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特許6016578ナノインプリント方法、その方法に使用されるモールドおよびその方法を利用したパターン化基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016578
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ナノインプリント方法、その方法に使用されるモールドおよびその方法を利用したパターン化基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20161013BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   B29C59/02 ZZNM
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-236717(P2012-236717)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-86668(P2014-86668A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】薬師寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】若松 哲史
(72)【発明者】
【氏名】中村 和晴
【審査官】 新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−134214(JP,A)
【文献】 特開2012−204722(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0084417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に塗布されたレジストに微細な凹凸パターンを転写するナノインプリント方法において、
微細な凹凸パターンが形成されたパターン領域を1つのみ有するモールドを使用し、
前記モールドの前記凹凸パターンをレジストに押し付ける押付工程と、
前記モールドおよび前記基板を撓ませながら前記モールドを前記レジストから剥離する剥離工程とを有し、
該剥離工程において前記モールドの撓み面の曲率半径および前記基板の撓み面の曲率半径を個別に制御し、
前記剥離工程の離型終了時において、下記式1が満たされる状態で前記モールドを前記レジストから剥離することを特徴とするナノインプリント方法。
【数1】
(R1は、前記モールドの撓み面の曲率半径を表し、
R2は、前記基板の撓み面の曲率半径を表し、
X1ベクトルは、前記モールドのパターン中心からの前記モールドの撓み中心のずれの大きさと向きを表すベクトルを表し、
X2ベクトルは、前記基板のパターン中心からの前記基板の撓み中心のずれの大きさと向きを表すベクトルを表し、
aは前記パターン領域の最小外接円の半径を表す。)
【請求項2】
基板上に塗布されたレジストに微細な凹凸パターンを転写するナノインプリント方法において、
微細な凹凸パターンが形成されたパターン領域を1つのみ有するモールドを使用し、
前記モールドおよび前記基板の少なくとも一方がその裏面に掘り込みを有し、
前記掘り込みの中心がその前記モールドおよび/または前記基板の外形的な中心からずれており、
前記モールドの前記凹凸パターンをレジストに押し付ける押付工程と、
前記モールドおよび前記基板を撓ませながら前記モールドを前記レジストから剥離する剥離工程とを有し、
前記剥離工程の離型終了時において、下記式1が満たされる状態で前記モールドを前記レジストから剥離することを特徴とするナノインプリント方法。
【数1】
(R1は、前記モールドの撓み面の曲率半径を表し、
R2は、前記基板の撓み面の曲率半径を表し、
X1ベクトルは、前記モールドのパターン中心からの前記モールドの撓み中心のずれの大きさと向きを表すベクトルを表し、
X2ベクトルは、前記基板のパターン中心からの前記基板の撓み中心のずれの大きさと向きを表すベクトルを表し、
aは前記パターン領域の最小外接円の半径を表す。)
【請求項3】
前記押付工程後前記剥離工程前に、前記X1ベクトルおよび/または前記X2ベクトルの向きを前記押付工程終了時の当該向きから変更することを特徴とする請求項1または2に記載のナノインプリント方法。
【請求項4】
前記基板の複数の転写位置に対して前記押付工程および前記剥離工程を繰り返し行い、前記モールドおよび/または前記基板の撓み面の曲率半径、前記モールドの撓み中心の位置、並びに、前記基板の撓み中心の位置のうち少なくとも1つを各転写位置ごとに変更することを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のナノインプリント方法。
【請求項5】
請求項1からいずれかに記載のナノインプリント方法により基板上に形成されたレジストパターンをマスクとして、前記基板をエッチングすることを特徴とするパターン化基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に塗布されたレジストに微細な凹凸パターンを転写するナノインプリント方法、その方法に使用されるモールドおよびその方法を利用したパターン化基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、及びビットパターンドメディア(BPM)等の磁気記録媒体の製造等において、被加工基板上に塗布されたレジストにナノインプリントを行うパターン転写技術の利用が期待されている。
【0003】
具体的には、ナノインプリントは、凹凸パターンを形成した型(一般的にモールド、スタンパ、テンプレートとも呼ばれる)を被加工基板上に塗布されたレジストに押し付け(インプリント)、レジストを力学的に変形または流動させて微細なパターンを精密にレジスト膜に転写する技術である。モールドを一度作製すれば、ナノレベルの微細構造を簡単に繰り返して成型できるため経済的であるとともに、有害な廃棄物および排出物が少ない転写技術であるため、近年、さまざまな分野へも応用が期待されている。
【0004】
ナノインプリントでは、モールドをレジスト膜から離型(或いは剥離)する際に、レジスト膜に転写された凹凸パターンが損傷を受けたり、レジスト膜との相互作用によりモールド自体の凹凸パターンも損傷を受けたりという離型欠陥の問題がある。離型欠陥が生じると、レジスト膜に転写されたパターンの品位が低下してしまい、およびモールドの寿命も短縮してしまう。これは、モールドとレジスト膜とを接触させて凹凸パターンを転写するという工程を経るナノインプリントにおいて避けがたい根本的な問題である。
【0005】
この離型欠陥の問題を改善するための対策は今までも幾つか提案されている。
【0006】
