【実施例】
【0037】
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に本実施例、比較例における評価方法を記載する。
(1)銅微粒子の一次粒子径の測定方法
銅微粒子の一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope))を使用した観察により、走査型電子顕微鏡で観察可能な、任意に80個の微粒子の一次粒子径を測定して、最も小さい側の粒子径の微粒子数の5%と、最も大きい側の粒子径の微粒子数の5%を除いた、残り90%の粒子の一次粒子径の測定値である。
(2)銅微粒子の有機添加剤被覆量の測定方法
炭素・硫黄分析計((株)堀場製作所製、型式:EMIA−920V2)を用いて、有機添加剤で被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤/銅微粒子(P)]×100(質量%))を求めた。尚、該銅微粒子(P)の質量には銅微粒子中に含有される不純物の質量も含まれる。
(3)X線回折ピーク強度比
X線回折測定装置((株)リガク製、X線回折測定装置、型式:Geigerflex RAD-A)を用いて、表面層が酸化銅からなる銅微粒子の、X線源としてCuKαを用いたX線回折測定を行い、2θ=43度付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH
1、2θ=36度付近に存在するCu
2O(111)面のピーク高さをH
2としたときのX線回折ピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])を求めた。
【0038】
[実施例1]
(1)ラクタム系化合物で被覆された銅微粒子(P1)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)30g([有機添加剤/Cu]質量比:4.7)、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)1.36gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.5であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温25℃で、電流密度15A/dm
2で30分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出した。
還元反応終了後の還元反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P1)を得た。
得られた銅微粒子(P1)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果、銅微粒子の一次粒子径は、3〜70nmの範囲で、平均一次粒子径は12nmであった。
また、炭素・硫黄分析計を用いた分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)における、N−ビニル−2−ピロリドンの割合は、2.3質量%であった。
図1は、上記N−ビニル−2−ピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)を、フィルター(アノディスク、Whatman社製)にトラップさせた状態の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0039】
(2)表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)2.75gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.1であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温10℃で、還元反応水溶液を空気でバブリングして循環させることにより還元反応水溶液中の溶存酸素量を5ppm以上になるように維持しながら、電流密度15A/dm
2で8分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
還元反応終了後の還元反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、0.75gの銅微粒子(P2)を得た。得られた銅微粒子(P2)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果、銅微粒子の一次粒子径は、40〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は55nmであった。
前記水洗して溶媒を乾燥除去して得られた銅微粒子(P2)の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH
1、2θ=36°付近に存在するCu
2O(111)面のピーク高さをH
2としたときのX線回折ピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])は、0.34であった。
図2は、上記X線回折ピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])が0.5の銅微粒子(P2)を、フィルター(アイソポア、MERCK社製)にトラップさせた状態の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0040】
(3)銅微粒子分散溶液の調製
前記有機添加剤で被覆された銅微粒子(P1)3.0gと、表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)0.75gと、50mlのエタノールとを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した後、遠心分離機で微粒子成分を回収するエタノール洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と50mlの1−ブタノールとを入れよく撹拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収する1−ブタノール洗浄を3回行った。上記の方法によって得られた銅微粒子を、有機溶媒であるエチレングリコールに添加、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌し、実施例1の銅微粒子分散溶液を得た。
図3は、上記銅微粒子(P1)と銅微粒子(P2)とを混合して調製した銅微粒子分散溶液を、フィルター(アノディスク、Whatman社製)に通過させてトラップさせた状態の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。該SEM写真から粒子径が異なる銅微粒子が混在していることが確認できる。
【0041】
(4)銅微粒子分散溶液を塗布、焼成後して得られた焼成膜の抵抗率
上記実施例1で得た銅微粒子分散溶液をスピンコータでガラス基板(サイズ:2cm×2cm)上の全面に塗布して、窒素ガス雰囲気中150℃で30分間加熱・焼成して塗膜を乾燥させた後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、銅で構成された焼成膜を得た。
直流四端子法(使用測定機:三菱化学(株)製、型式:ロレスターGP(四端子電気抵抗測定モード))を使用して、該焼成膜の抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
(5)銅微粒子分散溶液を、銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度
上記実施例1で得た銅微粒子分散溶液を銅基板(サイズ:2cm×2cm)に焼結後の導電接続部材の厚みが40μmとなるようにそれぞれ乾燥塗布した後、熱処理炉中で、半導体シリコンチップ(サイズ:4mm×4mm)を10MPaの加圧力で塗布膜上に押し付けて、窒素ガス雰囲気中150℃で30分間加熱・焼成させた後、ゆっくりと室温まで炉冷し、銅で構成された焼結体を介して半導体素子と導体基板とを接合した。基板表面に接合されたシリコンチップを米国MIL‐STD‐883に準拠したダイシェア強度評価装置を用いて、25℃において、ダイシェア強度を評価した。測定結果を表1に示す。
【0042】
[実施例2]
