(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
解繊して得られるセルロースナノファイバーの長さと幅が、長軸方向に100nm〜1000000nm、及び短軸方向に5nm〜1000nmである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
前記複合化する工程において、樹脂組成物と希釈用樹脂を配合した樹脂組成物中の総量に対して、含まれるセルロースナノファイバー量が0.5質量%〜30質量%であることを特徴とする、請求項6に記載の成形体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の記載は本発明の実施形態の一例であり、本記載に限定されるものではない。
【0010】
〔パルプ〕
本発明におけるセルロースナノファイバーは、セルロース重合度が100〜500であるパルプを解繊して得ることを特徴とする。
パルプとしては、セルロース重合度が100〜500のパルプであれば、木材パルプ、および/または非木材パルプを好適に使用できる。木材パルプとしては、機械パルプと化学パルプとがあり、どちらも好ましく使用できる。リグニン含有量の観点から言えば、リグニン含有量の少ない化学パルプのほうが好ましい。化学パルプには、サルファイドパルプ、クラフトパルプ、アルカリパルプなどがあるが、いずれも好適に使用できる。非木材パルプとしては、藁、バガス、ケナフ、竹、葦、楮、亜麻など、いずれも利用可能である。
【0011】
また、パルプを漉いたものである紙も、本発明のパルプとして用いることができる。新聞紙や廃牛乳パック、コピー済み用紙などの古紙も好適に利用できる。
【0012】
本発明で示したパルプのセルロース重合度は、以下の方法で得ることができる。すなわち、パルプを銅エチレンジアミンに溶解させ、キャノン−フェンスケ粘度計を用いて粘度を測定し、Schulz−Blaschke式から極限粘度計数を求めて、Mark−Houwink−Sakurada式から、重合度を算出する。
【0013】
Schulz−Blaschke式
[η]=η
sp/0.28(1+Aη
sp)
上式中、[η]:極限粘度数
η
sp=η
r−1:相対増分、
η
r=η/η
0:相対粘度
η:試料の粘度
η
0:銅エチレンジアミン希釈溶液の粘度
A:試料溶液中の絶乾セルロースの濃度(g/mL)
【0014】
Mark−Houwink−Sakurada式
DP=10
{log10([η]/1.333)/0.905}
上式中、DP:重合度
[η]:極限粘度数
【0015】
パルプ繊維長は、公知慣用の方法で測定すればよい。例えば、光学顕微鏡や繊維分析計ファイバーテスター(Lorentzen & Wettre社製)等を使用して測定すればよい。
【0016】
本発明におけるセルロースナノファイバー製造用のパルプは、パルプのセルロース重合度が100〜500である。この重合度を採用することで、得られるセルロースナノファイバーを樹脂に希釈した際の粘度を下げる事ができる。パルプのセルロース重合度としては、より好ましくは150〜500である。
セルロース重合度が500を超える場合、得られるセルロースナノファイバーを複合した樹脂の流動性の低下が生じたり、気泡が巻き込まれやすくなり脱泡が困難になる等の可能性がある。セルロース重合度が100未満の場合、得られるセルロースナノファイバーが本来持つ強靭性を損なって、目的とするナノフィラーとしての機能が得られない可能性がある。
【0017】
本発明で規定するセルロース重合度が100〜500であるパルプは、原料となるパルプを解重合処理して調整できる。解重合処理の方法は特に限定されず、必要に応じて選択できる。しかしながら、酸加水分解処理によって調製することが好適である。この他に、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、及び振動ボールミル処理等によって、解重合処理を行い、所望のパルプを得ることもできる。
【0018】
また、パルプの繊維長は、10〜1000μmである事が好ましい。前記繊維長であると、得られるセルロースナノファイバーの粘度がさらに低下する為好ましい。
パルプの繊維長は、より好ましくは10〜850μm、更に好ましくは10〜500μm、特に好ましくは10〜350μmである。
【0019】
本発明で規定する繊維長10〜1000μmのパルプは、どの様な方法で繊維長を調製しても構わない。例えば、機械的粉砕処理によって微粉細化及び/又は分級する事で、目的の繊維長のパルプを得ることができる。機械的処理で用いる装置として、例えば、ハンマーミル、ピンミル等の衝撃式ミル、ボールミル、タワーミル等の媒体ミル、カッティング式ミル、気流式ミルを単独あるいは併用しても良い。