例えば特許文献1では、離型欠陥の問題を改善するため、テンプレートの撓み領域の重心位置がモールドの中心位置と一致しないように離型を行うことにより、離型の完了する領域をパターンの中央の領域からずらす方法が記載されている(特許文献1の0015および0019段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−134214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、基板の撓み面の曲率半径と撓み中心の位置関係に応じても離型終端の位置が変化することが考慮されていない。そのため特許文献1を参考にして、モールドも基板も離型時に撓むようなナノインプリントを実施した場合には、離型終端の位置が狙った位置よりもパターン側に発生してしまい、モールドの微細パターンおよびレジストパターンを破損するおそれがあるという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ナノインプリントにおいて、メインパターン上での離型欠陥の発生をより低減することを可能とするナノインプリント方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
さらに本発明は、パターン化基板の製造において生産性を向上させることを可能とする製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るナノインプリント方法は、
基板上に塗布されたレジストに微細な凹凸パターンを転写するナノインプリント方法において、
微細な凹凸パターンが形成されたパターン領域を1つのみ有するモールドを使用し、
モールドの凹凸パターンをレジストに押し付ける押付工程と、
モールドおよび基板を撓ませながらモールドをレジストから剥離する剥離工程とを有し、
剥離工程の離型終了時において、下記式1が満たされる状態でモールドをレジストから剥離することを特徴とするものである。
【0012】
【数1】
【0013】
R1は、モールドの撓み面の曲率半径を表し、R2は、基板の撓み面の曲率半径を表し、X1ベクトルは、モールドのパターン中心からのモールドの撓み中心のずれの大きさと向きを表すベクトルを表し、X2ベクトルは、基板のパターン中心からの基板の撓み中心のずれの大きさと向きを表すベクトルを表し、aはパターン領域の最小外接円の半径を表す。
【0014】
そして、本発明に係るナノインプリント方法において、押付工程後剥離工程前に、X1ベクトルおよび/またはX2ベクトルの向きを押付工程終了時の当該向きから変更することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るナノインプリント方法において、モールドの曲率半径および基板の曲率半径を個別に制御することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るナノインプリント方法において、基板の複数の転写位置に対して押付工程および剥離工程を繰り返し行い、モールドおよび/または基板の曲率半径、モールドの撓み中心の位置、並びに、基板の撓み中心の位置のうち少なくとも1つを各転写位置ごとに変更することが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るナノインプリント方法において、モールドおよび基板の少なくとも一方はその裏面に掘り込みを有し、この掘り込みの中心はそのモールドおよび/または基板の外形的な中心からずれていることが好ましい。
【0018】
本発明に係るパターン化基板の製造方法は、上記に記載のナノインプリント方法により基板上に形成されたレジストパターンをマスクとして、基板をエッチングすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るナノインプリント方法は、押付工程と、モールドおよび基板を撓ませながらモールドをレジストから剥離する剥離工程とを有し、剥離工程の離型終了時において、上記式1が満たされる状態でモールドをレジストから剥離することを特徴とする。したがって、ナノインプリント方法における剥離工程に適した離型条件で離型することができる。その結果、ナノインプリントにおいて、メインパターン上での離型欠陥の発生をより低減することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係るパターン化基板の製造方法によれば、上記のナノインプリント方法によりレジストパターンを形成するから、効率よくパターン化基板を製造することができる。この結果、パターン化基板の製造において生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態のナノインプリント方法の工程を示す概略図である。
図2】モールドの例を示す概略図である。
図3】裏面に掘り込みを有するモールドの例を示す概略図である。
図4】裏面に掘り込みを有するモールドを使用して、ナノインプリントを行う様子を示す概略図である。
図5】モールドおよび基板それぞれのパターン中心および撓み中心の位置関係の違いに応じて、離型終端の発生位置が変化する様子を示す概略図である。
図6】モールドおよび基板が撓んだ状態における撓み中心および離型終端の位置関係を示す概略図である。
図7】モールドおよび基板が撓む前の状態におけるパターン領域、撓み中心および離型終端の位置関係を示す概略図である。
図8】X1ベクトルおよび/またはX2ベクトルの向きの変更前後におけるパターン中心P、撓み中心C1・C2および離型終端Eの位置関係を示す概略図である。。
図9】基板の撓み面を形成する方法の例を示す概略図である。
図10】裏面に掘り込みを有するモールドの撓み面を形成する方法の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
【0023】
「ナノインプリント方法」
ナノインプリント方法の実施形態について説明する。図1は実施形態のナノインプリント方法の工程を示す概略図であり、図2はそれに使用されるモールドの例を示す概略図である。
【0024】
本実施形態のナノインプリント方法は、基板2上に塗布されたレジストの複数の転写位置に微細な凹凸パターンを連続して転写する、例えばステップアンドリピート方式のナノインプリント方法である。そして本実施形態のナノインプリント方法は、特に、微細な凹凸パターンが形成されたパターン領域10を1つのみ有するモールド1を使用し(図1a)、各転写位置で、モールド1の凹凸パターンをレジストに押し付ける押付工程(図1b)と、モールド1および基板2を撓ませながらモールド1をレジストから剥離する剥離工程(図1c、dおよびe)とを有し、各剥離工程の離型終了時において、下記式2が満たされる状態でモールド1がレジストから剥離されるように、モールド1および/または基板2の曲率半径、モールド1の撓み中心の位置、並びに、基板2の撓み中心の位置のうち少なくとも1つを剥離工程ごとに変更するものである。なお、本明細書では「基板」との表現には、表面のレジストが含まれることがあり、レジストの明示的な図示は省略する。
【0025】
【数2】
【0026】
より具体的には、各転写位置における剥離工程は、図1に示すように、離型終端Eがパターン領域10の最小外接円CCに内包される領域から外れるように、離型終了時のモールド1の撓み中心C1が、最小外接円CCの中心位置に相当するモールド1のパターン中心P1からずれた状態、および、離型終了時の基板2の撓み中心C2が、最小外接円CCの中心位置に対応する基板2のパターン中心P2からずれた状態の少なくとも一方の状態で(図1cおよびd)、モールド1をレジストから剥離するものである(図1e)。
