(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
補強板で補強した基板の表面に機能層を形成する機能層成形工程と、前記機能層が形成された前記基板と前記補強板とを剥離する剥離工程とを有する電子デバイスの製造方法において、
前記剥離工程は、
前記基板及び前記補強板を含む積層体の第1の主面を支持手段で支持するとともに、前記積層体の第2の主面を吸着保持する可撓性板に間隔をおいて固定された複数の可動体の前記支持手段に対する移動を制御することで、前記基板と前記補強板との界面を一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って順次剥離する工程であって、
前記可撓性板は、前記積層体の第2の主面の外縁を吸着保持する第1の吸着面、及び前記外縁を除く第2の主面を吸着保持する第2の吸着面を有する可撓性板であって、前記第2の吸着面は前記第2の主面に対して平行な面であり、前記第1の吸着面は、前記第2の吸着面に対して所定量突出した突出面を備え、
前記界面を剥離した剥離領域と未剥離領域との境界線と前記基板の外周との2つの交点を結んだ直線と、前記剥離領域の前記基板の外周の接線と、のなす角度が少なくとも90度以下の剥離範囲において、
前記境界線の端部の接線と、前記剥離領域の前記基板の外周の接線と、のなす角度が90度よりも大きくなるように前記界面を剥離する工程であることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の基板の剥離形態では、
図19(a)に示すように基板102の端部に微細クラック(以下、クラックという。)120が発生している場合には、剥離時にクラック120が伸展して基板102が割れる(破れる)という問題があった。
【0011】
図19(c)には、クラック120に起因する基板102の割れのメカニズムが示されている。
【0012】
界面を矢印B方向に進行する剥離前線Aは、クラック120を通過する際、クラック120を伸展させる方向に通過する。つまり、剥離前線Aの矢印Bで示す剥離進行方向は、基板102の縁部102Aから基板102の内側に向いた方向となる。これにより、界面を剥離させる力がクラック120を伸展させる方向に作用するため、クラック120が符号122の如く剥離前線Aとともに伸展していく。このメカニズムによって、基板102が割れることを実験にてつきとめた。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板にクラックが発生していた場合であっても基板を良好に剥離できる基板の剥離装置及び剥離方法並びに電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様の基板の剥離装置は、前記目的を達成するために、基板と、前記基板を補強する補強板との界面を一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って順次剥離する基板の剥離装置において、前記界面を剥離した剥離領域と未剥離領域との境界線と前記基板の外周との2つの交点を結んだ直線と、前記剥離領域の前記基板の外周の接線と、のなす角度が少なくとも90度以下の剥離範囲において、前記境界線の端部の接線と、前記剥離領域の前記基板の外周の接線と、のなす角度が90度よりも大きくなるように前記界面を剥離させる剥離手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様の基板の剥離方法は、前記目的を達成するために、基板と、前記基板を補強する補強板との界面を一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って順次剥離する基板の剥離方法において、前記界面を剥離した剥離領域と未剥離領域との境界線と前記基板の外周との2つの交点を結んだ直線と、前記剥離領域の前記基板の外周の接線と、のなす角度が少なくとも90度以下の剥離範囲において、前記境界線の端部の接線と、前記剥離領域の前記基板の外周の接線と、のなす角度が90度よりも大きくなるように前記界面を剥離手段によって剥離させることを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様の電子デバイスの製造方法は、前記目的を達成するために、補強板で補強した基板の表面に機能層を形成する機能層成形工程と、前記機能層が形成された前記基板と前記補強板とを剥離する剥離工程とを有する電子デバイスの製造方法において、前記剥離工程は、前記基板と前記補強板との界面を一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って順次剥離する工程であって、前記界面を剥離した剥離領域と未剥離領域との境界線と前記基板の外周との2つの交点を結んだ直線と、前記剥離領域の前記基板の外周の接線と、のなす角度が少なくとも90度以下の剥離範囲において、前記境界線の端部の接線と、前記剥離領域の前記基板の外周の接線と、のなす角度が90度よりも大きくなるように前記界面を剥離する工程であることを特徴とする。
【0017】
本発明の剥離形態の一態様によれば、前記剥離範囲において進行する境界線(剥離前線)は、基板の端部に発生しているクラックを通過する際、クラックを伸展させる方向に通過せず、基板の内側から基板の縁部に向いた方向に通過する。これにより、界面を剥離させる力がクラックを伸展させる方向に作用しないため、クラックは境界線の進行とともに伸展しない。よって、本発明の剥離形態の一態様によれば、基板にクラックが発生していた場合であっても基板を良好に剥離できる。
【0018】