【0020】
〔セルロースナノファイバー〕
本発明におけるセルロースナノファイバーは、原料パルプに機械的に剪断力を与えることにより、製造出来る。剪断に用いる媒体(解繊用媒体)は、水系溶媒であっても、樹脂系媒体であっても構わない。しかしながら、得られたセルロースナノファイバーを他の希釈用樹脂に複合化する際に、水や有機溶剤の除去操作を必要としないという点からは、樹脂系媒体が好ましい。すなわち解繊樹脂(解繊用樹脂)が必要に応じてより好ましく使用できる。解繊樹脂の種類は、必要に応じて選択できる。具体例としては、後述するポリエステル系樹脂や、アクリル樹脂などが挙げられる。
剪断力を与える手段は任意に選択でき、例えば、ビーズミル、超音波ホモジナイザー、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、グラインダー、加圧ニーダー、2本ロール等の公知の混練機等を用いることができる。
また、これらの中でも、高粘度の樹脂中でも安定した剪断力を得られる観点から、加圧ニーダーを用いることが好ましい。
また、水系溶媒で微細化する場合は、例えば、リファイナー、高圧ホモジナイザー、媒体攪拌ミル、石臼、グラインダー、二軸押し出し機等の一般的な微細化方法が好ましく使用できる。これら方法により磨砕及び/又は叩解することによって、原料パルプを微細化してセルロースナノファイバーが製造される。
なおパルプと解繊用媒体は、混合されて組成物を形成してから上記装置などに投入して解繊を行っても良いし、それぞれを装置に投入してから、解繊を行っても良い。
なお本発明においてセルロースナノファイバーとは、ナノフィラーを意味して良い。具体的には、解繊して得られるセルロースナノファイバーは、例えば、長軸方向に100nm〜1000000nmであることが好ましい。短軸方向の長さとしては、例えば、5nm〜1000nmであることが好ましい。これらの長さは、例えば走査型電子顕微鏡により測定すれば得る事ができる。
【0021】
〔解繊樹脂〕
本発明では、解繊に使用される解繊樹脂は必要に応じて選択できる。下記に述べるポリエステル樹脂が好ましく使用される。
〔ポリエステル系樹脂〕
本発明に使用されえる解繊樹脂としては、ポリエステル系樹脂が挙げられる。本発明のポリエステル系樹脂とは、下記一般式(1)で表される1種若しくは2種以上のポリオールと、下記一般式(2)で表される1種若しくは2種以上のポリカルボン酸とを反応させて得られる、ポリエステルである事が好ましい。
【0022】
A−(OH)m・・・(1)
[式中、Aは酸素原子を含んでいても良い炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基、またはヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。]
B−(COOH)n・・・(2)
[式中、Bは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族基、またはヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。]
【0023】
一般式(1)で表されるポリオールの例としては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、ペンチルグリコール、ネオペンチルグリコ−ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ヘプタンジオール、水素化ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−シクロヘキサングリコ−ル、1,3−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、パラキシレングリコ−ル、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオ−ル、2,6−デカリングリコ−ル、2,7−デカリングリコ−ル、エチレングリコ−ルカ−ボネ−ト、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0024】
