(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記幅方向に伸縮可能であり、前記積層体の周縁部に形成された一対のサイド伸縮部材であって、前記一対のサイド伸縮部材の一方及び他方は、それぞれ前記積層体の前記幅方向の一端部及び他端部に形成される一対のサイド伸縮部材を更に備え、
前記ウェスト伸縮部材は、前記一対のサイド伸縮部材の各々と前記長手方向において重なる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸収性物品では、ウェスト伸縮部材は例えば表面シートと裏面シートとの間に配置される。例えば特許文献1の使い捨て吸収性物品では、エラストマー要素、すなわちウェスト伸縮部材は、表面シートと裏面シートとの間に配置され、その両面を表面シート及び裏面シートに接合される。しかし、ウェスト伸縮部材は厚さ方向において吸収体に重なっておらず、よって吸収体には接合されていない。言い換えると、表面シートと裏面シートとの積層体において、ウェスト伸縮部材と吸収体とは長手方向に離間している。このように、ウェスト伸縮部材と吸収体とが長手方向に離間している場合、ウェスト伸縮部材が収縮して着用者の背面に密着するように近づいても、吸収体は、伸縮性を有さないので収縮できず、かつウェスト伸縮部材から離間しているのでウェスト伸縮部材の動きに追随できず、よって着用者の背面から離れてしまうおそれがある。すなわち着用者の背面側において、ウェスト伸縮部材と吸収体との間で段差が形成されるおそれがある。このような段差が形成されると、実質的に身体への適合性が低下し、吸収性物品の装着快適性が低下したり、着用者の背面側の吸収体の部分が排泄液を十分に吸収できなくなったりするおそれがある。
【0006】
このような段差の形成を抑制するべく、例えば特許文献2の使い捨ておむつのように、着用者の背面側の吸収体の部分とウェスト伸縮部材とを重ねて接着剤により接合する方法が考えられる。この場合、ウェスト伸縮部材と吸収体とは接着されるので、吸収体はウェスト伸縮部材の動きに追随できる。しかし、表面シートとウェスト伸縮部材との間に吸収体が介在しているので、ウェスト伸縮部材を肌側に押し付ける作用が吸収体により弱められ、着用時の身体への適合性が低下するおそれがある。また、ウェスト伸縮部材が収縮すると、吸収体も収縮されてその形状が変形してしまうので、着用者の背面側の吸収体の部分において吸収体の吸収性能が低下したり、皺の発生などにより吸収体の装着快適性が低下したりするおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、着用時の身体への適合性を高めつつ、吸収体の吸収性能の低下や装着快適性の低下を抑制可能な吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吸収性物品は次のとおりである。
(1)表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの積層体内に配置された吸収体とを備え、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収性物品であって、伸縮方向に伸縮可能であり、前記伸縮方向を前記幅方向に沿うようにして前記積層体内に配置されたウェスト伸縮部材を備え、前記ウェスト伸縮部材は、前記厚さ方向において前記吸収体と前記表面シートとの間に配置され、前記表面シートと接合され、前記ウェスト伸縮部材の一部は、前記厚さ方向において前記吸収体と重なり接触しているが、非接合であり、前記ウェスト伸縮部材における前記吸収体と前記厚さ方向に重ならない部分は前記裏面シートに接合される、吸収性物品。
【0009】
本吸収性物品は、ウェスト伸縮部材及び一対のサイド伸縮部材を用いた上記構成を有することにより、着用時の身体への適合性を高めつつ、吸収体の吸収性能の低下や装着快適性の低下を抑制することが可能となる。具体的には、以下のとおりである。
ウェスト伸縮部材は吸収体と厚さ方向に重なり接触しているが、ウェスト伸縮部材と表面シートとの間に吸収体が介在しないので、ウェスト伸縮部材が肌側に押し付けられる作用は肌側の表面シートに直接働き、吸収体により弱められることはなくなり、着用時の身体への適合性を向上できる。また、ウェスト伸縮部材と吸収体とは厚さ方向に重なり接触しているが、両者は互いに非接合であり、すなわち両者は接着剤等により接合されていないので、ウェスト伸縮部材と吸収体とは相対的に互いに動くことができる。そのため、着用時に、身体への適合性を高めるようにウェスト伸縮部材が幅方向に収縮した場合でも、吸収体はほとんど収縮せず、よって吸収体に収縮に伴う変形がほとんど生じないので、吸収体の吸収性能の低下や吸収体の装着快適性の低下を抑制できる。更に、ウェスト伸縮部材における吸収体と厚さ方向に重ならない部分は裏面シートに接着剤等により接合されるので、吸収性物品が着用されてウェスト伸縮部材が肌側に押し付けられるとき、吸収体よりも非肌側の裏面シートにより吸収体を肌側に押し付けることができ、肌から離れ難くできる。
【0010】
本発明の吸収性物品は、(2)前記長手方向の一方向は前側方向であり、他方向は後側方向であり、前記長手方向において、前記吸収体の前記前側方向の端部は、前記ウェスト伸縮部材の前記前側方向の端部と前記後側方向の端部との間に位置する、上記(1)に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、長手方向において、ウェスト伸縮部材と吸収体とがずれており、すなわちウェスト伸縮部材が吸収体よりも長手方向の後側方向にずれている。したがって、ウェスト伸縮部材が吸収体と長手方向で完全に重なり接触する場合と比較して、ウェスト伸縮部材と吸収体との摩擦等が低減されて、ウェスト伸縮部材を幅方向により伸長し易くすることができる。それにより、ウェスト伸縮部材は肌側により強く圧力をかけることができ、積層体を肌側により押し出すことができる。それにより、積層体を装着者へより密着させることができるので、積層体内の吸収体の吸収性能を向上できると共に、着用時における積層体の身体への適合性を高めることができる。