本発明の一態様は、前記基板は、厚さが0.2mm以下のガラス基板であることが好ましい。
【0019】
本発明の一態様によれば、電子デバイスの薄型化に対応したガラス基板の剥離装置、剥離方法に好適となる。
【0020】
本発明の基板の剥離装置の一態様は、前記剥離手段は、前記基板及び前記補強板を含む積層体の第1の主面を支持する支持手段と、前記積層体の第2の主面の外縁を吸着保持する第1の吸着面、及び前記外縁を除く第2の主面を吸着保持する第2の吸着面を有する可撓性板であって、前記第2の吸着面は前記第2の主面に対して平行な面であり、前記第1の吸着面は、前記第2の吸着面に対して所定量突出した突出面である可撓性板と、前記可撓性板に間隔をおいて固定され、前記支持手段に対して独立に移動可能な複数の可動体と、前記剥離進行方向の前記一端側に位置する前記可動体から前記剥離進行方向の他端側に位置する前記可動体を、前記支持手段に対して離間させる方向に順次移動させる制御手段と、を備えることが好ましい。
【0021】
本発明の基板の剥離方法の一態様は、前記剥離手段による剥離方法は、前記基板及び前記補強板を含む積層体の第1の主面を支持する支持手段と、前記積層体の第2の主面の外縁を吸着保持する第1の吸着面、及び前記外縁を除く第2の主面を吸着保持する第2の吸着面を有する可撓性板であって、前記第2の吸着面は前記第2の主面に対して平行な面であり、前記第1の吸着面は、前記第2の吸着面に対して所定量突出した突出面である可撓性板と、前記可撓性板に間隔をおいて固定され、前記支持手段に対して独立に移動可能な複数の可動体と、を備え、前記剥離進行方向の前記一端側に位置する前記可動体から前記剥離進行方向の他端側に位置する前記可動体を、前記支持手段に対して離間させる方向に制御手段によって順次移動させることが好ましい。
【0022】
本発明の電子デバイスの製造方法の一態様は、前記剥離工程は、前記基板及び前記補強板を含む積層体の第1の主面を支持手段で支持するとともに、前記積層体の第2の主面を吸着保持する可撓性板に間隔をおいて固定された複数の可動体の前記支持手段に対する移動を制御することで、前記界面を一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って順次剥離する工程であって、前記可撓性板は、前記積層体の第2の主面の外縁を吸着保持する第1の吸着面、及び前記外縁を除く第2の主面を吸着保持する第2の吸着面を有する可撓性板であって、前記第2の吸着面は前記第2の主面に対して平行な面であり、前記第1の吸着面は、前記第2の吸着面に対して所定量突出した突出面を備えていることが好ましい。
【0023】
本発明の剥離形態の一態様によれば、剥離進行方向の一端側に位置する可動体から剥離進行方向の他端側に位置する可動体を、支持手段に対して離間させる方向に制御手段によって順次移動させると、積層体の外縁が外縁を除く面よりも遅れて剥離する。これにより、本発明の剥離形態の一態様によれば、境界線の端部の接線と、剥離領域の基板の外周の接線とのなす角度が90度よりも大きくなるので、基板にクラックが発生していた場合であっても基板を良好に剥離できる。
【0024】
本発明の基板の剥離装置の一態様は、前記剥離手段は、前記基板及び前記補強板を含む積層体の第1の主面を支持する支持手段と、前記積層体の第2の主面を吸着保持する可撓性板と、前記可撓性板に間隔をおいて固定され、前記支持手段に対して独立に移動可能な複数の可動体と、前記剥離進行方向の前記一端側に位置する前記可動体から前記剥離進行方向の他端側に位置する前記可動体を、前記支持手段に対して離間させる方向に順次移動させるとともに、前記第2の主面の外縁に位置する前記可動体の離間移動開始時間を、前記外縁を除く前記第2の主面に位置する前記可動体の離間移動開始時間よりも所定時間遅らせる制御手段と、を備えることが好ましい。
【0025】
本発明の基板の剥離方法の一態様は、前記剥離手段による剥離方法は、前記基板及び前記補強板を含む積層体の第1の主面を支持する支持手段と、前記積層体の第2の主面を吸着保持する可撓性板と、前記可撓性板に間隔をおいて固定され、前記支持手段に対して独立に移動可能な複数の可動体と、を備え、前記剥離進行方向の前記一端側に位置する前記可動体から前記剥離進行方向の他端側に位置する前記可動体を、前記支持手段に対して離間させる方向に制御手段によって順次移動させるとともに、前記第2の主面の外縁に位置する前記可動体の離間移動開始時間を、前記外縁を除く前記第2の主面に位置する前記可動体の離間移動開始時間よりも前記制御手段によって所定時間遅らせることが好ましい。
【0026】
本発明の電子デバイスの製造方法の一態様は、前記剥離工程は、前記基板及び前記補強板を含む積層体の第1の主面を支持手段で支持するとともに、前記積層体の第2の主面を吸着保持する可撓性板に間隔をおいて固定された複数の可動体の前記支持手段に対する移動を制御することで、前記界面を一端側から他端側に向けた剥離進行方向に沿って順次剥離する工程であって、前記剥離進行方向の前記一端側に位置する前記可動体から前記剥離進行方向の他端側に位置する前記可動体を、前記支持手段に対して離間させる方向に順次移動させるとともに、前記第2の主面の外縁に位置する前記可動体の離間移動開始時間を、前記外縁を除く前記第2の主面に位置する前記可動体の離間移動開始時間よりも所定時間遅らせることが好ましい。
【0027】
