特許第6016473号(P6016473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016473
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   H01L21/304 601B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-138448(P2012-138448)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-3198(P2014-3198A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】大島 直敬
(72)【発明者】
【氏名】笠井 康成
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−245254(JP,A)
【文献】 特開平04−263425(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0248414(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に面取り部を有するウエーハの外周から半径方向所定幅の外周環状除去領域を一つのスピンドルに装着された切削ブレードで切削して該面取り部を除去するウエーハの加工方法であって、
該所定幅の該外周環状除去領域の二倍以上の厚みを有し、厚み方向の中心から一面側が粗切削ブレードからなり、厚み方向の中心から該一面の背面の他面側が仕上げ切削ブレードからなるとともに、該粗切削ブレードと該仕上げ切削ブレードが同一外径を有する積層切削ブレードを準備する積層切削ブレード準備ステップと、
ウエーハをチャックテーブルで保持する保持ステップと、
該積層切削ブレードの該粗切削ブレード側を該チャックテーブルの中心に対して第1の方向側で該チャックテーブルに保持されたウエーハの該外周環状除去領域に位置付けて第1の深さへ切り込ませ、該チャックテーブルを少なくとも一回転させることで該積層切削ブレードで該外周環状除去領域を切削して該面取り部を部分的に除去する粗切削ステップと、
該粗切削ステップを実施した後、該積層切削ブレードの該仕上げ切削ブレード側を該チャックテーブルの中心に対して該第1の方向と反対側で該チャックテーブルに保持されたウエーハの該外周環状除去領域に位置付けて該第1の深さより深い第2の深さへ切り込ませ、該チャックテーブルを少なくとも一回転させることで該積層切削ブレードで該外周環状除去領域を切削して該面取り部を部分的に除去する仕上げ切削ステップと、
を備えたことを特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
前記仕上げ切削ブレードは、前記粗切削ブレードに比べて、砥粒の粒径が細かい、ボンド剤が軟らかい、砥粒の集中度が低い、の何れか、又は何れかの組合せからなる請求項1記載のウエーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周に面取り部を有するウエーハの該面取り部を切削ブレードで除去するウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、シリコンや化合物半導体からなるウエーハの表面にストリートと呼ばれる格子状の分割予定ラインが形成される。そして、分割予定ラインによって区画された各領域にICやLSI等のデバイスが形成される。
【0003】
これらのウエーハは裏面が研削及び/又は研磨されて所定の厚みへと薄化された後、切削装置でストリートに沿って切削され、個々のチップへと分割されることで半導体デバイスが製造される。このようにして製造された半導体デバイスは、携帯電話、パソコン等の各種電気機器に広く利用されている。
【0004】
ウエーハの外周には表面から裏面に至る円弧面を呈した面取り部が形成されている。従って、ウエーハの裏面を研削してウエーハを薄化すると、面取り部に円弧面と研削面とによって形成されたナイフエッジが残存して危険であるとともに、外周に欠けが生じてデバイスの品質を低下させてしまう。
【0005】
そこで、特開2000−173961号公報では、ウエーハの裏面を研削する前に切削ブレードでウエーハの面取り部を除去する外周加工方法、所謂エッジトリミング方法が開示されている。
【0006】
面取り部は、例えば0.5mm〜1mmの厚みを有する切削ブレードで円形加工を施すことにより除去される。そして、面取り部が除去されたウエーハは、研削装置で裏面が研削された後、例えば約30μmの厚みを有する切削ブレードでストリートに沿って切削され個々のチップに分割される。
【0007】
切削ブレードでウエーハにエッジトリミング加工を施す場合には、通常の切削に比べて大きな加工負荷が切削ブレードにかかるため、より切削力のある切削ブレードが使用される。切削力のある切削ブレードとは、砥粒の粒径が粗い及び/又は集中度が高い等の特性を有する切削ブレードである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−173961号公報