【0027】
そして、ある転写位置で上記の押付工程および剥離工程が終了した後は、次の転写位置にモールド1が移動されて、次の転写位置において押付工程および剥離工程が行われる。この際、モールド1および/または基板2の曲率半径、モールド1の撓み中心の位置、並びに、基板2の撓み中心の位置のうち少なくとも1つが再調整され、その転写位置に合った離型条件で剥離工程が行われる。
【0028】
なお、図1中の符号F11およびF12は、モールド保持部(図示省略)によってモールド1が保持されている位置(モールドの固定端)を表し、図1中の符号F21およびF22は、基板保持部(図示省略)によって基板2が保持されている位置(基板の固定端)を表す。そして、剥離工程の際には、2つの固定端F11およびF12の間のモールド1の部分(或いはその奥行きも含めた2次元的に囲まれた部分。基板についても同様。)が撓み、さらに2つの固定端F21およびF22の間の基板2の部分が撓むことになる。本明細書では、モールド1の撓んだ部分の基板2側の表面を「モールド1の撓み面S1」、および基板2の撓んだ部分のモールド1側の表面を「基板2の撓み面S2」と称する。そして、モールド1の撓み面S1の頂点(例えば図1dにおいて、2つの固定端F11およびF12を結ぶ線分の垂直二等分線と撓み面とが交わる点)を「モールド1の撓み中心C1」といい、基板2の撓み面S2の頂点を「基板2の撓み中心C2」という。
【0029】
(モールド)
モールド1は、パターン領域を1つのみ有する。このようなモールド1は、同一の基板に対して場所を変えながらモールドの押付工程および剥離工程を繰り返すステップアンドリピート方式のナノインプリント方法に適したものとなる。モールド1の「パターン領域」とは、凹凸パターンが実際に形成されているモールド1表面上の領域をいう。なお、パターン領域の規定に際して、凹凸パターンが密に形成されていて連続しているとみなせる領域は、全体として1つのパターン領域と計数する。つまり、凹凸パターンが複数のセルによって区画されている場合であっても、その区画の態様によってはそのセル全体が1つのパターン領域となる場合もある。
【0030】
例えば図2aに示されるように、凹凸パターンが1つのセルのみに形成されている場合には、そのセルが1つのパターン領域10となる。また、例えば図2bに示されるように、凹凸パターンが複数のセル10a、10b、10cおよび10dに区画されている場合には、セル同士の間隔dが5mm以下である場合には、それらのセルは連続しているとみなす。例えば、図2bにおいては、セル10aおよび10b間の間隔、セル10bおよび10c間の間隔、並びにセル10aおよびセル10d間の間隔がすべて5mm以下であれば、セル10a、10b、10cおよび10dは連続しているものとして判断され、これらすべてのセルが全体として1つのパターン領域10となる。
【0031】
ただし、本発明では、パターン領域を構成するか否かの判断対象とする凹凸パターンは、メインパターンのみとする。メインパターンとは、基板に本来転写されるべき対象となるパターンを意味し、具体的には、半導体等の製造において利用される回路パターンや磁気記録媒体等の製造において利用されるサーボパターン、フォトニック結晶や光学素子用の周期構造パターン等である。つまり、本来転写されるべき対象でない補助マークのようなパターンは、モールドの裏面に形成された場合はもちろん、メインパターン側の表面に形成された場合にも、パターン領域10を規定する際に考慮されない。補助マークとは、例えば図2cに示されるような識別マーク11および13やアライメントマーク12など、モールドを用いたナノインプリントにおいて、補助的な機能を果たすパターンである。識別マークは個々のモールドを識別管理するためのパターンであり、アライメントマークは、インプリントの際のモールドの位置調整を補助するためのパターンである。識別マークは、例えば、文字、図形、記号、画像、バーコード、ビット記録パターン又はこれらの組合せによってモールドの管理情報を表示する。
【0032】
また、パターン領域10は、例えば図2dに示されるように、必ずしもモールド1の中央にある必要はない。図2dのモールド1は、パターン領域10がモールド1の外形的な中心C(パターン領域10がある面の幾何学的な重心。以下、モールド中心と称する。)から離れた位置に形成されている。この構成の利点については後述する。
【0033】
また、本発明では、図3に示されるような、裏面に掘り込み31を有するモールド3を使用することもできる。モールド3は、パターン領域30が形成されかつ掘りこみにより薄くなった部分3bと当該部分3bより厚い部分3aから構成される。図4のようにモールド3を使用した場合には、薄い部分3bが撓みやすいことを考慮して、モールド3の固定端は厚い部分3aと薄い部分3bの接合点F31およびF32とする。したがって、薄い部分3bの表面によってモールド3の撓み面S3が構成され、その撓み面S3の頂点が撓み中心C3となる。この場合において、この掘り込みにより形成された薄い部分の撓み中心は、そのモールド中心からずれていることが好ましい。
【0034】
さらに、本発明では、台地形状を有するメサ型構造のモールドを使用することもできる。この場合には、パターン領域はメサ型構造のメサ部上に形成される。メサ型構造のモールドを使用すればレジストと接触するのがメサ部のみとなるため、レジストの複数の転写位置に凹凸パターンを連続して密に転写する場合において、隣の転写位置に既に転写されたパターンの損傷を防止することができる。
【0035】
本実施形態で使用するモールド1は、例えば以下の手順により製造することができる。まず、Si基材上に、スピンコートなどでPHS(polyhydroxy styrene)系の化学増幅型レジスト、ノボラック系レジスト、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のアクリル樹脂などを主成分とするレジスト液を塗布し、レジスト層を形成する。その後、Si基材にレーザ光(又は電子ビーム)を所望の凹凸パターンに対応して変調しながら照射し、レジスト層表面に凹凸パターンを露光する。その後、レジスト層を現像処理し、除去後のレジスト層のパターンをマスクにして反応性イオンエッチング(RIE)などにより選択エッチングを行い、所定の凹凸パターンを有するSiモールドを得る。
【0036】
モールド1の凹凸パターンの形状は、特に限定されず、ナノインプリントの用途に応じて適宜選択される。例えば典型的なパターンとしてライン&スペースパターンである。そして、ライン&スペースパターンの凸部の長さ、凸部の幅、凸部同士の間隔および凹部底面からの凸部の高さ(凹部の深さ)は適宜設定される。例えば、凸部の幅は10〜100nm、より好ましくは20〜70nmであり、凸部同士の間隔は10〜500nm、より好ましくは20〜100nmであり、凸部の高さは10〜500nm、より好ましくは30〜100nmである。また、凹凸パターンを構成する凸部の形状は、その他、矩形、円および楕円等の断面を有するドットが配列したような形状でもよい。
【0037】
(離型剤)