本発明の剥離形態の一態様によれば、第2の主面の外縁に位置する可動体の離間移動開始時間を、外縁を除く第2の主面に位置する可動体の離間移動開始時間よりも制御手段によって所定時間遅らせると、積層体の外縁が外縁を除く面よりも遅れて剥離する。これにより、本発明の剥離形態の一態様によれば、境界線の端部の接線と、剥離領域の基板の外周の接線とのなす角度が90度よりも大きくなるので、基板にクラックが発生していた場合であっても基板を良好に剥離できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の基板の剥離装置及び基板の剥離方法並びに電子デバイスの製造方法によれば、基板にクラックが発生していた場合であっても基板を良好に剥離できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に従って、本発明の基板の剥離装置及び剥離方法並びに電子デバイスの製造方法の実施の形態について説明する。
【0031】
図1は、電子デバイスの製造工程に供される積層板1の要部拡大側面図である。
【0032】
〔電子デバイスの製造方法〕
実施の形態の電子デバイスの製造方法は、電子デバイスに用いられる基板2の薄板化に対応するため、基板2の裏面に補強板3を貼り付けた積層板1を構成し、積層板1の基板2の表面に機能層を形成する機能層形成工程と、機能層が形成された基板2と補強板3とを剥離する剥離工程とを有する。前記剥離工程において、実施の形態の基板の剥離装置が使用される。剥離装置については後述する。なお、補強板3は、電子デバイスの一部とはならならず、基板2から剥離された後、基板2の補強用として再利用される。
【0033】
前記電子デバイスとは表示パネル、太陽電池、薄膜二次電池等の電子部品をいう。また、前記表示パネルは液晶パネル(LCD)、プラズマパネル(PDP)、及び有機ELパネル(OLED)を含む。
【0034】
〔積層板1〕
図1の如く積層板1は、基板2と基板2を補強する補強板3とからなり、基板2の裏面に補強板3を貼り付けることによって構成される。
【0035】
〔基板2〕
基板2の表面には、電子デバイスの製造工程の途中で、所定の機能層(例えば、TFT、CF)が形成される。
【0036】
基板2は、例えばガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板、金属基板、又は半導体基板等であるが、ガラス基板は、耐薬品性、耐透湿性に優れ、且つ、線膨張係数が小さいので好ましい。線膨張係数が小さくなるほど、高温下で形成される機能層のパターンが冷却時にずれ難くなるからである。
【0037】
ガラス基板のガラスとしては、特に限定されないが、例えば、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラス等を例示できる。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
【0038】
また、ガラス基板のガラスとしては、電子デバイスの種類やその製造工程に適したガラスが採用されることが好ましい。例えば、液晶パネル用のガラス基板は、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)からなることが好ましい。このように、ガラス基板のガラスは、適用される電子デバイスの種類及びその製造工程に基づいて適宜選択される。
【0039】
前記樹脂基板の樹脂は、結晶性樹脂であっても、非結晶性樹脂であってもよく、特に限定されない。
【0040】
基板2の厚さは、基板2の種類に応じて設定される。例えば、ガラス基板の場合、電子デバイスの軽量化、薄板化のため、好ましくは0.7mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以下である。0.2mm以下の場合、ガラス基板に良好なフレキシブル性を与えることが可能であり、電子デバイスの薄型化に対応した好適な基板となる。0.1mm以下の場合、ガラス基板をロール状に巻き取ることが可能である。また、ガラス基板の厚さは、ガラス基板の製造が容易であること、ガラス基板の取り扱いが容易であること等の理由から、0.03mm以上であることが好ましい。
【0041】
〔補強板3〕
補強板3は、基板2に貼り付けられると、剥離操作が行われるまで、基板2を補強する機能を備える。補強板3は、機能層の形成後、電子デバイスの製造工程の途中で、実施の形態の基板の剥離装置によって基板2から剥離される。
【0042】
補強板3は、温度変化による反りや剥離を抑制するため、基板2の線膨張係数に対してその差が小さいものが好ましい。基板2がガラス基板の場合、補強板3はガラス板を含むものが好ましい。このガラス板のガラスは、ガラス基板のガラスと同じ種類であることが好ましい。
【0043】
補強板3は、ベースとなる支持板4と、支持板4の面に形成される樹脂層5とを備える。樹脂層5と基板2との間に作用するファンデルワールス力、又は樹脂層5の粘着力等によって、基板2が樹脂層5を介して支持板4に剥離可能に貼り付けられる。
【0044】
なお、
図1の補強板3は、支持板4と樹脂層5とによって構成されているが、支持板4のみで構成されていてもよい。この場合には、支持板4と基板2との間に作用するファンデルワールス力等によって支持板4と基板2とが剥離可能に貼り付けられる。また、この場合には、ガラス板である支持板4と、ガラス基板である基板2とが高温で接着しないように、支持板4の貼り付け側面に無機薄膜を形成することが好ましい。
【0045】
また、
図1の支持板4は1枚であり、樹脂層5は1層であるが、支持板4を複数枚の支持板4で構成するとともに樹脂層5を複数の層で構成してもよい。
【0046】
〔支持板4〕
支持板4は、樹脂層5を介して基板2を支持することによって、基板2が補強板3によって補強される。この支持板4は、電子デバイスの製造工程における基板2の変形、傷付き、破損等を防止する機能も備える。
【0047】