一般式(2)で表されるポリカルボン酸の例としては、不飽和二塩基酸およびその無水物があり、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等が挙げられ、さらに、ハロゲン化無水マレイン酸等、アコニット酸などのα,β−不飽和二塩基酸や、ジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和二塩基酸が挙げられる。また更に前記例として、飽和二塩基酸およびその無水物として、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられ、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、コハク酸無水物、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等が挙げられる。
【0025】
なお、上記のポリオールとポリカルボン酸に加えて、実質的にその特性を損なわない程度に、1価アルコール、1価カルボン酸、およびヒドロキシカルボン酸を更に用いても良い。
1価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、イソヘキサノール、n−ヘプタノール、イソヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、イソオクタノール、n−ノナノール、イソノナノール、n−デカノール、イソデカノール、イソウンデカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、トリデシルアルコール、ベンジルアルコールステアリルアルコール等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いても良い。
1価カルボン酸の例としては、安息香酸、ヘプタン酸、ノナン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いても良い。
ヒドロキシカルボン酸の例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、p―ヒドロキシ安息香酸挙げられ、これらを1種または2種以上を用いても良い。
【0026】
また、本発明におけるポリエステル系樹脂としては、ポリエステルを変性して得られる変性ポリエステル樹脂を用いても良い。変性ポリエステル樹脂の例としては、ウレタン変性ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステル、シリコーン変性ポリエステルなどが挙げられる。
【0027】
また、本発明におけるポリエステル系樹脂は、直鎖状でもよく、あるいは、多分岐状ポリエステルを用いてもかまわない。
【0028】
本発明におけるポリエステル系樹脂は、エステル基濃度が6.0mmol/g以上であることが好ましい。より好ましくは6.0〜30mmol/g、更に好ましくは6.0〜20mmol/g、特に好ましくは6.0〜14mmol/gである。
また、エステル基濃度が6.0mmol/g以上かつ酸価が10KOHmg/g以上であることも、好ましい。
より好ましくは酸価が10〜300KOHmg/g、更に好ましくは10〜200KOHmg/g、特に好ましくは10〜100KOHmg/gである。
また、エステル基濃度が6.0mmol/g以上、かつ水酸基価が10KOHmg/g以上であることも好ましい。
より好ましくは、水酸基価が10〜1000KOHmg/g、更に好ましくは10〜800KOHmg/g、特に好ましくは10〜500KOHmg/gである。
また、本発明におけるポリエステル系樹脂は、エステル基濃度が6.0mmol/g以上で、酸価が10KOHmg/g以上かつ水酸基価が10KOHmg/g以上であると、特に好ましい。
【0029】
本発明において、前記ポリエステル系樹脂は単独で用いても良いが、複数を組み合わせて用いてもかまわない。
【0030】
本発明の微細化方法により、パルプはナノファイバーに微細化される。本発明の微細化方法では、前述したように、例えば、長軸方向に100nm〜1000000nm、短軸方向に5nm〜1000nmに、微細化することが可能である。
【0031】
〔解繊樹脂とパルプの比率〕
本発明において、解繊樹脂とパルプの比率は、任意に変更が可能である。解繊樹脂中でのパルプの微細化後に、さらに希釈用樹脂を混合する場合には、予め解繊樹脂中のパルプ比率がある程度高いほうが、より樹脂の強化の効果があげられる。一方で、解繊樹脂の比率が少なすぎると、十分なパルプの微細化効果を得ることができない。パルプと解繊樹脂を含む組成物中のパルプの比率は、10質量%〜90質量%が好ましく、より好ましくは30質量%〜70質量%、更に好ましくは40質量%〜60質量%である。
【0032】
〔マスタバッチ〕