【特許文献2】特開平8−107092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、切削力のある切削ブレードでウエーハの外周を切削すると、ウエーハに発生するチッピングと呼ばれる微小な欠けが大きく又は多く発生する。チッピングが大きく又は多く発生すると、チッピングを起点にウエーハが破損する恐れがあり、チッピングサイズの低減や発生量の低減が要望されている。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、チッピングサイズの低減やチッピング発生量の低減を可能にするウエーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、外周に面取り部を有するウエーハの外周から半径方向所定幅の外周環状除去領域を一つのスピンドルに装着された切削ブレードで切削して該面取り部を除去するウエーハの加工方法であって、該所定幅の該外周環状除去領域の二倍以上の厚みを有し、厚み方向の中心から一面側が粗切削ブレードからなり、厚み方向の中心から該一面の背面の他面側が仕上げ切削ブレードからなるとともに、該粗切削ブレードと該仕上げ切削ブレードが同一外径を有する積層切削ブレードを準備する積層切削ブレード準備ステップと、ウエーハをチャックテーブルで保持する保持ステップと、該積層切削ブレードの該粗切削ブレード側を該チャックテーブルの中心に対して第1の方向側で該チャックテーブルに保持されたウエーハの該外周環状除去領域に位置付けて第1の深さへ切り込ませ、該チャックテーブルを少なくとも一回転させることで該積層切削ブレードで該外周環状除去領域を切削して該面取り部を部分的に除去する粗切削ステップと、該粗切削ステップを実施した後、該積層切削ブレードの該仕上げ切削ブレード側を該チャックテーブルの中心に対して該第1の方向と反対側で該チャックテーブルに保持されたウエーハの該外周環状除去領域に位置付けて該第1の深さより深い第2の深さへ切り込ませ、該チャックテーブルを少なくとも一回転させることで該積層切削ブレードで該外周環状除去領域を切削して該面取り部を部分的に除去する仕上げ切削ステップと、を備えたことを特徴とするウエーハの加工方法が提供される。
【0012】
好ましくは、仕上げ切削ブレードは、粗切削ブレードに比べて、砥粒の粒径が細かい、ボンド剤が軟らかい、砥粒の集中度が低い、の何れか、又は何れかの組合せからなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のウエーハの加工方法によると、積層切削ブレードの粗切削ブレード側で粗切削を実施した後、更に積層切削ブレードをウエーハに切り込ませて仕上げ切削ブレード側で仕上げ切削を実施する。
【0014】
仕上げ切削ブレード側による仕上げ切削では、予め粗切削ブレード側で粗切削が実施されているため、切削除去体積が一度で所定深さまで切削するのに比べて少なく、従って発生するチッピングサイズを小さくでき、チッピングの発生量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】半導体ウエーハの表面側斜視図である。
図2】外周環状除去領域を示す平面図である。
図3】外周環状除去領域を示す断面図である。
図4】スピンドルに装着された積層切削ブレードの側面図である。
図5】保持ステップを示す一部断面側面図である。
図6】粗切削ステップを示す平面図である。
図7】粗切削ステップを示す一部断面側面図である。
図8】仕上げ切削ステップを示す平面図である。
図9】仕上げ切削ステップを示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の加工方法の加工対象となる半導体ウエーハ(以下単にウエーハと略称することがある)11の表面側斜視図が示されている。
【0017】
ウエーハ11は例えば厚さが700μmのシリコンウエーハからなっており、表面11aに複数の分割予定ライン(ストリート)13が格子状に形成されているとともに、複数の分割予定ライン13によって区画された各領域にIC,LSI等のデバイス15が形成されている。
【0018】
このように構成されたウエーハ11は、デバイス15が形成されているデバイス領域17と、デバイス領域17を囲繞する外周余剰領域19をその表面の平端部に備えている。ウエーハ11の外周部には円弧状の面取り部11eが形成されている。21はシリコンウエーハの結晶方位を示すマークとしてのノッチである。
【0019】
図2を参照すると、本発明の加工方法で切削除去するウエーハ11の外周から半径方向所定幅W1の外周環状除去領域23を説明する平面図が示されている。図3は外周環状除去領域23を示す断面図である。外周環状除去領域23は、研削仕上げ厚みに至る深さt1までの面取り部11eを除去できるウエーハ11の外周から半径方向に所定幅W1を有している。
【0020】
本発明のウエーハの加工方法では、本発明の加工方法を実施するのに適した図4に示すような積層切削ブレード16を準備する積層切削ブレード準備ステップを実施する。図4において、切削ユニット12はモータにより回転駆動されるスピンドル14と、スピンドル14の先端部に装着された積層切削ブレード16とを含んでいる。