支持板4として、例えば、ガラス板、セラミックス板、樹脂板、半導体板、又は金属板等を例示できる。支持板4の種類は、電子デバイスの種類、及び基板2の種類等に応じて適宜選定される。支持板4と基板2とが同種であると、温度変化による反り、剥離が低減されるので好ましい。
【0048】
支持板4と基板2の平均線膨張係数の差(絶対値)は、基板2の寸法形状等に応じて適宜設定されるが、例えば35×10
−7/℃以下であることが好ましい。ここで、「平均線膨張係数」とは、50〜300℃の温度範囲における平均線膨張係数(JIS R 3102)をいう。
【0049】
支持板4の厚さは、例えば0.7mm以下であることが好ましい。また、支持板4の厚さは、基板2を補強するため、0.4mm以上であることが好ましい。支持板4の厚さは、基板2よりも厚くてもよいし薄くてもよい。
【0050】
支持板4の外形は、支持板4が樹脂層5の全体を支持できるように、
図1に示すように樹脂層5の外形と同一であるか、樹脂層5の外形よりも大きいことが好ましい。
【0051】
〔樹脂層5〕
樹脂層5は、基板2が密着された後、剥離操作が行われるまで、支持板4に対する基板2の位置ずれを防止する機能を備える。また、樹脂層5は、剥離操作によって基板2から容易に剥離する機能も備える。基板2が容易に剥離されることによって、剥離時における基板2の破損を防止できる。更に、樹脂層5は、支持板4との間の結合力が、基板2との結合力よりも相対的に高くなるように形成される。
【0052】
樹脂層5の樹脂は、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂等を例示できる。また、複数種類の樹脂を混合して用いることもできるが、耐熱性や剥離性の観点から、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂が好ましい。
【0053】
樹脂層5の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1〜50μm、より好ましくは4〜20μmである。樹脂層5の厚さを1μm以上とすることで、樹脂層5と基板2との間に気泡や異物が混入した場合に、気泡や異物の厚さを吸収するように樹脂層5が変形するからである。一方、樹脂層5の厚さが50μm以下であると、樹脂層5の形成時間を短縮でき、さらに樹脂層5の樹脂を必要以上に使用しないため経済的であるからである。
【0054】
樹脂層5の外形は、樹脂層5が基板2の全体を密着できるように、
図1に示すように基板2の外形と同一か、基板2の外形よりも大きいことが好ましい。
【0055】
なお、樹脂層5は2層以上からなっていてもよい。この場合「樹脂層の厚さ」は全ての樹脂層の合計の厚さを意味するものとする。また、樹脂層5が2層以上からなる場合は、各々の層を形成する樹脂の種類が異なってもよい。更に、積層板1の構成は、
図1に示されるものに限られない。例えば、樹脂層5の替わりに、メタルシリサイド、窒化物および炭化物からなる群(WSi
2、AlN、TiN、Si
3N
4およびSiC等)から選択される少なくとも1種を含有する無機層を用いてもよい。また、樹脂層5を用いず、基板2と補強板3のそれぞれの接合面を鏡面研磨することで、これらの接合面の表面粗さを小さくし、基板2と補強板3とを接合してもよい。
【0056】
図2は、電子デバイスの製造工程の途中で作製される積層体6の要部拡大側面図である。
【0057】
〔積層体6〕
積層体6は、
図1の積層板1の基板2の表面に機能層を形成した2枚の積層板1、1を、各々の機能層を対向させて結合させることによって構成される。機能層の種類は、電子デバイスの種類に応じて選択される。複数の機能層が基板2の表面に順次積層されてもよい。機能層の形成方法としては、一般的な方法が用いられ、例えばCVD法、PVD法等の蒸着法、及びスパッタ法等が用いられる。機能層は、フォトリソグラフィ法、及びエッチング法で所定のパターンに形成される。
【0058】
図2の積層体6は、上層から下層にかけて、補強板3A、基板2A、液晶層(機能層)7、基板2B、及び補強板3Bを備える。すなわち、中央の液晶層7を挟んで上層側に基板2Aと補強板3Aとからなる積層板1Aが備えられ、下層側に基板2Bと補強板3Bとからなる積層板1Aが備えられる。
【0059】
図2の積層体6は、LCDの製造工程の途中で作製されるものである。基板2Aの液晶層7側の面、すなわち基板2Aの表面には薄膜トランジスタ(TFT)が形成され、基板2Bの液晶層7側の面、すなわち基板2Bの表面にはカラーフィルタ(CF)が形成され、薄膜トランジスタとカラーフィルタとによって機能層である液晶層7が形成されている。
【0060】
なお、
図2の積層体6は、両側に補強板3A、3Bが配置された構成であるが、積層体としては、片側にのみ補強板が配置された構成でもよい。
【0061】
積層体6は、剥離工程において補強板3A、3Bが剥離される。補強板3A、3Bが剥離された基板2A、2Bの裏面には、バックライト等の電子部品が取り付けられ、これによって、製品であるLCDが製造される。補強板3A、3Bの剥離には、後述の剥離装置が用いられる。
【0062】
〔本発明の基板の剥離方法〕
まず、実施の形態の基板の剥離装置を説明する前に、本発明の基板の剥離方法について説明する。
【0063】
本発明の基板の剥離方法は、例えば
図1に示した積層板1においては、基板2と補強板3との界面を、
図3(a)に示された矩形状の積層板1の平面図で示すように、隅部(一端)8側から隅部(他端)9側に向けた矢印Dで示す剥離進行方向に沿って順次剥離する剥離方法を基本とする。
【0064】
次に、
図3(a)で示した符号E、F、G、H、J、K、L、M、N、12について説明する。