(1)ラクタム系化合物で被覆された銅微粒子(P1)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン50g([有機添加剤/Cu]質量比:7.8)、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)1.36gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.6であった。
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温25℃で、電流密度15A/dm
2で30分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
還元反応終了後の還元反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P1)を得た。
得られた銅微粒子(P1)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果、銅微粒子の一次粒子径は、1〜50nmの範囲で、平均一次粒子径は8nmであった。
また、炭素・硫黄分析計を用いた分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)における、N−ビニル−2−ピロリドンの割合は、5.1質量%であった。
【0043】
(2)表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)2.75gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.1であった。
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温10℃で、電解液を空気でバブリングして循環させることにより電解液中の溶存酸素量を5ppm以上になるように維持しながら、電流密度15A/dm
2で5分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、0.46gの銅微粒子(P2)を得た。得られた銅微粒子(P2)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、一次粒子径は、40〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は55nmであった。
また、前記水洗して溶媒を乾燥除去して得られた銅微粒子(P2)の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH
1、2θ=36°付近に存在するCu
2O(111)面のピーク高さをH
2としたときのX線回折ピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])は、0.34であった。
【0044】
(3)銅微粒子分散溶液の調製
その後、得られた有機添加剤で被覆された銅微粒子(P1)3.0gと、表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)0.46gと、50mlのエタノールとを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収するエタノール洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と50mlの1−ブタノールとを入れよく撹拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収する1−ブタノール洗浄を3回行った。上記の方法によって得られた銅微粒子を、有機溶媒であるグリセロールに添加、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌し、実施例2の銅微粒子分散溶液を得た。
【0045】
(4)銅微粒子分散溶液を塗布、焼成後して得られた焼成膜の抵抗率
上記実施例2で得た銅微粒子分散溶液を塗布、250℃で焼成した以外は実施例1に記載したと同様にして得られた焼成膜の抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
(5)銅微粒子分散溶液を、銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度
上記実施例2で得た銅微粒子分散溶液を、250℃で焼成した以外は、実施例1に記載したと同様に銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0046】
[実施例3]
(1)ラクタム系化合物で被覆された銅微粒子(P1)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、有機添加剤としてN−メチル−2−ピロリドン(炭素原子数:5)80g([有機添加剤/Cu]質量比:12.5)、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)1.36gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.6であった。
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温25℃で、電流密度15A/dm
2で30分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P1)を得た。得られた銅微粒子(P1)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、一次粒子径は、5〜100nmの範囲で、平均一次粒子径は20nmであった。また、炭素・硫黄分析計を用いた分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)における、N−メチル−2−ピロリドンの割合は、1.2質量%であった。
【0047】
(2)表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)4.12gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.3であった。
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温5℃で、電解液を空気でバブリングして循環させることにより電解液中の溶存酸素量を5ppm以上になるように維持しながら、電流密度15A/dm
2で30分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P2)を得た。得られた銅微粒子(P2)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、一次粒子径は、30〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は45nmであった。
また、前記水洗して溶媒を乾燥除去して得られた銅微粒子(P2)の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH
1、2θ=36°付近に存在するCu
2O(111)面のピーク高さをH
2としたときのX線回折ピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])は、0.09であった。
【0048】
(3)銅微粒子分散溶液の調製
その後、得られた有機添加剤で被覆された銅微粒子(P1)3.0gと、表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)3.0gと、50mlのエタノールとを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収するエタノール洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と50mlの1−ブタノールとを入れよく撹拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収する1−ブタノール洗浄を3回行った。上記の方法によって得られた銅微粒子を、有機溶媒であるエチレングリコール90体積%と1−オクタノール10体積%に添加、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌し、実施例3の銅微粒子分散溶液を得た。
【0049】
(4)銅微粒子分散溶液を塗布、焼成後して得られた焼成膜の抵抗率
上記実施例3で得た銅微粒子分散溶液を塗布、150℃で焼成した以外は、実施例1に記載したと同様の方法により、焼成膜を形成し、その抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
