、
図4における同様部分に同一番号を付して重複説明を省略し、紫外レーザ装置LS2と相違する部分を中心として簡潔に説明する。なお、
図4においては、
図3と同様にレンズ等の記載を省略しレーザ光の光路を主体として示している。
【0075】
レーザ光出力部1においてレーザ光源13から出射され、ファイバ増幅器23より増幅された波長1934nmの赤外レーザ光Laは、第1波長変換光学系30aの波長変換光学素子31に入射する。
【0076】
第1波長変換光学系30aの光路上には、波長変換光学素子31を波長変換されずに透過した赤外レーザ光La′を分岐するダイクロイックミラーが設けられている。
図4には、波長変換光学素子31と波長変換光学素子32との間にダイクロイックミラー47を設けた構成を例示する。ダイクロイックミラー47は、赤外レーザ光Laの波長帯域の光を反射し、967nm光の波長帯域の光を透過する波長選択性を有して構成される。
【0077】
そのため、波長変換光学素子31で発生した967nm光はダイクロイックミラー47を透過し、波長変換光学素子32に入射する。そして、波長変換光学素子32,33を透過する過程で順次波長変換され、波長241.8nmの第1紫外レーザ光Lv
1が発生する。波長変換光学素子33で発生した第1紫外レーザ光Lv
1は、ミラー45を介してダイクロイックミラー46の第1面に入射する。一方、波長変換光学素子31を波長変換されずに透過した赤外レーザ光La′は、ダイクロイックミラー47により反射され、ミラー44を介してダイクロイックミラー46の第2面に入射する。
【0078】
既述したように、ダイクロイックミラー46は、第1紫外レーザ光Lv
1の波長帯域の光を反射し、赤外レーザ光Laの波長帯域の光を透過する波長選択性を有して構成される。そのため、ダイクロイックミラー46の第1面に入射した第1紫外レーザ光Lv
1は、ダイクロイックミラー46により反射され、第2波長変換光学系30bの波長変換光学素子35に入射する。また、ダイクロイックミラー46の第2面に入射した赤外レーザ光La′は、ダイクロイックミラー46を透過して第1紫外レーザ光Lv
1と同軸に重ね合わされ、第2波長変換光学系30bの波長変換光学素子35に入射する。
【0079】
なお、第1紫外レーザ光Lv
1及び赤外レーザ光La′は、波長変換光学素子35に入射する際の偏光面が相互に直交するように設定する。例えば、赤外レーザ光La′は偏光面が紙面に直交するs偏光、第1紫外レーザ光Lv
1は偏光面が紙面に平行なp偏光で波長変換光学素子35に入射するように設定する。例えば、ダイクロイックミラー47により分岐された光路の一方、例えば第2波長変換光学系30bに向かう光路に波長板48を配設し、赤外レーザ光La′の偏光面を90度回転させる。
【0080】
以降の第2波長変換光学系30bの構成、第2波長変換光学系30bにおける波長変換過程等は、既述した第1,第2構成形態の紫外レーザ装置LS1,LS2と同様である。
【0081】
従って、紫外レーザ装置LS3においても、波長帯域が深紫外領域である波長変換光学素子35と波長変換光学素子36との間に、ビーム成形光学系や波長板等の光学素子を設ける必要がなく、簡明な構成で、波長が200nm以下の深紫外レーザ光を出力する紫外レーザ装置を提供することができる。また、本構成形態の紫外レーザ装置LS3は、ファイバ増幅器23から出力された赤外レーザ光Laを、第1波長変換光学系30aの光路の途中で分岐して第2波長変換光学系30bに入射させる構成になっている。これにより、レーザ光出力部1の構成、ひいては紫外レーザ装置全体の構成を簡明化し、200nm以下の深紫外レーザ光を出力する紫外レーザ装置を低コストで提供することができる。
【0082】
(第4構成形態)
次に、第4構成形態の紫外レーザ装置LS4について、