【0065】
符号Eは、界面を剥離した剥離領域10と未剥離領域11との剥離前線(境界線)である。
【0066】
符号F、Gは、剥離前線Eと基板2の外周との2つの交点である。
【0067】
符号Hは、交点F、Gを結んだ直線である。
【0068】
符号J、Kは、剥離領域10の基板2の外周の接線である。
【0069】
符号M、Nは、剥離前線Eの端部の接線である。
【0070】
符号12は、直線Hと接線J、Kとのなす角度が少なくとも90度以下の剥離範囲である。この剥離範囲は、二点鎖線Lと接線J、Kとで囲まれる平面視三角形の範囲である。
【0071】
そして、本発明の基板の剥離方法は、剥離範囲12において、接線M、Nと接線J、Kとのなす角度θが90度よりも大きくなるように界面を剥離させることを特徴としている。
【0072】
図3(b)は、本発明の基板の剥離方法による剥離前線Eの剥離進行方向を示した要部説明図である。
【0073】
剥離範囲12において進行する剥離前線Eは、基板2の端部に発生しているクラック13を通過する際、クラック13を伸展させる方向に通過せず、矢印Pの如く基板2の内側から基板2の縁部に向いた方向に通過する。これにより、界面を剥離させる力がクラック13を伸展させる方向に作用しないため、クラック13は剥離前線Eの進行とともに伸展しない。よって、本発明の基板の剥離方法によれば、基板2にクラック13が発生していた場合であっても基板2を良好に剥離できる。
【0074】
なお、剥離範囲12を規定した理由は、剥離範囲12を超えた範囲において、
図19(a)に示した従来の剥離方法であっても、角度θが90度よりも大きくなる場合があるからである。この場合には、従来の剥離方法であってもクラックは伸展しない。つまり、本発明の基板の剥離方法は、剥離範囲12に存在するクラック13による基板2の割れを防止するものである。
【0075】
また、
図3(a)の剥離方法は、隅部8側から隅部9側に向けた矢印Dで示す剥離進行方向に沿って界面を順次剥離する剥離方法である。これに対して、
図4の他の剥離方法は、基板2の短辺2Cから短辺2Dに向けた矢印Qで示す剥離進行方向に沿って剥離前線Eを進行させて界面を順次剥離する剥離方法である。
図4の剥離方法の場合は、基板2の全面が剥離範囲12となる。
【0076】
更に、
図5に示す円形の基板1Cの場合も同様の剥離方法によって界面を剥離する。すなわち、界面を剥離した剥離領域10と未剥離領域11との境界線である剥離前線Eと基板2の外周との2つの交点F、Gを結んだ直線Hと、剥離領域10の基板2の外周の接線J、Kと、のなす角度が少なくとも90度以下の剥離範囲(二点鎖線Lと接線J、Kとで囲まれる、平面視半円形の範囲)12において、剥離前線Eの端部の接線M、Nと接線J、Kとのなす角度θが90度よりも大きくなるように界面を剥離させる。この場合も、同様の効果が得られる。以上が、本発明の基板の剥離方法であり、従来の問題を解決できる。
【0077】
次に、本発明の基板の剥離装置を説明する。
【0078】
〔本発明の基板の剥離装置〕
図6は、剥離装置20の基本構成を示した要部縦断面図である。
図7は、後述する可撓性板22に対する複数の可動体24、24…の配置位置を模式的に示した可撓性板22の平面図である。また、
図6は、
図7のR−R線に沿う断面図に相当する。
【0079】
図6の如く剥離装置20は、基板2と補強板3との界面を隅部8側から隅部9側に向けて順次剥離する。剥離時には、
図7の如く前記界面を剥離した剥離領域10と未剥離領域11との境界線である剥離前線Eが矢印D方向に進行する。
【0080】
また、剥離装置20は、基板2を変形不能に支持して補強板3を撓み変形させることにより、前記界面を剥離する装置であるが、補強板3を変形不能に支持して基板2を撓み変形させて前記界面を剥離する装置であってもよい。
【0081】
剥離装置20は、支持手段である平板状のステージ26、可撓性板22、複数の可動体24、24…、可動体24毎に可動体24を昇降移動させる複数の駆動装置28、及び駆動装置28毎に駆動装置28を制御する制御装置(制御手段)30等によって構成される。
【0082】
ステージ26は、基板2を支持するため、積層板1の第1の主面(基板2の表面)1aを真空吸着保持する。なお、真空吸着に代えて、静電吸着又は磁気吸着してもよい。また、ステージ26は、剥離時に基板2を変形不能に支持するため、剛性の高い金属製である。
【0083】
可撓性板22は、補強板3を撓み変形させるため、積層板1の第2の主面1bを真空吸着保持する。なお、真空吸着に代えて、静電吸着又は磁気吸着してもよい。
【0084】
図8(a)は、可撓性板22の平面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のS−S線に沿う可撓性板22の縦断面図である。
【0085】
可撓性板22は、積層板1の第2の主面1bを吸着保持する布状の吸着シート32、吸着シート32が被覆される弾性シート34、及び弾性シート34を支持する本体板36から構成される。弾性シート34の表面には貫通した枠状の溝38が備えられ、この溝38よりも内側に吸着シート32が被覆されている。また、本体板36には、複数の貫通孔40、40…が開口されており、これらの貫通孔40、40…の一端は溝38に連通され、他端は、不図示の吸引管路を介して吸気源(例えば真空ポンプ)に接続されている。
【0086】
したがって、前記吸気源が駆動されると、前記吸引管路、貫通孔40、及び溝38の空気が吸引されることにより、積層板1の第2の主面1bが吸着シート32に真空吸着保持される。この場合、吸着シート32が積層板1の第2の主面1bを全体的に支持できるように、吸着シート32の外形は積層板1の第2の主面1bの外形よりも大きく設定されている。また、弾性シート34の材料としては、特に限定されないがゴムが好ましい。ゴムとしては、シリコーンゴムが好ましい。