本発明では、レジストとモールド1との離型性を向上させるためにモールド1の表面に離型処理を行うことが好ましい。離型処理に使用する離型剤としては、フッ素系のシランカップリング剤として、ダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)DSXや、住友スリーエム株式会社製のNovec(登録商標) EGC-1720等、が挙げられる。
【0038】
この他にも、公知のフッ素系樹脂、炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、フッ素系シランカップリング剤などが使用できる。
【0039】
例えばフッ素系樹脂としては、PTFA(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)などが挙げられる。
【0040】
例えば炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸およびオレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコールおよびオレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0041】
例えばフッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。
【0042】
例えばパーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CFCFCFO)、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF)CFO)またはこれらの共重合体等である。ここで、添え字のnは重合度を表す。
【0043】
例えばフッ素系シランカップリング剤としては、分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜10個のアルコキシシラン基、クロロシラン基を有するものであり、分子量200〜10,000のものが好ましい。例えば、アルコキシシラン基としては、−Si(OCH基、−Si(OCHCH基が挙げられ、クロロシラン基としては、−Si(Cl)基などが挙げられる。具体的には、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロデシルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルジメチルクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリメトキシシランなどの化合物である。
【0044】
(ナノインプリント用基板)
レジストが光硬化性のものであり、かつ、モールド1がシリコン(Si)など光透過性を有さない場合には、レジストへの露光を可能とするために石英基板が好ましい。石英基板は、光透過性を有し、厚さが0.3mm以上であれば、特に制限されることなく、目的に応じて適宜選択される。例えば、石英基板表面をシランカップリング剤などの密着層で被覆したものや、石英基板上にCr、W、Ti、Ni、Ag、Pt、Auなどからなる金属膜を積層したものや、石英基板上にCrO、WO、TiOなどからなる金属酸化膜を積層したものや、前記積層体の表面をシランカップリング剤などの密着層で被覆したもの、などが挙げられる。なお、本実施形態では、基板2が上記の金属膜や金属酸化膜などの金属含有膜を有さない場合について説明する。密着層はレジストと基板2の密着性を向上させるために適宜使用する。密着層は、少なくともパターンが形成される領域に形成されていれば良い。
【0045】
また、上記「光透過性を有する」とは、具体的には、レジストの膜が形成される一方の面から出射するように、基板の他方の面から光を入射した場合に、レジストが十分に硬化することを意味しており、少なくとも、上記他方の面から上記一方の面へ波長200nm以上の光の透過率が5%以上であることを意味する。
【0046】
石英基板の厚さは、通常0.3mm以上が好ましい。0.3mm以下では、ハンドリングやインプリント中の押圧で破損しやすいためである。
【0047】
一方、モールド1が石英など光透過性を有する場合には、その構造、材料については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。材料としては、基板材料として公知のものの中から、適宜選択することができ、例えば、シリコン、ニッケル、アルミニウム、ガラス、樹脂、などが挙げられる。これらの基板材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。基板2は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。また、表面をシランカップリング剤で被覆したものでも良い。基板2の厚さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。基板の厚さが0.05mm未満であると、レジストとモールドとの密着時に基板側に撓みが発生し、均一な密着状態を確保できない可能性がある。
【0048】
そして、モールドと同様に、基板も裏面に掘り込みを有していてもよい。この場合にも、基板の固定端は厚い部分と薄い部分の接合点とする。
【0049】
(レジスト)
レジストは、特に制限されるものではないが、本実施形態では例えば重合性化合物に、光重合開始剤(2質量%程度)、フッ素モノマー(0.1〜1質量%)を加えて調製された材料を用いることができる。
【0050】
また、必要に応じて酸化防止剤(1質量%程度)を添加することもできる。上記の手順により作成した材料は波長360nmの紫外光により硬化することができる。溶解性の悪いものについては少量のアセトンまたは酢酸エチルを加えて溶解させた後、溶媒を留去することが好ましい。
【0051】
上記重合性化合物としては、ベンジルアクリレート(ビスコート(登録商標)#160:大阪有機化学株式会社製)、エチルカルビトールアクリレート(ビスコート(登録商標)#190:大阪有機化学株式会社製)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(アロニックス(登録商標)M−220:東亞合成株式会社製)、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(アロニックス(登録商標)M−310:東亞合成株式会社製)等の他、下記構造式1で表される化合物A等を挙げることができる。
構造式1:
【化1】
【0052】
また、上記重合開始剤としては、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(IRGACURE(登録商標)379:豊通ケミプラス株式会社製)等のアルキルフェノン系光重合開始剤を挙げることができる。
【0053】
また、上記フッ素モノマーとしては、下記構造式2で表される化合物B等を挙げることができる。
構造式2:
【化2】
【0054】