図5を参照して説明する。本構成形態の紫外レーザ装置LS4は、第1波長変換光学系30aを透過した赤外レーザ光を第2波長変換光学系30bに入射させる点を除いて、他の構成は基本的に第1〜第3構成形態のレーザ装置LS1〜LS3と同様である。すなわち、本構成形態の紫外レーザ装置LS4においては、第2波長変換光学系30bに入射する赤外レーザ光は、異なるレーザ光出力部で発生したり、レーザ光出力部から出力された赤外レーザ光を途中の光路で分岐したりせずに、第1波長変換光学系30aを透過した光を利用する。レーザ光出力部1、第1波長変換光学系30aを構成する波長変換光学素子31,32,33、第2波長変換光学系30bを構成する波長変換光学素子35,36等は、基本的には、既述した第2,第3構成形態の紫外レーザ装置LS2,LS3と同様に構成できる。そこで、
図5における同様部分に同一番号を付して重複説明を省略し、本構成形態の要点について簡潔に説明する。なお、
図3,
図4と同様にレンズ等の記載を省略しレーザ光の光路を主体として示す。
【0083】
レーザ光出力部1においてレーザ光源13から出射され、ファイバ増幅器23より増幅された波長1934nmの赤外レーザ光Laは、第1波長変換光学系30aに入射する。第1波長変換光学系30aには3つのは長変換光学素子31,32,33が直列に設けられている。波長変換光学素子31は、赤外レーザ光Laの第2高調波(967nm光)を発生する非線形光学結晶であり、PPLN結晶、PPLT結晶、LBO結晶が好適に用いられる。波長変換光学素子32は、967nm光の第2高調波(484nm光)を発生する非線形光学結晶であり、PPLT結晶、LBO結晶が好適に用いられる。波長変換光学素子33は484nm光の第2高調波(第1紫外レーザ光Lv
1)を発生する非線形光学結晶であり、CLBO結晶が好適に用いられる。
【0084】
本構成形態においては、波長変換光学素子32としてPPLT結晶を用いた構成を例示する。波長変換光学素子32としてPPLT結晶を用いた場合には、発生する484nm光にウォークオフが生じない。そのため、第2波長変換光学系30bにおいて良好なビームの重ね合わせを実現できる。波長変換光学素子33で発生した第1紫外レーザ光Lv
1及び波長変換光学素子31,32,33を透過した赤外レーザ光La′は、第2波長変換光学系30bに入射する。このとき、波長変換光学素子35に入射する第1紫外レーザ光Lv
1及び赤外レーザ光La′は、両者の偏光面が相互に直交するように設定される。
【0085】
第2波長変換光学系30bには2つの波長変換光学素子35,36が設けられている。波長変換光学素子35は、和周波発生(SFG)により第1紫外レーザ光Lv
1と赤外レーザ光La′との和周波を発生させる非線形光学結晶である。一方、本構成形態における波長変換光学素子35は、赤外レーザ光La′を異常光、第1紫外レーザ光Lv
1を常光で入射し、第2紫外レーザ光Lv
2を異常光として発生させる非線形光学結晶である。このような波長変換光学素子35として、CLBO結晶、CBO結晶、BBO結晶が例示される。ここでは、波長変換光学素子35としてCBO結晶を用いた構成を例示する。
【0086】
波長変換光学素子35としてCBO結晶を用いた場合には、赤外レーザ光La′のウォークオフ角が10mrad、第2紫外レーザ光Lv
2のウォークオフ角が18mrad(両者の角度差は8mrad)と小さいため、ビーム形状も比較的良好に保たれ、また実効非線形光学定数が1.29pm/Vと高いため、効率的に第2紫外レーザ光Lv
2を発生することができる。波長変換光学素子35で発生した第2紫外レーザ光Lv
2及び波長変換光学素子35を透過した赤外レーザ光赤外レーザ光La′は波長変換光学素子36に入射する。
【0087】
波長変換光学素子36は、和周波発生(SFG)により、第2紫外レーザ光Lv
2と第2の赤外レーザ光La
2との和周波を発生させる非線形光学結晶である。また、波長変換光学素子36は、赤外レーザ光La′及び第2紫外レーザ光Lv