(5)銅微粒子分散溶液を、銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度
上記実施例3で得た銅微粒子分散溶液を、150℃で焼成した以外は、実施例1に記載したと同様に銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0050】
[実施例4]
(1)ラクタム系化合物で被覆された銅微粒子(P1)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、有機添加剤として2−ピロリドン(炭素原子数:4)2g([有機添加剤/Cu]質量比:0.31)、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)1.22gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.0であった。
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温25℃で、電流密度15A/dm
2で30分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P1)を得た。得られた銅微粒子(P1)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、銅微粒子の一次粒子径は、20〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は35nmであった。
また、炭素・硫黄分析計を用いた分析では、有機添加剤である2−ピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)における、2−ピロリドンの割合は、0.5質量%であった。
【0051】
(2)表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)0.2gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約4.9であった。
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温35℃で、電解液を空気でバブリングして循環させることにより電解液中の溶存酸素量を5ppm以上になるように維持しながら、電流密度15A/dm
2で4分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、0.33gの銅微粒子(P2)を得た。得られた銅微粒子(P2)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、一次粒子径は、90〜450nmの範囲で、平均一次粒子径は150nmであった。
また、前記水洗して溶媒を乾燥除去して得られた銅微粒子(P2)の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH
1、2θ=36°付近に存在するCu
2O(111)面のピーク高さをH
2としたときのX線回折ピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])は、0.50であった。
【0052】
(3)銅微粒子分散溶液の調製
得られた有機添加剤で被覆された銅微粒子(P1)3.0gと、表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)0.33gと、50mlのエタノールとを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収するエタノール洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と50mlの1−ブタノールとを入れよく撹拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収する1−ブタノール洗浄を3回行った。上記の方法によって得られた銅微粒子を、有機溶媒であるグリセロール90体積%とエリトリトール10体積%に添加、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌し、実施例4の銅微粒子分散溶液を得た。
【0053】
(4)銅微粒子分散溶液を塗布、焼成後して得られた焼成膜の抵抗率
上記実施例4で得た銅微粒子分散溶液を塗布、300℃で焼成した以外は実施例1に記載したと同様にして得られた焼成膜の抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
(5)銅微粒子分散溶液を、銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度
上記実施例4で得た銅微粒子分散溶液を、300℃で焼成した以外は、実施例1に記載したと同様に銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0054】
[実施例5]
(1)ラクタム系化合物で被覆された銅微粒子(P1)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、有機添加剤としてN−n−オクチル−2−ピロリドン(炭素原子数:12)2g([有機添加剤/Cu]質量比:0.31)、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)1.36gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.1であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温25℃で、電流密度15A/dm
2で30分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P1)を得た。得られた銅微粒子(P1)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、銅微粒子の一次粒子径は、15〜200nmの範囲で、平均一次粒子径は25nmであった。
また、炭素・硫黄分析計を用いた分析では、有機添加剤であるN−n−オクチル−2−ピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)における、N−n−オクチル−2−ピロリドンの割合は、0.8質量%であった。
【0055】
(2)表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)0.2gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約4.9であった。
次にこの水溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温50℃で、電解液を空気でバブリングして循環させることにより電解液中の溶存酸素量を5ppm以上になるように維持しながら、電流密度15A/dm
2で4分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、0.3gの銅微粒子(P2)を得た。得られた銅微粒子(P2)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、一次粒子径は、90〜500nmの範囲で、平均一次粒子径は180nmであった。
また、前記水洗して溶媒を乾燥除去して得られた銅微粒子(P2)の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH
1、2θ=36°付近に存在するCu
2O(111)面のピーク高さをH
2としたときのX線回折ピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])は、0.75であった。
【0056】
(3)銅微粒子分散溶液の調製
得られた有機添加剤で被覆された銅微粒子(P1)3.0gと、表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)0.3gと、50mlのエタノールとを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収するエタノール洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と50mlの1−ブタノールとを入れよく撹拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収する1−ブタノール洗浄を3回行った。上記の方法によって得られた銅微粒子を、有機溶媒であるグリセロール90体積%とエリトリトール10体積%に添加、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌し、実施例5の銅微粒子分散溶液を得た。