例えば、レジストの粘度は8〜20cPであり、レジストの表面エネルギーは25〜35mN/mである。ここで、レジストの粘度は、RE−80L型回転粘度計(東機産業株式会社製)を用い、25±0.2℃で測定した値である。測定時の回転速度は、0.5cP以上5cP未満の場合は100rpmとし、5cP以上10cP未満の場合は50rpmとし、10cP以上30cP未満の場合は20rpmとし、30cP以上60cP未満の場合は10rpmとした。また、レジストの表面エネルギーは、“UV nanoimprint materials: Surface energies, residual layers, and imprint quality”, H. Schmitt, L. Frey, H. Ryssel, M. Rommel, C. Lehrer, J. Vac. Sci. Technol. B, Volume 25, Issue 3, 2007, Pages 785-790.に記載の方法を用いた。具体的には、UVオゾン処理をしたシリコン基板と、オプツール(登録商標)DSX(ダイキン株式会社製)により表面処理をしたシリコン基板の表面エネルギーをそれぞれ求め、両基板に対するレジストの接触角からレジストの表面エネルギーを算出した。
【0055】
(押付工程)
モールド1と硬化性樹脂を接触する前に、モールド1と基板2間の雰囲気を減圧または真空雰囲気にすることで残留気体を低減する。ただし、高真空雰囲気下では硬化前の硬化性樹脂が揮発し、均一な膜厚を維持することが困難となる可能性がある。そこで、好ましくはモールド1と基板2間の雰囲気を、He雰囲気または減圧He雰囲気にすることで残留気体を低減する。Heは石英基板を透過するため、取り込まれた残留気体(He)は徐々に減少する。Heの透過には時間を要すため減圧He雰囲気とすることがより好ましい。減圧雰囲気は、1〜90kPaであることが好ましく、1〜10kPaが特に好ましい。
【0056】
モールドと、レジストを塗布した基板は所定の相対位置関係となるように両者を位置合わせした後に接触させる。位置合わせにはアライメントマークを用いることが好ましい。アライメントマークは光学顕微鏡やモアレ干渉法等で検出可能な凹凸パターンで形成される。位置合わせ精度は好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは100nm以下である。
【0057】
モールド1の押し付け圧は、100kPa以上、10MPa以下の範囲で行う。圧力が大きい方が、硬化性樹脂の流動が促進され、また残留気体の圧縮、残留気体の硬化性樹脂への溶解、石英基板中のHeの透過も促進し、除去率向上に繋がる。しかし、加圧力が強すぎるとモールド1接触時に異物を噛みこんだ際にモールド1及び基板2を破損する可能性がある。よって、モールド1の押し付け圧は、100kPa以上、10MPa以下が好ましく、より好ましくは100kPa以上、5MPa、更に好ましくは100kPa以上、1MPa以下となる。100kPa以上としたのは、大気中でインプリントを行う際、モールド1と基板2間が液体で満たされている場合、モールド1と基板2間が大気圧(約101kPa)で加圧されているためである。
【0058】
そして、レジストの露光は、モールド1を押し付ける前或いは押し付けた状態で行われる。
【0059】
(剥離工程)
剥離工程は、例えばモールド1または基板2のどちらかの外縁部を保持し、他方の基板2またはモールド1の裏面を吸引保持した状態で、外縁の保持部もしくは裏面の保持部を押圧と反対方向に相対移動させることで行う。
【0060】
離型終端Eでは、離型が急激に進行するため、パターン領域10内の離型欠陥を防ぐためには、離型終端Eをパターン領域外で発生させることが必要である。そこで、本発明では、剥離工程は、離型終端Eがパターン領域10の最小外接円CCに内包される領域から外れるように行われる。
【0061】
なお、剥離工程では一般的には、特にモールド1および基板2を撓ませるような積極的な操作(外力を与える等)をしなくても、モールド1および基板2は少なからず撓むものであるが、本発明における「モールドおよび基板を撓ませながら」とは、モールドおよび基板の両方にそのような積極的な操作を行って撓ませることを意味する。
【0062】
モールド1のパターン中心P1は、モールド1のパターン領域10の最小外接円CCの中心に相当する点であり、定義上必ずしもパターン領域10上に位置する必要はない(例えば図2b参照)。一方、基板2のパターン中心P2は、基板2のパターン領域20の最小外接円の中心に相当する点である。ナノインプリントの性質上、パターン領域20はパターン領域10の転写パターンであるから、モールド1をレジストに押し付けた最初の時点ではパターン中心P1およびP2は重畳しているとみなせる。したがって、パターン中心P2は、パターン領域10の最小外接円CCを基準に考えれば、その中心に対応した基板2上の点と言える。パターン中心P1およびP2は、離型の進行に伴って、重畳した状態から離れていくことになる。
【0063】
図5は、モールドおよび基板それぞれのパターン中心および撓み中心の位置関係の違いに応じて、離型終端の発生位置が変化する様子を示す概略図である。図5aは、モールド1および基板2のパターン中心P1・P2および撓み中心C1・C2のすべてが一致する一般的な離型方法での離型終了時の様子を示す。離型終端Eは、モールド1および基板2のそれぞれの撓み面S1およびS2を球面の一部として近似したときに、球面同士の接点に相当する位置に発生する。したがって、この場合には、離型終端Eがパターン領域10内で発生してしまう。
【0064】
一方、図5bは、モールド1の撓み中心C1および基板2の撓み中心C2は互いに一致するが、モールド1のパターン中心P1および撓み中心C1が互いにずれ、かつ基板2のパターン中心P2および撓み中心C2が互いにずれた状態での離型終了時の様子を示す。この場合には、パターン中心P1および撓み中心C1のずれ量を適切に設定すれば、離型終端Eがパターン領域10内で発生しないことが分かる。また、図5cおよびdは、モールド1および基板2の一方で、パターン中心および撓み中心が互いにずれた状態での離型終了時の様子を示す。この場合にも、パターン中心P1および撓み中心C1のずれ量を適切に設定すれば、離型終端Eがパターン領域10内で発生しないことが分かる。
【0065】
つまり、離型終端Eをパターン領域外で発生させるためには、モールド1および基板2の少なくとも一方でパターン中心および撓み中心が互いにずれた状態で離型を実施することが必要であると言える。
【0066】
撓み中心C1またはC2は、それぞれ主として剥離工程の際の固定端の位置およびモールド1または基板2の材料や厚さによって定まる。一方、パターン中心P1またはP2は、それぞれパターン領域10または20の大きさおよび形状によって定まる。したがって、モールド1において、パターン中心P1および撓み中心C1を互いにずらすためには、剥離工程の際の固定端の位置を考慮してパターン領域10が形成される位置を変更したり、モールド1上にすでに形成されたパターン領域10の位置を考慮して剥離工程の際の固定端の位置を変更したりする。一般的には、モールド1の中心の近傍にパターン領域10が形成されることが多い。したがって、モールド中心を基準に考えれば、パターン中心P1および撓み中心C1が互いにずれている場合とは、撓み中心C1がモールド中心からずれておりかつパターン中心P1がモールド中心と一致している場合、撓み中心C1がモールド中心と一致しておりかつパターン中心P1がモールド中心からずれている場合、および撓み中心C1もパターン中心P1もモールド中心からずれている場合(ただし、撓み中心C1とパターン中心P1とが一致する場合を除く)が挙げられる。この点、図2dに示したモールド1は、基板2のパターン中心P2および撓み中心C2をずらすことができない場合でも、本発明のナノインプリントを実施できるという点で有用である。このように本発明は、モールド上のパターン領域の位置に制限はない。