2を常光(o)で入射し、深紫外レーザ光Loを異常光(e)として発生させる非線形光学結晶である。このような波長変換光学素子36として、CLBO結晶、LBO結晶、BBO結晶が例示される。ここではLBO結晶を用いた構成を例示する。波長変換光学素子36としてLBO結晶を用いた場合には、実効非線形光学定数はCLBO結晶の場合よりも低いが、発生する深紫外レーザ光Loのウォークオフ角はCLBO結晶の場合の約半分であり、良好なビーム形状の深紫外レーザ光Loを発生させることができる。
【0088】
第2紫外レーザ光Lv
2と第2の赤外レーザ光La
2との和周波を発生させる波長変換光学素子36の他の構成として、赤外レーザ光La′及び第2紫外レーザ光Lv
2を異常光(e)で入射し、深紫外レーザ光Loを常光(o)として発生させる形態がある。このような波長変換光学素子36として、CBO結晶が例示される。波長変換光学素子36としてCBO結晶を用いた場合には、赤外レーザ光La′のウォークオフ角が17mrad、第2紫外レーザ光Lv
2のウォークオフ角が39mrad程度発生するが、実効非線形光学定数が1.79pm/Vと高いため、比較的効率的に深紫外レーザ光Loを発生させることができる。
【0089】
以上説明した紫外レーザ装置LS4では、単一のレーザ光出力部で発生した赤外レーザ光を用い、分岐光路等を設けることなく直列に配置した波長変換光学素子を透過させて波長200nm以下の深紫外レーザ光を出力させることができる。また、個々の波長変換光学素子で発生するビームのウォークオフ角が概ね20mrad程度以下であることから、波長変換光学素子間に配設されるレンズを省略することも可能となる。いま、波長変換光学素子の結晶長をL、入射するレーザ光のビーム径をD、ウォークオフ角をρとしたとき、Lρ<Dであればレンズなしでも重ね合わせは実現できる。例えば、結晶長L=5mm、ウォークオフ角ρ=10mrad、ビーム径D=300μmのとき、Lρ=50μmであり、比較的良好な重ね合わせを実現できる。
【0090】
さらに、レーザ光出力部1から出力される赤外レーザ光Laの集光スポット径(及びスポット位置)を適宜に設定することにより、波長変換光学素子間のレンズを全て省略することも可能である。例えば、レーザ光出力部1から出力される赤外レーザ光Laの集光スポット径(直径)がD=300μmになるように集光したとすると、このときコンフォーカル長(ビーム径が略一定とみなせる長さ範囲)は約73mmになる。波長変換光学素子31,32,33,35,36の各結晶長を5mmとすれば、これら5個の波長変換光学素子を直列に並べたときの長さは25mmであり、間にスペースを設けたとしても充分にコンフォーカル長の中に配置することができる。
【0091】
従って、このような構成の紫外レーザ装置LS4によれば、極めて簡明な構成で、波長200nm以下の深紫外レーザ光を出力する紫外レーザ装置を提供することができる。
【0092】
なお、以上説明した第1〜第4構成形態の実施例では、レーザ光出力部1から出力する赤外レーザ光の波長を1934nmとし、波長変換部3から出力する深紫外レーザ光の波長を193.4nmとした場合について、具体的な構成を例示した。しかし、本発明は係る具体例に限られるものではなく、赤外レーザ光の波長、深紫外レーザ光の波長や、第1波長変換光学系30a、第2波長変換光学系30bの構成等は、適宜変更することができる。
【0093】
以上説明したような紫外レーザ装置LS(LS1〜LS4)は、小型軽量であるとともに取り扱いが容易であり、露光装置や光造形装置等の光加工装置、フォトマスクやウェハ等の検査装置、顕微鏡や望遠鏡等の観察装置、測長器や形状測定器等の測定装置、光治療装置などのシステムに好適に適用することができる。
【0094】
次に、紫外レーザ装置LS(LS1〜LS4)を備えたシステムの第1の適用例として、半導体製造や液晶パネル製造等のフォトリソグラフィエ程で用いられる露光装置について、その概要構成を示す
図6を参照して説明する。露光装置100は、原理的には写真製版と同じであり、石英ガラス製のフォトマスク113に精密に描かれたデバイスパターンを、フォトレジストを塗布した半導体ウェハやガラス基板などの露光対象物115に光学的に投影して転写する。