【0011】
本発明の吸収性物品は、(3)前記ウェスト伸縮部材の前記幅方向の両端部は前記吸収体よりも外側に延在し、前記両端部は前記表面シート及び前記裏面シートに接合される、上記(1)又は(2)に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、ウェスト伸縮部材における幅方向Wの両端部において、肌側の面が表面シートと接合され、非肌側の面が裏面シートと接合されている。そのため、吸収性物品の着用時に、ウェスト伸縮部材の両端部を幅方向に引っ張ることで、裏面シート及び表面シートの積層体を幅方向に引き伸ばすことができる。それにより積層体内の吸収体を幅方向に引き伸ばすことができ、吸収体を肌にフィットさせ易くできる。
【0012】
本発明の吸収性物品は、(4)前記幅方向に伸縮可能であり、前記積層体の周縁部に形成された一対のサイド伸縮部材であって、前記一対のサイド伸縮部材の一方及び他方は、それぞれ前記積層体の前記幅方向の一端部及び他端部に形成される一対のサイド伸縮部材を更に備え、前記ウェスト伸縮部材は、前記一対のサイド伸縮部材の各々と前記長手方向において重なる、上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の吸収性物品、であってもよい。
ウェスト伸縮部材と吸収体とは互いに非接合のため、ウェスト伸縮部材が肌側に押し付けられるとき、吸収体がウェスト伸縮部材と離れてしまい、吸収体の肌側への押し出しが弱くなることも可能性としては考え得る。しかし、仮にそのような事態が発生したとしても、本吸収性物品では、一対のサイド伸縮部材の収縮しようとする力が、表面シートと裏面シートとの積層体の幅方向の両端部に働くので、積層体、特に裏面シートが一対のサイド伸縮部材に引っ張られることで、吸収体の幅方向の端部が裏面シートにより肌面に押し付けられて、吸収体の肌面への押し出しが弱くなることはなく、上記のウェスト伸縮部材11と共に吸収体4を肌側に密着させることができる。それにより、吸収体の吸収性能の低下や吸収体の装着快適性の低下を抑制できる。
【0013】
本発明の吸収性物品は、(5)前記ウェスト伸縮部材と前記一対のサイド伸縮部材の各々とは前記幅方向に対して離間している、上記(4)に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、ウェスト伸縮部材と一対のサイド伸縮部材の各々とが離間しているので、ウェスト伸縮部材と一対のサイド伸縮部材の各々との間の伸縮しない積層体の部分が積層体の幅方向の両端部を伸長せずに引っ張るので、積層体を肌側により強く押し付けることができる。それにより、積層体を装着者へより密着させることができるので、積層体内の吸収体の吸収性能を向上できると共に、着用時の身体への適合性を高められる。
【0014】
本発明の吸収性物品は、(6)前記一対のサイド伸縮部材の各々は、前記幅方向の外側にファスニングテープを備えており、前記長手方向において、前記ファスニングテープは前記ウェスト伸縮部材に重なる、上記(4)又は(5)に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、長手方向において、ファスニングテープがウェスト伸縮部材に重なる。そのため、一対のサイド伸縮部材の各々が引き伸ばされて、各サイド伸縮部材のファスニングテープがターゲットテープに付着されたとき、ファスニングテープ間では、サイド伸縮部材の収縮しようとする力とウェスト伸縮部材の収縮しようとする力とが協調して、積層体を肌側により強く押し付けることができる。それにより、積層体を装着者へより密着させることができるので、積層体内の吸収体の吸収性能を向上できると共に、着用時の身体への適合性を高めることができる。
【0015】
本発明の吸収性物品は、(7)前記長手方向において、前記一対のサイド伸縮部材の各々は前記吸収体に重なる、上記(4)乃至(6)のいずれか一項に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、長手方向において、一対のサイド伸縮部材の各々が吸収体に重なるので、一対のサイド伸縮部材の各々の収縮しようとする力を積層体内の吸収体により伝達させ易くでき、積層体内の吸収体を肌側により押し付けることができる。それにより、吸収体を装着者へより密着させることができるので、吸収性能を向上できると共に、着用時の身体への適合性を高めることができる。
【0016】
本発明の吸収性物品は、(8)前記一対のサイド伸縮部材の各々は前記ウェスト伸縮部材よりも単位長さ当たりの伸長応力が高い、上記(4)乃至(7)のいずれか一項に記載の吸収性物品、であってもよい。
本吸収性物品では、一対のサイド伸縮部材の各々がウェスト伸縮部材よりも単位長さ当たりの伸長応力が高くされるので、伸長応力が低い、すなわち伸び易いウェスト伸縮部材を、一対のサイド伸縮部材よりも先に伸長させることができ、吸収体の部分を肌面によりフィットさせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、着用時の身体への適合性を高めつつ、吸収体の吸収性能の低下や装着快適性の低下を抑制可能な吸収性物品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施の形態に係る吸収性物品について、テープ型(オープンタイプ)の使い捨ておむつを例として、図面を参照して説明する。ただし、本発明の吸収性物品の種類及び用途はその例に限定されるものではなく、本発明の主題の範囲を逸脱しない範囲で他の吸収性物品、例えばパンツ型の使い捨ておむつなどに対しても適用可能である。
【0020】
図1及び
図2は吸収性物品1(使い捨ておむつ)を示す図であり、具体的には
図1は吸収性物品1を展開して拡げた状態での平面図を示し、