【0067】
一方、基板2において、パターン中心P2および撓み中心C2を互いにずらす方法も、モールド1の場合と同様に考えることができる。ただし、基板2に関しては、パターン領域20を形成する位置が予め定められていることが多いため、このような場合には、固定端の位置を変更する必要がある。
【0068】
具体的には、撓み中心C1のパターン中心P1からのずれ量X1および撓み中心C2のパターン中心P2からのずれ量X2は、上記式2を満たすように設定される。式2において、R1およびR2はそれぞれモールド1の撓み面S1の曲率半径および基板2の撓み面S2の曲率半径であり、aは最小外接円CCの半径である。また、X1ベクトルは、パターン中心P1からの撓み中心C1のずれの大きさと向きを表すベクトルであり、その大きさはX1である。また、X2ベクトルは、パターン中心P2からの撓み中心C2のずれの大きさと向きを表すベクトルであり、その大きさはX2である。
【0069】
式2は以下のようにして求められる。図6は、モールド1および基板2が撓んだ状態における撓み中心C1・C2および離型終端Eの位置関係を示す概略図である。特に、図6は撓み中心C1・C2および離型終端Eを含む平面での断面を示している。図6において、円O1は撓み面S1を近似した円を表し、円O2は撓み面S2を近似した円を表す。図6において、孤EC1=R1φおよび孤EC2=R2φであるため、孤EC1:孤EC2=R1:R2が成立する。
【0070】
次に、図7のように、押付工程後剥離工程前のモールド1および基板2の状態、つまりモールド1および基板2が撓む前の状態を考える。実際にインプリントする際にこの状態のときにも、離型終端Eが最小外接円CCに内包される領域から外れる必要があるためである。図7は、モールド1および基板2が撓む前の状態におけるパターン領域、撓み中心C1・C2および離型終端Eの位置関係を示す概略図である。図7では、モールド1のパターン中心P1および基板2のパターン中心P2は互いに重畳するため、その重畳点を包括的にパターン中心Pとして表している。この場合、撓み中心C1・C2および離型終端Eは同一直線上にあり、また離型終端Eは線分C1C2をR1:R2に分割する点であるから、下記式3が成り立つ。式3中、Eベクトルは、離型終端Eの原点Oからの距離および向きを表すベクトルである。他のベクトルについても同様に、特に始点の指定がない場合には原点Oを始点にするものとする。原点Oは任意の点を選択可能であるが、本明細書では便宜上モールド中心を原点とする。
【0071】
【数3】
【0072】
また、離型終端Eのパターン中心Pからの距離および向きを表すPEベクトルは、下記式4で表される。
【0073】
【数4】
【0074】
そして、離型終端Eが最小外接円CCに内包される領域から外れるためには下記式5を満たせばよいから、式4および式5から上記式2が得られる。
【0075】
【数5】
【0076】
例えば、X1ベクトル=0かつX2ベクトル=0である(つまり、撓み中心C1・C2およびパターン中心Pがすべて一致する)場合には、離型終端Eが最小外接円CCに内包される領域から外れないことがわかる(図5a)。
【0077】
また例えば、X1ベクトル≠0かつX2ベクトル=0である或いはX1ベクトル=0かつX2ベクトル≠0である(つまり、撓み中心C1・C2のうちいずれか一方のみがパターン中心Pに一致する)場合には、下記式6を満たせば、離型終端Eが最小外接円CCに内包される領域から外れることとなる。またこのとき、パターン中心P、撓み中心C1・C2および離型終端Eは同一直線上に存在する点となる。なお式6中、i=1かつj=2またはi=2かつj=1である。
【0078】
【数6】
【0079】
さらに例えば、C1ベクトル=0かつC2ベクトル=0である(つまり、撓み中心C1・C2の両方が原点であるモールド中心に一致する)場合には、式2は下記式7のように書き換えられる。これはつまり、撓み中心C1・C2の両方が原点であるモールド中心に一致する場合には、撓み中心C1・C2が最小外接円CCに内包される領域から外れるようにパターン領域を形成すればよいことを意味している。
【0080】
【数7】
【0081】
また、本発明では、押付工程後剥離工程前に、X1ベクトルおよび/またはX2ベクトルの向きを押付工程終了時の当該向きから変更する方法を採用することもできる。図8はX1ベクトルおよび/またはX2ベクトルの向きの変更前後におけるパターン中心P、撓み中心C1・C2および離型終端Eの位置関係を示す図である。図8aは押付工程終了直後の位置関係、図8bはX1ベクトルおよびX2ベクトルの向きの変更後の位置関係、および図8cはX2ベクトルの向きの変更後の位置関係を示している。離型は、離型終端に向かって徐々に進行し、離型終端でモールドとレジストが離れることで離型が完了する。このとき、離型の進行方向(図8中の符号D)とモールドのパターンの態様とによっては、剥離工程中にパターンに負荷がかかり、パターンに欠陥が発生する可能性がある。例えば、パターン領域がラインアンドスペースパターンを含む場合に、そのパターンのライン方向が離型の進行方向Dと垂直であるときは、パターンに負荷がかかり易い。剥離工程時の離型の進行方向Dとパターンの態様とを予め考慮して、モールドと基板の保持位置を決めることも考えられるが、剥離工程時の保持位置が必ずしも押付工程時の保持位置として適していると限らない。
【0082】
そこで、本発明では、押付工程後剥離工程前に、X1ベクトルおよび/またはX2ベクトルの向きを押付工程終了時の当該向きから変更することで、離型の進行方向Dをパターンへの負荷が減少するような方向に変更する。これにより、剥離工程中のパターン欠陥を抑制することができる。例えば、図8aの状態で離型を行うとパターンへの負荷がかかる場合には、図8bや図8cのようにX1ベクトルおよび/またはX2ベクトルの向きを変更することで離型の進行方向D(つまり離型終端Eの位置)を変更することができる。離型の進行方向Dを変更する場合において、制御が容易であることおよび装置に対する負荷が少ないことから、X1ベクトルおよびX2ベクトルのどちらか一方の向きのみを変更することが好ましい。この場合、X1ベクトルとX2ベクトルとの成す角は0°より大きく180°未満となる。
【0083】
撓み中心の位置を変更する場合には、モールド1または基板2の撓み方を変更するように、モールド1または基板2の保持位置を変更したり、外力を加えて積極的に撓み方を変更したりすればよい。
【0084】