【0057】
(4)銅微粒子分散溶液を塗布、焼成後して得られた焼成膜の抵抗率
上記実施例5で得た銅微粒子分散溶液を塗布、300℃で焼成した以外は実施例1に記載したと同様にして得られた焼成膜の抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
(5)銅微粒子分散溶液を、銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度
上記実施例5で得た銅微粒子分散溶液を、300℃で焼成した以外は、実施例1に記載したと同様に銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0058】
[実施例6]
(1)ラクタム系化合物で被覆された銅微粒子(P1)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、有機添加剤としてN−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン5g([有機添加剤/Cu]質量比:0.78)、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)1.22gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約5.2であった。
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温25℃で、電流密度15A/dm
2で30分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P1)を得た。得られた銅微粒子(P1)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、銅微粒子の一次粒子径は、5〜80nmの範囲で、平均一次粒子径は18nmであった。
また、炭素・硫黄分析計を用いた分析では、有機添加剤であるN−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)における、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンの割合は、0.9質量%であった。
図4は、上記N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)を、フィルター(アノディスク、Whatman社製)にトラップさせた状態の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0059】
(2)表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CH
3COO)
2Cu・1H
2O)20g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CH
3COONa・3H
2O)0.2gを使用して、還元反応水溶液1Lを調製した。該還元反応水溶液のpHは約4.9であった。
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温35℃で、電解液を空気でバブリングして循環させることにより電解液中の溶存酸素量を5ppm以上になるように維持しながら、電流密度15A/dm
2で4分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、0.33gの銅微粒子(P2)を得た。得られた銅微粒子(P2)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、一次粒子径は、90〜450nmの範囲で、平均一次粒子径は150nmであった。
また、前記水洗して溶媒を乾燥除去して得られた銅微粒子(P2)の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH
1、2θ=36°付近に存在するCu
2O(111)面のピーク高さをH
2としたときのX線回折ピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])は、0.50であった。
図5は、上記X線回折ピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])が0.50の銅微粒子(P2)を、フィルター(アイソポア、MERCK社製)にトラップさせた状態の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0060】
(3)銅微粒子分散溶液の調製
得られた有機添加剤で被覆された銅微粒子(P1)3.0gと、表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)0.33gと、50mlのエタノールとを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収するエタノール洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と50mlの1−ブタノールとを入れよく撹拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収する1−ブタノール洗浄を3回行った。上記の方法によって得られた銅微粒子を、有機溶媒であるグリセロール90体積%とエリトリトール10体積%に添加、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌し、実施例6の銅微粒子分散溶液を得た。
図6は、上記銅微粒子(P1)と銅微粒子(P2)とを混合して調製した銅微粒子分散溶液を、フィルター(アノディスク、Whatman社製)に通過させてトラップさせた状態の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。該SEM写真から粒子径が異なる銅微粒子が混在していることが確認できる。
【0061】
(4)銅微粒子分散溶液を塗布、焼成後して得られた焼成膜の抵抗率
上記実施例6で得た銅微粒子分散溶液を塗布、300℃で焼成した以外は実施例1に記載したと同様にして得られた焼成膜の抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
(5)銅微粒子分散溶液を、銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度
上記実施例6で得た銅微粒子分散溶液を、300℃で焼成した以外は、実施例1に記載したと同様に銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0062】
[比較例1]
(1)ラクタム系化合物で被覆された銅微粒子(P1)の調製
還元反応水溶液中の有機添加剤をポリビニルピロリドン(数平均分子量:3500)として、その濃度を5g/Lとした以外は実施例1と同様に、還元反応水溶液を調製し、還元反応を行った。還元反応終了後、得られた還元反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P1)を得た。得られた銅微粒子(P1)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果、一次粒子径は、20〜350nmの範囲で、平均一次粒子径は45nmであった。
また、炭素・硫黄分析計を用いた分析では、有機添加剤であるポリビニルピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)における、ポリビニルピロリドンの割合は、0.35質量%であった。
【0063】
(2)表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)の調製
実施例1と同様に、還元反応水溶液を調製し、還元反応を行った。還元反応終了後の還元反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、0.75gの銅微粒子(P2)を得た。得られた銅微粒子(P2)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、一次粒子径は、40〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は55nmであった。