図2の(a)は
図1のIIa−IIa’の断面図を示し、
図2の(b)は
図1のIIb−IIb’の断面図を示す。吸収性物品1は、長手方向Lと、長手方向Lに直交する幅方向Wと、長手方向L及び幅方向Wに直交する厚さ方向Tを有し、幅方向Wの中心を通り長手方向Lに延びる中央軸線CLと、長手方向Lの中心を通り幅方向Wに延びる中央軸線CWを有する。
【0021】
吸収性物品1は、長手方向Lにおいて、着用者の背側の胴回りに対応する背側胴回り領域S2と、着用者の腹側の胴回りに対応する腹側胴回り領域S1と、着用者の股下に対応し、背側胴回り領域S2と腹側胴回り領域S1との間に位置する股下領域S3とを有する。吸収性物品1は、例えば背側胴回り領域S2の幅方向W両端部のファスニングテープ(後述)と腹側胴回り領域S1の幅方向W中央部の接合対象部材(後述)とが各々連結されることでおむつとして装着される。股下領域S3は幅方向Wにくびれていてもよい。長手方向Lにおける背側胴回り領域S2に向かう方向及び腹側胴回り領域S1に向かう方向をそれぞれ後側方向及び前側方向ともいう。
【0022】
なお、本明細書において、特に断りのない限り、展開して平坦に拡げた状態の吸収性物品1を、上面側から厚さ方向に見ることを単に「平面視」という。「肌側」及び「非肌側」とは吸収性物品の着用者が吸収性物品を着用したとき、吸収性物品の厚さ方向において相対的に着用者の肌面に近い側及び肌面から遠い側のことをそれぞれ意味する。また、中央軸線CLに向かう方向を、幅方向Wの内側の方向とし、中央軸線CLから遠ざかる方向を、幅方向Wの外側の方向とする。中央軸線CWに向かう方向を、長手方向Lの内側の方向とし、中央軸線CWから遠ざかる方向を、長手方向Lの外側の方向とする。
【0023】
吸収性物品1は、表面シート2と、裏面シート3と、吸収体4とを備える。ただし、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4の長手方向、幅方向及び厚さ方向はいずれも吸収性物品1の長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tと一致する。したがって、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4においても長手方向、幅方向及び厚さ方向についてそれぞれ長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを用い、厚さ方向で相対的に着用者の肌面に近い側及び遠い側に対してそれぞれ肌側及び非肌側を用いる。
【0024】
表面シート2は、着用者の肌側に位置する液透過性のシートである。表面シート2としては、例えば液透過性の不織布や織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの複合シートなど、任意の液透過性シートが挙げられる。裏面シート3は、着用者の非肌側に位置する液不透過性のシートである。裏面シート3としては、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、SMS不織布など、任意の液不透過性シートが挙げられる。吸収体4は、表面シート2と裏面シート3との積層体(以下、単に「積層体」ともいう。)の内部、すなわち表面シート2と裏面シート3との間に位置する液吸収性及び液保持性の材料であり、本実施の形態では吸収体コア4aと吸収体コア4aを包摂するコアラップ4b、4cとを含んでいる。吸収体4としては、パルプ繊維、合成繊維、吸収性ポリマなどが挙げられる。吸収体4と表面シート2及び裏面シート3とはそれぞれ接着剤により接合され、表面シート2と裏面シート3とはそれらの周縁部分において接着剤により接合される。表面シート2、吸収体4及び裏面シート3の間の接合用の接着剤は、吸収性物品1で一般的に使用される公知の材料、例えば熱可塑性接着剤を使用できる。
【0025】
吸収性物品1は、さらに一対の防漏壁5、5と脚部伸縮部材6、6と外装シート9とを備える。一対の防漏壁5、5は、表面シート2における幅方向Wの両側の表面を覆うように長手方向Lに沿って延び、幅方向Wに離間して配置される一対の側部シートである。一対の防漏壁5、5は、それぞれ、表面シート2の幅方向Wの両側の表面において、幅方向Wの外側の端部が固定され固定端とされ、幅方向Wの内側の端部が伸縮可能なギャザー部を形成する自由端とされる。一対の防漏壁5、5の自由端の近傍には、それぞれ長手方向Lに沿って延びるゴムのような線状の弾性体5aが例えば2本ずつ配置される。脚部伸縮部材6は、着用者の大腿部に当接する股下領域S3の幅方向Wの両側をそれぞれ長手方向Lに伸縮させるゴムのような弾性材である。外装シート9は、裏面シート3の非肌側に、裏面シート3を補強し、手触りを改善し、裏面シート3の非肌側に接合された状態で一対の防漏壁5、5とその周縁部分にて相互に接続される。防漏壁5、外装シート9の材料に特に制限はなく、例えば防漏壁5として表面シート2の材料、外装シート9として裏面シート3の材料が挙げられる。
【0026】
吸収性物品1は、さらに、背側胴回り領域S2に、ウェスト伸縮部材11と、一対のサイド伸縮部材7、7とを備える。
【0027】
ウェスト伸縮部材11は、伸縮方向に伸縮可能な伸縮性シートであり、その伸縮方向が幅方向Wに沿うように、積層体内に配置されている。ウェスト伸縮部材11は、例えば幅方向Wに伸縮可能なウェストギャザーとして機能する。本実施の形態では、ウェスト伸縮部材11は、幅方向Wに延設されている。それにより、着用時の身体、特に背面への適合性を高めることができる。ウェスト伸縮部材11の材料としては、伸縮可能であれば特に制限はなく、材質で伸縮可能であってもよいし、形状で伸縮可能であってもよいし、弾性部材との組み合わせで伸縮可能であってもよい。ウェスト伸縮部材11の材料としては、例えば、ポリウレタンフィルムやポリスチレンフィルム等のフィルム伸縮部材や、スチレン系ゴムやオレフィン系ゴムやウレタン系ゴム等と不織布や紙等とを複合したシート状伸縮部材或いは伸縮性不織布等が挙げられる。また、伸縮性シート以外にも糸ゴム状の伸縮部材であってもよい。