例えば、図9は、基板の撓み面を形成する方法の例を示す概略図である。図9aは、基板支持部50と、基板2の押さえリング51と、外周部分が基板支持部50に固定された弾性シート4とを備える基板保持部を示している。基板2は、弾性シート4上に置かれた後に押さえリング51で固定される。基板支持部50の中央には、弾性シート4と基板支持部50との間に流体(例えば空気等の気体)を注入するための注入口が開いており、流体が注入されると流体圧力60によって弾性シート4が膨らみ基板2の中央付近を押し上げる。これにより、基板2の中央付近が撓んで撓み面S2が形成される。一方、図9bは、流体が流出する流出口と基板2を吸引する吸引口を有する基板保持部52を示している。吸引口はリング状に形成され、流出口はその中心に形成されている。基板2は吸引による吸引力61によって基板保持部52に固定される。一方、流出口から流体が基板2に吹きつけられると、吸引されている部分が固定端となり、基板2の吹きつけられた部分が撓むことになる。このような基板保持部であれば、流入口および吸引口の形成位置によって基板2の撓む部分を調整することができる。
【0085】
なお、上記の図9の説明では、基板2の撓ませ方に関して説明したが、平坦なモールド1に関しても同様に取り扱うことができる。
【0086】
また、図10は、裏面に掘り込みを有するモールド3の撓み面を形成する方法の例を示す概略図である。図10aは、モールド3の厚い部分3aを吸引保持するモールド保持部53を示す。このモールド保持部53によれば、薄い部分3bの自発的な撓みを利用することができる。また、この掘り込みの中心はそのモールドのモールド中心からずれていることが好ましい。これにより、モールド中心近傍に形成されたパターン領域のパターン中心とモールドの撓み中心とをずらすことができる。図10bは、掘り込み位置が変更されたモールド3を、流入口および吸引口を備えるモールド保持部54で保持する様子を示す。このようにモールド3では、掘り込み位置が変更された結果、薄い部分3bが撓むための固定端の位置が変わるため、モールド3の撓み中心を変えることができる。図10cは、モールド保持部54と同様の構成に加えて、さらにモールド3の薄い部分3bの一部を裏面から吸引固定する部分56を有するモールド保持部55を示す。このモールド保持部55によれば、掘り込み位置を変更しなくても、薄い部分3bの撓み方を変更し、撓み中心の位置を変更することができる。なお、上記では、モールドの掘り込みについて説明したが基板が掘り込みを有している場合にも同様の効果を得られる。
【0087】
ステップアンドリピート方式のナノインプリントを行う場合には、同じ基板に対して押付工程および剥離工程を繰り返し行う間に、モールド1および/または基板2の曲率半径、モールド1の撓み中心の位置、並びに、基板2の撓み中心の位置のうち少なくとも1つを剥離工程ごとに変更することが好ましい。例えば、押付工程および剥離工程を1サイクルとして、1サイクルごとに変更してもよいし、所定のサイクルごとに変更してもよい。ステップアンドリピート方式のナノインプリントでは、移動しながら上記サイクルを行うため、同じ条件のままでは、場所によって離型終端Eがパターン領域の最小外接円に内包される領域から外れない場合があり得るためである。
【0088】
具体的には、基板上の複数の転写位置にパターンを連続して転写するステップアンドリピート方式のインプリント装置では、基板保持機構の構造上の制約を受けるため、任意のパターン領域10の輪郭形状若しくはその大きさ又は任意の転写位置において上記X1ベクトルまたはX2ベクトルを一定に保つことはできない。したがって、モールド1の撓み中心C1と基板2の撓み中心C2の位置関係は転写位置ごとに異なる。一方、離型終端の位置は、モールド1または基板2の撓み中心同士の位置関係及びそれらの撓み面の曲率半径に応じて変化するため、例えば、離型終端Eをパターン領域10外へ誘導するために最低限必要なずれ量X1も変化しうる。このため、特定の転写位置におけるインプリントに対して最適化されたずれ量X1が、必ずしも別の転写位置におけるインプリントに対しても離型終端Eをパターン領域10外へ誘導するために充分なずれ量X1であるとは限らず、転写位置によってはパターン領域内に致命的な離型欠陥が発生しかねない。そこで、工程全体にわたって離型終端Eがパターン領域外へ誘導されるように、適宜剥離工程の条件を修正する。
【0089】
以上のように、本実施形態に係るナノインプリント方法は、離型終端がパターン領域の最小外接円に内包される領域から外れるように、モールド1の撓み中心C1がパターン中心P1からずれた状態および基板2の撓み中心C2がパターン中心P2からずれた状態の少なくとも一方の状態で、モールド1をレジストから剥離することを特徴とする。したがって、メインパターンが形成されているパターン領域上に離型終端が来ることがない。その結果、ナノインプリントにおいて、メインパターン上での離型欠陥の発生をより低減することが可能となる。
【0090】
なお本実施形態では、ステップアンドリピート方式のナノインプリント方法について説明したが、本発明はこれに限られず、1回のインプリントのみのナノインプリント方法にも適用することができる。
【0091】
「パターン化基板の製造方法」
次に、本発明のパターン化基板の製造方法の実施形態について説明する。本実施形態では、Siモールドを原盤として、前述したナノインプリント方法を用いてパターン化基板としてモールドの複版を作製する。
【0092】
まず、前述したナノインプリント方法を用いてパターン転写されたレジスト膜を基板の一方の面に形成する。次に、パターン転写されたレジスト膜をマスクにして、ドライエッチングを行い、レジスト膜に形成された凹凸パターンに対応した凹凸パターンを基板上に形成して、所定のパターンを有する基板を得る。
【0093】
一方、基板が積層構造を有しており表面上に金属層を含む場合には、レジスト膜をマスクにして、ドライエッチングを行い、レジスト膜に形成された凹凸パターンに対応した凹凸パターンを当該金属層に形成し、その金属薄層をエッチストップ層にして基板にさらにドライエッチングを行い、凹凸パターンを基板上に形成して、所定のパターンを有する基板を得る。
【0094】
ドライエッチングとしては、基板に凹凸パターンを形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンミリング法、反応性イオンエッチング(RIE)、スパッタエッチング、などが挙げられる。これらの中でも、イオンミリング法、反応性イオンエッチング(RIE)が特に好ましい。
【0095】
イオンミリング法は、イオンビームエッチングとも言われ、イオン源にArなどの不活性ガスを導入し、イオンを生成する。これを、グリッドを通して加速させ、試料基板に衝突させてエッチングするものである。イオン源としては、カウフマン型、高周波型、電子衝撃型、デュオプラズマトロン型、フリーマン型、ECR(電子サイクロトロン共鳴)型などが挙げられる。
【0096】
イオンビームエッチングでのプロセスガスとしては、Arガス、RIEのエッチャントとしては、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いることができる。
【0097】
以上のように、本発明のモールド複版方法は、マスクとして、上記に記載のナノインプリント方法により形成されたレジストパターンをマスクとしてドライエッチングを行っているから、効率よくパターン化基板を製造することができる。この結果、パターン化基板の製造において生産性を向上させることが可能となる。
【実施例】
【0098】