【0087】
本体板36は弾性シート34と同じ大きさである。また、本体板36は、弾性シート34よりも曲げ剛性が高く、本体板36の曲げ剛性が可撓性板22の曲げ剛性を支配する。可撓性板22の単位幅(1mm)あたりの曲げ剛性は、1000〜40000N・mm
2/mmであることが好ましい。例えば、可撓性板22の幅が100mmの部分では、曲げ剛性は、100000〜4000000N・mm
2となる。可撓性板22の曲げ剛性を1000N・mm
2以上とすることで、可撓性板22が吸着保持する板(本実施形態では補強板3)の折れ曲がりを防止することができる。また、可撓性板22の曲げ剛性を4000N・mm
2以下とすることで、可撓性板22が吸着保持する板を適度に撓み変形させることができる。
【0088】
本体板36としては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂等の樹脂板の他、金属板が用いられる。
【0089】
なお、ステージ26による積層板1の第1の主面1aの支持方法及び構造も、可撓性板22による真空吸着保持方法及びその構造と略同一である。
【0090】
図6に示すように本体板36の下面には、
図7に示した円盤状の可動体24、24…が碁盤目状に固定される。これらの可動体24、24…は、本体板36にボルト等の締結部材によって固定されるが、ボルトに代えて接着固定されてもよい。これらの可動体24、24…は、制御装置30によって駆動制御された駆動装置28、28…によって、ステージ26に対し、独立して昇降移動される。
【0091】
すなわち、制御装置30は、
図7において隅部8側に位置する可動体24、24…から矢印Dで示す剥離進行方向の隅部9側に位置する可動体24、24…を、ステージ26に対して離間させる方向に順次下降移動させる。この動作によって、
図9の縦断面図の如く基板2と補強板3との界面が隅部8側から隅部9側に向けて順次剥離していく。
【0092】
駆動装置28は、例えば回転式のサーボモータ及びボールねじ機構等で構成される。サーボモータの回転運動は、ボールねじ機構において直線運動に変換され、ボールねじ機構のロッド42に伝達される。ロッド42の先端部には、ボールジョイント44を介して可動体24が設けられている。これにより、ステージ26から離間した可動体24を、
図9の如く可撓性板22の撓み変形に追従して傾動させることができる。よって、可撓性板22に無理な力を加えることなく、可撓性板22を撓み変形させることができる。なお、駆動装置28としては、回転式のサーボモータ及びボールねじ機構に限定されず、リニア式のサーボモータ、又は流体圧シリンダ(例えば空気圧シリンダ)であってもよい。
【0093】
複数の駆動装置28、28…は、ステージ26に対して昇降可能なフレーム46にクッション部材48を介して取り付けられることが好ましい。クッション部材48は、可撓性板22の撓み変形に追従するように弾性変形する。これによって、ロッド42がステージ26に対して傾動する。
【0094】
フレーム46は、剥離した補強板3を可撓性板22から取り外す際に、不図示の駆動部によって下降移動される。これにより、ステージ26と可撓性板22との間に、補強板3を取り出すための十分な作業空間が得られる。また、ステージ26も同様に駆動部50、50…によって昇降移動され、可撓性板22に対して進退移動する。
【0095】
制御装置30は、CPU、ROMやRAM等の記録媒体等を含むコンピュータとして構成される。制御装置30は、記録媒体に記録されたプログラムをCPUに実行させることにより、複数の駆動装置28を駆動装置28毎に制御して、複数の可動体24、24…の昇降移動を制御する。
【0096】
次に、
図3(a)で示した剥離前線Eを得るための第1の剥離装置の構成について説明する。
【0097】
〔第1の剥離装置の構成〕
図10(a)は、ステージ26と可撓性板22とからなる剥離手段によって積層板1を保持する前の状態を示した要部縦断面図、
図10(b)は、前記剥離手段によって積層板1を保持した状態の要部縦断面図、
図10(c)は、前記剥離手段によって界面が完全に剥離された基板2と補強板3とを示した要部縦断面図である。
【0098】
また、
図11(a)は、進行中の剥離前線Eが示された積層板1の平面図であり、
図11(b)は、
図11(a)のT−T線に沿う縦断面図である。
【0099】
図10(a)〜(c)に示すように、可撓性板22の弾性シート34には、積層板1の第2の主面1bの枠状の外縁1cを吸着保持する第1の吸着面22A、及び外縁1cを除く矩形状の第2の主面1bを吸着保持する第2の吸着面22Bが備えられている。第2の吸着面22Bは、第2の主面1bに対して平行な面であり、第1の吸着面22Aは、第2の吸着面22Bに対して所定量突出した突出面である。
【0100】
また、ステージ26を構成する弾性シート52にも同様の第1の吸着面52A、及び第2の吸着面52Bが備えられている。すなわち、弾性シート34には、積層板1の第1の主面1aの枠状の外縁1dを吸着保持する第1の吸着面52A、及び外縁1dを除く矩形状の第1の主面1aを吸着保持する第2の吸着面52Bが備えられている。第2の吸着面52Bは、第1の主面1aに対して平行な面であり、第1の吸着面52Aは、第2の吸着面52Bに対して所定量突出した突出面である。
【0101】