解繊樹脂中でパルプを微細化して得られたセルロースナノファイバーは、精製工程を経ずに、そのまま解繊樹脂とセルロースナノファイバーを含むマスタバッチ(樹脂組成物)として利用しても良い。あるいは、マスタバッチをさらに希釈用樹脂に複合して、複合された複合樹脂組成物として利用することができる。また、希釈用樹脂を使用せず、前記マスタバッチそのものを、本発明の樹脂組成物として用い、成形体を直接製造してもかまわない。本発明のセルロースナノファイバーは、マスタバッチ化した時にマスタバッチの粘度が低いため、成形が容易であり、好ましい。
【0033】
本発明におけるマスタバッチは、解繊樹脂とパルプを解繊して得られるセルロースナノファイバーを必須成分とする。本発明の効果を損なわない範囲であれば、マスタバッチに、各種樹脂、添加剤、有機及び無機フィラーなどを添加する事が可能である。
【0034】
〔水系溶媒〕
本発明では、解繊の為に、水系溶媒を用いる事も出来る。例えば、パルプと水または水系溶媒を混合し組成物を形成し、この組成物を用いて解繊作業を行っても良い。水系溶媒は必要に応じて選択できる。本発明で使用できる水系溶媒とは、水や、アルコール類などの水系溶媒のことを意味する。具体的には、水、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、及び、アセトン、等が例として挙げられる。ポリエステル樹脂の材料として挙げられたアルコール類などから、必要に応じて選択して使用する事も可能である。組み合わせも必要に応じで選択でき、1種を使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
〔解繊方法〕
本発明において使用する解繊方法は、使用するパルプのセルロース重合度が100〜500であれば、特に限定されず任意に選択できる。本分野で使用される一般的な方法や条件を好ましく使用できる。
例えば、前記パルプを常温で解繊樹脂に加え混合し、混合物を作成してから、さらにその後、混練装置などを用いて、混練しても良い。あるいは、混合物に必要に応じて熱を加えながら、溶融混練を行っても良い。または、解繊樹脂を先に、混練、熱を加えて溶融、あるいは、溶融混練、などをしておき、その後、これにパルプを加えて、混練をしても良い。
あるいは、前記パルプを、水または水系溶媒中で解繊する場合には、パルプを水または水系溶媒に加え、ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することで、解繊することができる。条件等は必要に応じて選択してよい。
本発明においては、必要に応じて、解繊後に、水または水系溶媒を用いた洗浄や溶媒置換、及び/または凍結乾燥処理や分離等を行っても良い。
【0035】
〔希釈用樹脂〕
本発明で得られるセルロースナノファイバー、又はセルロースナノファイバーを含有するマスタバッチは、樹脂強化剤として希釈用樹脂に混合されることで、樹脂組成物の強度を向上させることが可能である。
希釈用樹脂としては特に制限が無く、任意で選択できる。希釈用樹脂は、ホモポリマーであってもコポリマーであっても良く、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれも、使用することができる。また、一種類を用いてもよく、複数種の樹脂を組み合わせて用いてもかまわない。あるいはモノマーを便宜上希釈用樹脂と呼び、マスタバッチとモノマーを混合後、モノマーを重合させても下記樹脂などを形成しても良い。解繊樹脂と希釈用樹脂の種類は、同じであっても異なっていても良い。
解繊樹脂と希釈用樹脂の比率は、任意で選択できる。セルロースナノファイバーを含有する水系溶媒と希釈用樹脂の比率も、任意で選択できる。
【0036】
熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形可能な樹脂を言う。その具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0037】
熱硬化性樹脂とは、加熱または放射線や触媒などの手段によって、熱で硬化される際に、実質的に不溶かつ不融性に変化し得る特性を持った樹脂である。その具体例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。また、本発明の樹脂の主成分が熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の熱硬化性樹脂を添加することや、逆に主成分が熱硬化性樹脂の場合に熱硬化性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。
【0038】