本発明に係るナノインプリント方法の実施例を以下に示す。
【0099】
(マスターモールドの作製)
厚さ0.725mmのシリコン基板上に、スピンコートによりPHS(polyhydroxy styrene)系の化学増幅型レジストなどを主成分とするレジスト液を塗布し、レジスト層を形成した。その後、シリコン基板をXYステージ上で走査しながら、幅30nm、ピッチ60nmのライン&スペースパターンに対応して変調した電子ビームを照射し、11.3mm×11.3mmの範囲のレジスト層を露光した。このとき、パターン中心となる露光領域の中心が、モールド中心となるシリコン基板の中心と一致するように露光を行った。その後、レジスト層を現像処理し、露光部分を除去して、除去後のレジスト層のパターンをマスクにしてRIEにより溝深さが60nmになるように選択エッチングを行い、シリコンモールドを得た。これにより、11.3mm×11.3mmのパターン領域を有するマスターモールドAを得た。このとき、このパターン領域の最小外接円の半径は8mmである。テーパー角は85度であった。モールド外形を90mm角に加工し、モールド表面はディップコート法によりオプツール(登録商標)DSXで離型処理をした。
【0100】
さらに、上記工程のうち露光領域の位置(つまりパターン領域を形成する位置)を変えて、マスターモールドBおよびCを作製した。3種類のマスターモールドの仕様は以下の通りである。
マスターモールドA:パターン中心がモールド中心に一致する。
マスターモールドB:パターン中心がモールド中心から10mmずれている。
マスターモールドC:パターン中心がモールド中心から20mmずれている。
【0101】
なお、上記モールドB、モールドC作製において、パターン領域を形成する領域として、例えば事前のパーティクル検査等で最もパーティクル数(または密度)が小さい領域を選択するとこにより、より低欠陥なマスターモールドおよび転写パターンを得ることが可能になる。
【0102】
(ナノインプリント用基板)
加工用の基板には、6インチサイズ、厚さ0.525μmの石英基板を使用した。石英基板8の表面に、レジストとの密着性に優れるシランカップリング剤であるKBM−5103(信越化学工業株式会社製)により表面処理をした。KBM−5103をPGMEAで1質量%に希釈し、スピンコート法により基板表面に塗布した。続いて、塗布基板をホットプレート上で150℃、5分の条件でアニールし、シランカップリング剤を基板表面に結合させた。
【0103】
(レジスト)
化合物Aを48質量%、アロニックス(登録商標)M220を48質量%、IRGACURE(登録商標) 379を3質量%、化合物Bを1質量%含有するレジストを調整した。
【0104】
(レジストの塗布工程)
ピエゾ方式のインクジェットプリンターであるFUJIFILM Dimatix社製DMP−2831を使用した。インクジェットヘッドには専用の10plヘッドであるDMC−11610を使用した。残膜の厚さが10nmとなるように、あらかじめ吐出条件を調整した。
【0105】
(押付工程および露光)
マスターモールドと石英基板をギャップが0.1mm以下になる位置まで近接させ、石英基板の背面から基板上のアライメントマークとモールド上のアライメントマークが一致するように位置合わせをした。このときの位置合わせの詳細な内容は、表1の実施例1−8の通りである。なお表中のC1およびP1はそれぞれ、C1ベクトルおよびP1ベクトルの大きさである。また実施例では、モールド中心、パターン中心P、撓み中心C1・C2および離型終端Eが同一直線上になるように位置合わせを行った。そして、モールドと石英基板間の空間を99体積%以上のHeガスで置換し、He置換後に20kPa以下まで減圧した。減圧He条件下でモールドをレジストからなる液滴に接触させた。接触後、0.7MPaの押付け圧で1分間加圧し、360nmの波長を含む紫外光により、照射量が300mJ/cmとなるように露光し、レジストを硬化させ、レジスト膜9を形成した。
【0106】
(剥離工程)
マスターモールド7および石英基板8を、機械的に保持しまたは吸引保持し、押圧方向と反対方向に引き離すことによりこれらを剥離した。実施例1−8および比較例1−3のそれぞれにおいて、保持する位置(固定端)を調整することにより、撓み中心の位置を表1のように調整した。離型終了時におけるマスターモールド7および石英基板8それぞれの撓み面の曲率半径は、実施例1から8においては押圧の調整によりそれぞれ2000mmとなるように制御した。また、実施例9では、マスターモールド7の撓み面の曲率半径が8000mm、石英基板8の撓み面の曲率半径が2000mmとなるように制御した。また、実施例10では、マスターモールド7の撓み面の曲率半径が6000mm、石英基板8の撓み面の曲率半径が4000mmとなるように制御した。離型終了時の曲率半径の値は事前にテストを行い、離型の様子を側面から計測して得た。
【0107】
(比較例1)
マスターモールドAを使用して、マスターモールドAおよび加工用の石英基板の外縁を保持した状態で、剥離工程を行った。つまり、比較例1は、マスターモールドAおよび石英基板の撓む領域を特に制御しない、一般的なナノインプリント方法である。
【0108】
(比較例2)
6025(縦6インチ×横6インチ×厚さ0.25インチ)規格の石英基板を基材にして上記マスターモールドAの作製工程と同様の工程によって石英モールドを作製した。この石英モールドにおいて、パターン中心はモールド中心に一致ししている。この石英モールドを使用して、石英モールドおよび加工用のSi基板の固定端を調整してこれらが局所的に撓むように制限しながら、剥離工程を行った。
【0109】
(比較例3)
マスターモールドBを使用して、マスターモールドBおよび加工用の石英基板の固定端を調整してこれらが局所的に撓むように制限しながら、剥離工程を行った。
【0110】
(比較例4)
マスターモールドAを使用して、マスターモールドAおよび加工用の石英基板の固定端を調整してこれらが局所的に撓むように制限しながら、剥離工程を行った。本比較例において、マスターモールドの撓み面の曲率半径が8000mm、石英基板の撓み面の曲率半径が2000mmとなるように制御した。
【0111】
(評価方法)
加工用基板上に形成されたパターン領域中の凹凸パターンを電子顕微鏡で観察して、凹凸パターンの欠陥や倒れの有無を判断した。
【0112】
(評価結果)
表1は、実施例1から10および比較例1から4における主な条件をまとめたものである。なお、PE値は、(R2X1+R1X2)÷(R1+R2)の式に基づいて算出したパターン中心と離型終端との距離である。表1の結果から、本発明の実施例1−10であれば、離型終端がパターン領域上に来ることを回避でき、離型欠陥なくパターンの成形性に優れていることがわかる。
【0113】
【表1】
【符号の説明】
【0114】
1 モールド
2 基板
10 モールドのパターン領域
20 基板のパターン領域
C1 モールドの撓み中心
C2 基板の撓み中心
CC モールド上におけるパターン領域の最小外接円
E 離型終端
P1 モールドのパターン中心
P2 基板のパターン中心
S1 モールドの撓み面
S2 基板の撓み面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10