【0028】
ウェスト伸縮部材11は、厚さ方向Tにおいて、吸収体4と表面シート2との間に配置され、その少なくとも一部分が吸収体4と重なる。本実施の形態では、ウェスト伸縮部材11の一部分が吸収体4と厚さ方向Tにおいて重なり接触している。言い換えると、平面視で、長手方向Lにおいて、吸収体4の後側方向の端部4E2は、ウェスト伸縮部材11の前側方向の端部11E1と後側方向の端部11E2との間に位置し、かつ互いに接触している。したがって平面視で、長手方向Lにおいてウェスト伸縮部材11が吸収体4よりも長手方向Lの後側方向にずれている、ということができる。それにより平面視でウェスト伸縮部材11が吸収体4と長手方向Lで完全に重なり接触している場合と比較して、ウェスト伸縮部材11を幅方向Wにより伸縮し易くできる。
【0029】
本実施の形態では、ウェスト伸縮部材11は、前側部分11aと後側部分11bとを含んでいる。前側部分11aは、長手方向Lの前側の部分であって、厚さ方向Tにおいて、吸収体4と重なり接触し(幅方向Wの両端部を除く)、吸収体4よりも肌側に位置する。一方、後側部分11bは、長手方向Lの後側の部分であって、厚さ方向Tにおいて、吸収体4とは重ならず裏面シート3と重なり接触する。ここで、ウェスト伸縮部材11では、前側部分11aの非肌側の面11p21は吸収体4と接しているが、吸収体4と接合されておらず非接合であり、したがって例えば接着剤等で接着されていない。一方、後側部分11bの非肌側の面11p22は吸収体4と接していないが、裏面シート3と接しており、裏面シート3と接合されており、したがって例えば接着剤等で接着されている。また、前側部分11a及び後側部分11bの肌側の面11p1は表面シート2と接しており、表面シート2と接合されており、したがって例えば接着剤等で接着されている。このように、ウェスト伸縮部材11と吸収体4とは厚さ方向Tに重なっているが、両者は互いに非接合であり、すなわち両者は接着剤等により接合されていない。そのため、ウェスト伸縮部材11と吸収体4とは相対的に互いに動くことができる。なお、前側部分11aにおける幅方向Wの両端部(厚さ方向Tにおいて吸収体4と重なっていない部分)については、肌側の面は表面シート2と接しており、表面シート2と接合されており、非肌側の面は裏面シート3と接しており、裏面シート3と接合されている。
【0030】
一対のサイド伸縮部材7、7の各々は、伸縮方向に伸縮可能な伸縮性シートであり、その伸縮方向が幅方向Wに沿うように、積層体の周縁部に形成されている。一対のサイド伸縮部材7、7の一方及び他方は、それぞれ積層体の幅方向Wの一端部及び他端部に形成される。一対のサイド伸縮部材7、7は、例えば着用時に背側胴回り領域S2を腹側胴回り領域S1に連結するための伸縮性のサイドフラップとして機能する。また、幅方向Wに伸縮性を有するので、積層体の幅方向Wの両端部を伸長することができ、積層体内の吸収体4を肌側に押し付けることができる。一対のサイド伸縮部材7、7の各々の材料としては、伸縮可能であれば特に制限はなく、材質で伸縮可能であってもよいし、形状で伸縮可能であってもよいし、弾性部材との組み合わせで伸縮可能であってもよい。一対のサイド伸縮部材7、7の各々の材料としては、例えばウェスト伸縮部材11と同様のものを用いることができる。
【0031】
一対のサイド伸縮部材7、7の各々は、長手方向Lにおいて、吸収体4に重なる。本実施の形態では、一対のサイド伸縮部材7、7の各々の一部が吸収体4と長手方向Lにおいて重なる。それにより、一対のサイド伸縮部材7、7の各々の収縮しようとする力を吸収体4により伝達させ易くでき、吸収体4を肌側により押し付けることができる。
【0032】
一対のサイド伸縮部材7、7の各々は、背側胴回り領域S2の幅方向Wの両外側に向かって突出するように配置されており、背側胴回り領域S2の表面シート2(又は防漏壁5)と裏面シート3(又は外装シート9)との間、表面シート2(又は防漏壁5)の肌側の表面及び裏面シート3(又は外装シート9)の非肌側の表面のいずれかの位置に、接着剤で取り付けられている。ただし、一対のサイド伸縮部材7、7の各々は、表面シート2(又は防漏壁5)及び裏面シート3(又は外装シート9)の少なくとも一方の延出部分で形成されていてもよい。本実施の形態では、一対のサイド伸縮部材7、7の各々は、表面シート2、防漏壁5、裏面シート3及び外装シート9とは別の部材で、防漏壁5と外装シート9との間に配置されている。
【0033】
一対のサイド伸縮部材7、7の各々は、着用時に腹側胴回り領域S1の接合対象部材12(後述)と連結するためのファスニングテープ7aを備えている。本実施の形態では、長手方向Lにおいて、接合対象部材12全体がウェスト伸縮部材11に重なる。そのため、一対のサイド伸縮部材7、7が引き伸ばされて、各サイド伸縮部材7のファスニングテープ7aが接合対象部材12に付着されたとき、接合対象部材12間では、サイド伸縮部材7の収縮しようとする力とウェスト伸縮部材11の収縮しようとする力とが協調して、吸収体を肌側により強く押し付けることができる。
【0034】
ウェスト伸縮部材11は、一対のサイド伸縮部材7、7の間に配置されている。すなわちウェスト伸縮部材11と一対のサイド伸縮部材7、7とは長手方向Lにおいて少なくとも一部で重なるように配置されている。言い換えると、ウェスト伸縮部材11における幅方向Wの外側の長手方向Lに沿った端辺11eの中央軸線CLへの射影と、一対のサイド伸縮部材7、7の各々における幅方向Wの内側の長手方向Lに沿った端辺7eの中央軸線CLへの射影とは、少なくとも一部で重なっている。それにより、吸収性物品1の着用時に背側胴回り領域S2のフィット性を向上できる。また、幅方向Wにおいて、ウェスト伸縮部材11と一対のサイド伸縮部材7、7の各々とは離間していてもよいし、部分的に重なってもよい。本実施の形態では、幅方向Wにおいて、ウェスト伸縮部材11と一対のサイド伸縮部材7、7の各々とは離間している。そのため、ウェスト伸縮部材11と一対のサイド伸縮部材7、7の各々との間の伸縮しない積層体の部分が積層体の幅方向Wの両端部を伸長せずに引っ張るので、吸収体4を肌側により強く押し付けることができる。