前記樹脂組成物におけるマスタバッチと希釈用樹脂の比率は、本発明の効果を損なわない範囲であれば任意に選択できる。マスタバッチと希釈用樹脂を配合した樹脂組成物中でのセルロースナノファイバー量は、好ましくは0.5質量%〜30質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜20質量%であり、さらに好ましくは0.5〜10 質量%であり、特に好ましくは、0.5〜3質量%である。またセルロースナノファイバーを含有する水系溶媒と希釈用樹脂の比率は、本発明の効果を損なわない範囲であれば任意に選択できる。
【0039】
〔その他の添加剤〕
前記樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種添加剤を含有しても良い。例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、硬化剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン等)、酸化防止剤、無機フィラー、有機フィラー等をあげることができる。
【0040】
〔成形方法〕
本発明の樹脂組成物に係る成形体を成形する方法については、特に限定されず、任意で選択できる。例えば、板状の製品等を製造する場合であれば、押し出し成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、本発明では、異形押し出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることが可能である。またフィルム状の製品等を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶融成形方法や溶液キャスト法を用いることができる。溶融成形方法を用いる場合、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等が具体例として挙げられる。また、活性エネルギー線で硬化する樹脂の場合、活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて成形体を製造する事ができる。本発明においては、前記樹脂組成物に希釈用樹脂を加え複合化した組成物を、成形することも好ましい。
【0041】
〔用途〕
本発明における樹脂組成物は、成形用材料、塗工用材料、塗料材料、及び接着剤等の各種用途に好適に利用できる。例えば、自動車部品、航空機部品、電子及び電気部品、建築材料、容器及び包装部材、生活用品、スポーツ及びレジャー用品等への使用が挙げられるが、これらに限定される物ではない。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の好ましい態様を、実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、部および%は特に明記がない場合、重量換算である。
【0043】
(合成例1)
(ポリエステル系樹脂1の合成)
窒素ガス導入管、還流コンデンサ、及び、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコに、ジエチレングリコール758.2部(7.14mol、仕込みモル比0.53)、アジピン酸652.6部(4.47mol、仕込みモル比0.33)、及び、無水マレイン酸183.9部(1.88mol、仕込みモル比0.14)を仕込み、窒素気流下に、加熱を開始した。内温200℃にて、常法にて脱水縮合反応を行った。酸価が13KOHmg/gになったところで、直ちに150℃まで冷却し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを上記原料の全質量部に対し100ppm添加した。さらに室温まで冷却し、酸価13KOHmg/g、水酸基価89KOHmg/g、及び、エステル基濃度が9.1mmol/gである、ポリエステル系樹脂1を得た。
【0044】
ここで、酸価、水酸基価、エステル基濃度は以下の方法で規定した。
(酸価の測定方法)
500mlビーカーに試薬特級水酸化カリウム33gを計量し、イオン交換水150mlを徐々に加え、冷却した(KOH溶解液)。5リットル容器にこれの半分の量の工業用メタノールを入れ、KOH溶解液をメタノールと混合しながら徐々に前記容器に移した。更に工業用メタノールを徐々に加えて全量を5リットルとした(0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液)。
100ml三角マイヤーに試薬特級シュウ酸0.1gを精秤し、イオン交換水30ccを加えて溶かした。1%フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で滴定し、下記計算式(3)により力価を求めた。