一例として、第1の吸着面22A、52Aの突出量tは約0.5mmであり、第1の吸着面22A、52Aの幅wは2〜10mmである。なお、第1の吸着面22A、52Aは、ステージ26及び可撓性板22のうち少なくとも一方に備えられていればよい。この場合、前記突出量tは約1.0mmとなる。
【0102】
上記の如く構成された第1の剥離装置によれば、
図7の如く、矢印Dで示した剥離進行方向の隅部8側に位置する可動体24から剥離進行方向の隅部9側に位置する可動体24を、
図9の如く、ステージ26に対して離間させる方向に制御装置30によって順次下降移動させると、
図11(b)の如く、積層板1の外縁1c、1dが外縁1c、1dを除く面よりも遅れて剥離する。
【0103】
これにより、第1の剥離装置によれば、
図3(a)の如く、剥離前線Eの端部の接線M、Nと、剥離領域10の外周の接線J、Kとのなす角度θが90度よりも大きくなるので、
図3(b)に示したクラック13が基板2に発生していた場合であっても基板2を良好に剥離できる。
【0104】
図12(a)は、第1の吸着面22A、52Aの肉厚を代えて2段階構成とした別形態の剥離装置が示されている。
図12(b)は、第1の吸着面22A、52Aの背面側に長さの異なる二層の中間膜54、56を重ねて配置して、第1の吸着面22A、52Aを2段階構成とした別形態の剥離装置が示されている。これらの別形態の剥離装置であっても同様の効果を得ることができる。また、第1の吸着面22A、52Aを傾斜面としても同様である。
【0105】
以上述べた第1の剥離装置は、弾性シート34、52に第1の吸着面22A、52Aを備えたことを特徴としたものである。
【0106】
次に、第2の剥離装置について説明する。
【0107】
〔第2の剥離装置の構成〕
前記第1の剥離装置の構成に対する、第2の剥離装置の構成の相違点は、可撓性板22の弾性シート34の吸着面、ステージ26の弾性シート52の吸着面が段差無くフラットである点、及び第2の主面1bの外縁1cに位置する可動体24の離間移動開始時間を、外縁1cを除く第2の主面1bに位置する可動体24の離間移動開始時間よりも所定時間遅らせる点である。
【0108】
図13(a)、(b)は、第2の剥離装置による剥離形態が模式的に示されている。
【0109】
図13(a)は、剥離前線Eが隅部8側から隅部9側に向けて進行している可撓性板22の平面図、
図13(b)は、
図13(a)のU−U線に沿う縦断面図である。
【0110】
次に、第2の剥離装置による基板の剥離方法について、
図10(a)と
図13(a)、(b)とを参照して説明する。
【0111】
第2の剥離装置による基板の剥離方法は、第2の主面1bの外縁1cに位置する可動体24の離間移動開始時間を、外縁1cを除く第2の主面1bに位置する可動体24の離間移動開始時間よりも制御装置30によって所定時間遅らせる。これにより、
図13(b)の如く、補強板3の外縁が外縁を除く面よりも遅れて剥離する。このような制御装置30による制御を、剥離前線E(
図3(a)参照)の剥離進行方向である矢印Dに対して略直交する方向に配列された複数の可動体24、24…について実施する。
【0112】
これにより、第2の剥離装置による基板の剥離方法によれば、
図3(a)の如く、剥離前線Eの端部の接線M、Nと、剥離領域10の基板2の外周の接線J、Kとのなす角度θが90度よりも大きくなるので、基板2にクラック13(
図3(b)参照)が発生していた場合であっても基板2を良好に剥離できる。
【0113】
〔剥離装置に対する積層板の搬入工程、剥離工程、搬出工程〕
図14(a)〜(c)〜
図15(a)〜(c)は、積層板1を剥離装置20に搬入する搬入工程、積層板1の剥離工程、及び剥離した基板2と補強板3を剥離装置20から搬出する搬出工程を時系列的に示した説明図である。また、剥離装置20への積層板1の搬入作業、及び剥離した補強板3及び基板2の搬出作業は、
図14(a)に示す複数の吸着パッド58、58…を備えた搬送装置60によって行われる。
【0114】
図14(a)は、搬送装置60によって積層板1が可撓性板22に載置された剥離装置20の側面図である。この場合、可撓性板22とステージ26との間に搬送装置60が挿入されるように、可撓性板22とステージ26とが相対的に十分に退避した位置に予め移動されている。そして、積層板1が可撓性板22に載置されると、可撓性板22によって積層板1の補強板3が真空吸着保持される。つまり、積層板1の第2の主面1bが可撓性板22に真空吸着保持される。
【0115】
図14(b)は、可撓性板22とステージ26とが相対的に近づく方向に移動されて、積層板1の第1の主面1aがステージ26によって真空吸着保持された状態の剥離装置20の側面図である。
【0116】
図14(c)は、剥離装置20によって、本発明の剥離方法が実施されている状態の剥離装置20の側面図である。同図によれば、可撓性板22が撓み変形されながら、積層板1の界面が剥離前線Eに沿って剥離されている。
【0117】
図15(a)は、界面が完全に剥離された状態の剥離装置20の側面図である。同図によれば、剥離した基板2がステージ26に真空吸着保持され、剥離した補強板3が可撓性板22に真空吸着保持されている。また、可撓性板22とステージ26との間に、
図14(a)で示した搬送装置60が挿入されるように、可撓性板22とステージ26とが相対的に十分に退避した位置に予め移動されている。
【0118】
この後、まず、可撓性板22の真空吸着が解除される。次に、搬送装置60の吸着パッド58、58…によって補強板3が吸着保持される。次いで、搬送装置60によって、補強板3が剥離装置20から搬出される。
【0119】