【0035】
本実施の形態では、一対のサイド伸縮部材7、7の各々は、ウェスト伸縮部材11よりも単位長さ当たりの伸長応力が高くされる。ただし、ウェスト伸縮部材11及びサイド伸縮部材7のような伸縮部材の伸長応力は、例えば次のようにして測定した。
【0036】
(1)伸縮部材を幅方向Wにすべて含むように、伸縮部材を含む資材ごと切り出して試料とした。具体的には、本実施の形態の吸収性物品1においては、ウェスト伸縮部材11又はサイド伸縮部材7を含む資材をギャザーが消失する程度にまで伸長させた状態で、幅13mm(おむつの長手方向に相当)×長さ100mm(おむつの幅方向に相当)の試料を切り出した。なお、伸張させた状態で長さが100mmより短い場合は、幅13mm×切り出し可能な最長の長さ(おむつの幅方向に相当)の試料を切り出した。そして切り出した試料を、同じく伸長させた状態で、長手方向の両端部それぞれから10mm内側にマーキングした。伸長応力の測定には、インスロンジャパンカンパニィリミテッド社製の引張り試験機(例示:型式5564)、又は株式会社島津製作所製オートグラフ(例示:型式AGS−1kNG)を使用した。
【0037】
(2)上記(1)の試料を、両端部のマーキング部がそれぞれ上部チャック及び下部チャックのチャック内側端部になるように上部チャック及び下部チャックで挟んだ。チャック間における試料の長さ寸法は、80mmとなる。なお、伸縮部材の長さが100mmより短い場合は、ギャザーとして効いている伸縮部材の長さのうち最も短い長さより20mm短い長さをチャック間における試料の長さに設定した。初期のチャック間距離は初期に試料のテンションが掛からないようにするため、試料が縮んだときの長さ(自然長)よりも短く設定した。次にチャックが互いに離間するように試料を100mm/minの速度で上下方向へ引っ張り、試料を伸長した。
【0038】
(3)伸縮部材を挟み込んだ資材がたるみなく伸長したときの試料のチャック間における長さ寸法を100%として、試料のチャック間の長さ寸法が90%になるまで試料を伸ばし、そのときの試料の伸長時応力を測定し、その時の値を伸縮部材の伸長応力とした。すなわち上記本実施の形態では、例えば試料の100%長さ寸法80mmであるときに90%の72mmまで試料を伸ばしたときの伸長時応力を測定した。
【0039】
吸収性物品1は、さらに、腹側胴回り領域S1に、接合対象部材12と、一対の突出部8とを備えている。接合対象部材12は、一対のサイド伸縮部材7、7のファスニングテープ7aを連結される対象となるシートであり、例えばファスニングテープ7aが面ファスナーのフックの場合には接合対象部材12は面ファスナーのループであり、ファスニングテープ7aが粘着テープの場合には接合対象部材12は粘着テープが粘着可能なシートである。接合対象部材12は、腹側胴回り領域S1の外装シート9の非肌側の表面の位置に、例えば接着剤で取り付けられている。接合対象部材12は、また、平面視で吸収体4と部分的に重なるように、又は全く重ならないように配置されている。本実施の形態では、接合対象部材12は、外装シート9の非肌側の表面に、平面視で接合対象部材12の長手方向Lの内側の部分が吸収体4と重なるように配置されている。それにより腹側においても吸収体4を肌側に押し付けることができる。一対の突出部8、8は、着用時に腹側胴回り領域S1を背側胴回り領域S2に連結するためのシートであり、サイドフラップとして機能する。一対の突出部8は、腹側胴回り領域S1の幅方向Wの両外側に向かって突出するように配置されており、腹側胴回り領域S1の表面シート2(又は防漏壁5)と裏面シート3(又は外装シート9)との間、表面シート2(又は防漏壁5)の肌側の表面及び裏面シート3(又は外装シート9)の非肌側の表面のいずれかの位置に、接着剤で取り付けられている。ただし、一対の突出部8、8は、表面シート2(又は防漏壁5)及び裏面シート3(又は外装シート9)の少なくとも一方の延出部分で形成されていてもよい。本実施の形態では、突出部8は、表面シート2、防漏壁5、裏面シート3及び外装シート9とは別部材で、防漏壁5と外装シート9との間に配置されている。突出部8の材料に特に制限はないが、例えば、表面シート2や裏面シート3の材料が挙げられる。突出部8は無くてもよい。
【0040】
次に、吸収性物品1の機能の一例について説明する。
図3は、吸収性物品1の機能の一例を説明するための模式図である。特許文献1の技術では、
図3の(a)に示すように、吸収性物品において、ウェスト伸縮部材611は表面シート602と裏面シート603との間に配置され、厚さ方向おいて吸収体604に重なっておらず、よって吸収体604には接合されない。言い換えると、表面シート602と裏面シート603の積層体において、ウェスト伸縮部材611と吸収体604とは長手方向Lに離間している。このような場合、ウェスト伸縮部材611が収縮して着用者の背面BLに密着するように近づくと、ウェスト伸縮部材611に対応する表面シート602の部分FP01は着用者の背面BLに密着できる。
【0041】
しかし、吸収体604は、伸縮性を有さないので収縮せず、かつウェスト伸縮部材611から離間しているのでウェスト伸縮部材611の動きに追随できないため、逆に着用者の背面BLから離れてしまう。したがって、吸収体604に対応する表面シート602の部分FP02は着用者の背面BLから離れてしまう。加えて、吸収体604とウェスト伸縮部材611との間の表面シート602及び裏面シート603も、伸縮性を有さないので収縮せず、かつウェスト伸縮部材611と厚さ方向おいて重ならず、接合されていないのでウェスト伸縮部材611の動きに追随できないため、着用者の背面BLから離れてしまう。したがって、吸収体604とウェスト伸縮部材611との間の表面シート602の部分FP03も着用者の背面BLから離れてしまう。その結果、着用者の背面側において、ウェスト伸縮部材611と吸収体604との間で段差ST0が形成されることになる。このような段差ST0が形成されると、実質的に着用者の身体への適合性が低下し、吸収性物品の装着快適性が低下したり、着用者の背面側の吸収体604の部分が排泄液を十分に吸収できなくなったりするおそれがある。