【0021】
積層切削ブレード16は、所定幅W1の外周環状除去領域23の二倍以上の厚みを有しており、厚み方向の中心から一面側が粗切削ブレード16aからなり、厚み方向の中心から他面側が仕上げ切削ブレード16bから構成されている。
【0022】
仕上げ切削ブレード16bは、粗切削ブレード16aに比べて、砥粒の粒径が細かい、ボンド剤が軟らかい、砥粒の集中度が低い、の何れか又はこれら何れかの組合せから構成される。
【0023】
好ましくは、粗切削ブレード16aは電鋳ブレード、メタルボンドブレード等から構成され、仕上げ切削ブレード16bはメタルレジンブレード、レジンブレード等から構成される。
【0024】
積層切削ブレード準備ステップで積層切削ブレード16を準備した後、図5に示すように、切削装置のチャックテーブル10でウエーハ11を吸引保持し、表面11aを露出させる。
【0025】
次いで、図6及び図7に示すように、積層切削ブレード16の粗切削ブレード16a側をチャックテーブル10に保持されたウエーハ11の外周環状除去領域23に位置付けて第1の深さへ切り込ませ、積層切削ブレード16を矢印A方向に高速回転(例えば30000rpm)させつつ、チャックテーブル10を矢印R1方向に少なくとも一回転させることで、積層切削ブレード16で外周環状除去領域23を切削して面取り部11eを部分的に除去する粗切削ステップを実施する。
【0026】
この粗切削ステップでは、積層切削ブレード16とウエーハ11が接触する加工点において、積層切削ブレード16の回転方向Aとウエーハ11の回転方向R1が同一方向を向く方向にチャックテーブル10を回転させるのが好ましい。このカット方法は、ダウンカットと称される。
【0027】
この粗研削ステップでの第1の切り込み深さは、最終目標深さより1〜20μm浅く切り込むようにする。この切り込み時には、ウエーハ11の上方から積層切削ブレード16を下降させて切り込んでも良いし、ウエーハ11の外周側で積層切削ブレード16を所定高さに位置付けた後、積層切削ブレード16をウエーハ11に対して接近方向に相対移動させることで第1の深さに切り込むようにしてもよい。
【0028】
粗切削ステップを実施した後、図8及び図9に示すように、切削ユニット12をY軸方向に移動して、積層切削ブレード16の仕上げ切削ブレード16b側を粗切削時と反対側のウエーハ11の粗切削で形成された環状切削溝18に位置付けて第1の深さより深い第2の深さ切り込ませ、積層切削ブレード16を高速回転させながらチャックテーブル10を矢印R2方向に少なくとも一回転させることで、仕上げ切削ブレード16bで環状切削溝18を切削して面取り部11eを部分的に除去する仕上げ切削ステップを実施する。この仕上げ切削ステップを実施すると、環状切削溝18が最終目標深さまで切削される。
【0029】
尚、上述した仕上げ切削ステップでは、仕上げ切削ブレード16bとウエーハ11が接触する加工点において、仕上げ切削ブレード16bの回転方向Aとウエーハ11の回転方向R2が同一方向を向く方向にチャックテーブル10を回転させてダウンカットを実施しているが、チャックテーブル10の回転方向を反対方向にしてアッパーカットにより仕上げ切削ステップを実施するようにしてもよい。
【0030】
仕上げ切削ステップが完了すると、ウエーハ11の面取り部11eが部分的に除去されるとともに、仕上げ切削ブレード16bで粗切削ステップで形成された環状切削溝18の底部を再度切削するため、環状切削溝18の底部が平坦化される。
【0031】
仕上げ切削ステップ実施後、ウエーハ11の表面11aに表面保護テープを貼着し、研削装置のチャックテーブルでウエーハ11の表面11a側を吸引保持してウエーハ11の裏面11bの研削を実施すると、ウエーハ11の裏面側に残存していた面取り部11eが研削により除去され、ウエーハ11の外周は表面11a及び裏面11bに概略垂直な端面となる。
【0032】
本実施形態の加工ステップでは、面取り部を部分的に除去する切削ステップを、粗切削ステップと仕上げ切削ステップとの2回に分けているので、それぞれの切削ステップで発生するチッピングを抑えられる。
【0033】
初めに粗切削ステップを実施しておくことで、仕上げ切削ステップでは一度の切削では使用できないような(切削力はないが加工は綺麗に仕上がる)切削ブレード(柔らかいボンド、細かい砥粒、低い砥粒の集中度)を仕上げ切削ブレードとして使用できる。その結果、最終的なウエーハの被切削部に発生するチッピングや欠けを抑えられる。
【0034】
上述した実施形態では、本発明の加工方法を半導体ウエーハ11に適用した例について説明したが、本発明の加工方法は光デバイスウエーハ等の他のウエーハにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 チャックテーブル
11 半導体ウエーハ
11a 表面
11e 面取り部
15 デバイス
16 積層切削ブレード
16a 粗切削ブレード
16b 仕上げ切削ブレード
18 環状切削溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9