力価=シュウ酸質量(g)×1000/[滴定(ml)×6.3]・・・(3)
100ml三角マイヤーに試料1gを採取し、トルエン−メタノール混合中性溶剤(トルエンとメタノールを7対3の割合で混合しフェノールフタレインを指示薬として0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で中和)30gを加え、スターラーで撹拌した。更にこれにエタノールで希釈した1%フェノールフタレイン指示薬を数滴加え、撹拌した。次に前記0.1mol水酸化カリウムアルコール溶液で滴定し、下記計算式(4)により酸価を求めた。
酸価=滴定量(ml)×力価×5.611/試料の質量(g)・・・(4)
【0045】
(水酸基価の測定)
末端水酸基価は、13C−NMRスペクトルにおける、末端構造およびエステル結合に由来する各ピークの面積比から求めた。測定装置は、日本電子製JNM−LA300を用いた。試料の10wt%重クロロホルム溶液に緩和試薬としてCr(acac)3を10mgを加え、ゲートデカップリング法による13C−NMRの定量測定を行なった。積算は4000回行なった。
【0046】
(エステル基濃度の計算方法)
エステル基濃度は下記計算式(5)により求めた。
エステル基濃度(mmol/g)=生成エステル基量(mol)/[仕込みモノマー量(weight)−生成水量(weight)]×1000・・・(5)
【0047】
(パルプ粘度の測定)
パルプ粘度の測定は、J.TAPPI(日本紙パルプ技術協会) No.44(製紙用さらしパルプの粘度測定方法)の方法に準じて行った。
【0048】
(パルプ繊維長の測定)
ファイバーテスター(Lorentzen & Wettre社製)を用いてパルプ繊維長を測定した。本発明においてパルプ繊維長とは、パルプの長さ加重平均繊維長のことを示す。
【0049】
A:(解繊樹脂(ポリエステル系樹脂)を用いた、セルロースナノファイバーの製造)
(実施例1) マスタバッチ1の製造
ポリエステル系樹脂1を400質量部、及び、日本製紙株式会社製のセルロースパウダー製品(パルプ)「KCフロック W−400G(セルロース重合度154、平均繊維長50μm以下(ファイバーテスター測定限界値以下)」600質量部を用意した。それぞれの材料を、森山製作所製加圧ニーダー(DS1−5GHH−H)に投入し、このニーダーを用いて、60rpmで480分加圧混練を行って、パルプの微細化処理を行い、マスタバッチ1を得た。得られたマスタバッチ1を1質量%となるようにアセトンに分散してガラス上に滴下乾燥させ、(株)日立ハイテクノロジー社製走査型電子顕微鏡S−3400を使用して10000倍の倍率で写真を撮影したところ、パルプのセルロース繊維が、直径数十ナノメートルまで微細化された事を確認した。なおマスタバッチ1のセルロース含有率は60%である。
【0050】
(実施例2) マスタバッチ2の製造
材料と量を変更した以外は、実施例1の製造方法と同様の装置と方法を用いた。具体的には、ポリエステル系樹脂1を500質量部、及び日本製紙株式会社製のセルロースパウダー製品(パルプ)「KCフロック W−100G(セルロース重合度264、平均繊維長216μm)」500質量部を用意した。森山製作所製加圧ニーダー(DS1−5GHH−H)を用いて、前記材料の混合物について、60rpmで480分加圧混練を行ってパルプの微細化処理を行い、マスタバッチ2を得た。得られたマスタバッチ2を、実施例1に記載した走査型電子顕微鏡による方法にて計測したところ、パルプのセルロース繊維が、直径数十ナノメートルまで微細化された事を確認した。なおマスタバッチ2のセルロース含有率は50%である。
【0051】
(実施例3) マスタバッチ3の製造
材料と量を変更した以外は、実施例1の製造方法と同様の装置と方法を用いた。具体的には、ポリエステル系樹脂1を500質量部、日本製紙株式会社製のセルロースパウダーW−50S(パルプ)(セルロース重合度420、平均繊維長347μm」500質量部を用意した。森山製作所製加圧ニーダー(DS1−5GHH−H)を用いて、前記材料の混合物について、60rpmで480分加圧混練を行ってパルプの微細化処理を行い、マスタバッチ3を得た。得られたマスタバッチ3を、実施例1に記載した走査型電子顕微鏡による方法にて計測したところ、パルプのセルロース繊維が、直径数十ナノメートルまで微細化された事を確認した。なおマスタバッチ3のセルロース含有率は50%である。
【0052】
(比較例1) 比較マスタバッチ1の製造