【0042】
このような段差ST0の形成を抑制するべく、例えば特許文献2の技術を用い、着用者の背面側の吸収体の部分とウェスト伸縮部材の部分とを重ねた上で、吸収体の部分とウェスト伸縮部材の部分とを接着剤により接合する方法が考えられる。この場合、ウェスト伸縮部材と吸収体とは接着されるので、吸収体はウェスト伸縮部材の動きに追随できる。しかし、ウェスト伸縮部材が収縮すると、吸収体も収縮されてその形状が変形してしまうので、着用者の背面側の吸収体の部分において吸収性能が低下したり、皺の発生などにより装着快適性が低下したりするおそれがある。
【0043】
そこで、吸収性物品1では、ウェスト伸縮部材11及び一対のサイド伸縮部材7、7を用いる
図1及び
図2に示すような上記構成により、着用時の身体への適合性を高めつつ、吸収体の吸収性能の低下や装着快適性の低下を抑制できる。具体的には、以下に示すとおりである。
【0044】
図3の(b)に示すように、ウェスト伸縮部材11と吸収体4とは厚さ方向Tに重なり接触しているが、ウェスト伸縮部材11と表面シート2との間には吸収体4が介在しないので、ウェスト伸縮部材11が肌側に押し付けられる作用は肌側の表面シート2に直接働き、吸収体4により弱められることはない。したがって、ウェスト伸縮部材11による吸収性物品1の着用時の身体への適合性を向上できる。また、ウェスト伸縮部材11と吸収体4とは厚さ方向Tに重なり接触しており、ウェスト伸縮部材11の非肌側の面11p21は吸収体4と接しているが、ウェスト伸縮部材11と吸収体4とは接合されておらず非接合であり、したがって例えば接着剤等で接着されていない。このようにウェスト伸縮部材11と吸収体4とは互いに非接合であり、接着剤等により接着されていないので、互いの動きにあまり影響されない。すなわちウェスト伸縮部材11と吸収体4とは相対的に互いに動くことができる。そのため、着用時に身体への適合性を高めるようにウェスト伸縮部材11が幅方向Wに収縮した場合でも、吸収体4はほとんど収縮せず、よって吸収体4に変形がほとんど生じないので、吸収体4の吸収性能の低下や吸収体4の装着快適性の低下を抑制できる。その結果、吸収体4を装着者へより密着させることができるので、吸収性能を向上できると共に、着用時の身体への適合性を高めることができる。
【0045】
ただし、ウェスト伸縮部材11と吸収体4とは互いに非接合のため、ウェスト伸縮部材11が肌側に押し付けられるとき、吸収体4がウェスト伸縮部材11と離れ気味になり、吸収体4の肌側への押し出しが弱くなるとも考え得る。しかし、本実施の形態では、ウェスト伸縮部材11における吸収体4と重ならない後側部分11bが裏面シート3に接合されている。そのため、ウェスト伸縮部材11が肌側に押し付けられるとき、吸収体4よりも非肌側の裏面シート3により吸収体4を肌側に押し付けることができ、肌から離れ難くできる。
【0046】
更に、本実施の形態では、前側部分11aにおける幅方向Wの両端部において、肌側の面が表面シート2と接合され、非肌側の面が裏面シート3と接合されている。そのため、吸収性物品1の着用時に、ウェスト伸縮部材11を幅方向Wに引き伸ばすことで、裏面シート3及び表面シート2の積層体を幅方向Wに引き伸ばすことができ。それにより積層体内の吸収体4を幅方向Wに引き伸ばすことができ、吸収体4を肌にフィットさせ易くできる。
【0047】
更に、本実施の形態では、一対のサイド伸縮部材7、7の収縮しようとする力が、表面シート2と裏面シート3との積層体の幅方向Wの両端部に働くので、それにより、積層体、特に裏面シート3が一対のサイド伸縮部材7、7に引っ張られることで、吸収体4の幅方向Wの端部が裏面シート3により肌面に押し付けられて、吸収体4の肌面への押し出しが弱くなることを抑制でき、肌面から離れることがなくなる。よって上記のウェスト伸縮部材11と共に吸収体4を肌側に密着させることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、一対のサイド伸縮部材7、7の各々は、ウェスト伸縮部材11よりも単位長さ当たりの伸長応力が高くされている。それにより、伸長応力が低い、すなわち伸び易いウェスト伸縮部材11を、一対のサイド伸縮部材7、7よりも先に伸長させることにより、吸収体4部分を肌面によりフィットさせることができる。
【0049】
次に本実施の形態に係る吸収性物品の製造方法について説明する。
図4は吸収性物品1の製造装置200の構成例を示している。製造装置200は、表面シート形成ユニット200A、吸収体形成ユニット200B、裏面シート形成ユニット200C、伸縮部材接合ユニット200D、一体接合ユニット200E及び折り畳みユニット200Fを備える。また、製造装置200を用いた吸収性物品の製造方法は、表面シート形成工程と、伸縮部材接合工程と、吸収体形成工程と、裏面シート形成工程と、一体接合工程と、収縮工程と、押圧工程と、折り畳み工程とを備える。
【0050】
吸収性物品1やそれを構成する資材などの搬送に関し、搬送方向MD、搬送方向MDに直交し搬送面に沿う横断方向CD及び搬送方向MDと横断方向CDとに直交する上下方向TDを有する。ただし、吸収性物品1やそれを構成する資材の長手方向、幅方向及び厚さ方向はいずれも搬送方向MD、横断方向CD及び上下方向TDと同じである。したがって吸収性物品1やそれを構成する資材においても、長手方向、幅方向及び厚さ方向についてそれぞれ搬送方向MD、横断方向CD及び上下方向TDを用いる。
【0051】