【0095】
露光装置100は、上述した紫外レーザ装置LSと、照明光学系102と、フォトマスク113を保持するマスク支持台103と、投影光学系104と、露光対象物115を保持する露光対象物支持テーブル105と、露光対象物支持テーブル105を水平面内で移動させる駆動機構106とを備えて構成される。照明光学系102は複数のレンズ群からなり、紫外レーザ装置LSから出力された深紫外レーザ光を、マスク支持台103に保持されたフォトマスク113に照射する。投影光学系104も複数のレンズ群により構成され、フォトマスク113を透過した光を露光対象物支持テーブル上の露光対象物115に投影する。
【0096】
このような構成の露光装置100においては、紫外レーザ装置LSから出力された深紫外レーザ光が照明光学系102に入力され、所定光束に調整された深紫外レーザ光がマスク支持台103に保持されたフォトマスク113に照射される。フォトマスク113を通過した光はフォトマスク113に描かれたデバイスパターンの像を有しており、この光が投影光学系104を介して露光対象物支持テーブル105に保持された露光対象物115の所定位置に照射される。これにより、フォトマスク113のデバイスパターンの像が、半導体ウェハや液晶パネル等の露光対象物115の上に所定倍率で結像露光される。
【0097】
このような露光装置100は、簡明な構成で、高出力の深紫外レーザ光Loを出力可能な紫外レーザ装置LSを備えている。そのため、簡明な構成の露光装置を提供することができる。
【0098】
次に、紫外レーザ装置LS(LS1〜LS4)を備えたシステムの第2の適用例として、フォトマスクや液晶パネル、ウェハ等(被検物)の検査工程で使用される検査装置について、その概要構成を示す
図7を参照して説明する。
図7に例示する検査装置200は、フォトマスク等の光透過性を有する被検物213に描かれた微細なデバイスパターンの検査に好適に使用される。
【0099】
検査装置200は、前述した紫外レーザ装置LSと、照明光学系202と、被検物213を保持する被検物支持台203と、投影光学系204と、被検物213からの光を検出するTDI(Time Delay Integration)センサ215と、被検物支持台203を水平面内で移動させる駆動機構206とを備えて構成される。照明光学系202は複数のレンズ群からなり、紫外レーザ装置LSから出力された深紫外レーザ光を、所定光束に調整して被検物支持台203に保持された被検物213に照射する。投影光学系204も複数のレンズ群により構成され、被検物213を透過した光をTDIセンサ215に投影する。
【0100】
このような構成の検査装置200においては、紫外レーザ装置LSから出力された深紫外レーザ光が照明光学系202に入力され、所定光束に調整された深紫外レーザ光が被検物支持台203に保持されたフォトマスク等の被検物213に照射される。被検物213からの光(本構成例においては透過光)は、被検物213に描かれたデバイスパターンの像を有しており、この光が投影光学系204を介してTDIセンサ215に投影され結像する。このとき、駆動機構206による被検物支持台203の水平移動速度と、TDIセンサ215の転送クロックとは同期して制御される。
【0101】
そのため、被検物213のデバイスパターンの像がTDIセンサ215により検出され、このようにして検出された被検物213の検出画像と、予め設定された所定の参照画像とを比較することにより、被検物に描かれた微細パターンの欠陥が抽出される。なお、被検物213がウェハ等のように光透過性を有さない場合には、被検物からの反射光を投影光学系204に入射してTDIセンサ215に導くことにより、同様に構成することができる。
【0102】
このような検査装置200は、簡明な構成で、高出力の深紫外レーザ光Loを出力可能な紫外レーザ装置LSを備えている。そのため、簡明な構成の検査装置を提供することができる。