実施例1の製造方法と同様の装置を用い、比較実験を行った。具体的には、ポリエステル系樹脂1を600質量部、日本製紙株式会社製のセルロースパウダー製品「KCフロック W−50GK(セルロース重合度549、平均繊維長302μm)」400質量部を用意した。森山製作所製加圧ニーダー(DS1−5GHH−H)を用いて、前記材料の混合物について、60rpmで480分加圧混練を行ってパルプの微細化処理を行い、比較マスタバッチ1を得た。得られた比較マスタバッチ1を、実施例1に記載した走査型電子顕微鏡による方法にて計測したところ、パルプのセルロース繊維が、直径数十ナノメートルまで微細化された事を確認した。なお比較マスタバッチのセルロース含有率は40%である。
【0053】
(実施例4)
DIC(株)製エポキシ樹脂 EPICLON850を100重量部、メチル化テトラヒドロ無水フタル酸(Me−THPA)90重量部、及び、実施例1で得られたマスタバッチ1を、セルロースナノファイバーが得られた組成物の1重量部となるように、ホモミキサー(プライミックス社製)に加え、ホモミキサーにて分散撹拌して組成物を得て、粘度を測定した。
撹拌条件は、撹拌20分、撹拌速度は12000rpmであった。
粘度はBROOKFIELD社製、R/S−CPS型回転粘度計を用いて、測定温度25℃、コーンスピンドルRC3−50−2を用いて測定した。
【0054】
(実施例5)
実施例4において、セルロースナノファイバーの重量部を3重量部に変更した以外は同様にして、粘度を測定した。
【0055】
(実施例6)
実施例4において、マスタバッチ1をマスタバッチ2に変更(セルロースナノファイバー含有率1%)した以外は同様にして、粘度を測定した。
【0056】
(実施例7)
実施例4において、マスタバッチ1をマスタバッチ3に変更(セルロースナノファイバー含有率1%)した以外は同様にして、粘度を測定した。
【0057】
(比較例2)
実施例4において、マスタバッチ1を比較マスタバッチ1に変更(セルロースナノファイバー含有率1%)した以外は同様にして、粘度を測定した。
【0058】
(比較例3)
実施例5において、マスタバッチ1を比較マスタバッチ1に変更し、さらにセルロースナノファイバーの重量部を3重量部に変更した以外は同様にして、粘度を測定した。
【0059】
(比較例4)セルロースナノファイバーを添加しなかった樹脂粘度の測定。
実施例4において、マスタバッチ1を混合しなかった(セルロースナノファイバー含有率0%)以外は同様にして、粘度を測定した。
【0060】
全ての粘度測定の結果は、表1に示した。
【0061】
(実施例8) 実施例1で得られたマスタバッチ1を添加した樹脂成形体の製造及び破壊靱性値の測定
〔成形体の製造〕
実施例1で得られたマスタバッチ1を、以下に示す成形方法を用いて試験片(成形体)を作製し、破壊靭性値を測定した。
〔成形方法〕
以下、試験板の成形方法について説明する。DIC(株)製エポキシ樹脂 EPICLON850を77.8重量部に対し、実施例1で得られたマスタバッチ1を4.5重量部加え、ホモミキサー(プライミックス社製)にて分散撹拌した。次にIPDA(イソホロンジアミン)を17.7重量部加え、撹拌機で均一になるまで撹拌した。更に真空チャンバーにて脱気を行い、型に注いで110℃で30分加熱し硬化させ、厚み6mmの注型成形板を得た(セルロースナノファイバー含有率3%)。
〔試験片制作方法〕
この注型成形板より、ASTM D−5045(3点曲げ試験片(SENB))に規定される、試験片(今回の試験片高さW=12.7mm、奥行きB=6mm ノッチと予亀裂の大きさa=0.45〜0.55W)を、N(試験片の数)=8で作製した。
〔破壊靱性試験〕
ASTM D−5045に準拠し、試験を行った。すなわち、スパン50.8mm、ヘッドスピード10mm/minの条件で3点曲げ試験を実施し、所定の方法から荷重−変位曲線が線形内であることを確認の上、破壊靭性値を算出した。
【0062】
(比較例5) 比較例1で得られた比較マスタバッチ1を添加した樹脂成形体の製造、及び破壊靱性値の測定
実施例8において、マスタバッチ1を比較マスタバッチ1に変更(セルロースナノファイバー含有率3%)した以外は同様にして、成形板の作成を試みた。しかしながら、樹脂粘度が高いため、均一に分散する事ができず、型に注いで成型を行うことができなかった。
【0063】
(比較例6) セルロースナノファイバーを添加しなかった樹脂成形体の製造、及び破壊靱性値の測定
実施例8において、マスタバッチ1を混合しなかった(セルロースナノファイバー含有率0%)以外は同様にして、破壊靭性値を算出した。
【0064】
全ての破壊靭性値の結果は表2に示した。
【0065】
B:(水中解繊を用いた、セルロースナノファイバーの製造)
(実施例9) 水解繊セルロースナノファイバー1の製造