表面シート形成工程では、表面シート形成ユニット200Aにより、連続防漏壁シート105、105が接合された連続表面シート102が形成される。すなわち、表面シート2用の連続シートである連続表面シート102は、複数の搬送ロールに搬送されつつ接着剤塗布装置201によって一方の面に接着剤を塗布され、接合ロール210に供給される。一方、一対の防漏壁用の連続シートである一対の連続防漏壁シート105、105は、複数の搬送ロールに搬送されて接合ロール210に供給される。そして、接合ロール210では、互いに対面配置された一対の接合ロールの間に連続表面シート102と一対の連続防漏壁シート105、105とが供給される。次いで、連続表面シート102における接着剤を塗布された面に、一対の連続防漏壁シート105、105が押し付けられて両者が貼り合わされることにより、横断方向CDの両側に一対の連続防漏壁シート105、105が接合された連続表面シート102が形成される。その後、連続表面シート102は、複数の搬送ロールに搬送されつつ、連続防漏壁シート105、105が接合された面とは反対側の他方の面に、接着剤塗布装置202によって接着剤を塗布された後、一体接合ユニット200E(接合ロール240)に供給される。
【0052】
伸縮部材接合工程では、伸縮部材接合ユニット200Dにより、ウェスト伸縮部材11が貼付された連続裏面シート103が形成される。すなわち、ウェスト伸縮部材11用の連続シートである連続伸縮部材シート111が、複数の搬送ロールに搬送されつつ切断装置230に供給され、切断装置230のカッター(切断機)により、搬送方向MDの先端部が所定の長さに切断される。切断片、すなわちウェスト伸縮部材11は、横断方向CDの両端部が拡幅貼付装置400に保持され、拡幅貼付装置400に受け取られる。ウェスト伸縮部材11は、拡幅貼付装置400により横断方向CDの両端部を横断方向に引き伸ばされつつ、約180°回転されて、表面シート形成工程後の接合ロール240上の連続表面シート102における接着剤塗布面に伸長状態で押し付けられ、連続表面シート102に貼付される。それにより、ウェスト伸縮部材11が貼付された連続表面シート102が形成される。このとき、連続表面シート102には搬送方向に張力が掛かっていて、横断方向CDに引き伸ばされ伸長状態にあるウェスト伸縮部材11が貼付されても、連続表面シート102はほとんど減幅しない。その後、ウェスト伸縮部材11が貼付された連続表面シート102は接合ロール240上を一体接合ユニット200E(接合ロール250)に移動して、一体接合ユニット200E(接合ロール240)に供給される。このとき、連続表面シート102では接着剤を塗布された面にウェスト伸縮部材11が貼付され、ウェスト伸縮部材11上には接着剤が無く、ウェスト伸縮部材11の周辺には接着剤が塗布された状態となっている。
【0053】
吸収体形成工程では、吸収体形成ユニット200Bにおける図示しない吸収体形成装置により吸収体104が形成される。その後、吸収体104は搬送ベルトにより一体接合ユニット200E(接合ロール240、250)に供給される。
【0054】
裏面シート形成工程では、裏面シート形成ユニット200Cにより、連続外装シート109が接合された連続裏面シート103が形成される。すなわち、裏面シート3用の連続シートである連続裏面シート103は、複数の搬送ロールに搬送され、接合ロール220に供給される。一方、外装シート9用の連続シートである連続外装シート109(脚部伸縮部材6、サイド伸縮部材7、突出部8、接合対象部材12を付加済み)は、複数の搬送ロールに搬送されつつ接着剤塗布装置203によって一方の面に接着剤を塗布され、接合ロール220に供給される。接合ロール220では、互いに対面配置された一対の接合ロールの間に連続外装シート109と連続裏面シート103とが供給される。そして、連続外装シート109における接着剤を塗布された面に、連続裏面シート103が押し付けられて両者が貼り合わされることにより、裏面側に連続外装シート109が接合された連続裏面シート103が形成される。その後、連続裏面シート103は、複数の搬送ロールに搬送されつつ、連続外装シート109が接合された面とは反対側の他方の面に、接着剤塗布装置204によって接着剤を塗布された後、一体接合ユニット200E(接合ロール240、250)に供給される。
【0055】
一体接合工程では、一体接合ユニット200Eにより、連続表面シート102と吸収体104と連続裏面シート103とを備える吸収性物品の半製品の連続体101aが形成される。すなわち、連続防漏壁シート105、105が接合され、接着剤が塗布され、ウェスト伸縮部材11が貼付された連続表面シート102が伸縮部材接合工程から、吸収体104が吸収体形成工程から、連続外装シート109が接合され、接着剤が塗布された連続裏面シート103が裏面シート形成工程から、それぞれ互いに対面配置された一対の接合ロール240、250の間に搬送される。そして、連続表面シート102と、吸収体104と、連続裏面シート103とが一対の接合ロール240、250に間に挟持、圧縮され、接合される。それにより連続表面シート102と吸収体104と連続裏面シート103とを備える吸収性物品の半製品の連続体101aが形成される。このとき、ウェスト伸縮部材11が貼付された連続表面シート102のうち、ウェスト伸縮部材11上には接着剤が塗布されていないので、ウェスト伸縮部材11と吸収体104との間には接着剤が存在せず、したがってウェスト伸縮部材11と吸収体104とは接するが接合しない。なお、表面シート2に対する接着剤の塗工パターンや裏面シート3に対する接着剤の塗工パターンは、例えば接着剤塗布装置202や接着剤塗布装置203によって適宜調整され得る。
【0056】
収縮工程では、半製品の連続体101aは接合ロール240から離され、複数の搬送ロールに搬送されつつ、搬送方向MDの張力を低下される(例えば、搬送ロールの回転数を低下させるなど)。それにより、横断方向CDに伸長された状態のウェスト伸縮部材11が収縮可能になるので、ウェスト伸縮部材11を横断方向CDに収縮させることができる。それに対応して、半製品1aにおけるウェスト伸縮部材11を含む部分も横断方向CDに収縮させることができる。その結果、ウェスト伸縮部材11を含む部分が横断方向CDに収縮した半製品の連続体101bが形成される。