また、前記水洗して溶媒を乾燥除去して得られた銅微粒子(P2)の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH
1、2θ=36°付近に存在するCu
2O(111)面のピーク高さをH
2としたときのピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])は、0.34であった。
【0064】
(3)銅微粒子分散溶液の調製
得られた高分子有機添加剤で被覆された銅微粒子(P1)3.0gと、表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)0.75gと、50mlのエタノールとを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収するエタノール洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と50mlの1−ブタノールとを入れよく撹拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収する1−ブタノール洗浄を3回行った。上記の方法によって得られた銅微粒子を、有機溶媒であるエチレングリコールに添加、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌し、比較例1の銅微粒子分散溶液を得た。
【0065】
(4)銅微粒子分散溶液を塗布、焼成後して得られた焼成膜の抵抗率
上記比較例1で得た銅微粒子分散溶液を塗布、150℃で焼成した以外は実施例1に記載したと同様にして得られた焼成膜の抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
(5)銅微粒子分散溶液を、銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度
上記比較例1で得た銅微粒子分散溶液を、150℃で焼成した以外は、実施例1に記載したと同様に銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0066】
[比較例2]
(1)ラクタム系化合物で被覆された銅微粒子(P1)の調製
実施例1と同様に、還元反応水溶液を調製し、還元反応を行った。還元反応終了後、還元反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P1)を得た。得られたコロイド溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P1)を得た。得られた銅微粒子(P1)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、一次粒子径は、3〜70nmの範囲で、平均一次粒子径は12nmであった。
また、炭素・硫黄分析計を用いた分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンで被覆された銅微粒子(P1)における、N−ビニル−2−ピロリドンの割合は、2.3質量%であった。
【0067】
(2)銅微粒子分散溶液の調製
その後、上記有機添加剤で被覆された銅微粒子(P1)3.0gと、50mlのエタノールとを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収するエタノール洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と50mlの1−ブタノールとを入れよく撹拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収する1−ブタノール洗浄を3回行った。上記の方法によって得られた銅微粒子を、有機溶媒であるエチレングリコールに添加、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌し、比較例2の銅微粒子分散溶液を得た。
【0068】
(3)銅微粒子分散溶液を塗布、焼成後して得られた焼成膜の抵抗率
上記比較例2で得た銅微粒子分散溶液を塗布、150℃で焼成した以外は実施例1に記載したと同様にして得られた焼成膜の抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
(4)銅微粒子分散溶液を、銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度
上記比較例2で得た銅微粒子分散溶液を、150℃で焼成した以外は、実施例1に記載したと同様に銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0069】
[比較例3]
(1)表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)の調製
通電時間を30分間とした以外は実施例1と同様に、還元反応水溶液を調製し、還元反応を行った。還元反応終了後の還元反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、3.0gの銅微粒子(P2)を得た。得られた銅微粒子(P2)について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測結果、一次粒子径は、40〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は55nmであった。
前記水洗して溶媒を乾燥除去して得られた銅微粒子(P2)の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH
1、2θ=36°付近に存在するCU
2O(111)面のピーク高さをH
2としたときのピーク強度比(H
2/[H
1+H
2])は、0.34であった。
【0070】
(2)銅微粒子分散溶液の調製
表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)3.0gと、50mlのエタノールとを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収するエタノール洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と50mlの1−ブタノールとを入れよく撹拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収する1−ブタノール洗浄を3回行った。上記の方法によって得られた銅微粒子を、有機溶媒であるエチレングリコールに添加、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌し、比較例3の銅微粒子分散溶液を得た。
【0071】
(3)銅微粒子分散溶液を塗布、焼成後して得られた焼成膜の抵抗率
上記比較例3で得た銅微粒子分散溶液を塗布、150℃で焼成した以外は実施例1に記載したと同様にして得られた焼成膜の抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
(4)銅微粒子分散溶液を、銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度
上記比較例3で得た銅微粒子分散溶液を、150℃で焼成した以外は、実施例1に記載したと同様に銅基板と半導体シリコンチップの接合材に使用したときの接合強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0072】
[焼結膜の導電性についての考察]
比較例1〜3で得たサンプルから調製した焼成膜についての抵抗率は、80〜300μΩcmであったのに対し、実施例1〜6で得たサンプルから調製した焼成膜についての抵抗率は、15〜60μΩcmと小さい抵抗率を示した。このように、本発明のラクタム系化合物(L)で被覆された銅微粒子(P1)と、表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)からなる分散溶液を用いることで、銅微粒子の焼結性を向上させることが可能であることが確認された。
【0073】
[接合体の接合強度についての評価]
実施例1〜6で得られた銅微粒子分散溶液を用いて基板表面に接合されたシリコンチップのダイシェア強度は20〜60N/mm
2、比較例1〜3で得られた銅微粒子分散溶液を用いて基板表面に接合されたシリコンチップのダイシェア強度は3〜10N/mm
2であった。このように、本発明のラクタム系化合物(L)で被覆された銅微粒子(P1)と、表面層が酸化銅からなる銅微粒子(P2)からなる分散溶液を用いることで、半導体素子と導体基板の接合強度を向上させることが可能であることが確認された。
【0074】
【表1】