日本製紙株式会社製のセルロースパウダー製品「KCフロック W−400G(パルプ粘度2.6、セルロース重合度154、平均繊維長50μm以下(ファイバーテスター測定限界値以下))」を1質量部になるように水で希釈したパルプ分散液を用意した。この分散液を、APV GAULIN社製高圧ホモジナイザー(15MR−8TA)を用いて、圧力40MPaの条件で20分間微細化処理を行って、セルロースナノファイバーを得た。得られたセルロースナノファイバーを、実施例1に記載した走査型電子顕微鏡による方法にて計測したところ、パルプのセルロース繊維が、直径数十ナノメートルまで微細化された事を確認した。得られたセルロースナノファイバーを、t−ブタノールで溶媒置換した後で、凍結乾燥処理を行なって回収し、水解繊セルロースナノファイバー1とした。
【0066】
(比較例7) 比較水解繊セルロースナノファイバー1の製造
実施例9において原料パルプを「KCフロック W−400G」から「KCフロック W−50GK(パルプ粘度8.2、セルロース重合度549、平均繊維長302μm)」に変更した以外は同様にして、水系解繊を行った。得られたセルロースナノファイバーを、実施例1に記載した走査型電子顕微鏡による方法にて計測したところ、パルプのセルロース繊維が、直径数十ナノメートルまで微細化された事を確認した。その後、凍結乾燥処理を行ってセルロースナノファイバーを回収し、比較水解繊セルロースナノファイバー1とした。
【0067】
(実施例10) 実施例9で得られた水解繊セルロースナノファイバー1を0.1%セルロース濃度となるように樹脂に添加した樹脂粘度の測定。
DIC(株)製エポキシ樹脂 EPICLON850を100重量部に対し、実施例9で得られた水解繊セルロースナノファイバー1を0.1重量部加え(得られた組成物中のセルロースナノファイバーの含有率0.1%)、これを株式会社東洋精機製作所社製フーバーマーラーにて分散撹拌して、得られた樹脂組成物の粘度を測定した。
粘度はBROOKFIELD社製、R/S−CPS型回転粘度計を用いて、測定温度25℃、コーンスピンドルRC3−50−2を用いて測定した。
【0068】
(比較例8) 比較例7で得られた比較水解繊セルロースナノファイバー1を用いて0.1%セルロース濃度となるように樹脂に添加した樹脂粘度の測定。
実施例10において、水解繊セルロースナノファイバー1を比較例7で得られた比較水解繊セルロースナノファイバー1(セルロースナノファイバー含有率0.1%)に変更した以外は同様の操作を行って、粘度の測定を試みた。しかしながら、樹脂への分散性が悪く均一に分散できなかった。このため正確な粘度を測定することが不可能であった。
【0069】
全ての粘度測定の結果は、表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
破壊靭性値の結果は、表2に示した。
【表2】
パルプのセルロース重合度が本発明の範囲であり、かつ、樹脂解繊によって得られた、実施例1〜3のマスタバッチ1〜3では、セルロースナノファイバーが形成されたことが確認された。
パルプのセルロース重合度が本発明の範囲外であり、かつ、樹脂解繊によって得られた、比較例1のマスタバッチ1でも、セルロースナノファイバーが形成されたことが確認された。
実施例4,6及び7の複合樹脂組成物は、実施例1〜3のマスタバッチ1〜3をそれぞれ同じ量で用いた樹脂組成物であるが、全て優れた樹脂粘度を示した。
実施例1のマスタバッチ1より、3倍量のセルロースを含むように調整された、実施例5も、優れた樹脂粘度を示した。
一方、比較例1の比較マスタバッチ1を用いた比較例2は、実施例4〜6よりかなり大きな粘度を示した。また、セルロース量が3倍になるように用いた比較例3では、粘度測定自体が実施できないほど粘度が大きかった。マスタバッチを含まない比較例4では粘度の値は低かった。しかしながら、以下の比較例6の結果から、比較例4では破壊靭性が劣るであろうことが予想された。
実施例8と比較例5と比較例6では、複合樹脂組成物の破壊靱性値の測定及び比較が行われた。セルロース重合度が本発明の範囲である実施例8は、優れた破壊靱性値を示した。セルロース重合度が本発明の範囲外である比較例5は、粘度が高すぎて測定ができなかった。セルロースナノファイバーを含まない比較例6は、実施例8と比べて、破壊靱性値が劣っていた。
セルロース重合度が本発明の範囲内である、水解繊セルロースナノファイバー1を用いた、実施例10の樹脂組成物は、やや高い樹脂粘度を示した。しかしながら、セルロース重合度が本発明の範囲外である比較水解繊セルロースナノファイバー1を用いた比較例8の複合樹脂組成物では、非常に高い樹脂粘度が示された。