【0057】
次いで、押圧工程では、折り畳みユニット200Fの搬送ロール303により、押圧部材301及び搬送装置310に、ウェスト伸縮部材11が収縮された半製品の連続体101bが供給される。続いて、搬送装置310により、半製品の連続体101bが搬送方向MDに搬送されつつ、ウェスト伸縮部材11の横断方向CDの長さよりも横断方向CDの長さが小さい押圧部材301により、半製品1bの横断方向CDの中央領域が半製品1bの載置面に向かう方向へ押圧される。それにより、ウェスト伸縮部材11の複数の皺がある領域が押圧される。
【0058】
折り畳み工程では、搬送装置310により、半製品の連続体101bが搬送方向MDに搬送されながら、折り畳み部材302により、半製品1bにおける中央領域よりも横断方向CDの外側の一対の側部領域が、搬送方向MDに沿って延びる一対の折り線で、半製品1bの載置面に向かう方向とは反対の方向に持ち上げられ、中央領域の上方にそれぞれ折り畳まれる。それにより半製品の連続体101cが形成される。なお、押圧工程と折り畳み工程とは時間的に重複して行われてもよいし、押圧工程の後に折り畳み工程が行われてもよい。半製品の連続体101cは、その後、一製品分の吸収性物品に切り離されて、吸収性物品1となる。
【0059】
以上のようにして、吸収性物品1が製造される。
【0060】
本吸収性物品1により、着用時の身体への適合性を高めつつ、吸収体の吸収性能の低下や装着快適性の低下を抑制可能となる。
【0061】
本実施の形態に係る吸収性物品では、好ましい形態として、ウェスト伸縮部材11と一対のサイド伸縮部材7、7の各々とが離間している。それにより、ウェスト伸縮部材11と一対のサイド伸縮部材7、7の各々との間の伸縮しない積層体の部分が吸収体4を肌側により強く押し付けることができる。そのため、吸収体4を装着者へより密着させることができ、吸収性能を向上できると共に着用時の身体への適合性を高めることができる。
【0062】
また、本実施の形態に係る吸収性物品では、好ましい形態として、長手方向Lにおいて、ウェスト伸縮部材11が吸収体4よりも長手方向Lの後側方向にずれている。したがって、ウェスト伸縮部材11が吸収体4と長手方向Lで完全に重なる場合と比較して、ウェスト伸縮部材11と吸収体4との摩擦等が低減されて、ウェスト伸縮部材11を幅方向Wにより伸長し易くすることができる。それにより、ウェスト伸縮部材11は吸収体4に向かってより強く圧力をかけることができ、吸収体4を肌側により押し出すことができる。それにより、吸収体4を装着者へより密着させることができるので、吸収性能を向上できると共に、着用時の身体への適合性を高めることができる。
【0063】
本実施の形態に係る吸収性物品では、好ましい形態として、長手方向Lにおいて、ファスニングテープ7aがウェスト伸縮部材11に重なる。この場合、長手方向Lにおいてウェスト伸縮部材11に重なるファスニングテープ7aとは、ファスニングテープ7aにおけるサイド伸縮部材7と厚さ方向に重なり、接合する部分であり、当該部分のうちの長手方向Lの最大長さを有する部分を含む。更に、長手方向Lにおいてファスニングテープ7a全体がウェスト伸縮部材11に重なることが好ましい。このような場合、一対のサイド伸縮部材7、7が引き伸ばされて、各サイド伸縮部材7のファスニングテープ7aが接合対象部材12(ターゲットテープ)に付着されたとき、ファスニングテープ7a間では、サイド伸縮部材7の収縮しようとする力とウェスト伸縮部材11の収縮しようとする力とが協調して、吸収体4を肌側により強く押し付けることができる。それにより、吸収体4を装着者へより密着させることができるので、吸収性能を向上できると共に、着用時の身体への適合性を高めることができる。
【0064】
本実施の形態に係る吸収性物品では、好ましい形態として、長手方向Lにおいて、ファスニングテープ7aの前側方向の端部と後側方向の端部との間に、吸収体4の後側方向の端部4E2が位置している。そのため、ファスニングテープ7aを引っ張る力が、吸収体4にかかりつつ、吸収体4の端部4E2にかかることで、吸収体4の端部4E2を幅方向Wに広げて体に押し当てることができ、背中に隙間を発生させにくい(漏れ防止)の作用を奏する。
【0065】
本実施の形態に係る吸収性物品では、好ましい形態として、長手方向Lにおいて、一対のサイド伸縮部材7、7の各々が吸収体4に重なるので、一対のサイド伸縮部材7、7の各々の収縮しようとする力を積層体内の吸収体4により伝達させ易くでき、積層体内の吸収体4を肌側により押し付けることができる。それにより、吸収体4を装着者へより密着させることができるので、吸収性能を向上できると共に、着用時の身体への適合性を高めることができる。
【0066】
本吸収性物品の他の好適な実施の形態では、平面視でウェスト伸縮部材11と吸収体4とが重なる領域の外側の周縁にも接着剤を配置しない。それにより、ウェスト伸縮部材11と吸収体4とは相対的に互いにより動くことができる。それにより、吸収体4での皺11Sの発生や変形による吸収性能の低下をより抑制することができる。
【0067】
本発明の吸収性物品は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。
【解決手段】吸収性物品1は、表面シート2と、裏面シート3と、表面シートと裏面シートとの積層体内に配置された吸収体4とを備える。更に、幅方向Wに伸縮可能に積層体内に配置されたウェスト伸縮部材11を備える。ウェスト伸縮部材は、厚さ方向において吸収体と表面シートとの間に配置され、表面シートと接合されており、ウェスト伸縮部材の一部は、厚さ方向において吸収体と重なり接触しているが、非接合であり、ウェスト伸縮部材における吸収体と厚さ方向に重ならない部分は裏面シートに接合される。