図15(b)は、ステージ26から可撓性板22に基板2が受け渡された状態の剥離装置20の側面図である。すなわち、ステージ26が可撓性板22に向けて下降移動され、基板2が可撓性板22に載置されたタイミンングでステージ26の吸着保持が解除され、その後、ステージ26が可撓性板22から十分に離間した位置に退避移動される。
【0120】
図15(c)は、基板2が搬出される直前状態の剥離装置20の側面図である。この後、
図14(a)で示した搬送装置60によって基板2が吸着保持されて、剥離装置20から基板2が搬出される。
【0121】
以上が、剥離装置20に対する積層板1の搬入工程、剥離工程、搬出工程である。
【0122】
〔剥離装置に対する積層体の搬入工程、剥離工程、搬出工程〕
図16(a)〜(c)〜
図17(a)〜(c)〜
図18(a)〜(c)は、
図2に示した積層体6を剥離装置20に搬入する搬入工程、積層体6の剥離工程、剥離した補強板3A、3Bを剥離装置20から搬出する搬出工程、及び補強板3A、3Bが剥離した基板2A、2Bと液晶層7とからなる電子デバイス用のパネル62を剥離装置20から搬出する搬出工程を時系列的に示した説明図である。また、剥離装置20への積層体6の搬入作業、及び剥離した補強板3A、3B及びパネル62の搬出作業は、
図14(a)に示した搬送装置60によって行われる。
【0123】
また、
図16〜
図18に示した剥離装置20は、ステージ26の代わりに可撓性板64を配置し、上下に位置する一対の可撓性板22、64によって補強板3A、3Bを剥離させる機能を備えている。すなわち、可撓性板64は、可撓性板22と同一の機能を備えている。つまり、可撓性板64には、可撓性板22を撓み変形させる可動体24と同一の可動体(不図示)、駆動装置28と同一の駆動装置(不図示)、及び制御装置30と同一の制御装置(不図示)を備えている。
【0124】
図16(a)は、搬送装置60によって積層体6が可撓性板22に載置された剥離装置20の側面図である。この場合、可撓性板22と可撓性板64との間に搬送装置60が挿入されるように、可撓性板22と可撓性板64とが相対的に十分に退避した位置に予め移動されている。そして、積層体6が可撓性板22に載置されると、可撓性板22によって積層体6の補強板3Bが真空吸着保持される。つまり、積層体6の第2の主面6bが可撓性板22に真空吸着保持される。
【0125】
図16(b)は、可撓性板22と可撓性板64とが相対的に近づく方向に移動されて、積層体6の第1の主面6aが可撓性板64によって真空吸着保持された状態の剥離装置20の側面図である。
【0126】
図16(c)は、剥離装置20によって、本発明の剥離方法が実施されている状態の剥離装置20の側面図である。同図によれば、可撓性板22が撓み変形されながら、積層体6の基板2Bと補強板3Bとの界面が剥離前線Eに沿って剥離されている。
【0127】
図17(a)は、基板2Bと補強板3Bとの界面が完全に剥離された状態の剥離装置20の側面図である。同図によれば、剥離した補強板3Bが可撓性板22に真空吸着保持され、補強板3Bを除く積層体66(補強板3A、基板2A、液晶層7、及び基板2Bからなる積層体)が可撓性板64に真空吸着保持されている。また、可撓性板22と可撓性板64との間に、
図14(a)で示した搬送装置60が挿入されるように、可撓性板22と可撓性板64とが相対的に十分に退避した位置に予め移動されている。
【0128】
この後、まず、可撓性板22の真空吸着が解除される。次に、搬送装置60の吸着パッド58、58…によって補強板3Bが吸着保持される。次いで、搬送装置60によって、補強板3Bが剥離装置20から搬出される。
【0129】
図17(b)は、可撓性板22と可撓性板64とによって積層体66が真空吸着保持された剥離装置20の側面図である。すなわち、可撓性板22と可撓性板64とが相対的に近づく方向に移動されて、積層体66が可撓性板22と可撓性板64とによって真空吸着保持される。
【0130】
図17(c)は、剥離装置20によって、本発明の剥離方法が実施されている状態の剥離装置20の側面図である。同図によれば、可撓性板64が撓み変形されながら、積層体66の基板2Aと補強板3Aとの界面が剥離前線Eに沿って剥離されている。
【0131】
図18(a)は、基板2Aと補強板3Aとの界面が完全に剥離された状態の剥離装置20の側面図である。同図によれば、剥離した補強板3Aが可撓性板64に真空吸着保持され、パネル62が可撓性板22に真空吸着保持されている。また、可撓性板22と可撓性板64との間に、
図14(a)で示した搬送装置60が挿入されるように、可撓性板22と可撓性板64とが相対的に十分に退避した位置に予め移動されている。
【0132】
この後、まず、可撓性板22の真空吸着が解除される。次に、搬送装置60の吸着パッド58、58…によってパネル62が吸着保持される。次いで、搬送装置60によって、パネル62が剥離装置20から搬出される。
【0133】
図18(b)は、可撓性板64から可撓性板22に補強板3Aが受け渡された状態の剥離装置20の側面図である。すなわち、可撓性板64が可撓性板22に向けて下降移動され、補強板3Aが可撓性板22に載置されたタイミンングで可撓性板64の吸着保持が解除され、その後、可撓性板64が可撓性板22から十分に離間した位置に退避移動される。
【0134】
図18(c)は、補強板3Aが搬出される直前状態の剥離装置20の側面図である。この後、
図14(a)で示した搬送装置60によって補強板3Aが吸着保持されて、剥離装置20から補強板3Aが搬出される。
【0135】
以上が、剥離装置20に対する積層体6の搬入工程、剥離工程、搬出工程である。
【0136】
以上、本発明の好ましい形態について説明したが、本発明は上記形態に制限されない。本発明の範囲を逸脱することなく、上記形態に種々の変形及び置換を加えることができる。